Microsoft PowerPoint - 配管洗浄の方法（アクアス縣邦雄）HP公開用

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いおりおいもり
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1 平成 28 年度生活衛生関係技術担当者研修会於 : 厚生労働省 2 階講堂配管洗浄の方法平成 29 年 2 月 6 日アクアス株式会社つくば総合研究所縣邦雄 1

2 配管洗浄の目的 u 各種水系でレジオネラ属菌対策として実施される化学洗浄を解説 u レジオネラ対策における位置づけ 1 原則は水自体に殺菌効果を持たせてレジオネラを含む浮遊菌を殺菌する同時にバイオフィルムを防止する 2 バイオフィルムが生成した場合洗浄により BF を消毒する u 洗浄はタイミングにより予防的洗浄と是正的洗浄と考える 2

3 バイオフィルムの状態と洗浄のタイミング 3

4 予防的洗浄と是正的洗浄 u 予防的洗浄 ( 浴槽水 ) 1 週間に一回以上ろ過器 ( ろ材 ) と配管系のバイオフィルム消毒 u 予防的洗浄 ( 冷却塔水 ) 1 年以内毎に冷却塔と水管を洗浄冷却塔の使用開始時と終了時に洗浄 u 是正的洗浄 ( リセット洗浄 ) レジオネラ属菌が検出された場合清掃消毒 ( 洗浄 ) して不検出を確認 ( 対象は浴槽水給水給湯冷却水加湿水修景水など ) 4

5 浴槽水系の予防的配管洗浄 u1 週間に一回以上ろ過器 ( ろ材 ) と配管系のバイオフィルムを消毒する u 循環式浴槽浴槽水に残留塩素を維持していてもバイオフィルム生成のリスクがある 1 夜間の循環停止による残塩消失 2 ろ材水の流れの悪い配管隙間 u 掛け流し式浴槽残留塩素を維持していない場合はバイオフィルムは生成する 1 週間に一回以上の洗浄は必須 5

6 浴槽水系の予防的配管洗浄 u1 週間に一回以上実施するのでバイオフィルムは厚くない u バイオフィルムの量が少ないので添加する薬品の量は少なくて良い u 通常営業しているときに行うので時間的制約人的制約があるマニュアルを作成するタイムチャートを作成する取り扱いやすい薬品を使用する 6

7 浴槽水系の週一回の洗浄の工程 ( 例 ) 工程浴槽の水位を調節薬品準備 ( 同時にろ過器の逆洗 ) 循環しつつ薬品を投入浴槽配管系を循環する薬品の濃度測定追加投入中和 ( 必要に応じて実施 ) 排水 ( 同時にろ過器の逆洗 ) 浴槽の湯張り時間 20 分 10 分 120 分 30 分 20 分 60 分 7

8 浴槽水系の週一回の洗浄の薬品 ( 例 ) 塩素剤薬品名称モノクロラミン (MC 処理時 ) 二酸化塩素有機系薬品内容使用法等遊離残留塩素濃度を維持 (5~50mg/L) 供給は次亜塩素酸ナトリウム ( 液体 ) ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム ( 顆粒状 ) 中和は亜硫酸ナトリウムチオ硫酸ナトリウムモノクロラミン濃度を維持 (10~50mg/L) 次亜塩素酸ナトリウムとアンモニウム塩を使用時に希釈混合して調製中和は亜硫酸ナトリウムチオ硫酸ナトリウム亜塩素酸ナトリウムと酸 ( 塩酸等 ) を混合して調製 10mg/L 以下の低濃度で使用する場合が多い中和は亜硫酸ナトリウムチオ硫酸ナトリウム 4 級アンモニウム塩 ( 液体 ) が代表的酸化性物質でないので還元力を有する温泉水での使用を推奨する場合がある数 10mg/L 添加中和剤はなし 8

9 浴槽水系の週一回の洗浄のポイント 1 洗浄時の薬品濃度の維持 u 保有水量薬品濃度を正確に計算 u 洗浄循環時の薬品濃度の変化を確認 2 ろ過器のろ材は念入りに逆洗する 3 普段循環しない配管などにはバイオフィルムが溜まるので洗浄する 4 設備構造上洗浄が難しい場合がある 5 洗浄の効果を評価して洗浄方法を必要十分な内容に改善する 9

