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たつぞうよどぎみ
5 years ago
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1 新潟県佐渡海区マナマコ資源回復計画 1 資源の現状と資源回復の必要性 (1) 対象資源の資源水準の現状一般にナマコと呼ばれるマナマコ Stichopus japonicus (Selenka) は我が国沿岸全域に分布し日本海沿岸においては北海道から九州に及んでいる本県ではほぼ沿岸全域に生息し特に佐渡海区の真野湾両津湾及び前浜沿岸に多く分布しており佐渡海区での漁獲が県内全体の漁獲の9 割以上を占めているマナマコは日本海側では 16 くらいから産卵を始め 18~22 くらいで終えると言われている佐渡島における産卵期は生殖腺の発達状況からみて7 月前後と推察され受精卵は卵割を繰り返して数十時間で浮遊幼生となる 2~3 週間程度の浮遊生活期中に移動分散し藻類等に付着するその後 5~6 日で付着物から離れ稚ナマコとなって海底で生活するようになる海底生活に入ってからは大きな移動を行わないと言われ移動速度は 14m/ 日との記録がある水温 16~17 以下で成長するため実質的な成長期間は 11~6 月で夏季 ( 概ね 7~1 月 ) は夏眠するため成長しない寿命は 4~5 年と推定されている分類学的には単一種とされているが体色の特徴によってアカナマコアオナマコクロナマコなどと俗称され生態的形態的にも多くの差異が認められるとされている佐渡島で漁獲される種類は真野湾ではアオナマコが 8~9 割程度クロナマコが 1~2 割程度でアカナマコはあまり漁獲されない前浜沿岸でもほぼ同じであるが若干クロナマコの比率が高い一方両津湾に接する加茂湖ではほとんどがアオナマコである農林統計によると佐渡島におけるナマコ漁獲量は 1979(S54) 年に最低水準の 32 トンにまで低下した後徐々に増加傾向を示し 1986(S61) 年から 1993(H5) 年にかけて 1989 (H 元 ) 年の 164 トンをピークに 1 トン以上の漁獲があったしかしながら 1994(H6) 年以降は 8 トン前後で横ばい状態となっている特に真野湾での漁獲量の減少が著しいが漁獲量の推移から判断すると 23(H15) 年までの佐渡島全体の資源水準は中位と考えられる両津湾真野湾前浜沿岸図 1 佐渡島における主なナマコ漁場 1

2 (2) 漁獲量の推移と資源回復の必要性前述のとおり佐渡島における漁獲量は近年横ばいであったが佐渡島内でも漁獲量の増加が著しい真野湾の3 漁協 ( 真野佐和田二見 ) では 1995(H7) 年以降は 1 トン以下で推移していたが 23(H15) 年は 16 トン 24(H16) 年は 75 トン 25(H17) 年は 196 トン 26(H18) 年は 149 トン (25,26: 佐渡水産技術センター調べ ) とこれまでにない漁獲増となっている ( 図 3) これら 3 漁協以外にも島内での漁獲量は増えており過剰な漁獲圧が資源に影響を与えると懸念されているこれは最近中国向け等の輸出用乾燥ナマコの需要が増加したものと思われるまた真野湾で漁獲されたナマコ類について 25(H17) 年と 26(H18) 年の比較をすると 25(H17) 年漁期である 24(H16) 年 12 月から 25(H17) 年 6 月の平均体重は 46g であったのに対して 26(H18) 年漁期である 26(H18) 年 1 月から8 月の平均体重は325g であった ( 図 4 5) これを体重組成からみると 25(H17) は体重のモードが 38g であり 15g 以下の小型個体が全体の.4%( 個体数組成 ) を占め干しナマコの原料として最適なサイズとなる体重 3~79g の個体が占める割合は 88.7% であったこれに対し 26(H18) 年の体重のモードは 18g であり 15g 以下の小型個体が 13.4% 3~79g の個体の割合は 43.2% と前年に比べて著しく漁獲個体が小型化しているさらにこれを地区ごとにみると真野地区の平均体重は 568g と大型であるのに対して二見地区は 34g 佐和田地区は 284g とこれら 2 地区の漁獲個体が著しく小型となっており ( 図 6) 特に最も小型個体を多く漁獲している佐和田地区では 26(H18) 年の漁獲量が 25(H17) 年の 53% に減少していた ( 図 3, 表 1) これらのことから一般的に資源状況が悪化すると漁獲物の小型化が顕著になることを考慮すると真野湾をはじめ佐渡島における資源量の減少が危惧されるまた生殖腺指数の経時変化 ( 図 7) から産卵期は7,8 月を中心とした夏季であり天然資源の再生産に見合った適正な漁獲とし漁獲圧を軽減することがマナマコ資源の維持回復を図るために必要不可欠である漁獲量 ( トン ) 佐渡地区全計両津湾主要 5 漁協真野湾主要 3 漁協赤泊小木漁協高千漁協図 2 佐渡島におけるナマコ総漁獲量の推移 ( 農林水産統計 ) 2

