国際医療福祉大学審査学位論文 ( 博士 ) 大学院医療福祉学研究科博士課程 慢性心不全患者に対するエプレレノンによる 上乗せ治療の費用効果分析 平成 29 年度 保健医療学専攻医療福祉経営学分野学籍番号 :15S3038 氏名 : 田邊康祐 研究指導教員 : 池田俊也教授副研究指導教員 : 武藤正樹

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1 国際医療福祉大学審査学位論文 ( 博士 ) 大学院医療福祉学研究科博士課程 慢性心不全患者に対するエプレレノンによる 上乗せ治療の費用効果分析 平成 29 年度 保健医療学専攻医療福祉経営学分野学籍番号 :15S3038 氏名 : 田邊康祐 研究指導教員 : 池田俊也教授副研究指導教員 : 武藤正樹教授 1

2 和文抄録 身体的, 経済的, 社会的負担の大きな慢性心不全は, 薬剤による治療が臨床上重要な位置を占める ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬であるエプレレノンは, 標準薬剤治療への追加投与により予後改善効果が立証されている 保健医療制度の持続可能性が懸念される中, 経済性も考慮した薬剤経済評価研究は重要である 質調整生存年 (QALY) をアウトカム指標とし, 我が国の医療環境を反映して離散イベントシミュレーションモデルによる費用効果分析を実施した結果, 標準治療へのエプレレノンの追加投与による増分費用効果比は 570,270 円 /QALY であった 感度分析においても結果の大きな変動は認められず, 分析の頑健性が確認された また, 欧州各国での研究結果との類似性も示された 標準治療を受けている日本人慢性心不全患者に対し, エプレレノンを上乗せ投与することは費用対効果に優れており, 慢性心不全に対する選択肢として有用であると考えられた キーワード慢性心不全, 費用効果分析, エプレレノン 2

3 Abstract Chronic heart failure is one of the major physical and economic burdens in Japan, and the increase in burden is a social problem. Drug treatment plays an important role in the treatment of chronic heart failure, and eplerenone which is a mineralocorticoid receptor antagonist has been proved to have a prognostic effect of chronic heart failure as an add-on treatment to standard care. Concerning the sustainability of healthcare system in Japan, the importance of heath technology assessment is increasing to evaluate medical technology taking account of economics. Utilizing the discrete event simulation model based on the overseas clinical trial constructed in the previous research, cost effectiveness analysis using quality-adjusted life year (QALY) as the outcome index was conducted by reflecting medical environments in Japan. The incremental cost effectiveness ratio when adding eplerenone to the standard drug treatment was 570,270 yen per QALY. The robustness of the analysis was confirmed from the results of sensitivity analysis and, similarity of results between Japan and European countries was also confirmed. It was concluded that adding eplerenone on the standard drug therapy to Japanese patients with chronic heart failure is cost effective, thus eplerenone should be one of the important treatment choices for chronic heart failure. Key Words: Chronic heart failure, Cost-effectiveness analysis, Eplerenone 3

4 目次 略語一覧 序論 慢性心不全の疫学と病態 慢性心不全の治療 慢性心不全治療における経済的負担 医療経済評価研究の重要性 薬剤経済評価研究における分析手法 アルドステロン受容体拮抗薬のエビデンス 序 心不全治療薬としての臨床エビデンス 慢性心不全治療におけるエプレレノンの費用対効果 本研究の目的と意義 倫理的配慮 方法 結果 基本分析 シナリオ分析 確率によらない感度分析 (DSA) 確率的感度分析 (PSA) 考察 本研究の限界 結論 謝辞 文献一覧

5 略語一覧 略語 ACE ARB BNP CBA CEA CMA CRT CUA DES DPC DSA egfr ESC HR ICD ITT LVEF LY NT-proBNP NYHA PSA QALY QOL WTP 名称 Angiotensin-converting-enzyme: アンジオテンシン変換酵素 Angiotensin II receptor blocker: アンジオテンシン II 受容体拮抗薬 Brain natriuretic peptide: 脳性ナトリウム利尿ペプチド Cost-benefit analysis: 費用便益分析 Cost-effectiveness analysis: 費用効果分析 Cost-minimization analysis: 費用最小化分析 Cardiac resynchronization therapy: 心臓再同期療法 Cost-utility analysis: 費用効用分析 Discrete event simulation : 離散イベントシミュレーションモデル Diagnosis Procedure Combination: 診断群分類 Deterministic sensitivity analysis: 確率によらない感度分析 estimated glomerular filtration rate: 推算糸球体濾過量 European Society of Cardiology : 欧州心臓学会 Hazard Ratio: ハザード比 Implantable cardioverter defibrillator: 植込み型除細動器 Intention to Treat Left ventricular ejection fraction: 左室駆出率 Life year: 生存年 N-terminal pro-brain natriuretic peptide:n 末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド New York Heart Association Probabilistic sensitivity analysis: 確率的感度分析 Quality-adjusted life year: 質調整生存年 Quality of life: 生活の質 Willingness to pay: 支払い意思額 5

