平成○○年度

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1 平成 29 年度 業務年報 山形県森林研究研修センター

2 目 次 研究 1 平成 29 年度試験研究課題と目的 2 2 課題別試験研究成果の概要 5 3 研究成果の公表 31 4 研究成果 設計検討会及び研究評価の概要 33 5 森林 林業に関する指導 相談等 36 関連事業 1 林木育種事業 43 普及指導事業 1 林業普及指導事業 林業技術向上対策事業 46 2 森林経営指導部における指導及び研修会等の実績 50 参考資料 1 組織及び職員 57 2 平成 29 年度一般会計決算額 58 3 図書資料 定期刊行物等の管理 59 4 委嘱委員 60 5 平成 29 年度農林大学校における講義 実習指導等実績 61 6 平成 29 年度山形大学農学部講義等実績 63 7 表彰 63 8 気象観測 64 1

3 1 平成 29 年度試験研究課題と目的 Ⅰ 森林を育てる技術森林経営に関する研究開発 1 山形県スギ林分収穫予測の精度向上に関する技術開発 ( 県単 :H26~30 継続 ) 対象林分から収穫される丸太の規格と量を予測する資料として 胸高直径と樹高から任意の高さ における立木の直径を推定するために 山形県スギ細り表 を作成することを研究のねらいとする 2 伐採地の立地環境に応じた目標林型設定技術の開発 ( 県単 :H28~32 継続 ) 林業経営においては 経済林もしくは環境林など明確な目標林型を定めたうえで確実に管理を実行することが重要である 本研究では 樹木の成育と立地環境 ( 植生 地形 土壌など ) を指標として 伐採跡地をどのような森林にすべきか目標林型を明確に設定するための技術を開発する 3 海岸林の低コスト育成管理技術の開発 ( 県単 :H27~31 継続 ) クロマツの植栽本数は 全国的には 10,000 本 /ha が標準とされているが 本来は立地環境に応じた植栽本数が採用されるのが望ましいと考えられる そこで 植栽本数が異なる若齢林を調査し 樹形や下刈期間等を考慮した適正な植栽本数を検討する 4 クロマツコンテナ苗の管理場所と成長段階における菌根菌感染率 ( 県単 :H27~29 継続 ) 今後の海岸林造成に導入が見込まれるコンテナクロマツ苗にショウロを感染させる技術を確立 することを目的とする 5 カバークロップとして導入したワラビの下刈軽減効果 ( 外部資金共同研究 :H28~30 継続 ) スギの再造林地の一部に, カバークロップとしてワラビポット苗を植栽し, スギ植栽木とワラビ の成長の推移を調査して下刈軽減効果を検討する 6 造林木の新品種の開発と種苗生産に関する試験 ( コンテナ育苗技術の実証試験 ) ( 県単林木育種事業 :H25~ 継続 ) コンテナ苗の初期成長は 形状比をはじめとする育苗方法に由来する形質の影響が大きいが, コンテナ苗は 45 30cm のコンテナに 40 本 (JFA150 の場合 ) の苗木を育成するため 形状比は総じて高い そこで 育成密度を変えることによってどれだけ苗木の形状比を向上させることができるかを検討する 7 カラマツの種子生産とコンテナ育苗試験 ( 受託 :H29~31 新規 ) 合板用原料として急激に需要が高まっているカラマツの安定的な採種園造成とコンテナ苗育成 技術を検討する 8 荒廃森林モニタリング調査 ( 荒廃森林緊急整備事業 )( 県単 :H29~33 新規 ) 荒廃森林整備後の植生変化等をモニタリングし 今後の荒廃森林の整備技術の向上を図る 2

4 9 革新的技術によるスギ ヒノキ花粉症対策品種の種苗生産量の加速化と省力的生産技術の確立 花粉症対策品種の生産技術開発と新品種開発を行う ( 外部資金共同研究 :H29~31 新規 ) 10 耐雪性スギ系統にみられる特異的な年輪構造が根元曲がり抵抗性に及ぼす影響の解明 ( 外部資金共同研究 :H29~31 新規 ) 根元曲がりが少ないスギ系統を細胞レベルで調査し その特異的な構造が根元曲がりの抵抗性に与える影響を解明する Ⅱ 森林を活かす技術県産木材等の需要拡大に関する研究開発 11 森林資源有効活用作業システム調査 ( 国庫交付金 :H27~29 継続 ) A B 材の搬出を含めた全木利用 ( カスケード利用 ) の作業システムは 個々の事業体が手探り で実施している段階であり 事例の収集と分析を行う 12 県産スギ丸太材の天然乾燥スケジュールの開発 ( 県単 :H27~29 継続 ) 公共木造建築物等に県産スギを丸太材のまま使用する事例が出てきていることから 表面割れの発生が少なく低コストな乾燥技術を開発するため 天然乾燥における含水率の低下や表面割れの発生状況等の特性を調査した また 中温乾燥機を使った前処理の表面割れ発生低減効果を検証する 13 成長の早いヤナギを利用した木質バイオマス圃場生産技術の開発 ( 県単地球温暖化対応プロジェクト総合戦略事業 :H27~31 継続 ) 圃場栽培におけるヤナギ収穫量の目安として木質バイオマスの乾燥重量が用いられるが 材積の測定と比べ乾燥重量は容易に測定できない そこで 材積から絶乾重を簡易的に推定することを目的として 採取したヤナギの円盤の体積と絶乾重の関係を検討する 14 キノコ新品種開発と品目転換に対応した生産技術の開発 ( 県単 :H29~31 新規 ) 近年 大手工場などの参入などにより競争が激化している菌茸生産現場において 市場における有利性を確保するため キノコの新品種開発と市場動向等に応じた品目転換を容易にする生産技術を開発する 15 漆量産木の DNA マーカーの開発 ( 外部資金共同研究 :H28~29 継続 ) 国産漆の増産技術及び未利用漆の改質 利用技術の開発を目的とする 16 県産広葉樹資源活用のための特質解明と新たな用途開発 ( 国庫交付金 :H29~31 新規 ) 高齢大径化してきている広葉樹の資源分布調査と新たな広葉樹材の活用技術を開発する 17 木質バイオマス発電に適する樹種の選抜 ( 県単若手チャレンジ研究事業 :H29 新規 ) バイオマス発電用の燃料材に適する県内自生種を明らかにするために 文献情報と野外調査によ り材質 成長特性を調べる 3