10 1 薬品の有効成分濃度の確認 u 浴槽水系内にバイオフィルムがあると薬品の有効成分が消費される u 循環時の濃度変化を調査する u 高濃度の遊離残留塩素は試験紙 ( 各種濃度レンジ ) での測定が便利 u4 級アンモニウム塩も試験紙を使用できる u 濃度が不足していれば追加投入する u 濃度が無ければ長時間循環しても消毒効果がない 10

11 残留濃度測定試験紙 ( 単位 :mg/l) 残留塩素 0~600 過酸化水素 0~1000 残留塩素 10~50 過酸化水素 0~25 残留塩素 0~10 4 級アンモニウム 0~500 11

12 洗浄時の有効成分の濃度変化モデル有効成分濃度バイオフィルム少なく濃度変化が小さいやや消費されるが残留濃度を維持洗浄剤添加バイオフィルム多く薬品量が不足経過時間 12

13 2 ろ過器のろ材は念入りに逆洗 u ろ過器のろ材はレジオネラ属菌増殖の場として最大のリスク要因 u ろ過器のろ材 (0.6mm 径の球として ) の表面積は浴槽内壁配管内壁などを含む浴槽全体の表面積の 98% 以上 u 浴槽水中の汚れがろ材に捕捉される毎日逆洗をする必要がある u 薬品洗浄により消毒するとともに逆洗によりろ過砂同士を擦り合わせて汚れを排出 u 洗浄工程の排水実施時に逆洗する 13

14 2 バイオフォルムが付着したろ材ろ材の拡大写真汚れが付着してバイオフィルムを形成 14

15 ろ材の種類による違い特殊ろ材川砂 0.6mm 凹凸が多く数 10μm の穴が存在凹凸が少なく比較的滑らか 15

16 3 普段循環しない箇所の洗浄リストアップして抜けの無いように洗浄する A) 連通管 u 男女の浴槽をつなぐ配管 u 営業時も水流がほとんど無く排水管が無いこともある B) 水位計 u 行き止まり配管浴槽水が滞留する u 普通は循環による洗浄ができない C) バイブラ浴槽の気泡板裏側 D) 浴槽の破損部隙間木製浴槽材 16

17 A) 連通管通常は目皿ねじ止め内部が汚れている 17

18 A) 連通管 B) 水位計の洗浄洗浄剤水位計浴槽に水中ポンプを入れ洗浄液 ( 高濃度塩素水 ) を連通管水位計配管に流し込み循環させる水位計配管に洗浄剤を入れ水道水で流す方法もある 18

19 C) バイブラ浴槽の気泡板裏側レジオネラ症防止指針第 3 版から転載気泡板を外して清掃できるようにした例 19

20 D) 浴槽の破損部隙間木製浴槽材浴槽内壁の木製タイルところどころ目地が破損木の板が剥がれ隙間がある 20

21 4 設備構造上洗浄が難しい場合 A) 粒径の大きいろ材 u 径が 10~20mm 程度と大きく重いので逆洗効果が期待できない ( 隙間に BF が定着 ) u 洗浄水が均一に流れない場合がある B) カートリッジ式フィルター u 汚れバイオフィルムがフィルターに蓄積 u 低濃度の洗浄ではきれいにしきれない C) オーバーフロー式回収槽浴槽 u 回収槽内部の壁面上部が洗浄しにくい u 水量を減らせないので水張り水抜きに時間がかかり薬品使用量が多くなる 21

22 Ａ粒径の大きいろ材通常の逆洗や洗浄では汚れが取れにくいろ材を取り出して洗浄する( 毎週は困難 22

23 B) カートリッジ式フィルター汚れが蓄積し取り除けないフィルターの交換頻度を多くする ( 毎週交換 )23

24 C) オーバーフロー式の回収槽浴槽満水でないと洗浄できない配管があるオーバーフロー回収槽内部は洗浄しにくい循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルから転載浴槽を満水にして洗浄回収槽内壁面は物理的に汚れを清掃 24

