2015 年度博士前期課程学位論文要旨 別紙様式 3( 修士申請者用 ) 学位論文題名 ( 注 : 学位論文題名が英語の場合は和訳をつけること ) モンテカルロシミュレーションを用いた PET/CT における散乱フラクションの推定 学位の種類 : 修士 ( 放射線学 ) 首都大学東京大学院人間健康科

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1 別紙様式 1( 修士申請者用 ) 修士学位論文 論文題名 ( 注 : 学位論文題名が英語の場合は和訳をつけること ) モンテカルロシミュレーションを用いた PET/CT における散乱フラクションの推定 ( 西暦 ) 2016 年 2 月 5 日提出 首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士前期課程人間健康科学専攻放射線科学域学修番号 : 氏名 : 細川翔太 ( 指導教員名 : 福士政広 )

2 2015 年度博士前期課程学位論文要旨 別紙様式 3( 修士申請者用 ) 学位論文題名 ( 注 : 学位論文題名が英語の場合は和訳をつけること ) モンテカルロシミュレーションを用いた PET/CT における散乱フラクションの推定 学位の種類 : 修士 ( 放射線学 ) 首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士前期課程人間健康科学専攻放射線科学域学修番号 氏名 : 細川翔太 ( 指導教員名 : 福士政広 ) 注 :1 ページあたり 1,000 字程度 ( 英語の場合 300 ワード程度 ) で 本様式 1~2 ページ (A4 版 ) 程度とする Positron Emission Tomography(PET) の画質は 撮像条件や体格により画質が大きく異なる 画質評価指標である雑音等価計数率 (Noise Equivalent Count Rate:NECR) を撮像対象の体積で除した Noise Equivalent Count Density(NEC density ) が一定となるように撮像時間を調節することで体格に依存しない一定の画質を得られるとの報告がされているが Body Mass Index(BMI) が高い被写体では撮像時間の最適化による画質改善効果が不十分であり 視覚的評価結果と乖離が生じている この原因の 1 つとして NECR を算出するために必要な散乱フラクション ( 全同時計数における散乱同時計数の割合 ) を体型の異なる全ての被写体に対して一定の値 ( 固定値 ) を使用していることが挙げられる これは PET 装置で使用されるシンチレータのエネルギー分解能に制限があるため 被写体ごとの散乱フラクションを実測することは困難であり 画質評価の精度を制限している因子となっている そこで 本研究はモンテカルロシミュレーションを用いて被写体ごとの散乱フラクションを推定することを目的として以下の検討を行った まず初めに シミュレーション下において実機同様の PET 装置を模擬して その体系の妥当性の検証を行った 検証では 実測およびシミュレーションで得られたサイノグラムを画像再構成して 得られた PET 画像を比較した 次に 従来法である NEMA 規格の散乱体ファントムから得られたサイノグラムの内挿より散乱成分を推定する方法 ( 内挿法 ) と提案法であるシミュレーションの計算過程より散乱成分を推定する方法 ( 直接法 ) の比較を行った 最後に 人体模擬ファントム (CTU-41 京都科学 ) の散乱フラクションを求めて従来の固定値と比較検討した シミュレーションおよび実機より得られた PET 画像において ホット球の最大値を示すピクセルの位置およびバックグラウンド対ホット球のカウント比が良好に一致し 本研究で作成したシミュレーション体系の妥当性を確認した 内挿法と直接法を用いた 20 cmφ の散乱体ファントムにおける散乱フラクションは実測値と同等の値となり また 10~50 cm φ の散乱体ファントム場合においても両者の算出法によって得られた結果に有意な差 ( 最大誤差 2.3 %) は確認されず 提案法である直接法の妥当性を確認した 直接法により推定した人体模擬ファントムにおける散乱フラクションの検討では 撮像領域の違いにより変動があり ( 最大 13.3 % の差 ) その平均散乱フラクションは 20 cmφ 散乱体ファントムの値よりも 5.7 % 低値を示した そのため 従来法である散乱体ファントムの散乱フラクションを用いて算出した臨床画像の NEC density は過小評価している可能性が示唆された 本研究で構築した計算体系は CT 画像および PET 画像の情報を使用して計算することが可能であり 体格の異なる被写体ごとの散乱フラクションの推定が可能であることを示した これにより 本研究は PET 臨床画像の画質評価指標に用いられる NEC density の算出精度の向上に寄与すると考えられる

3 内容第 1 章序論 研究の背景 研究の目的 研究の構成... 3 第 2 章 PET の原理および各種技術 PET の概要 PET の歴史 PET の原理 PET の構成 各種補正法 PET における定量 第 3 章 PET の性能試験と画質評価 PET の性能試験 PET 画質評価 第 4 章医学分野に応用されるモンテカルロシミュレーションコード シミュレーションコードの例 ボクセルファントム FSD 第 5 章シミュレーションによる散乱フラクションの推定 目的 方法 結果 考察 結論 第 6 章まとめ 参考論文 謝辞

4 第 1 章序論 1.1 研究の背景陽電子断層撮影 Positron Emission Tomography(PET) は 分子イメージングの中心的な役割を果たす検査法であり 疾患の早期発見 再発診断 病期診断そして治療効果判定などにおいて有用性が報告されている 1-4) PET は古くから行われてきたシンチグラフィに比べ感度 分解能 定量性に優れ Computed Tomography(CT) による形態画像と重ね合わせることでよりスループット 診断精度が向上し全国の医療機関に普及した 5) 日本核医学会 PET 核医学分科会によると 2015 年 9 月 5 日時点において 367 施設において PET 検査が行われている PET 検査の中でも特に 18 F-Fluoro deoxy glucose(fdg)-pet は全身の疾患に有効であり 現在において早期胃がんを除くすべての悪性腫瘍 ( 悪性リンパ腫を含む ) てんかん 心疾患 ( 虚血性心疾患およびサルコイドーシス ) が保険適応となっている 6) さらに 新しい抗がん剤などのがん治療法の治験における評価基準として FDG-PET が用いられている 治験では多施設の協力のもとに共同研究を進め 大量の症例数を迅速に集めることが可能となる しかし 各施設における PET 画像の画質が標準化されていなければ正確に治療効果を評価することは困難であり ある施設の結果が他の施設に当てはまるとは言い切れない PET の画質はトレーサーの投与量 装置の種類 ( 画像再構成法や各種補正法 ) 撮像時間 投与後の待機時間などに影響を受ける 特に装置の違いによる影響は大きく 撮像条件を統一するのは困難であり得られた画像を評価することで一定の画質が担保されているかを確認することが現実的である 日本においては FDG-PET/CT において最適撮像条件の検討のためのファントム実験法や臨床画像の評価に用いる物理学的指標を PET 撮像法標準化ワーキンググループにより提案され 7) この物理学的指標を用いて各被写体の体格に依存しない画質を得る撮像条件の検討がいくつか報告されている 8-12) 放射線科医による視覚評価は臨床画像の画質評価において最も重要であるが 視覚評価による画質の標準化は困難であり視覚評価との相関が強い物理学的指標を高精度に算出することが求められる しかし 上記のガイドラインにはなお不十分な点があり 改良する余地がある PET における物理学的指標には雑音等価計数率 Noise Equivalent Count Rate(NECR) が広く用いられており NECR の中にはボディファントムを使用して求める Noise Equivalent Count Phantom(NEC phantom ) や臨床画像を使用して求める Noise Equivalent Count Patient(NEC patient ) Noise Equivalent Count Density(NEC density ) が提案されている それぞれの物理学的指標を算出する際に 被写体毎の散乱フラクション (3.1.3 項参照 ) が必要であるが 実際に使用されている散乱フラクションは NEMA NU で規定された散乱体ファントムから求めた装置固有の値 ( 固定値 ) であり ボディファントムや臨床において被写体毎に測定したものではない 散乱線は放射能分布や減弱体の構造に依存するため 固定値を用いることは不適切であると考えるが 個別のファントムや臨床撮像で散乱線を測定することは非常に困難であるため やむを得ず固定値を用いている 7) このため これらの物理学的指標と視覚的評価結果が合致しない1つの原因と考えられている 2

5 1.2 研究の目的実測することが困難な被写体毎の散乱フラクションを モンテカルロシミュレーションにより推定した 本研究では その基礎検討として以下の項目について検討した まず第一に シミュレーション下において PET 装置の模擬とその体系の検証を行った 次に シミュレーションの計算過程より散乱成分を推定する方法 ( 直接法 ) の妥当性を検証した 最後に 直接法を用いて各種ファントムにおける散乱フラクションを求め 固定値との違いを明らかにした これらから 被写体毎の散乱フラクションが推定可能であることを示し 散乱フラクションへ影響する因子と その大きさに関して検討した 1.3 研究の構成第 1 章では 本研究の背景および目的を含めた概要について記述した 第 2 章では PET の原理および技術について記述した PET 装置を模擬するにあたり 構成や原理について理解することは重要であると考える 第 3 章では PET の性能評価項目および評価法の一部について記述した 本研究の主なテーマである散乱フラクションの算出方法およびその問題点について言及した 第 4 章では モンテカルロシミュレーションコードの一例と特徴について記述した 第 5 章では 第 3 章で挙げた散乱フラクションの問題点を解決するべくモンテカルロシミュレーションを用いて PET 装置の模擬と検証おこなった その計算体系を用いて各ファントムにおける散乱フラクションを明らかにした 第 6 章では 本研究内容についてのまとめを記述した 3

6 第 2 章 PET の原理および各種技術 2.1 PET の概要陽電子断層撮影 (PET) は 名称の通り陽電子を用いることで断層画像を得る検査法である 陽電子は陰電子と対消滅し 511 kev の消滅放射線を 180 反対方向に放出する この 2 本の消滅放射線を装置の検出素子によって同時に検出し 検出した 2 つの検出素子を結ぶ線上に陽電子が存在しているという仮定のもと画像化を行う 陽電子を放出する中性子不足核 ( 11 C 13 N 15 O 18 F など ) を酸素 糖分 アミノ酸などの化合物中に置換することでトレーサーとし 体内を循環させることでその分布を機能画像として得ることができる 同様な検査として古くから行われてきたシンチグラフィは単一光子により画像化を行うもので 陽電子からの消滅放射線により画像化を行う PET はこのシンチグラフィと比較し 1 感度が高い 2 分解能が良い 3 被曝が少ない 4 定量性が良い 5 低原子番号の核種を用いることで生体内物質に標識が可能といった利点がある しかし陽電子放出核種は比較的半減期が短く検査施設内のサイクロトロンにより合成を行わなければならず 膨大な費用を要することが導入の妨げとなっていた 2005 年 8 月に日本メジフィジックス ( 株 ) より FDG のデリバリー供給が開始され サイクロトロンを持たない施設においても検査が可能となり 検査可能施設の数が増加した 2015 年 9 月の時点においてはサイクロトロン保有施設 (149 施設 ) よりもデリバリー施設 (218 施設 ) が多い ( 図 2.1.1) この PET 検査施設の増加も FDG 検査の保険適応拡大へ貢献した要因の一つである 条件は付くものの概ね悪性腫瘍 ( 早期胃がんを除き 悪性リンパ腫を含む ) てんかん 心疾患 ( 虚血性心疾患およびサルコイドーシス ) に対して認められている 他に保険適応となっている 15 O- 酸素ガスや 13 N-アンモニアによる検査や 11 C-メチオニンを始めとする保険適応外の放射性薬剤を使用した検査も行われている 5) これらの薬剤の有用性を評価し 普及させることが PET 検査の更なる発展につながると考えらえる Commercial In-house PET facilities Year 図 PET 施設数の推移 4