3 漁獲量 ( トン ) 真野漁協佐和田漁協二見漁協 3 漁協合計図 3 真野湾 3 漁協の漁獲量の推移 1981~24 年 : 農林統計 25,26 年 : 佐渡水産技術センター調べ 1 % 8 6 avgbw=46±142g n=251, , 1,1 体重 (g) 図 4 真野湾における 25 年漁期のマナマコ体重組成 % 8 6 avgbw=325±186g n=41, 体重 (g) 図 5 真野湾における 26 年漁期のマナマコ体重組成 3

4 個体数 2, 15, 1, 真野支所佐和田支所二見支所真野湾全域 avgbw=325±186g n=41,6 真野地区 avgbw=568±215g n= 46,86 佐和田地区 avgbw=284±169g n=18,31 二見地区 avgbw=34±143g n=183,664 5, 体重 (g) 図 6 真野湾における地区別マナマコ体重組成表 1 真野湾における主要 3 地区のマナマコ漁獲量漁獲量の単位 : トン年真野地区佐和田地区二見地区漁協合計注年はセンター調べ注 2 26 年は1 月までの合計値 25 2 生殖腺指数 /1 4/26 5/21 6/15 7/1 8/4 8/29 9/23 1/18 図 7 マナマコ生殖腺指数の経時変化 (26 年 ) 2 資源の利用と資源管理等の現状 (1) 関係漁業等の現状 1 関係漁業の現状佐渡海区におけるマナマコを採捕する主な漁業は第 1 種共同漁業権に基づく採介藻漁業 ( 竿取りたも取り ) と知事許可による小型機船底びき網漁業 ( 手繰第 3 種 ) でありこのほか刺し網漁業によっても一部混獲されている 4

5 表 2 佐渡海区における小型機船底びき網漁業 ( 手繰第 3 種 ) 許可の概要漁協名許可隻数操業区域操業期間二見 5 佐共第 11 号共同漁業権漁場内佐和田 8 佐共第 12 号共同漁業権漁場内真野 4 佐共第 13 号共同漁業権漁場内水津 8 佐共第 21 号共同漁業権漁場内両津市 5 佐共第 23 号共同漁業権漁場内加茂湖一円 4 月 1 日から 6 月 3 日まで 4 月 1 日から 3 月 31 日 3 月 11 日から 4 月 15 日まで 1 月 21 日から 5 月 31 日まで 12 月 15 日から 4 月 15 日まで 12 月 2 日から 2 月 28 日まで ( 新潟県調べ ) 2 漁獲量漁獲金額の推移前述のとおり県内の漁獲量の9 割以上を佐渡海区が占め ( 図 8) 漁獲金額は 1989(H 元 ) 年の 158 百万円を最高に近年は 5 百万円前後で推移し 24(H16) 年には急増している ( 図 9) 単価については 1989(H 元 ) 年をピークに年々低下しているが加工輸出向けに漁獲の始まった 23(H15) 年には若干上昇している ( 表 3) 1989(H 元 ) 年前後に単価が高かったのはいわゆるバブル期であり生食用の需要によりアカナマコを中心に出荷していたためと推測される大型と小型の単価比較データはないが一般的に小型個体は単価が低いことから小型個体の漁獲割合を減少させることにより単価の低下防止が期待できる漁獲量 ( トン ) 県計北部南部佐渡図 8 新潟県及び佐渡海区におけるナマコの漁獲量 ( 農林水産統計 ) 5