25 5 洗浄の効果評価による改善 u 評価方法 u 配管内面を洗浄前 / 後で一定面積をふき取り ATP 測定細菌数測定 u ろ過器の逆洗水を洗浄前 / 後で採水逆洗開始後一定時間 ( 例 :1 分 3 分 ) 経過した逆洗水を採水 ATP 測定細菌数測定 u 洗浄法の改善 u 効果が不十分の場合は処理を強化 u 薬品濃度を上げる洗浄時間を長くする u ろ過器の逆洗回数を増す 25

26 ＡＴＰ測定ふき取り検査目標例 A TP 10RL U未満 10 cm2ふき取り一般細菌数 1CF U/m L未満 (1 0c m2ふき取り 10 mlに懸濁逆洗水も含めてレジオネラ属菌は不検出 26

27 浴槽水系の是正的配管洗浄 u レジオネラ属菌の培養検査により 10CFU/100mL 以上の菌数を検出した場合清掃消毒 ( 洗浄 ) して不検出を確認する u 緊急に実施することが多く営業 ( お客様 ) への影響が大きい u 洗浄が大掛かり薬品の使用量が多いコストがかかるので是正的洗浄は行わないことが望ましい u 日常管理と予防的洗浄で常時レジオネラ属菌が検出しないように管理することが基本 27

28 浴槽水系の是正的配管洗浄 uバイオフィルムが厚い ( 多い ) ことが予想されるので薬品の使用量を多くする必要がある u 洗浄の前後でレジオネラ属菌数を評価する洗浄後は必ず不検出とする u 温泉では検出箇所によっては浴槽系に加えてガスセパレータ源泉タンク温泉供給配管の洗浄を行う u 温泉では鉄マンガン炭酸カルシウムスケールの付着があるのでその場合は酸性洗浄剤による除去を行う 28

29 浴槽水系の是正的配管洗浄の工程 ( 例 ) 工程時間薬品準備 ( 洗浄剤中和剤 ) 仮設配管浴槽の水位を調節 ( ろ過器の逆洗 ) 循環しつつ薬品を投入浴槽配管系を循環濃度測定追加投入中和排水水張り ( 半分水量 ) 循環して水洗排水 ( ろ過器の逆洗 ) 配管浴槽内壁のブラシジェット洗浄浴槽の湯張り 60 分 20 分 30 分 120 分 30 分 60 分 30 分 30 分 40 分 60 分 29

30 浴槽水系の是正的配管洗浄の薬品 ( 例 ) 薬品名称過酸化水素塩素剤過炭酸ナトリウム塩酸スルファミン酸内容使用法等過酸化水素濃度として 2~3% を投入し 2 時間程度循環する供給は 35% 過酸化水素水 ( 劇物 ) 中和は酵素 ( カタラーゼ ) 亜硫酸ナトリウム遊離残留塩素を高濃度維持 (50~ 数 100mg/L 以上 ) 供給は次亜塩素酸ナトリウム ( 液体 ) ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム ( 顆粒状 ) 中和は亜硫酸ナトリウムを使用炭酸ナトリウム過酸化水素物 ( 粉末 ) 0.3~1% 程度で使用することが多い過酸化水素として 32% 含有使用時は ph10 以上のアルカリ性中和は ph は酸過酸化水素は酵素 ( カタラーゼ ) 鉄炭酸カルシウムスケールの洗浄に使用 (HCl として 2~5% 程度 ) 供給は 35% 塩化水素水 ( 劇物 ) 中和はアルカリ剤 ( 水酸化ナトリウムなど ) 鉄炭酸カルシウムスケールの洗浄に使用 (10% 程度 ) ステンレス鋼を含む水系で使用可能粉末品中和はアルカリ剤 ( 水酸化ナトリウムなど ) 30

31 浴槽水系の是正的配管洗浄のポイント 1 洗浄時の薬品濃度を高くする u バイオフィルム量が多いので高濃度とする u 消毒に加えて BF の剥離除去を行う 2 ろ過器のろ材は念入りに逆洗する 3 循環しない配管洗浄しにくい個所ももれなく洗浄する 4 粒径の大きいろ材はろ過器から取り出して洗浄する 5 洗浄後は配管水槽をジェット洗浄する 31