7 ( 引用元 :INNER VISION/ 日本核医学会 PET 核医学分科会 ) 2.2 PET の歴史世界初のヒト用 PET 装置が 1975 年にアメリカのワシントン大学で開発された 13) この装置は PETT III と呼ばれ 48 個の NaI(Tl) を検出器として用いており 6 角形状に配置された 検出器は回転運動と各辺に沿った平行運動を行い解像力はおよそ 20 mm であった その後 40 年間にシンチレータを NaI(Tl) から Bi 4 Ge 3 O 12 (BGO) Lu 2 SiO 5 (LSO) へ置き換え Time of Flight(TOF) Point Spread Function(PSF) など新しい技術が開発され 現在の解像力は 3~4 mm となっている 3D 収集の PET の研究は 1980 年末より始められ 14) 1990 年代にいくつもの 2D 3D モードの切り替えが可能なセプタ除去可能型 PET 装置 (CTI Exact HR GE Advance など ) が製品化された 3D 収集は 2D 収集よりも体軸方向中心において感度が 7~8 倍高いとされ低被曝化 短時間収集が可能となった その後の技術の改良もあり現在の臨床 PET の地位を確立させた ( 図 2.1.2) 図 PET 断面解像力の推移 ( 引用元 : 2.3 PET の原理 陽電子崩壊陽子の質量は中性子の質量よりわずかに小さいので 単独の陽子が中性子に壊変することはない しかし 原子核の中では陽子数が中性子数に比べて多い場合 クーロン力による反発のエネルギーが高くなり 陽子が中性子に壊変した方がエネルギー的に安定になる 5

8 場合がある このとき陽子は中性子に変わり 陽電子とニュートリノが放出される 15) p n + β + +ν 陽電子飛程陽電子の最大エネルギー E max はβ + 壊変前後における中性原子のエネルギーの差から MeV だけ差し引いた分となり 陽電子の放出エネルギー分布は 0 から E max まで連続的に分布するが約 E max /3 で最大頻度を持つ 陽電子はこのエネルギーに応じた飛程を持ち わずかながら分解能の劣化をもたらす ( 図 ) 図 陽電子の飛程 16) 近年 登場した Positron Emission Tomography/Magnetic Resonance Imaging(PET/MRI) では被写体は静磁場の中に置かれることになり 当然そこから放出される陽電子も磁界の影響を受け 飛程は制限される しかし 現在製品化されている MRI の静磁場強度 (3T) と比較的低エネルギーの陽電子を放出する 18 F ではそれによる空間分解能の向上は難しい 17) 電子 陽電子対消滅陰電子と陽電子が衝突すると互いの消滅し 2 つの電子の静止質量に相当するエネルギーを消滅放射線として放出する 互いの運動エネルギーが厳密に 0 である場合 2 本の消滅放射線は 180 反対方向へ放出され運動量保存則が成り立つ 角度揺動上記の電子 陽電子対消滅は実際には 180 方向からずれる これは 2 つが衝突する時点において電子および陽電子のどちらか一方あるいは双方が運動エネルギーを少なからず持っているためである この現象を角度揺動といい その大きさは 0.5 程度であると報告されている 18) 図 に示すように PET のガントリー径が大きくなるほど分解能へ与える影響は大きくなり 全身用 PET の場合 ( リング径 D=90 cm θ=0.5 とした場合 )1.96 mm の誤差が生じる ガントリー径の小さい小動物用 PET であれば 2 mm 以下の分解能も可能 6

9 であるがヒト用の全身を対象とした装置では 角度揺動による制限を大きく受ける 図 角度揺動による LOR と真の対消滅座標の乖離 19) 同時計数陽電子飛程や角度揺動などの誤差を含むものの 陽電子由来の 2 本の消滅放射線を検出した 2 点を結ぶ線 Line Of Response(LOR) 上に陽電子放出核種 ( トレーサ ) が存在すると仮定して画像再構成を行う 2 本の消滅放射線はある短い時間幅の中で検出しなければ 別の陽電子由来の消滅放射線どうしを同時計数する確率が高くなる この同時計数時間幅 ( タイムウィンドウ ) をいかに短くすることができるかで 後述する偶発同時計数のカウントの含有率が決まる このタイムウィンドウは装置が 2 つの信号が同時計数回路により判別されるまでの時間分解能により決定され シンチレータの種類や光電子増倍管 Photo Multiplier Tube(PMT) の性能等に左右される PET で計測されるカウントの種類を以下に示す シングルス : 放出される 2 本の消滅放射線のうち片方が検出されたもの 全同時計数 : 以下の真の同時計数 散乱同時計数そして偶発同時計数の合計 真の同時計数 :2 本の消滅放射線が被写体内で散乱を起こさず 検出素子で全エネルギーを付与され同時計数されたもの トレーサーの分布を反映しているのはこの真の同時計数だけである 散乱同時計数 : 片方または両方の光子が被写体または PET 装置などで散乱を起こし同時計数されたもの 散乱後に検出素子で検出されるため 厳密にはエネルギーが 511 kev より低下しているが同時計数エネルギーウィンドウの間であれば同時計数とされる 装置のエネルギー分解能が良いほどエネルギーウィンドウを狭め散乱フラクション ( 全同時計数に対する散乱同時計数の割合 ) を減らすことが可能である 20) しかし 近年シンチレータとして用いられている BGO や LSO はエネルギー分解能が比較的悪く 511 kev の単一エネルギーの光子を検出するにもかかわらずエネルギーウィンドウは 375~650 kev 程度に設定されて 7

10 いる エネルギー弁別で除去しきれない散乱線成分は散乱補正法により補正する 20) カウント数は放射能濃度に比例する 偶発同時計数 : 別の陽電子放出核種由来の消滅放射線どうしを同時計数したもの 偶発同時計数の LOR はトレーサー分布を反映しておらず雑音となる 放射能濃度の 2 乗に比例するため 放射能濃度が高くなると急激に増加し信号対雑音比 Signal to Noise Ratio(SNR) を悪化させる 20) 同時計数時間幅( タイムウィンドウ ) に比例するため 同時計数時間幅を狭めるほど偶発同時計数を抑えることができる 20) 偶発同時計数はシングルスにより推定する方法 遅延同時計数回路により実測し補正する方法がある 20) 位置演算受光素子はシンチレータ内で発生する光を電子に変換し 電気信号として取り出すために用いられる 放射線の吸収によって発生する蛍光は小さく PMT を使用することで SNR を高くしている ンチレータのサイズを小さくするほど解像力は向上するが PMT の小型化に限界があることや性能を維持することが困難であり 現在は多数個のシンチレータに小数個の PMT を結合して 複数個の PMT 出力強度の比から位置を演算するコーディング方式が主流である 21,22) 位置弁別の例を図 に示す A C B D X= Y= A C + B D 図 位置弁別による座標の推定 波高弁別 ( エネルギー弁別 ) 2 本の消滅放射線があらかじめ設定されたエネルギーウィンドウ内のエネルギーを持っているかを判別する エネルギーウィンドウ下限値よりも低い場合には散乱線成分とみなされ 同時計数からは除かれる 20) エネルギーウィンドウ上限値よりも高い場合にはパイルアップ ( 同時あるいは非常に短い時間間隔で入力された信号がお互いに重なり合うこと ) とみなされる 20) 8

11 2.4 PET の構成 概要互いに反対方向に放出される消滅放射線を効率よく検出する必要がある 現在は有効視野を囲むようにリング状に検出素子を並べたものが主流である PET においてはシンチレータと PMT を組み合わせたシンチレーション検出器が広く用いられている 20) 多数の検出器を使用するため安価で単純な構成が望まれる シンチレータ消滅放射線を吸収して微弱な蛍光を発生するシンチレータとしては 第 1 に検出効率と光電比の高いものが望まれる 光電比とは シンチレータ内に入射して相互作用する放射線の総数に対して エネルギー 511 kev のすべてがシンチレータ内で吸収される放射線の数の割合である 21) 表 に代表的なシンチレータの種類と特性を示す シンチレータの発光量が多くなると発光の立ち上がり時に起こる揺らぎが少なくなり 同時計測時間 ( タイムウィンドウ幅 ) を短くすることができる 23) 表 シンチレータの特性 Scintillator NaI(Tl) BGO GSO LSO YSO Decay time(ns) /300 60/ (ratio) (1/10) (7/1) Light output(pmt) Light output(apd) Peak emission(nm) Refractive index Density(g/cm 3 ) Atomic number /μ(mm)[511 kev] /μ(mm)[140 kev] ) D 収集と 3D 収集検出器リングの体軸方向を区切るリング状の遮蔽板をセプタといい このセプタを使用した場合を 2D 収集 使用しない場合を 3D 収集という セプタを使用することで各リングにまたがる LOR が制限され 散乱同時計数および偶発同時計数が低下する セプタの材質としては高密度で高実効原子番号のタングステン タングステン鉛合金などが用いられる 20) 2D 収集における全スライス数は 2n-1 で表される (n: リング数 ) 3D 収集はセプタによりリング間の LOR が制限されていないため 2D と比較し感度が上昇する 中心のリングほど感度が高く 端部のリングほど感度が低くなる スライス方向における LOR の制限 (Maximum Ring Difference:MRD) を行わない場合 感度は中心のリングをピークに三角形の形状をとる MRD を制限するなど 感度が均一になるように補正したとしても端部のリングにおける計数を稼ぐために各ベッドをオーバーラップして収集する必要がある 9

12 LOR は n 2 通りの組み合わせができ そのまま 3 次元画像再構成をする方法と 3 次元データを 2 次元データへ変換 ( リビニング ) して 2 次元画像再構成を行う方法がある リビニングはデータ量 再構成時間を大幅に軽減することが可能であり 3D-PET の普及に大きく貢献した 代表的なリビニングの方法を以下に示す Single slice rebinning(ssrb) 24) : 検出された 2 つのリング間の中点のスライスにおける平行サイノグラムへデータを加算する 傾斜サイノグラムと平行サイノグラムの距離が大きくなるほどボケが大きくなる このボケは検出器のリング中心から離れるほど大きくなる 20) Multi slice rebinning(msrb) 25) : 検出された 2 つのリング間の複数のスライスにおける平行サイノグラムへデータを加算する 体軸方向の歪みを生じさせる 20) Fourier rebinning(fore) 26) : 傾斜サイノグラムを 2 次元フーリエ変換した S(ω,n,z 0,σ) の周波数空間上のd =±n/ωの情報の大部分は 実空間の座標原点からの距離が d の線源分布の寄与による という性質 (frequency-distance relation:fdr) を利用して寄与の大きい平行スライスへデータを加算していく 2.5 各種補正法 偶発同時計数補正偶発同時計数は にも示したように 2 つの核種由来の消滅放射線を同時に検出することによるもので 本来の陽電子放出核種の位置情報を持たない そのため 測定データから精度よく減算する必要があり これを偶発同時計数補正という 偶発同時計数補正には以下の遅延回路を用いた方法とシングルスより推定する方法 反復画像再構成アルゴリズムに組み込む方法などが使用されている 遅延同時計数法 : 遅延同時計数で得られた計数は 即発同時計数内の偶発同時計数と発生確率が等価であるため 即発同時計数から偶発同時計数を差し引くことで偶発同時計数を補正することができる 27) しかし 遅延同時計数自体も統計雑音を含むため 偶発同時計数補正に伴う雑音の増加が問題になる 27) 偶発同時計数分布の統計雑音を低減する手法として 遅延同時計数を平滑化する方法が提案されている 27) シングルス計数率法 : 同時計数回路のタイムウィンドウ幅を 2τとすると 検出器対 (i j) の偶発同時計数率 R ij は次式で与えられる R ij =2τS i S j ここで S i と S j は各検出器のシングル計数率である シングル計数率は同時計数に比べ てはるかに多く検出できるため 遅延同時計数から推定した偶発同時計数に比べて統計精 10