5 Ⅲ 森林を守る技術健全な森林の育成に関する研究開発 18 急激な被害をもたらす森林病虫獣害の調査 ( 国庫交付金 :H26~30 継続 ) 県内で発生した急激な被害をもたらす森林病虫獣害の調査を実施して, 林業普及指導員や森林保 護事業担当職員が県民に対して広報するとともに, 被害状況に応じた対策を検討 提案する 19 薬剤使用の制約に対応する松くい虫対策技術の刷新 ( 外部資金共同研究 :H27~29 継続 ) 薬剤使用が制限される中で 薬剤に頼らず松くい虫被害の拡大を抑止するため マツノザイセン チュウの強度接種等により 強い抵抗性を持つクロマツ品種を選抜する 20 マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツの選抜 ( 県単林木育種事業 :H7~ 継続 ) マツノザイセンチュウ抵抗性候補木から種子及び接ぎ木による苗木を養成し 線虫接種検定によ り抵抗性個体を選抜するとともに 採種園の造成 苗木増殖技術を開発する 21 ナラ枯れ予防剤に関する基礎試験 ( 受託 :H29~30 組替新規 ) 山形県をはじめ全国で発生しているナラ類集団枯損に対し 固形剤による有効な予防方法を検討 し, 被害軽減に向けた事業での利活用に耐えうる効率的な防除技術を開発する 22 殺線虫剤によるマツクイムシ予防基礎試験 ( 受託 :H29~30 新規 ) 山形県をはじめ全国で発生しているマツクイムシ被害に対し 殺線虫材による有効な予防方法 を検討し, 被害軽減に向けた事業での利活用に耐えうる効率的な防除技術を開発する 23 ニホンジカに関する調査 ( 国庫交付金 :H28~30 新規 ) 低密度であり被害がない現時点で, 先進県などの事例を参考に今後予測される事象や被害につい て整理し, 迅速に対応できるよう対策フロー図を検討する 24 森林生態系保全モニタリング事業 ( 県単生物多様性戦略推進事業 :H28~32 新規 ) 衰弱している山形蔵王のアオモリトドマツの被害実態や林況を把握し 講じるべき対策手法を検 討する 25 森林へのタケ侵入防止に向けた調査 ( 国庫交付金 :H29~31 新規 ) 近年庄内地方を中心に 放棄された竹林が拡大し周辺の森林への侵入している状況が拡大しつつ あるため 森林へのタケ侵入防止の実態調査と侵入竹の対策方法の検討を行う 4

6 2 課題別試験研究成果の概要 Ⅰ 森林を育てる技術森林経営に関する研究開発 Ⅱ 森林を活かす技術県産木材等の需要拡大に関する研究開発 Ⅲ 森林を守る技術健全な森林の育成に関する研究開発 〇成果情報記号の区分 [ 指 ]: 技術指導の参考となる成果 [ 政 ]: 行政施策等に反映すべき成果 [ 研 ]: 研究開発に有効な成果 5

7 Ⅰ 森林を育てる技術森林経営に関する研究開発 6

8 山形県スギ林分収穫予測の精度向上に関する技術開発 試験 研究担当上野満 千葉翔試験 研究期間平成 26 年度 ~30 年度予算区分県単独試験 研究のねらい山形県における再造林樹種はスギが大多数であるが, 近年カラマツにも注目が集まっている 県内のカラマツ造林は,1940~1950 年代頃に盛んに行われたが, その後はほとんど実施されなかったため, 県内のカラマツ造林の実態は明らかにされているとは言えない 本研究では, 造林樹種を選択するための基礎資料を得ることを目的として, カラマツの成育状況を調査しスギの成長と比較した 試験 研究の成果 1 県内の 56~65 年生時におけるカラマツの成長は, 林分により大きくバラつきが生じていた カラマツの樹高は 総じて幼 若齢期からスギに比べ高い傾向があり, 地位の低い箇所ではスギと同程度であるが, 地位の中 ~ 高い箇所ではカラマツの樹高が高い傾向が見られる 立木本数は, 30 年生頃までに急激に減少し, 以後 500~1,000 本 /ha 程度で推移する 本数を減少させる原因は, 雪害による幹折れや, スギ林に比べ形状比が高く林床が明るいため幼齢期における雑草木による被圧, つる絡みによる枯損などの影響を受けやすいことが観察の結果から考えられた ( 図 1,2) 2 カラマツの標準伐期齢である 40 年生時点の幹材積合計は, 地位上位で m3で, スギ ( 少雪,3,000 本植栽 ) と比べると, 地位 3~4 程度に相当するものであった 再造林の樹種の選択においては, スギの地位 3 以下の林地であり, なおかつカラマツ適地と判断された場合は, カラマツの植栽も検討される 図 2 スギとカラマツの材積比較 図 1 県内のカラマツの成育状況 写真 1 成育良好なカラマツ林 写真 2 幹折れ被害を受けたカラマツ 森林生態保全部 TEL FAX