32 6 洗浄後のレジオネラ属菌検査には迅速検査法も適用する 7 施工上の注意事項 u ワンパス配管の場合は仮設で循環配管を設けて洗浄液を循環する u 洗浄に伴う金属の腐食に留意する u 水抜き水張りに時間がかかる場合は仮設水槽を設けて時間短縮を図る u 過酸化水素は発泡して配管に溜まり水の循環を妨げる ( ガスロック ) ことがあるので適宜エア抜きを行う 32

33 1 使用薬品とコスト ( イメージ ) 厚いバイオフィルムを剥離除去するために濃度を高くする薬品名過酸化水素水 (35%) 過炭酸ナトリウム次亜塩素酸 Na (12%) 使用濃度薬品コスト中和廃液コスト 10% 高い安い ( 酵素 ) 5% ( 推奨 ) 高い 2% 安い塩酸 (35%) 10% 安いスルファミン酸 10% 高い中間的 (ph 中和の酸酵素 ) 中間的 ( 亜硫酸 Na) 高い ( 水酸化 Na, 産廃 ) 高い ( 水酸化 Na, 産廃 ) コストは使用濃度供給者により変化する界面活性剤インヒビター反応促進剤などの配合により効果を強化しているものもある 33

34 過炭酸ナトリウム u 炭酸ナトリウム過酸化水素物 Na 2 CO H 2 O 2 u68% 炭酸ナトリウム 32% 過酸化水素 u 粉末なので溶解して使用する u 使用濃度は供給者にもよるが 0.3~1% 程度 (H 2 O 2 として 0.1~0.3%) とする場合が多い u 洗浄液の ph は 10.2~10.5 付近ペルヒドロキシアニオン生成により H 2 O 2 単独より酸化力は増す u 中和はアルカリの中性化と過酸化水素の分解 34

35 6 配管洗浄後の不検出の確認 u 是正的洗浄実施後はレジオネラ属菌の不検出を確認する u 培養法 u 不検出の確認に 1 週間以上を要する u 迅速検査法 ulamp 法 PCR 法の遺伝子検査 u 数時間で不検出を確認できるので有効 u 注意点 A) 遺伝子法陽性培養法不検出が起きる B) 遺伝子法陰性培養法検出が起きる 35

36 A) 遺伝子法陽性培養法不検出 Legionella counts (CFU/100 ml) 安全方向の判定ではあるが不一致である原因 : 死菌の遺伝子を増幅している場合がある対策 : EMA-qPCR 法の採用で不一致が半減 No. of samples PCR EMA-PCR Positive Negative Positive Negative <10 81(73.0%) 56(65.9%) 25(96.2%) 23(46.9%) 58(93.5%) (12.6%) 13(15.3%) 1(3.8%) 10(20.4%) 4(6.5%) (1.8%) 2(2.4%) 0(0%) 2(4.1%) 0(0%) (9.9%) 11(12.9%) 0(0%) 11(22.4%) 0(0%) (2.7%) 3(3.5%) 0(0%) 3(6.1%) 0(0%) Total 111(100%) 85(100%) 26(100%) 49(100%) 62(100%) Biocontrol Science.Vol.20,No.1,pp.71-74(2015) 原因 : 培養法検査の精度が低い検査精度の向上 36

37 B) 遺伝子法陰性培養法検出 u 本判定はゼロにする必要がある u 原因と対策 u 遺伝子の増幅阻害が起きる抽出遺伝子の精製を強化する陽性コントロールを加えて阻害の無いことを確認 u 検出下限付近では確率的に発生する遺伝子検査法の検出感度を高くする u 増幅しにくい菌種が存在する広い菌種を検出できる特定の PCR 法を採用する u 本質的にはレジオネラ属菌の生菌が残らないように洗浄することが大切 37

38 7 温泉施設の上流設備の洗浄仮設循環配管 P 浴槽西部温泉工業株式会社 HP より転載温泉施設で浴槽よりも上流でレジオネラを検出した時は上流から配管各種水槽の洗浄を行う仮設配管を設けて洗浄液 ( スケールがある場合は酸洗浄 ) を循環させる 38

