がん DDS 製剤の臨床応用 G CSF 製剤の歴史 虎の門病院 * 臨床腫瘍科 髙橋萌々子 * 近藤千紘 * * 高野利実 The history of Granulocyte-colony stimulating factor Granulocyte-colony stimulating fac

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1 がん DDS 製剤の臨床応用 G CSF 製剤の歴史 虎の門病院 * 臨床腫瘍科 髙橋萌々子 * 近藤千紘 * * 高野利実 The history of Granulocyte-colony stimulating factor Granulocyte-colony stimulating factor is a glycoprotein that stimulates the bone marrow to produce granulocytes and stem cells and release them into the bloodstream. Pegylated DD S G-CSF(pegfilgrastim), in which the addition of polyethylene glycol increases the half-life of the agent, decreases the incidence of febrile neutropenia during chemotherapy. The use of G-CSF support is also important to increase dose intensity or dose density of chemotherapy. Pegylated materials are expected to play an important role in cancer treatment. 顆粒球コロニー形成刺激因子 (granulocyte-colony stimulating factor:g-csf) 製剤は 骨髄 中の好中球前駆細胞に存在する G-CSF 受容体に結合し 好中球前駆細胞から好中球への分化を促進 することで 末梢血中の好中球数を増加させる フィルグラスチムの N 末端にポリエチレングリコー ル (polyethylene glycol:peg) を結合させ 血中半減期を延長することで作用を持続させた持続 型 G-CSF 製剤ペグフィルグラスチムは 化学療法の副作用の1つである発熱性好中球減少症を有意に抑えるだけでなく 化学療法の治療強度を高めることもできる PEG 製剤の開発により がん治療が今後さらに発展していくことが期待される Momoko Takahashi *, Chihiro Kondoh *, Toshimi Takano * Keywords: G-CSF, pegfilgrastim, filgrastim, chemotherapy 1. はじめに顆粒球コロニー形成刺激因子 (granulocyte-colony stimulating factor:g-csf) 製剤は 発熱性好中球減少症 (febrile neutropenia:fn) の発症抑制 造血幹細胞移植における末梢血細胞の動員など がん化学療法における臨床現場で広く使用されている G CSF 製剤は 骨髄中の好中球前駆細胞に存在する G CSF 受容体に結合し 好中球前駆細胞から好中球への分化を促進することで 末梢血中の好中球数を増加させる ペグフィルグラスチムはフィルグラスチムの N 末端に20 KD のポリエチレングリコール (polyethylene glycol:peg) を結合させ 血中半減期を延長することで作用を持続させたG CSF 製剤であり 2014 年 11 月 28 日に持続型 * The department of clinical oncology at Toranomon Hospital G CSF 製剤ペグフィルグラスチム ( 商品名ジーラスタ皮下注 3.6 mg) として発売された 2. がん治療の基礎 2 1. 化学療法化学療法では根治を目指すか または症状緩和や延命を目指すかにより 治療に対する考え方が異なってくる 外科的手術前や後に 目に見えない微小転移を根絶するために行われる術前 術後化学療法や 急性骨髄性白血病の寛解導入療法や胚細胞腫瘍に対する根治的化学療法など 治癒を目指す薬物療法においては 治療強度が下がると治癒を得られなくなる可能性があり 安易な減量や休薬期間の延長は行うべきではないと考える その一方で 根治不能な進行がんにおける化学療法の目的は生存期間の延長や症状の緩和 QOL の向上であり 副作用 134 Drug Delivery System 32 2, 2017

