M1 二宮由樹 The Influence of Effortful Thought and Cognitive Proficiencies on the Conjunction Fallacy Implications for Dual- Process Theories of

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つかさのあき
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1 M1 二宮由樹 The Influence of Effortful Thought and Cognitive Proficiencies on the Conjunction Fallacy Implications for Dual- Process Theories of Reasoning and Judgment. Personality and Social Psychology Bulletin, 43(6), Scherer, L. D., Yates, J. F., Baker, S. G., & Valentine, K. D. (2016). 研究背景と問題連言錯誤連言錯誤課題 (Tversky & Kahneman, 1983) リンダは 31 歳の独身で, はっきりものの言える非常に賢い女性である. 彼女は大学時代に哲学を専攻していた. 当時, 彼女は差別や社会的公正の問題に関心があり, 反核デモにも参加していた. 現在のリンダの状況について, 下の a,b のうち確率が大きいのはどちらか. a. リンダは現在銀行の窓口係をしている. b. リンダは現在銀行の窓口係をしていて, フェミニズムの活動をしている. b が数学的に正しい答えとなるにもかかわらず, 多くの人が a を選択してしまう課題 b にはフェミニズムの活動をしているという, リンダのプロフィールのステレオタイプと一致する情報が入っているため多くの人は直観的に a を選んでしまう一般的な規範にもとづいて考えると A であり B という確率が,A であるという確率より大きくなることはない二重過程理論人間の情報処理が速く, 自動, ヒューリスティックに基づく思考であるシステム 1 と遅く, 意識的, 規範的方略な思考であるシステム 2 に基づいて行われるという理論 Kahneman & Frederick(2002) は二重過程理論に基づいて, 連言錯誤はシステム 1 による思考に従うだけで, 熟慮的な思考 ( システム 2) を行わないためにバイアスが生じると説明連言錯誤と熟慮的 (effortful) な思考との関係二重過程理論によるバイアスの解釈についてのエビデンス a. 反応時間と解答の正確さの間の相関時間をかけるほど正確になる ( バイアスが減る ) b. 多くのバイアスは認知資源が限られた条件下で増加すること c. 熟慮的な思考を増加させる操作をすることによってエラーが減る d. 連言錯誤の生起は個人差がある認知能力が高いほど少なくなる本研究では,c,d の観点に注目して, 実際に熟慮的な思考を促すことが連言錯誤の減少にどのような役割を持つかを検討また, それと認知能力の関係を検討二重過程理論における 3 つの観点モニタリングの欠如 (lax monitoring 説 ) 連言錯誤のようなエラーは最初から探索されないために, タイプ 2 がタイプ 1 による回答を覆せない介入の失敗 (override failure 説 ) 人々は潜在的もしくは顕在的にタイプ 1 による最初の回答が, 確率についての知識とヒューリスティックスによる感覚の間で競合が生じることで, 間違っていそうなことに気が付いているが, タイプ 1 による反応を抑制しそびれてしまってバイアスが生じる三段階モデル (Tripartite Model 説 ) このモデルでは, 人々は心的努力があり, 知能や批判的思考態度といった能力がある場合により連言錯誤のようなバイアスを抑制できる本研究の立場直接的な介入によって熟慮的な思考をさせ熟慮的な思考と連言錯誤の関係を観察し, 同時に知能を測りどのような時に熟慮的な思考が効果を持つのかを検討また,3 つの仮説をどのように支持するかを検討

2 M1 二宮由樹実験 1a1b 方法実験参加者実験 1a 256 名実験 1b 238 名材料連言錯誤課題 (Tversky & Kahneman, 1983) 3 条件 control 条件,one-sided 説明条件,two-sided 説明条件手続き 1 連言錯誤課題を読む 2control 条件 : そのまま課題に回答する one-sided 説明条件 : 解答をしようとしている選択肢について考え, その考えをテキストボックスに書くことを求められる two-sided 説明条件 : 両方の選択肢について, 考え, その考えを両方とも書くように求められる 3 解答の確信度を 5 件法 (1=strongly disagree, 5=strongly agree), また, ニューメラシーテスト (the Berlin Numeracy Test; Cokely, Galesic, Schulz, Ghazal, & Garcia-Retamero, item test; Lipkus, Samsa, & Rimer, 2001.) を行った *1b でも, この流れは同じで, 課題の表現を一部改善した結果操作チェック one-sided 条件と two-sided 条件の回答時間の差はなかった熟考時間とニューメラシーの間の関係はなし連言錯誤の有無による熟考時間の差異はなかった正答率の比較条件間の正答率 control 条件 (1a;1b : 84.9%;88.3%),one-side 条件 (88.3%;80.5%),two-side 条件 (76.3%;73.4%) control 条件 vs one-side 条件と one-side 条件 vs two-side 条件で有意差が示された正答率とニューメラシーの条件ごとの比較 (Figure 1) 2 つのニューメラシテストは互いに相関 (1a1b ともに ) control 条件 vs two-side 条件 1a では傾向差はあるものの全体として有意差なしニューメラシーについて control 条件 vs two-side 条件間で交互作用 (1a1b ともに p<.05) control 条件より two-side 条件のほうが正答率が上がっており,two-side 条件ではニューメラシーのの高さと解答の正確さの間に正の相関がみられた判断の確信度連言錯誤を起こしているほうが起こしていない時より起こしているときのほうが確信度が有意に高い考察結果の要約片方の選択肢についての明示的な教示 (one-side) による熟慮的な思考は, 連言錯誤を減らさなかった両方の選択肢について熟慮的な思考をさせた時には, ニューメラシーの高い時に判断の改善が見られた正しくない判断をするときにより確信度が高い解答の改善がみられていない one-side では確信度が高くなったが, 解答簿改善が見られた two-side ではならなかったニューメラシーの高さによる連言錯誤の生起の個人差が観察された参加者は連言錯誤が生じるとき正しくない判断 ( エラー ) だと気づかない数学的な知能の高さは連言錯誤の生起に関係がある

