ジェネリック医薬品

Transcription

1 物流センターにおける保管管理と輸送 エーザイ物流株式会社品質保証部中田宏 1

2 1. 物流センターの品質 2

3 医薬品流通ルート 1 1 工場 物流センター 2 5 患者様 6 3 卸 お得意様 5 病医院 調剤薬局 4 MS 3

4 製品苦情の起因別内訳 2010 年度 2011 年度 4-8 月 Ⅰ 3.5% Ⅰ 2.5% その他 Ⅱ 17% 17% その他 Ⅱ Ⅲ 51% Ⅲ 55% Ⅰ: 設計起因 Ⅱ: 工程起因 Ⅲ: 流通起因 4

5 品質の受け渡し 医薬品の流れの中でどのような規制がかかっているか ( 薬事法 ) 日本 GLP GCP GMP 卸売販売業等 EU GLP GCP GMP GMP GDP 米国 GLP GCP GMP USP 研究開発 生産品管 流通 ( 物流 ) 卸 医療機関 患者様 規格試験 出荷判定 以後 ルーチン的な品質試験はない 品物 というより 品質 を運んでいるとの意識が重要 5

6 2. 物流センターでの作業 6

7 品質マネジメントシステムのプロセス 顧客の期待 法的要求事項 製品実現化 経営計画 営業プロセス新規顧客開拓 経営者の責任プロセス 既存顧客営業 経営方針 経営課題 見積 契約 受注 経営資源の配分 顧客満足度調査 マネジメント レビュー 顧客要求事 設計 開発プロセス新規受託設計開発情報システム設計開発 施設 設備管理プロセス導入計画ハ リテ ーション計画維持管理 目標管理プロセス品質方針 品質目標進捗及び達成度評価 顧客満足 項 物流サービス管理プロセス設備 工程計画 購買管理プロセス 内部監査 要員計画 購買品管理 入庫管理 保管管理 委託倉庫管理 出庫管理 運送管理不適合製品管理 購買先評価 選定 是正 予防 データ分析 教育 訓練プロセス 文書 記録の管理維持プロセス製品 ( サービス ) 内部コミュニケーション 印はキープロセス 7

8 保管倉庫の 業 移動ラック B 社卸売販売業 A 社卸売販売業 向精神薬庫 毒薬庫 冷蔵前室 保管棚 冷蔵庫 保管棚 C 社卸売販売業 荷捌き場 D 社製造業 車輌接岸バース 8

9 作業基準及び基本作業 作業基準: 薬事法に基づく 営業所管理者マニュアル ( 卸売販売業の場合 ) ISO9001を取得していることから 基本はISOにおけるQMS 体制 ( 考え方は GMPに近い面もある ) マニュアル 手順書類: 品質マニュアル 各種規定書 手順書を作成顧客の 卸売販売業 の特性に応じた個々の作業手順書 教育訓練: 全体計画 研修実施報告 個人記録 能力表 ISO 以外に GMP(CSVを含む ) 及びGDP 教育も取り入れた 自己点検: 定期的な品質パトロール センター間の相互点検 改善活動: 現場作業員レベルでの改善活動 9

10 搬入 搬出作業 作業の単位: 顧客の 業 単位で行っている 搬入時受入時 : 搬入までの温度記録の確認検品作業 ( 外装異常 数量 製造業者名 製品コード ロット番号等 ) 目視 バーコード検品のダブルチェック 詰め合わせ梱 : ピックカートシステムと検品システム ( バーコードを利用 ) のダブルチェック 異物混入防止策 搬出時 : 宛先ラベルの確認 ( 貼付時と引渡し時にダブルチェック ) 責任の受け渡し : 運送会社 センター保管 運送会社の流れで ( 荷受 荷渡し時点 ) 責任が移行する ので 責任の受け渡し を明確にしておく 10

11 施設 設備の管理 温度管理: 保管設備では温度バリデーションを実施 ( 計測機器のキャリブレーション ) 日常の監視 (2 回 / 日 ) セキュリティ管理: 暗証番号あるいはカードを用いた入退出入退出の記録管理 ( 権限 訓練レベル ) 監視カメラの設置 ( 庫外 庫内 作業 ) 警備会社を利用したシステムの導入 衛生管理: 管理専門業者を活用した防虫防鼠監視 トレンド管理 (1 報 / 月で評価 ) 異物混入防止手順 ( 入退出のレベル管理 ( 傷病 作業レベル )) 11

12 現状と課題 現状 : 物流センターでの庫内作業 搬入 搬出作業 倉庫管理は工 場における倉庫での作業及び保管管理とほぼ同様な考え方 で品質の維持を行っている 課題 :GMP あるいは GDP レベルの要求水準から評価すると ハー ド面 ( 特にトラックバース セキュリティ ) ソフト面 ( 特に品質 システム CAPA) ともギャップがある しかしながら エリアが限定されていること ヒトも固定されて いること また GMP と共通部分が多いので道筋構築は比較 的容易 12

13 3. 物流センターとしての運送会社 の管理 13

14 輸送事故とは どんなものがあるか? 受け取り拒否の対象になりうる事象および品質に影響を与える事象 汚破損( 汚れ 濡れ つぶれ 凹み スレ 破れ ) 温度異常( 特に 凍結が怖い ) 遅配( 時間指定の厳しいケースもある ) 誤配 紛失 各社 対象は近いと思われるが カウント基準等 詳細は不明 14

