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1 平成 28 年度酪総研シンポジウム 内 容 乳牛の共済事故とその対策 動態 乳牛生産の流れ 事故 乳牛事故の特徴 廣田和久北海道農業共済組合連合会 対策 事故対策の提案 乳牛生産の流れ 導入 4 万頭 補充 18 万頭 乳用成牛 7 万頭 販売淘汰 18 万頭 子牛生産の流れ 後継 14 万頭 産子 39 万頭 販売淘汰 25 万頭 乳用子牛の内訳 雄 F1 子牛は生後 7 日より譲渡 出生子牛 39 万頭 18.9 万頭 18.5 万頭性別不明 1.9 万頭 乳用子牛 15 万頭 F1 子牛 4 万頭 在 6 籍 5 率 4 % 乳用子牛譲渡による飼養頭数減 ( 在籍率 ) 214/4/1-214/12/31 出生子牛の 214/4/1-215/3/31 における譲渡 雄子牛雌 _ 乳用種子牛雌 _F1 子牛 生後日数

2 乳用子牛生産の流れ 出生 39 万頭死産譲渡 21 万頭 3 万頭 1 日齢以上の子牛死廃 1.5 万頭 死 産 後継牛 14 万頭 死産の定義とリスク 死産とは 胎齢 24 日齢以上の胎子死亡と出生当日の死亡 廃用 NOSAI 上の定義 乳用子牛等死産 日齢別死廃事故 31 日齢以上 4,585 頭 1% 死産は乳熱発症リスクを高める Correa et al., 1993 死産は母牛の淘汰 空胎期間延長 乳量減少を招く Bicalho et al., 日齢 1,486 頭 23% 死産 3,398 頭 67% 死産とは胎齢 24 日齢 ~ 出生当日の死廃事故 乳牛死産発生率国別比較 死産は 死産の疫学 乳 8. 牛死産 6. 発生率 % 雌産子より雄産子で多発 Johanson and Berger 23 夏季より冬季で多発 Johanson and Berger 経産牛より初産牛で多発 Mee, 28. 単胎より多胎で多発 Benjaminsson 27 諸外国死産発生率は Mee, J. E., Stillbirth in dairy cows from science to solutions より引用 死産の原因の 46% は難産 Berglund et al., 23

3 難産の疫学 難産は雌産子より雄産子で多発 経産牛より初産牛で多発 Johanson and Berger 23 難産の主な原因は初産牛 : 母牛骨盤より大きい胎子 ( 雄は大きい ) 経産牛 : 胎子失位 Mee 28 初産牛の難産 死産回避には 胎児死亡 分娩後日数別事故状況 共済目的 * 頭数事故区分頭数 胎児死亡または分娩後日数 H16,17 の 2 年間の計 頭数 % 乳用胎児 76,757 一般事故 76,548 分娩直前後死亡 ( 難産含 ) 47, % * 共済目的の乳用胎児とは 引受時点をいう 特定事故 日齢 9, % 9-15 日齢 5, % 日齢 3,72 4.% 23 日齢以降 7, % 乳用子牛 2,364 母牛の死亡に伴う 3,135 4.% 節度ある月齢での分娩が重要 Steinbock et al., 23 乳用子牛の分娩直前後死亡率 単 / 多 単胎 胎児品種 初産 (32 カ月齢以下 ) 分娩直前後死亡率 % 経産 (33 カ月齢以上 ) H16,17 の 2 年間 乳用種 F 計 胎児死等の条件別発生率の比較 H16,17の2 年間 引受頭数 娩出直前後死 娩出直前後死亡 発生率 1 亡件数あり2 件数なし 2 1 相対リスク 胎子品種乳用種 85,498 1,45 75, F1 74,66 4,243 7,363.6 単胎 多胎多胎 1, , 単胎 162,578 14,89 147,769.9 初産牛 季節 12-3 月 53,591 6,214 47, 月 11,842 9,36 11,536.8 多胎 乳用種 F 乳用子牛等 最終人工授精月齢 9-11ヶ月齢 ヶ月齢 46,269 4,593 41,676.1 胎子品種乳用種 424,975 26, , F1 22,615 1,181 21,434.5 計 乳用種 F 経産牛 単胎 多胎多胎 2,366 6,682 13, 単胎 43,177 22,333 47,844.5 季節 12-3 月 141,97 9, , 月 38,583 19,98 289,485.6 乳用子牛等月別死廃事故頭数 頭乳用子牛等の事故 : 胎児死と1 週間以内の新生児死 3,5 3, 2,5 2, H26 1,5 H27 1, H 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 母牛分娩時月齢 子牛品種別死産率 死産率 ( 死産頭数 / 出生総頭数 ) (%) 図 2. 北海道における母牛分娩時月齢 子牛品種別の死産率 (%) 乳肉交雑種 (F1) 子牛 乳用種子牛 母牛の分娩時月齢 ( 月齢 ) 全道の NOSAI 乳用子牛等の出生 555,359 頭の分析 24~27

