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1 Ⅱ 感染症関連研究 皆さんおはようございます それでは 本日の午前は感染症関係のお話を4 人の方々に お ( コーディネーター ) 願いしておりますのでお伺いしたいと思いま独立行政法人医薬基盤研究所やまにしこういちす 理事長山西弘一主に ワクチンとか薬剤関係の話になると思いますけれども 4 人の方々には特別な切り口で このことについてお話して頂けると思います そして その後に 今後どういうふうにしていったらいいかというお話を皆さんと一緒に ディスカッションしていきたいと思っております 基盤研のフォーラムでありますので 最初は 基盤研のプロジェクトリーダーの森先生に 30 分ほど このプロジェクトでどういう研究を進めようとしているかという話をして頂きます 話させて頂きます 次世代抗ウイルス ワクチン開発 ( 独 ) 医薬基盤研究所 基盤的研究部長 もり 森 やす康 こ子 医薬基盤研究所感染制御プロジェクトの森と申します よろしくお願いいたします スライド1をご覧下さい 本日は 私たちのプロジェクトであります 新世代ワクチン開発の基盤研究に関してお -174-

2 スライド 1 スライド 2 感染症の現状とワクチン 新世代ワクチン開発の基盤研究 医薬基盤研究所 基盤研究部感染制御プロジェクトプロジェクトリーダー 森康子 新興感染症重症急性呼吸器症候群 (SARS) 新型インフルエンザウエストナイルウイルス ワクチンの問題 MMR 問題 ( 麻疹 風疹 ムンプス ) スライド 3 ウイルス感染症に対する現行のワクチンの分類 生ワクチン ( ポリオ 麻しん 風しん 水痘 ムンプス等 ) 弱毒化した病原微生物 ( ウイルス ) を培養 精製したもの 1 回の接種で一生涯の免疫を期待できる 病原体の起こす本来の症状が軽く出る可能性がある CD8 陽性細胞傷害性 T 細胞を含むすべてのエフェクター効果を誘導できる 不活化ワクチン ( インフルエンザ 日本脳炎等 ) 病原微生物を培養し 必要な成分をホルマリンや熱で不活化 精製したもの 感染性をなくしたもの ワクチンそのものによる感染はない 基本的に複数回の接種が必要 スライド2をご覧下さい まず 現在の感染症の現状とワクチンに関してですが 今 新興感染症 (SARS) や鳥インフルエンザなどの新型インフルエンザ ウェストナイルウイルス等の感染症が話題になっております そして 現在のワクチンですが MMR( 麻疹 風疹 ムンプス ) など三種混合の生ワクチンが問題になっております スライド3をご覧下さい ウイルス感染症に対する現行のワクチンの分類です 生ワクチンと不活化ワクチンがあります 生ワクチンは 現在 ポリオ 麻しん 風しん 水痘 ムンプス等が挙げられます 不活化ワクチンとしましては インフルエンザ 日本脳炎等が挙げられます -175-

3 生ワクチンは 弱毒化した病原微生物を培養 精製したものであり 1 回の接種で一生涯の免疫を期待できます しかし 病原体の起こす本来の症状が軽く出る可能性もあります CD8 陽性細胞傷害性 T 細胞を含むすべてのエフェクター効果を誘導することができるという利点があります 不活化ワクチンは 病原微生物を培養し 必要な成分をホルマリンや熱で不活化 精製したものです 感染性をなくしており ワクチンそのものによる感染性はありません 基本的に複数回の接種が必要となります スライド4をご覧下さい 先程も述べましたように 生ワクチンの利点というものは 不活化ワクチンと異なり 特異的な細胞性免疫 CD+CTLが誘導されるということです スライド5をご覧下さい 生ワクチンと不活化ワクチンのワクチン接種後の抗体価の動きですけれど 先程も述べましたが これが予防レベルとしました場合 生ワクチンの場合は 一度の投与によりまして このように長い抗体価の持続が期待できます しかし 不活化ワクチンの場合は数回のワクチン接種が必要となります 私たちの現在行っている研究目標についてお話させて頂きます スライド4 MHC クラス I による抗原提示を受けない 細胞性免疫 (CD8 + CTL) は誘導されない MHC クラス I による抗原提示を受ける 細胞性免疫 (CD8 + CTL) が誘導される 不活化ワクチン 生ワクチン -176-