6 1. 序論 1.1 慢性心不全の疫学と病態心不全は, 心臓のポンプ機能を障害する構造的 機能的な異常によって生じた臨床症候群である 心不全は患者本人や介護者への身体的および経済的負担の大きな疾患であり, 超高齢化を迎えた日本において, その負担増は社会的な課題である 日本において実施された心不全患者数の予測に関する疫学研究では, 心不全患者は 2030 年に 130 万人に達すると推計されている 1 日本循環器学会が発出している 慢性心不全の治療ガイドライン (2010 年 ) によれば, 慢性心不全とは 慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し, 末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態であり, 肺, 体静脈系または両系にうっ血を来たし日常生活に障害を生じた病態 と定義される 2 心不全はすべての心疾患の終末的な病態であるため, その生命予後は極めて悪い 患者の年齢や原因疾患, 重症度などによって大きく左右されるものの, 平均の 5 年生存率は 50-60% とされ 3, 悪性腫瘍の生存率に匹敵するほど不良である 慢性心不全患者は, 労作時呼吸困難, 息切れ, 尿量減少, 四肢の浮腫, 肝腫大等の症状が出現することで, 生活の質 (Quality of Life;QOL) の低下が生じ, 日常生活が著しく障害される また, 致死的不整脈が高頻度に出現することから, 突然死の頻度も高い 日本で実施された複数の観察研究の結果から, 心不全患者の 1 年死亡率 ( 全死亡 ) は 7.3% 4,5, 心不全増悪による再入院率は退院後 6 カ月以内で 27%,1 年後は 35% であることが示された 4 このような高い再入院率は欧米の報告とも類似しており, 慢性心不全患者は急性増悪を繰り返しながら病態が進行していく ( 図 1) 6 このように, 死亡率の改善とともに心不全増悪による再入院を防ぐことが, 死亡率の改善とともに心不全の重要な治療目標となる. 6

7 6 図 1 心不全の病態進行の模式図 1.2 慢性心不全の治療心不全の多くは左室の収縮機能不全に起因するものであり, 非虚血性の拡張型心筋症と, 虚血性心筋症に大別することができる これらの疾患においては, レニン アンジオテンシン アルドステロン (RAA) 系と, 交感神経系とに代表される神経体液性因子が著しく亢進しており, 病態の悪化に寄与していることが判明している その結果として, アンジオテンシン II が過剰に産生され, 左室拡大の進行と, 左室収縮性の低下 ( リモデリング ) が生じ, 死亡や心不全の悪化等に繋がると考えられている したがって, このような神経体液性因子を阻害することによって左室リモデリングを抑制することで, 心不全の予後を改善に繋げることが最近の慢性心不全治療の中心と言える 慢性心不全の治療ガイドライン (2010 年改訂版 ) における慢性心不全の薬物治療方針を図 2に示す 7

8 2 図 2 心不全の重症度からみた薬物治療指針 8

9 アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬 (ACE 阻害薬 ) ACE 阻害薬は, 左心機能不全による心不全患者, 心筋梗塞後患者の生命予後および種々の心血管イベントに対する効果が, 大規模臨床試験によって立証されている 7,8,9 また, 無症候性の左室収縮機能不全についても, 心不全の入院を抑制し, 生命予後を改善することが明らかになっていることから 10, すべてステージの左室収縮機能低下患者に用いられるべきと推奨されている アンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) ARB については, 左室収縮機能低下による慢性心不全患者に対して,ACE 阻害薬と同等の心血管イベント抑制効果を有し, 忍容性において ACE 阻害薬より優れていたものの, 死亡率改善効果には有意差は得られていない 11 したがって我が国のガイドラインでは,ACE 阻害薬が忍容性等の点で投与できない場合に ARB を用いるべきと推奨されている β 遮断薬心不全状態においては, 代償的な作用として求心性の交感神経抑制信号の低下や, 心房や肺静脈壁からの交感神経求心路を介した作用などにより, 交感神経系が亢進する 実際, 血漿ノルエピネフリン濃度が心不全患者の生命予後の指標となり得ることや, ノルエピネフリンの増加を抑制することで長期予後改善が期待できることが示され, 交感神経系の抑制の重要性が理解された 12 NYHA 心機能分類 IIまたは III 度の左室収縮機能低下に基づく慢性心不全患者にカルベジロ ールが非常に高い有効性を示したことで,β 遮断薬が心不全治療薬として有用であることが確立された 13 また 左室駆出率(LVEF) が 25% 以下の NYHA 心機能分類 IV 度の重症心不全患者においても, カルベジロール投与によって有意な死亡率低下が検証されたことから 14,β 遮断薬は NHYA 心機能分類 I 度以上の全ての慢性心不全患者に対して, 標準治療薬として推奨されるようになった アルドステロン受容体拮抗薬 9