9 伐採地の立地環境に応じた目標林型設定技術の開発 試験 研究担当上野満試験 研究期間平成 28 年度 ~32 年度予算区分県単独試験 研究のねらい拡大造林時代に植栽した人工林が伐期を迎え主伐が進む一方で, 確実な再造林の実施が求められている 本研究では, 樹木の成育と立地環境 ( 植生, 地形, 土壌など ) を指標として, 伐採跡地をどのような森林にすべきか目標林型を明確に設定するための技術を開発するために, カラマツの成育状況について調べた 試験 研究の成果 1 カラマツの樹高は, 同一斜面においても斜面の位置によって異なり, 林地によっては 5 倍程度の個体差が見られる 樹高成長の劣るカラマツ個体は, 尾根部に集中する傾向が見られたが, 優勢個体と劣勢個体が隣り合う形で成立すること多く観察された ( 図 1) 2 カラマツの樹高は,A 層の厚い箇所で高く,A 層の薄い箇所低い傾向が見られたが, その相関は明瞭ではなく, スギに比べ地位に対する適応範囲が広いと思われる 尾根部の著しく A 層厚が薄い箇所以外で, ある程度の土壌が確保されれば比較的良好な樹高成長が期待できる ( 図 2,3, 写真 1) 図 1 斜面位置とカラマツの成長 図 2 斜面位置と A 層厚 図 3 カラマツと A 層厚の関係 写真 1 カラマツ林の土壌断面 森林生態保全部 TEL FAX

10 海岸林の低コスト育成管理技術の開発 試験 研究担当伊藤聡 渡部公一試験 研究期間平成 27 年度 ~31 年度予算区分県単独事業試験 研究のねらい 2,500ha に及ぶ全国有数の規模を誇る庄内海岸砂防林は 老齢化が進行しており部分的に更新の時期を迎えつつあることに加え 松くい虫被害の拡大による防災機能など森林の持つ公益的機能の低下が懸念されている クロマツのコンテナ苗は 短期間に大量に供給できることや活着が良い 植栽時期を選ばない 植栽作業が簡単であることなどのメリットが既に報告されている しかし 本県における植栽実績は非常に少なく その有効性の検討が求められている そこで クロマツコンテナ苗の生存率と成長特性について調査を行い 庄内海岸におけるクロマツコンテナ苗植栽の有効性について検討した 試験 研究の成果 1 植栽試験地のコンテナ苗は 菅里地区 浜中地区とも 植栽 3 年目でほぼすべてが生存していた また 既存植栽地のコンテナ苗は 吹きさらしの空港や高速道路の切土法面などの厳しい環境下でも植栽 3 年目程度で約 90% 以上の高い生存率を示した 2 空港東側高速道路と空港駐車場の切土法面への植栽は地元小学生が行ったものであり コンテナ苗は事業用のほか地域住民などによるボランティア活動にも幅広く活用できる 2 浜中地区よりも海に近い菅里地区では 植栽 3 年目のコンテナ苗の生存率が 100% と裸苗の生存率 82.8% に比べて高く 厳しい環境下での植栽にはコンテナ苗が有利である 4 植栽試験地におけるコンテナ苗の植栽 3 年目の樹高と根元直径は 2 地区とも裸苗に比べて大きな差は見られなかった また 形状比は裸苗よりも低く 安定した形状であった 調査地区分 植栽試験地 既存植栽地 植栽地の概要とクロマツの生育状況 調査地 菅里 浜中 汀線から平均平均林齢植栽地に接する調査生存率平均樹高の距離植栽場所苗種根元直径形状比汀線側の環境本数 ( 年 ) (km) (%) (cm) (mm) コンテナ 裸 コンテナ 裸 a 道路脇住宅地 ( 約 400m) 酒田市宮野浦 b c d e f g クロマツ林被害箇所 クロマツ林被害箇所 耕地防風林欠損地 耕地 ( 約 200m) 酒田市浜中 高速道路切土耕地 ( 約 2,200m) 鶴岡市街ノ上法面 ( 空港南側 ) 高速道路切土法面 ( 空港東側 ) 空港駐車場切土法面クロマツ林被害箇所空港駐車場切土法面 樹高 20m 前後のクロマツ林 ( 林帯幅約 200m) 樹高 20m 前後のクロマツ林 ( 林帯幅約 50m) 空港敷地 ( 約 1,500m) コンテナ 酒田市浜中 空港敷地 ( 約 1,400m) 酒田市浜中 樹高 20m 前後のクロマツ林 ( 林帯幅約 100m) 備考 ( 場所 ) 遊佐町菅里 酒田市浜中 酒田市浜中 空港敷地 ( 約 1,400m) 酒田市浜中 森林生態保全部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報 政 1 件 9