13 度を著しく改善できる 27) しかし 遅延同時計数とシングル計数では計数損失の割合等が 必ずしも一致するとは限らないことなど 即発同時計数 ( タイムウィンドウ内で同時計数 されたもの ) に含まれる偶発同時計数の総量を必ずしも再現できない要因がある 27) 散乱補正散乱補正は PET の補正中でも最も困難な補正の 1 つである 27) これは計測時には真の同時計数と区別が出来ないためその分布等から推定するしかないためである 27) 減弱体が複雑な形状をもち かつ Radio Isotope(RI) の分布が複雑であるほど散乱補正が難しくなる傾向にある 27) 単純な形状の一例である均一円筒ファントムでは比較的精度良く補正できているが 実際の臨床等では散乱補正精度が落ちる場合がある 27) 補正法にはいくつかの方法があり分類すると主に1) 散乱分布テールからの推定法 2) 複数エネルギーウィンドウ法 3) コンボリューション デコンボリューション法 4) シミュレーションベース法に分類することができる 27) しかし PET 装置それぞれに異なる方式の補正が用いられているのが現状である 現時点ではゴールドスタンダードになりうる散乱補正の方法はまだない 27) 減弱補正物質中にある線源から放出されたガンマ線は物質中を通り検出器に入り検出される 27) しかし 線源から放出されたガンマ線のすべてが検出器に到達できるわけでなく 一部のガンマ線は線源と検出器間に存在する物質と相互作用を起こし 偏向等を生じて検出器に到達できない 27) このために線源と検出器間に物質が無い場合に比べ 検出されるガンマ線は少なくなる 27) 減弱の影響は図 に示すような式で表され 検出確率として求められる 27) 減弱を生じる物質を減弱体と呼ぶ 27) 一般に空気中の減弱はゼロとして取扱い 減弱体は被験者本人とベッド ヘッドレスト 服装 固定具等から構成される 27) 線源自身もどんなに小さくとも有限の大きさを持つ為に必ず減弱の影響を受ける 27) 減弱の影響を受けると 実際に検出されるガンマ線が少なくなるためにそのままでは PET 画像上のピクセル値が低くなり定量性が損なわれる 27) またこの低くなる量は場所によって異なり本来同じ放射能濃度であるべきものが場所により異なる値になり Region of Interest(ROI) 等で例えば筋肉と腫瘍の値の比を正しく求めることが出来ない等の影響がある 27) 線源から放出したガンマ線が検出器 A 検出器 B で検出される確率は2つのガンマ線が検出される確率は図 の式で表される 27) 同時計測される確率は2つのガンマ線が検出される確率になるので検出器 A B それぞれで検出確率の積になり 図 の下に示す 27) この式には線源の位置を表すパラメータ d は含まれてなく A と B を結ぶ同時計測線上にある線源は位置に依存せず同じ減弱の影響を受けることを表している 27) この特徴により各 LOR の減弱補正が正確に行うことができ PET が単一光子を検出する Single Photon Emission Computed Tomography(SPECT) に比べて定量性が高いと言われる一番の理由である 11

14 図 光子が検出器に到達するまでに受ける減弱 検出器 A および検出器 B で検出される確率 検出器 AB で同時計数される確率 = ブランクスキャン PET スキャナ内に何もない状態で外部線源を用いて行うスキャンのことを言う 次に示すトランスミッションスキャン ( 後述 ) と共に減弱補正に使用する ブランクスキャンは検査毎に行わず 毎朝 PET 検査が始まる前に PET 装置のチェックも兼ねて行われる場合が多い 27) トランスミッションスキャン LOR 上のどの点においても受ける減弱は同じであり それは線源が被写体外にある場合にもあてはまる 27) この線源を被写体の周りを回転させることで各 LOR ごとに減弱補正係数を求める 2 つの検出素子番号を i j とすると上記のブランクスキャンとトランスミッションスキャンに対する同時計数値をそれぞれ B ij N ij とすると B ij /N ij が減弱率となる 20) 本来 PET におけるトランスミッションスキャンは外部線源に 68 Ge/ 68 Ga や 137 Cs を用いて RI を投与する前に行われる トランスミッションスキャン RI(FDG) 投与 1 時間の待 12

15 機そしてエミッションスキャンという流れを PET 寝台において同一姿勢のまま行う必要がある しかし この方法では 1 人の検査時間が非常に長くなりスループットが悪くなる そこで トランスミッションスキャンをエミッションスキャンの直前に行う Post injection transmission scan や Emission/Transmission 同時収集法が用いられるようになった 現在は PET/CT が普及したことで 減弱補正には CT 撮像から得られたμマップを使用することが可能となり短時間でノイズの少ない補正が可能となっている 計数損失補正 ( デッドタイム補正 ) 放射能濃度のダイナミックレンジが広い検査を行う場合 入射光子数に比例してイベント検出できることが理想であるが 放射能濃度が高くになるにつれ2つ以上の光子がほぼ同時に入射する確率が高くなり 本来の入射光子数を記録できなくなる計数損失が発生する 27) 計数損失補正係数は次のように取得される 半減期が既知の陽電子放出核種( 測定開始時で 370 MBq~3.7 GBq 程度 ) を円筒ファントムに封入し 10 半減期以上の時間を掛けて真の同時計数率と偶発同時計数率またはシングル計数率を測定する 27) 計数損失の無視できる低濃度領域の真の同時計数率を減衰補正して 測定時刻毎の理想的な真の同時計数率を求める 27) 真の同時計数の実測値と理想値の比を その時刻の偶発同時計数率又はシングル計数率に対応付けることで補正係数テーブルを作成する 27) 検査における計数損失補正は 検査時に計測された偶発同時計数率やシングル計数率を用いて補正係数テーブルを参照することで実施される 27) 放出割合補正 (Branching fraction 補正 ) 放出割合補正とは陽電子放出核種が核種固有の放出割合 (Branching Fraction) に従って崩 壊するため これを補正することである 28) FDG の Branching Fraction は である 29) 減衰補正 減衰補正とは投与した放射性同位元素の撮像中の減衰を補正することである ノーマライズ PET スキャナは 同時計数の組み合わせ毎に幾何学的条件や検出器特性が異なるため 有効視野内において検出感度のばらつきが存在する 23) このばらつきを補正する目的で 円筒ファントムあるいは回転線源を用いて検出器を均一照射し 同時計数対の感度差を取得するのがノーマライズスキャンである 23) 得られた感度差を規格化しその逆数をエミッションデータの画像再構成時に適用して エミッションデータを感度補正する 23) 分解能補正 分解能補正には円弧補正 (Arc correction) と呼ばれているものと部分容積効果の補正の 2 種類がある 27) 円弧補正 (Arc correction): 13

16 主な PET 装置では検出器がリング状に配置され検出器間で同時計測線が定義される 27) その同時計数線で平行なものをグループ化して並べたものがサイノグラムであるが リング状に検出器が配置されているために同時計測線の間隔は一定でなく中心部分では広く断面内視野の端に行くほど狭くなっている 27) しかし画像再構成時にはこれらが等間隔に配置されていると仮定して計算が行われている そのために同時計測線間隔が均等になるようにデータを再配置する必要があり 27) これが円弧補正である 図 中心部と辺縁部での LOR の距離の違い 部分容積効果補正法 : 部分容積効果の補正は 現時点では必ずしも確率された補正ではなく 空間分解能向上 による方法や解剖学的画像と組み合わせる方法などがある 27) 1 空間分解能向上による方法 この方法は画像再構成アルゴリズムに空間分解能によるボケの効果等を導入して再構成 画像の空間分解能を向上させて その結果部分容積効果を小さくするものである 27) 2 解剖学的画像と組み合わせる方法脳研究や腫瘍の分野で研究的に用いられている方法である 27) 脳研究分野での例としては MRI 画像から白質 灰白質と脳全体にセグメント化しそれぞれについてボケや部分容積効果を計算で求めて PET や SPECT の画像を補正する方法等がある 27) 腫瘍の分野では CT 画像から大きさを求めその情報を用いて補正する方法がある 27) クロスキャリブレーション PET の計測データを画像再構成して得られる画素値は 使用した PET 装置固有の値である 23) しかし薬剤分布量を定量化するためには PET 画素値をキュリーメータやウェルカウンタなどの放射能測定機器の測定値に校正する必要がある 23) この校正係数を取得するのがクロスキャリブレーションスキャンである 23) 通常 18 F 等の非密封線源を用いて実施される 23) 校正係数は 再構成画像にスライス毎 あるいはボリューム単位で乗じられる 23) 14

17 校正後の PET 画素値は Bq/ml( キュリーメータに校正した場合 ) あるいは cps/ml( ウェル カウンタに校正した場合 ) であり PET スキャナの違いだけでなく画素サイズや画像再構 成アルゴリズムなどの再構成条件にも依存しない値となる 23) 2.6 PET における定量 SUV Standardized Uptake Value(SUV) は PET における半定量的指標であり 腫瘍への FDG の集積の程度を評価する SUV は投与した FDG 薬剤が全身に均一に分布した状態 ( 排泄されていないと仮定 ) と比較して関心領域の放射能濃度が何倍であるかを表す SUV は様々な因子により影響を受ける 装置側の要因としては 収集時間 再構成方法 各種補正方法 部分容積効果 μ-map の精度 クロスキャリブレーションの精度などがある 被写体側の要因として体脂肪率 血糖値 FDG 投与前後の行動 腎機能 検査中の呼吸などがある また 待機時間の長さも SUV に影響を与え 一般に 1 時間後像よりも 2 3 時間後像の方が悪性腫瘍の値が高くなり 逆に正常組織の値は低下するためコントラストがつく この値の変化を得る後期相も有用である 人体の密度を 1.0 g/ml と仮定すると SUV は被写体の体重と FDG 投与量だけで求めることが可能である 体重により正規化した SUVbw は簡便で取扱い易く 最も普及しており一般に SUV というと SUVbw のことを示している しかし 体脂肪率が高いと人体の比重は低くなり また 脂肪はほとんど糖を代謝しないため肥満体の人は FDG が集積する体積が比較的小さい その結果として SUV が高くなる 体脂肪率が 40 % を超える場合 SUV はおよそ 30% も高い値となる 27) この影響を補正するために除脂肪体重により正規化した SUVlbm(SUL) や体表面積で正規化した SUVbsa の有用性が報告されている 30) 15