10 ACE 阻害薬や ARB を投与した場合においても, アルドステロンの血中濃度が再び増加するアルドステロン ブレイクスルー現象が認められること 15, アルドステロンは RAA 系以外にも, 副腎皮質刺激ホルモンエンドセリンやカリウム, ナトリウム利尿ペプチド等によっても制御されていること等から, 慢性心不全治療ガイドラインにおいては,ACE 阻害薬,ARB,β 遮断薬, 利尿薬等の心不全治療薬と, アルドステロンの分泌を抑制する薬剤や鉱質コルチコイド受容体阻害薬の併用が有用とされている 2 現在, 我が国においては, アルドステロン受容体拮抗薬として, スピロノラクトンとエプレレノンが心不全を適応とした薬事承認を受けている 1.3 慢性心不全治療における経済的負担慢性心不全患者は様々な合併症を併発し, 入退院を繰り返しながら病態が進行していくことから, 経済的負担も看過できない 例えば, 広島県呉市の国民健康保険あるいは後期高齢者の医療費データを用いた解析によると 心不全を有する患者 (ICD10 コードで I50 が付与されている患者と定義 ) の医療費は, 同市の外来医療費全体の 14.6%, 入院医療費全体の 25.5% をも占めることが明らかとなった ( 図 3) 16 超高齢化社会を迎え, かつライフスタイルも変化している我が国において, 前述のとおり心不全の患者数は増加の一途を辿ることが予測されている その点からも慢性心不全患者の経済的負担については, 対処すべき社会的課題といえる 図 3 医療費に占める心不全治療の割合 ( 参考資料 16 より抜粋 ) 10

11 1.4 医療経済評価研究の重要性我が国をはじめとする先進国において, 医療や介護に係る費用は各国の社会保障費に大きな負担となっている 1960 年代に整備された日本の保健医療制度は, ユニバーサル ヘルス カバレッジ, 医療への公平なアクセスなどの観点から世界トップクラスを誇っており, 世界保健機関の調査でも世界トップ 10 にランクされている 17 しかしながら, 高度経済成長が終焉を迎えたことに加え, 少子高齢化が急速な進展により人口構成が大きく変化したことから, 保健医療制度上の収支構造に深刻な影響を及ぼしており, 現在の保健医療制度の持続可能性を確保することは喫緊の政策課題となっている 2014 年度の社会保障給付費の総額は 112 兆円, 国民医療費は 2015 年度に 41 兆円を超え, どちらも増加の一途を辿っている 18,19 財務省の試算によれば, 団塊の世代が 75 歳を迎える 2025 年には, 医療や介護に対するニーズもピークに到達し, 医療費は 54 兆円にもおよぶと予測されている 20 国民医療費のうち薬剤費は,2010 年代前半に 8.5 兆円程度で推移しており, 医療費全体に占める割合は 20% 超である 19 技術革新は継続的に進展しており, ソホスブビル ( 販売名 : ソバルディ ) やニボルマブ ( 販売名 : オプジーボ ), エボロクマブ ( 販売名 : レパーサ ) などの新規医薬品が開発され, アンメットニーズが存在する疾患に対してこれまで成し得なかった治療効果をもたらしている しかしながら, これらの医薬品はその新規性を反映して高額な薬価が設定されており, 医療財政の面からは脅威の目で見られ, 中央社会保険医療協議会でもそのあり方について活発に議論されている 21 このような環境変化の中, 国民皆保険制度を存続させつつ, 我が国の医療と国民の健康を守るためには, 問題点を正確に把握した上で多面的な対策を講じる必要がある 特に, 上述の新しい治療技術や薬剤の有用性は, その臨床上の有効性や安全性のみならず, 医療財政に与える経済的なインパクトも合わせて総合的に評価することが重要といえる 我が国における医療技術の費用対効果評価については,2012 年度から中央社会保険医療協議会において議論が開始され, 現在も我が国の薬価制度への導入に向けた検討が進められている 2016 年には, 財政的な影響や革新性, 11

12 有用性が大きいとみなされる医薬品および医療機器を対象として, 費用対効果評価の試行的導入 が開始され, 既収載医薬品 7 品目, 医療機器 6 品目について, 開発企業による経済評価分析が進 められている状況である 薬剤経済評価研究における分析手法薬剤経済評価は, 医薬品の 費用対効果 を評価することによって, 医療資源を適切に分配することを目標として行われる すなわち, 対象とする医薬品について, 費用 と 効果( アウトカム ) の両方の観点から, 比較対照として適切な薬剤や技術と比較することで, 対象とする医薬品がどの程度費用対効果に優れているかを検討する 一般的に薬剤経済評価では, 有効性や安全性などの臨床アウトカムや, 費用, 効用値などを異なるデータソースから収集し, 分析に必要な情報を統合したうえで, 費用対効果を評価する方法が用いられる したがって, その分析の透明性や信頼性, 異なる分析間での比較可能性を確保するうえで, 分析手法の枠組みを明確化することが重要である また,1.4 章で述べたような医療経済評価を政策応用していくという観点からも, 標準的な分析手法を定めることは肝要である こうした背景を踏まえて, 我が国においては 2013 年に 医療経済評価研究における分析手法に関するガイドライン が整備された 23 本ガイドラインで言及されている検討すべき項目と, ガイドライン上の推奨について表 1に示し, いくつかの項目について詳述する 12

