学位論文の要旨 The relationship between the location of uptake on positron emission tomography/computed tomography and the impingement point by computer simu

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あきみやまのかみしゃ
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1 学位論文の要旨 The relationship between the location of uptake on positron emission tomography/computed tomography and the impingement point by computer simulation in femoroacetabular impingement syndrome with cam morphology Cam 形態を有する FAI における 18 F-fluoride PET/CT の異常集積部位とコンピュータシミュレーションによるインピンジメント部位の関係 Takayuki Oishi 大石隆幸 Orthopedic Surgery Yokohama City University Graduate School of Medicine 横浜市立大学大学院医学研究科医科学専攻運動器病態学 (Doctorral supervisor : Yutaka Inaba, Professor) ( 指導教員 : 稲葉裕教授 )

2 学位論文の要旨 The relationship between the location of uptake on positron emission tomography/computed tomography and the impingement point by computer simulation in femoroacetabular impingement syndrome with cam morphology. Cam-type FAI における 18 F-fluoride PET/CT の異常集積部位とコンピュータシミュレーションによるインピンジメント部位の関係 1. 序論 Femoroacetabular impingement (FAI) とは, 異常な骨形態により寛骨臼縁と大腿骨骨頭頚部移行部のインピンジメントが生じ, 関節唇や関節軟骨が損傷する疾患である (Ganz et al., 2003). 骨性インピンジメントは FAI において主要な病態の1つであり, インピンジメントが生じる部位の解剖学的な位置情報は重要である. しかし単純 X 線や CT から得られる形態学的情報はインピンジメント部位を同定するには不十分であり, より詳細な病態解明のためには新たなアプローチが必要である. われわれは, 繰り返される骨性インピンジメントによるメカニカルストレスの増大が軟骨下骨の骨代謝に影響を及ぼすと推察し, 骨代謝亢進を反映する機能的画像診断である 18 F-fluoride positron emission tomography/computed tomography (PET/CT) の集積部位と機械的なインピンジメント部位は一致するとの仮説をたてた. 本研究の目的は, cam 形態を有する FAI 症例における 18 F-fluoride PET/CT の異常集積部位とコンピュータシミュレーションによるインピンジメント部位の関係を明らかにすることである. 2. 実験材料と方法 2014 年 10 月から 2016 年 10 月までの期間に 18 F-fluoride PET/CT を撮影した cam 形態を有する FAI 症例を対象とした. 人工股関節置換術施行例, 骨切り術施行例, 大腿骨頭壊死症例, 変形性股関節症例, cam 形態を有さない臼蓋形成不全症例, 股関節痛の原因が明らかでない症例, その他の股関節疾患症例を除外した. また, SUV max が 6 未満の症例も除外した. PET/CT は Celesteion (Toshiba Medical Systems Corporation, Tochigi, Japan) にて撮像し, 個々の症例について maximum standardized uptake value (SUV max) の位置を同定した. CT 画像の

3 大腿骨頚部正面像において骨頭頚部移行部を 6 領域に分割し, SUV max がいずれの領域に位置するかを調査した. また全例においてコンピュータシミュレーションを ZedHip R (Lexi, Tokyo, Japan) を用いて行った. PET/CT で用いた CT データから骨盤と大腿骨の 3D モデルを作成した. 0 から 90 の範囲で 10 毎に屈曲角度を設定し, 各屈曲角度における最大内旋によるインピンジメント部位を同定, SUV max と同様に大腿骨骨頭頚部移行部前面の 6 領域のいずれに位置するかを調査した. これらに加えて, PET/CT より得られた SUV max の位置する領域 (SUV max 領域 ) とコンピュータシミュレーションより得られたインピンジメント部位が位置する領域 ( インピンジメント領域 ) の一致率 (concordance rate) を各屈曲角度において算出した. 3. 結果 Cam-type 14 股, combined-type 3 股, borderline developmental dysplasia of the hip with cam morphology 5 股を含む 22 股 22 例 ( 男性 12 例, 女性 10 例 ) を対象とした. 平均年齢 43.4 歳 (16-72 歳 ), 右 11 股, 左 11 股であった. 全 22 股の平均 SUV max は 12.1 ( ) であった. PET/CT における SUV max 領域は proximal/lateral が 4 股, proximal/middle が 12 股, proximal/medial が 1 股, distal/lateral が 3 股, distal/middle が 2 股であった. 22 股中 18 股 (81.8%) において SUV max 領域といずれかの屈曲角度におけるインピンジメント領域が一致した. 各屈曲角度における concordance rate は屈曲 50 (p = 0.034), 60 (p = 0.007), 70 (p = 0.011) および 80 (p = 0.046) において屈曲 90 での concordance rate に対して有意に高値であった. 4. 考察骨性インピンジメントの生じている部位の詳細な位置情報は FAI の病態解明において重要であるが, いまだ不明な点も多い. 症例によりインピンジメント部位は様々であり, cam 形態とインピンジメント部位は必ずしも一致しないとする報告もある (Audenaert et al., 2012; Bedi et al., 2012). 従来より用いられている単純 X 線や CT から得られる形態学的情報は FAI の病態把握において基本的かつ重要な情報であるが, インピンジメント部位を同定するには不十分である. そこでわれわれは先行研究において FAI の病態解明への新しいアプローチとして機能的画像診断である PET を用いて FAI 症例を評価し, 大腿骨頚部前面に異常集積を認めることを報告した (Kobayashi et al., 2016). しかし, PET のみでは集積部位の解剖学的な位置情報が不足していた. 本研究では PET/CT を用いることにより集積部位の詳細な 3 次元位置情報を得ることが可能であった.