18 第 3 章 PET の性能試験と画質評価 3.1 PET の性能試験 空間分解能システムの空間分解能は再構成画像上の 2 点間を分離する能力として定義されている 31) この測定の目的は装置の最高性能としての微小線源の画像再構成点拡がり関数の幅を求めることである 31) 拡がり関数幅は半値幅 または 1/10 値幅にて表す 31) 再構成画像における空間分解能には ポジトロンの飛程距離 ディテクタ間の距離 ディテクタの幅 シンチレータとガンマ線の相互反応率 ポジトロンのディテクタの入射角度 ディテクタでの光子の相互作用の深さ サンプリング角度 画像再構成条件 ( マトリックスサイズ 画像再構成フィルタ等 ) など多くの要素が含まれる 31) 線源は 18 F を用いる 点線源の容積は約 ml と少ないため 高い放射能濃度が必要になる 放射能は測定開始時に計数損失が 5 % 以内 または偶発同時計数率が全同時計数率の 5 % 以内のどちらかになるようにする 31) 点線源は内径 1 mm 以下 外径 2 mm 以下のガラス等の毛細管を使用して作成する 毛細管内の放射能は体軸方向長を 1 mm 以下にする 31) 線源の配置位置は図 に示す 画像再構成の際には 吸収補正を行わず 画像再構成フィルタは ramp とし カットオフ周波数はナイキスト周波数とする 31) 画像再構成方法はフィルタ逆投影(FBP) 法を用いる 31) 3 方向においてピクセル長が Full Width at Half Maximum(FWHM) の 1/3 以下になるように画像再構成時のマトリックスサイズ ズームなどを調整する 31) 測定は体軸方向視野中心および体軸方向視野 1/4 での断層面内において行う 31) 図 空間分機能測定のための点線源の配置 感度 PET の感度は与えられた線源の強度に対して真の同時計数が検出される計数率 (1 秒あたりの計数 ) で表される 31) 従来の方法では一般的に 20 cm 径の円筒形均一ファントムを用 16

19 いて測定されるが ファントム内の放射能溶液自身による吸収の影響やファントムの材質や壁厚による吸収の影響が感度に含まれることになる 31) ここでは線線源を用いることで放射能溶液自身による吸収の影響を無視できるようにし ファントム壁厚の異なる数種類の条件で収集することで壁厚が 0 cm の時の感度を外挿する 31) 感度測定では吸収体の無い空気中での線源からの感度を求めることを目的とする 31) ただし 放射能を封入するプラスチック チューブの吸収量はないものと仮定する 31) 使用する線源は 18 F を用いる 31) 放射能は計数損失が 1 % 以内か あるいは偶発同時計数率が真の同時計数率の 5 % 以内のどちらかになるような濃度にする 31) 線状線源内の初期放射能は校正されたドーズ キャリブレータで測定して決定する 31) 感度は放射能濃度に対する計数率になるため ファントムへの挿入前と挿入後の残った放射能量から算出したファントム内の放射能量 A cal (MBq) と測定時間 T cal を記録する 31) 線状線源用のプラスチック チューブの 700±5 mm の部分に空気が入らないように放射能を満たして 両端を密封する 31) アルミニウムなどの金属製の感度測定用ファントムの壁厚を変える 31) 感度測定用ファントム チューブ番号 1 番号 1 と 2 番号 1 と 2 と 3 番号 1 と 2 と 3 と 4 番号 1 と 2 と 3 と 4 と 5 の組み合わせの 5 回測定を体軸横断面中心と中心から 10 cm のオフセットした位置でそれぞれ行う 31) ( 図 ) 図 感度測定のための線状線源の配置 散乱フラクション散乱フラクションは 全同時計数中の散乱同時計数の割合を表す 散乱同時計数は測定するオブジェクト内での散乱 セプタやサイドシールドのような散乱線を止める機構 ディテクタ内での散乱 収集エネルギーウィンドウなどのいくつかの要素に起因する 31) 計数損失と偶発同時計数の測定は 高い放射能線源に対する PET 装置の測定能力を表現する 31) 測定は 専用の散乱体ファントムの中に線状線源を配置し 真の同時計数のピークおよび雑音等価計数のピークを測定できる高い初期放射能濃度から計数損失が真の同時計数率 17

20 の 1 % 未満になるまで複数回行う 31) 線状線源は透明なポリエチレンあるいはポリエチレン表面加工されたプラスティック チューブで 長さは少なくとも 800 mm 内径は 3.2±0.2 mm 外径は 4.8±0.2 mm を使用する 31) 線状線源の内容量は約 5.63 ml( 内径 3.2 mm 長さ 700 mm) になる 31) 線状線源の中央部 700±5 mm に空気が入らないように放射能で満たし両端を密封する 31) 散乱体ファントムは外径 203±3 mm 全長 700±5 mm 比重 0.96±0.01 のポリエチレン製円筒で 半径方向 45±1 mm の距離のところに直径 6.4±0.2 mmの穴を円筒の中心軸と平行に開けたものを使用する 31) 真の同時計数のピークおよび雑音等価計数のピークを測定できる高い初期放射能濃度から計数損失が真の同時計数率の 1 % 未満になるまで複数回の測定を行う 31) 放射能で満たされた線状線源の中央部 700±5 mm を散乱体ファントムの 6.4 mm の穴にファントム長 70 cm と一致するように挿入する 31) 線状線源を挿入したファントムを線状線源がベッドに最も近くなるように寝台に配置する 31) ファントムは長手方向を体軸方向と平行になるようにし ファントム中心を体軸横断面中心および体軸方向視野中心から 5 mm 以内に配置する 31) 評価方法は体軸横断面中心を中心とする半径 12 cm の範囲を評価する 31) 線状線源からの真の同時計数は線状線源の中心から半径 2 cm の範囲のみに存在し その外側の同時計数は散乱と偶発同時駅数と仮定している 31) 各収集 j における各スライス i のサイノグラムについてファントム中心から 12 cm 以上離れた画素値を 0 にし 各投影角度 φに対して最大値画素を線状線源の中心として線状線源の中心がサイノグラムの中央になるように左右にシフトさせ 投影方向 ( サイノグラムの列方向 ) に加算を行い 1 次応答関数 C (r)i,j を作成する 収集 j スライス i における散乱 + 偶発同時計数 C s+r,i,j は 1 次応答関数 C (r)i,j の中央から ±20 mm の位置の左右の同時計数 C L,i,j と C R,i,j の平均値に 中央から ±20 mm 幅分の画素数をかけた同時計数と中央から ±20 mm の外側にある同時計数を加算したものになる 31) ( 図 ) 図 サイノグラムの並び替えと内挿による散乱フラクションの算出 18

21 3.2 PET 画質評価 第 1 試験 PET の画質評価には National Electrical Manufacturers Association / International Electrotechnical Commission(NEMA/IEC) ボディファントム ( 図 ) が広く用いられている 第一試験は 対バックグラウンド比が4:1 で直径 10 mm のホット球の描出を担保するための撮像条件を決定することを目的とする 7) ファントムは 10 mm 径のホット球のみを使用し ホット球とバックグラウンドの放射能濃度が 4:1となるように 18 F-FDG 溶液を胴体ファントムに封入する 7) 放射能濃度は 5.30 kbq/ml および 2.65 kbq/ml とする 7) 図 NEMA/IEC ボディファントム 視覚評価得られた PET 画像について視覚評価を行い 10 mm 径のホット球の描出能を以下の条件に従い評価する 7) 評価は PET 認定医が行う 実際の臨床で PET 画像の読影に使用するワークステーション端末で行う 画像を表示するカラールックアップテーブルは Invert Gray scale とする 表示ウィンドウレベルは下限を SUV=0 上限を SUV=4 とし 固定する 評価基準は 10 mm 径のホット球が識別可能な場合には 2 点 識別可能だが 10 mm 径のホット球と同程度のノイズを認める場合には 1 点 識別不可能な場合には 0 点とする 7) ファントム雑音等価計数 (NEC phantom ) の評価サイノグラムヘッダに記録された Prompt( 全同時計数 ) Random( 偶発同時計数 ) の計数より以下の式を用いて NEC phantom を算出する 7) = ここで SF は散乱フラクション R は偶発同時計数 T+S はプロンプト同時計数から偶発 19

22 同時計数を減算した値 f はファントム断面積が撮像視野断面積に占める割合である また f は以下の式より算出する = ここで Sa はファントム断面積 [cm 2 ] r は断面検出器間距離 [cm] の 1/2 k は偶発同時計 数の補正方法による係数 ( 遅延同時計数による実測の場合は 1 それ以外は 0) である mm ホット球の % コントラスト (Q H,10mm ) 得られた PET 画像のホット球が最も強く描出されるスライスにおいて 直径 10 mm の円 形 ROI により 10 mm ホット球とバックグラウンドの測定を行い 以下の式により 10 mm ホ ット球の % コントラストを算出して評価する 7), =, 1, 100 % ここで, は 10 mm ホット球に対する ROI 内の平均画素値, は直径 10 mm の 円形 ROI(n=12) を用いて算出したバックグラウンドの平均画素値 はホット球内の放 射能濃度 (Bq/ml) はバックグラウンド領域の放射能濃度 (Bq/ml) である % バックグラウンド変動性 (N 10mm ) の評価 得られた PET 画像のホット球が最も描出されたスライスを中央とし ±1 cm と ±2 cm の スライス ( 計 5 スライス ) 上に 12 個の 10 mm 径の円形 ROI を設定してバックグラウンド の測定を行う 7) 以下の式により 10 mm ホット球に対する % バックグラウンド変動性 N 10mm を算出して評価する 7) =, 100 % ここで SD 10mm は 10 mm ホット球に対するバックグラウンド ROI 計数の標準偏差で 次式 で計算する 7) =,,, / ) ここで K=60(5 スライス上の 12 個の ROI 計 60 個 ) である 試験結果の判定 視覚評価において評価点数の平均が 1.5 点となった収集時間で撮像することを推奨とす る 7) また 物理学的指標は >10.4(Mcounts), N <6.2(%),, >1.9(%) を参考値とする 7) 第 2 試験 与えられた臨床撮像条件にて各大きさのホット球の描出能を評価する 7) また 十分なカ 20

23 ウントのもとで 与えられた画像再構成条件での各ホット球のリカバリ係数を測定し空間 分解能を評価する 7) リカバリ係数 30 分のスタティック収集により得られたエミッションデータを画像再構成し ROI 測定 を行い各ホット球 ( j ) のリカバリ係数を評価する 7) ROI 測定では最大計数値を記録し 下式によりリカバリ係数を算出する 7) = :37 mm のホット球の最大計数値 : 各ホット球 j の最大計数値 臨床撮像条件に近い計数統計量における画質評価臨床撮像条件に近い計数統計量を有するエミッションデータから % コントラストおよび % バックグラウンド変動性を算出する 7) 計算式は と同様である また 各ホット球の描出能を評価する 7) 試験結果の判定 リカバリ係数が 0.38 以上となる画像再構成条件を推奨する 7) また 臨床撮像条件での 画像にて 評価した % コントラストおよび % バックグラウンド変動性がガイドラインの参考 値以上 ( >10.4(Mcounts), N <6.2(%),, >1.9 (%) である こと 視覚的にも 10 mm のホット球が描出されていることを目標とする 7) 臨床画像を用いた評価臨床画像は 被検者の体格や血糖値などに依存して画質が変化し 必ずしもファントムの結果がそのまま成り立つとは限らない 7) そこで 様々な被検者で一定の画質が確保できるか確認する 7) 肝 SNR 冠状断像にて肝臓に円形 ROI( 直径約 3 cm) を 3 つ描画する 7) できるだけ肝門部およ び主要な血管系を含まないように注意する ( 図 ) 7) 3 つの ROI の平均値と標準偏差 を算出し 次式により被験者ごとに肝 Signal Noise Ratio( 肝 SNR) を算出する 7) 肝 = ここで は肝臓部の 3 スライスに描画した ROI 値の平均値 は肝臓部の 3 スラ イスに描画した ROI 値の標準偏差の平均値である 21