13 項目 23 表 1 医療経済評価研究における分析手法に関するガイドラインより改変 ガイドラインの推奨 分析の立場 医療経済評価研究を行う際には 分析の立場を明記し 目的に応じて適切なものを選定する 公的医療保障制度の中で 当該医療技術を評価する際には 原則として 公的医療費支払者の立場 からの分析を推奨する 比較対照技術 幅広く臨床現場等で使用されており 当該技術が導入されたときに 最も置き換わりうると想定されるものとする分析手法 費用効果分析を用いることを原則とし 増分費用効果比 (ICER) を用いてあらわす分析期間 対象となる医療技術の価値を評価するのに十分長い分析期間を用い その理由を説明する 費用とアウトカムは 原則として同じ分析期間を用いるアウトカム指標 質調整生存年 (QALY) を用いた分析とし QOL 値は一般の人々のの選択価値づけが反映されたものを用いる QOL 値を測定する場合には 対象者本人が回答することが原則 上記を満たす国内での調査結果があれば それを優先的に使用する有効性 安全性 エビデンスレベルが高く かつ現実の臨床成績を反映しているもの等のデータソーを優先的に使用するス 国内外で有効性 安全性に明確な異質性が存在する場合 国内データを優先する費用の測定 費用の範囲は分析の立場に応じて適切なものを選定する 当該医療技術の費用 ( 単価と消費量を区分する ) に加えて 有害事象や将来の関連する合併症等の費用も含めて推計すべき また公的医療費支払者の立場では 公的医療費の全額を含める 入院医療費では DPC 等の包括医療費ではなく出来高での推計を基本とする 医療資源消費量は 日本における標準的な診療過程を反映している必要がある生産性損失の取 当該疾患によって仕事や家事ができない結果生じる生産性損失は り扱い分析の立場によっては費用に含めてもよい割引 将来に発生する費用やアウトカムは割引を行うことを原則とする 年率 2% で割引を行うこととし,0-4% の範囲で感度分析を行うモデル分析 予後や将来費用を予測するためにモデル ( 決定樹モデル マルコフモデル等 ) 分析を行ってもよい モデル分析を行う際には そのモデルの妥当性について適切に議論する モデルを構築する際に使用した仮定については明確に記述し, 使用 13

14 不確実性の取り扱い公的医療費支出への財政的影響 したパラメータとそのデータソースについてはすべて記述する 複数のシナリオ設定に基づいた感度分析を行うべきである 不確実性の大きいパラメータ 実際のデータではなく仮定に基づき設定したパラメータ 諸外国のデータで異質性がある可能性のあるパラメータ等については 感度分析の対象とすべき 可能であれば 確率的感度分析もあわせておこなう 費用効果分析とあわせて 医療技術の導入による財政的影響を検討してもよい 14

15 分析手法について一般的に, 薬剤経済評価の分析方法は以下の 4 つに分類される 24,25 1) 費用最小化分析 (Cost-minimization analysis; CMA) アウトカムを同等とおいて, 既存の医薬品と, 対象とする医薬品に係る費用のみを算出し比較検討する 2) 費用効果分析 (Cost-effectiveness analysis; CEA) アウトカムとして生存年やイベント回避など質調整生存年 (Quality-adjusted life year; QALY) 以外の指標を設定し, アウトカム 1 単位を増加させるために必要な費用について検討する 3) 費用効用分析 (Cost-utility analysis; CUA) アウトカム指標として QALY を用いて,2) と同様の検討を行う 4) 費用便益分析 (Cost-benefit analysis; CBA) アウトカムを金銭価値で表現して,2) と同様の検討を行う 医療経済評価においては, アウトカムを金銭化せずに, 費用とアウトカムを別々に集計するものを 費用効果分析, 費用とアウトカムを金銭化して一元的に評価するものを 費用便益分析 と呼ぶ立場も有力である 26 我が国のガイドラインでは,CMA,CEA,CUA をまとめて 費用効果分析 と定義し, 分析手法として推奨している CEA および CUA では, アウトカムとして用いる指標が異なっているものの, いずれもアウトカムを 1 単位増加させるために必要な費用, すなわち増分費用効果比 (Incremental cost-effectiveness ratio; ICER) を算出する ICER は次の式で表される : IC: 増分費用,IE: 増分効果 ICER = IC/IE = (C A -C B )/(E A -E B ) C A : 対象とする医薬品 A の期待費用,C B : 比較対照とする治療 B の期待費用 E A : 対象とする医薬品 A の期待効果,E B : 比較対照とする治療 B の期待効果 15

16 分析期間について表 1に示したとおり, 我が国のガイドラインにおいては, 対象とする医薬品, 医療技術の価値を評価するために 十分に長い分析期間 を設定することが推奨されている 一方で, 通常, 有効性や安全性のデータの基となる臨床試験においては, 対象とする医薬品の有効性または安全性を評価するために必要な期間として試験デザインが検討されるため, 十分に長い分析期間と必ずしも一致しない可能性がある 例えば, 慢性心不全患者を対象とした EMPHASIS-HF 試験の観察期間は 21 カ月間 ( 中央値 ) であるが, 心不全治療における医薬品の真の価値を評価するために必要な期間は, 死亡に至るまでの期間, すなわち生涯にわたる期間とする方が納得性は高いであろう したがって, 臨床試験で得られるデータを活用して経済評価を行う場合には, その疾患の予後を予測したモデルを構築して, 分析を実施することが一般的に用いられる手法である 27 アウトカム指標の選択についてアウトカム指標を設定する際, 血圧や心筋梗塞の新規発症などの臨床アウトカム, あるいは生存年 (Life Year) では, 他の疾患領域で使われる技術や薬剤との横並びでの比較が困難である すなわち, 前者のような疾患特異性の高い指標では他の疾患に当てはめることが難しく, 後者の場合, 寝たきりで生きる 1 年と, 完全に健康な状態で生きる 1 年とが同等に扱われるため, 価値を適切に評価しているとは言い難い そこで導入されたのが QALY という考え方である QALY は, 特定の健康状態に対して効用値 (Utility score) を当てはめて ( 完全に健康な状態を 1, 死亡を 0), 生存年との積分により算出される 効用値は,EQ-5D 28 や HUI 29,SF-6D 30 などの QOL 尺度から算出する 費用の測定について薬剤経済評価における費用の考え方は, 対象とする医薬品や技術を利用するために必要な費用だけでなく, 臨床アウトカム ( 心筋梗塞発症による入院など ) や副作用が発生した場合に係る治療費用や, 治療を継続するための診療費用, 検査費用なども考慮して測定することが通常である 16