4 スライド 5 生ワクチン ワクチン接種後の抗体価の動き ワクチン接種 発症予防レベル 不活化ワクチン ワクチン接種 ワクチン接種 ワクチン接種 発症予防レベル スライド 6 プロジェクトチームの研究目標 1) 抗ウイルス薬開発の基盤研究 2) 新たなワクチン開発のための基盤研究 スライド6をご覧下さい まず抗ウイルス薬開発の基盤研究です 我々は ウイルスが細胞に侵入する過程 そして 子孫ウイルスを作る過程に関して研究をしています それらに結合する その場に関与するウイルス側の因子や また そのウイルス側に結合する細胞性因子を研究して 抗ウイルス剤の開発に繋げたいと考えております そして もうひとつは本日お話させて頂きます 新たなワクチン開発のための基盤研究を行っております スライド7をご覧下さい ウイルス感染症に対するワクチン開発の現在の問題点を述べさせて頂きます スライド 8 をご覧下さい -177-

5 スライド 7 ウイルス感染症に対するワクチン開発の問題点 スライド 8 SARS( 重症急性呼吸器症候群 ;severe acute respiratory syndrome), インフルエンザなどの新興感染症が問題となっている 早急に対処できるワクチンの必要性 現行の生ワクチンは副反応の問題がある 数種のワクチンを数回投与しなければならない 小児の場合 接種頻度をできるだけ少なくすることが大事 1 回接種で終生効果を及ぼすワクチンー多価弱毒生ワクチン 製造者側には 開発コスト ( 治験を含む ) が高い 製造の低コスト 操作の簡便性 が望まれる まず こういったSARS インフルエンザなどの新興感染症が問題となっております そのため 早急に対処できるワクチンの必要性があります 現行の生ワクチンは 副反応の問題があります また 数種のワクチンを数回投与しなければいけません 小児の場合 接種頻度をできるだけ少なくすることが大事です そのために 1 回接種で終生効果を及ぼすワクチン 即ち 多価弱毒生ワクチンの開発が望まれます 製造者側には開発コスト 治験等を含みまして そういったコストが高いという問題点が挙げられます 製造の低コスト 操作の簡便性が望まれます スライド9をご覧下さい そこで私たちは 現在あります水痘生ワクチンへの他のウイルス遺伝子を挿入するという 多価生ワクチンの作製を試みております -178-

6 スライド 9 スライド 10 テーマ 水痘生ワクチンへのへの他のウイルス遺伝子を挿入する 水痘 ( みずぼうそう )Varicella) Varicella,, Chicken pox 成人 多価生ワクチンの作製 小児 Emond,, RTD: A Colour Atlas of Infectious Diseases, Wolfe Medical Books, London, 1974 スライド 11 水痘ウイルス 水痘ウイルスゲノム (DNA ウイルス ) 125kbp TRL IRL IRS US TRS テグメント エンベロープ エンベロープ糖タンパク ヘルペスウイルス カプシド (DNA) スライド10をご覧下さい まず 水痘は 一般的には みずぼうそう といわれています 小児期におきまして初感染を起こします このように発熱を伴いまして水疱を来たします 小児の場合は 治癒する例が多いのですけれど 成人で初感染しますと このように水疱が見られるだけでなく 発熱を伴って 肺炎など呼吸器症状を起こして 死亡する例も見られます ですから 成人の初感染は重症例となります スライド11をご覧下さい この水痘ウイルスなのですけれど この水痘ウイルスは ヘルペスウイルスに属します そして DNAウイルスでありまして DNAの大きさは 約 125kbpとかなり大きいです ですから ウイルスの中でも大きいゲノムを持ったウイルスに属します そして 2 本鎖 DN Aを持つ もちろんDNAウイルスですけれど そのDNAを囲むキャプシッドという殻と そして 最外層にウイルス特異的な糖たんぱくを持つ エンベロープで包まれております そ -179-