6 ( 百万円 ) 図 9 新潟県におけるナマコ生産金額 ( 農林統計 ) 表 3 ナマコの地区別漁獲量と単価漁獲量単位 : トン年県計北部南部佐渡単価 ( 円 /kg) ,7 1, 漁業形態及び経営の現状マナマコを漁獲対象としている漁業は比較的小規模な経営体が多く他産業 ( 農業等 ) との兼業で収入を得ているものが多い竿取りたも取りは地元では磯ねぎと称され主に1トン未満の船外機船によってサザエアワビ等の採貝アカモクアラメ等の採藻と併せナマコを採取している小型機船底びき網漁業 ( 手繰第 3 種 ) は地元ではうになまこけた網と称され主に1~5トンのディーゼル船によって行われておりナマコ漁業の操業期間以外はその他の小型機船底びき網漁業 ( 地方名称 : 板びき網漁業 ) 刺網漁業等を行っている 4 消費と流通の現状佐渡島のマナマコは主に生鮮品として流通してきたが近年乾燥ナマコの需要が増加したことから佐渡島内においても乾燥ナマコの加工業者が進出するなど流通形態に大きな変化が生じている貿易統計によると 25(H17) 年の乾燥ナマコの輸出は 23 トン ( 前年比 3% 増 ) 7,887 百万円 ( 前年比 45% 増 ) となっているまた 26(H18) 年 1~1 月までの輸出は 227 トン ( 前年同期比 14% 増 ) 9,826 百万円 ( 前年同期比 51% 増 ) となっており香港中国台湾が主な輸出先となっている 6

7 (2) 資源管理等の現状 1 関係漁業の主な資源管理措置佐渡海区のマナマコに対する公的規制措置はないが第 1 種共同漁業権行使規則に基づくマナマコの資源管理が各漁業協同組合により実施されているが体重制限については規定されていないなお一部の地域では漁業者間の自主的な取り決めによる資源管理が行われているものの統一的な取組はなされていない表 4 各漁協のなまこ漁業に対する第 1 種共同漁業権行使規則上の制限漁協名共同漁業権漁業名称操業期間禁漁期間外海府佐共第 1 号第 1 種外海府中央佐共第 2 号第 1 種高千佐共第 3 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 金泉佐共第 4 号第 1 種姫津佐共第 5 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 金泉南部佐共第 6 号第 1 種相川佐共第 7 号第 1 種西浦佐共第 8 号第 1 種稲鯨佐共第 9 号第 1 種稲鯨二見佐共第 1 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 二見佐共第 11 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 佐和田佐共第 12 号第 1 種なまこ漁業真野佐共第 13 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 大倉田佐共第 14 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 西三川佐共第 15 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 素浜佐共第 16 号第 1 種小木佐共第 17 号第 1 種なまこ漁業 6/1~3/31 4/1~5/31 羽茂佐共第 18 号第 1 種なまこ漁業 12/1~7/31 8/1~11/3 赤泊佐共第 19 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 松ヶ崎佐共第 2 号第 1 種なまこ漁業 1/1~4/3 5/1~9/3 水津佐共第 21 号第 1 種なまこ漁業 12/1~5/31 6/1~11/3 東浜佐共第 22 号第 1 種なまこ漁業 11/1~5/31 6/1~1/31 両津佐共第 23 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 羽吉浜第一羽吉浜佐共第 25 号第 1 種なまこ漁業 11/1~8/31 9/1~1/31 内浦佐共第 28 号第 1 種なまこ漁業 1/1~12/31 内海府佐共第 29 号第 1 種なまこ漁業 11/1~4/3 5/1~1/31 7

8 2 遊漁の現状マナマコは第一種共同漁業権魚種であり遊漁の対象とはなっていない 3 資源の積極的培養措置佐渡海区内の一部の漁協では海中に付着基質を設置して天然採苗を行い採取した稚ナマコを各共同漁業県内の地先に放流するなどの積極的培養措置に取り組んできたが現在は休止している 4 漁場環境の保全措置築いそ ( 自然石投入 ) 事業等によるマナマコの生息場所の造成が行われている 3 回復計画の目標 Delury 法により真野湾での小型底びき網漁業が対象とする漁期前の資源量を推定したところ 26(H18) 年は 25(H17) の 7% 程度となっており佐渡海区のマナマコ資源の維持回復を図るためには天然資源の再生産に見合った適正な漁獲を行うとともに小型個体の保護が必要であるこのため平成 19 年度から平成 23 年度までの5 年間次の漁獲努力量の削減措置を実施し漁獲物の約 1 割を占める 15g 以下の小型個体の漁獲割合を低減し漁獲量が急増する以前の安定した 1994(H6)~23(H15) 年までの平均漁獲量 87トンを維持することを目標とする 4 資源回復のために講じる措置と実施期間 (1) 漁獲努力量の削減措置 1 休漁期間の設定全地区共通の休漁期間は7 月 1 日から1 月 31 日とし両津地区前浜地区真野湾地区及び外海府地区の各地区 ( 図 1) においては下記のとおりとする ( 両津湾地区 ) 水津 ~ 外海府地区 ( 佐共 1 号佐共 21~29 号 ) 休漁期間を 6 月 1 日から 1 月 31 日までとする ( 前浜地区 ) 素浜 ~ 松ヶ崎地区 ( 佐共 16~2 号 ) 休漁期間を 5 月 1 日から 1 月 31 日までとする外海府地区両津湾地区 ( 真野湾地区 ) 二見 ~ 西三川地区 ( 佐共 1~15 号 ) 休漁期間を 7 月 1 日から 1 月 31 日までとする真野湾地区 ( 外海府地区 ) 外海府中央 ~ 稲鯨地区 ( 佐共 2~9 号 ) 休漁期間を 7 月 1 日から 1 月 31 日までとする 8 前浜地区図 1 佐渡島の 4 地区