2 を上回るベネフィットが期待される場合に化学療法が施行される 2 2. 好中球減少と発熱性好中球減少症骨髄抑制はほとんどの化学療法で見られる副作用である 血液中には主に白血球 赤血球 血小板があり そのうち白血球は細菌 真菌 ウイルスなどの病原菌から私達の身を守る役割を担う 全白血球の60 70% を占めるのは好中球であるが 好中球が減少すると 細菌やウイルスが繁殖しやすくなり 感染症を発症する 通常 白血球は血液のなかに 4,000 9,000 /mm 3 あり そのうち好中球は2,000 7,500 /mm 3 ある 白血球が2,000 /mm 3 以下 好中球が1,000 /mm 3 以下になると 細菌 真菌感染の頻度が増加する 好中球が最も減少するのは 抗がん剤投与後約 7 14 日ごろである 発熱性好中球減少症 (Febrile Neutropenia:FN) は 好中球が500 /μl 未満 または1,000 /μl 未満で48 時間以内に500 /μl 未満に減少することが予 想される状態で かつ腋窩温 37.5 以上 ( 口腔内温 38.0 以上 ) の発熱を生じた状態 と定義される 1) がん化学療法を行う際 FN は入院期間の延長や医療費用の増加につながり ときに生命の危険を及ぼす有害事象の1つである また 化学療法中に好中球減少を生じると 投与量の減少や投与間隔の延長を余儀なくされるために相対的治療強度が低下し 十分な治療効果が得られない可能性も考えられる 2 3. 発熱性好中球減少症リスクの高いレジメンがん薬物療法のレジメンはその強度により 好中球減少の深さや期間が異なり それに伴い FN の頻度も変化する FN を来すリスクの高いレジメンを表 1にあげた 2 4. 発熱性好中球減少症リスクの高い個体因子患者側のリスク評価も重要であり FN の発症リスク因子 重症化リスク因子としては表 2のようなものがあげられる 表 1 FN のリスクが高い (>20 %) レジメン がん種 化学療法のレジメン 膀胱がん MVAC( メソトレキセート ビンブラスチン アドリアマイシン シスプラチン ) 乳がん 食道がん / 胃がん ホジキンリンパ腫 ドセタキセル + トラスツズマブ Dose dense ACT( アドリアマイシン シクロホスファミド パクリタキセル ) アドリアマイシン + パクリタキセルアドリアマイシン + ドセタキセル TAC( ドセタキセル アドリアマイシン シクロホスファミド ) DCF( ドセタキセル シスプラチン 5 -FU) BEACOPP( ブレオマイシン エトポシド アドリアマイシン シクロホスファミド ビンクリスチン プロカルバジン プレドニゾロン ) 非ホジキンリンパ腫 ICE / R-ICE( イフォスファミド カルボプラチン エトポシド / リツキシマブ ) CHOP1 4 / R-CHOP1 4( シスプラチン アドリアマイシン ビンクリスチン プレドニゾロン )/ リツキシマブ DHAP( デキサメタゾン シタラビン シスプラチン ) ESHAP( エトポシド メチルプレドニゾロン シタラビン シスプラチン ) 小細胞肺がん 卵巣がん ノギテカン パクリタキセル 胚細胞腫瘍 VeIP( シスプラチン ビンブラスチン イフォスファミド + メスナ ) Bennett, C. L..( ). Colony-stimulating factors for febrile neutropenia during cancer therapy., 368(12), Aapro, M. S..(2011) update of EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor to reduce the incidence of chemotherapy-induced febrile neutropenia in adult patients with lymphoproliferative disorders and solid tumours., 47(1), Drug Delivery System 32 2,