11 菌根菌 ( ショウロ ) 感染キャビティコンテナクロマツ苗生産技術の開発 試験 研究担当中村人史 千葉翔試験 研究期間平成 27 年度 ~29 年度予算区分県単試験 研究のねらいショウロはクロマツと共生する菌根菌であり 人工栽培が難しい希少価値の高いきのこである ショウロに感染した苗木は成長が良好となり 耐病性も高まるという報告があることから 安定的なきのこの生産 収穫を目的とした海岸林の栽培林地化は 健全性の高いクロマツ林の造成にも有効である そこで本研究では 今後の海岸林造成に導入が見込まれるコンテナクロマツ苗にショウロを感染させる技術を確立することを目的とする 試験 研究の成果クロマツの裸苗では ショウロの胞子懸濁液散布により感染することが確認されている コンテナ苗化したクロマツでの検証事例はないため 本報告では既存の手法でクロマツコンテナ苗へのショウロの感染が可能か検討した 一方でクロマツは育苗期間中に様々な菌根菌に感染してしまう事があるため ショウロ胞子散布時期や方法を固めるためにも閉鎖環境から苗畑までの管理場所の違いで菌根菌の感染の推移を調査した 管理場所を苗畑と隣接するビニールハウス内とし1 苗畑でショウロ無散布 2 苗畑でショウロ散布 3ハウス内でショウロ無散布の 3 種類で感染状況を確認した 苗は当年生で発芽から 2 か月ほど経過したキャビティコンテナ苗を用いショウロを散布するまでは苗畑で管理した 発芽から 2 か月では菌根菌の感染する苗は無い ( 図 1) ショウロ散布から 2 か月後には散布した苗の 90% に菌根菌の感染が見られ 散布しなかったものは苗畑 ハウスともに 10% 以下であった ( 図 1) 発芽から 2 カ月以内の若いキャビティコンテナ苗にショウロ懸濁液を散布することで 苗畑の通常管理においても容易にショウロ感染苗が作れる 図 1 管理場所の違いによるクロマツキャビティコンテナ苗の菌根菌感染率の推移 100% 野外管理 ( 懸濁液 ) 写真 1 苗畑での管理状況 80% 野外管理 ( 無処理 ) 感染率 ( % ) 60% 40% 20% 0% 5 月 23 日 7 月 24 日 9 月 25 日 11 月 27 日 調査月日 ハウス内管理 写真 2 菌根菌に感染した苗 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報指 1 件 10

12 優良苗の安定供給と下刈り省力化による一貫作業システム体系の開発 試験 研究担当中村人史 渡部公一試験 研究期間平成 28 年度 ~30 年度予算区分受託 ( 地域戦略プロジェクト実証研究型 ) 試験 研究のねらいワラビを導入した再造林技術は, 森林所有者の造林意欲を喚起する魅力があり, 再造林の推進に大きく貢献できると考えられるが, カバークロップとして導入したワラビが下刈期間をどれくらい短縮できるかを実証した報告はない そこでスギの再造林地の一部にワラビポット苗を植栽し, スギ植栽木とワラビの成長の推移を調査して下刈軽減効果を検討した また その経済性についても評価した 試験 研究の成果県内の 3 カ所に植栽試験地を設定した ( 図 1) これらの試験地は重機によって丁寧に地拵えが行われたスギの再造林地であって, 植生はわずかに灌木が残る程度であった 金山, 鶴岡試験地のスギは 1.8m 2.7m の長方形植えで植栽本数は 2,000 本 /ha, 小国試験地は 1.8m 1.8m の 3,000 本 /ha 植栽である いずれの試験地も方形植えされたスギコンテナ苗の対角線上の中点にワラビを植栽した 植栽したワラビは小国試験地のみ 2015 年の夏に下刈が行われたが 他の試験地では下刈を実施しなかった ワラビの植栽後,6 月 ( 春 ) と 10 月 ( 秋 ) にワラビの地表被覆幅と地上高, スギの樹高を調査した 調査結果は図 1に示した ワラビが植栽された区域はほぼ完全にワラビで被覆され, 他の植生は見られないことから条件が良ければ下刈は 1 回にすることができる 結果として ワラビをカバークロップに用いて下刈を 1 回にするとワラビの収益により容易に黒字になる ( 図 2) 図 1 ワラビとスギの地上高推移 図 2 スギ ワラビの植栽管理経費 (ha) 支 出 収 入 スギ植栽経費 826,000 円 補助金 562,000 円 下刈り 144,000 円 補助金 98,000 円 ワラビ植栽経費 166,000 円 ワラビ施肥 ( 毎年 ) 53,600 円 ワラビ収益 (3 年目 ~) 216,000 円 スギの植栽経費は山形県の標準単価によるワラビ植栽経費は苗を自作としその経費を含めたものとするワラビ収益は収量が 1380 kg 販売単価が 400 円 / kgで計算した 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報指 1 件 11

13 カラマツの種子生産とコンテナ育苗試験 試験 研究担当渡部公一 宮下智弘 伊藤孝典 原田彰弘試験 研究期間平成 29 年度 ~33 年度予算区分受託試験 研究のねらいカラマツは近年合板用材として需要が高く 造林木として将来性が高いが 県内ではカラマツの育苗実績がほとんどなく コンテナ育苗技術も未確立である そこでコンテナ苗試験栽培を行い 育苗上の課題 問題点を抽出する また コンテナ育苗において最も重要で労力も要する水管理の省力化の検討を行う 試験 研究の成果 1 カラマツの育苗に適した資材を検討するため JFA150( 容量 150cc 以下 リブ ) とスリット入りコンテナ ( 東北タチバナ製 容量 150cc 以下 スリット ) の 2 種類のコンテナを比較した また 用土については コンテナ苗木育苗用培土 ( 株式会社シダラ製 ココピートオールド 80%+ 鹿沼土 20%+ 基肥 以下 鹿沼混合 ) とココピートオールド ( 株式会社トップ製 トップココピートオールド 100%+ 基肥 以下 ココピート ) をそれぞれ比較した 育苗試験は山形市の株式会社クリーンシステムの工場脇と鶴岡市の林木育種園の 2 箇所で行った 2 播種から 6 ヶ月後の 10 月末時点で 山形市の試験地ではリブ + ココピートの苗高が 190.8± 60.8mm( 平均値 ±SD) で最も大きく 鶴岡市の試験地ではスリット + ココピートが 203.1± 37.8mm で最も大きかった いずれの試験地でも スリット + 鹿沼混合とリブ + 鹿沼混合の成長は大幅に劣った 苗高の成長推移を見ると夏以降の成長が大きく異なっており かん水間隔を長くしたことによる土壌水分が関係していると考えられる 3 10 月時点の得苗率を図 1 に示した 山形市の試験地でリブ + 鹿沼混合に発芽不良があったことと 夏以降に発生した苗立枯病により枯損した個体が 14~35% あったこと また苗高 10cm 未満の成長不良個体の割合が鹿沼混合土で多く発生したことなどにより 健全率に大きな差が現われた コンテナ土壌はココピートが成長がよく 苗立枯病等の改善すべき課題が抽出された 山形市会社敷地内 図 1 苗健全率と苗の不良要因 鶴岡市林木育種園 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報 12

