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1 超高速輸送機実用化開発調査 事業評価用資料 平成 21 年 12 月 7 日 ( 財 ) 日本航空機開発協会

2 目 次 1 事業の目的 政策的位置付け 事業の目的 政策的位置付け 国の関与の必要性 4 2 研究開発目標 研究開発目標 全体の目標設定 個別要素技術の目標設定 8 3 成果 目標の達成度 成果 全体成果 個別要素技術成果 特許出願状況等 目標の達成度 78 4 事業化 波及効果 事業化の見通し 波及効果 82 5 研究開発マネジメント 体制 資金 費用対効果等 研究開発計画 研究開発実施者の実施体制 運営 資金配分 費用対効果 変化への対応 91

3 (座席数1. 事業の目的 政策的位置付け 1-1. 事業の目的交通機関の歴史はすべて高速化による利便性の追求であるが 航空機はその最先端を行くものであろう 1903 年に飛行したライト兄弟機以来 設計製造技術の発達により大型化 高速化を発展させてきたが レシプロエンジンからジェットエンジンに変わったことにより一段の飛躍をとげた 中でも 1976 年の超音速輸送機コンコルド就航はそれまでの速度を一挙に 2 倍以上に引き上げる画期的なものであった 初の超音速旅客機に多くの期待が寄せられたが 環境適合性と経済性の問題から市場に受け入れられず わずか 16 機の量産で生産中止となり 2003 年には運航も中止となった コンコルドに先駆けて飛行した旧ソ連の Tu-144 も早々と運航を中止し 米国を挙げて開発していたボーイング 2707 も環境問題や資金難から中止されてしまった それ以降 民間機については超音速機の開発は行われず 亜音速領域での大型化と燃費向上による経済効率向上に力が注がれ 高速化は停滞することになった 近年 IT 技術の発達と共にメールでの連絡 電話会議等が盛んになり 直接会う必要性が薄れるとの指摘もある しかしながら依然として直接対話は重要であり 重要な議論ほどバーチャルには行えない また 現物を見て判断ということも重要性を増している 従って ビジネスの世界でも航空機による移動が不要になると言うことはなく 移動時間の短縮にこそ力を注ぐべきであろう 超大型旅客機 A380が開発されたが 大型化はほぼ上限に達した感がある また最近では中型機による長距離直行便が増加する傾向にあり 15,000km 以上の航続距離で米国 アジアを直行することも可能となっている しかし このような十数時間におよぶ長時間飛行では乗客 乗員の負担は相当大きいものになり 高速化による旅行時間の短縮の必要性はいよいよ高まってきている 体規模600 亜音速超大型ジェット機 大型化 長距離化 今後の方向超高速化 高マッハ数大型超音速機)300 プロペラ機機プロペラ機機200 ジェット機 大型化 超高速機 100 高速化 飛行速度 ( マッハ数 ) ( 図 1-1-1) 航空機発達の今後の方向 1

4 これまでも 平成元年から 13 年度まで実施された超音速輸送機開発調査において 主にマッハ 2.2 の機体仕様 ( 米国ではマッハ 2.4 の機体 ) が検討され 多くの技術的知見が得られたが マッハ 2 以上の次世代超音速輸送機実現にはまだまだ課題が多く 欧米各国とも開発には結びつかなかった その理由は 速度の増大とともにエンジン騒音の増加 機体重量の増加 燃料消費の悪化といった ( これらは相乗効果的に増大する ) コンコルドがクリアできなかったハードルが依然大きく立ちはだかっているためである コンコルドがニューヨーク-パリ ロンドン間でしばらく運航を続けたが これは政治的な妥協の産物であり 現在 同じ機体を作っても環境基準を満足することはできず また低い経済性から購入するエアラインもないであろう しかしながら 逆に言うと環境適合性と経済性さえ満足すれば高速機が販売できる可能性がある そこで 本開発調査では もう少し技術的に現実的な解としてマッハ 0.95 程度の遷音速からマッハ 2.0 未満の超音速までの速度域で飛行する機体の研究にシフトすることにより 第 1 世代機の問題点を克服する次世代の超高速輸送機について 市場性 需要性等の調査 各種技術開発を行って 実用化の可能性を探ることが本事業の目的である 1-2. 政策的位置付け航空機は部品数だけでも十万点を越え ハイテクの固まりと言われているが 高性能性 安全性 高信頼性といった要求も他の分野と較べて非常に大きい 特に民間航空機は商業機としての経済性を強く要求され それが時として他の要求と相反するため非常な達成困難性を有する 空力 材料 構造 システム エンジンの全ての分野について統合的に技術向上を図らない限り 競合機を凌駕する機体は開発できないが 超高速機では亜音速機と較べて遙かに高度な技術が必要となる そのため 航空機分野への導入シナリオ でも装備技術 エンジン要素技術 材料 構造技術と共に全機開発の中で超高速輸送機実用化開発調査が位置づけられている 技術戦略マップでも超音速関連技術は開発必要技術として多く挙げられている 空力技術と異なり構造や装備技術では超音速機に特有の技術は少ないが 高性能 安全 高信頼でかつ経済性に優れた超高速機への技術的要求は亜音速機よりも更に高く 同じ技術分野でもより高度な技術達成度が必要となる 言い換えれば 超高速機技術開発の過程で生まれた技術は 超高速機への適用の前に亜音速機にも適用できるものが有るということである 超高速機の実現にはまだ長い年月が必要であろうが 亜音速機への波及も含めてきわめて有益である 民間航空機の開発は近年 リスク分散のためサイズを問わず共同開発が主流である ましてや超高速機のような先進技術と多大な開発費を必要とし 事業リスクの高い機体開発では より多くの国 企業を巻き込んだ国際共同開発が必然である したがって 我が国だけで超高速機を開発すると言うことは考えにくく 国際共同開発となると思われる しかしながら 従来技術では開発できない機体の開発に参画するには相当な技術レベルに無い限り難しい また それを可能とする要素技術だけで 2

5 なく 独自の機体案をも確立しておかない限り 主体的な参画は難しいであろう 第一世代超音速機 の開発で先行されているとはいえ この領域は各国とも未知の分野が多く 後発の我が国にとっても 技術的な強みを獲得することは不可能ではない ( 図 1-2-1) 技術戦略マップ航空機分野への導入シナリオ なお 本開発調査では国内の関連機関と密接な連携を持って研究を行っている 空力関連研究では ( 独 ) 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と多くの共同研究を行っており エンジン関連では超音速輸送機用推進システム技術研究組合 (ESPR) との間で機体要求に適合したエンジン仕様の検討等を行っている また これまでもボーイング社を始めとする国外関連機関との情報交換を行ってきたが 平成 17 年度からは日仏航空宇宙工業会間で 超音速機技術に関する共同研究 の MOU が締結されたのを機に 一部作業を EADS 社 エアバス社との間で共同研究を行うこととなった コンコルドの経験を有するフランスとの情報交換は今後の調査に大きく貢献すると考えられる ( 図 参照 ) 今後ともこれらの国内外の関連機関との協力をバランス良く実施しながら 研究開発を続けることが重要と考える 我が国航空機産業が 基盤技術力を維持 強化し さらに その安全性技術 環境適合性技術 軽量化技術 インテグレーション技術 低コスト化技術等による波及効果によって 他産業分野も含め 3

6 た発展に寄与するため 超高速機研究開発をその突破口とすることは我が国の産業政策に合致する ものである 平成 14 年度平成 15 年度平成 16 年度平成 17 年度平成 18 年度平成 19 年度平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 マッハ 0.98 機調査 マッハ 1.6 機調査 意見交換 エンジン仕様検討 超音速輸送機技術日仏研究協力 空力技術等共同研究 エンジン低騒音化技術 超音速エンジン研究 (ESPR) 超音速機機体 エンジン調査 (ESPR JAXA) 空力 低騒音化技術 小型超音速実験機研究 (JAXA) 静粛超音速技術研究開発 (JAXA) ソニッククルーザー /SST( ボーイング ) ( 図 1-2-2) 超高速輸送機実用化開発調査および関連するプログラム 1-3. 国の関与の必要性航空機産業は 高速 大量輸送を支える基幹産業であるとともに 空力 構造 装備等の最先端システム技術を大量かつ高度にインテグレートする裾野の広いハイテク産業であることから 高度な総合的技術力を有する国においてのみ成立が可能である また 航空機は最も重要な防衛装備の一つで 各国とも積極的な開発を行うとともに その高度技術情報開示に関しては厳格な秘密保持を行っている そのため 必要な他国の先進技術情報を得ることは難しく 独自技術の研究 開発が必要不可欠であることからも 航空機技術は直接 間接に国の安全保障に直結する技術であると言える さらに 民間航空機開発は近年 エアライン間の競争激化や環境制約の高まりなどを受け 革新的技術による運航性 経済性 環境適合性等の向上を強く求められている その技術的困難性に加え いかに市場評価を徹底してもなおかつ変動する需要のもとで巨額の開発 販売コスト 長期の開発期間及び資金の回収期間を必要とし 開発 事業リスクが極めて高いという特徴がある このため各国は 航空機産業を戦略産業として位置付け 積極的な支援を行っている 欧米では 冷戦崩壊後の軍事支出縮減傾向に伴い 防衛依存度が低下する一方 民需分野に 4

7 おける技術の更なる高度化 機体開発費の高騰等を背景として 企業体力 技術開発力の強化を目指した大規模な合併や買収による企業統合に進展している その結果 中 大型機分野では米国ボーイングと欧州エアバスの巨大メーカーが市場を2 分している状況である また 小型機分野でも淘汰が進み カナダのボンバルディア及びブラジルのエンブラエルが急激に成長した このようにメーカーの寡占化は進みつつあるが 新たにロシア及び 中国でも大きな国内需要をテコに新型旅客機開発に乗り出し 一角に食い込むことを目指している 我が国でも MRJ の開発により再び機体開発への参画を果たしつつあるが 一方では 市場の確保と開発リスクの分散から民間航空機開発は小型機といえども1 国 1 社では行えず 国際共同開発が常識となっている 高度な航空機設計 製造技術をもってしなければとても競合機との競争に勝てないため パートナーとしてのプログラムへの参画にも経験に裏打ちされた高度な開発 設計 製造能力が必要とされている 我が国は の国際共同開発や MRJ 開発 および防需航空機の開発を通じて着実に実力を付けつつあるが 今後の国際競争力を確保していくためには一層の技術基盤を確立していくことが急務である 特に超音速機関連技術は各国とも自国技術の国際競争力保護のため援助を行うとともに他国には技術開示しない傾向がいよいよ強くなってきている 将来 必ず開始されるであろう超高速輸送機の開発のための我が国の技術力 発言力を確保するため官民一体となって取り組むことが必要である 5

8 2. 研究開発目標 2-1. 研究開発目標前述したように 航空機の発展は必然的にこれまでの大型化から高速性に向かうであろう しかしながら いかに高速機と雖も高額な運賃では利用者は限られた富裕者しかない コンコルドはファーストクラス正規運賃のさらに 30% 増しであった 我々の目指す超高速輸送機はだれでも利用できるレベルの飛行機である また 現在の民間航空機に対する要求はコンコルド時代とは較べものにならないくらい厳しくなっている エアライン間の競争激化により収益性は低下し 淘汰が進んでいる その中で割り増し運賃を必要とする超高速機の需要を確保するには厳しい経済性の追求が必要である また 騒音を始めとする環境規制値も年々高くなってきており コンコルドのような例外規定は許されない状況である 本開発調査は機体開発そのものが目的ではないが 従来亜音速機より高い巡航速度と 長い航続距離を有し 環境に適合する超高速輸送機の実現可能性を探ることが 研究開発目標である 2-2. 全体の目標設定超高速機は亜音速機の二倍の速度で飛行するため 大きなエンジンが必要であり どうしても相対的に重く 燃費が悪くなり 同じ運賃は実現できない これまで我々が行った国内外の主要エアライン調査では 格安運賃を利用するツーリストではなく ある程度の割り増し運賃を許容できるビジネス客が主体であろうとの前提であるが 現状平均運賃 ( 正規運賃ではない ) の 1.3 倍程度なら良いだろうという意見が多かった もちろん 飛行する路線により亜音速機との運賃比は変わってくるが 平均で 1.3 倍の運賃倍率を達成する機体とすることを経済性目標とする これが達成されれば相当数の需要が存在し 亜音速機と両立して民間機として成立しうると考える 経済性は民間機としての商品価値であるが もう一方の要求は法律上の要求である安全性や環境性がある これを満足しないと機体の販売や運航は許可されない 安全性は最も重要な要求であるが航空機として当然である 超高速輸送機にとって最も厳しい要求となるのは環境適合性であり その中でも空港騒音基準である コンコルドの轟音は有名であるが 超高速機は大きなエンジンによる大推力を必要とするため 離陸時の騒音は亜音速機と比較してかなり大きくなる 騒音基準は国際民間航空機構 (ICAO) で決定されるものであり 超高速機用の騒音基準はまだ存在しないが おそらく亜音速機並を求められることになるであろう 経済性を受け入れるのは利用者であるが 騒音は空港周辺住民である したがって 環境適合性目標として 亜音速機並の騒音基準を達成することとする 6

9 港騒音基準この2つの要求の前に安全性は最も重要な課題であるが これは航空機一般の要求であり 安全性を満足した上でという前提付きであるが 更に亜音速機より困難性が高い経済性と環境性の2つを同時に満足出来ないかぎり超高速機は実現しない 特に環境基準は法律であり わずかでも達成できなければ承認は降りない 経済性も多少の幅はあるであろうが よほど経済情勢が好転しない限り これ以上の運賃倍率はやはり許容されないであろう ( 図 参照 ) これらを考慮し 全体の目標を表 2-2-1に示すように設定した 表 全体の目標目標 指標 ( 事後評価時点 ) 従来亜音速機より高い巡航速度を有し しかも環境性要求に適合し 亜音速機と競合しうる経済性を有する超高速機の実現可能性を明確化する 目標 指標 ( 中間評価時点 ) 国内外の航空会社の意見等を聴取し 市場に受け入れられる機体仕様要求案を策定する また 将来技術レベルを考慮した機体仕様案すなわち目標機体案を策定する 設定理由 根拠等 要素研究に対しての目標を示すため 及び 将来の国際共同開発に対し主導的な立場で参画するための独自の機体案を確立する必要がある 将来 超高速機を実用化するた目標機体を成立させうる要素技めに必要と考えられる空力設計術の研究開発を行い 本格研究技術 軽量 低コスト構造設計製開発に向け実現可能性と実現へ造技術の向上と実現への問題点の問題点 さらなる開発課題を検を検討する 討する必要がある コンコルド ICAO 騒音基準 Chapter 4? 20dB 以上の騒音低減必要現状平均運賃の 1.3 倍程度を目標空次世代 SST 亜音速機並み 平均運賃倍率 ( 図 2-2-1) 超高速機の達成目標 ( 経済性と環境性 ) 7

10 2-3. 個別要素技術の目標設定前項で掲げた経済性と環境性の目標は 一般的に言って お互いに相反する要求である 俗に音の壁と言うように音速付近での急激な空気抵抗の増大のため 超音速機では亜音速機より大きなエンジンを必要とする そのため 燃費は悪化し 燃料搭載量が増加し さらに抵抗減少の為に後退角が大きく薄い主翼を用いるため構造重量が増加する また エンジン出力の増加は騒音の増大を生じ 空港騒音規制値を守るためには大きくて重い消音装置を装備しなくてはならない このことから さらに重量が増加し 経済性が低下するという悪循環を繰り返すことになる 経済性のためには低燃費化による燃料費の削減と機体 エンジンの低価格化が必要である これらは軽量化 低抵抗化 低コスト化により達成される また 環境適合性のためにもやはり軽量化 低抵抗化が必要になってくる エンジン自身の低燃費化 低騒音化も必要である ( 図 参照 ) このように機体としての全体目標達成のためには個別の構造 空力等の要素技術が改善されることが必要であるが これらは相反することが多い それらをトレードしながらバランス良く解決していくことが重要である そのためには まず 市場要求 機体仕様設定を含めた機体全体を統合した研究 評価が必要となってくる 本開発調査では以下の項目について表 2-3-1に示すように個別の目標を設定するが 対象があくまでも一つの機体であるため これらの個別技術が組み合わされて前項の全体目標が達成されることが必要である (1) 機体統合企画 設計技術の開発 (2) 遷 超音速域空力設計技術の開発 (3) 軽量低コスト大型構造設計製造技術の開発 8