17 また, 分析の立場によっては, 通院にかかる交通費やおよび疾患に伴う労働損失なども含むこと がある モデル分析について分析期間の項で述べたとおり, 臨床試験もしくは観察研究からでは, 一生涯にわたる実際のデータを得ることは通常不可能である ( 時間がかかりすぎる ) ため, モデルを構築して長期予後をシミュレーションし, 費用と効果を推計することが一般的手法として用いられている 通常利用されるモデルには, 決定樹モデルやマルコフモデルがある マルコフモデルは, 短期的な病態推移確率が判明している場合に, その推移確率が長期にも一定であると仮定して長期間の予後を予測する方法であり, 慢性疾患のシミュレーションに適した手法とされる 31 一方で, 近年の医療経済評価研究においては, 離散イベントシミュレーション (discrete event simulation: DES) モデルが用いられる事例が増加している 32 DES は, 個人, 集団, およびその環境内の複雑な行動やその相互作用を柔軟に表現することを特長とするモデリング手法である 医療の分野では, 患者に発生する臨床イベント, およびその個人が他者, 医療システム, および一般環境とどのように相互作用するかを同時にモデル化することができることを意味する 離散 という用語は, 離散的な間隔, すなわちあるイベントの時間から次のイベントの時間へとモデルがジャンプし, イベントが互いに離散的 ( 相互排他的 ) であることを表現している DES を構成する主な概念は, エンティティ (entities), 属性 (attributes), イベント (event), リソース (resource), キュー (cue), および時間 (time) である その中でも時間は,DES の基本的な要素そのものである モデルではシミュレーションの実行開始時から時間を追跡し, それによって暫定期間 ( 例 : 病院の滞在期間, 症状が発現した期間, 生存時間など ) を追跡することが可能となる また, 離散的に時間を処理することで, 不要な中間計算に労力を費やすことなく, モデルが効率的に次のイベント時間に進むことを許容する ( 例 :2 年間何もイベントが発生しなかった患者が心筋梗塞を発現し, その後数分以内に起こる, 救急搬送, 治療, 脳卒中等のイベン 17

18 トを処理できる ) このようにDES は, 幅広いリサーチクエスチョンに対処するために使用されている 33,34,35,36 柔軟な時間管理が可能であるため, マルコフモデルのように一定の時間間隔ごとのイベントの発生を制限することなく, シミュレーションすることができる また, ある患者が複数のあるいは競合するリスクにさらされている場合や, 患者の多くの特性を考慮する必要があり, 特に時間の経過とともにその特性が変化し得る場合には, 有用な方法である 不確実性の取り扱いについて薬剤経済評価研究を行う際に入力するパラメータ ( 有効性, 安全性, 費用, 効用値など ) については, 多くの場合は臨床試験の結果や, 文献に基づく推定であるため, それぞれのパラメータには不確実性が含まれる したがって, 感度分析を行って, パラメータの不確実性によって結果がどのように影響を受けるか, 研究の結論がどの程度の信頼性を持つか, 医療経済評価の頑健性を定量的に分析することは当該研究において非常に重要な要素である 感度分析は, 確率によらない感度分析 (Deterministic Sensitivity Analysis: DSA) と, 確率的感度分析 (Probabilistic Sensitivity Analysis: PSA) に大別される 37 確率によらない感度分析では, 効果や費用, 割引率などのパラメータを十分に広い範囲で変化させ, その上限や下限において評価 ( 多くの場合 ICER) の結論が変わりうるかを評価する パラメータを妥当と判断される範囲で十分に変動させた場合であっても,ICER が許容可能な範囲に収まると見なされれば, 当該薬剤経済評価の頑健性が確認され, そこから判断される意思決定は信頼性を持って受け入れられるといえる 一方で, 妥当と判断される変動範囲を客観的に判断することや, 複数のパラメータを同時に評価することが難しいため, 十分にその不確実性を評価できない場合もある 一方, 確率的感度分析とは, シミュレーション実験によって不確実性の程度を評価する分析手法である 38 ある仮定のもとで乱数に基づきパラメータを発生させ, 仮想の値の組み合わせから ICER を算出する これを何度も繰り返すことで, パラメータが持つ不確実性が, 最終的に算出さ 18