14 革新的技術によるスギ ヒノキ花粉症対策品種の種苗生産量の加速化と省力的生産技術の確立 試験 研究担当渡部公一 宮下智弘試験 研究期間平成平成 29~31 年度予算区分外部資金共同試験 研究のねらい無花粉スギ苗木を増産するためには 種子を大量に確保しなければならないが 無花粉スギの交配は完全に外部の花粉を遮断するためにハウスなどの施設内で行う必要がある しかし多雪地ではハウスが降雪によって倒壊する恐れがあり 多大な資金や労力がかかる そこで積雪環境を利用した省力的な交配技術を開発し 多雪地における無花粉スギ種子の大量生産を行う 試験 研究の成果 1 森林研究研修センター林木育種園において育成した無花粉スギ苗木にジベレリン処理を行い 交配母樹とした 前年秋に鉢植えの苗木を杭に結束し 雪囲いしたグループ ( 以下 非埋雪木 n=25) と防草シートの上に母樹を横に倒して並べたグループ ( 以下 埋雪木 n=24) に分けて越冬させた 埋雪木には雨による融雪を遅らせるため 2 月にシルバーシートで雪を覆った 融雪によって母樹の雌花が露出してから 雌花を観察し 開花時期を把握するとともに空中花粉飛散数を調査した 2 非埋雪木の雌花が完全に雪から露出したのが 3 月 30 日 非埋雪木の雌花の半数が開花したのが 7 日後の 4 月 6 日で その間の日平均気温の積算温度は 23.9 であった 埋雪木の融雪は 4 月 15 日で 雄花の半数が開花したのが 4 日後の 4 月 19 日であり その間の日平均気温の積算温度は 44.6 度であった 埋雪木は非埋雪木と比較して雌花の開花時期が 13 日遅延し 融雪とともに急速にステージが進み 短期間で開花した 非埋雪木の開花時期は空中花粉の飛散中であり 埋雪木の開花時期は空中花粉の飛散が完全に終息した時期になった このため 空中花粉による交配のコンタミを大幅に減少できることが確認できた ( 図 1) 図 1 育苗密度を変えた苗の配置 図 1 融雪と空中花粉飛散時期 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報 13

15 耐雪性スギ系統に見られる特異的な年輪構造が根元曲がり抵抗性に及ぼす影響の解明試験 研究担当宮下智弘 渡部公一試験 研究期間平成 29~31 年度予算区分外部資金 ( 文部科学省科学研究費基盤 C) 試験 研究のねらいスギの根元曲がり抵抗性に影響を与える形質の一つとして幹のヤング率が考えられている 幹のヤング率は晩材仮道管の S 2 層のミクロフィブリル傾角 (MFA) との関連が指摘されている そこで本課題では 系統の違いによって MFA がどの程度異なるかを評価するため 山形県森林研究研修センターの林木育種園に保存されている様々なスギ系統の MFA を測定した 試験 研究の成果 1 林木育種園に保存されている挿木クローンを対象に毎木調査した 毎木調査の結果をもとに 系統内でサイズが平均的な個体を予備選抜した 予備選抜した個体の植栽ミスを DNA 分析によって確認し 系統内で同一の遺伝子型となった3 個体を選んで木材試料を採取した 2 木材試料は成長錐によるコアとし 胸高部から採取した 得られたコアについて髄から樹皮方向に向かい晩材部に年輪番号を付し 約 2 年輪ごとに晩材仮道管をトリミングした 3トリミングした仮道管を解繊した 解繊は過酸化水素水と酢酸を等量混合した解繊液を用い 60 で24 時間加温した 解繊した晩材仮道管を顕微鏡によって観察し 仮道管長軸とスリット状の壁孔の傾きを画像処理ソフトによって測定し これを MFA としてデータを収集した 写真 1 調査対象とした耐雪試験林 写真 2 成長錐によるコアの採取 写真 3 晩材トリミング 写真 4 解繊したサンプル 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報なし 14

