トラニラストで改善した皮膚肺サルコイドーシス症例報告皮下病変と肺内びまん性粒状影を呈しトラニラストで改善を得たサルコイドーシスの１例濱田邦夫 1 大沼法友 1 大田光仁 2 要旨症例は50歳代男性両側膝伸側に疼痛を伴う皮下硬結が出現したため当院皮膚科を受診した皮膚生検で非乾酪性肉芽

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あやかあいきょう
5 years ago
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1 皮下病変と肺内びまん性粒状影を呈しトラニラストで改善を得たサルコイドーシスの１例濱田邦夫 1 大沼法友 1 大田光仁 2 要旨症例は50歳代男性両側膝伸側に疼痛を伴う皮下硬結が出現したため当院皮膚科を受診した皮膚生検で非乾酪性肉芽腫が認められ胸部画像では両側肺門と縦隔リンパ節腫大および両肺野びまん性に粒状影を認めたサルコイドーシスと診断し経過観察をしたが病状が進行したためトラニラスト 300 mg/日単剤による治療を試みた治療開始４ヵ月後には皮下病変と肺病変の有意な改善を認め現在も治療は継続中である文献的考察を含めて報告する日サ会誌 2013; 33: キーワードサルコイドーシス皮下病変びまん性肺粒状影トラニラスト A Case of Sarcoidosis with Subcutaneous Lesions and Diffuse Pulmonary Nodules Improved with Tranilast Kunio Hamada1), Noritomo Onuma1), Mitsuhito Ota2) Keywords: sarcoidosis, subcutaneous lesions, diffuse pulmonary nodules, tranilast はじめに症例提示トラニラストリザベンはもともと抗アレルギー薬症例 50歳代男性としてアトピー性皮膚炎アレルギー性鼻炎ケロイ主訴両膝周囲の皮下硬結と疼痛ドなどに臨床応用されてきたトラニラストについては既往歴 41歳時頸椎ヘルニア手術アレルギー歴皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン合成抑制マクロハムスターファージからのTNF-αの遊離抑制単球から多核巨細胞家族歴特記事項なしの形成と類上皮細胞肉芽腫の形成抑制などが報告されて生活歴現喫煙 20歳 10本/日飲酒ビール500 いる 1, 2 皮膚科領域ではサルコイドーシス治療におけ ml 焼酎500 ml/週６回職業倉庫管理粉塵暴露なるトラニラストの有効性について多くの報告がなされてしいるがそのほとんどが多剤併用療法でありトラニラ現病歴 2011年９月に両側膝関節上部の皮下に硬結がスト単剤での治療成功例は必ずしも多くはない 3 6 肺病出現次第に増強して関節の屈曲時に疼痛を伴うように変を伴ったサルコイドーシス症例でのトラニラストによなった同年10月に当院を初診皮膚科および内科的精る治療成功例の報告は少ない重松らは両肺びまん性粒査が開始された初診時呼吸器症状は認めずまた状影と皮下型病変の双方がトラニラストとミノサイクリ結核患者との接触歴もないンの併用療法で改善した症例を堀口らは両側肺門リン初診時現症身長167 cm 体重51 kg 体温 36.5 パ節腫脹と瘢痕浸潤型皮膚病変がトラニラストで改善し SpO2 97% 室内気心雑音なし呼吸音清両膝上部た８例を宍倉らはびまん性肺病変と皮下病変がトラニと両外顆上に硬結と圧痛を認める Figure 1 ラスト単剤で改善した症例を報告している 7 9 今回わ初診時検査所見血算では異常値はみられず血液生れわれは宍倉らが報告したのと同様な病像を呈しト化学では血清ACE活性値が32.3 IU/Lと高値を示した以外ラニラスト単剤治療が著効した症例を経験したので文には異常値を認めなかった尿検査で異常を認めずツ献的考察を加えて報告するベルクリン反応は９９mm 陰性クォンティフェロ１市立千歳市民病院２同皮膚科１ Division of Internal Medicine, Chitose City Hospital ２ Division of Dermatology, Chitose City Hospital 内科著者連絡先濱田邦夫はまだくにお北海道千歳市北光2丁目1-1 市立千歳市民病院内科 kunio.hamada@city.chitose.hokkaido.jp 日サ会誌 2013,