19 れる ICER の不確実性にどのように反映されるかを評価することができる 前述のとおり, 通常薬剤経済評価では費用とアウトカムは複数のパラメータから構成されるため, 各パラメータが有する不確実性を同時に評価することが可能な確率的感度分析は, 分析の頑健性や結果の妥当性を説明する上で重要と言える 確率的感度分析を実施することで, 一般的に信頼区間を持たない点推定値として表現される ICER の 分布 を得ることができるため, より適切な政策意思決定にも繋げられる可能性がある 19

20 2 アルドステロン受容体拮抗薬のエビデンス 2.1 序 1.2 項で論じたとおり, 慢性心不全の治療では薬物療法がその中心的な役割を担っている なかでも, 本研究の対象とするエプレレノンは, アルドステロン受容体拮抗薬のひとつとして, 我が国でも 2016 年に心不全治療薬としての適応を新たに取得した薬剤であり, 今後の適切な使用により日本の慢性心不全患者の予後改善に寄与することが期待されている 一方で, 当該薬剤の利用がもたらす経済的な影響については, 我が国で十分な研究は行われていない 本章ではまず, 海外および日本においてこれまでに蓄積された, アルドステロン受容体拮抗薬の心不全治療薬としての臨床エビデンスを概説し, 現在の治療ガイドライン上の位置づけについて論じる また次項では, 本研究の先行研究である慢性心不全治療におけるエプレレノンの費用対効果研究について,1.5 項で述べた薬剤経済研究の標準的な手法と照らしながらレビューを行う 2.2 心不全治療薬としての臨床エビデンスアルドステロン受容体拮抗薬として, 現在スピロノラクトンおよびエプレレノンが心不全治療薬として世界的に利用可能な状況である 本項では, その根拠となった心不全に対する代表的な国内外の臨床試験を表 2 に要約したうえで, 慢性心不全治療におけるエプレレノンの臨床上の位置づけについて解説する 20

21 目的 39 RALES 試験 表 2 心不全患者を対象に実施されたアルドステロン受容体拮抗薬の臨床試験の要約 左室不全に基づく重症心不全で ACE 阻害薬を含む標準治療を受けている患者を対象に, スピロノラクトンを追加投与した際の全死亡リスクに対する影響を検証する 40 EPHESUS 試験 心筋梗塞後の心不全患者を対象に, エプレレノンを長期間投与した際の死亡あるいは心血管イベントを検討する EMPHASIS-HF 試験 収縮不全を伴う NYHA 心機能分類 II 度の慢性心不全患者に対するエプレレノンの有効性を評価する 42 J-EMPHASIS-HF 試験 対象薬剤スピロノラクトンエプレレノンエプレレノンエプレレノン 対象疾患 症例数 NYHA 心機能分類 III 度以上の左室収縮機能不全に基づく重症心不全患者 左室駆出率 <35%,ACE 阻害薬, ループ利尿薬, ジゴキシンによる治療を受けている患者 スピロノラクトン群 822 例標準治療群 841 例 急性心筋梗塞後(3-14 日 ) の左室機能不全 (LVEF 40%) および心不全患者 NYHA 心機能分類 II 度 LVEF 30% の心不全患者 年齢 55 歳以上 ACE 阻害薬,ARB,β 遮断薬, 罹病期間が 4 週間以上で標準治 利尿薬, 冠血行再建術などで標準治療を受けている患者 療 (ACE 阻害薬,ARB,β 遮断薬または利尿薬 ) を受けている 6 ヵ月以内の心血管疾患による 入院の既往がある ( 入院がない場 合は BNP 250pg/mL または NT-proBNP が 男 性 で 500pg/mL 女性で 750pg/mL) エプレレノン群 3,319 例標準治療群 例 エプレレノン群 1,364 例標準治療群 1,373 例 NYHA 心機能分類 II 度以上の日本人慢性収縮期心不全患者に対するエプレレノンの有効性を評価する NYHA 心機能分類 II 度以上, LVEF 30% の日本人慢性収縮期心不全患者 年齢 55 歳以上 罹病期間が 4 週間以上で標準治療を受けているもの 6 か月以内の心血管イベントによる入院の既往 ( 入院がない場合 BNP 250pg/mL ま たは NT-proBNP が男性で 500pg/mL, 女性で 750pg/mL) エプレレノン群 111 例標準治療群 110 例