4 娠分娩産後疾性選別通常乳牛性選別通常乳牛通常肉牛妊死廃頭数被害率死産 難産の事故対策 難産は子牛体重が増すほど増え 母牛骨盤外周長が増すほど減じる Johanson and Berger 23 初産分娩月齢の北海道平均は 25 か月齢 事故対策 分娩に耐え得る初産牛の育成 産子体格の小さい精液の選択 ( 黒毛和種精液 性選別乳牛精液 ) 性選別乳牛精液とは X 染色体を持つ精子 ( 雌 ) を高率に選別した乳牛精液 利点産子の 89% が雌 Borchersen and Peacock, 29 母牛難産減少 Norman et al., 21 欠点受胎率低下通常精液の 75-8% Karakaya et al., 214 1% 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% % 乳用母牛の産子雌雄比 92% 92% 49% 49% 47% 47% 89% 89% 45% 45% 45% 45% 性選別通常乳牛通常肉牛性選別通常乳牛通常肉牛 初産牛経産牛 道内 16NOSAI 211~213 14% a 12% 1% 8% %乳用母牛における死産発生率 13.2% 13.2% 6% 産発生率性選別通常乳牛性選別通常乳牛通常肉牛死4% 2% % 8.4% 6.1% 7.7% 8.2% 初産牛経産牛 道内 16NOSAI 211~ % 乳用母牛の妊娠分娩産後疾患死廃事故頭数被害率 ホルスタイン初産牛の分娩後生存率 2.% 1.5% 対比 59% 患%1.% 対比 2.2% 63% 1.3%.5%.8%.5%.5%.% 初 産 牛 経 産 牛 2.% 道内 16NOSAI 211~213 道内 16NOSAI 213

5 ホルスタイン経産牛の分娩後生存率 性選別乳牛精液の生存率が高い要因 産後疾患が少ない体格の小さい雌産子が多いため分娩時侵襲が軽かった 畜主は淘汰を避けたい性選別乳牛精液により受胎した乳牛は 比較的淘汰される割合が低い Xu, 214 道内 16NOSAI 213 性選別乳牛精液の経済効果 ( 全道 ) 性選別乳牛精液の使用により生存期間が延長した母牛の資産価値 ( 個体価額 ) は 6 億円 通常精液を性選別精液に置き換えることによる掛り増し経費 2 億円 効果 費用 = 純益 6 億円 2 億円 = 4 億円 * 母牛の乳量 産子の価格 遺伝的効果を含まない試算値 性選別乳牛精液効果のまとめ 産子の 92% は雌 死産を低減 ( 経産牛 ) 母牛の供用年数を延長 性選別乳牛精液による事故低減が可能 乳用子牛日齢別死廃事故頭数 1 9 出生子牛の事故 ( 死産を除く ) 死廃事故頭数 日齢

6 乳用子牛死廃事故頭数 日齢病名死廃頭数割合 % 胎齢 24 日齢 出生当日死産 3, 新生子疾患 3,343 7 腸炎 3,866 9 肺炎 1, 日齢心不全 1,396 3 その他 66 1 小計 1, 日齢以上 4,585 1 合計 45,469 1 新生子疾患は 新生子疾患 大半が仮死状態の子牛 難産 介助にて出生した子牛はアシドーシスに陥り死亡率高い Schuijt and Taverne, 1994 介助にて出生した子牛は 自然分娩子牛より寒冷ストレス耐性低い Bellows and Lammoglia, 2 出生直後の腸炎 肺炎 出生直後の腸炎 肺炎 受動免疫移行不全 初乳を摂取しなかった子牛は 摂取した子牛より死亡リスクが74 倍高い Wells et al., 1996 寒冷期に難産にて出生し保温されなかった子牛は受動免疫移行不全リスクが 1.6 倍高い Beam et al., 29 出生子牛の事故対策 新生子疾患 ( 死産 難産 ) 分娩に耐え得る初産牛の育成産子体格の小さい精液の選択 ( 黒毛和種精液 性選別乳牛精液 ) 腸炎 肺炎良質で十分な初乳給与 ( 初乳は生後 2~3 週間子牛を守る ) 損害防止機器等の利用 ( 参考 ) ホクレンは 損害防止機器等 ( 子牛加温装置 分娩監視装置など ) の購入費助成 乳牛のための分娩管理 ( まとめ ) 寝起きのしやすいきれいな分娩房 しっかり分娩監視する 早すぎる交配を避ける交配 125cm 35kg 分娩時の体格を大きくする分娩 14cm/6kg 自然分娩を心がける ( 早すぎる助産をしない ) 足胞から初産で2 時間経産で1 時間待ってから介助 過度の牽引はしない 石井三都夫