15 運送会社の事故発生頻度 (PPM) 2010 年度 年度 A 社 B 社 C 社 D 社 E 社 F 社 G 社 15

16 運送ルート 物流センター卸 ( 工場 ) 運送会社 ( チャーター便 ) 中継店 品質に対する考え方 荷 ( 医薬品 ) の取り扱いに関して教育訓練を受けているか否かでも大きく事故リスクは変わってくる 中継店など人の介在 ( 積替え ) が多くなればなるほど事故リスクは高い 16

17 運送会社の選定 査察 研修 1) 新規運送会社の選定 運送会社の査察( ハード 輸送車両 ) 温度管理( ハード ソフト ) 輸送ルート 日時の確認 品質に対する考え方( 教育訓練を含む ) これらを点数化し 社内基準で決定 2) 査察 定期的な査察 臨時の査察( 事故発生時等 ) 夏場 冬場の輸送実態調査 推奨事項 指摘事項 改善要望 改善勧告 17

18 運送会社の選定 査察 研修 3) 研修従業員 ( ドライバー 庫内作業員 ) 医薬品の特性 KYT ヒヤリハットを中心とした研修 品質に関する考え方 トップマネジメント 医薬品物流を取り巻く環境 品質システムの重要性 18

19 4. 輸送品質 向上への試み 19

20 輸送試験 目的 : 厚木から出荷作業から札幌での荷降ろし の作業までの輸送品質を評価する ( 運送会社の協力 ) 実施時期 : 寒冷期を想定し冬場に5 回実施する輸送ルート : 厚木 一般道 東北道 フェリー 道央道 札幌運送車両 : 冷蔵 一般 2 層 10tエアサス車積載率 :0%~100% 評価項目 : 次頁 20

21 評価項目 評価項目 ( リスクを含む ) を洗い出し その後 評価方法を決定 ( いろんなレベル ) 製品状態 観察 配送ルート 時刻 位置 位置追跡システムを利用 温度( マップを含む ) 温度推移をモニター 振動 衝撃( 全てのプロセス ) 衝撃計の設置 ( ダミー箱 ) 緊急時の処置( 種々の地点 ) インタビュー セキュリティ 車両の評価 インタビュー 要員の教育度 インタビュー 21

22 配送図 22 東北道に沿って走行して

23 温度計の設置 23

24 温度記録 カートンNo. 設置エリア No 設置場所機器 No. 配送時間における温度記録 配送 Max 配送 Min 配送 Avg 冷 1 冷蔵エリア 外気温 6.8 E 物厚木センター出発 14 日 12:13 外気温 -4.4 外気温 青森港 ( フェリー乗船 ) 15 日 1:44 击館港 ( フェリー下船 ) 15 日 6:34 E 物札幌センター到着 8:30 外気温 冷凍機真下 TM /1/14 旭運輸 2011/1/15 ( 新川 ) 2011/1/16 15 日 12: /1/17 外気温 -3.3 冷 2 冷蔵エリア 外気温 6.8 E 物厚木センター出発 14 日 12:13 外気温 -4.4 外気温 青森港 ( フェリー乗船 ) 15 日 1:44 击館港 ( フェリー下船 ) 15 日 6:34 E 物札幌センター到着 8:30 外気温 冷凍機最下部 TM /1/14 旭運輸 2011/1/15 ( 新川 ) 2011/1/16 15 日 12:45 外気温 /1/17 24

25 車輌内温度マッピング ワーストポイント (+) Max. 6.3 常設監視位置付近 ( 冷蔵 ) Min. 4.3 Avg. 4.5 冷凍機真下 温度推移の評価結果 Max. 6.1 Min. 4.3 Avg. 4.6 冷凍機正面 輸送バリデーション Max. 8.2 Min. 3.7 Avg. 4.5 一般仕切上 旭運輸厚木ー札幌移管便 Max. 8.2 Min. 3.0 Avg. 4.2 観音扉上 常設監視位置付近 ( 一般 ) 保冷区画 一般区画 冷 4 一般 1 一般 5 一般監視位置 ( 車輌後方右側面 ) 冷蔵監視位置 ( 車輌前方中段 ) 冷 1 冷 2 冷 6 冷 3 冷 5 一般 2 一般 3 位置 一般 4 一般中央 Max. 8.7 Min. 3.8 Avg. 5.0 ワーストポイント (+) 観音扉下 Max. 7.2 Min. 1.9 Avg. 3.2 ワーストポイント (-) 冷凍機最下部 Max. 6.0 Min. 4.4 Avg. 4.9 冷凍中央 Max. 6.0 Min. 4.2 Avg. 4.5 試験実施日 :2011 年 1 月 14 日 ( 金 )~1 月 17 日 ( 月 ) 側面扉横 Max. 5.5 Min. 3.8 Avg. 4.1 ワーストポイント (-) 冷蔵仕切下 Max. 5.8 Min. 4.4 Avg. 4.7 一般仕切下 Max. 8.7 Min. 4.7 Avg. 5.9 ワーストポイント (+) 作成日 :2011 年 2 月 2 日 25

26 26

27 衝撃 27

28 最後に 今後 医薬品は抗体等のバイオ製品等 管理の厳密な 製品が増加し 医薬品物流については 輸送品質 の向上がより求められるであろう 輸送品質 について 科学的に協議する共通の場が 必要と考えられる 物流は 流れ であることから それは製造業者 製販業者 物流会社 輸送会社 卸 医療機関など 関係する業者の品質部門が含まれた 場 であるべきである 28