16 造林木の新品種の開発と種苗生産に関する試験 ( 次世代型無花粉スギ品種の開発とミニチュア採種園の造成 ) 試験 研究担当 渡部公一 宮下智弘 試験 研究期間 平成 24 年度 ~ 予算区分 県単事業 ( 林木育種事業 ) 試験 研究のねらい 花粉症対策として究極のスギである無花粉スギは 次世代の品種として注目されているが 種穂 の供給不足や苗木生産コストがかかる事などから実用化は一部の県にとどまっている そこで 積 雪寒冷地でも可能な加温ビニールハウスを利用した無花粉スギの育苗方法を確立する 試験 研究の成果 1 無花粉スギの苗木生産においては 2 年目春に雄花を着花させて稔性をチェックする必要があるため 播種 1 年目の夏までにジベレリン処理ができる大きさに成長させる必要がある そこで最上町のバイオマスボイラーを利用した農業用加温ハウス施設を使用し 無花粉スギの育苗試験を行った 他県のビニールハウス育苗の事例を参考に育成スケジュールを試案し ( 図 1) これに合わせて肥培やかん水を管理した 2 平成 27 年 12 月にハウス内で 72 穴のセルトレイ (1 セルあたりの土量約 50cc) に無花粉スギの種子を 1 セルあたり 10 粒程度まきつけた 発芽後は立枯苗予防の消毒と 液肥 (N10-P8-K5 500 倍 ) による追肥を継続し 5 月から 7 月までは化成肥料 (N8-P8-N8) を毎月 1 回 5~10 粒施肥した 7 月にはジベレリン処理ができる大きさの目標である苗高 15cm に達した 6 月末と 7 月はじめに雄花の着花促進のためジベレリン (100ppm) を散布した 処理後にジベレリンの影響で梢端の徒長が予想以上に進んだため 8 月下旬に硫化カリを施用した 3 10 月末時点の苗高の平均は 24.7±4.6(SD)cm と計画よりも大きくなり 形状比は 82.3±20.5 と徒長傾向であった 雄花の着生率は 92% と高かったが 雄花の径が小さいものがあり 判別が難しい可能性がある 図 1 無花粉スギの育苗計画 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報 15

17 Ⅱ 森林を活かす技術県産木材等の需要拡大に関する研究開発 16

18 山形県の森林組合における搬出間伐の作業効率化にむけて 試験 研究担当 志藤彰 尾形俊成 試験 研究期間 平成 27 年度 ~29 年度 予算区分 交付金 ( 国庫情報化システム事業 ) 試験 研究のねらい森林組合系統では, 森林組合活動 21 世紀ビジョン を策定し, 平成 23 年度より3rd ステージ 国産材の需要拡大と森林 林業再生運動 に取り組んできた この取り組みが搬出間伐現場における作業の効率化に与えた影響について調査を行った 試験 研究の成果山形県内にある7つの森林組合について, 当センターが平成 24 年度に実施した搬出間伐の現場での工程調査結果と, 各森林組合が把握している平成 28 年度実績の作業効率を比較し, この5 年間で各森林組合における素材生産量に関する変化とその要因について調査を行った ( 図 -1) 1) 素材生産量に関する作業員 1 人 1 日当たりの実績が, 平成 24 年度は 3m3/ 人日に満たないのは 4 組合,4m3/ 人日を超えるのは 3 組合だったが, 平成 28 年度には 3m3/ 人日に満たないのが 2 組合, 5m3/ 人日を超えるのが 5 組合になり, 作業効率が上がった 2) 素材生産量の増加に関する作業員 1 人 1 日当たりの実績は, 平成 24 年度に比べ平成 28 年度が 1.5 倍を超えるのは 4 組合,1.1 倍に満たないのは 3 組合であり, 組合間で差があった 3) 作業効率が向上した直接的要因は,1 高性能林業機械の導入や現場技術力の向上等の経営資源の充実に伴うもの,2 路網密度の向上や列状間伐等の導入等の施業方針の変更,3 施工地の集約化が進み,1 施工地の当たりの規模が大きくなった,4C,D 材の生産が増えたことなどがあった 4) 作業効率が向上した間接的要因は,1 森林組合の中期経営計画の策定等経営方針の変更,2 緑の雇用制度などの研修制度の効果発揮,3GIS 等の導入による情報の管理力が向上,4 県内に集成材工場や木質バイオマス発電所操業による需要の拡大等の外部環境の変化によるもの,5 従業員の待遇が改善されたことなどがあった 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報指 1 件 17

19 県産スギ丸太材の天然乾燥スケジュールの開発 試験 研究担当渡部公一 益田明佳 高内將文試験 研究期間平成 27 年度 ~29 年度予算区分県単事業試験 研究のねらい公共木造建築物等に県産スギ丸太材を使用する事例が増えており 丸太の乾燥技術開発が要望されている このため スギ正角材の乾燥試験において表面割れの発生を少なくする効果があった人工乾燥 ( 前処理 ) 技術を適用し 丸太材における天然乾燥技術を確立する 試験 研究の成果 1 末口径 24cm 3m のスギ丸太に人工乾燥 ( 前処理 ) を行い その後の天然乾燥経過を調査した 供試材は人力剥皮丸太材 15 本 うち伐採直後に剥皮した丸太材 ( 以下 現場剥皮 )8 本 前処理直前に剥皮 ( 以下 直前剥皮 ) した丸太材 7 本と丸棒加工材 ( 以下 丸棒加工 )4 本で 各々約半数を背割加工した 前処理後 現場剥皮材は西川町の試験実習林の機材庫内 直前剝皮は当センターの雨水の当らない軒下 丸棒加工は当センターの施設屋内に平置きした状態で天然乾燥を行った 2 含水率の経過について 平成 27 年 ~28 年に本試験と同じ場所で同じ径 長さのスギ丸太の天然乾燥を行った結果と比較した ( 図 1) 含水率 20% 未満に低下するまでに要した期間は 現場剝皮では天然乾燥のみの場合が背割有り無しにかかわらず 13 ヶ月であったのに対し 前処理を組み合わせた場合は背割無しで 11 ヶ月 背割有りでは 7 ヶ月に短縮した 3 現場剝皮と丸棒加工は前処理直後から表面割れが発生し 乾燥が進むにつれて徐々に割れが縮小していったが 直前剝皮は春になってから表面割れが発生した いずれも背割を行った材は 表面割れの発生が少なく 11 月時点ではほとんどの割れは見られなくなった ( 図 2) 現場丸棒 図 1 前処理 + 天然乾燥を行ったスギ丸太材の含水率経過 現場直前丸棒 図 2 前処理 + 天然乾燥を行ったスギ丸太材の表面割れの長さの変化 注 : 表面割れ長さは 丸太 1 本あたりの幅 1mm 以上の表面割れ長の合計 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報 18