39 給水給湯配管の是正的洗浄 u 病院ビルなどの給水給湯配管 ( 蛇口シャワー ) からレジオネラ属菌を検出 u 蛇口からの初流水で残留塩素がなくなっていて検出 u 自動混合水詮からの検出率が高いという報告 * がある u 配管内にレジオネラ属菌を含むバイオフィルムが生成しているので是正的洗浄を行う *Electronic Faucets Unsafe for Use in High-Risk Patient Hospital Settings: Study Shows Automatic Faucets Carry High Levels of Bacteria:SHEA 2011 ANNUAL SCIENTIFIC MEETING 39

40 給水給湯配管の洗浄方法 u 給湯は高温水 ( 例 :60 1 時間 ) で洗浄する u 高温水は貯湯槽の温度を調整する u 給水は高濃度遊離塩素 ( 例 :100mg/L 2 時間 ) で洗浄する u 受水槽で高濃度塩素水を調製する u 循環できる配管系は循環する u 循環できない配管系は洗浄液の通水ホールドを繰り返し行う u 蛇口数が多いので図面でフローを確認し計画を立てて実施する ( 多人数を要する ) 洗い残しの無いように蛇口の識別を行う 40

41 給水給湯配管の洗浄のポイント u 配管内に腐食生成物がある場合は塩素剤による洗浄の効果が得られにくいので高温洗浄あるいは酸洗浄を行う u 自動混合水栓は高温設定流量設定して強制的に一定時間の通水を行う u 高濃度塩素による洗浄後は十分に水洗し高濃度の薬剤が残留しないようにする u レジオネラ属菌不検出は洗浄実施後一晩ホールドした水栓の初流水で確認する u 検査は遺伝子検査法培養法とする 41

42 鉄さびが生成した給水配管ポリエチレンライニング管のひび割れによる鉄さび鉄さびを検査するとレジオネラ属菌を検出塩素や過酸化水素では除菌は難しい 42

43 給水管の洗浄の状況バルブ類を調整水栓を開け残留塩素濃度を確認給湯管の場合は高温水の温度を確認する 43

44 冷却塔冷却水配管の洗浄 u 空調用をはじめ冷却塔を有する冷却水はレジオネラ症の重要な感染源である u 冷却水のレジオネラは検出率菌数とも高い u 市街地の空気からレジオネラの遺伝子を検出 u 冷却水のレジオネラ対策は継続的な殺菌剤 ( バイオサイド ) の添加と冷却塔と冷却水管の洗浄 ( 予防的洗浄 ) である u 定期的な検査でレジオネラ属菌を 100CFU/100mL 以上検出した場合は清掃消毒 ( 是正的洗浄 ) を行い不検出を確認する u 対象は開放式冷却搭を含む循環式冷却水系密閉式冷却塔の散布水系 44

45 冷却水と浴槽水のレジオネラ属菌の菌数別分布 (2012 年アクアス ) 21.8% 検出 12.8% が 100CFU/100mL 以上 13.8% 検出大部分は 100CFU/100mL 未満冷却水浴槽水 1000CFU/100mL 以上は 6.7% 1000CFU/100mL 以上は 0.6% 45

46 市街地空気中のレジオネラ属菌検出 2015 年 9 月 * 2016 年 7 月市街地の空気から 100copies/m 3 程度のレジオネラ遺伝子を検出冷却塔由来が疑われる * 日本防菌防黴学会誌,Vol.44,No.9,pp (2016) 46

47 密閉式冷却塔と開放式冷却塔密閉式冷却塔開放式冷却塔熱交換器密閉式冷却塔の散布水系充填材の面積は大きい開放式冷却水冷却塔に加え配管熱交換器がある 47

48 冷却水の予防的洗浄 u 冷却水はバイオフィルムが生成しやすい環境なので継続的にバイオサイドを添加して水中のレジオネラ属菌の検出を抑制していても徐々にバイオフィルムが生成するので洗浄は重要 u1 年以内毎に一度冷却水管の清掃 ( 化学洗浄 ) を行うことが定められている u 冷却塔の運転開始時と終了時に洗浄する u 夏季の高負荷時にも洗浄を行う u バイオサイドの処理効果を発揮させるためにも洗浄は有効 48