11 9 表 個別要素技術の目標要素技術目標 指標 ( 事後評価時点 ) 目標 指標 ( 中間評価時点 ) 設定理由 根拠等機体統合企画 設計技術の開発従来亜音速機より高い巡航速度を有し しかも環境性要求に適合し 亜音速機と競合しうる経済性を有する超高速機の目標機体仕様 目標性能を明確化する 国内外の航空会社の意見等に基づき機体仕様要求案を策定する 将来技術レベルを考慮した目標機体を策定し 市場性等について検討する 空力 構造 エンジンを統合的に検討し 成立性評価 問題点等を検討する 運用者の要求に基づく機体仕様案を策定し 更に運用性 経済性を検討した上で運用者の評価を受けることが必要である 策定した機体を各要素技術研究の目標機体とし 得られた要素技術成果を機体に統合することにより 成立性の評価 問題点 要改善点を検討することが不可欠である 遷 超音速域空力設計技術の開発将来 超高速機を実用化するために必要と考えられる空力設計技術の向上と実現可能性を見極める 離着陸から超高速巡航までのすべての速度領域での機体としての最適化を行うため 解析 試験技術を含めた空力設計技術の向上を図る 超高速機は低速から 超音速までの広い速度領域で良好な特性を有する必要があり 解析 試験技術を含めた空力設計技術全般の向上が必要である また 空力特性の向上は構造重量の増加を招くことがあり 構造設計とのトレードによる全機的な最適化を図る必要もある 軽量 低コスト構造設計製造技術の開発将来 超高速機を実用化するために必要と考えられる軽量 低コスト構造設計製造技術の向上と実現可能性を見極める 主要な構造部位の最適構造様式を検討し 必要な設計技術の開発 問題点の検討を行う 超高速機の構造を低コストで製造するための構造方式 製造技術を開発 問題点の検討を行う 超高速機に特有な細長い胴体 薄い主翼は構造重量の増大 コストの増加を招き 亜音速機以上の軽量化 低コスト化努力が必要であり 設計手法 製造手法等の開発が必要である また 構造のみの改善は空力特性低下を招くことがあり 空力特性とのトレードによる全機的な最適化をも図る必要がある

12 経済的競争力経済的競争力低燃費化低燃費化 軽量化軽量化 軽量機体技術開発軽量機体技術開発 低価格化低価格化 低抵抗低抵抗化 低抵抗空力技術開発低抵抗空力技術開発 環境影響を最小化環境影響を最小化低騒音化低騒音化低排出ガス低排出ガス化低ソニックブーム低ソニックブーム化 低コスト低コスト低コスト製造技術開発低コスト製造技術開発化高効率エンジン技術開発高効率エンジン技術開発騒音低減技術開発騒音低減技術開発 ( 図 2-3-1) 経済性 環境適合性向上への方策 市場性 運用性検討市場要求調査機体運用検討 市場要求機体性能評価 設計要求 - 形状 抵抗トレードオフ 遷 超音速域空力設計技術の開発設計技術 解析技術試験技術 機体統合企画 設計技術の開発 目標機体検討機体仕様 全機性能 要素技術要求設計要求 - 重量 コストトレードオフ 重量 コスト - 抵抗トレードオフ軽量低コスト大型構造設計製造技術の開発設計技術 解析技術製造技術 試験技術 ( 図 2-3-2) 個別技術の関連性 10

13 3. 成果 目標の達成度 3-1. 成果 全体成果以前 ( 社 ) 日本航空宇宙工業会が行った 超音速輸送機開発調査 ( マッハ 2.2) の結果を踏まえ 対象速度域をマッハ 0.95 から 2.0 未満に絞って調査研究を行った 結果的には 250 席クラスのマッハ 0.98 とマッハ 1.6 の2 機種を選定し機体仕様 性能推算 要素研究を続けてきた (1) マッハ 0.98 遷音速機マッハ 0.98 機は 251 席 航続距離 7,000nm(12,964km) に設定し 各要素研究の成果を盛り込んだ結果 最大離陸重量は 275 トン (605,500lbs) 全長 71m 全幅 59m の機体となった ( 図 参照 ) この機体はマッハ 0.8 の現状亜音速機と比較すると速度では約 22% の増大であり その結果運航生産性が 18% 向上する また 座席当たりの運航費は ER と比較して機体価格 / 席が同等で有れば 6% 低減が可能である 例え機体価格 / 席が 30% 増加しても運航費は同等となる これらの数値を基に需要予測を行うと 20 年間で約 400 機 ~1,000 機程度の需要が有ると思われる しかしながら エアラインの反応は昨今の経営状況の悪化もあって思わしいものではなかった 一部のエアラインからは1~2 時間の飛行時間短縮でも大いに効果があるとの評価が得られたが 大多数の意見は この程度の速度向上では運賃増は難しく また新機材を導入することによるデメ マッハ 0.98 超高速機 巡航速度航続距離座席数最大離陸重量エンジン推力全長全幅 ,000 nm 251 席 275 トン 54 トン x 2 71 m 59 m ( 図 ) マッハ 0.98 遷音速機の機体仕様 11

14 リットの方が大きいとのことであった この機体は比較的近い将来に可能になると言う位置づけであるため エアラインの現在の経済状態では より高価な機材に投資することは出来ないのが実情である 今後も改善の余地はあると考えるが リソースの分散を避けるためにも マッハ 0.98 機の検討はひとまず置くことを決断した しかし 構造等の検討は超音速機との共通部分も多く 充分に成果を反映することが可能である (2) マッハ 1.6 超音速機当初 マッハ 1.6 機は座席数 226 席 航続距離 6,000nm(11,112km) に設定して検討した結果 最大離陸重量は 350 トン (771,000lbs) 全長 79m 全幅 42m の機体となった その後 エアラインの意見を踏まえシートピッチを拡大し ビジネスクラスとプレミアム エコノミを主体とした座席配置により座席数を 150 席とし 更にエンジンの高バイパス化を図り 飛行ミッションプロファイルの最適化などにより 最大離陸重量は 225 トン (495,000lb) 全長 79m 全幅 36m の機体となった マッハ 1.6 は現在の亜音速機のほぼ2 倍の速度であり 海上が大部分のルートでは 45% の飛行時間短縮が可能である 例えば 東京 -ロサンゼルスでは現在の約 11 時間が約 6 時間に短縮される また 最も需要の多い大西洋路線であるニューヨーク-パリ ロンドンでは 7.5 時間が4 時間 10 分程度に短縮される ( コンコルドは3 時間 45 分 ) この速度でも1 日 2 往復が可能となり 運航生産性は大きく改善される ( 図 図 参照 ) 欧米のエアライン調査では多数のエアラインがこの点を評価していた また 航続距離を 6,000nm に設定したことにより 以前のマッハ 2.2 機の マッハ 1.6 超高速機 巡航速度航続距離座席数最大離陸重量エンジン推力全長全幅 ,700 km 150 席 225 トン 25.7 トン x m 35.6 m ( 図 ) マッハ 1.6 超音速機の機体仕様 12

15 航続距離 5,500nm では不可能であった東京 - ニューヨーク直行が可能となった Block Time vs Cruise Speed Block Time ( hour ) NYC-TYO(6,207nm) PAR-TYO(5,865nm) Mach 1.6 LAX-TYO(4,761nm) NYC-PAR(3,247nm) Cruise Speed ( Mach ) ( 図 ) 飛行マッハ数による飛行時間短縮効果 陸上部分はソニックブームの問題から飛行できない ( 法律で禁止されている ) ため 亜音速で飛行せねばならない そのため陸上部分を多く含む路線では亜音速部分が多くなったり 洋上を大きく迂回したりするため 飛行時間削減効果が少なくなる 東京 -ニューヨークでは12 時間半が9 時間 東京 -パリではこれまでの約 11 時間半に対し8 時間と 40% 減以下となる しかし それでも3 時間半の削減は充分魅力があると考える もし 法律が改正され超音速陸上飛行が許されるようになれば ソニックブームの影響のないマッハ 1.15~1.2 程度で飛行できるようになり さらに1 時間程度の飛行時間短縮が可能となる ソニックブーム シミュレータを用いたソニックブーム影響調査では 0.3psf 程度のブーム音圧であれば 波形の改善を行うことにより気にならないレベルまで下げられると思われるが この機体のように大型機ではマッハ 1.6 で陸上超音速飛行が可能になるほど低下できない しかし ブームが地上に届かないであろうマッハ 1.15~1.2 程度まで上げられるならば時間短縮に大きな効果がある 現在 ICAO では超音速機の環境基準を決めようとしている その過程で 低ブームであれば超音速陸上飛行が許可されるようになれば 我々の大型機にもメリットが出て来るであろう 13

16 NY-Paris TYO-LA Mach 1.6 Subsonic TYO-Paris TYO-NY Hour ( 図 ) マッハ 1.6 機の飛行時間短縮効果 ( 図 ) マッハ 1.2 と 1.6 でのニューヨーク - パリ運航スケジュール比較 このように マッハ 1.6 でも充分な速度向上効果があり さらに速度の低下は重量軽減と経済性の向上をもたらす 以前のマッハ 2.2 の機体とは機体サイズや航続距離が異なるので単純な比較はできないが 同じ 300 席 5,500nm の機体をマッハ 2.2 からマッハ 1.6 にして性能計算を行ってみると 座席当たりの燃料量は 5% 減少することが可能となる これは約 13 トンに相当する またマッハ 2.2 では空力加熱による機体表面温度は最大 150 になり 材料は耐熱性が要求されるため耐熱複合材かチタン合金を用いる必要がある しかし マッハ 1.6 であれば表面温度は 60 程度であり 通常の複合材やアルミ合金が使用できる もちろん長期の高温暴露による影響は未知であるため 最終的には試験による確認が必要であるが これは強度 重量 コスト面で大きな利点である もう一つのメリットは飛行速度低減によりエンジンのバイパス比を大きくでき 排気速度を下げられる すなわちジェット騒音を小さくできることである これはコンコルドが達成できなかった騒音問題を解決できる可能性があるということである ある程度バイパス比を大きくしてもエンジンだけで騒音レベルをクリアすることは難しいと思われ エジェクタ等の騒音軽減デバイスをエンジンに組み込む必要があるだろうが 少なくとも重量 コストペナルティを軽減することは可能であろう 14

17 個別要素技術成果 I. 機体統合企画 設計技術の開発 (1) マッハ 0.98 機の検討 ( ア ) 市場要求巡航マッハ 0.98 の超高速輸送機仕様への市場要求としては 基本的には既存亜音速機への要求を参考に 競争力のある仕様となるように設定した この目標仕様を元に機体仕様検討 性能計算を行い 最終的な機体仕様を設定する 要求値条件 設計レンジ 7,000 nm Typical mission rules ペイロード ( 標準仕様 ) 250 席 3 class seating at 210 lbs/ 席 巡航速度 マッハ 0.98 at Long Range Cruise 離陸距離 10,500 ft. 以下 at 最大離陸重量, SL, 86 F アプローチ速度 145 kt 以下 at 最大着陸重量, SL 初期巡航高度 41,000 ft. 以上 at 最大離陸重量, ISA + 10 ( 41,000/45,000 ft. ) at ステップ巡航高度 ワンエンジンアウト高度 16,000 ft. 以上 at 最大離陸重量, ISA + 10 騒音値 Stage-4 以下 エミッション CAEP-4 以下 燃料消費量 ER 並 at 座席当り燃料消費量 経済性 ERの at DOC per ASM DOCより10% 減 床下カーゴコンテナー LD-3 x 26 個以上 ( 図 ) 座席数 - 航続距離の他機例 15

18 ( イ ) 目標機体仕様まず 諸元策定プログラムを用いて機体規模と性能を推算した その結果得られた機体仕様は 全幅 m 全長 m エンジン長 m エンジン取付け位置 (STA/ スパン方向 )39.624/9.144m エンジン最大直径 4.048m 胴体幅 5.36m 胴体高 5.714m 水平尾翼幅 m である また 全高 ( 地面から垂直尾翼 )17.178m エンジンと地面の間隔 1.305m となった ( 図 ) マッハ 0.98 機三面図 主脚位置 (STA 方向 ) は m 主脚幅は m 前脚位置(STA 方向 ) は m とした 主脚位置は平均空力翼弦 (MAC) の 50~55% に位置するように検討したが エンジン入り口より前方に位置してしまう エンジンへの異物混入を避けるためエンジン入り口よりも後方に配置した 主脚幅は他機例より 重心から両車輪の開き角 90 とした 主脚長は着陸時の尾部下げ姿勢における尾部接地角と地面との間隔余裕と翼端角の交点とした 尾部接地角を 12~14 他機例より翼端角を 13.5 とし 両者の交点を元に主脚長を設定した ただし エンジンの取付け位置が低すぎるため この設定では着陸時にエンジン後方部が接地する可能性がある 前脚位置は機体重量の約 10% を受持つ位置に設定した 主脚は他機例と全機体重量の 90% を支えることから タイヤサイズ 50x18(in) の全 12 輪とし 前脚はタイヤサイズ 40x14(in) の2 輪とした 16

19 ( 表 ) マッハ 0.98 目標機諸元表 主要諸元性能 備考 全長 (m) (ft) 全幅 (m) (ft) 全高 (m) (ft) 最大離陸重量 275 (ton) 605,500 (lbs) 最大着陸重量 199 (ton) 438,700 (lbs) 運用自重 137 (ton) 301,700 (lbs) 巡航速度 マッハ0.98 巡航高度 12,497 (m) 41,000 (ft) 標準ミッションでのステップ前巡航高度 13,716 (m) 45,000 (ft) 標準ミッションでのステップ後巡航高度 巡航時揚抗比 (ND) 巡航時 SFC (1/hr) 航続距離 12,964 (km) 7,000 (nm) 標準ミッション 主翼諸元スパン長 (m) (ft) アスペクト比 4.18 (ND) 前縁後退角 65.7/43.0/33.0 (deg) コード長 翼根部 (m) (ft) 翼端部 2.72 (m) 8.91 (ft) テーパ比 (ND) 翼厚比 翼根部 (ND) 翼端部 (ND) 面積 831 (m2) 8,945 (ft2) 取り付け角 0.00 (deg) 未検討 ねじり下げ角 0.00 (deg) 未検討 断面形状 Garabedian-Korn をベースに変形 胴体胴体長 (m) (ft) 最大幅 5.36 (m) (ft) LD-3コンテナが2 列で搭載できるサイズ 最大高 5.71 (m) (ft) 機首部 Fineness Ratio 6.00 (ND) 胴体一様部直径に対する機首絞り部長さの比率 尾部 Fineness Ratio 5.40 (ND) 胴体一様部直径に対する尾部絞り部長さの比率 水平尾翼スパン長 (m) (ft) アスペクト比 2.00 (ND) 前縁後退角 55.0 (deg) コード長 翼根部 (m) (ft) 翼端部 2.10 (m) 6.90 (ft) テーパ比 (ND) 翼厚比 (ND) 面積 108 (m2) 1,166 (ft2) 取り付け角 0.00 (deg) 未検討 垂直尾翼 スパン長 7.95 (m) (ft) アスペクト比 1.00 (ND) 前縁後退角 55.0 (deg) コード長 翼根部 (m) (ft) 翼端部 2.27 (m) 7.45 (ft) テーパ比 (ND) 翼厚比 (ND) 面積 63 (m2) 680 (ft2) 取り付け角 0.00 (deg) 未検討 その他尻擦り角 TBD (deg) 未検討 エンジン 型式 超高速輸送機用エンジン 推力 527 (kn/ 基 ) 118,400 (lbs/ 基 ) 17

20 ( ウ ) 室内配置 まず 市場要求値であるファースト ビジネス エコノミークラスの 3 クラス配置で合計 250 席が 配置可能な座席配置を検討した 機体仕様検討で設定された胴体内 ( 胴体幅 5.360m) に配置で きる各クラスで可能な座席幅 通路幅を下記のように設定した 2 列座席幅 (inch) 通路幅 (inch) 座席ピッチ (inch) ファースト : ビジネス : エコノミー : 各クラスにおけるトイレ ギャレーカート アテンダント席の数は他機並みになるよう選定した 座席数 席数 /Toilet G.Cart/ 席数 席数 /A.seat ファースト : ビジネス : エコノミー : 合計 : 床下貨物室へのカーゴコンテナー搭載数は現用ワイド ボディ- 機並みの LD-3 コンテナが 26 個以上搭載できるように検討した結果 LD-3 は床下貨物室に並列に2 個が搭載すると前方貨物室に 18 個そして後方貨物室に 14 個の合計 32 個の搭載が可能であった ただし これは特に床下コンパートメントには補助燃料タンクを考慮していない場合なので 床下にも燃料タンクが必要になればコンテナ数は減ることになる ( 図 ) マッハ 0.98 超高速機の 3 クラス客席配置 18