7 のエンベロープとキャプシッドは ウイルス由来のたんぱく質からなるテグメントによって覆われております スライド12をご覧下さい 現行の水痘ワクチンに関して お話させて頂きます この水痘生ワクチン Oka 株と呼んでおりますが この水痘生ワクチンは 現在のビケン財団の理事で 大阪大学の名誉教授である高橋先生らによって世界で初めて開発され WH Oに認められた世界でただ一つのワクチンです このOkaワクチン株は 典型的な水痘を呈した患児から分離されたウイルス Oka 原株をヒト胎児胚細胞にて34 度で12 題 モルモット胎児細胞で11 題掲題した後 ヒト2 倍体細胞で数題掲題して得られた弱毒株です このOkaワクチン株を健常児に接種しても 副反応は日本においては全く認められません そこで私たちは このワクチン株の弱毒化に関与している遺伝子の同定 弱毒化機構の解明を目的とし Okaワクチン株とOka 原株の全塩基配列の決定を行いました スライド13をご覧下さい この図は ワクチン株の全塩基配列をお示ししています この示している矢印はコードしているたんぱく質です その中で このピンクの色で示した部分 この部分にアミノ酸の置換が見られました そして この濃いピンクなのですけれど この62という遺伝子と71 これは リピート領域ですので同じ遺伝子ですけれど この領域に多くのアミノ酸置換が認められました スライド12 水痘生ワクチン 水痘生ワクチンOka 株 (Okaワクチン株) は高橋らによって世界で始めて開発され WHOに認められた世界でただ一つのワクチンである このOkaワクチン株は 典型的な水痘を呈した患児から分離されたウイルス (Oka 原株 ) を ヒト胎児肺細胞に34 で12 代 モルモット胎児細胞で11 代継代後 ヒト二倍体細胞で数代継代して得られた弱毒株である Okaワクチン株を健常児に接種しても副反応はほとんど認められない そこで我々は 弱毒化に関与している遺伝子の同定 弱毒化機構の解明を目的とし Oka ワクチン株と Oka 原株の全塩基配列の決定を行った -180-

8 スライド 13 ワクチン株と原株との塩基配列の比較 TRL 1 nt 2 7 9A R3 20k 40k 1 R UL 60k 80k Ori R k IRL IRS 120k US TRS R R4 65 Ori 6970 silent mutations in noncoding region 125k(bp) deletions or insertions causing aa conversion スライド 14 1)Oka ワクチン株及び Oka 原株の全塩基配列を決定 比較した結果 42 の塩基置換 (20 アミノ酸置換 ) が検出された アミノ酸置換は 12 の遺伝子 (gene 6, 9A, 10, 21, 31, 39, 50, 52, 55, 59, 62, 64) に存在した 2)42 の塩基置換 (20 アミノ酸置換 ) のうち 15 塩基置換 (8 アミノ酸置換 ) が遺伝子 62 領域に集中していることが判明した 3)Oka ワクチンはミックスポピュレーションであった ワクチンウイルスのクローニング Oka 原株の IE62 と比較して 8 アミノ酸置換を持つクローン (S7-01) と 5 アミノ酸置換を持つクローン (S7-13) を分離した スライド14をご覧下さい 即ち そのOkaワクチン株及び Oka 原株の全塩基配列を決定しましたが その比較した結果 二重アミノ酸の置換が検出されました アミノ酸置換は 12の遺伝子に存在しました また その二重アミノ酸置換のうち8アミノ酸置換が先程濃いピンクで示していましたが その遺伝子 62の領域に集中していることが判明しました Okaワクチン株は そして この塩基配列の決定を行っている過程におきまして 私たち -181-

9 スライド 15 ワクチン株と原株でのアミノ酸比較 原株 ワクチン株 position gene Oka parent Oka vaccine S7-01 S7-13 function 5745 nt gene 6 A (Ser) G (Pro) G (Pro) G (Pro) helicase/primase complex gene 9A T (Trp) T/C(Trp/Arg) T (Trp) C (Arg) unknown gene 10 T (Ala) T/C(Ala/Val) C (Val) C (Val) α-tif gene 21 C (Thr) C/T(Thr/Ile) T (Ile) C (Thr) latent associated protein gene 31 A (Ile) A/G(Ile/Val) G (Val) A (Ile) gb gene 39 T (Met) T/C(Met/Thr) C (Thr) C (Thr) unknown gene 50 T (Ser) T/C(Ser/Gly) T (Ser) T (Ser) HSV-1 gm homolog gene 52 A (Ile) A/G(Ile/Val) A (Ile) G(Val) helicase/primase complex G (Ala) G/A(Ala/Thr) G (Ala) A(Thr) gene T (Cys) T/C(Cys/Arg) C (Arg) T (Cys) helicase/primase complex gene 59 A (Leu) A/G(Leu/Pro) A (Leu) A (Leu) uracil-dna glycosylase A (Leu) A/G(Leu/Ser) G (Ser) G (Ser) T (Ile) C (Val) C (Val) C (Val) A (Val) G (Ala) G (Ala) G (Ala) A (Arg) C (Gly) C (Gly) C (Gly) gene T (Ser) C (Gly) C (Gly) C (Gly) IE62, transactivator A (Val) A/G(Val/Ala) G (Ala) A (Val) A (Leu) A/G(Leu/Pro) G (Pro) A (Leu) A (Met) A/G(Met/Thr) G (Thr) A (Met) gene 64 A (Gln) A/G(Gln/Arg) G (Arg) A (Gln) unknown は このOkaワクチン株がミックスポピュレーションであることも同定しました そこで このワクチンウイルスのクローニングを試みました スライド15をご覧下さい その結果 このOka 原株の先程示した62という遺伝子と比較して 8アミノ酸置換を持つクローン S7の01というクローンと 5アミノ酸置換を持つクローンS7の13を分離いたしました そのアミノ酸置換の変化を示したものです この遺伝子 62に注目して頂きたいと思います スライド16をご覧下さい これが原株です そして これがワクチン株のミックスの分です そして 先程お話した S7-01とS7-13です このように62のところにおきまして この赤で示した部分が黄色になっているというのは アミノ酸置換を示しているのですけれど 8つのアミノ酸置換が見られ このS7-01は 5 つのアミノ酸置換が見られました そこで 今度は このS7-01とS7-13のウイルスのグロースを比較してみました これは プラークアッセーといいまして ウイルスが増殖しましたら このようにプラー -182-