22 試験開始 1995 年 1999 年 2006 年 2010 年 平均追跡期間 24 か月 16 か月 21 か月 か月 試験デザイン 二重盲検無作為化プラセボ対 二重盲検無作為化プラセボ対照 二重盲検無作為化プラセボ対照 二重盲検無作為化プラセボ対 照並行群間試験 並行群間試験 並行群間比較試験 照並行群間比較試験 主要評価項目 全死亡 全死亡, 心血管死または心血管イベント ( 心不全, 急性心筋梗塞の再発, 脳卒中, 心室性不整脈を含む ) による入院 副次評価項目 心血管死, 心血管イベントに 全死亡または全入院, 心血管死 よる入院,NYHA 心機能分類 の変化 心血管死または心不全悪化による入院全死亡または心不全悪化による入院, 全死亡, 心血管イベントによる死亡, 全入院, 心不全悪化による入院, 心血管イベントによる入院他 心血管死または心不全悪化による入院全死亡, 心血管イベントによる死亡, 全入院, 心不全による入院, 心血管イベントによる入院他 方法 標準治療にプラセボもしくは 標準治療にプラセボもしくはエ エプレレノン 25mg あるいはプラ エプレレノン 25mg あるいは スピロノラクトン 25 mg/ 日を プレレノン 25-50mg/ 日を併用 セボを 1 日 1 回投与 4 週目以降 プラセボを 1 日 1 回投与 4 併用 エプレレノンは 25mg/ 日で投与 血清カリウム値 <5.0mmol/L の場 週目以降 血清カリウム値 < を開始し, 最大 50mg/ 日まで漸 合は 1 日 1 回 50mg に増量 その 5.0mmol/L の場合は 1 日 1 回 増投与 後,4 ヵ月ごとにカリウム値を測 50mg に増量 その後,4 ヵ月 定し用量調節 ごとにカリウム値を測定し用 量調節 結果 ( 有効性 ) 死亡数はプラセボ群で 386 例 全死亡はエプレレノン群で 478 心血管死または心不全悪化によ 心血管死または心不全による 22

23 (46%), スピロノラクトン 例 (14.4%), プラセボ群 554 例 る入院は, エプレレノン群で 249 入院はエプレレノン群 (33 群で 284 例 (35%) に認めら (16.7%) に認められ, 相対リス 例 (18.3%), プラセボ群で 356 例,29.7%) で, プラセボ群 (36 れ相対リスクは 0.70(95% 信 ク [RR] は 0.85(95% 信頼区間 例 (25.9%) に認められ, ハザー 例,32.7%) に対するハザード 頼区間 ,p<0.001) [CI] , p=0.008) と有 ド比 (HR) は 0.63(95% 信頼区 比 (95% 信頼区間 ) は 0.85 と有意な低下がみられた ま 意に低下した 間 [CI] , p<0.001) と (0.53, 1.36) であった また, た, 心不全の悪化による入院 有意に低下した また, 全死亡 有効性の副次評価項目でも, の頻度についても, スピロノ (HR 0.76,P=0.008) および心不 全死亡および心血管死を除い ラクトン群で 35% の低下が認 全入院 (HR 0.58,P<0.001) でも て, 全体的に主要評価項目と められた ( 相対リスク 0.65, エプレレノン群で有意にリスク 同様な結果が得られた 95% 信頼区間, ,p を低下させることが示された <0.001) 結果 ( 安全性 ) 有害事象については, スピロ 両群の有害事象の発現率は, エ 有害事象の発現率は, エプレレノ 有害事象の発現率は全体的に ノラクトン群で女性化乳房あ プレレノン群 2,608 例 (78.9%), ン群で 20.6%(280 例 ), プラセ 両投与群で同程度であった るいは乳房痛が 10% の男性 プラセボ群 2,623 例 (79.5%) で ボ群で 15.9%(218 例 ) であった 低カリウム血症が認められた に, プラセボ群の男性 1% に発 あり, 主な有害事象は両群で同 注目すべき有害事象のうち, 高カ 被験者はエプレレノン群で 2 現し, スピロノラクトン群で 様であった 重篤な高カリウム リウム血症はエプレレノン群で 例 (1.8%), プラセボ群で 11 有意に高かった (p<0.001) 血症 ( 6mmol/L) は, プラセボ 8.0%, プラセボ群で 3.7% とエプ 例 (10.0%) であり, エプレレ 重篤な高カリウム血症の発現 群で 3.9%, エプレレノン群で レレノン群で有意に高かった ノン群で低かった 高カリウ 割合は両群ともに低かった 5.5%(p=0.002), 重篤な低カ (p<0.001) が, 投与中止に至っ ム値が認められた被験者はエ リウム血症 (<3.5mmol/L) はプ た患者の割合では有意な差は見 プレレノン群で 8 例 (7.2%) ラセボ群で 13.1%, エプレレノ られなかった 投与中止に至った およびプラセボ群で 6 例 ン群 8.4% に認められた (p< 有害事象は, エプレレノン群で (5.5%) と同様であった 0.001) 13.8%, プラセボ群で 16.2% であ 本試験では, 死亡例がエプ 23

24 った (p=0.09) レレノン群 17 例およびプラセボ群 10 例に認められた ただし, 治験薬の投与期間中の死亡例は両投与群において同程度 ( エプレレノン群で 6 例, プラセボ群で 5 例 ) であり, エプレレノン群に認められた死亡例の大部分は治験薬の投与中止後 30 日を経過していた 24