251704028 M1 二宮由樹まとめ実験 1 は連言錯誤課題における熟慮的思考の効果は個人の能力に依存するという Tripartite Model 説を指示しかし,Tripartite Model 説はバイアスが生じるとき参加者はそのエラーに潜在的にしろ, 顕在的にしろ気づいているのかどうかという疑問に答えないまた,Tripartite Model

3 M1 二宮由樹まとめ実験 1 は連言錯誤課題における熟慮的思考の効果は個人の能力に依存するという Tripartite Model 説を指示しかし,Tripartite Model 説はバイアスが生じるとき参加者はそのエラーに潜在的にしろ, 顕在的にしろ気づいているのかどうかという疑問に答えないまた,Tripartite Model 説はより一般的な知能について問題にしているが 1a1b ではニューメラシーとの関連しか見れていない実験 2 目的 Tripartite Model 説はより一般的な知能を問題にしているのため一般的な知能と熟慮的な思考とのかかわりを検討 one-side において参加者がどちらの選択肢について熟慮するかは操作していないため, エラーが減ったのは,2 つの回答について両方熟慮したからか, 正しい解答について熟慮したからかわからない one-side の条件を正しい選択肢について 2 考えさせる条件と, 正しくない選択肢について考えさせる条件に分けて, 検討する方法基本的に実験 1a1b と同じ変更点 one-side 条件の手続きが 2 つに分かれている 1correct one-side 条件 ( 以下 correct 条件 ) 正しい選択肢について熟考させるなぜリンダは銀行員ですがよりありそうな選択肢となるのかを説明しなさい 2incorrect one-side 条件 ( 以下 incorrect 条件 ) 間違っている選択肢について熟考させる

251704028 M1 二宮由樹なぜリンダは銀行員でありフェミニストであるがよりありそうな選択肢となるのか説明しなさい 3より一般的な知能 ( 流動性知能 ) を測るためのテスト (Ravan s test の 22items) を行う ( 実験 1 と同じテストも行う ) 結果操作チェック熟考条件のほうが control 条件よりも反応時間が長かったまた,

4 M1 二宮由樹なぜリンダは銀行員でありフェミニストであるがよりありそうな選択肢となるのか説明しなさい 3より一般的な知能 ( 流動性知能 ) を測るためのテスト (Ravan s test の 22items) を行う ( 実験 1 と同じテストも行う ) 結果操作チェック熟考条件のほうが control 条件よりも反応時間が長かったまた, 熟考条件の中では有意な差はなく, 熟考の操作は等しく行えていた判断への判断ストラテジーとニューメラシの影響ストラテジーごとで連言錯誤の有無の間に有意な差があった (χ 2 (3)=12.98, p=.005) control 条件 ( 誤答 :91.3%) と incorrect 条件 (92.1%) はエラーが多い correct 条件 (70.0%) と tow-side 条件 (73.8%) はエラーが少ないロジスティク回帰 control 条件 vs two-side 条件ニューメラシーの主効果, ニューメラシーとストラテジーの間に交互作用 control 条件ではニューメラシーの高い人ほど解答の正確さが有意に下がる (p=0.15),two-side 条件では有意ではないものの, 全く逆の傾向 control 条件 vs incorrect 条件ニューメラシの主効果ニューメラシが高いほど正しい解答ができない control 条件 vs correct 条件ニューメラシの主効果, ニューメラシとストラテジーの間に交互作用 ( 傾向 ) どちらの one-side 条件もニューメラシと判断の間の効果は見られなかった