10 スライド 16 ワクチン株は 原株と比較し プラークサイズが小さい ( 弱毒化に遺伝子 62 の関与 ) Oka 原株 Oka ワクチン P<0.01 S7-01 S7-13 mean diameter (mm) Oka Oka S7-01 S7-13 parentvaccine クを形成します そのプラークのサイズを比較したものです これが Oka 原株です そして Okaワクチン株 この図で示しますように この一つひとつのプラークのサイズは 明らかにワクチン株のほうが原株より小さいことが分かります そして 先程示しましたクローンなのですけれど アミノ酸置換の多かった株とアミノ酸置換が5つであった株を比較しましても ややこの8 個のアミノ酸置換が見られた株のほうが このようにプラークサイズが小さいことが分かります もちろん これらの株はOka 原株 野生型に比べてこのプラークの大きさは もちろん小さいことが分かります これは プラークサイズの直径をグラフにしたものなのですけれど Oka 原株に比べて ワクチン株 その変異があった01 13 株ともに直径が小さいことが分かります ということより この結果より この弱毒化には この水痘ウイルスの遺伝子 62が関与しているということが分かりました 今後 更なる機能解析を行っていきたいと考えております スライド17をご覧下さい 今度は 話を元に戻すのですけれど このウイルスベクターとして 私たちはなぜ 水痘ウイルスを使おうとしているのでしょうか 現行の弱毒生ワクチンがまず存在するということです これは 副反応は認められません そして 約 70 個の遺伝子をこのウイルスはコードしているDNAウイルスです ということは 即ち 全長も125kbpと非常に長いです このことより ウイルス増殖に必須な遺伝子がもちろん多い可能性があります ということは 様々な他の 外来遺伝子をこのベクターに組み込むことが可能になるわけです スライド 18 をご覧下さい -183-

11 スライド 17 スライド 18 ウイルベクターとして何故水痘ウイルスか? 何故生ワクチンか? 1) 現行の弱毒生ワクチンが存在する ( 副反応なし ) 2) 約 70 個の遺伝子をコードしている DNA ウイルスであり 全長 125kbp と長い 3) ウイルス増殖に非必須な遺伝子が多い可能性がある 液性免疫能 ( 中和抗体 ) の誘導 細胞性免疫能の誘導 1 回の接種で終生免疫を獲得できる可能性 様々な他の外来抗原遺伝子を組込むことができる可能性がある スライド 19 何故多価生ワクチンか? 1) 数種類の生ワクチンを投与すると各々のウイルスが生体内で増殖することになり臨床反応がそれだけ強くなる可能性あり 2) 多価ワクチンは 1 種類の生ウイルスが増殖するのみ 3) 製造がより容易 1 種類の生ワクチンの接種で複数のウイルス抗原に対する免疫能が誘導され複数のウイルス感染に対する防御効果が期待できる では なぜ生ワクチンなのでしょうか 液性免疫能の誘導は期待できます これは 不活化ワクチンでも同じです 先程も述べましたが 大きなポイントとして特異的な細胞生命機能の誘導が期待できます そして 不活化ワクチンに比べて生ワクチンは 免疫能の強力な免疫能ということから 1 回の接種で終生免疫を獲得できる可能性も期待できます スライド19をご覧下さい では なぜ多価生ワクチンなのでしょうか 数種類の生ワクチンを投与しますと 各々のウイルスが生体内で増殖することになります そうすると やはりその分 臨床反応が強くなる可能性があります また この多価ワクチンは それに比べて1 種類の生ワクチンが増殖するだけです また製造はより簡単です 一種類の生ワクチンの接種で複数のウイルス抗原に対する免疫能が誘 -184-