20 成長の早いヤナギを利用した木質バイオマス圃場生産技術の開発 試験 研究担当宮下智弘 千葉翔 伊藤聡 志藤彰試験 研究期間平成 27 年度 ~31 年度予算区分県単試験 研究のねらいヤナギの圃場栽培ではヤナギの植栽費用を軽減するため萠芽更新を前提としているが 伐採する高さによって萠芽の発生状況や収穫量等は異なる可能性がある また 伐採高を高くして萠芽の発生部位を高めれば 下刈り等の管理コストは軽減可能かもしれない そこで本研究では 休耕田に天然更新したヤナギについて伐採高を異ならせて伐採し その後の萠芽状況等について検討した 試験 研究の成果 1 山辺町の休耕田に天然更新したヤナギを平成 27 年秋に伐採高を人為的に異ならせて伐採した ( 写真 1) 平成 28 年秋と 29 年秋に萠芽状況を調査した 2 伐採高が高い切り株からの萠芽の半数は地上高 30cm 以下から発生しており 地上高 61cm 以上から発生した萠芽は 20% であった また 萠芽の長さは発生した部位の地上高によらず同等であり ( 図 1) 伐採した高さよりも切り株の径と有意な相関が認められた 3 雪害状況を調査すると 一部の萠芽に致命的被害が発生していた 致命的被害の大半は切り株の樹皮が剥離することにより樹皮ごと萠芽が落脱する被害形態であった ( 写真 2) 樹皮の剥離は地上高の高い部位から生じていた 写真 1 伐採高を異ならせた伐採試験 写真 2 樹皮剥離による萠芽への被害 n n 図 1 萠芽の発生部位の高さと萠芽長の関係 図 2 萠芽の発生部位の高さと雪害被害率 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報指 1 件 19

21 キノコ新品種開発と品目転換に対応した生産技術の開発 試験 研究担当中村人史試験 研究期間平成 29 年度 ~33 年度予算区分県単試験 研究のねらい山形県はきのこ生産主要県ではあるが小規模且つ旧式の生産施設がほとんどで 後発の工場型低コスト生産地との競合が厳しくなっている 一方で生産技術は全国的にもトップレベルである事から後発産地にはできない独自性の高いきのこ生産や多品目生産で打ち勝つ必要がある きのこ生産は栽培ビンの形状や発生施設等の生産環境で品目が限定される事から品目転換や複合生産が困難であるため これらの枠を超えた技術開発が必要である また 生産効率の良い新たな品種開発も必要である 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報成果は非公開 20

22 地域再生を目指す国産漆の増産 利用技術の開発 試験 研究担当中村人史試験 研究期間平成 28 年度 ~30 年度予算区分受託 ( 農林水産業 食品産業科学技術研究推進事業 ) 試験 研究のねらい現在 国産 中国産漆の混合が使用されている重要文化財建造物の修復で今後すべて国産漆が使われることから 国産漆の供給不足が懸念されるが 優良木を早期に判別し 大量に増殖する技術はなく 漆の増産体制が整っていない また 国産漆の約 3 割を占める裏目 根 枝漆はほとんど未利用である このため 国産漆の増産技術及び未利用漆の改質 利用技術を開発することが急務であり 本研究はこれらの開発を目的とする 試験 研究の成果 1 核 葉緑体ゲノムからそれぞれ9マーカーを開発した ( 図 1) 2 既存マーカーも組み合わせて最適化 ( セット化 ) を図った ( 図 2) 優良ウルシを早期選抜出来るマーカーについてはさらに絞り込みをかける必要性がある 図 1 開発された DNA マーカー ゲノム マーカー種類 候補マー マーカ 使用機器 状況 カー数 ー数 ゲノミック 40 8 キャピラリーシーケンサー 済 SSR EST-SSR 38 1 キャピラリーシーケンサー 済 核 8 アクリルアミドゲル 済 EST-SSR アクリルアミドゲル 済 AS-PCR 35 0 アガロースゲル 済 14 リアルタイム PCR 済 葉緑体 SNP 9 キャピラリーシーケンサー 済 - アガロースゲル 進行中 図 2 ゲノミック EST-SSRのうち個体識別に最適化したマーカーセット Marker name type ヘテロ接合体率 dye bctv055 ゲノミック FAM bctv045 ゲノミック VIC Bctv024 ゲノミック NED Tv-ESTSSR-001 EST PET 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報研 1 件 21