3 表 2 FN の発症リスク因子 重症化リスク因子 発症リスク 6 5 歳以上の高齢者 進行がん 化学療法もしくは放射線療法の治療歴 以前から存在する好中球減少症 腫瘍の骨髄浸潤 感染症 開放創や最近の手術 Performance Status 不良や低栄養状態 腎機能障害 肝機能障害 心血管疾患 さまざまな感染症 HIV 感染症 重症化リスク 敗血症 6 5 歳以上 著名な好中球減少症 (<1 0 0 / μ L) 1 0 日間以上続くと想定される好中球減少症 肺炎 侵襲性真菌感染症 臨床的に明らかな感染症 入院中の発熱性好中球減少症の既往 Klastersky, B. J..(2000). The Multinational Association for Supportive Care in Cancer Risk Index : A Multinational Scoring System for Identifying Low-Risk Febrile Neutropenic Cancer Patients., 18(16), Smith, T. J..(2015). Recommendations for the use of WBC growth factors: American society of clinical oncology clinical practice guideline update., 33(28), 従来型 G CSF 製剤 3 1. 種類 G CSF 製剤は ヒト由来の G CSF と基本的に差異のない構造をもつ造血因子である 好中球前駆細胞の細胞表面に発現している G CSF 受容体に特異的に結合して 好中球前駆細胞から成熟好中球への分化 増殖を促進させ 成熟好中球に対してはその機能を亢進させる 薬効としては下記のようなものがあげられる 1 好中球前駆細胞の細胞周期への導入 分化 増殖の促進 2 好中球機能の亢進 ( 活性酸素の酸性能の向上 貪食殺菌能の亢進 遊走能の亢進 ) 3 成熟好中球の末梢血への動員 4 造血幹細胞の末梢血への動員本邦で用いられている G CSF 製剤はノイトロジン グラン ノイアップ などがある いずれも注射剤で 投与は皮下投与あるいは点滴静注にて行う <レノグラスチム : ノイトロジン > 1974 年に浅野茂隆らが顆粒球のなかでも特に好中球増多を伴う CSF 産生肺がん患者を発見し CSF がヒトにおいても生理活性を示し 顆粒球のなかでも特に好中球の増殖や分化に作用していることを推定した 1983 年にはヌードマウス移植ヒト口腔底がんが 従来にない高い CSF 産生能を有していることを発見した そして この腫瘍から G CSF 産生細胞 CHU 2 株を樹立し hg CSF を初めて完全に純化することに成功した 1985 年にはG CSFcDNAのクローニングをして 大腸菌と哺乳動物細胞 ( チャイニーズハムスター卵巣細胞 : CHO 細胞 ) のそれぞれにおいて hg CSF の発現に成功した CHO 細胞による産物は糖鎖を含む糖タンパク質で N 末端にメチオニンを含まず E.coli の産物よりも活性が高いことから生産細胞として選択された この CHO 細胞に hg CSFcDNA を組み込んだ発現ベクターを導入し hg CSF を効率よく産生する種細胞株を樹立し マスターセルバンクが確立された 136 Drug Delivery System 32 2, 2017

4 レノグラスチムは 個のアミノ酸で構成される O- グリコシド型糖鎖を有する糖タンパク質 1) タンパク質部分 Thr Pro Leu Gly Pro Ala Ser Ser Leu Pro Gln Ser Phe Leu Leu Lys Cys Leu Glu Gln Val Arg Lys Ile Gln Gly Asp Gly Ala Ala Leu Gln Glu Lys Leu Cys Ala Thr Tyr Lys Leu Cys His Pro Glu Glu Leu Val Leu Leu Gly His Ser Leu Gly Ile Pro Trp Ala Pro Leu Ser Ser Cys Pro Ser Gln Ala Leu Gln Leu Ala Gly Cys Leu Ser Gln Leu His Ser Gly Leu Phe Leu Tyr Gln Gly Leu Leu Gln Ala Leu Glu Gly Ile Ser Pro Glu Leu Gly Pro Thr Leu Asp Thr Leu Gln Leu Asp Val Ala Asp Phe Ala Thr Thr Ile Trp Gln Gln 130 * 140 Met Glu Glu Leu Gly Met Ala Pro Ala Leu Gln Pro Thr Gln Gly Ala Met Pro Ala Phe Ala Ser Ala Phe Gln Arg Arg Ala Gly Gly Val Leu Val Ala Ser His Leu Gln Ser Phe 170 Leu Glu Val Ser Tyr Arg Val Leu Arg His Leu Ala Gln Pro レノグラスチムのアミノ酸配列 *:O- グリコシド型糖鎖結合位置 :S-S 結合 レノグラスチムのアミノ酸配列は