21 ( エ ) 構造配置胴体構造は約 610mm(24in) のピッチのフレームに対して ストリンガを約 250mm(10in) ピッチに配置した 外板は板厚 1.5mm 程度 フレーム高さ 120mm( 外板から 150mm) ストリンガ高さ 30mm とした メインフレームは主翼 尾翼 脚の取付け部に配置した 与圧胴体は前脚室 中央翼 主脚室を除き STA 1440~STA とし 前方 後方に与圧隔壁を設けた ( 図 ) 胴体構造配置図 主翼構造は 前桁 後桁に囲まれた桁間 前縁 後縁 前縁と前桁の間はストレーキ構造でドライエリアとした また 後縁にはエルロン インナー / アウターフラップ スポイラを配置した 後桁はエルロン フラップ スポイラに沿って スパン方向 0.97 からルート部 中央翼に配置した 前桁は必要燃料タンク容量を満足するよう配置した 桁間構造は薄翼のため 構造効率の観点と桁間組立作業性 / 整備性の観点から次の5 分割とした 中央翼と外翼内側部: 中央翼を間に両外翼のエンジン取付け位置 ( スパン方向 0.31) 後桁 前桁の間に後桁と平行に 2 本の中間桁 コード方向には約 770~810mm(30~ 32in) ピッチでリブを配置した 各桁間には約 200mm(8in) ピッチでストリンガを配置した 外翼中央部: スパン方向 0.31 から 0.62 後桁 前桁 中間桁の間に後桁と平行に約 820~1030mm(32~40in) ピッチで桁を配置したマルチスパー構造とした 後縁の機構取付けを考慮して間にリブを 2 本配置した 主翼桁間のスパン方向 0.32 までを燃料タンクとする 要求仕様の必要燃料容量 38,400 US.g( 約 145m3) に対し ウェットエリアは約 182m3 である 外翼外側部: スパン方向 0.62 から 0.97 最も薄翼のであるこの部分は スパン方向 0.62 で平均 186mm スパン方向 0.97 では 88mm という板厚である アクセス性が悪く また高い剛性もが必要なため ハニカムサンドイッチパネルと 3 本の中間桁を配置する構造とした また この部分はドライエリアとした 19

22 ストレーキはドライエリアとし 種々の機器等を搭載できるよう考慮した ( 図 ) 主翼構造配置図 水平尾翼構造は昇降舵の配置を決定し 後桁 前桁の 2 本桁を通し 桁間をマルチリブ+スキン / ストリンガ構造とした 主翼と同様に中央翼で外翼を支える構造とした 昇降舵は水平尾翼面積の 25% 前縁を 35% とした 垂直尾翼構造は方向舵の配置を決定し 後桁 前桁の 2 本桁を通し 桁間をマルチリブ+スキン / ストリンガ構造とした 方向舵は垂直尾翼面積の 32% 前縁を 21% とした 巡航速度 0.98 で飛行する輸送機では 一般部には耐熱性は要求されないので 構造重量の軽減のためエポキシ系複合材とアルミニウム合金を中心に適用する エンジンまわりの構造等の高温部や主脚まわり取付け金具の高応力部のような限られた部分にチタン合金を適用した 高剛性 高強度が要求される脚構造には 合金鋼を適用する ( オ ) 運航生産性 超高速機では巡航速度の増加により従来機に較べて短時間で目的地に到達する すなわち 運用時間が短くて済むため エアラインでの運航生産性が向上する これは飛行時間に比例す 20

23 るコストが減少することになる また 1 機の機体だけではただ飛行時間が少なくなるだけであるが 通常エアラインでは数機 ~ 数 10 機のオーダーで運用するため 亜音速機より少ない機体で全体のルートをカバー出来ることになる 各路線で2 地点間を往復運航させた場合 例えば区間距離 3,370nm では巡航マッハ 0.80 の従来型機に対する超高速機の運航生産性は マッハ 0.90 まで巡航速度を速めた機体は約 11% 更にマッハ 0.98 になると 18% 程度まで向上する 更に 2 地点間の往復運航だけでなく時間をより有効に使える多路線の放射状運航を行うならば 必要機数がマッハ 0.80 従来型機で 6.3% 減 マッハ 0.90 機体で 6.8% 減 そしてマッハ 0.98 超高速機で 8.7% 削減され スピードアップと共に運航効率が向上する 従って 運航生産性はマッハ 0.90 機体では 0.6% 程の改善しかないが マッハ 0.98 超高速機ならば約 3% アップして約 21% の向上となる この生産性向上により従来亜音速機より必要機数が減ることになり 運航コストが減少する 運航生産性放射状運航含む 380 往復運航のみ 360 運航 1.10 生産性 % -6.8 % 必要機数往復運航のみ 必要機数 放射状運航含む -8.7 % 巡航マッハ ( 図 ) マッハ 0.98 超高速機の運航生産性 ( カ ) 市場性評価超高速機の市場はボーイングの 767 やエアバスの A といった既存機が運航されている 250 席クラス (230~309 席 ) に属し 2003 年末で 1,197 機が運航されているが 20 年後には 3,370 機に増加し 需要は 2,900 機と予測されている ( この予測には超高速機の出現は含まれていない ) この基本的な予測をベースとして 超高速機が市場に投入されるいくつかのシナリオを 21

24 想定し M0.98 機の需要予測を行なった結果 2004 年から 2023 年の 20 年間で最低でも約 500 機から最大で約 1,600 機の需要があると思われた しかしながら 国内外のエアライン調査での結果は 経済状態の悪化もあり この M0.98 程度の運航生産性の向上では新型機の購入をためらうエアラインが多かった 特にボーイングのソニッククルーザー計画が中断したこともありエアラインは 787 等の経済性重視の機体に目を向け始めていた 一方 M1.6 超音速機に対しては 将来の機体としながらも 2 倍の高速性から経済性が向上するなら期待が持てるとの好意的な意見が多かった そのため M0.98 機の検討は打ち切り 今後は M1.6 超音速機の検討に注力することとした しかし 構造やシステムは同様の技術が適用でき 市場の要求が変わってきたときには いつでも M0.98 機に対応できるよう意識すべきである 22

25 (2) マッハ 1.6 機の検討 ( ア ) 市場要求 巡航マッハ 1.2 から 1.8 程度までのいずれの速度が市場的に有用かいくつかの路線につき比 較してみた 東京から米国西海岸ロサンゼルス 米国東海岸ニューヨーク そして欧州パリまでの 3 路線につき各巡航マッハによる往復運航をチェックしたが 東京 -ロス間と東京-パリ間は超高速 機のマッハ 0.98 で1 日 1 往復が可能となる 東京 -ニューヨーク間はマッハ 1.2 で1 日 1 往復が可能 となる それ以上の巡航速度アップはマッハ 1.8 位になれば 東京 -ロス間と東京-パリ間で多少の 運航生産性向上が見込まれるが 東京 -ニューヨーク間についてはスケジュール上時間的余裕が 増すが 1 日 1 往復である 現在最も旅客数が多い北大西洋横断路線 例えばニューヨーク-パ リ間での往復運航でみると マッハ 1.2 で1 日おきに1 日 2 往復が可能となり マッハ 1.6 になれば 毎日 2 往復が可能となりそうである 以上の検討結果から 市場からは巡航マッハ 1.6 の超音速機の検討を提案した ただし 速度 が遅くなりエンジン負荷が小さくなるので航続距離を東京 -ニューヨークを迂回ルートで直航可能 な 6,500nm とした これらはあくまでも市場要求であり これを元に機体仕様の検討を行って 現 実的な目標機体の仕様を決定する ( 結果として現状目標機体仕様では乗客数 航続距離とも市 場要求より少ない値を採用している ) 要求値 条 件 設計レンジ 6,500 nm Typical mission rules ペイロード ( 標準仕様 ) 300 席 3 class seating at 210 lbs/ 席 巡航速度 マッハ1.60 陸上は0.95 亜音速巡航 離陸距離 11,000 ft. 以下 at 最大離陸重量, SL, ISA + 20 アプローチ速度 145 kt 以下 at 最大着陸重量, SL 初期巡航高度 40,000~59,000 ft at ステップ巡航高度 騒音値 Stage-4 以下 ( 今後の規制動向を見て修正する ) エミッション CAEP-4 以下 ( 今後の規制動向を見て修正する ) 経済性 運賃の+30% 以下 ( 図 ) 飛行速度と所要時間 23

26 ( 図 )TYO-LAX TYO-NYC TYO-PAR スケジュール ( 図 )NYC-PAR 往復運航スケジューリング ( イ ) 巡航速度の選定巡航速度としてマッハ 1.6 を選定した その理由は これまでのマッハ 2.2 ではエンジン騒音低 減の為の重量ペナルティが大きいこと および空力加熱に対処するため耐熱材料の使用により 重量 コストペナルティがやはり大きくなることを解決するためである コンコルドの問題点は環境性と経済性であり それを解決しない限り次世代超音速機が日の目 を見ることはない 環境性の最大の課題は離着陸時の騒音を亜音速機並みにすることであり 現 在の亜音速エンジンはバイパス比を大きくして排気速度を下げることにより低騒音化を図ってき た 騒音は排気速度の 8 乗に比例するため非常に効果的である しかし超音速機では 2 倍以上 の速度で飛ぶためあまり大きなバイパス比を採用できない マッハ 1.6 程度であれば ある程度の 大きさのバイパス比が可能と考えた それだけでは騒音規制値を満足できないので エジェクタ 等の消音装置が必要であるが その寸法 重量を抑えることができる この高バイパス化はエンジ ンの燃費を向上させることにもなるので経済性の向上につながり一挙両得である ( ただしエンジン 24

27 重量は増加する ) 一方 飛行速度の減少により空力加熱が減少する マッハ 2.2 の旧 SST では空力加熱が最高 150 度にもなりアルミはもちろん通常の複合材は使えない そのため耐熱複合材の研究を行ってきたが熱劣化の問題があり 強度的にもかなりのデメリットがあった 金属の場合はチタンを使うことになるが これも重量と価格の点でアルミより不利となる コンコルドでは 100~120 度程度であり 耐熱アルミを使用していた ( 複合材はなかった ) マッハ 1.6 程度であれば 空力加熱は 60 度程度であり 通常の高強度複合材の設計要求であるホット条件 (80 度 ) より低くなる 高強度で低価格のエポキシ系複合材や通常の高強度アルミ合金系が使用できることになり 軽量化 低コスト化が期待できる 軽量であればエンジン推力を落とすことができ 騒音低減にもつながる M2.2 騒音 10 増減量 M1.6 EPNdB 0 Stage 3 レベル Stage4 レベル以下へ低減必要 排気速度 (m/s) 機体表面温度 ( ) M2.2 M1.6 アルミ エポキシ使用可能 巡航速度 ( マッハ数 ) ( 図 ) 飛行速度マッハ 1.6 による騒音と空力加熱の低減 マッハ 2.2 の旧 SST(300 席 5,500NM) 機体をマッハ 1.6 で飛ばした場合を計算すると 最大離陸重量 : 885,383 LB(401 トン ) 856,057 LB(388 トン ) -3% Block Fuel: 1,811 LBS/ 席 1,715 LBS/ 席 -5% エンジン燃費 : 1.31 LB/hr/LB 1.15 LB/hr/LB -12% となる 巡航マッハ数の低下により重量軽減 燃費向上が期待できることが分かる 前述のように マッハ 1.6 であれば大西洋横断ルートで 1 日 2 往復が可能であり 超音速機と しての高速性を保って なおかつ経済性と環境性を満足し得ると考える その後の欧米の超音速 機計画でもマッハ 1.6~1.8 程度になってきたのを見ても妥当な選択であろう ( ウ ) 陸上超音速巡航の検討目標機体では 設計レンジ 6,000NM の約 30% を陸上飛行と想定し この区間はソニックブームが発生しないよう M0.95 の亜音速で巡航するとしている しかしながら 将来 陸上超音速飛行が許可されることが期待される その場合 M1.15~1.2 程度の速度ならばソニックブームは陸上へは 25

28 到達しない ( カットオフ ) と考えられる M1.2 で陸上を巡航した場合 東京 - ニューヨークで約 1 時間の短縮になる 超高速機と亜音速機の飛行時間 TYO - NYC PAR - SIN TYO - CHI TYO - PAR 1RT/day Route TYO - LAX PAR - LAX TYO - SYD TYO - YVR TYO - HNL 1.5RT/day PAR - NYC TYO - SIN TYO - BKK TYO - MNL 3RT/day 2RT/day HSTP M1.6 (M1.2 overland) HSTP M1.6 (M0.95 overland) Subsonic (M0.85 ) TYO - HKG Flight Hour ( 図 ) 超高速機と亜音速機の飛行時間比較 ( マッハ 1.6 と 1.2) ( エ ) 目標機体仕様検討 当初の市場要求 650 の 300 席 6,500nm 600 で機体を設計すると重量が 600 トンに達し 現実的でないことが判明した そこで航続距離を 6,000nm まで下げて旧 SST レベルの 400 トン以下となる 250 席を0 次目標機仕様 Max Take-off Weight [ton] M2.2 SST New HSTP No. of Seats 220 6, ,500 ( 図 ) 機体規模検討 6,500 Range [nm] とし 以下の要求を 満たす機体仕様を検討した 設計レンジ : 6,000 NM 座席数 : 250 席 (3 クラス ) 巡航速度 : マッハ 1.6/ マッハ 0.95( 設計レンジの 30%) 26

29 巡航高度 : 40,000-60,000 ft (M 1.6 ) 35,000 ft (M 0.95) 離陸距離 : 11,000 ft 海面上 /ISA+20 アプローチ速度 : 145 knot 以下 上昇率 : 300 ft/min 以上 ( 巡航開始点 ) 離陸重量 : 400 ton 以下 まず機体重量が最も軽くなる主翼平面形を選定するため 主翼の抗力係数が小さくなり かつ 主翼構造重量が軽くなる主翼平面形 ( 面積一定 ) を検討した 0 次ではマッハ 2.2 の SST と相似形の主翼平面形から出発し 一時は超音速前縁の台形翼も検討したが やはり超音速での造波抵抗が非常に大きく不向きであったため 亜音速前縁を基本とするクランクドアロー翼に戻した アスペクト比は 2.1~2.5 テーパー比は 5%~10% の範囲とした 前縁後退角は内舷で 60 度 ~80 度 中間部は 55 度 ~ 内舷前縁後退角 -5 度の亜音速前縁であり 外舷で超音速前縁となる 45.4 度とした その結果 以下のような主翼形状を第一次案として設定した アスペクト比 : 2.12 テーパー比 : 6.5% 前縁後退角後縁後退角内舷キンク位置外舷キンク位置 : 70 度 60 度 45.4 度 : 4 度 : 35% セミスパン : 75% セミスパン ( 図 ) 飛行ミッションプロファイル 旧 SST と異なり 外翼の後退角が小さく 機体重量軽減に効果的と考えた この平面形を用いてさらに主翼面積 エンジン推力を変化させ 最大離陸重量が最も軽くなる機体規模を検討した なお 飛行ミッションプロファイルは下図のように設定した 6,000nm の飛行であるが 途中に亜音速巡航部分を含むこととした 超音速巡航は 40,000ft から開始する 諸元策定プログラムによる性能計算結果を基に描いた T-S 線図を用いて 目標機体の主翼面積及びエンジン推力 ( 静止最大推力 ) を設定した 27

30 エンジン推力 基LB/目標機体の機体規模策定においては抵抗や重量の推算式に 将来技術を想定した軽減係数 ( 技術改善係数と呼ぶ ) を織り込んでいる この軽減係数はコンコルド当時の技術レベルを 1.0 として どの位の割合で軽減できるかという値を推定したものであり 各抵抗 重量部位毎に 0.85~0.6 程度の値を設定している 複合材による軽量化等かなり実現性が高い項目があるものの 大部分は依然として厳しい 目標値となっていて 現状の技術では達成で きない これらの将来技術レベルに到達するための研究が必要であり そのためこの軽減係数を用いて設定した機体を目標機体と呼んでいる ( オ ) 機首形状検討旧 SST では機首を抵抗の少ない細長い形状にする為 前方風防を無くし SVS ディスプレで前方視界を得るとの仕様であった しかし これで本当に安全上問題ないか不安である 主翼面積 ft 2 ( 図 ) T-S( 推力 - 面積 ) 線図 ため 今回は巡航時ではある程度の水平視界を得られるような風防を設け 離着陸時の下方視界のみ SVS で表示する方式を選定した 前方風防ガラスの角度をコンコルドのバイザーとほぼ同じ 15 度に設定した 上方視界は一般的な 20 度とし 下方視界を5 度に設定した 前面ガラスで極端な不連続にならぬよう, 前胴を若干ドループさせた また これでは前方風防ガラスが大きすぎるので 内側に耐圧風防を通常の位置に設け, 前面ガラスは単なる固定式バイザーとすることで重量軽減を図る A: パイロットからの上方視界 ( 正面方向 ) 20 度 B: パイロットからの下方視界 ( 正面方向 ) 5 度 複座機の後席と同程度 ( 図 ) 風防および機首形状の設定 28