12 スライド 20 たとえばムンプスウイルス ムンプスウイルス Genomic RNA (-) strand ~15.4kb 3 5 NP P M F SH HN L 組み込むための外来遺伝子 NP P/V M F SH HN L ウイルス粒子 S S F HN ムンプスウイルスに対する生ワクチンは副反応の問題 導され 複数のウイルス感染に対する防御効果が期待できます スライド20をご覧下さい 今度は ではこの水痘ウイルスに外来遺伝子を組み込むのですけれど ではどういった遺伝子を組み込んだらいいかという組み込むための外来遺伝子です 今回 私たちは 例えばムンプスウイルスを考えてみました ムンプスウイルスは RNAウイルスです そして 現行ムンプスウイルスの生ワクチンが存在しますが 髄膜炎等の副反応が問題とされています そこで私たちは ムンプスウイルスの抗原を水痘ウイルスに組み込むことを考えました そのムンプスウイルスですが このウイルス粒子の表面にHNとFというたんぱく質が発現しています このHNは ウイルス粒子が細胞に接着するときに必要な分子で このFは細胞膜との融合に重要であるとされています ウイルスが感染した後 このHNとFに対する中和抗体が体の中ででき これらの抗体がウイルスの感染をブロックするとされています そこで私たちは このHNとFを組み込むことを考えました スライド21をご覧下さい まず ベクターとして適切なウイルスとして 私たちは水痘ワクチンを選びました 外来遺伝子としましては 今回はとりあえず ムンプスウイルスのHNだけを試みました そして その水痘遺伝子にムンプスウイルスのHNを組み込むという 組換えウイルスの作製を試みました -185-

13 スライド 21 組換え多価ワクチン作製の試み ベクターとして適切なウイルス 水痘ワクチン 外来遺伝子の選定 ムンプスウイルス HN ウイルスベクターへ外来遺伝子の導入 組換えウイルスの作製 HN 遺伝子をもつ水痘ウイルス スライド 22 ムンプス HN 遺伝子をもつ水痘組換えウイルスの作製 水痘ウイルスは 感染細胞上清中にウイルス粒子を検出できない ウイルス伝播は細胞間のみ ウイルス感染細胞内での組換えは容易ではない 大腸菌内での相同組換え 水痘ウイルスゲノムの BAC(bacterial artificial chromosome) へのクローニング スライド22をご覧下さい その組み込みですが まず ムンプスウイルスHN 遺伝子をもつ水痘組換えウイルスを作製します この組換えを起こすためには もちろん組換えを起こさないといけないのですけれど この水痘ウイルスは 感染細胞醸成中にウイルス粒子を検出できず ウイルスの伝播というのは 細胞間のみです ということは そのウイルスの感染細胞内での組換えというのは 容易ではありません そこで私たちは 大腸菌内でこれらの遺伝子を組換えできるという方法を利用しました それは この水痘ウイルスゲノムのBACベクターへのクローニングです -186-

14 スライド 23 BAC(bacterial artificial chromosome) ベクターとは? BAC は大腸菌の中において単一コピーで維持される F 因子プラスミドに基づくクローニングベクターである BAC には 300 kb をも越える DNA 断片をもクローニングすることが可能 このクローン化された DNA は大腸菌のなかで 極めて安定に維持 増幅することができる 現在では バキュロウイルス サイトメガロウイルス 単純ヘルペスウイルスなどヘルペスウイルスゲノムが続々と BAC にクローニングされている スライド23をご覧下さい BAC(bacterial artificial chromosome) ベクターとは何なのでしょうか BACは 大腸菌の中において 単一コピーで維持されるF 因子プラスミッドに基づくクローニングベクターです このBACは 300kbをも超えるDNA 断片をクローニングすることが可能です このクローン化されたDNAは 大腸菌の中で極めて安定に維持 増幅することができます 即ち 私たちは この水痘ゲノムへのBACベクターへのクローニングを試みました そして 世界に先駆け水痘ワクチンゲノムのBACベクターへのクローニングに成功しました スライド24をご覧下さい その方法ですが このBACベクターの両端に 組換を起こさせたい部分の水痘ウイルスの遺伝子を置きます そして この遺伝子配列を感受性細胞 これは 水痘ウイルスが感染できる細胞ですけれど その中に遺伝子導入します そしてその後 水痘ワクチンウイルスを感染させます そうすると この細胞の中で このBACベクターを持った水痘ワクチンウイルスができ上がります これを何度か 例えば 薬剤選択などによって純化するのですけれど 完全には全く純化できません そこで そういった純化を繰り返しまして 組換ウイルスの割合が全体の10% になった状態で この混ざり合ったウイルスを感受性細胞に感染させます そして 感染早期は この DNAウイルスは環状になっていますので この感染早期に この感受性細胞から環状 DN Aを抽出します これはもちろん 細胞側の因子も含めたすべての環状 DNAが抽出されることになります この環状 DNAを大腸菌に導入しまして そして 薬剤選択によりまして DNAを取ってきます その中には この最終的な段階では BACベクターに組み込まれた水痘ウイルスゲノムのみが抽出されることになります -187-