N 末端 Thr から C 末端 Pro まで cdna の塩基配列から推定されるアミノ酸の配列と完全に一致する また ヒト口腔底が ん扁平上皮細胞から単離 精製した G-CSF( 天然型 G-CSF) の全アミノ酸配列分析の結果とレノグラスチムのアミノ酸配列は完全に一致している 2) 糖鎖部分 NANAα2 ± NANAα2 3 6 Galβ1 3 GalNAc Thr 133 レノグラスチムの O- グリコシド型糖鎖の構造 NANA:N- アセチルノイラミン酸 Gal: ガラクトース GalNAc:N- アセチルガラクトサミン Thr: スレオニン O グリコシド型糖鎖は Galβ1 3 GalNAc を共通構造とし この二糖に結合する NANA 残基数の異なる 2 種類 ( モノシアロおよびジシアロ ) の糖鎖で レノグラスチムの糖鎖の結合位置は 上記天然型 G-CSF と同一である また 構成糖の種類 組成比についてもほとんど差異はない 図 1 レノグラスチムの構造式または示性式 <フィルグラスチム : グラン > フィルグラスチムは遺伝子組み換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子 (rhg CSF:recombinant human granulocyte-colony stimulating factor) で 好中球前駆細胞に作用して分化 増殖を促進させるほか 骨髄からの成熟好中球の放出促進および好中球機能を亢進させる G CSF 研究の歴史は 1965 年頃までさかのぼり 当時オーストラリアの Don Metcalf らは マウス腎細胞や胎児胚細胞が分泌する液性因子がマウス骨髄細胞の分化増殖を活 性化し コロニー形成を促進することを認め この液性因子を CSF と命名した 1985 年には Karl Welt らがヒト膀胱細胞の培養上清よりヒト G CSF (hg CSF) を純化 精製することに成功した さらに Karl Welt らと米国アムジェン社の Lawrence M. Souza らは この hg CSF の N 末端領域のアミノ酸配列を決定し それに基づきヒト膀胱細胞由来の hg CSF 遺伝子をクローニングして大腸菌にこの遺伝子を組み込み hg CSF(rhG CSF) を産生することに成功した Drug Delivery System 32 2,

5 分子式および分子量 分子式 :C 845 H 1339 N 223 O 243 S 9 分子量 :1 8, 図 2 フィルグラスチムの構造式または示性式 / 分子式および分子量 <ナルトグラスチム : ノイアップ > 1985 年東京大学第三内科と協和発酵キリン株式会社 ( 旧協和発酵東京研究所 ) との共同研究によって ヒト正常細胞 ( マクロファージ ) から G CSF 遺 伝子の cdna をクローン化したことをきっかけに 大腸菌による組み換え hg CSF の量産に成功した 次いで カセット変異法という当時最先端のタンパク質工学的技術を駆使しアミノ酸配列の一部を改変 構成アミノ酸の略号 A(Ala): アラニン C(Cys): システイン D(Asp): アスパラギン酸 E(Glu): グルタミン酸 F(Phe): フェニルアラニン G(Gly): グリシン H(His): ヒスチジン I (Ile) : イソロイシン K(Lys): リジン L (Leu): ロイシン M(Met): メチオニン P(Pro): プロリン Q(Gln): グルタミン R(Arg): アルギニン S(Ser): セリン T(Thr): トレオニン V(Val): バリン W(Trp): トリプトファン Y(Tyr): チロシン 矢印は天然型 hg-csf のアミノ酸を置換した部位を示す N 末端から数えて 番目のアミノ酸が下記に示すごとく天然型 hg-csf と異なる 1 番目 : トレオニン アラニン 3 番目 : ロイシン トレオニン 4 番目 : グリシン チロシン 5 番目 : プロリン アルギニン 1 7 番目 : システイン セリンに置換されている 図 3 ナルトグラスチムの構造式または示性式 138 Drug Delivery System 32 2, 2017