31 ( カ ) 室内配置 1 初度設定案 SST にはエコノミークラスは不要との意見もあるが 他機との機体規模の比較がし易い従来機並みの3クラス制を当初の標準座席配置とした 座席幅や通路幅は他機例を参考に将来機としての居住性もある程度アピールできるような数値とした 具体的にはビジネスクラスで他機平均値となるように座席幅 通路幅を決定すると胴体径は 4.16m となり A320 より約 20cm 大きくなった その結果 エコノミークラスでは他機より広く ファーストは同等となった ピッチは近年エアラインではフラットシートが導入され 広くなる傾向にあるが SST は飛行時間が短くなることもあり 機体メーカーの提示する標準仕様としては従来並みの 36~40 インチとした トイレ ギャレー アテンダント数については旧 SST 研究での国内エアライン要求等を参考に決定した 上部胴体は旧 SST のようなエリアルールでくびれた形状ではなく一定断面として客室配置のフレキシビリティを確保する方針をとった 座席数は胴体前後の絞りが大きく 客席配置には適さないため要求の 250 席を確保できず 226 席になった 胴体長を延長して客室を大きくすると重量増を招くため ひとまず 226 席を3クラスの標準配置とした これとは別に プレミアム料金を取りやすい配置として全ビジネスクラス配置を検討したが 40 インチピッチで 147 席となった 本機はいわゆる狭胴機であるが ワイドボディールックの居住性を与えるため2 通路で 配置とした 座席数は減少するが高運賃に見合う ゆったり感 は差別化のための価値があると考えた 2 通路の場合問題となるのはオーバーヘッド ストウェージ ビンで 頭上スペースが少ないため 通路からのアクセスを考えると外側座席上には設けられない そのため 中央に大きめのビンを設置することにした 高さを高くしてバッグを立てて ( または上下に2 個重ねて ) 収納できるようにした ビンは電動で上下する ( ドアは連動して開閉 ) ようにして重いビンを苦労して開け閉めしないでも済むようにする しかし このストウェージビン配置は1 通路の場合は不可能なので エコノミークラスとの組合せはできない 全ビジネスまたはファースト+ビジネス配置のみ可能な方式である 扉口サイズと個数を決めるため 最も高密度なツアークラス配置 ( 全エコノミークラス ) も検討した その結果は 282 席であり TYPE A が2カ所 TYPE III が2カ所 ( 最大 290 席が可能 ) 必要となった 29

32 ( 図 ) 客室配置図 30

33 2 改定案初度設定の座席配置案を国内外のエアラインに提示して意見を聞いたところ やはり現状の長距離路線でのビジネスクラスに使用されているレイ フラット シートの 60 インチピッチと比べると 40 インチではいかにも狭いという意見が大多数であった SST では時間が短いので眠る必要はないという意見もあったが 5 時間以上の路線では 60 インチが必要とのことである それ以下であれば 50 インチでも良いとなった また エコノミーではなくプレミアム エコノミー (PE) とすること ファースト必要 不要の両意見があり また 現状ではあまりビジネスクラスが多くとも 1 機でそれだけのビジネス客は取れないとの意見が多く 全ビジネス機はオプションとする これらから標準座席配置はビジネス /PE の2クラスとすることにした 座席ピッチを広げていくと当然座席数が少なくなり 経済性が悪化する これまで平均運賃の 1.3 倍の運賃倍率を目標としてきたが 出来るだけその倍率に近い運航費を達成できるようなクラス配列を検討し ビジネス 60 インチを使用する長距離路線ではビジネス 60 席 PE88 席の 148 席となった 扉配置等を詳細に検討すれば少し変わり得るので標準座席配置としては機体性能計算では 150 席クラスとしてビジネス 60 席 PE90 席で計算する 一方 5 時間以下の飛行時間路線ではビジネスクラスを 50 インチとして より多くの座席数が可能とした その結果 2 クラスでは 170 席が可能となった 最大座席数を検討するため PE の 1 クラスで 36 インチピッチを設定したところ 220 席となった この座席数であれば Type A 扉は必要ないので Type B に変更することにした Type B は A の 110 人に対し 75 人まで許可され Type III 翼上脱出口の 35 人と共に合計 220 人までとなる Type B は幅が小さいため軽量化に繋がる TYO - NYC PAR - SIN TYO - CHI TYO - PAR 1 往復 / 日 Route TYO - LAX PAR - LAX TYO - SYD TYO - YVR TYO - HNL PAR - NYC TYO - SIN TYO - BKK 1.5 往復 / 日 2 往復 / 日 HSTP M1.6 (M0.95 overland) Subsonic (M0.85) Flight Hour 5 時間以下の飛行なら 50 インチピッチのビジネス席で十分 5 時間以上の飛行には 60 インチピッチのビジネス席が必要 ( 図 ) 飛行時間とビジネス席の必要ピッチ 31

34 5 時間以上 5 時間以下 ( 図 ) 飛行時間と座席配置案 32

35 ( キ ) 超音速機用エンジン仕様の検討マッハ 1.6 では機体抵抗の増大に伴い必要なエンジン推力が増大し 且つ 高速飛行に伴うラム温度上昇により燃料消費率が悪化し これらの積として燃料消費量が増大する 従って 巡航速度に対応したエンジン最適化が課題である 最新の亜音速機と較べてバイパス比の低いターボファンエンジンとなるため 排気ジェット速度が速く そのままでは騒音規定を満足できない 離着陸時の排気ジェット騒音を Stage-4 以下にする最適エンジン仕様の検討を行った 排気ジェット騒音低減方式として エジェクタ方式 シュート方式 ミキサ方式及び排気速度制御方式について比較検討を実施し 重量に若干デメリットがあるが 騒音低減の効果が最も高いと予想されるエジェクタ+シュート方式とした なお高周波帯の騒音低減のため吸音ライナを装着する ( 表 ) 排気ジェット騒音低減方式の検討 形式 エジェクタ方式 シュート方式 排気速度制御方式 (P&W 方式 ) エジェクタ + シュート方式 騒音低減効果 (-5dB 程度 ) (-5dB? 程度 ) (-6dB 程度 ) (~-10dB 程度 ) 重量 離陸時のエンジ ン推力への影響 開発リスク 総合評価 ミキサ方式は 基本原理がシュート方式と同じであるため 省略する 1エジェクタ方式排気ジェットのエジェクタ効果を利用して外部空気を排気ノズル内に引き込み 質量流量を増加させることにより排気出口径を大きくし 排気速度の低減を図る方式 2シュート方式排気ジェットを花びら型ノズル内に流すことにより多数の小さなジェットに分散し 排気ジェット全体の表面積を拡大させる これにより花びら型の機器の外側を流れる周囲流との混合を早め 排気ジェット速度の減衰を促進する方式 3ミキサ方式排気ジェット内にミキサを挿入し 排気ジェットを多数の小さなジェットに分散し 排気ジェット全体の表面積を大きくすることにより周囲流との混合を早め 排気ジェット速度の減衰を促進する方式で 基本原理はシュート式と同じであり これらの方式は現状の亜音速用エンジンの騒音低減手法としてよく用いられる方式 33

36 4 排気速度制御方式 外側に速度の速い排気ジェットの流れ 内側に速度の遅い排気ジェットの流れを作ることに より コアニュラ効果と呼ばれる現象により 騒音低減効果を生み出す (a) エジェクタ方式 (b) シュート方式 (c) ミキサ式 (d) 排気速度制御方式 ( 図 ) 各種の排気ジェット騒音低減方式 H16 年度まではバイパス比 2.0 のエンジンをベースに検討を行ったが H17 年度より HYPR/ESPR 研究によるデータを参考として用い更にバイパス比を高め燃費の改善を図っている まず エンジン径を出来るだけ小さくして重量増を抑え 燃費 騒音低減 排出ガス低減等を考慮して 2 段ファン 全体圧力比 OPR30 タービン入口温度 TIT1550 のサイクルを候補エンジン形態として選択した ファン段数およびOPRは比推力やエンジン重量の観点から TITは騒音低減量やNOx 排出の観点からによる まず 各種パラメータを振って最適値を検討した 1 全体圧力比 (OPR:Overall Pressure Ratio)= ファン圧力比 ( ファン段数 )=1 段 2 段として チップ周速を変えて 圧力比を変化 3 TIT=1,550 1,600 1,650 1,700 1,750 ( 地上静止時 ) 4 設計点を地上静止 (SLS:Sea Level Static) とし 離陸推力要求に見合うエンジンサイズ ( ファン直径 ) を設定して検討を行った 5 バイパス比は ファン圧力比 OPR TITから バイパス側とコア側の出口圧力のバランスがとれる設定とした 飛行プロファイル上での推力を満足させると 1 段ファンでは TIT が最大状態となりタービンの寿 命という点では厳しい 2 段ファンでは TIT が離陸時で最大となり 超音速巡航時には低くなるので 亜音速用エンジンと同じとなる 2 段ファンがチップ周速を低減でき SFC 比推力などの点で望ま 34

37 しいエンジン形態となる またエンジン性能による機体の最大離陸重量への影響感度係数を設定し 評価を行った その結果 SFCが最も影響が大きいことが判明した しかしながら エンジン直径は大きすぎると搭載が出来なくなるため 重量感度は低くとも現実的なサイズにしなくてはいけない SFCに対する感度: 2.19 (%/%) (M2.2では1.95) エンジン推重比に対する感度: 0.45 (%/%) (M2.2では0.52) エンジン直径に対する感度: 0.25 (%/%) (M2.2では0.30) ( 図 ) エンジンおよびナセルの寸法図 エンジンの規模は母機の機体規模により変化するが 第 1 次の検討のベース用のエンジンとしてファンチップ周速 427m/s OPR=30 TIT=1550 でMTOWの減少が大きく 最終諸元を ファン径 =2.5m BP 比 =3.41 エジェクタL/D=0.73( 長さ1.83m) とした エンジン重量は エジェクタ込みで8トン /1 基 このエンジンサイズは機体と組み合わせての最適化の中で変化し 最終的なサイズが決まる 大きな変化があるときにはエンジン内部の空力的な条件が変わるため再度サイクル計算が必要となる 現在は 要求仕様のエアラインコメントに基づく見直し 飛行ミッションプロファイルの最適化等により機体規模が減少し エンジン諸元は ファン径 =2.1m BP 比 =3.41 エジェクタL/D=0.73( 長さ 1.5m) エンジン重量はエジェクタ込みで5.5トン/ 基となっている 35

38 ( ク ) 目標機体仕様のアップデートこれらの室内配置や空力特性最適化やエンジン仕様検討の成果を取り入れて機体仕様をアップデートした 新目標機体を設定するに当たって以下のように設定を変更した ペイロード:250 席 (F22 B76 E152) 150 席 (B60 PE90) 着陸時残燃料:33.3% 25% 上昇プロファイル: 離陸終了時から巡航開始までを Specific range 最大のパスに設定 リザーブ区間:Alternate 距離 : nm Holding 高度 :10,000 1,500ft これらのパラメータを入力して機体諸元検討を行い目標機体を設定した E / G 機体諸元 機体性能 静止最大推力 (ISA, SL, 1 基当り ) kn/eg 257 ( 57,883lbf/EG) エンシ ン重量 ( エシ ェクタ込 1 基当り ) kg/eg 5,531 ( 12,194 lb/eg) 主翼面積 m ( 6,110 ft^2) 水平尾翼面積 m ( 860 ft^2) 垂直尾翼面積 m ( 531 ft^2) スハ ン m ( ft) MTOW ( 最大離陸重量 ) kg 224,736 ( 495,453 lb) MLW ( 最大着陸重量 ) kg 126,075 ( 277,945 lb) MZFW ( 最大ゼロ燃料重量 ) kg 101,517 ( 223,804 lb) OEW ( 運航空虚重量 ) kg 77,921 ( 171,785 lb) Mission kg 131,547 ( 290,009 lb) ヘ Mission kg 15,268 ( 33,660 lb) Max Payload (=MZFW-OEW) kg 23,596 ( 52,020 lb) kg/ m ( 81.1 lb/ft^2) kg/ m ( 45.5 lb/ft^2) 燃料タンク容量外翼タンク ( ルート~チッフ ) little 103,837 ( 27,431 USG) 胴体タンク ( 中央翼 トリムタンク ) little 66,266 ( 17,506 USG) 離陸滑走路長 ( 要求 11,000ft 以下 ) m 2,120 ( 6,956 ft) 巡航開始時上昇率 ( 要求 300ft/min 以上 ) m/min 137 ( 448 ft/min) アフ ローチ速度 ( 要求 145kt 以下 ) kt ( 269 km/h) 燃料タンク余裕 ( 要求 0 以上 ) USGal 14,269 ( 3,769 USG) SOI 70 装備 重量 (ton) 燃料 ヘ イロート SOI 装備 ( 発動機を含む ) 構造 燃料ヘ イロート SOI 装備構造 重量 (ton) 発動機脚胴体尾翼主翼 SOI 装備発動機脚胴体尾翼主翼 0 H21 目標機体 ( 図 ) 機体重量内訳グラフ 0 H21 目標機体 36

39 第 1 超音速巡航は 40,000ft から開始し 燃料減少と共に高度を上げていく その後一旦亜音 速巡航のために 39,000ft まで降下して一定高度で飛行する その後また第 2 超音速巡航のため 速度 高度を上げる エンジン出力は超音速巡航中はほぼ 100% 出力である 高度 ( 100ft) 超音速巡航 亜音速巡航 超音速巡航 ,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 飛行距離 (nm) エンジンレーティング (%) 120% 100% 80% 60% 40% 20% 超音速巡航 亜音速巡航 超音速巡航 0% 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 飛行距離 (nm) ( 図 ) 飛行高度とエンジンレーティング 超音速では L/D 最大値よりわずかに下で飛行する H21 M0.95 巡航 10 L/D H21 M1.6 巡航 H21(M1.6, 40000ft) H21(M0.95, 39000ft) CL ( 図 )CL-L/D 37

40 この機体のペイロード レンジ チャートを示す 標準の 150 席では 6,000nm であるが 最大座 席数の 220 席では 5,500nm まで低下する 一方 全ビジネス 104 座席であれば 6,300nm が可 能となる 25,000 20,000 Optional 220 seats(all Premium Economy) H21 HST(HST2112) F: First B: Business PE: Premium Economy Payload Weight (kg) 15,000 10,000 5,000 0 Standard 150 seats (B:60, PE:90) Optional 118 seats (F:6, B:62, PE:50) Optional 104 seats (ALL Business) Standard 150 seats :6,000nm Optional 118 seats :6,200nm Optional 104 seats :6,300nm Optional 220 seats :5,450nm ISA+5C/NO WIND 5% TRIP FUEL ALLOWANCE, 30min HOLDING 200nm DIVERSION PAYLOAD (First 242lb, Business 231lb, Economy 220lb) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 Range (NM) ( 図 ) ペイロード レンジ チャート 次にこの新目標機体の三面図を作成するため 各コンポーネントの配置を検討した 胴体形状は 座席数は減ったが座席配置を変えただけであり 形状はこれまでと変更はない 主翼も平面形は H18 年度に設定した形状を踏襲しており ( 翼断面は改訂 ) それを相似形で伸縮している 問題はエンジンナセルの位置である ナセルが主翼に比較して非常に大きく 主脚より外側に付ける必要があるため 主翼に対して取り付け位置の調整代がほとんど無い 主翼面積エンジンナセル位置は主翼前縁フラップと主脚からクリアランスを保ってぎりぎりまで近づけることにより主翼後縁からのノズル突き出しをできるだけ小さくするようにした それでもエンジン位置は主翼桁間に対してかなり後ろにきてしまい エンジン支持ストラットの設計が非常に難しい エンジン取り付け構造は今後検討が必要であ る エンジン取り付け部の主翼地上高 ( 図 ) 脚位置と主翼上半角 はエンジンノズルと地面とのクリアランス余裕を保つように上下位置を決定する この位置で主 38