15 スライド 24 水痘ワクチンゲノムの BAC ベクターへのクローニング 水痘ワクチンウイルス BAC 感受性細胞 VZV genome 感受性細胞 E.coli スライド 25 水痘 (VZV) ゲノムよりウイルス粒子産生 BAC ベクター + 水痘 DNA 感受性細胞 ウイルス粒子産生 スライド25をご覧下さい そして今度は この水痘ゲノムよりウイルス粒子の産生を行います このバックベクター 水痘ゲノムがバックベクターに入っていますけれど このベクターを感受性細胞に導入します 遺伝子導入することによって このクローン化されたウイルスが産生されることになります このシステムを用いて 私たちは組換を行いました -188-

16 スライド 26 外来遺伝子を水痘ウイルスゲノムに挿入するために TRL IRL IRS US TRS 水痘ウイルスゲノムのどこに挿入するか? ウイルス増殖に非必須な遺伝子の探索 候補となるウイルス遺伝子を欠損させたウイルスの作製 スライド26をご覧下さい その前に 外来遺伝子を水痘ウイルスゲノムに挿入するために その前に では考えないといけないことがあります 水痘ウイルスゲノムでは どこに挿入するのかということ まず その場所ですが もちろん水痘ウイルスの増殖に非必須な遺伝子ということになります そして この遺伝子の探索を行います 候補となるウイルス遺伝子を欠損させたウイルスの作製を行いました スライド27をご覧下さい 私たちが候補としたのは このゲノムですけれど 水痘ウイルスのゲノムの13という遺伝子です ちなみに このBACベクターは遺伝子の11と12の間に挿入しております そして この13が本当にウイルス増殖にいらない遺伝子なのかということを調べるために 大腸菌内での相同組換えを使いますがこの13の遺伝子をカナマイシンの耐性遺伝子 この13の遺伝子をつぶすためにカナマイシン耐性遺伝子をこの部分に入れ込みます そのためにカナマイシン耐性遺伝子の両側に13の遺伝子に創造的な配列を付け加えます スライド28をご覧下さい そして この大腸菌の中に すでに この水痘 DNAを持ったBACベクターを入れておきます そして そこに先程のカナマイシン耐性遺伝子の両脇に相同性のある部分を入れた遺伝子を導入します そして このカナマイシン耐性遺伝子を持っていますので カナマイシン耐性のプレートにてセレクションをかけます そうすると 取れてくるこのBACベクターというものは 13の遺伝子を欠失していることになります そして このプラスミッド状態になっているのですけれど この遺伝子を感受性細胞 これは 水痘ウイルスの感受性 -189-

17 スライド 27 遺伝子 13 を欠損させた組換えウイルスの作製 TRL IRL IRS US TRS 11 BAC 水痘ワクチンウイルスゲノム +BAC 相同組換え カナマイシン耐性遺伝子 14 スライド 28 カナマイシン耐性遺伝子 遺伝子欠損ウイルスの作製 13 BAC ベクター + 水痘 DNA 13 RecE, RecT E.coli 遺伝子 13 を欠損させる 感受性細胞 感染性ウイルスが産生されるかを検索する -190-