5 M1 二宮由樹考察 control 条件との比較から two-side 条件では, 連言錯誤を起こさず正答率を上げていたしかしこの効果はニューメラシの高さに依存していた正当とニューメラシの間の関係は control 条件は負の相関,two-side 条件では正の相関,one-side 条件ではなし一般的な知能については特に効果は得られなかった一般的な知能はニューメラシの背後にあるような能力でありその違いによる個人差は被験者が偏っていたために観察されなかったのではないか熟考と知能のようなスキルは別々に連言錯誤の有無に影響を与えていることが示唆された two-side と correct 条件のみにおいて正答率が上がったことと, 確信度が正当よりも誤答において高くなることから, 連言錯誤を起こすとき参加者は正しい答えに気づいておらず, そこに意識を向けた場合に, 正当がしやすくなる lax monitoring 説を支持メタ分析全実験を通して, 条件ごとのより詳しいニューメラシについての効果を調べること, また参加者の熟考時に産出された分をコード化し分析すること結果各条件でのニューメラシの関係 two-side 条件は確率についての正しい答えが全体として有意に増加した two-side 条件では, ニューメラシと解答の正確さの間に正の相関があるニューメラシは two-side 条件においてエラーの減少と強い相関がある熟慮時の記述をコード化 1, 参加者がどちらの選択肢について熟考したか 2, 参加者がリンダがフェミニストの特徴と似ているからという理由を使用している 3, リンダが銀行員の特徴と似ているもしくは, であるに違いないという記述の有無 4, 参加者が非合理的, もしくは分類不可能な記述をしている 5, 参加者が正しいロジックを使用している

6 M1 二宮由樹考察 table1 正しい解答について熟考することで, 正しいロジックを導き出せる table2 正しいロジックを使用する人は高い確率で正当するニューメラシと正しいロジックの使用の間の関係は two-side 条件のみ有意ニューメラシの高い人は two-side 条件でより課題を正しく理解しやすい正しい答えのほうに注目させたにもかかわらず半分以上が連言錯誤を起こし, 間違ったロジックを使用していた誤った推論を行う参加者は, 問題を理解しておらず, さらには熟考を行うことによっても自身を説得することができない総合考察研究の目的熟考させることは代表性や連言錯誤を減らすのか? またそうならばそれがどのような状況で起こるのかを認知能力の指標から検討することまた今回の結果が二重過程理論における 3 つの説のどれを支持するのかを検討すること lax monitoring 説連言錯誤は, 熟慮が足りないだけでなく自身のエラーを認識していないために起こる 1 熟慮は正しい選択肢について行う場合にはエラーを減らすが, 正しい選択肢について説明を行うようにという指示がなければ, その効果は薄い 2 確信度が誤答の場合のほうが正当の場合より高い人々はヒューリスティックスを上書きするために必要な知識を得ていない ( エラーに気付いていない ) この結果は lax monitoring 説と矛盾しない override failure 説連言錯誤を解く際に課題の中に含まれる競合 (conflict) にきづいているものの, 最初の感覚を上書きできないため錯誤が生じる

7 M1 二宮由樹 1lax monitoring 説で挙げたことより, 連言錯誤を起こす際には, エラーについて気が付いていないと考えられるためこの結果は override failuer 説を支持しない少なくとも連言錯誤課題においてはこの仮説は支持されず, より一般的なものといえるかどうかを検討するべき tripartite Model 説連言錯誤の生起については, 正しい答えについて考えるための動機や, 認知能力が関わっている 1 連言錯誤の生起とニューメラシの間の関係が見られた 2 正しい解答について考える操作があるときにニューメラシのような知能が上がることが分かった知能が十分に高い時に, 正しい答えについて考えることで, 連言錯誤の生起が減少この結果は tripartite Model 説を支持まとめ本研究の結果は,tripartite Model 説における知能の個人差と連言錯誤の関係と,lax monitoring 説におけるエラーに気付くことに失敗しているという点を説明し, また連言錯誤を克服するためには, 高い知能やスキルがあったとしても, 正しい答えについて熟考が行われる必要があることを示した本研究の課題と展望課題 1 全体として課題に正当した人数が少ない control 条件においてニューメラシが低くなるほど正答率が上がったこと control 条件において正当した参加者が非常に少なく ( 実験 2 での control 条件の正答者はわずか 4 人 ), その影響で負の相関になってしまったのではないか課題 2 知能については一側面しか有意な結果は示されていないニューメラシは連言錯誤においてのみ関係の強い指標といえるかもしれない知能のほかの側面についての尺度との関連を調べ, 今回の効果が一般的に言えるのかを検討する

Microsoft Word - Malleable Attentional Resources Theory.doc

Microsoft Word - Malleable Attentional Resources Theory.doc Malleable Attentional Resources Theory: A New Explanation for the Effects of Mental Underload on Performance Mark S. Young & Neville A. Santon Human Factors, Vol. 44, No. 3, pp. 365-375 (2002) Introduction