41 脚の長さが決まり 横方向の脚位置を調整する エンジン位置はそれにまた影響される 現在 の第 1 キンク部は翼根から少し上反角が付いている 外翼は水平としたのでいわゆるガル翼と なっている ( 図 ) 脚位置と主翼上半角 ( ケ ) 脚方式と配置本機は重量こそ広胴機並みであるが胴体は狭胴機であるため広胴機並みの主脚を用いることは出来ない 旧 SST ではウイングギアとボディギアの4 本脚であったがそのため脚室部による主翼と胴体の切り欠きが大きくなり 主翼桁間が小さく 重量が増大するという欠点があった そのため8 輪ボギー方式で車輪サイズを小さく抑えて (737 サイズのタイヤ ) 胴体に格納できるサイズとし 2 本脚のみで成立させる方式とした 最大 RAMP 重量は FAR25 に従って MTOW の 1.07 倍とした ( 25 図 主脚車輪数と最大離陸重量の関係 1 20 主脚車輪数 ( 輪 ). 2-3 ) サイズ H44.5x サイズ H46x サイズ 52x21.0R-22 最 大 離 最大離陸重量 (MTOW) (ton) ( 図 ) 最大離陸重量と主車輪のサイズと数 MTOW が減少したのでこれまでの 用タイヤ (H44.5x ) の 8 輪から ER 用 (H46x ) の 6 輪ボギー化が可能となった 脚引き込みメカニズムのシンプルさと 車輪間隔を狭く出来ることから これまでの縦置き格納 39

42 方式を改め 通常の機体と同様な横置き格納方式とした 脚格納部の長さが縦置き方式より約 400mm 短くなるので燃料タンク容量が約 10m 3 増加する これは全燃料タンクの約 5% に相当する この分 胴体燃料タンクを削減できる なお 脚柱長さからすると さらに後方に格納することが可能で 脚の斜め引き込み角度を小さくできるが これ以 上桁間を小さくしたくないため 後方隔 壁位置を不変とした ( 図 ) 主脚方式の検討 一方 車輪は胴体内には納まりきらないので機外に張り出してしまう 超音速機としては付けたくないが 脚フェアリングがどうしても必要になる 車輪縦置きの方がフェアリングは小さくなるのだが 主翼内への脚柱の納まりを考慮すると車輪位置を下げねばならずフェアリングも大きくなるので横置きでも大差ないと考える CFD により縦置き脚フェアリングの抵抗増分を解析したところ 1.4 カウント程度であっ た ( 図 ) 主脚格納方式 ( コ ) 燃料タンク容量 配置の検討燃料タンクは主翼の最外部を除いて桁間全てとするが エンジン上部はドライエリアとする 胴体下部は当初は主翼前端から後桁位置までを燃料タンクと考えていたが 機体検討の進捗により燃料量が減少してきたので 脚室後方の桁間上部と後方のトリムタンク部以外は必要なさそうである 主翼桁間貫通部は主翼上面外板を与圧面とするため その上を燃料タンクとする場合はバグタンクになる 後方トリムタンクも床を耐圧壁にするのは重量増加となるので現状長距離機のような別の胴体内燃料タンクを設置することになろう 燃料タンク容量 ( 前方トリム+メイン ) は 210.3m 3 ( メインタンクが 155.5m3 前方トリムタンクが 54.8m3) となり 標準ミッション必要燃料容量である 209.6m 3 を満たしている 40

43 ( 図 ) 燃料タンク分布 飛行中の重心調整は燃料の移送によって行われる そのため主翼の前方は前方トリムタンクとし 胴体の耐圧隔壁の前後に後方トリムタンクを設ける 離陸時はトリム用の燃料は前方トリムタンクにあり 速度上昇に伴って後方トリムタンクに移送される 大量の燃料を高速に移送する技術も必要となる ( 図 ) 燃料移送による重心調整 41

44 ( サ ) 構造配置次に三面図を元に構造配置を検討した 重量軽減の為 主要構造は基本的に複合材構造とする マッハ 1.6 では耐熱性の問題が無いため エポキシ系複合材が使用できる 但し エンジンや APU 近傍等の高温部では耐熱複合材の使用が必要になる可能性もある その他の脚取付部等の大荷重部や扉口 結合金具等はチタン合金等の金属構造となる 胴体構造はスキン ストリンガ構造で フレームピッチを 23 インチに設定した 扉口は非常脱出要求から当初は Type A を前後に二カ所 Type III を翼上に二カ所設けた 最前方の Type A 扉 ( 幅 42 インチ ) は乗降口としての機能性から高さを 74 インチ ( 規定は 72 インチ ) とする 後に最大乗客数を 220 席に減少したため 前後の乗降口は一回り小さい Type B( 幅 32 インチ ) に変更した 胴体後方の耐圧隔壁は平板タイプとし その後はトリム用の燃料タンクとする 主翼はマルチスパー構造とし ストリンガとリブ間隔は出来るだけ広くする 上反角の無い主翼であるため コンコルドの様に前後方向を分割して 左右翼の一体成形を可能にする 但し外翼先端部は翼厚も薄く 燃料タンクとしないためフルデプス ハニカム構造となる可能性が高いので 別構造としてスプライスすることになろう 水平尾翼はオールフライングテールとし 構造は垂直尾翼とも通常の二本桁とスキン ストリンガ構造で 前後縁はハニカムサンドイッチ構造である 構造分野の要素研究として主翼構造の検討に取組んでおり 構造配置の最適化により重量の最小化を図る また 主翼厚みを増加させて重量軽減を図ることも空力抵抗解析とタイアップして検討している 今後その成果を取り入れてさらに構造様式を改善していく予定である 42

45 43 ( 図 ) 目標機体の三面図

46 44 ( 図 ) 目標機体の構造線図

47 線( シ ) 運航生産性現在の法律ではソニックブームを発生する陸上超音速飛行は許されていないため 海上のみマッハ 1.6 で飛び 陸上は音速以下のマッハ 0.95 で飛ぶ設定になっている 従って ルートによって時間短縮率が変わってくる ほとんど海上を飛ぶことが可能なニューヨーク-パリ線や東京 -ロス線等ではマッハ 0.85 亜音速機に対し 時間短縮が 40~45% となり その分 年間運航回数は増加するので 亜速機に対し約 25% 前後の運航生産性向上となる 一方 東京 -ニューヨークや東京 -パリのような陸上の多い路線等では 時間短縮が 30% 程度にしかならず運航生産性は亜速機に対し 10% 程度のアップに留まる 対象路線全体では運航生産性は平均 17% 程度の向上となるであろう 往復 / 日 線1 1.5 往復 / 日路1.5 2 往復 / 日 飛行時間 ( 図 ) 超高速機による飛行時間短縮と運航効率向上 ニューヨーク-ロンドン パリ等の大西洋横断路線は最も需要の多い路線である ほとんどが海上であるため超音速機の利点が最も活かされ コンコルドも最後はこの路線だけを飛んでいた 7 時間の距離が 4 時間強で飛行できるため 1 日 2 往復が可能となり 亜音速機 2 機分の働きをすることになる 機体価格は高くなるが その半分で賄えるということになる 東京 -ニューヨーク等の長距離路線でも1 日 1 往復が可能となり 機体を到着地にステイさせる必要がない また 飛行時間短縮により 交代乗員を乗せる必要が無く 人件費の軽減とともに 機体にクルーレスト ( 乗員休憩室 ) を設ける必要もない また 2 都市間だけでなく 3 都市 4 都市を結んで運航することにより 機材を効率的に使える 45

48 ようになる 長い区間と短い区間を組み合わせば 機体の開いている時間を出来るだけ少なくすることが出来る 現在は 多国間を1 社が自由に路線設定することは出来ないが オープンスカイが広まれば 将来そのような運航も可能となるであろう ( 図 ) 多都市間運航の検討 ( ス ) 市場性評価需要予測にあたって超高速機の潜在旅客数の増加予測を行った 超高速機に適した路線を選定するため 1,100nm 以上の世界の路線から交通量の多い 545 路線を抽出した さらに 予測の簡便化のため 1,000km 以内の都市を1つの都市で代表 ( パリにはフランクフルトやアムステルダムを含む 日本は東京のみ ) させて 86 路線を選定した ( 代表 86 路線と呼ぶ ) 2025 年時点でのこの路線の潜在旅客数は約 4 億 5 千万人であり 大西洋横断路線とアジア域内路線の伸びが大きいことが判る また 有償旅客距離 RPK( 旅客数と路線距離 km を掛けたもの ) でいうと 2025 年で約 2 兆 9 千 3 百億人 km となり全世界の有償旅客距離の約 28% に相当する このように 長距離路線のみの対象機といえども 市場規模は充分に大きいと言える 46

49 ( 図 ) 代表 86 路線の旅客伸びの予測 超高速機では亜音速機に較べて燃費の悪さや重量増から運航費が増大するのは避けられない しかし 高速性による利便性から運賃が上昇しても利用する旅客は存在し それは短縮時間に対する運賃上昇の許容値 すなわち時間価値で決まってくる これは個人個人で変わってくるので幅があるが 平均運賃の 1.3 倍程度であれば成立すると考えられる この時の平均運賃とは 乗客が支払っている実際の運賃の全平均 ( ファーストからエコノミまで含めた ) のことであり いわゆる正規運賃のことではない 従って かなり低い運賃である つまり 乗客一人当たりの運航費が競合する亜音速機の 1.3 倍以内なら良いことになる 亜音速機も年々経済性が向上するので 常に厳しい競争にさらされるだろう 比較対象機として 座席数のほぼ同等な亜音速機ボーイング 787 を選定し 運賃比較を行った 路線によって差があるが 代表 86 路線網全体では運賃比は約 1.33 倍となった また 需要機数は約 1,650 機となった これは座席数を以前の目標機体の 250 席クラスとした場合であるので 座席数を減少させていくと当然座席数当たりの機体価格が上昇していくので運航費 / 席は増加し シェアと需要機数は減少する 現在はエアライン調査結果を基に座席数を減少させて 客席幅 ピッチを増大させた居住性の良い客室配置を持った機体へ目標機体を改善した そのため座席数当たりの運航費は増加してしまうが 運賃単価の高いビジネスクラスの比率を上げ またエコノミークラスを止めてプレミアム エコノミークラスにすることにより充分カバー可能と考えている 47

50 1.5 2, ,750 運賃倍率 需要機数 1, , 燃料費 ($/ ガロン ) 1, 燃料費 ($/ ガロン ) ( 図 ) 超高速機の燃料価格による運賃倍率と需要機数予測 これらの市場性検討と機体仕様等に対するエアラインの評価を探るため内外の代表エアラインへの訪問調査を行った 結果は巡航速度をマッハ 1.6 に設定したことに対してはほとんどのエアラインが賛意を示した しかし 座席数や航続距離についてはエアラインの持つ路線によって様々な希望があり 仕様決定の難しさを伺わせる 運賃については 1.3 倍以内なら許容できるとする意見が多かった また 客室配置については身近であるため最も多くの意見が寄せられ 超音速機といえども現状長距離機並の居住性が要求された 座席ピッチはビジネスクラスでレイフラットに必要な 60 インチが必要であるが 5 時間以下なら狭くとも良いとのこと エコノミー客は高い料金を払わないのでビジネス客を対象とすべきこと プレミアム エコノミークラスを作るべきとの助言を得た ファーストクラスは不要という意見と やはりステータスのためにも必要との 2 つの意見に別れたので オプションとして 3 クラス案も用意することが必要であろう 全ビジネスクラスについては座席数が多いため 1 機でそれだけのビジネス客を集められないという意見がある しかし これは現状の需要からの意見であり 将来は増加する可能性があると考える 現に大型機を全ビジネスクラスで運航するエアラインも現れてきている 全ビジネス配置もオプションとして用意すべきである 今後も前記の運航性検討とともに さらに運賃実態調査や運航費推算 エアラインとの意見交 換を重ね 市場性調査を進めていく予定である 48

51 ( 表 ) マッハ 1.6 機に対する国内外エアラインの意見概要 SST 全般 : 速度 : 航続距離 : 座席数 : 運賃 : 環境性 : 居住性 : 経済性さえ良ければ利便性から将来性がある マッハ1.6で良い 1 機で亜音速機の2 機分の運航ができ効率的 6,000nm(11,120km) 程度を直行便可能な航続距離が必要 100~300 席が適当 平均運賃の30% アップ程度以内なら乗客は速度向上を選択するだろう 騒音 排ガス等の規制値を満足すること ビジネスクラスを中心とするべき エコノミークラスは不要 プレミアムエコノミーなら有り得る 5 時間程度以上の飛行ではビジネスクラスにフラットシートが必要 49

52 II. 遷 超音速域空力設計技術の開発 (1) 超音速機全機形状の最適化超高速機に最適な主翼空力形状を求めるため 巡航性能や離着陸性能など複数の目的関数を同時に改良するMOGA( 多目的遺伝的アルゴリズム ) を最適化手法として適用した これまでのベースライン主翼形状および翼断面にとらわれずに 新たに最適形状をパラメトリックに検討するため 以下の手順で解析を行った 1 平面形と翼厚分布をパラメトリックに変化させてMOGA( 多目的遺伝的アルゴリズム ) で最適化 3,600 形状から 2 形状を選定 ( 低速 超音速性能改善型 混合巡航重視型 ) 2 キャンバを変化させてRSM( 応答曲面法 ) とDS( ダウンヒル シンプレックス ) で最適化 上記 2 形状とベースライン翼型について800 種の断面 3 尾付きモデルでNS 解析し トリム後の揚抗比の確認 平面形と厚み分布を14 個のパラメータで変化させた 内側キンク位置から翼端までの後縁は直線とする キンク位置はベースラインと同じη= に固定する 主翼前後位置は低速での全機空力中心がベースラインと一致する場所とした これにより主翼平面形は7 個のパラメータで表現される Thicknes control function Inner S.B. SB2=tan(θ2) Inner S.B. SB1=tan(θ1) θ1 Outer S.B. SB3=tan(θ3) θ2 θ3 Mid Chord Length C2 Tip Chord Length C3 η=0.75 η=0.60 η=0.35 Wing Span b t/tmax X=0.25 X=0.5 NACA64A203 Bezier X=0.75 Root Chord Length C x/c ( 図 ) 主翼平面形と断面形状の最適化検討 離着陸特性には高揚力装置の効果が大きいが 計算負荷が大きいことや フラップ付形態の格子を最適化設計の中で自動生成するのは非常に困難なことなどから CFD による粘性解析を用いることはできないため 離着陸特性はVLM( 渦格子法 ) を用いて推定した 重心位置は Euler とVLM の結果から算出した全機空力中心から2%MAC 前方の静安定性余裕を持たせた位置とした 亜音速と超音速で空力中心は異なるが 燃料移送重心が移動できるものと仮定した VLMで求めたトリムに必要な尾翼揚力と抵抗を翼胴形状の計算結果に加算した キャンバおよびねじり下げ分布は揚抗比に影響を持つが 構造重量やフラップ下げ時の低速性能とは ほぼ無関係であるため 平面形 翼厚の設計時には固定し 後で最適化を実施した 最終的に亜音速および超音速巡航性能の組合せを重視した 混合巡航性能重視型 と 離着陸時の低速性能も改善しつつ高速性能も重視した 低速 超音速性能改善型 の2 種類の形状を候補とし 50

53 て選定したが 最終的に最大離陸重量が最も軽くなる 混合巡航性能重視型 を新たなベースライン として採用することに決定した ただし 目標機体に適用するに当たってはエンジン配置等との調整 から多少平面形を修正している 混合巡航性能重視型 低速 超音速性能改善型 燃料消費量 ( 混合巡航 ) -7.8 % -7.7 % 燃料消費量 ( 超音速巡航 ) -5.8 % -6.4 % 最大離陸重量 -5.1 % -4.9 % 離陸速度 -3.1 % -4.7 % 上昇時抵抗 -9.7 % % Y( m) Planform of Baseline 40 Relative T/O Weight= Relative Mix Cruise Perfomance= Relative Supersonic Cruise 35 Perfomance= Relative T/O Perfomance= Relative Climb Perfomance= X( m) Y( m) Planform of Planform of # Relative T/O Weight= #23496 Relative T/O Weight= Relative Mix Cruise 40 Relative Relative Perfomance= Supersonic Cruise Mix Cruise Relative 35 Perfomance= Relative T/O Perfomance= Supersonic Cruise 35 Relative Perfomance= Climb Perfomance= Relative T/O Relative 30 Relative Perfomance= Climb Perfomance= Wing volume/fuel= Relative Perfomance= Wing volume/fuel= Y( 25 m) X( X( m) m) 旧ベースライン形状混合巡航性能重視型 ( 新ベースライン形状 ) 低速 超音速性能改善型 ( 図 ) 主翼平面形と断面形状の最適化検討 このように主翼平面形と断面形を選定したが さらに断面ワープ形状の最適化検討を行った まず新たなベースライン形状である 混合巡航性能重視型 機の到達航続距離を求め 検討形状がどれだけ航続距離を増大できるかを比較することにより最適形状を求めることとした この場合 将来目標値として設定した目標機体仕様より航続距離が少なくなるが あくまでも比較用なので この検討では問題にしない その結果 新たなベースラインの翼型では航続距離は約 5,400nm となった 検討手法としては断面形状と捩じり分布を多目的遺伝的アルゴリズム (MOGA) で振って抵抗係数を計算し それを元に航続距離を求めた 60 個体を 20 世代に変化させて 合計 1,200 個体について計算した この結果 航続距離最大となる中間断面ケースでは 5,510nm となり約 100nm 向上した しかし これは折衷案ともいうべき断面で 超音速巡航時には最適ではない 今後はフラップスケジューリング等の手法により 出来るだけ超音速巡航性能を犠牲にしない翼型設計を検討することが必要であると考えている 51