18 Qui cktim eý Dz TIFFÅiàèkǻǵÅj êlí ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå ÇÈÇžÇ½Ç ÇÕïKóvÇ-Ç ÅB QuickTimeý Dz TIFFÅià èkç»çµåj êlí ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå ÇÈÇžÇ½Ç ÇÕïKóvÇ-Ç ÅB Qui cktim eý Dz TIFFÅià èkç»çµåj êlí ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå ÇÈÇžÇ½Ç ÇÕïKóvÇ-Ç ÅB QuickTimeý Dz TIFFÅiàèkǻǵÅj êlí ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå ÇÈÇžÇ½Ç ÇÕïKóvÇ-Ç ÅB 細胞ですけれど 水痘ウイルスの感受性細胞に導入します すると 感染性ウイルスが産生されるのかどうかということを調べるわけです もし この13の遺伝子がウイルス増殖に必要なければ ここでウイルス粒子が産生されることになります スライド29をご覧下さい その結果です 欠損ウイルスです そして 野生型のウイルスです この水痘ウイルスは 感受性細胞 これはMRC5という細胞を使っていますが この細胞に感染させますと 感染した部分の細胞が丸くなって ウイルスが感染したということが分かります それを私たちは細胞変性効果と呼んでいます 先程の欠損ウイルスのゲノムと野生型のゲノムを細胞に導入した結果 このように細胞変性効果が見られました ということは 即ち 遺伝子 13の欠損ウイルスは 感染細胞中で野生型と同様増殖することができました 遺伝子 13は ウイルス増殖には必要ないということが分かったわけです スライド30をご覧下さい そこで 本題に入るわけですけれど 今度は ムンプスのHN 遺伝子を13 遺伝子と置換するということを試みました このムンプスのHN 遺伝子を発現させるために 私たちは サイトメガロウイルスのIEプロモーターを使いました スライド29 感受性 (MRC-5) 細胞に遺伝子導入 細胞変性効果 野生型 欠損ウイルス 遺伝子 13 欠損ウイルスは 感染細胞中で野生型と同様増殖することができる 遺伝子 13 はウイルス増殖には必要ない -191-

19 スライド 30 ムンプス HN 遺伝子を 13 遺伝子と置換する 水痘ワクチンウイルスゲノム +BAC TRL IRL IRS US TRS 11 BAC upstream downstream 13 upstream ムンプス HN CMVIE プロモーター 13 downstream また 先程と同じなのですけれど 今度は HN 遺伝子の両脇に この相同組換えを起こさせる水痘ウイルスゲノムの配列を加えておきます そして これは 大腸菌の中で起こさせます そして 薬剤選択などによりまして このHN 遺伝子が13 遺伝子と置き換わったプラスミッドが取れてきます そして このプラスミッドを感受性細胞に遺伝子導入します そして 組換水痘を作製するというわけです スライド31をご覧下さい その結果ですけれど この遺伝子を感受性細胞に導入した結果です このように3 日後 先程お示ししました細胞変性効果が現れました これは この組換ウイルスが増殖していることを示します スライド32をご覧下さい では まず確認としまして この水痘ウイルスゲノムにHN 遺伝子は本当に組み込まれているのでしょうか それを確認しました まず 先程取りましたプラスミッドを制限酵素で切断しました これは オリジナルです そしてこちらは HNを組み込んだ水痘ウイルスゲノム 制限酵素で切断するパターンから調べますと この部分がシフトしている結果に予測的にはなりました そして このシフトが確実に認められました これをコンファームするために 私たちはHN 遺伝子をプローブとしてサザンブロティングを行い HN 遺伝子は 水痘ゲノムに組み込まれているという -192-

20 スライド 31 SacB RepAts pko5 Zeo r RepAts Tet r pdf25 RecA DH10B RecA E.coli MRC-5 細胞に遺伝子導入 3 日後 HN MRC-5 細胞 感受性細胞 組換え水痘ウイルス 細胞変性効果が現れるウイルス増殖 スライド 32 水痘ウイルスゲノムに HN 遺伝子は組み込まれているか? 水痘水痘 +HN Southern blot Marker sizes 水痘 水痘 +HN Marker sizes bp ORF13 (900 bp) ORF bp cmv promoter-mumps HN (2500 bp) cmv mumps HN 9350 bp プローブ ORF13 上流 -193-

21 スライド 33 HN 遺伝子は 水痘ウイルス感染細胞で発現しているか? Anti-HN 抗体 水痘ウイルス感染細胞 ことを確認しました スライド33をご覧下さい では 今度はこのHN 遺伝子は 水痘ウイルス感染細胞で実際 発現しているのかということを調べました この水痘ウイルス感染細胞を蛍光抗体法にてHN 抗体を用いて調べてみましたところ このようにHN 遺伝子の発現が確認されました スライド34をご覧下さい 今度は 実際 HNは 水痘ウイルスゲノムに入り込んだのですけれど 感染細胞の中でできたウイルス粒子には 存在しているのかということを調べました なぜなら HNたんぱくは ムンプスの中ではウイルス粒子に存在しているからです 行った方法は免疫電顕です このgEというのは 実際水痘ウイルス粒子に存在する遺伝子産物ですが このgEは ウイルス粒子に存在していることが分かりました そして HNですけれど HNは ウイルス粒子には存在しておりませんでした そして この細胞膜のところに ほとんど検出されるという結果になりました HNは 水痘ウイルス粒子には存在しませんでした 即ち 本組換えウイルスのトロピズム ( 細胞向性 ) は変化しないということが分かりました スライド 35 をご覧下さい -194-