24 図 肝 SNR の解析における ROI の位置 被験者雑音等価計数 (NEC patient および NEC density ) サイノグラムヘッダ等に記録された全同時計数 ( プロンプト ) および偶発同時計数から 雑音等価計数 (NECR) を求める 7) 各ベッドにおける NECR を NECi とする 7) NECi は以 下の式により定義する = ここで は各ベッド i におけるプロンプト同時計数 (Mcounts) は各ベッド i における 偶発同時計数 + は各ベッド i におけるプロンプト同時計数から偶発同時計数を減算し た計数 (Mcounts) である 測定範囲における NECi を求め 軸長で正規化したものを Noise Equivalent Count Patient (NEC patient ) といい以下の式で表される 7) = ( / ) /100 ここで n は脳と膀胱部を除いた評価対象範囲のベッド数 x は撮像長 (cm) k は偶発同時 計数の補正方法による係数 ( 遅延同時計数による実測の場合は 1 それ以外では 0) である また 撮像範囲の身体体積で正規化したものを Noise Equivalent Count Density(NEC density ) といい以下の式で表される 7) = 1000(k /cm ) ここで : 撮像範囲の身体体積 ( ) である 物理学的指標の目安は肝 SNR>10 >13 >0.2 とする 7) NEC density の有用性と課題臨床において最も重要とされるのは視覚評価であり 物理学的指標の値が高くとも放射線科医の求める画質であるとは限らない しかし 視覚評価による画質の標準化は困難で 22

25 あり視覚評価と相関の強い物理学的指標が求められる NEC density はガイドライン中の物理学的指標の中で視覚評価との相関係数 (r) が最も強く (r = 0.57) 画質を反映する良い指標であると言える NECi は式 により求められ Prompt および Random はサイノグラムヘッダ等から読み取られた被写体の各ベッドの値を用いる しかし 散乱フラクションは装置固有の値として散乱ファントムより求めた値を使用している 本来 散乱フラクションは被写体の体格 線源の分布によって大きく異なる値であるが PET に使用されるシンチレータのエネルギー分解能による制限により実測することは困難であるため やむを得ず どの体格の被写体においても固定値を用いている これが NECi の算出に曖昧さを生じさせ視覚評価との相関を低下させている原因の 1 つであると考える 被写体の体格に依存しない一定の画質を得るためには 体格に応じて撮像時間を増減すべきであり 32) NEC density の正確な算出が求められる 23

26 第 4 章医学分野に応用されるモンテカルロシミュレーションコード 4.1 シミュレーションコードの例 EGS5 Electron Gamma Shower(EGS) は スタンフォード線型加速器研究所を中心に開発された 開発の当初 高エネルギー分野での使用を主目的にされていたが バージョン 3 の EGS3 が公開されて以降 医学物理分野をはじめより低エネルギー分野へと利用が広まった 1986 年にバージョン 4(EGS4 コード ) が公開され 20 年の間 幅広い分野で利用されてきた 2006 年にはバージョン 5(EGS5 コード ) が公開された EGS の構造として システムコードとユーザコードに大別される システムコードは 放射線物理の基礎データと各種相互作用が扱われるサブルーチン そして放射線が輸送される媒体データからなっている 1 つの光子または電子入射され エネルギーを失いながら雪崩式に起こる反応がシャワーのようであり 電子と光子が追跡されるプログラムは shower と呼ばれる ユーザコードは メインプログラムと 2 つのサブルーチン (HOWFAR と AUSGAB) から構成されている 33) ユーザは解きたい問題を EGS コードにユーザコードとして与える 33) 吸収エネルギーやフルエンスなどの情報はサブルーチン AUSGAB 内のコードより取得する 33) PHITS Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS) コード 34) は 日本原子力研究所 ( 現 : 日本原子力研究開発機構 以下 原子力機構 ) が開発した高エネルギー核反応モデル組込み核子中間子輸送コード NMTC/JAM ver.2 に 高度情報科学技術研究機構 (RIST) 東北大 原研 / 原子力機構の協力のもとに 重イオンの輸送計算機能を組み込んだ粒子 重イオン輸送統合コードシステムである 35) PHITS は 任意形状の 3 次元体型内における放射線挙動を解析可能な汎用モンテカルロコードである 原子力分野で重要となる中性子や光子のみならず 医学物理分野や宇宙開発分野で重要となる陽子 重イオン 電子などさまざまな放射線に適用可能なため 工学 医学 理学の多様な分野で幅広く利用されている 特に近年は 新規ユーザのほぼ半数が医学系の大学や病院に所属する研究者 技術者で 医学物理分野への利用が急速に進んでいる 36) ユーザ数は現在 1600 名を超えるに至った 36) PHITS は Fortran90 形式で書かれたプログラムであり Windows Mac Linux 上で使用可能である 36) いずれの Operating System(OS) でもテキスト形式で書いたインプットファイルを用意することで その内容に応じた計算シミュレーションが実行可能であり Fortran に関する知識がなくても PHITS を利用することができる 36) また PHITS にはタリーと呼ばれる仮想的な検出器が準備されており インプットファイルでタリーの種類 設置場所 対象放射線などを指定すれば 吸収線量 フラックス 残留放射能などさまざまな物理量を簡単に導出することができる 36) また DICOM2PHITS という外部プログラムにより Digital Imaging and COmmunication in Medicine(DICOM) の CT 画像の CT 値から物質密度 組成変換を行い ボクセルファントム ( 後述 ) の作成が容易に可能である 本研究でも一部 この機能を用いて出力されたファイルを使用しボクセルファントムを作成している Geant4 24

27 Geometry and Tracking 4(Geant4) 37) は 他の一般的なモンテカルロシミュレーションコードと異なり ソフトウェア部品の集合として設計 開発されたツールキットである オブジェクト指向設計を導入して C++ 言語で記述されており プログラム上で部品をつなぎ合わせてアプリケーションを構築する ソフトウェア部品は差し替え可能であることから多様性に優れていて 例えば 物理モデルを入れ替えて結果の違いを評価することや 利用者独自のアルゴリズムを追加することが容易に実現できる 38) Geant4 は 様々な粒子が物質中で起こす複雑な反応を正確にシミュレートすることが可能である 高エネルギー物理学や宇宙線 原子核の実験などで物理成果を導くために不可欠のものである 以前は Geant3 と呼ばれる FORTRAN プログラムが広く使われていた しかし 実験装置の大規模 複雑化 また応用分野の拡大化により管理が複雑になってきたため オブジェクト指向技術を用いることで 機能の発展 ユーザへの多様な対応そして保守などにかかる負担を軽減することに成功した 1994 年にそれまで個々に研究を進めてきた 欧州原子核研究機構と日本のグループが合同し 他の機関も参加して Geant4 国際共同研究を開始した 日本グループは Geant4 国際共同研究の開始以前から 中心的な役割を担っている 4.2 ボクセルファントム従来 放射線被ばくなどにおいて被ばく量を評価するには 長方形や楕円などの組み合わせにより臓器の形状を簡易的に模擬した MIRD 型ファントムが用いられてきた ( 図 左 )MIRD 型ファントムは 人体を大まかに模擬しているものの 実際の人体の臓器の大きさ 位置を正しくモデル化されていない 計算速度が速いという利点がある反面 精度の高い線量評価ができないといった欠点がある そこで 現在では CT や MRI などの DICOM データから 臓器の大きさや位置を正確に表現することが可能であるボクセルファントムが使用されている ( 図 右 :Geant4 のサンプル DICOM データ ) ボクセルファントムとは小さな立方体を積み重ねることで複雑な体系を模擬したものであり この方法を用いることでどんな体系も模擬可能である ボクセルを細かく 数を多くするほどより現実に近いファントムが作成可能である CT 画像より作成されるボクセルファントムは CT 値に応じた物質が当てはめられる PHITS において使用される CT 値と物質の変換テーブル 39) を表 に示す 近年のコンピュータの進歩により個人利用のコンピュータ上においてもボクセルファントムを作成 使用することが可能となった 25

28 図 MIRD ファントム ( 左 ) とボクセルファントム ( 右 ) 26

29 表 CT 値 - 物質の変換表 39) (Wi(pp) は要素のパーセンテージを示す ) Hounsfield Units Wi(pp) H C N O Na Mg P S Cl Ar K Ca FSD モンテカルロシミュレーションは試行回数が多いほど 結果は真の値へ収束する しかし 試行回数と計算時間はトレードオフの関係があり試行回数を増やすことには限界がある そこで 試行回数を決定する指標として Fractional Standard Deviation(FSD) 40,41) が用いられる FSD は式 で表されるように 平均値と平均値の標準偏差の比であり 相対的な統計誤差を表す 27

30 FSD = 1 1 = 1 1 ここで は平均値 の標準偏差 は平均値である

31 第 5 章シミュレーションによる散乱フラクションの推定 5.1 目的被写体の体格に依存しない画質を得る撮像条件を検討するにあたり NECR を指標とした画質評価の精度を向上する必要がある そのためには 被写体毎の散乱フラクションを求め 正確な NECR を算出しなければならない 本研究では 実測することが困難な PET 検査における散乱フラクションをシミュレーションにより推定する方法を確立することを目的とした はじめに 1 臨床画像を用いた検討の前の基礎的検討として シミュレーション体系の作成および検証を行った 次に 2その模擬した体系を用いてサイノグラムを内挿することにより求める従来法とシミュレーションの計算過程より散乱フラクションを推定する提案法を比較して 提案法の妥当性を検証した 最後に 3 提案法を用いて様々なファントムにおける散乱フラクションを明らかにした 5.2 方法 シミュレーション条件 使用装置およびソフトウェア本研究で用いた PET/CT 装置 (Discovery ST Elite Performance, GE Healthcare, Milwaukee, WI) の構成を示す クリスタルは BGO ( mm) が搭載されており 体軸方向に 24 rings 検出器間の内径は 886 mm transaxial field of view (FOV) は 700 mm axial FOV は mm スライス厚は 3.27 mm である PET 画像の撮像条件は 3D 収集 ( 最大リング差は制限していない ) energy window を kev 再構成条件は 3D-Ordered Subset Expectation Maximization(OS-EM)(Subset:21 Iteration:2) Post Filter 2.14 mm マトリクス である CT の撮像条件は 管電圧 120 kv, 管電流は Auto ma 機能を利用して Noise Index を 10.0 とした マトリクスサイズは である シミュレーションには Geant4 ver ) を使用した Geant4 は複雑な体系中における粒子の挙動をシミュレートすることが可能なツールキットである C++ によるオブジェクト指向のコードであり 広い分野において利用されている 計算には 汎用型 Personal Computer(PC)(CPU : Intel Core 2 Duo, 周波数 :3.33 GHz, メモリ :3.6 GB, OS : Scientific Linux 64bit) を用いた 計算は少なくとも カウント以上の同時計数が得られる試行回数とした 線源の配置と強度は PET 画像より決定する PET 画像を読み込み 各ピクセル値を 3 次元配列に格納する 配列を順次読み込み該当するピクセル位置において配列に格納された値の数だけ 光子を発生する 配列の値だけ光子を発生させた後 次のピクセルへ移る 発生する粒子には陽電子を使用せず エネルギーが 511 kev の光子 2 本を反対方向に発生させる これは 陽電子が消滅するまでの事象を省略することで計算時間を短縮するためである 複数の検出器でエネルギー付与を起こした場合は付与したエネルギーに応じて重心を求め検出位置とした 散乱フラクションの算出の際に偶発同時計数はその影響が無視できる低計数率領域で計測することが規定されているため 本研究では考慮しない FOV の大きさは mm とし エネルギー分解能は 18 % とした 42) また 体軸方向に斜め方向の LOR は シングルスライスリビニングにより直交スライスへ変換する 29