6 した hg CSF 誘導体 ( ミューテイン G CSF) 約 100 種をつくり これらのなかからin vitro スクリーニングによって 天然型 hg CSF 誘導体 ( 糖鎖非結合 ) より比活性が約 3 倍高く 血漿中で安定なナルトグラスチムが1987 年に選定された 3 2. 適応症 G CSF 製剤の適応症は製剤ごとに異なり 適応症の広い順にノイトロジン グラン ノイアップ となる ( 表 3) 表 3 G-CSF 製剤の適応症の比較 適応症ノイトロジン グラン ノイアップ 造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進〇〇〇 造血幹細胞の末梢血中への動員がん化学療法終了後の動員〇〇 自家末梢血幹細胞移植を目的とした G-CSF 単独による動員 末梢血幹細胞移植ドナーに対する G-CSF 単独による動員 〇〇 〇〇 がん化学療法による好中球減少急性骨髄性白血病〇〇 急性リンパ性白血病〇〇〇 悪性リンパ腫 小細胞肺癌 胚細胞腫瘍 神経芽細胞腫 〇〇〇 小児がん〇〇〇 その他のがん腫〇〇〇 成人骨髄異形成症候群 (MDS) 〇〇 再生不良性貧血成人〇〇 小児〇〇〇 先天性 特発性好中球減少症 ( 成人 小児 ) 〇〇〇 HIV 治療に支障をきたす好中球減少 ( 成人 小児 ) 〇〇 免疫抑制療法 ( 腎移植 ) に伴う好中球減少 ( 成人 小児 ) 〇 Medicina vol.4 9 no.1 1( ) 増刊号より引用 3 3. 治療成績 211 人の小細胞肺がん患者を対象に G CSF もしくはプラセボ投与した第 Ⅲ 相試験では FN の発症率は G CSF 投与群で40 % プラセボ投与群で 76 % であり (p<0.001) Grade 4の好中球減少 ( 好中球が <500 /m 3 となること ) も G CSF 投与群で平均 3 日間 プラセボ投与群で平均 6 日と G CSF 投与群で好中球減少が続く期間は有意に短くなることが示された 2) この試験を受けて FDA は1991 年に G CSF 製剤を承認した 本邦においても第 Ⅲ 相臨 床試験で有効性が確認され 3, 4) レノグラスチムとフィルグラスチムが1991 年 2 月に ナルトグラスチムが1994 年 5 月に発売された 3 4. 課題 G CSF 製剤の投与方法は大きく3つに分類される ( 表 4) 従来の G CSF 製剤 ( フィルグラスチム ナルトグラスチム レノグラスチム ) は 多くのがん種で FN の予防投与が認められていなかった また 血 表 4 G-CSF 製剤の投与方法 一次予防的投与 二次予防的投与 治療的投与 抗がん剤治療の 1 コース目から FN を予防する目的で 発熱や好中球減少を確認することなく G-CSF を投与する 化学療法の強度を上げる または維持する目的で投与する 抗がん剤治療により 前コースにおいて FN を生じたり 遷延性の好中球減少症により投与スケジュールの延期が必要となった場合に 次コースで予防的に G-CSF を投与する 発熱のない好中球減少症 または FN を生じてから G-CSF を投与する Drug Delivery System 32 2,

7 中半減期が短いため 好中球数が回復するまでに連日の投与が必要であり 特に外来で通院している患者が連日病院に通院する必要があるという点があった 4. 持続型 G CSF 製剤 4 1. 開発の経緯がん化学療法を受けている患者に好中球減少症を認めた場合 FN や感染症のリスクを低減させるために がん薬物療法の抗がん剤の減量や投与間隔の延長を余儀なくされることがあるが 相対的な治療強度が低下し十分な治療効果が得られないことによる生存率の低下が懸念されていた それらのことから 血中半減期の長い G CSF 製剤の開発と がん種やレジメンによらずに FN 発現リスクに基づいた予防投与が可能な G CSF 製剤の開発が求められていた 今回発売されたペグフィルグラスチムは 既存のフィルグラスチム ( 分子量約 1 万 9,000) の N 末端に水溶性高分子のポリエチレングリコール (PEG)1 分子 ( 分子量約 2 万 ) を共有結合した修飾タンパク質である ( 図 4) PEG 化によって プロテアーゼによる分解を抑制するとともに 腎臓でのクリアランスを低下させ体外への排泄を減少させることで 血中半減期を延長させている 血中半減期の延長に伴い 従来の連日投与の必要性がなくなり 化学療法の各サイクルに1 回のみ投与するという治療スケジュールが可能となった 4 2. 適応症 ペグフィルグラスチムと従来の G CSF 製剤の効 能 効果に関する主な相違点を表 5 に示す 表 5 ペグフィルグラスチムと従来の G-CSF 製剤の適応の違い ペグフィルグラスチム 一次予防的投与 4 3. 