4 トレーサーとして用いた 18 F-fluoride は骨芽細胞活性と局所の血流を反映し, 骨代謝亢進部位に集積する. また以前われわれは臼蓋形成不全股における有限要素解析と 18 F-fluoride PET の結果を検討し, メカニカルストレスの大きさと PET の集積値の間に強い相関を認めることを報告した (Hirata et al., 2015). これらのことから, 繰り返される骨性インピンジメントによるメカニカルストレスが軟骨下骨の骨代謝を亢進させ, その部位に 18 F-fluoride が集積するものと推察した. 本研究の結果では 81.8% の症例において SUV max 領域といずれかの屈曲角度におけるインピンジメント領域が一致しており, われわれの推察を裏付ける結果と考える. 近年 CT データを用いたコンピュータシミュレーションによりインピンジメント部位を調査した報告が散見され, その正確性や再現性が骨モデルや屍体を用いた研究により確認されている (Tannast et al., 2007; Roling et al., 2015). 一般的な FAI の理学所見である前方インピンジメントテストは股関節屈曲 90 に内転, 内旋を加えて疼痛を誘発させるため, 過去の研究においてもインピンジメントシミュレーションを屈曲 90, 最大内旋にて行っている. しかし, 本研究において SUV max 領域とインピンジメント領域の一致率は屈曲 90 で 35.3% と低い値であり, より小さな屈曲角度において有意に高い一致率を認めた. このことから, 従来考えられていたよりも小さい屈曲角度で前方インピンジメントが生じる可能性が示唆された. 5. 結語本研究では 18 F-fluoride PET/CT を用いることにより, cam 形態を有する FAI 症例における異常集積部位の詳細な位置情報を得ることが可能であった. SUV max 領域とインピンジメント領域の一致率は屈曲 50, 60, 70 および 80 において屈曲 90 での一致率に対して有意に高く, cam 形態を有する FAI 症例において 90 よりも小さい屈曲角度でより頻繁にインピンジメントが生じている可能性が示唆された. キーワード Femoroacetabular impingement (FAI) Positron emission tomography/computed tomography (PET/CT) コンピュータシミュレーション引用文献 Audenaert, E. A., Peeters, I., Vigneron, L., Baelde, N. and Pattyn, C. (2012). Hip morphological characteristics and range of internal rotation in femoroacetabular impingement. Am J Sports Med, 40,

5 Bedi, A., Dolan, M., Magennis, E., Lipman, J., Buly, R. and Kelly, B. T. (2012). Computer-assisted modeling of osseous impingement and resection in femoroacetabular impingement. Arthroscopy, 28, Ganz, R., Parvizi, J., Beck, M., Leunig, M., Notzli, H. and Siebenrock, K. A. (2003). Femoroacetabular impingement: a cause for osteoarthritis of the hip. Clin Orthop Relat Res, 417, Hirata, Y., Inaba, Y., Kobayashi, N., Ike, H., Yukizawa, Y., Fujimaki, H., Tezuka, T., Tateishi, U., Inoue, T. and Saito, T. (2015). Correlation between mechanical stress by finite element analysis and 18F-fluoride PET uptake in hip osteoarthritis patients. J Orthop Res, 33, Kobayashi, N., Inaba, Y., Tezuka, T., Ike, H., Kubota, S., Kawamura, M. and Saito, T. (2016). Evaluation of local bone turnover in painful hip by 18F-fluoride positron emission tomography. Nucl Med Commun, 37, Roling, M. A., Visser, M. I., Oei, E. H., Pilot, P., Kleinrensink, G. J. and Bloem, R. M. (2015). A quantitative non-invasive assessment of femoroacetabular impingement with CT-based dynamic simulation--cadaveric validation study. BMC Musculoskelet Disord, 16, 50. Tannast, M., Kubiak-langer, M., Langlotz, F., Puls, M., Murphy, S. B. and Siebenrock, K. A. (2007). Noninvasive three-dimensional assessment of femoroacetabular impingement. J Orthop Res, 25,

6 論文目録 Ⅰ 主論文 The relationship between the location of uptake on positronemission tomography/computed tomography and the impingement point by computer simulation in femoroacetabular impingement syndrome with cam morphology. Oishi T., Kobayashi N., Inaba Y., Choe H., Tezuka T., Kubota S., Kobayashi D., Saito T. Arthroscopy; 34: Ⅱ 副論文 Cam-type FAI における 18 F-fluoride PET/CT の異常集積部位とコンピュータシミュレーションによるインピンジメント部位の一致率大石隆幸, 小林直実, 稲葉裕, 久保田聡, 小林大悟, 齋藤知行日本関節鏡膝スポーツ整形外科学会雑誌第 43 巻第 3 号 643 頁 -647 頁平成 30 年

目的人工股関節全置換術後に特に大腿骨近位部において骨密度が低下することが知られている. ステム周囲の骨量低下は無菌性ゆるみや骨折のリスクを上昇させる可能性がある. 人工股関節全置換術後の骨密度低下の原因の一つとして, 力学的環境の変化に伴う骨リモデリングが挙げられる. 今回, 我々は人工股関節全

目的人工股関節全置換術後に特に大腿骨近位部において骨密度が低下することが知られている. ステム周囲の骨量低下は無菌性ゆるみや骨折のリスクを上昇させる可能性がある. 人工股関節全置換術後の骨密度低下の原因の一つとして, 力学的環境の変化に伴う骨リモデリングが挙げられる. 今回, 我々は人工股関節全学位論文内容の要旨 Comparison between mechanical stress and bone mineral density in the femur after total hip arthroplasty by using subject-specific finite element analyses ( 人工股関節置換術後の大腿骨における患者個別有限要素解析を用いたメカニカルストレスと骨密度の比較