32 検出器の配列とサイノグラムの作成 Geant4 は一般的なシミュレータと異なりユーザが必要なシミュレーションを行うために自分でプログラムを取捨選択し プログラムを書かなければいけない Geant4 を動かすために最低限必要なプログラムを以下に挙げる DetectorConstruction クラス ( 計算体系の構造 ) PrimaryGeneratorAction クラス ( 入射粒子の種類 エネルギー 方向 位置など ) PhysicsList クラス ( 相互作用の種類 ) Geant4 にはサンプルコードがいくつも用意されており 簡単な計算を行う場合にはサンプルコードの値を書き換えるだけで実行可能である 本研究では ~ example/extended/medical/dicom を使用した このサンプルコードは DICOM 画像よりボクセルファントムを作成することが可能であり放射線治療の線量評価等に使用できる このコードを元として PET の検出器を書き加えた エネルギー付与のあった検出器を同定し検出信号の位置よりサイノグラムを作成 画像再構成を行った PET に使用する BGO を円形に配置するプログラムの一例を図 に示す 1G4Box* minbox = new G4Box( min,15*mm,3.15*mm,3.15*mm); 2G4LogicalVolume* minbox_log = new G4LogicalVolume(minbox, BGO, minlv,0,0,0); for(r=0 ; r<24 ; r++){ for(i=0 ; i<420 ; i++){ G4ThreeVector armvec = G4ThreeVector(45.8*cm, 0, (r*( ))*mm); G4RotationMatrix armrot = G4RotationMatrix(); armvec.rotatez( *i); armrot.rotatez( *i); } 3G4VPhysicalVolume* minbox_phys = new G4PVPlacement(G4Transform3D(armRot,armVec), minbox_log, minlv_copy, exphall_log, false, 420*r+i+1); } 図 Geant4 における物質を配置するコードの例 1 では物体の形と大きさを決定している 直方体を表す G4Box 以外に円柱を作成する場合 30

33 には G4Tubs 球体を作成する場合には G4Sphere を用いる 他にも様々な形状が用意されている 大きさは物体の座標を中心に X 軸 Y 軸 Z 軸方向に半分の値を入力する 2では当てはめる物質を定義している BGO などの化合物は G4Material 関数によって必要な元素の原子番号 質量数 密度等をあらかじめ定義しておく必要がある また 特定の Logical Volume を検出器として登録しておくことで物体内部での付与エネルギーや物理反応など様々な情報を取得することができる 3では1と2により定義した物体をシミュレーション計算体系上に配置している 角度および位置を変化させながら ループ内で繰り返し配置することで PET ガントリーを作成する 配置する際に copy_number と呼ばれる識別番号を付けることが可能であり 情報の出所が特定可能となっている PET では陽電子が陰電子と対消滅する際の消滅放射線を同時計数している それぞれ 511 kev のエネルギーを持つ光子がクリスタル内で相互作用を起こし エネルギーを付与する 付与されたエネルギーが検出部のエネルギー分解能により広がりを持って検出され そのエネルギーが装置の同時計数とするエネルギーウィンドウ内に含まれた場合にカウントとされる 消滅放射線が 2 本とも計数された場合には 同時計数となる エネルギー付与された検出器から位置演算を行い 2 つの検出位置を結ぶ線を LOR と呼ぶ LOR の傾きおよびガントリー中心からの距離を求めサイノグラムを作成した ( 図 ) サイノグラムの縦軸は LOR の傾き (θ) そして横軸はガントリー中心からの距離 (r) である a= b= c= ) = + θ=arctan +90 図 サイノグラム作成のための情報 シミュレーション体系の検証 DICOM 画像からボクセルファントムを作成するにあたり Geant4 のサンプルコードを使用した しかし 検出器の配置やサイノグラムの作成 PET 画像からの線源位置および強度の決定は独自に作成したコードであり正しく動作しているかを検証する必要がある そこで 線源位置の元とした PET 画像と同等の画像がシミュレーションにより作成できているかを確認した 線源位置の元とした PET 画像 ( 図 ) は NEMA/IEC ボディファントムを Discovery ST Elite Performance により撮像したものである ホット球とバックグラウンドの比は 4:1 である 撮像時間は 30 分で FOV は 50 cm マトリクスは OS-EM 31

34 (Subset: 21 Iteration: 2) により再構成を行い PostFilter(2.14 mm) で平滑化を行ってい る 元画像とシミュレーションにより作成した画像において 2 つのホット球を横切る直線 から得られるカウントプロファイルカーブより検討した 図 線源配置の元とした PET 画像 また エネルギー分解能として 18 % となっていることをエネルギースペクトルより確認し た 内挿法と直接法による散乱フラクション推定法の比較 NEMA NU での散乱フラクションの算出法は直径 20 cm 長さ 70 cm の散乱ファントムに線状線源を挿入して撮像し 得られたサイノグラムの各行の最大値が 1 列に並ぶように並び替えて各列を加算する 最大の値となる位置から 120 mm 以内のカウントにおいて 最大の値となる列を中心に ±20 mm の位置の値を結び その線分より上部を真の同時計数とし下部を散乱同時計数とすることで散乱フラクションを求めている ( 図 ) つまり PET における散乱同時計数は被写体の中で 光子が片方または両方が散乱した後に同時計数されたもの もしくは 被写体の中で散乱せずに同時計数されたが最終的に LOR が線源位置よりも 20 mm 以上離れ かつ 120 mm 以内であるものである この条件をシミュレーションにより直接的に求めた方法 ( 直接法 ) と従来のサイノグラムの内挿による方法 ( 内挿法 ) を比較した 線状線源でのみ使用可能な内挿法に対し 直接法は実際の人体に分布した線源においても散乱フラクションが推定可能であり 臨床画像の散乱フラクションを求めるにあたって必要となる 直径 10~50 cm の散乱ファントムを用いて 内挿法および直接法により求めた散乱フラクションを比較した ここで 線源の配置位置は従来の方法と同様にファントム半径 : ファントム中心線源間距離 = 10:4.5 となるように調節した また ガントリー内の線源の位置は変えず (Y 軸 : 4.5 cm) に寝台およびファントム位置を調節した ただし NEMA 規格では 各スライスにおいてサイノグラムの内挿により散乱フラクションを求めてから平均しているのに対し 本研究ではすべてのスライスのカウントを 1 つのスライスのサイノグラムに合算して内挿している これは 47 スライス全てでサイノグラムが安定するまで試行回数を増やすことが困難であるためである FSD が 0.5% 以 32

35 下となる試行回数および計算時間についても検討した ボディファントムにおける散乱フラクション PET における撮像条件や画像再構成法の検討に ボディファントムが広く用いられている ボディファントムの断面積はおよそ 60 kg の人間に相当し 日本人の標準的な体格に相当する 7) ボディファントムにおいても 散乱フラクションは散乱ファントムより求めた固定値を用いて雑音等価計数 NEC phantom の測定を推奨している NEC phantom は 式で求められる 使用する散乱フラクションが文献値 (45 %) を用いた場合と シミュレーションにより推定した場合において NEC phantom の違いを検討した 散乱フラクションの推定には により検証した直接法を用いて求めた ただし 線源位置より 120 mm 以内という制限を無くし FOV 内 ( mm) に計数される計数を考慮した これは 臨床においては線源位置より 120 mm 以上離れた場合においても FOV 内に計数される散乱線は画質の劣化につながるためである ガイドラインにおけるボディファントムを用いた試験では 散乱ファントムを同時に使用することで視野外からの散乱線を模擬することができ より実際の条件に近づくとされ使用を推奨している しかし 散乱ファントムを所有していない施設が多いことや 準備に時間を要すること デリバリーにより PET 薬剤を購入している施設においては十分な放射能量を確保することが困難であることから 使用には制限を設けていない そこで 散乱ファントムを使用することによる影響を明らかにする 散乱ファントム内の放射能量はがん FDG-PET/CT 撮像法ガイドラインファントム試験マニュアル ver 1.00 の手順によると 58.3 MBq(2.65 kbq/ml ml) であり ボディファントム (10015 ml) と散乱ファントムの放射能量の比は約 1:2 となる 上記の条件で散乱ファントムを使用した場合と使用しない場合におけるボディファントムの散乱フラクションを求めた ボディファントムおよび寝台はボクセルファントム 散乱ファントムはマクロボディにより作成した ( 図 ) 散乱フラクションの推定には により検証した直接法を用いて求めた 33

36 図 散乱ファントムを併用したボディファントムにおける計算体系の断面 視野外散乱線に関する検討散乱ファントムは散乱フラクションの測定に用いられる他に 視野外からの散乱線を模擬するため 70 cm( プラス方向およびマイナス方向に 35 cm) の長さを持つ 視野外散乱線を模擬する際に この長さが妥当であるのかを検討する 散乱ファントムの中に点線源を置き 体軸方向 (Z 軸方向 ) へ移動させた際の散乱同時計数の変化を検討した 線源の位置は線状線源を用いる場合と同様にファントム半径 : ファントム中心線源間距離 = 10:4.5 となる位置に設置し 体軸方向はガントリー中心から外側へ 1 cm ずつ移動させた ( 図 ) 散乱フラクションの推定には により検証した直接法を用いて求めた 図 散乱ファントム中の線源位置 被写体の形状および線源の分布が散乱フラクションへ与える影響ボディファントムは線源が均一に分布させているが 臨床データにおいて被写体の体積が同じでも 体脂肪の違いにより被写体の形状および線源の分布は変化する 肥満体型であれば腹部の断面は円形に近く 痩せ型の場合は楕円形に近い また FDG は脂肪に集積しないため肥満体型では線源は中心に寄った分布となり 痩せ型であるほど全身に均一に分布する そこで これらの違いがどの程度 散乱フラクションに影響を与えるのか検討する 直径 10~30 cm の散乱ファントムを体積を変えずに長軸および短軸を変化させた ( 図 ) 扁平率は( 長径 - 短径 )/ 長径で表される 線源はファントムの内部に均一に配置した また 線源の分布を変化させ 同様に計算した ( 図 ) 散乱フラクションの推定には により検証した直接法を用いて求めた ただし 線源位置より 120 mm 以内という制限を無くし FOV 内 ( mm) に計数される計数を考慮した 34

37 扁平率 図 扁平率を変化させた円柱ファントム 線源分布 100 % 64 % 25 % 図 線源の分布を変化させた円柱ファントム 人体模擬ファントムにおける散乱フラクションの推定最後に 人体模擬ファントム (CTU-41 京都科学 京都 ) を CT で撮像し DICOM 画像よりボクセルファントムを作成した 人体模擬ファントムの長さは 108 cm であり 体積は cm 3 である 対象単位は小脳の下縁から膀胱の上部までとし ( 図 ) 線源はファントム内に均一に配置した 散乱フラクションの推定には により検証した直接法を用いて求めた ただし 線源位置より 120 mm 以内という制限を無くし FOV 内 ( mm) に計数される計数を考慮した 人体ファントムの撮像範囲は 5 ベッドに相当し ファントムを 150 mm/bed ずつ移動させて計算した 各ベッドおよび平均の散乱フラクションを求めた 5 ベッド平均の散乱フラクションの FSD が 0.5% 以下となる試行回数および計算時間についても検討した 35

38 図 人体模擬ファントムにおける撮像範囲 5.3 結果 シミュレーション体系の検証作成したシミュレーション体系を図 左に示す 1 列あたり 420 個の BGO を配置し 体軸方向に 24 列並べている それぞれの BGO には copy_number と呼ばれる識別番号を付けており1~10080 番が割り当てられている 散乱ファントムはシミュレーションコードに初めから用意されているマクロボディ ( 面や円筒などにより構成される体系 ) である 本検討ではボクセルファントムとマクロボディを組み合わせて計算を行うため DICOM 画像よりボクセルファントムを作成するサンプルコードを使用せず DICOM2PHITS により表 を用いて変換し 作成している 線源の発生位置および強度は PET 画像より決定しており PET の画素値を格納した配列を順次読み込み ピクセルの値だけ光子を発生させたあと 次のピクセル位置へ移動させている 図 右は確認のために低エネルギーの電子線を発生させた様子を示す 36