54 亜音速最適断面 中間断面 超音速最適断面 ( 図 ) ワープ設計による翼型改善検討 また 主翼の形状は構造重量に与える影響が大きいが 厚みが極端に薄い ( 翼付け根で 3% の翼厚比 ) 超音速機では亜音速機とは較べものにならない重量増となる そこで出来るだけ構造重量を削減するため厚翼化を検討したいが その抵抗に及ぼす影響を解析により検討した 最も荷重の大きい前桁部を 1.25 倍 1.5 倍 2 倍の厚みにして抵抗係数増分を検討した また一方 主翼内は燃料タンクであり 必要な燃料タンク容積を確保することが重要であり また 抵抗には容積が重要な要素ともなるため 胴体側面での燃料タンク断面積を一定になるように桁前方の翼断面形状を調整した その結果 超音速では 1.25 倍 : 抵抗増はわずか 1.5 倍 : M1.6で1カウント程度 2 倍 : M1.6で10カウント以上 1.5 倍程度なら 1 カウント増程度で収まることが 判明した 今後はこの成果を元に構造分野での主翼構造 軽量化検討の中で厚翼化の重量推算を行い さ ( 図 ) 厚翼化による抵抗増加 らに形状改善提案を繰り返して 空力と構造の統合検討により厚翼化の可否を判断していくことが必 要である 52

55 (2) インテーク ナセル空力特性の検討超音速機のエンジンでは超音速で流入する空気を衝撃波により圧縮し 亜音速にして取り込まなければならないため長いインテークが必要となる しかも後ろには騒音低減のためのエジェクタを装備しなければならず長大なものとなってしまう これを2 基クラスタとして翼下に吊下することになり その抵抗は全体の中でも大きな割合を占めるようになる エンジンナセルの抵抗を下げることは全機抵抗を下げることに大きな効果がある そこでまず JAXA との共同でインテークの設計を行った マッハ 1.6 程度であれば外部圧縮方式で十分可能であると考えられ 固定 2 段ランプ 3 衝撃波方式とした また超音速機では離着陸時の低速からマッハ 1.6 の巡航まで広い範囲の速度範囲の全てで必要な流量をまかなわなければならない 可変インテークにすれば良いが これでは複雑で重量が増加してしまう 開口部面積を一定のマッハ数に最適な面積とすると これ以下の速度では流量が足りず これ以上ではスピルして抵抗増加となる 今回はマッハ 1.4 で最適化することになった そのため補助ドアを設けてマッハ 1.4 以下では必要な空気を取り入れ マッハ 1.4 以上では余分の空気を排出する必要がある 今回の検討では補助ドアなしでインテーク内部の抵抗は 6 カウントとなった 今後は補助ドアの設計を行って総圧回復率を上げる工夫を検討する必要があるが その場合約 2 カウント程度まで下げられる可能性があると考えられる ( 図 ) 超音速インテークの検討 ( 図は上下反転して示す ) 53

56 次にナセル全体の主翼との組み合わせも含めた最適形状と配置の検討を行った まず主翼とナセルの間に設置するダイバータのパラメトリック検討を行って形状を設定した 幅 : 1.0m 先端長さ : 3.11m 先端角度 : 入口高さ : 10 度 58mm ( 図 ) ダイバータの解析 次にオイラー解析 + 境界層補正コードを用いて全機 CFD 解析を行った ナセルを取り付けたことによりナセルと主翼 およびナセルと胴体との干渉が顕著に現れている 特にナセル下面の圧力上昇が大きく またノズル部の負圧領域が存在し 形状改善の必要性が 明確となった クラスタ形態は独立ナセル形態 ( 図 ) 翼胴尾ナセルモデル より抵抗が大きくなることは否めないが この機体のように主翼と較べて相対的にナセルの大きな形状ではクラスタ以外に選択肢は無く 形状最適化努力が今後とも必要である ( 図 ) インテーク周りの圧力分布 54

57 (3) 環境性改善技術の検討 ( ア ) 環境影響技術課題コンコルドが成立しなかった大きな理由の一つは騒音を始めとする環境規制に適合しなかったためである コンコルドの当時はヒステリックな反応があったものの 環境性に対する社会的な関心はより高くなり 航空機への規制も厳しくなりつつある 現在 超音速輸送機に対する環境規定は存在しないが 亜音速機並みの規定が適用される可能性が高い 現在 航空機に対する環境規制としては 大きく分けて空港騒音と排出ガスの2つである SSTについてはソニックブームがあるが これは現在の米国の航空法で民間機が陸上を超音速飛行できないことになっており 他国もそれにならっている 従って 原則的にソニックブームを陸上で発生させること自体認められていない 空港騒音や排出ガスに関する国際基準策定はICAO (International Civil Aviation Organization) と その委員会 CAEP (Committee on Aviation Environmental Protection) が担うとの体制が固まっている ICAO/CAEPではWG1: 航空機騒音 WG2: 空港および運用面での騒音対策 WG3: エンジン排出物 - 技術面 WG4: エンジン排出物 - 運航面 WG5: 環境課金 環境税の5つのワーキング グループに分かれて活動している 1 空港騒音国際的には ICAO/CAEP の WG1 で規制値を制定している 米国は国内的に FAR で定めているが同じものである 規制値はサイドライン ( 離陸時の側方 ) フライオーバー ( 離陸直下 ) アプローチ( 着陸直下 ) の3 点で上限値が決まっている また その上限値は最大離陸重量 ( 型式承認時 ) が重くなるに従って大きくなっており さらにエンジン数によっても分類されている したがって 大きくて多発の機体は多少うるさくても良いと ( 図 ) 空港騒音の測定点 言える かねてから規制強化が検討されてきたが 2001 年 1 月の CAEP5 で新基準として Chapter4 として制定された それは旧規定 Chapter3 より3 点合計 (Cumulative と呼ぶ ) で 10dB 低減するというもので 3 点の内どれで大きく下げても良いが ただし2 点のマージン ( 低減量 ) 合計は 2dB 以上でないといけない (1dB と1dB でも良いが2dB と0dB ではいけない ) この規制値は 2006 年の新型機から適用となった 超音速機に対する規定は無く コンコルドは例外的にその騒音値が追認され運航を許されていた かって SST 国際 8 社共同委員会があった時は超音速機独自の規制値を制定しようとしており 55

58 Chaputer3 をガイドラインとするとの合意がなされた しかし基準案作りは騒音低減の技術的困難性からまとまらず SST 開発の遅れと共にストップしていた しかし ここに来て欧米での超音速ビジネスジェットの計画が発表されたため 各種課題解決のためのタスクグループ TG が結成され その中に SSTG(Supersonic Transport Task Group) が作られた ( ガルフストリームの代表がリーダー ) 超音速陸上飛行でのソニックブーム基準作りが主要課題だが 騒音基準策定も含まれる 2013 年に決定する予定である 基準制定では技術的可能性が考慮されるので 今後どのような SST 用騒音基準が作られるかは不明だが 一応 亜音速機並みの基準が求められることを前提として研究しておくことが必要であろう ( 図 ) 亜音速機に対する空港騒音規制値 (Chapter3) 2 排出ガス排出ガスは世界的な気候変動に影響があると見られ 特に NOx はオゾンの増減に関係が大きく 増大させると温暖化に結びつき 減少させると紫外線増加になる 亜音速機はオゾンを増加させるが SST は高々度を飛ぶため かえってオゾンを減少させると考えられている 航空機の大気影響に対する国際的なアセスメントは IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) の特別報告書 航空機と地球大気 として 1999 年 4 月に公表されたが 排出ガスの定量的な影響はまだ解明されていない 排出物規制値に関しては ICAO/CAEP のWG3を主体に検討が進められている 離陸から着陸 (Landing and Take-Off) サイクルの標準モードに対する単位推力当たりの排出総量 56

59 で評価する ICAO/CAEP では 1981 年に CO UHC( 未燃炭化水素 ) NOx 煤についての規制値が制定された 1993 年には NOx の 20% 削減が決定され さらに 1998 年 4 月の CAEP4 で NOx の 16% 強化案が 2004 年の新製エンジンから適用されることになった 2003 年の CAEP6 では 2008 年に CAEP4 レベルよりさらに 10% 削減することが提案された 米 カナダは支持したが欧州は 20% 強化を提案した さらに国際空港協議会は 2008 年に 20% 減 2012 年には 30% 減を主張した 結局 10% 支持と 15% までなら譲歩するという二派に分かれた 10% までなら既存技術で対応できるが 15% 以上では新たな技術研究が必要であると言われている また 15% 以上ではCO 2 が増加するようだ 結局 2008 年に 12% とすることで決着し 2010 年の CAEP8 には更に見直すことも同意された 以上は空港での離着陸時の規制であるが 現在は巡航中の NOx 規制についても論議が始まっており 排出量推算法を検討中である ( 図 ) CAEP4 での NOx 規制値 3ソニックブームソニックブームとは航空機が超音速で飛行するときに機体によって圧縮された空気が衝撃波となって地上に到達することを言う その時 爆発的な音となって聞こえるのでソニックブームと呼ばれている ソニックブームの大きさは機体の重さや長さによって変わり 一般的に重いほど大きく 長いほど小さくなる コンコルドではソニックブームを発生させることが問題になり 反対運動にまで発展した その時は感情的な反発も多く 機体が飛行しない日までブーム被害が寄せられたほどであった ソニックブームは前方が正圧 後方が負圧の N 型の波であり そのため2 回の爆発音として聞こえること 57

60 が多い 通常はその時のピーク圧を psf ( ポンド /ft 2 ) の単位で表す コンコルドでは約 2psf と言われ ており 本機でも 2psf 程度になると考えられる この大きさは近くの落雷並みの音であり許容できるも のではない 1960 年代に NASA 等が許容できるブームレベルを調査したが 1psf 以下であろうとの結 果であった コンコルドでは陸上の超音速飛行は禁止され 海上のみの超音速飛行が許された しかし 東京 - ニューヨークや東京 - パリ ロンドン等は半 分以上が陸上であり 亜音速で飛ぶこと は超高速機のメリットを減ずることになる 現在 開発計画が明らかになっている超 音速ビジネス機 SSBJ は市場の大部分が 北米大陸内であるので 超音速陸上飛 行ができなくては亜音速機に較べて優位 性が保てない SSBJ 程度の小型機であ れば低ブーム化も可能な範囲であると考 えられ各社が低ブーム SSBJ を開発しよう としている 米国では超音速陸上飛行が 禁止されており SSBJ 実現には法律改正 が必要であるが ブーム許容値をどのレ ベルにするかが焦点となっている 過去 の実験値の 1psf という値は現在では大き すぎると考えられ 2000 年から行われた 米国 DARPA での QSP(Quiet Supersonic Platform) 計画では機体形状の工夫による低ブーム化可能性を実証するため F-5 戦闘機の胴体を改 造して飛行試験が行われた この機体ではブーム低減の目処は得られたが 充分な低減値ではなく 速度もマッハ 1.4 程度であったため NASA では新たな飛行実証機を製作して試験を行う計画を持っ ている 欧州でも同様の HiSac 計画があり SSBJ 計画を以前から持っていたダッソー社を中心に行わ れている 過去にも超音速機の騒音規定を作る動きはあり その中でソニックブームについても議論されたが NASA 等の次世代超音速機計画が中止されるに及んで停滞し 未だに規定は制定されていない ここ にきて SSBJ 計画の活発化により再度 ICAO で規定検討の動きが起きており 2013 年に決定する予定 である ( 図 ) 衝撃波の伝播によるソニックブーム ( 出典 :Glass,I.I. Shock Waves and Man ( 高山和喜訳 ) 丸善 ) 58

61 ( イ ) 音響伝播解析と音源モデル化手法の検討騒音は全ての航空機にとって問題であるが 超高速機にとってはコンコルドの失敗例をとってもわかるように成立の要である 現在はエンジン後部にミキサ / エジェクタを取り付けて基準値まで騒音を下げようとしているが エンジンの騒音が地上に伝播してどの程度まで減衰するかを明確にしないとミキサ / エジェクタへの要求を決定できない また 機体による遮蔽効果が利用できればミキサ / エジェクタの簡略化または不要化の可能性もある しかし この効果を含めた音響伝播解析手法や それに使用するジェット騒音のモデル化手法には非定常 CFDによる推算法では精密ではあるものの膨大な計算時間 コストがかかり 機体開発の現場では実用的ではない 今回はより簡便な音響伝播解析手法とジェット騒音モデル化手法を開発するため 日仏協力枠組みのもとで仏 EADS 社と協力して行っている 日本側はジェット騒音のモデル化手法の開発を担当する 伝播解析は仏側が担当している ジェット騒音の発生源は 渦に起因する ジェット混合ノイズ と 衝撃波に起因する ショック連成ノイズ 及び スクリーチ トーン がある なお HSTPでは 想定されているエンジンの排気は亜音速ジェットなので ジェット混合ノイズ のみが発生すると考えられる ジェット混合ノイズは さらに 微細渦によるノイズ 大規模乱流構造によるノイズ の2つに分けられる 微細渦によるノイズは ジェット内に分布する微細渦のランダムな動きにより圧力変動が生じ それがジェット外部に伝播することで生じるノイズ成分である 指向性が弱く なだらかな周波数特性をもち 全周方位 全周波数範囲で発生することから ジェット 騒音の基本となるノイズ成分である 一方 大規模乱流構造によるノイズは ジェットの ( 図 ) ジェット混合ノイズの発生 混合層内 ( ジェットのコア以外の領域 ) で発生する大規模な乱流構造 ( 不安定波 ) の変動によるノイズ成分である この不安定波はノズル出口リップ付近の擾乱 渦輪等がジェット下流に発達 ( その後 減衰 ) しながら伝播する これがジェット下流に向かって超音速で伝播する場合 マッハ波としてジェット外部に放射され騒音源となる ) したがって大規模乱流構造によるノイズは ジェット軸付近の方位で主たるジェット混合ノイズの成分である それらのジェット騒音源モデルを実用的な範囲で解析的に取扱う方法として 定常 RANS(Reynolds Averaged Navier-Stokes) 解析に基づいたジェット騒音予測手法について調査し 今回の手法として採用した 本手法は 空間的な音源強度分布を得るために定常 RANSに基づくジェット流のCFD 解析により基礎データの作成を行い それを離散化して点音源の分布に置きなおすものである 59

62 定常 RANS 解析結果を用いた離散化した音源強度と位相特性を考慮することによりジェット騒音の 特性を表すことが出来る ジェット騒音には亜音速ジェット 超音速ジェット 周囲の速度の違い ( 機体 の飛行速度 ) Cold Jet/Hot Jet 等の様々な条件での騒音特性が存在する それぞれの条件にお いて本手法を適用することは 可能であるが ( 超音速ジェット ノズル については適用範囲が限定 される可能性がある ) 定常 RANS 解析結果だけから騒 音特性を推算するためには それぞれの条件における更 なるデータの蓄積 検証が必 音源 ( 図 ) 定常 RANS 解析による音源モデル化 要である ( 図 ) ノズルと機体部分モデルによる低騒音風洞内でのジェット騒音測定試験 ( 図 ) マイクロフォンセットによる騒音測定と騒音周波数分布 そのため低騒音風洞内でジェット排気を模したノズルからジェットを噴射し騒音測定試験を行った また 最終的には機体による遮蔽効果を含めた空港騒音を伝播解析により求めることが目的であるた め ノズルに尾翼を模擬したモデルを装着し遮蔽効果を測定した まず単純な平板から始め 尾翼を 60

63 模擬したモデル 尾胴と水平尾翼を模擬したモデルへと発展させていった 測定はマイクをジェット軸を含む水平面内に並べ さらにモデルを軸周りに90 度回転させることにより立体的な騒音分布データを測定した この結果 機体モデルによる遮蔽効果や干渉音が測定された また 音源の位置を確認するためマイクロフォンアレイを用いて音源分布計測を行った このようにして作成した音源モデルを元に伝播解析を行い その結果を実験データと比較検証することにより問題点を把握し 更に音源モデル 伝播解析の手法の改良を行っている ( 図 ) マイクロフォンアレイによる音源分布計測 ( 図 ) 音響伝播解析用機体モデルと音圧分布解析結果 61