23 県産広葉樹資源活用のための材の特質解明と新たな用途開発 試験 研究担当千葉翔 渡部公一試験 研究期間平成 29 年度 ~31 年度予算区分交付金 ( 国庫情報化システム事業 ) 試験 研究のねらい やまがた森林ノミクス により森林資源の活用が推進されている 山形県の森林面積のうち約 7 割は広葉樹であるため 今後はスギ等の人工林だけでなく天然林の利活用も検討していく必要がある しかし 県内における広葉樹資源の利用 流通状況は不明確であり 活用が期待される用途や樹種が把握されていない現状にある そこで 広葉樹材を取り扱う企業に聞き取り調査を行い 県産広葉樹材の利用状況と需要の多い樹種を明らかにした 試験 研究の成果 1 対象企業は置賜地域にある 21 社であり フローリング等の内装材を販売する 2 社 工芸品および小物を製作する 7 社 机や椅子等の家具を製作する 10 社に大別され 2 社はそれぞれキノコ栽培用オガ粉と製紙用チップを生産している 製作 販売する製品別に利用する広葉樹の産地を聞いた結果 木工に分類された企業のうち 4 社は県産材を使用しており オガ粉およびチップはすべて県産材であった ( 図 1) 一方 内装材や家具を製作する企業に県産材を使用している所はなく ( 図 1) 特に家具では損傷の少ない外材を必要とする場合が多いことから 県産材の使用は難しいと考えられた したがって 県産広葉樹の新用途にはフローリング等の内装材が挙げられた 件数 国産および県産材を使う 12 社に利用樹種を聞き取りしたところ ナラおよびケヤキが 5 件と 最も多く 次いでブナ クルミ サクラを使用する企業が 4 件と多かった ( 図 2) これら上位 の 5 樹種は 置賜地域で需要が高く活用が期待される広葉樹である 外材 国産材 県産材 内装木工家具キノコ用製紙用 オガ粉 チップ 件数 キノコ用オガ粉 家具 木工 内装 ナラケヤキブナクルミサクラタモカエデホオノキクリシナノキエンジュコシアブ 図 1 製作 販売する製品別の利用材種 図 2 各樹種の製品別利用件数 ラ 森林生態保全部 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報 政 1 件 22

24 木質バイオマス発電に適する樹種の選抜 試験 研究担当千葉翔 宮下智弘 古澤優佳試験 研究期間平成 29 年度予算区分県単独事業試験 研究のねらい木質バイオマス発電所の稼動により 県産材のエネルギー利用の拡大が見込まれる 今後は需要に応じた木材生産が求められることから 西日本では燃料材の生産に早生樹の活用が提案されている しかし センダン等の早生樹は山形県で分布が確認されていないため 本県へ導入した場合 気象害に対する脆弱性や在来生態系への影響が懸念される そこで 文献調査により県内に生育する樹木の成長および繁殖特性の比較を行い バイオマス材に適する可能性が高い樹種を選抜した 1 2 試験 研究の成果東北地方には 101 種の高木性樹木が自生している このうち山形県には 77 種の分布が確認されおり 48 種山地帯に普遍的に見られる樹種である 燃料材に適する条件は 収穫までの伐期が短く萌芽更新が可能であり 苗木生産が容易な樹種とした 2 つの文献を用いて 48 種の成長速度と萌芽性を調べた結果 成長が早く かつ 萌芽能力が高いと記載されている樹木は 13 種だった ( 表 1) 各樹種の繁殖特性を調査したところ ヤナギ科以外の樹木は挿し木が不可能であり 種子の発芽率も 50% 以下のものが大半を占めていた ( 表 1) したがって 挿し木での増殖が可能なヤナギ科の 2 種と 発芽率が高く実生繁殖が容易なブナ科樹木 3 種が燃料材の生産に適した樹種である 全国的に街路樹や公園等に植栽された高木性樹木は 38 種であり 9 割以上が外来種である 県内の植栽木を調べたところ 28 種の生育が確認された これら樹木の成長および繁殖特性を上記の手法で調査した結果 成長が早く萌芽能力が高い 18 種が選定された ( 表 2) このうち 実生および挿し木の両者で苗木生産が可能な樹木は 7 種あり 中でもイチョウやニセアカシアは発芽 発根率が共に高かった ( 表 2) 自生種と同様に バイオマス材に適する外来種を挿し木や分根時の発根率が 80% 以上 または 種子の発芽率が 60% 以上を条件に選抜した結果 全 9 種が該当した ( 表 2) 表成長が早く萌芽能力の高い樹種の繁殖特性 ( 左 : 自生種 右 : 外来種 ) 樹種名 科名 繁殖方法 発芽率 (%) 発根率 (%) オノエヤナギ ヤナギ 挿し木 - 80~ ヤマナラシ ヤナギ 挿し木 - 80~ クリ ブナ 実生 80 - コナラ ブナ 実生 80 - ミズナラ ブナ 実生 70 - エゾエノキ ニレ 実生 50 - イヌエンジュ マメ 実生 50 - ハリギリ ウコギ 実生 40 - ウラジロノキ バラ 実生 40 - ホオノキ モクレン 実生 40 - カツラ カツラ 実生 20 - オオバボダイジュ シナノキ 実生 20 - シナノキ シナノキ 実生 20 - 灰色バイオマス材の生産に適する樹種 * 産業管理外来種植栽時には適切な管理が必要 樹種名 科名 繁殖方法 発芽率 (%) 発根率 (%) ギンドロ ヤナギ 挿し木 - 80~ シダレヤナギ ヤナギ 挿し木 - 80~ セイヨウハコヤナギ ヤナギ 挿し木 - 80~ イチョウ イチョウ 実生挿し木 80 80~ ニセアカシア * マメ 実生分根 80 80~ モミジバスズカケノキ スズカケノキ 実生 70 - キササゲ ノウゼンカズラ 実生挿し木 60 80~ モミジバフウ マンサク 実生 60 - キリ ゴマノハグサ 実生分根 40 80~ エンジュ マメ 実生挿し木 50 60~80 トウカエデ カエデ 実生挿し木 40 40~80 アオギリ アオギリ 実生 40 - ヒマラヤスギ マツ 実生 40 - フウ マンサク 実生 30 - ラクウショウ スギ 実生挿し木 20 50~65 サンシュユ ミズキ 実生 20 - ユリノキ モクレン 実生 10 - チャンチン ニガキ 不明 不明 不明 森林資源利用部 TEL FAX 成果情報平成 29 年度研究成果情報 研 1 件 23

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