39 図 作成した PET 装置の配置と線源の分布 図 はボディファントムの PET 画像からシミュレーションを行い 作成したサイノグ ラムを示す 横方向はガントリー中心からの距離を示し 縦方向は LOR の傾きを示す 図 ボディファントムにおける計算より得られたサイノグラム また 図 左はサイノグラム上で空気による減弱 ブランクスキャン を補正し Maximum Likelihood Expectation Maximization ML-EM Iteration: 15 で再構成した画像で ある 画像サイズは mm でマトリクスは である 図 右は 線源 の配置の元とした実機の PET 装置により撮像された画像 撮像時間 30 分 OS-EM Iteration: 2 Subset 21 Post-filter 2.14 mm である シミュレーションにより作成した 画像と線源位置の元とした画像を比較するため 点線位置でのプロファイルカーブを図 に示す 図 シミュレーションおよび実機より得られた PET 画像 37

40 図 実機およびシミュレーションより得られた画像の比較 37 mm 球のカウントにおける FWHM は実機から得られた画像では 35.7 mm(360/128 [mm/pixel] 12.7 [pixel] 35.7 [mm]) でシミュレーションより得られた画像では 32.6 mm (360/128 [mm/pixel] 11.6 [pixel] 32.6 [mm]) であった 28 mm 球のカウントにおける FWHM は実機から得られた画像では 26.9 mm(360/128 [mm/pixel] 9.55 [pixel] 26.9 [mm]) でシミュレーションより得られた画像では 27.7 mm(360/128 [mm/pixel] 9.84 [pixel] = 27.7 [mm]) であった それぞれのピーク位置は 37 mm 球において 2 pixel のずれ 28 mm 球において 1pixel のずれであった エネルギー分解能が設定した値となっていることを確認するため エネルギースペクトルを取得した 図 左は散乱体を設置しなかった場合 図 右は直径 20 cm の散乱ファントムを設置した場合の 511 kev の光子により BGO に付与されたエネルギーとその強度を示している 図 エネルギー付与された BGO の出力信号 38

41 散乱体の無い状態における強度のピークは 511 kev であり その強度の半分となるエネルギ ーは線形補間をするとそれぞれ kev でありエネルギー分解能は 17.8 % であっ た 内挿法と直接法による散乱フラクション推定法の比較直径 20 cm の散乱ファントムでの最大値 ( 図 ) を中心となるように並び替え 加算したサイノグラムを図 に示す また 中心部の拡大図を図 に示す 直径 20 cm における散乱フラクションは内挿法では 46.1 % 直接法 (Direct_Bin 120 mm) では 44.4 % であった 直接法 (Direct FOV) では 48.3 % となった 直径 10~50 cm の散乱ファントムにおける散乱フラクションを内挿法および直接法により求めた 結果を図 に示す 散乱フラクションは被写体の直径が大きくなるに従い増加した 直径 20cm の散乱ファントムにおける散乱フラクションの FSD が 0.5 % 以下となる試行回数は 2000 万回であり 計算時間は 73 分であった 図 サイノグラムの各行における最大値 図 加算サイノグラム 39

42 図 拡大した加算サイノグラムの中心部 図 直接法と内挿法により推定した散乱フラクション 内挿法について 試行回数と散乱フラクションの関係を図 に示す 40

43 図 内挿法における試行回数と散乱フラクションの関係 図 に各直径の散乱ファントムにおける試行回数 4000 万回の時点での同時計数の数 を示す ファントム直径が大きくなるほど指数関数的に同時計数は減っている 図 ファントム径と試行回数 4000 万回時点における同時計数 ボディファントムにおける散乱フラクションホット球を入れたボディファントム ( バックグラウンド : ホット球 =1:4) の散乱フラクションは 34.3% であり 本研究における直径 20 cm 散乱ファントムの 48.3%( 直接法 :Direct FOV) に比べ 14 % 低い値を示した また ボディファントム撮像時に 散乱ファントムを同時使用した場合の結果は 39.5% であり 同様に 8.8 % 低い値を示した ボディファント 41

44 ムを使用することで散乱フラクションが 5.2 % 増加した 視野外散乱線の影響ガントリー中心に散乱ファントムを置き 点線源を体軸方向へ移動させた場合の同時計数の変化を図 に示す 点線源がガントリー中心から遠ざかるに従って 真の同時計数は直線的に 散乱同時計数は緩やかに減少し散乱ファントムの末端 (Z 方向 :35 cm) でほぼ 0 となっている Z 方向 8 cm 以降はガントリーの視野外となり 真の同時計数は検出されていない しかし 直径 20 cm の散乱ファントムにおいて散乱同時計数は Z=15 cm の点においても最大値 (Z=0) に対して 37 % 程度 カウントされている 直径 10 cm のファントムの散乱線は視野内 : 視野外は 1:1 直径 50 cm のファントムでは視野内 : 視野外は 3:2 であった 5.0 x x x 10 5 Prompt True Scatter 2.0 x 10 5 Prompt True Scatter Counts [a.u.] 3.0 x x 10 5 Counts [a.u.] 1.5 x x x x Z-axis [cm] Z-axis [cm] 10 cmφ 20 cmφ 1.2 x x x x 10 4 Prompt True Scatter 5.0 x x 10 4 Prompt True Scatter Counts [a.u.] 6.0 x x 10 4 Counts [a.u.] 3.0 x x x x Z-axis [cm] Z-axis [cm] 30 cmφ 40 cmφ 42

45 3.0 x 10 4 Counts [a.u.] 2.5 x x x x 10 4 Prompt True Scatter 5.0 x Z-axis [cm] 50 cmφ 図 各直径の散乱ファントムにおける線源位置と同時計数の関係 被写体の形状および線源の分布の違いが散乱フラクションへ与える影響被写体の体積を一定として 長径および短径を変化させた場合の結果を図 左に示す 直径 20 cm のファントムでは 扁平率が 0 から 0.75( 縦 : 横 =1:4) へ変化した場合 散乱フラクションは 9.4% 低い値となった 線源の分布の違いによる影響を図 右に示す 体積の大きいものほど変化が大きく また円柱ファントムの辺縁部の線源の有無 ( 分布 :50~100%) による影響が大きくなった 図 扁平率および線源の分布の違いが散乱フラクションへ与える影響 人体模擬ファントムにおける散乱フラクションの推定人体模擬ファントムにおける散乱フラクションを推定した 人体ファントムの撮像範囲は 5 ベッドに相当し ファントムを 150 mm/bed ずつ移動させて計算した 結果を表 に示す 43

46 表 人体模擬ファントムの各ベッドにおける散乱フラクション Section of phantom (center of Z-axis[mm]) Scatter Fraction Source Volume (Phantom Volume) True/Volume [Counts/ cm 3 ] Scatter/Volume [Counts/ cm 3 ] [%] [cm 3 ] 1 ( -300 ) ( -150 ) ( 0 ) ( 150 ) ( 300 ) average 肺野が多く含まれるベッド 3 と腹部に相当するベッド 4 では 13.3 % の違いがあった こ れら 5 ベッドの平均は直径 20 cm の散乱ファントム (48.3%) よりも 9.6 % 低い値であった 最 後に の結果も含め図 にまとめる 図 各ファントムにおける散乱フラクション 5 ベッド平均の散乱フラクションの FSD が 0.5 % 以下となる試行回数は 6250 万回 (1 ベッ ドあたり 1250 万回 ) であった 計算時間は 570 分 (1 ベッドあたり 114 分 ) であった 5.4 考察 シミュレーション体系の検証作成された PET 装置の構成および線源の分布の妥当性は視覚的に確認され またサイノグラムを画像再構成しホット球を通る直線のプロファイルカーブを比較した結果 2 つのホ 44

47 ット球の最大値の位置のずれはそれぞれ 1 および 2 pixel FWHM は 3.1 mm および 0.8 mm であった 実機により得られた画像は十分な信号量 ( 撮像時間 30 分 ) であるのに対し シミュレーションでは信号量が不足していることが今回の差が生じた最大の原因であると考えられる 十分な信号量を得ることが可能であればノイズが減り Itaration を増やして高周波成分を収束させることが可能であると考えられる これらの事を加味すると両者の違いは小さく PET 装置をほぼ模擬できていると考えられる 内挿法と直接法による散乱フラクション推定法の比較内挿法の結果は文献値よりも 1.1 % 高い値となった 図 に示すように各行の最大値を取る位置はばらつきがあり そのピクセルを中心にシフトさせることで真の同時計数が中心から外れて加算されてしまう 図 においてピークの裾部分に真の同時計数が加算されているのが分かる 内挿法では最大の値を取る列から 20 mm の点を結ぶが ピークの裾部分に真の同時計数が含まれた場合 その 2 点を結ぶ間のすべての列において散乱成分が過大評価され散乱フラクションは高い値を示す これは 実測による信号量に比べてシミュレーションの試行回数が少ないためであると考えられる 十分な試行回数をとることで 真の同時計数がすべて中心のピーク部分に加算され文献値に近づくと考えられる 一方 直接法 (Direct_Bin<120 mm) では 上記のような制限を受けることなく文献値と一致した結果が得られている これにより 直接法の妥当性が示され どのような線源の分布においても PET で定義される散乱線 ( 散乱の有無および LOR- 線源位置の距離が 20 mm 未満 ) を推定可能である しかし 線状線源を用いた測定では線源位置から 120 mmまでの距離を考慮することで十分とされているが 実際の臨床画像においては 120 mm以上離れて計測される散乱同時計数も FOV 内に計数された場合 画質劣化をもたらすため FOV 内に計数される同時計数を考慮した直接法 (Direct<FOV) の結果が適切であると考える 以降の検討では直接法 (Direct<FOV) を用いて計算している 散乱ファントムが大きくなるに従い同時計数の数は指数関数的に減少し ( 図 ) 散乱フラクションは増加した ( 図 ) 臨床において体積の大きい被写体でも同等の画質を得るためには 同時計数の減少および散乱フラクションの増加という 2 つの事を考慮して撮像時間を延長させなければならないことを示している 直径 10~50 cm の散乱ファントムにおける散乱フラクションは 31.2~75.2 % の値をとった 散乱フラクションの増加率は直線的ではなく 徐々に傾きが小さくなっている これはファントムでの吸収による影響が支配的になっているためであると考えられる 43) Arda ら 44) によって同様の検討が行われているが同様の傾向を示している Arda らは 35~85 % 程度で若干高い値を取っているが これはエネルギーウィンドウを kev に設定しているためであると考えられる さらに考察において文献値よりも高くなった理由として視野外散乱線を低減するタングステンシールドを模擬していないことをが挙げられている 視野外放射能がある場合には 3 % 程度散乱フラクションが増加することが報告されている 45) 直接法により求めた散乱フラクションの FSD が 0.5 % 以下となる試行回数は比較的少なく 計算時間も 1 時間程度であった この理由としてファントム自体が単純な体系であることが考えられる 45