治療成績 1)FN の予防効果における成績 従来の G-CSF 製剤 すべてのがん種で適応悪性リンパ腫 小細胞肺がんなど一部のがん種のみで適応 二次予防的投与 すべてのがん種で適応悪性リンパ腫 小細胞肺がんなど一部のがん種のみで適応 治療的投与 適応外 すべてのがん種で適応 2005 年に Charles L. Vogel らは 乳がんの術後 化学療法としてドセタキセル (100 mg/m 2 ) を投与 した 928 人を対象とし ペグフィルグラスチム群と プラセボ群を比較した第 Ⅲ 相試験を報告した 5) こ の試験の結果 主要評価項目である FN の発症率が ペグフィルグラスチム群で有意に低下することが示 された ( ペグフィルグラスチム群対プラセボ群 : 1 % 対 17 % p<0.001) また メタ解析におい ても ペグフィルグラスチム群はプラセボ群と比較 して 有意に FN 発症を予防することが示され ま たフィルグラスチムとの比較においても ペグフィ ルグラスチムが優れる傾向が示された 6) ( 図 5) ペグフィルグラスチムは メトキシポリエチレングリコール ( 分子量 : 約 20,000)1 分子がフィルグラスチム ( 遺伝子組換 え ) の Met1 のアミノ基に結合した修飾タンパク質 ( 分子量 : 約 40,000) である Pegfilgrastim is a modified protein(molecular weight: ca. 40,000)consisting of a methoxy polyethylene glycol molecular(molecular weight: ca. 2 0,0 00)attached to an amino group of Met1 of Filgrastim(Genetical Recombination). H3C O n O H N Filgrastim 2) 治療強度を高めるレジメンでの成績 2015 年に Lucia Del Mastro らは 乳がんの術後化学療法において ペグフィルグラスチムを併用することで投与間隔を短くした dose-density を高めた治療と 標準的な投与間隔で施行した治療を比較した GIM 2 試験の結果を報告した 7) 主要評価項目である DFS(disease-free survival) において dosedense 療法は標準的な投与方法より有意に優れていた ( 図 6) 図 4 ペグフィルグラスチムの構造 ( 承認時資料より ) 140 Drug Delivery System 32 2, 2017

8 1 ペグフィルグラスチム投与対 G-CSF 予防投与なし Primary G-CSF No primary G-CSF Risk Ratio Risk Ratio Study or Subgroup Events Total Events Total Weight M-H, Random, 95 % Cl M-H, Random, 95 % Cl Pegfilgrastim Romieu (breast) * % 0.77[0.23, 2.6 0] Vogel (breast) % 0.08[0.03, 0.1 8] Hecht 2 009(colorectal) % 0.29[0.08, 1.0 2] Balducci (NHL) * % 0.41[0.22, 0.7 6] Balducci (solid) * % 0.41[0.23, 0.7 5] Subtotal(9 5% Cl) % 0.30[0.14,0.65] Total events Heterogeneity:Tau2 =0.5 4;Chi 2 = , df=4(p= );I 2 =76 % Test for overall effect:z=3.08((p=0.002) Favours primary G-CSF Favours primary no G-CSF 2 ペグフィルグラスチム対フィルグラスチム Pegfilgrastim Filgrastim Risk Ratio Risk Ratio Study or Subgroup Events Total Events Total Weight M-H, Random, 95 % Cl M-H, Random, 95 % Cl Green 2 003(breast) % 0.6 5[0.3 1, 1.3 5] Hlmes 2002(breast, ph3) % 0.5 1[0.2 8, 0.9 4] Hlmes 2002(breast, ph2) % 1.3 6[0.2 8, 6.5 0] Grigg 2003 * (NHL) % 0.3 1[0.0 1, 7.0 2] Vose (NHL, HL) % 1.0 7[0.3 9, 2.9 4] Total(9 5)% Cl % 0.66[0.4 4, 0.98] Total events Heterogeneity:Tau 2 =0.0 0;Chi 2 =2.6 0, df=4(p=0.6 3);I 2 =0 % Test for overall effect:z=2.04((p=0.04) Favours pegfilgrastim Favours filgrastim 図 5 FN 発症率に関するメタアナリシス ( 文献 6 より引用 一部改変 ) Q2 Q3 Disease free survival(%) Number Number of 5year 95%CI of patients estimated patients with event survival(%) Q2 Q HR 0.77,95% CI ; p= Number at risk Q Years Q Q2:2 週毎投与 =dose dense 療法 Q3:3 週毎投与 図 6 GIM-2 試験の治療成績 ( 文献 4 より ) Drug Delivery System 32 2,