ステロイドメトトレキサー胸部正面単純X線写真胸部CT Figure 2a 両側トなどの治療に対して本人が消極的であったため当初肺門および縦隔リンパ節の腫大および両肺野びまん性には無治療で経過観察としたしかし病状の改善がなく粒状影を認めた膝の屈曲障害が出始めたため初診４ヵ月後からトラニ

はびまん性粒状影縦隔および肺門リンパ節腫大の有意めなかった気管支肺胞洗浄液は回収率50% 細胞分画な改善が認められた Figure 2b, Figure 2c またガではマクロファージ 76.4% リンパ球 22.0% 好中球リウムシンチグラフィーですべての病変部位で集積の改 1.4% 好酸球 0.

2 a b Figure 1. c 皮下病変の外観左下肢ａおよび足関節上部ｂと右下肢の膝関節部ｃに認められた皮下硬結点線で表示ンTBは陰性であった心電図は正常範囲内であり心臓異物の存在も否定された超音波検査および呼吸機能検査でも異常値は認められな経過上記検査結果からサルコイドーシスと診断したかった眼科的異常は認めなかったステロイドメトトレキサー胸部正面単純X線写真胸部CT Figure 2a 両側トなどの治療に対して本人が消極的であったため当初肺門および縦隔リンパ節の腫大および両肺野びまん性には無治療で経過観察としたしかし病状の改善がなく粒状影を認めた膝の屈曲障害が出始めたため初診４ヵ月後からトラニ全身ガリウムシンチグラフィー Figure 3a 両肺野ラスト 300 mg/日を開始した治療開始２ヵ月頃から肺門および縦隔リンパ節両側膝周囲に異常集積を認め皮下硬結の改善傾向が認められ６ヵ月後には皮下病変たが著明に縮小し膝の屈曲障害も消失した胸部画像で気管支鏡検査可視的には気管支粘膜に異常所見は認はびまん性粒状影縦隔および肺門リンパ節腫大の有意めなかった気管支肺胞洗浄液は回収率50% 細胞分画な改善が認められた Figure 2b, Figure 2c またガではマクロファージ 76.4% リンパ球 22.0% 好中球リウムシンチグラフィーですべての病変部位で集積の改 1.4% 好酸球 0.2%と喫煙者ながらリンパ球比率の増加が善が認められた Figure 3b 血清ACE活性値は初診時認められ CD4/CD8比は4.4と上昇を認めた一般細菌 32.3 IU/L 治療開始時には41.6 IU/Lに上昇したが治療抗酸菌ともに培養結果は陰性であった開始６ヵ月後には22.4 IU/Lと正常値になりその後も低皮膚組織検査および組織培養皮下脂肪組織内に散在下傾向が続いている Figure 年2月現在本稿する非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められた Figure 4 作成時トラニラスト治療は継続中であり再燃傾向は抗酸菌培養および抗酸菌PCR結果は陰性であったまた認められていない 118 日サ会誌 2013, 33 1