64 ( ウ ) ソニックブームの感受性評価試験現在 陸上での超音速飛行は許されておらず ソニックブームに関しては規定が無い しかし 弱いソニックブームであれば許可しても良いのではないかとの認識から 許容できるブームレベルを設定する必要がでてきた 以前は 1psf 程度が許容レベルであろうと言われていたが現在ではピーク圧が 0.3~0.5psf 程度ではないかと言われている しかし 同じピーク圧でも波形によって感じられる うるささ は変わってくるので 何をもってして許容値とするかは検討の余地がある 本研究では 1psf 以下の弱いソニックブームの評価手法を調査するため ソニックブーム シミュレータを製作し 感受性評価試験を実施した ソニックブーム シミュレータ ( 以降シミュレータと呼ぶ ) は防音密閉型のチャンバーであり ソニックブームの模擬音 ( 波形 ) をスピーカにより生成し 中の被験者がその模擬音を聞いて感受性を評価する 内寸の高さ 2.0m 幅 1.54m 奥行き 1.32m で スピーカは 4 個設置され 被験者の耳位置で計測される波形のピーク音圧が 2.0psf までの波形生成が可能である 無響室内に置かれて試験を行う ( 図 ) ソニックブーム シミュレータ 感受性評価試験としては 0.3psf 以下のピーク音圧波形を用いたもの 1.0psf 以下のピーク音圧波形を用いたもの 及び環境騒音を付加した状態での 1.0psf 以下の波形を用いた試験を実施した 被験者による評価項目は 1 つの波形に対して 我慢できる / 我慢できない 気になる / 気にならない の 2 種類を回答するアンケート方式を採用した 20 歳 ~50 歳代の男女 69 名の被験者による評価データを取得した また 暗騒音 ( 周囲の騒音 ) の影響を確認する為に 環境騒音を付加した状態でも試験を実施した 環境騒音には市販のデータベースを使用し 日本の市街道路で収録された音を採用した シミュレータの中に波形生成用とは別のスピーカから環境騒音を発生させ 被験者の耳位置で平均 50dBA の騒音レベルとなるように設定した 62

65 ピーク音圧 0.3psf 波形 N 波形 Ramp 波形 Flat Top 波形 ( 図 ) 各種試験波形 試験結果を ASEL(A-weighted Sound Exposure Level) や PL (Perceived Level) CSEL (C-weighted Sound Exposure Level) OA(Over All) の 4 つの騒音評価単位で整理した結果 ASEL 及び PL が 我慢できない 気になる の両評価項目ともに他の単位より傾向が明確に現れており 評価単位として適当であることが分かった それぞれの評価項目及び評価単位において従来の結果 (0.03psf~2.8psf の範囲で試験を行った結果 ) と増加傾向が異なることが分かる 共通の特徴は 同じ騒音値でも以前の結果よりも 我慢できない 気になる 人の割合が増える所にある これはシミュレータ内部の暗騒音が低いため 弱いソニックブームでも相対的に大きく感じてしまうことが一因として考えられる また従来の評価では 強いソニックブームが被験者の相対的な判断基準となり 弱いソニックブームを過小評価している可能性もある 即ち 試験中に聞いた大きい音がその後の音の判断基準となる可能性がある 次に 背景騒音として 50dBA の環境騒音を付加した場合 (BGN あり :Back Ground Noise) と付加しない場合 (BGN なし : 暗騒音レベル 35dBA) の影響を試験した その結果 同じ評価値 (ASEL/ PL) であれば環境騒音を付加した方 (BGN あり ) が 我慢できない 人の割合が少なくなり 環境騒音によるマスキング効果が確認できた 63

66 今後は 基準音との相対比較による評価手法の検討 適当な心理的な評価項目の検討及び基準 となる暗騒音の検討などが必要である ( 図 ) 我慢できない の評価結果 ( 環境騒音無し ) 今回行ったシミュレータによるブームレベル評価手法は最適な評価単位を検討することや 種々のブーム音を相対比較するには優れた手法と言えるが ソニックブームの許容性の様な多分に主観的 個人的な基準を不偏的 / 絶対的な評価値として示すにはまだ問題が多いと考えられ 新たな評価手法の検討も必要である 平成 20 年度には JAXA に JADC と同 ( 図 ) 環境騒音あり / なしの影響 (ASEL) 様のブームチャンバが設置されたため 共同研究を行って評価手法の改善 測定データの蓄積 比較評価を行うことになった 実際の機体のブーム測定ではポストブームと呼ばれる余韻のような弱いブームが聞こえることが指摘されており そのポストブームを模した音を加えることにより評価への影響度を検討した ポストブーム有りのほうが幾分気になる度合いが低い傾向があるが 明確な影響を判断するにはまだ試験の蓄積が必要である このほかにも被験者の存在による音場への影響等の測定を行った 今後も共同研究により評価手法の改善を図る予定である 64

67 III. 軽量 低コスト大型構造設計製造技術の開発 (1) 適用構造材料の技術課題マッハ 0.9 から 2.5 のような超高速域では 空力加熱を考慮した材料の選定が必要となる 各適用候補材料は温度環境により比強度 比剛性が変化するため 速度域による機体の温度を知ることは重要である 機体表面温度は 巡航高度を 40,000ft 以上とするとマッハ 0.9 で約 10 マッハ 1.5 で約 40 マッハ 2.0 で約 100 マッハ 2.5 で約 200 となる ( 図 ) 速度および高度と機体表面温度 ( 出典 :D.P. Raymer Aircraft design: A Conceptual Approach, AIAA Education Series) マッハ 1.6 程度までなら機体表面温度は約 70 とほぼ通常のアルミ合金の使用には問題なく またエポキシ複合材が耐えられる範囲である マッハ 2.0 では耐熱アルミ合金が必要になり 複合材ではビスマレイミド等の耐熱樹脂が必要になる マッハ 2.5 になるとアルミでは耐えられず チタン合金が必要になる 複合材ではポリイミド系の樹脂が必要となるが 200 で充分な長期耐久性が得られるかどうかは不明である 従って 従来材が使用可能な飛行速度範囲はマッハ 1.6 以下であり それ以上は耐熱樹脂複合材と耐熱アルミ合金 チタン合金が必要となる 耐熱樹脂の場合は強度低下だけでなく 長期の耐久性が問題となり 設計許容値等のデータの早期収集の為には実時間試験では時間が掛かりすぎることから加速試験法の確立が必要となる 65

68 また 構造各部に温度差が出来ることから 熱膨脹差による熱応力や熱歪みを許容する構造を適 用しなければならない 比強度 (MPa) 温度 ( ) ( 図 ) 比強度の温度依存特性 (2) 主翼構造の最適化検討超高速機の主翼は抵抗低減のため 翼厚比が最大でも3% と非常に薄くなっており 当然 その分重くなってしまう これは高速機の宿命であり亜音速機と同じ重量には出来ないが 経済性 環境性の向上のためには出来るだけ軽量化することが必要である 複合材等の高強度軽量材料を用いて軽量化を図ることはもちろんであるが 構造様式の最適化により軽量化することも必要である 本研究では桁 リブ等の主要な構造部材の配置や寸度をパラメトリックに変化させて最も軽量な構造様式を見出す検討を行った 構造線図を元に主翼構造のFEM 解析モデルを作成し 桁ピッチ リブピッチ等を変化させた なお ストリンガは外板と一体として等価板厚で表した 最適化は以下の方法で行った 変数: 外板 桁ウェブ / リブウェブ板厚 ストリンガ板厚 桁コード / リブコード ポスト断面積 制約条件: 強度 ( 材料強度 / クリップリング / 座屈等 ) 目的関数: 重量最小次の荷重ケースについて解析を実施した マッハ G+エンジン推力ケース マッハ G+エンジン推力ケース圧力分布は空力検討で得られたCp 分布の値を圧力荷重として負荷した 66

69 エンジン推力は 1,122kN( 片翼 ULT) としエンジン重心位置 (2 基の中心 ) に負荷した 安全率は 1.5 とした ( 図 ) 主翼強度解析モデル また 主翼荷重のほとんどは桁間で負担するが 超高速機の主翼は通常の亜音速機体とは異なり 主脚格納部の切り欠きが主翼中央付近に存在する 桁間中央が大きく切りかかれるため前方部はあまり荷重が流れず 外翼から近い主脚後方の桁間部が大きな荷重を分担することになる この部分は後縁に近い薄い部分であるため強度部材としては非常に効率が悪く 大きな荷重を支えるには厚い板厚が必要となる 厚すぎる板厚は重いだけでなく 製造上 も大きな障害とな ( 図 ) 主翼ルート部厚翼化検討 67

70 る この部分の翼厚を増せば外板の荷重が下がり軽量化になるはずである しかし 翼厚が増すと抵抗が大きくなるためむやみに大きくすることはできない 空力解析では前桁部を1.5 倍にするとCdは約 1カウント増加するとの結果であった この程度の抵抗増であれば桁間重量軽減とのトレードで全機重量を軽減できる可能性がある そこで 今回は構造配置の最適化と共に脚室後方桁部を1.5 倍の高さにしたケースも検討した ベースライン主翼 厚翼化主翼 ( 図 ) 主翼上面補強外板等価板厚分布 68

71 ( 表 ) 主翼重量検討結果 ( 片翼 ) ベースライン 厚翼化 外板 + 桁コード ( 前半部 ) 3,710 3,745 外板 + 桁コード ( 後半部 ) 7,458 7,070 桁ウェブ 2,134 2,413 リブ ( ウェブ+コード ) 1,052 1,055 前縁部 後縁部 エンジン取付部 合計 16,360 16,289 解析結果は まずベースライン主翼形状では構造線図で設定した桁ピッチ (46インチ) リブピッチ (99インチ) はほぼ妥当であることが判明した しかし 厚翼化した主翼の重量は約 70kg( 片翼 ) の軽減に止まった これは外板 + 桁コード ( 後半部 ) が 7458kg 7070kgと388kgの減少であるのに 桁ウェブが2134kg 2413kgと 逆に279kgの増加となったためである 桁ウェブの重量増加は 桁の高さが増えたことによる座屈許容値の低下及び断面積の増大によるものと考えられる 今回はラフな検討であるため詳細なモデル化は行われていない 今後も機体検討の進展と共に機体重量 主翼面積も改訂されるため その形状に合わせて さらに最適構造方式の検討が必要である また厚翼化の効果については 翼厚増加率だけでなく 最大増加率のコード方向位置の見直しも必要であろう 翼厚によって最適な桁ピッチ リブピッチも当然代わってくるので ベースライン形状とは異なる構造様式最適化が必要となる 厚翼化は翼断面形状が異なることになるため 構造重量だけでなく 空力抵抗増とのトレードを盛り込んだ構造 空力の多分野最適化が必要となる (3) フラッタ特性の検討前項でも述べたように 超高速機は主翼の翼厚を極端に薄くしている 現在の機体仕様では翼根で3% 翼端で 1.8% としている 通常の亜音速機では 10% 以上あり いかに薄翼かわかる このような薄翼ではたとえ強度的に充分な部材断面積を有していても剛性が落ちるためフラッタ強度が低下することが危惧される そのため外板板厚を増加することが必要になってくるが重量増は超高速機にとって避けたいところである どうしても必要であれば補強もやむを得ないが その根拠となるフラッタ速度の推算手法自体の精度が問題である そこで JAXA の協力を得て 超音速ジェット実験機のフラッタ風洞試験結果と比較することにより非線形フラッタ解析ツールの精度を検討することにした フラッタ解析に必要となる固有振動特性を抽出するために ジェット実験機フラッタ試験模型をモデル化し NASTRAN による振動解析を行った 模型はジェット実験機の 11% スケールモデルである また 拘束条件は胴体フェアリングを剛体と考え翼根を固定した 69

72 なお 模型の固有振動特性 ( 振動試験結果 ) に合わせこむために 解析モデルの芯材の剛性分布とエンジンナセルの慣性モーメントのチューニングも行った フラッタ解析に用いた空力弾性解析システムは振動解析で得られた固有振動特性 ( 振動数 モード形状等 ) をもとに 振動空気力を計算し 空力弾性現象を解くものであり エンジンナセルのような翼搭載物を考慮した空気の流れをモデル化するためにマルチブロックオイラー格子を用いている ( 図 ) 振動モード図 ( 試験結果と解析結果の比較 ) 風洞試験で遷音速ディップ ( フラッタバウンダリの底 ) がマッハ 0.95 付近に見られたことから フラッタ解析はマッハ 0.9 と 0.95 について行った また速度条件は風洞試験で得られたフラッタバウンダリの前後で複数のポイントを解析し 振動の減衰 / 発散傾向から解析フラッタポイントを評価した 振動モードは最低次から6つのモードまでを抽出した これは亜音速域のフラッタ特性に大きく影響するモードが主翼の曲げ ( モード1) とねじり ( モード6) であった (NASTRAN 解析結果より ) ことから遷音速域のフラッタ特性を評価するうえでもそれを基準とした ( 図 ) 翼端変位時刻暦データ 70

73 固有振動数と振動モード形状は ほぼ振動試験結果と一致している これは芯材の剛性とエンジンナセルの慣性モーメントを若干チューニングした結果である ( 図 ) の翼端時刻歴データは翼端の上下変位とピッチング角度を示しており これにより翼の曲げとねじり振動の発散 / 減衰傾向の評価を行なった 上のグラフは発散傾向を示した結果の 下のグラフは発散傾向を示さなかった結果の例である ( 図 ) の実線は風洞試験で得られたフラッタバウンダリであり は発散傾向を示した は発散傾向を示さなかった解析結果の計算ポイントを示している つまり 解析では と のプロットの間にフラッタバウンダリが存在することを示しており 解析結果が風洞試験結果よりも速度として1 割から2 割程度高めの解を示す結果となった また 風洞試験では 遷音速域のフラッタバウンダリ以下の広い範囲で 翼の振動が発散も減衰もしない ある程度の大きさの振動を続ける不安定領域が見られていた 一方 今回の解析結果においても 発散を示さなかったポイントでは明確な減衰傾向を示しておらず 風洞試験で見られた遷音速域の不安定領域の現象を捉えている可能性が高い 空力弾性解析システムによる遷音速域のフラッタ解析では実際よりも1 割から2 割程度高めのフラッタ速度を示し 設計ツールとしては 非安全側の解を示していることが最大の課題となるが 今回の検討よりも解析時間を延ばすことで 不安定解が発散解へ変化する可能性があることと 現システムでは空力計算にオイラー方程式を使用しているため空気流の剥離が模擬できていないことが 解の差異原因になっている可能性があり 計算速度の向上 ナビエ ストークス方程式の導入等のシステム改善による精度向上が必要である また 解析で得られた不安定解は まず それが風洞試験で見られた不 安定現象と同じ現象であるかどうかか ら検証を進める必要があるが この現 ( 図 ) フラッタバウンダリ 象も航空機の設計においては フラッタと同様に重要なクライテリアとなるため 不安定領域の発生範 囲の解析精度についても 検証を継続する必要があるものと考える 今後は機体の更なるアップデートと主翼構造の明確化を待って再度フラッタ解析を行い 必要な補 強と重量変化を確認していくこととする 71

74 (4) 複合材修理技術の開発超高速機には全面的な複合材の適用が必要だが機体価格の上昇を抑えるため オートクレーブを用いない VaRTM 成形手法が有力と考えられている しかしながら VaRTM 成形ではボイドや未含浸部等の品質欠陥が発生するリスクがある 成形後の非破壊検査で発見はできるとはいえ 高価な大型一体構造部品を硬化後修理すると 健全品と比較して若干の強度低下が予想される さらに頻度は低いが スクラップにしてしまうこともありえる 一方 樹脂が硬化する前に適正な修理を実施する場合 健全品と比較して遜色ない強度特性を発揮することが期待される したがって 本作業では 樹脂含浸後の硬化前に欠陥を発見し 製造中に修理する手法について検討した なお 本研究は超音速技術に係わる日仏協力の一環として 仏 EADS IW との間での共同研究であるが 仏側では硬化後の修理手法について検討する ( 図 ) VaRTM での製造欠陥とインプロセス修理 ( ア ) 製造中における欠陥検出手法の検討 VaRTM 成形手法では金型は片側であるため 表側に欠陥がある場合は肉眼でもバッグを透して欠陥が見える場合が多い しかし 裏側 ( 型側 ) に欠陥が生じた場合は見えないため何らかの非破壊検査方法の確立が必要となる 硬化前であるため構造を型から外すことは出来ないし バギングをしたまま しかも樹脂が自然硬化を始める前の短時間で検査 修理をしなければならない 損傷部の検査法として 1サーモグラフィ 2 空気超音波探傷法 3デジタル ラジオグラフィの3 種を検討した サーモグラフィ はキセノンランプを一瞬発光させて供試体を加熱し その供試体温度が低下していく度合いが内部欠陥の有無により差が出てくることを基に欠陥を検出する方法である 未含浸部は黒く表示され 樹脂含浸部と未含浸部の差異を検出可能であることを確認した 高温状態では供試体の全体の温度が高く 温度低下自体が 相対的に少なくなり 内部の欠陥による温度変化 が隠されてしまう問題があるが 一応この手法が ( 図 ) サーモグラフィによる欠陥の検出 適用可能であると考えられる 72