9 4 4. 副作用 承認に向けて 安全性の評価のために本邦で施行 された臨床試験 632 例におけるおもな副作用とその 頻度を示す ( 表 6) フィルグラスチムと比較した第 Ⅲ 相試験において ペグフィルグラスチム群で明ら かに多く見られた副作用は認めなかった ( 表 7) 表 6 安全性評価の対象となった計 7 試験 (6 32 例 ) における主な副作用 5 % 以上 1 ~5 % 未満 1 % 未満 皮膚発疹蕁麻疹 紅斑 そう痒多形紅斑 皮膚剥脱 筋 骨格背部痛 関節痛 筋肉痛骨痛 四肢痛筋骨格痛 消化器 下痢 便秘 腹痛 腹部不快感 悪心 嘔吐 口内炎 肝臓 AST ALT 上昇肝機能異常 血中ビリルビン増加 γ GTP 増加 血 液 白血球増加 好中球増加 貧血 血小板減少 白血球減少 リンパ球減少 代謝 栄養 電解質異常 高血糖 食欲減退 単球増加 精神神経系頭痛味覚異常 めまい 異常感覚感覚鈍麻 不眠症 その他 LDH 上昇 発熱 倦怠感潮紅 浮腫 CRP 上昇血中 Alb 増加 注射部位反応 副作用 表 7 KRN 試験における主な副作用 ( いずれかの群で 5 % 以上発症したもの ) ペグフィルグラスチム (N=5 4) フィルグラスチム群 (N=5 5) 背部痛 1 1( % ) 1 6( % ) LDH 上昇 8( % ) 1 7( % ) 発熱 3( 5. 6 % ) 5( 9. 1 % ) T-Bil 上昇 3(5.6 %) 2( 3. 6 % ) ALP 上昇 2( 3. 7 % ) 6( % ) ALT 上昇 2( 3. 7 % ) 4( 7. 3 % ) 頭痛 1( 1. 9 % ) 4( 7. 3 % ) 骨痛 0( 0. 0 % ) 5( 9. 1 % ) 5. 終わりに本稿では 従来型 G CSF 製剤から持続型 G CSF 製剤が開発された経緯 そして持続型 G CSF 製剤の特徴や治療成績を紹介した 持続型 G CSF 製剤 の開発により より少ない負担で FN の発症が抑えられ また化学療法の治療強度を保つことができるようになるなど 臨床面で患者が受ける恩恵は大きい 今後も PEG 製剤の応用が進み 臨床の現場に生かされることを期待する 文献 1) 日本臨床腫瘍学会編 : 発熱性好中球減少症 (FN) 診療ガイドライン, 南光堂 (2012) 2)Crawford J, et al., N Engl J Med, 325, (1991) 3) 阿曽佳郎ほか, 泌尿器外科, 7(2), (1994) 4) 吉田彌太郎ほか, 臨床血液, 35(11), (1994) 5)Vogel CL, et al., official journal of the American Society of Clinical Oncology, 23, (2005) 6)Cooper KL, et al., BMC cancer,11,404 (2011) 7)Del Mastro L, et al., Lancet,385, (2015) 8) 社内資料 : 悪性リンパ腫患者を対象とした第 Ⅲ 相臨床試験 142 Drug Delivery System 32 2, 2017

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63> - 医薬品の適正使用に欠かせない情報です 必ずお読み下さい - 効能 効果 用法 用量 使用上の注意 等改訂のお知らせ 抗悪性腫瘍剤 ( ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤 ) ( 一般名 : イブルチニブ ) 2016 年 12 月 この度 抗悪性腫瘍剤 イムブルビカ カプセル 140 mg ( 以下標記製品 ) につきまして 再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫 の効能追加承認を取得したことに伴い

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