49 冷却水の是正的洗浄 u 冷却水のレジオネラ属菌定期検査で 100CFU/100mL 以上検出した場合に清掃消毒を実施してその後不検出を確認することとする u この際の清掃消毒は物理的清掃では除菌できず化学洗浄 ( 是正的洗浄 ) を行う u 冷却水のレジオネラ対策はバイオサイドの使用が前提なので洗浄実施後バイオサイドを継続的に添加した状態で不検出を確認する u 洗浄後のレジオネラ属菌不検出の確認は培養法で行う ( 遺伝子法は適さない ) 49

50 冷却水の洗浄の工程 ( 過酸化水素の場合 ) 工程時間薬品準備 ( 洗浄剤中和剤 ) 冷却塔下部水槽の水位を調節 60 分 20 分冷却水を循環しつつ薬品を投入 ( 冷凍機冷却塔ファンを停止 ) 30 分冷却水系を循環エア抜き実施カタラーゼで中和エア抜き実施排水水張りして循環水洗排水冷却塔のブラシジェット洗浄水張り 120 分 30 分 60 分 90 分 60 分バイオサイド水処理剤を添加して循環その後採水 50

51 冷却塔冷却水配管の洗浄の薬品薬品名称過酸化水素塩素剤グルタルアルデヒド有機系殺菌剤消泡剤内容使用法等過酸化水素濃度として 1~3% を投入し 2 時間程度循環する 35% 過酸化水素水 ( 劇物 ) 中和は酵素 ( カタラーゼ ) 遊離残留塩素濃度を維持 (5~10mg/L 程度 ) 冷却水中で濃度が低下するので継続的に補給する次亜塩素酸ナトリウム ( 液体 ) ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム ( 顆粒状 ) 100~500mg/L 程度の濃度を冷却水に添加する殺菌効果が強くバイオフィルムの消毒に適する添加したのちブロー量を多めにして運転イソチアゾリン 4 級アンモニウム塩など抗レジオネラ用殺菌剤を高濃度で添加する薬剤の種類や濃度はメーカーにより異なるアルコール系シリコン系の消泡剤を用意冷却水は洗浄時に発泡しやすく冷却塔から周辺に飛散することがあるので消泡剤を添加する 51

52 冷却塔冷却水配管の洗浄のポイント u 過酸化水素による洗浄中和では酸素ガスが多く出る場合があるのでガスロックに注意する u 過炭酸ナトリウムを 0.5% 程度の濃度で使用する場合は緩和するが ph 中和も必要となる u 冷却水の洗浄時は発泡によりビルの屋上から泡が飛散することがあるので必要に応じて消泡剤を使用する u 塩素剤による洗浄は濃度の変化が大きいので頻繁に濃度を測定して追加投入する u 銅軟鋼の金属に対する防食剤の添加を行う u グルタルアルデヒド有機系殺菌剤使用時は換水せずにブロー量増により水洗する場合もある 52

53 冷却水の塩素洗浄時の濃度 ( 実施例 ) 塩素剤追加塩素剤添加塩素剤追加中和剤添加経過時間 ( 時 : 分 ) 保有水量に対して塩素剤を10mg/L(Cl 2 ) 添加循環して残留塩素濃度が一定時間維持するまで追加投入 53

54 配管洗浄時のリスクセスメント u 夜間作業高所作業密閉空間 ( 水槽内 ) バイオフィルムに接触する作業電気ポンプ使用作業などが有るので危険予知リスクアセスメントを行う u 化学薬品を使用するので必ず SDS を参照し化学物質リスクアセスメントを行う u 必要な保護具の着用を徹底する u 洗浄廃液の処理を確実に行う

年間管理計画・管理実績報告書の記入方法

年間管理計画・管理実績報告書の記入方法レジオネラ症防止対策年間管理計画書管理実施報告書の記入要領 1ページ目 1 平成年度を記入し管理計画書管理実施報告書のどちらかにチェックをしてください 2 施設名称欄は施設の名称を記入してください 3 施設所在地欄は施設の所在地を記入してください 4 施設用途欄は地区センター地域ケア施設特別養護老人ホーム障害児施設図書館などの施設用途を記入してください 5 設置者欄は