75 空気超音波探傷法 は一般的な超音波探傷法と異なり 水や油を用いない非接触の探傷法である オーブン内で行う検査であるため水等は使えず また製造中の部品であり バッギング材等の副資材で覆われているため接触式は使用できないことから 空気結合超音波探傷法を検討することとした 一方で 治具裏側からのアクセスは困難であるため 部材側からの片側アクセスでなければならない ( 図 ) 空気超音波探傷法と探傷結果 従来の片側アクセス法では 縦波と横波の混合波であるラム波を伝播させ 対象品から発生してくる縦波を検出する手法を適用している しかし 今回のケースのように樹脂が硬化する前 ( 液状状態 ) に欠陥を検出するという場合 液体中をラム波が伝播できないという課題が想定された そこで 未硬化樹脂の下にある治具でラム波を伝播させ 治具から発生してくる縦波を受信側で検出し 樹脂中の超音波の伝播経路に欠陥が存在するか検査する方式を検討した 人口欠陥を有する供試体を使用して片側アクセス法で超音波画像取得試験を実施し 未含浸の検査が可能であることが確認された つまり 実機適用時に探触子をバッグ側に配置でき効率的な検査が可能となった 未含浸部でも薄いものであれば 超音波が炭素繊維織物を介して伝播し 検知できることがわかった それにより 未含浸厚さを信号強度を用いて評価できる可能性があることも判明した デジタル ラジオグラフィ はX 線検査法の一種であるが 一般的なX 線検査法で用いられるフィルムを用いず 画像デバイスを用いるのが特徴である そのため フィルムの現像といった時間を要する工程を省くことができ 短時間で検査結果を把握することが可能となる 実機適用を想定し X 線ラインセンサとベルトコンベアを組み合わせたレイアウトで試験を実施した 放射線ラインセンサは一次元のセンサで X 線を光 さらに電気信号に変換することで 放射線透過量を輝度で評価し 一次元の透過画像を得ることができる 供試体をベルトコンベア上で移動させることで 連続的に一次元の透過画像を取得し それをつなぎ合わせることで 全体の放射線透過画像を得ることができる 試験の結果 4mm 以上の未含浸部厚さを検出可能であることが示された 73

76 以上の結果から 空気結合超音波探傷法は未含浸の厚さに関わらず 領域検出に適しており 特に薄い未含浸の厚さを定量的に検出可能であることから 未含浸領域の把握と欠陥修理要否判断材料の取得に適用可能と考えられる 一方で デジタル ラジオグラフィについては 厚い未含浸の領域検出 厚さ検出に適しており 大規模の欠陥検出を行い 修理時間や方法の決定を行う際に有効であると考えられる ( 図 ) デジタル ラジオグラフィ探傷法と探傷結果 ( イ ) 製造中における修理手法の検討欠陥検出後の修理手法について修理ツールも含めて検討した 欠陥にはボイドと未含浸の2 種類があるが まずボイドについて修理法の検討を行った ボイドは空気の混入であり 意図的に真空リークによって空気を混入させた供試体に対して 硬化前にリーク経路を閉じて硬化させることで ボイド低減効果が確認できた さらに 硬化前にリーク経路を閉じながら修理ツールを用いた真空吸引により 供試体に混入した空気もろとも樹脂を吸引することでさらなるボイド低減効果が確認できた もう一つの欠陥である未含浸とは 樹脂の先回りや揮発分に発生による樹脂が行きわたらない部分である その修理方法としては 未含浸部の真空引きを行うことにより揮発分を除去し 樹脂を含浸する方法と 真空引きと共に樹脂を再度注入する方法を試行した 真空吸引のみで完全に未含浸部を修理するのは未含浸部が小さい場合のみであり 大きくなると新しい樹脂を注入することが必要であった Vacuum Suction Resin Injection Vacuum Suction Non-impregnated Area Vacuum Bag Non-impregnated Area Vacuum Bag ( 図 ) 修理手法の検討 真空引きと共に樹脂を再注入する修理は 広い未含浸エリアに対する修理に有効であること が確認できた また 断面観察により 修理樹脂の境界付近においても欠陥を発生させるこ となく修理することができた 74

77 さらに修理後の供試体から切り出したクーポンにより疲労試験を行い ボイド修理部は疲労強度低下が見られ さらにボイド率を低減するか 設計上考慮して適用する必要があることが判明した 一方で 未含浸修理部は健全品と品質的に差のないことを確認し 製造中における修理手法の有効性を検証することができた 今後は これも仏 EADSとの共同研究で高 効率な RTM 成形手法の開発に進む予定であ る ( 図 ) 修理後の ILSS 疲労試験結果 75

78 特許出願状況等 平成 20 年度末までに下記に示す特許申請 および論文等の成果発表を行った ( 表 ) 特許 論文等件数 要素技術 論文数 論文の被引用度数 特許等件数 ( 出願を含む ) 特許権の実施件数 ライセンス供与数 取得ライセンス料 国際標準への寄与 機体統合 空力技術 構造技術 計 ( 表 ) 論文 投稿 発表 特許リスト 題目 メディア等 時期 論文 超高速域を飛行する輸送機の材料構造設計 H15.7 異種材料の重ねあけに対する低周波振動孔あけ法の有効性評価 H16.9 複合材構造に対する低周波振動穴あけ法の有効性評価 H16.10 VaRTM を用いた井桁構造の製造技術 H16.10 高速輸送機における抵抗発散マッハ数の推算と最適化 H16.10 Acceptable Levels of Sonic Boom Over Populated Areas H16.11 弱いソニックブームの感受性評価について H17.10 複合材構造に対する低周波振動穴あけ法の有効性評価 H18.10 超音速技術における日仏協力について H18.4 超高速機の遷音速フラッタ解析について空力弾性解析システムの検証 H18.7 発表 エンジンを搭載した超音速機のフラッタ試験について H15.11 空力弾性の最近の成果 H15.12 超高速輸送機形状の高揚力装置の空力設計 H16.11 エンジンを搭載した超音速機のフラッタ試験について H

79 題目 メディア等 時期 発表エンジンを搭載した超音速機のフラッタ試験について H17.3 エンジンを搭載した超音速機のフラッタ試験について ( その 2) H17.3 超高速輸送機の研究状況 H18.6 超高速輸送機市場性 H19.12 インプロセス修理技術の開発 H19.4 超高速輸送機調査概要 H19.9 インプロセス修理技術の開発 H20.3 超高速輸送機調査概要 H20.9 特許複合材料の製造方法及び製造装置 H15.3 振動孔明け加工機械 H15.3 ジェット騒音の音源モデル化方法 ジェット騒音の解析方法および航空機の設計方法 Jet noise modeling method, jet noise analyzing method, and aircraft designing method Jet noise modeling method, jet noise analyzing method, and aircraft designing method H18.10 H18.10 H18.10 非破壊検査装置および非破壊検査方法 H18.11 複合材料修理装置および複合材料製造方法 H18.11 ( 注 ) エアライン調査 日仏共同研究での発表等は除く 77

80 3-2. 目標の達成度平成 14 年度より超高速機のフィージビリティ スタディとして2 機種について 性能推算 市場性 経済性検討 空力最適化 軽量 低コスト構造検討等を行ってきた 遷音速機としてはマッハ 席 航続距離 7,000nm の機体 超音速機としてはマッハ 席 航続距離 6,000nm の機体を設定した この内 マッハ 0.98 遷音速機については 従来機のマッハ 0.84 程度からの速度向上により運航生産性が上がるため この機体の需要は 400 機から 1100 機程度あると予測された しかしながら 同時多発テロや SARS による旅客の急激な落ち込み 近年の低コストエアライン参入による競争の激化等 エアラインを巡る世界的な経済状況の悪化から ほとんどのエアラインが10 数 % の速度向上のために高価な新機種を導入することについては懐疑的であり 反応は芳しくなかった 一方 マッハ 1.6 の超音速機は 洋上飛行が大部分を占める路線では 45% の時間短縮が可能であり東京 -ロサンゼルスが11 時間から6 時間へと大幅な利便性向上となる また 最も市場規模の大きい大西洋線で1 日 2 往復が可能になるなど 明確な運航生産性が得られる これまでのマッハ 2.2 の SST と比較すれば マッハ 1.6 への速度低下により飛行時間は増大するが これまでの最も大きな障害である燃費と騒音の改善に繋げることができる また 空力加熱の低下により 耐熱材料でなくとも使用可能になるため 重量とコストの改善も期待できる すぐに導入したいというエアラインは今のところは無いものの 反応は概して好意的であり いろいろなコメントを踏まえ座席数の要求仕様等を見直し 更にエンジン仕様の更なる検討やミッションプロファイルの最適化などにより最大離陸重量の大幅な削減を図り機体仕様の最適化を行ってきた 騒音や空力特性 経済性ともまだまだ困難な課題が多いが 今後の研究により解決可能であると考える 将来 経済状態や社会情勢が好転すれば遷音速機のメリットが見直されると考えるが 上記フィージビリティ スタディの結果をふまえ ひとまずは遷音速機の検討は置くことにし 超音速機の検討に資源を集中する方が良いと判断した また 最近発表されている超音速ビジネスジェット計画が ほとんどマッハ 1.6 レベルであることから 我々の速度設定も妥当な選択であったと言えよう マッハ 1.6 では従来材が使用可能と思えることから 構造や装備面での検討はほとんどが遷音速機にも使用でき また空力面でも共通部分が多いことから 今までの遷音速機の検討が無駄にならないばかりか 超音速機の検討結果を将来の遷音速機に応用することも充分に可能である 今後は超音速機の最適な機体仕様をさらに検討していくとともに 騒音低減 揚抗比改善 機体軽量化 低コスト化に関する研究開発を継続していくこととする また 平成 17 年度からは日仏共同研究の一環として騒音低減機体の検討 複合材修理法 高効率複合材成型法の検討をフランス EADS 社との間で実施し 機体 / エンジン仕様についてもエアバス社と意見交換を行っている これが可能になったのも平成 13 年度までの旧 SST 研究を含めて フランス側が我々の研究について高く評価している結果であろう 78

81 79 以上 これまでの検討成果 実施状況は中間評価段階として 計画した目標を達成していると考える ( 表 3-2-1) 目標に対する成果 達成度の一覧表要素技術目標 指標 ( 事後評価時点 ) 目標 指標 ( 中間評価時点 ) 成果達成度機体統合企画 設計技術の開発従来亜音速機より高い巡航速度を有し しかも環境性要求に適合し 亜音速機と競合しうる経済性を有する超高速機の目標機体仕様 目標性能を明確化する 国内外の航空会社の意見等に基づき機体仕様要求案を策定する 将来技術レベルを考慮した目標機体を策定し 市場性等について検討する 空力 構造 エンジンを統合的に検討し 成立性評価 問題点等を検討する 国内外の主要航空会社の意見を踏まえ 機体仕様要求案を策定し また必要に応じ見直しを行った 機体仕様要求案に基づき 空力 構造等の要素技術検討結果を反映したうえで 機体統合検討を行って 目標機体仕様を策定した 全機性能を推算し 問題点 さらなる改善案の検討を行った 市場調査や運用性検討に基づき機体の市場性予測を行った 達成遷 超音速域空力設計技術の開発将来 超高速機を実用化するために必要と考えられる空力設計技術の向上と実現可能性を見極める 離着陸から超高速巡航までのすべての速度領域での機体としての最適化を行うため 解析 試験技術を含めた空力設計技術の向上を図る 離着陸から超高速巡航までのすべての速度領域での効率的な飛行に必要な最適空力形状を 解析技術 構造とのトレードを含めて検討し 風洞試験による確認も併せて行った また 低騒音化検討 ソニックブーム評価手法の検討を行い 環境性改善のための技術開発を行った 達成軽量 低コスト構造設計製造技術の開発将来 超高速機を実用化するために必要と考えられる軽量 低コスト構造設計製造技術の向上と実現可能性を見極める 主要な構造部位の最適構造様式を検討し 必要な設計技術の開発 問題点の検討を行う 超高速機の構造を低コストで製造するための構造方式 製造技術を開発 問題点の検討を行う 超高速機特有の薄く大きな主翼等の主要構造を安全性を損なわずに軽量化 低コスト化するために必要な構造様式 設計手法の検討を行った また 構造を低コストで製造するための 複合材製造関連技術等を開発した 達成

82 4. 事業化 波及効果 4-1. 事業化の見通し現在のエアラインの経営状態は 経済危機の影響を受けて 依然として厳しい状態にある しかし これは一時的なものであり 長い目で見れば航空需要は年率約 5% で増加をたどると予測されている JADC が毎年公表している需要予測結果によると 世界の航空旅客需要は 20 年後には約 2.5 倍になると見られている 新規需要機数でも世界全体で約 26,000 機が見込まれている 超高速機は陸上では超音速が出せないために路線によっては時間短縮メリットが少ない場合も有るが それでも約 1,600 機の需要があると考えられる 超音速陸上飛行を可能にする法改正がなされれば 大型の超高速機でもソニックブームの影響を与えないでマッハ1.15 程度の速度で飛行できると考えられるので 陸上部飛行の効率が増し 更なる需要が期待できる エアラインもこの厳しい過当競争の中で価格競争だけでは生き残れず 何らかの差別化を進めなければならない その時 巡航速度アップは大きな武器となろう 国内外の主要エアラインへの訪問調査でも マッハ 1.6 航続距離 6,000nm という我々の機体仕様に対して肯定的であった 運賃増加許容度についての意見は 1.3 倍程度の運賃追加であれば利用客がいるだろうとのことであった 当初は3クラス配置の 226 席客室仕様を提示したが エコノミークラスの客が超高速機を利用するかどうかは否定的であり ビジネス主体にすべきとの助言を得た 最新の目標機体仕様はその意見を採り入れてビジネスとプレミアム エコノミの2クラスの 150 席配置を標準とするよう改訂した 座席数は少なくなるが 運賃の高いビジネスクラスの比率を高め またエコノミークラスではなくプレミアム エコノミークラスとすることにより採算性を確保できると考える このようにエアラインとの意見交換により 市場要求を反映した機体仕様設定につとめており 今後とも技術検討の進捗に伴い仕様改善を進め 現実の市場にマッチした目標機体案の設定が可能と考える 本開発調査は実際の機体開発ではなく 市場性 需要性等の調査 各種技術開発を行って 実用化の可能性を探るフィージビリティ スタディである 調査 研究を続けていくことにより実用化可能性のある機体仕様を設定し 必要な大規模技術開発作業 そして機体開発作業へと進む道筋を示すことにより事業化の見通しを得られると考える 80

83 有償旅客キロ (10 億人 キロ ) 実績 年平均伸び率 (%) 北米 欧州 アジア / 太平洋 その他 (CIS 含む ) 世界合計 世界の航空旅客予測 予測 2.5 倍 2028 年 ( シェア ) 世界合計 その他 (CIS 含む ) 2158 (19%) アジア / 太平洋 3477 (30%) 年 ( シェア ) 欧州 (15%) 4000 (25%) 1130 (25%) 年 (28%) 北米 (31%) (25%) ( 図 4-1-1) 将来の航空旅客輸送需要の予測 機数 サイズ別ジェット機運航機数および需要予測 CIS を除く 細胴機 広胴機 合計運航機数 2008 年末 : 15,893 機 2028 年末 :: 33,446 機 年需要機数 : 26,324 機 新規需要 8000 リージョナル ジェット機 残存機 席 席 席 席 席 席 席 400 席以上 ( 図 4-1-2) 航空機全体の需要機数の予測 需要機数 大西洋線 太平洋線 欧州 - アシ ア / 太平洋 アシ ア / 太平洋域内 北米 / 中南米 アフリカ / 中近東 ( 図 4-1-3) 超音速機の地域別需要機数予測 81

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untitled (2) マッハ 1.6 機の検討 ( ア ) 市場要求 巡航マッハ 1.2 から 1.8 程度までのいずれの速度が市場的に有用かいくつかの路線につき比 較してみた 東京から米国西海岸ロサンゼルス 米国東海岸ニューヨーク そして欧州パリまでの 3 路線につき各巡航マッハによる往復運航をチェックしたが 東京 -ロス間と東京-パリ間は超高速 機のマッハ 0.98 で1 日 1 往復が可能となる 東京 -ニューヨーク間はマッハ

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