5 肺病変については, 両側肺門リンパ節腫大 ( 以下 BHL) を伴った皮膚サルコイドーシス症例でのトラニラスト治療有効例の報告が, 堀口ら, 国定らによってなされている 8, 12). 本症例と同様に肺内びまん性粒状影と皮下型病変を呈する症例でのトラニラスト治療について, 重松らはミノサイクリン併用での有効例を報告し, 宍倉らはトラニラスト単剤での有効例を報告した 7, 9). 注目すべきことに, 宍倉らの症例はトラニラスト治療を終了した後も再発なく経過している. 皮膚科領域でも, トラニラストにより皮膚病変が消失して治療を終了した後も, 再発なく経過している症例が報告されている. 本症例も, 重松らや宍倉らの報告と同様にびまん性粒状影と皮下型病変を呈し, トラニラスト単剤治療でいずれの病変も著明に改善し, 血清 ACE 活性値も有意に低下した. 皮下型病変でのトラニラスト治療報告が目立つ印象があるが, その背景として, 皮下型病変は真皮層や脂肪組織内に類上皮細胞肉芽腫が形成されるため, ステロイド外用では効果が得られず, 内服治療に依存せざるをえないという治療上の制限があるかもしれない. 皮下型病変が他の皮膚サルコイドーシス病変と組織学的に異なるという報告はなく, むしろ, 同一の病理像を呈している. したがって, 本例のようなびまん性粒状影と皮下型病変を呈するサルコイドーシスの病態が, サルコイドーシスとして特殊な病態であるとは考えにくい. トラニラスト治療でBHLが縮小したとの報告も複数あることから, すべてのサルコイドーシス病変についてある程度の有効性が期待できるかもしれない. 実際のサルコイドーシス臨床現場では, トラニラストは皮膚病変を呈している症例にのみ使用されてきた. 今後は皮膚病変の有無にかかわらずに, 皮膚以外の臓器病変に対する有効性についても検証される必要がある. びまん性粒状影以外の画像所見を呈する肺病変についての検討も興味深いところである. 一方, これまで皮膚病変については治療無効例の報告も多数あることから, さまざまな臓器病変について有効例と無効例の比較検討も今後の課題であろう. トラニラストはわが国で開発された薬剤であるが, 臨床応用されているのは日本と韓国に限られている. 今後, 十分なエビデンスが得られれば, 世界に向けて有用な情報を発信できるであろう. 結論トラニラスト単剤にて肺病変と皮下病変が著明に改善したサルコイドーシス症例を経験した. トラニラストがサルコイドーシス治療薬になりうる可能性が示唆されたが, その有効性についてはさらなる検討が必要である. 本症例は, 第 32 回日本サルコイドーシス / 肉芽腫性疾患学会において報告した. 引用文献 1) Yamada H, Tajima S, Nishikawa T, et al. Tranilast, a selective inhibitor of collagen synthesis in human skin fibroblasts. J Biochem 1994; 116: ) Mizuno K, Okamoto H, Horio T. Inhibitory influences of trani last on multinucleated giant cell formation from monocytes by supernatant of concanavalin A-stimulated mononuclear cells. J Dermatol Sci 2000; 24: ) Yamada H, Ide A, Sugiura M, et al. Treatment of cutaneous sarcoidosis with tranilast. J Dermatol 1995; 22: ) 藤井弓子, 松村由美, 宮地良樹. 四肢に散在する局面型皮膚サルコイドが契機となって診断に至ったサルコイドーシスの1 例. 臨皮 2011; 65: ) 藤川沙恵子, 米澤理雄, 谷岡未樹, 他. 両側下腿に板状硬結を呈した皮下型サルコイドーシスの1 例. 臨皮 2007; 61; ) Nakahigashi K, Kabashima K, Akiyama H, et al. Refractory cutaneous lichenoid sarcoidosis treated with tranilast. J Am Acad Dermatol 2010; 63: ) 重松由紀子, 松田史雄, 三宅亜矢子, 他. 板状硬結を呈し塩酸ミノサイクリンとトラニラストの内服が奏効した皮下型サルコイドーシスの1 例. 皮膚臨床 2010; 52: ) 堀口裕治, 高瀬早和子. サルコイドーシスの皮膚病変を知る興味ある症例トラニラストが奏効した例.Visual Dermatol 2003; 2: ) 宍倉裕, 笹森寛, 泉山典子, 他. 肺野病変にトラニラストが有効であった皮下型サルコイドーシスの1 例. 日呼吸会誌 2012; 1: ) 前島英樹, 嶋村祐美, 白井京美, 他. トラニラストが著効した皮下型サルコイドの1 例. 臨皮 2002; 56: ) 斧山淳子, 幸野健, 石井正光. サルコイドーシス 2000 びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス. 皮病診療 2000; 22: ) 国定充, 足立厚子, 林一弘. 両下腿の板状硬結を呈した皮下型サルコイドーシスの1 例. 皮膚臨床 2002; 44: 日サ会誌 2013, 33(1) 121

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or 33 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 2015 年第 2 版 NCCN.org NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) の Lugano