7 引受廃事故頭数頭乳牛生産の流れ 導入 4 万頭 乳牛 生産の流れ 補充 18 万頭 乳用成牛 7 万頭 販売淘汰 18 万頭 後継 14 万頭 産子 39 万頭 販売淘汰 25 万頭 乳用成牛の販売淘汰 内訳 乳用成牛月齢別譲渡頭数 乳用成牛 7 万頭 25% 販売淘汰 18 万頭 個体販売 14 万頭 死廃事故 4 万頭 乳用 5 成牛 4 頭数 乳用成牛の譲渡時の月齢 乳用成牛規模別引受頭数 乳用成牛規模別死廃事故頭数 45, 8, 9, 2<= <2 7, 8,5 <18 6, <16 8, <14 5, <12 数戸4, 7,5 数<1 <8 3, 7, <6 2, <4 6,5 <2 1, 戸数 6, 4, 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年 27 年 28 年 29 年 21 年 211 年 212 年 213 年 214 年 215 年死離農等 2<= <2 <18 <16 <14 <12 <1 <8 <6 <4 <2

8 乳牛 死廃事故 分娩後に多発する乳牛死廃事故 乳用成牛分娩後日数別死廃事故頭数 その他 21,61 頭 51% 分娩 7 日 9,181 頭 22% 分娩後 8~3 日 7,373 頭 17% 分娩後 31 6 日 4,166 頭 1% 乳用成牛死廃事故多発病名 漸増する心不全 心不全 7,564 頭 18% 乳房炎 4,92 頭 1% 原因究明されていない突然死 ( 朝牛舎で死亡していた etc.) その他 21,828 頭 51% 股関節脱臼 3,998 頭 9% 大規模牛群 分娩後 夏季 高齢牛で多い 乳熱 2,374 頭 6% 関節炎 2,465 頭 6% 原因究明が今度の課題 乳房炎の死廃事故原因菌の内訳 大腸菌性乳房炎致死リスク 負のエネルギーバランス Streptococci 他 6% 黄色ブドウ球菌 6% 詳細不明 25% T. pyonenes 7% 大腸菌 56% 免疫抑制 代謝障害 感染 解毒他 死廃リスク 北海道の家畜共済

9 負のエネルギーバランス対策例 乳熱 周産期疾患の特徴 分娩前後の血液検査の実施 (BHBA 等 ) 負のエネルギーバランス牛の摘発 飼養管理の改善薬剤投与 ( プロピレングリコール ) 乳熱発症リスクは高齢牛ほど高い Peter et al., 28 分娩時に乳熱を発症した乳牛は乳房炎リスクが 8 倍高い Mulligan and Doherty, 28 乳熱の事故対策 治療乳熱は早期発見 早期治療が大切横臥 4 時間で筋肉 神経損傷重度 Goff, 28 予防乳熱は飼養管理指導で予防可能 LeBlanc et al., 26 (DCAD: イオンバランス調整等 ) 第四胃変位 ケトン症事故対策 把握分娩前後検査 ( 血液プロファイル BCS 等 ) 対策飼養管理の改善薬剤の予防的投与 ( プロピレングリコール等 ) 股関節脱臼 関節炎事故対策 滑走転倒 起立困難等 牛床マットの設置 牛舎リフォーム 軟い牛床で飼養される乳牛は 硬い牛床より 乳量が多く 乳房炎 乳頭損傷 淘汰が少ない Rudd et al., 21 農場における情報管理 ( 参考 ) Dairy-Data Linkage system 酪農関連情報 DL PC 版 連結 群データの活用 ( グラフ機能など ) データ / 帳票出力 DL モバイル 支援者の皆様にも ID を配布できます! 北酪検 牛群検定 Web システム DL Dairy-Data Linkage System 個体データの検索 簡単な入力機能 PC 版と連動 28 年 7 月リリース!

10 死産 新生子牛疾患 腸炎 肺炎 事故対策 大腸菌性乳房炎 総 周産期疾患乳熱股関節脱臼 関節炎 括 初産牛育成性選別精液の応用 初乳給与 プロピレングリコール投与 飼料イオンバランス 牛床マット導入 適正管理 診療所別事故発生状況 ( 死廃 病傷 ) ご清聴 分析結果の提供例 有難うございます 月別診療所別分娩頭数 月別組合員別分娩牛事故頭数 月別組合員別事故頭数

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