22 スライド 34 HN は ウイルス粒子に存在するのか? ge ウイルス粒子構成遺伝子 QuickTimeý Dz TIFFÅiLZWÅj êlí ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå Ç ÈÇžÇ½Ç ÇÕïKóvÇ-Ç ÅB PM HN HNは 水痘ウイルス粒子に存在しない ウイルスのトロピズム ( 細胞向性 ) は変化しない スライド 35 組換え多価生ワクチン 水痘ウイルス ムンプスウイルス 水痘ウイルスに対する免疫能 外来遺伝子 (HN) 実験動物への投与 水痘ウイルスへの外来遺伝子 (HN) の導入 組換えウイルス 人体への投与 ムンプス遺伝子由来タンパク質および水痘ウイルス蛋白質の発現 外来遺伝子を保持するヘルペスウイルス粒子を作製し 実験動物に投与して安全性及び有効性を確認する 安全性 有効性が確認されたウイルスを人体に投与し 実用化 -195-

23 今後は このウイルスを使って まず動物実験を行いたいと思っています この組換えウイルスがムンプスウイルス 水痘ウイルスに対する免疫能を誘導することができ これらのウイルスに対する感染を本当にブロックできるのかどうかということを確認したいと思っております そして 今後は 有効性 安全性を確認した後 人への投与を行い 実用化に向けて研究していきたいと思っております スライド36をご覧下さい そして少し話は 変わるのですけれど 現在私たちは これはプレリミナリーな結果ですけれど ヒトヘルペスウイルス6 7というリンパ球系で増殖できないウイルスの研究も行っています このウイルスは 主にリンパ球系の細胞で増殖することができます 即ち これらの遺伝子のプロモーターは抗原提示細胞で より強力に働くプロモーターになる可能性があるではと考えております そして この遺伝子の前初期遺伝子のプロモーターをよく市販されている サイトメガロウイルスのプロモーターと比較しました それは この免疫系のマクロファージやデンドリティック細胞でその活性を比較しましたところ このようにサイトメガロウイルスのプロモーターに比べて やや強力な活性が見られました 今後は これらのプロモーターもその遺伝子の発現に使えるのではないかということで より深く研究していきたいと思っております スライド36 抗原提示細胞 (Mø, DC) で働く強力なプロモーター ヒトヘルペスウイルス 6,7(HHV-6, HHV-7) 800U/ml GM-CSF で 7 日間刺激 (1 日おきに培地を半分交換 ) Macrophages PBMCs 2%FCS/RPMIで37?C 1 時間 浮遊細胞を除去 接着細胞を回収 monocytes 800U/ml GM-CSF+ 400U/ml IL-4 で 7 日間刺激 ( 中日に培地を半分交換 ) Dendritic Cells QuickTimeý Dz TIFFÅià èkç»çµåj êlí ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå ÇÈÇžÇ½Ç ÇÕï Kóv Ç-Ç ÅB QuickTimeý Dz TIFFÅià èkç»çµåj êlí ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå ÇÈÇžÇ½Ç ÇÕïKóv Ç-Ç ÅB fold activity CMVP 6MIEP 6U95P 7MIEP 7U95P fold activity CMVP 6MIEP 6U95P 7MIEP 7U95P -196-

24 スライド 37 今後の方針 自然感染に近い接種経路ー粘膜投与 ( 経鼻投与 ) 新型インフルエンザウイルス ウエストナイルウイルス SARS 倫理問題を解決 組換え多価生ワクチンの投与実用化 ワクチン投与により感染症の予防 国民の 95% にワクチン接種の必要性 国民の安全 生活の向上 スライド37をご覧下さい 今後の方針ですが 現在この水痘ワクチンというものは 皮下接種で行われていますが 今後は 自然感染により近い接種経路 経鼻投与なども考えていきたいと思っています また その外来遺伝子ですが 新型インフルエンザウイルスやウエストナイルウイルス SARSなどの抗原遺伝子も組み込むことを今後は 考えていきたいと考えています ただ この組換えウイルスというのは かなり多くの倫理問題を抱えていますので こういった問題を早急に解決していかなければならないと思っています そして 組換え多価生ワクチンの投与実用化に向けて 研究を進めていきたいと思っております ワクチン投与により 感染症の予防はもちろん期待できます こういった感染症の予防というものは 今後 国民の安全性 そして生活の向上につながっていくと考えられます ( コーディネーター : 山西氏 ) 有難うございました それでは 時間もちょっと過ぎておりますので もしご質問がありましたら パネルディスカッションのところでして頂くということで お願いしたいと思います -197-

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