48 5.4.3 ボディファントムにおける散乱フラクション本検討におけるボディファントムの散乱フラクションは固定値の 0.76 倍であり固定値を使用した場合 過大評価 (NEC phantom は過小評価 ) をしていると言える 散乱ファントムを使用し視野外散乱線を考慮した場合の結果では固定値の 0.87 倍となっており より固定値に近づいている そのため 散乱ファントムは効果があると言える 固定値を用いた場合と比較し 今回の結果を使用すると 従来の固定値を使用して NEC phantom を計算した場合に比べ 1.45 倍の値となる 視野外散乱線の影響図 の結果からも散乱ファントムの大きさが大きくなるに従い 同時計数の数は指数関数的に減少することが分かっており 図 の 5 つの図においてもファントム径が大きくなるに従い計数が極めて少なくなっている 直径 10 cm のファントムでは視野内における信号の大部分が真の同時計数であるのに対し 直径 50 cm では体軸方向のどの位置においても散乱同時計数が上回っている 真の同時計数は視野内 (<8 cm) のみに計数され 散乱同時計数は緩やかに減少し 中心から 25~30 cm の距離まで計数されている 視野外に脳や膀胱など高集積の部位が存在することで視野内の計数に与える影響は大きく 実際の臨床画像を使用しシミュレーションする場合には計算するベッド以外の線源も考慮する必要がある 今回の結果より散乱同時計数の 40~50 % は視野外からのものであることが明らかとなった 視野外散乱線を低減するシールドを有効活用することでより画質 定量性が向上することが示唆された Adam ら 43) の検討では視野外散乱線の割合が多く 中心から 20 cm 程度までカウントされているが これはエネルギーウィンドの下限値が 350 kev と低いこと エネルギー分解能を考慮していないことが考えられる エネルギー分解能 (18 %) を考慮した場合 340 kev のガンマ線においても 375 kev 以上とカウントされる場合があり 視野外散乱線がより遠位 ( 散乱角が大きい ) までカウントされたのだと考えられる つまり 同時計数とするエネルギーウィンドウの下限値が低いほど エネルギー分解能が悪いほど視野外散乱線の影響が多くなり より遠位の線源までカントされることが明らかとなった 今回の結果より視野外散乱線を考慮するにあたって散乱ファントムの長さ 70 cm(±35 cm) は 十分な長さであると言える 被写体の形状および線源の分布の違いが散乱フラクションへ与える影響扁平率が大きくなるほど散乱フラクションは低下した しかし 実際の臨床画像を想定した場合には扁平率の違いは 0~0.3( 縦 : 横 =1:1~1:1.5) 程度であると予想される 46) 直径 20 cmファントムにおける扁平率 0 と0.3 での散乱フラクションの違いは 0.6 % である 人体を想定した場合には扁平率の差による影響は小さいと考えられる 一方 線源の分布は臨床画像においても変化が大きい これは脂肪には FDG が集積しないためであり 腹部においては 55~100 % の範囲まで線源の分布が変化すると考えられる 11) 図 より直径 20 cm ファントムの線源の分布割合 55 % と 100 % では約 4.5 % の差が生じる 散乱フラクションを推定する場合には FDG 分布の違いを考慮すべきである しかし 体脂肪率が同じ 46

49 であっても皮下脂肪の厚さは異なる 47) ため BMI などの指標よりも検査画像から皮下脂肪 の割合と FDG の分布を確認するべきであると考える 人体模擬ファントムにおける散乱フラクションの推定線源を均一に配置した人体模擬ファントムの散乱フラクションは 38.7 % であり 本研究における直径 20 cm 散乱ファントムの結果と比較して 9.6 % 低い値となった そのため 直径 20 cm 散乱ファントムの結果は今回使用した人体模擬ファントムよりも大きな被写体を想定していると考えられる しかし 本検討では線源が均一に配置しているため 線源が体表面まで存在することや脳や膀胱からの視野外散乱線を考慮していないことに注意しなければならない 臨床画像を用いて検討した場合 人体模擬ファントムと同等の体格であったとしても 散乱フラクションは今回の結果よりも高い値を示すと予想される 各ベッドにおいて散乱フラクションの値は 10 % 以上異なる 頸部 胸部に相当するベッド1~3 と比較して 腹部 骨盤に相当するベッド4と5は 体積あたりの真の同時計数が半分まで低下している これは 各ベッドにおいても撮像時間を調節する必要性があることを示唆している また ベッド4と5は空気をほとんど含まず ほぼ同じ体積であるのに対し散乱フラクションが 2.4 % 異なる これはベッド 4が視野外散乱線による影響をより多く受けているためであると考えられる 5 ベッド平均の散乱フラクションの FSD が 0.5 % 以下となる計算時間は線状線源を挿入した散乱ファントムにおける計算よりもかなり時間を要した これは線源の配置の際に 配置の元とした PET 画像のピクセル値を格納した配列を参照しているため 線状線源を用いる場合よりも処理が多くなっていることが原因であると考えられる 臨床画像を用いた検討をする際には 同様の手順で行う必要があるため計算時間が問題となる 5.5 結論本研究では モンテカルロシミュレーションコード (Geant4) を用いることで複雑な体系である PET 装置を模擬して 実機と同様にサイノグラムを作成し画像再構成を行った 散乱の有無や LOR と線源位置との距離を求めることで内挿法と同等の結果を得る直接法の妥当性を示した 本研究で確立した直接法により どのような体系 線源分布においても散乱フラクションを推定可能となる これにより 臨床画像における NECR を高精度に算出することが可能となり 臨床画像の画質評価精度の向上に寄与すると考えられた また PET で使用されるボディファントム 散乱体ファントムおよび人体模擬ファントムにおける散乱フラクションを明らかにして 現状の問題点を明らかにした 47

50 第 6 章まとめ核医学における投与量や撮像法は標準化の遅れている分野であり FDG-PET の有用性が認められ 多施設共同臨床試験や治療効果判定の需要が高まった今日において早急に取り組まなければならない課題である 画質の標準化のためには その画像の画質を反映した精度の高い物理学的指標の算出が必要である 画質評価指標として有用性を認められた NECR の算出において 被写体毎の散乱フラクションを使用することの重要性は認知されてはいるものの 現実的には実測することができていない 現状では 散乱フラクションは円柱状の散乱ファントムに線状線源を挿入して撮像し 得られたサイノグラムの内挿から散乱成分を同定している しかし このファントムより得られた散乱フラクションがどのような体型の被写体を想定しているのか 標準体型を模擬しているとされるボディファントムと同等の値となるのか 被写体の状態や装置の条件によりどの程度の変動があるのかなど明らかにされていない問題点がある そこで 本研究の 5 章において その問題を解決するべくモンテカルロシミュレーションを用いて取り組んだ PET 装置を模擬して画像化を行い 実機より得られた PET 画像と比較することでシミュレーション体系の正当性を示した さらに 従来の内挿法と同等の結果が得られる提案法 ( 直接法 ) の精度を検証した 最後に ボディファントムおよび人体模擬ファントムにおける散乱フラクションを明らかにした 本研究では CT 画像よりボクセルファントムを作成し PET 画像より線源の位置および強度を決定している これは 臨床画像を用いて同様に検討可能であることを示している PET における散乱フラクションは モンテカルロシミュレーションによって装置を模擬することで推定可能であることが示された 本研究の結果より 散乱ファントムを併用したボディファントムは 人体模擬ファントムの散乱フラクションと同等の結果となった ボディファントムは人体を模擬するにあたって妥当な大きさであると考えられ 散乱ファントムの併用は視野外からの散乱線を模擬するのに有用であった しかし 線状線源を挿入した散乱ファントムから得られた散乱フラクションは 人体模擬ファントムよりも大きな被写体を想定した値であった また 各々の被写体により散乱フラクションがどの程度 変動するのかを具体的な数値を示して明らかにした これらの値の変動には 被写体の体積や FDG の分布の違い 視野外散乱線などが大きく影響していた 至適撮像条件を検討する際に 固定値の散乱フラクションを使用して算出した NECR を指標としても それは計数率の減少分を補っているに過ぎず散乱成分の増加を考慮していない 今後は 本研究で構築したシミュレーション体系と臨床画像を用いて 多くの症例における散乱フラクションを推定し 上記の項目から散乱フラクションを推定する一般式を算出することを目指す 臨床の現場において 画質評価対象を全てモンテカルロシミュレーションにより計算し 散乱フラクションを推定することは計算時間の問題もあり現実的には困難である 被写体および装置の収集条件より散乱フラクションを推定可能となれば どの施設においても被写体毎の散乱フラクションを使用することが可能であり画質の標準化に貢献すると思われる 48

51 参考論文 1) 東達也, 伊藤健吾, 鳥塚莞爾 : 肝細胞癌, 胆管癌, 胆嚢癌の診断における [18F]FDG-PET の臨床的有用性 - 多施設アンケート調査による検討 -,RADIOISOTOPES,57(1),1-11, ) 加藤克彦, 細野眞, 伊藤健吾他 : 骨軟部腫瘍の診断における [18F]FDG-PET の臨床的有用性 - 多施設アンケート調査による検討 -,RADIOISOTOPES,57(1),13-23, ) 鳥塚達郎, 伊藤健吾, 鳥塚莞爾 : 胃癌, 十二指腸乳頭部癌,GIST( 消化管間葉系腫瘍 ) の診断における [18F]FDG-PET の臨床的有用性 - 多施設アンケート調査による検討 -,RADIOISOTOPES,57(1),25-31, ) 伊藤健吾, 鳥塚莞爾 : 健康保険適用外の 18 種類の腫瘍における [18F]FDG-PET の臨床的有用性 - 多施設アンケート調査による検討 -,RADIOISOTOPES,57(1),33-43, ) 日本核医学会 PET 核医学委員会, 日本アイソトープ協会医学 薬学部会, ポジトロン核医学利用専門委員会 :PET 検査件数に関するアンケート調査報告第 12 報,Isotope News,(732), ) 細野眞, 佐賀恒夫, 伊藤健吾等 : FDG PET,PET/CT 診療ガイドライン, 核医学,49(4), , ) 福喜多博義, 織田圭一, 白石貴博等 : がん FDG-PET/CT 撮像法ガイドライン第 2 版, 核医学技術,33(4), ) Hiromitsu Daisaki, Naoki Shimada, Hiroyuki Shinohara:Optimization for PET Imaging Based on Phantom Study and NECdensity, Medical Imaging Technology,30(5), , ) Wagatsuma Kei,Miwa Kenta,Miyaji Noriaki et al.:comparison of 18 F-fluoro-2-deoxy-D-glucose Positron Emission Tomography/Computed Tomography Image Quality between Commercial and In-house Supply of FDG Radiopharmaceuticals, Japanese Society of Radiological Technology,70(4), , ) Sshimada Naoki,Daisaki Hiromitsu, Murano Takeshi et al.:optimization of the Scan Time is Based on the Physical Index in FDG-PET/CT, Japanese Society of Radiological Technology,67(10), , ) Toshimitsu Shinya,Kangai Yoshiharu,Yamane Azusa et al.:effects of Non-radioactive Material around Radioactive Material on PET Image Quality, Japanese Society of Radiological Technology,71(7), , ) Kangai Yoshiharu,Onishi Hideo,Takigawa Atsushi et al.:evaluation of Potentially Influential Factors for Positron Emission Tomography Image Quality in Liver Signal-to-noise Ratio Utilizing a Delivery 18F-fluoro-2-deoxy-D-glucose Study on Bi4Ge3O12-Positron Emission Tomography/Computed Tomography, Japanese Society of Radiological Technology,70(8), , ) Phelps, M. E.Hoffman, E. J.Mullani, N. A. et al.:application of annihilation coincidence detection to transaxial reconstruction tomography, J Nucl Med,16(3),210-24, ) Townsend, D. W.Sprinks, T.Jones, T. et al.:three dimensional reconstruction of PET data from a multi-ring camera, IEEE Transactions on Nuclear Science,36(1), , ) 柴田徳思 : 放射線概論,7:47, 通商産業研究社, 東京,

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