9 2 体重制限体重 15g 未満のマナマコを採捕禁止とする 3 その他の規制体重制限に合わせた桁網の網目規制漁獲量の制限保護区域の設定漁法の制限等について検討を行うものとする (2) 資源の積極的培養措置マナマコの種苗放流については 25(H17) 年 3 月に策定した第 5 次新潟県栽培漁業基本計画に掲げられていることから県は種苗量産技術の確立と放流技術の開発を検討する (3) 漁場環境の保全措置マナマコの生息環境の改善を図るため築いそ ( 自然石投入 ) 事業等による生息場の造成海底耕耘や清掃作業等による漁場環境の改善のための措置を検討するまた水産基盤整備事業 ( 漁場環境保全創造事業 ) による藻場造成に取り組む 5 漁獲努力量の削減措置及びその効果に関する公的担保措置資源回復を実現するための漁獲努力量の削減措置の実効性を確保するため資源の状況に機動的に対応できるよう漁業調整委員会等による公的担保措置を講じていく必要があるとともに今後の資源動向を見ながら具体的な措置を検討する 6 資源回復のために講じる措置に対する支援策 (1) 漁獲努力量の削減措置に関する経営安定策県は新潟県漁業協同組合連合会及び関係漁業協同組合等との連携を強化し漁家所得の維持安定のための取組を強化するとともに必要に応じて支援事業の活用を検討する (2) 資源の積極的培養措置に対する支援措置県は 4-(2) の措置を推進する (3) 漁場環境の保全措置に対する支援措置県は 4-(3) の措置を推進する 7 資源回復措置の実施に伴う進行管理 (1) 資源回復措置の実施状況の把握県は関係機関等と連携して資源回復措置の実施状況を毎年把握しその円滑な実施が図られるよう関係者を指導する (2) 資源動向の調査県は資源動向の調査評価体制を構築し関係機関等と連携して資源状況の把握を行う 9

10 (3) 資源回復措置の見直し県等は (1) (2) の結果を踏まえ資源回復計画の評価検討を行い必要に応じて回復措置の見直しを行う (4) 進行管理に関する組織体制進行管理に必要な情報の収集資源回復措置の実施状況の把握漁業者新潟県 ( 行政 ) 資源状況の調査新潟県 ( 研究 ) 資源回復計画の評価検討及び見直し資源動向と資源回復措置の評価検討漁業者新潟県資源回復措置の見直しの検討海区漁業調整委員会等資源回復措置の見直し新潟県協議水産庁指導 8 その他本計画は資源回復を図ることにより将来的に県民等に対する水産物の安定供給を実現していくためのものであり県民の理解を得ながら計画を進める必要があることから計画及び進捗状況等について広く情報提供を行うこととする 1

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<4D F736F F D E598A CBB8FF382C689DB91E8312E646F63> 1. 佐渡島の概要佐渡島は本土から35kmの海上に浮かぶ日本海最大の離島で総面積は約 855km2を有し県の 6.8% を占め海岸線は280.5kmで新潟県総延長 634.6km ( 本土 331.0km 粟島 23.1km ) の44.2% を占めている佐渡市一市からなり地勢は佐渡島を大きくえぐるように東側に両津湾西側に真野湾があり中央は肥沃な国仲平野となっているまた国仲平野の北西側は外佐渡