25 39 RALES 試験 Pitt らは, 左室不全に基づく重症心不全で標準治療を受けている患者を対象に, スピロノラクト ンを追加投与した際の全死亡リスクに対する影響を検証することを目的に RALES 試験を実施し た 本試験の結果, 重症心不全患者に対しスピロノラクトンを併用することで, 死亡, 心不全の 進行による死亡, および心臓突然死のリスクを全て低減することが示された これにより NYHA 心機能分類 III 度以上の重症心不全患者の心不全予後改善に, アルドステロン受容体拮抗薬が有 効であることが立証された 一方で, スピロノラクトンにはエストロゲン様作用もあったことか ら, 女性化乳房という特異的な副作用が用量依存性に生じる可能性があった そこで, アルドス テロンに対する選択性のより高い薬剤として開発されたのがエプレレノンである 40 EPHESUS 試験 Pitt らは, 心筋梗塞後の心不全患者 ( 重症心不全患者に相当 ) を対象に, エプレレノンを長期間 投与した際の有効性および安全性の検証を目的として,EPHESUS 試験を実施した 当該試験の結 果から, スピロノラクトンより選択性の高い鉱質コルチコイド拮抗薬であるエプレレノンを標準 治療に追加投与することにより, 重症心不全患者に対するスピロノラクトンと同様の有効性が検 証されただけでなく, スピロノラクトンで懸念された副作用である女性化乳房や男性の性機能低 下のリスクが, エプレレノンの投与では解消されることが示された このように,RAA 系を抑制することは, 交感神経系の抑制とともに慢性心不全の左室リモデリ ングを抑え, 予後改善をもたらす 一方で,RALES 試験および EPHESUS 試験はいずれも重症心 不全患者を対象に得られたエビデンスであった アルドステロン受容体拮抗薬の軽症の慢性心不 全患者に対する有効性を検証した試験が, 次に示す EMPHASIS-HF 試験である 41 EMPHASIS-HF 試験 Zannad らは, 収縮不全を伴う NYHA 心機能分類 II 度の慢性心不全患者を対象として, 標準治 療にエプレレノンを追加投与した際の有効性を評価するために EMPHASIS-HF 試験を実施した 25

26 その結果, 軽症慢性心不全患者に対してエプレレノンを上乗せ投与することで, 心血管死および心不全悪化による入院の発生リスクを有意に抑制することが示され,EPHESUS 試験結果の結果と合わせて, 軽症から重症まで心不全の重症度によらず, あるいは虚血か非虚血かといった心不全の原因にもよらず, 標準治療にエプレレノンを追加投与することが予後の改善に有用であることが明らかとなった 42 J-EMPHASIS-HF 試験 これまで要約した臨床試験は全て海外で実施されたものであり, 日本人の慢性心不全患者を対 象とした臨床エビデンスは不足していた 我が国においてもエプレレノンを慢性心不全患者の治 療薬として承認取得するために実施された試験が,Tsutsui らによる J-EMPHASIS-HF 試験である 42 本試験は NYHA 心機能分類 II 度以上の日本人慢性心不全患者を対象とした第三相治験であり, EMPHASIS-HF 試験との有効性の一貫性を示すことを目的にデザインされた試験である 本試験の結果から,NYHA 心機能分類 II 度以上の慢性心不全患者において,ACE 阻害薬を含む標準的治療薬に本薬を併用することは有用とみなされ, エプレレノンは 2016 年末から慢性心不全を適応として日本の臨床現場に提供されている 治療ガイドライン上の位置づけこれまで見てきたとおり, アルドステロン受容体拮抗薬の軽症から重症の慢性心不全患者に対する有用性は国内外の臨床試験で明らかとなっており, 欧米ではそれらを反映された治療ガイドラインが策定されている すなわち, 図 4に示すとおり, 欧州心臓学会 (ESC) の心不全ガイドラインでは,ACE 阻害薬 ( または ARB) および β 遮断薬が既に投与されている症候性の心不全患者 (NYHA 心機能分類 II から IV 度 ) に対して, アルドステロン拮抗薬を追加投与することが Class I として推奨されている 43, 44 また, 米国の心不全管理ガイドラインにおいても,ACE 阻害薬 ( または ARB) およびβ 遮断薬が既に投与されている NYHA 心機能分類 II から IV 度の心不全患者に対し, アルドステロン拮抗薬を追加することが推奨されている 45 26

27 我が国の慢性心不全治療ガイドラインにおいては, 図 2 に示したとおり,RALES 試験および EPHESUS 試験の成績を踏まえて, ループ利尿薬,ACE 阻害薬を投与している NYHA 心機能分類 III 度以上の重症心不全患者において, 抗アルドステロン薬の使用が推奨されている 44 図 4 ESC 心不全ガイドラインによるアルドステロン拮抗薬の推奨 27

28 2.3 慢性心不全治療におけるエプレレノンの費用対効果 2.2 項で要約したとおり, 慢性心不全に対するエプレレノンの有効性および安全性は大規模臨床試験によって検証され, 各国の治療ガイドラインでその使用が推奨されている 一方, エプレレノンの経済性の評価については, 欧州を中心とする複数の国でその検討がなされている 46, 47 本項では, 本研究の先行研究として実施された英国における分析について概説する 46 Lee らによる当該研究では, 離散イベントシミュレーション (DES) モデルを構築して, 標準治療を受けている軽症慢性心不全患者にエプレレノンを上乗せした際の費用対効果について, 英国の医療環境を基に分析を行った ( スペインについても同様に実施 ) モデルに組み込んだパラメータとその条件について表 3に示す 表 3 先行研究での基本分析の条件 項目 基本分析の条件 分析の立場 公的医療費支払者の立場 比較対照技術 慢性心不全患者に対する標準薬物治療 分析期間 生涯にわたる期間 アウトカム指標の選択 QALY QOL 値は海外で検討された結果 49 を引用し, EMPHASIS-HF 試験の患者背景から推定 有効性および安全性 EMPHASIS-HF 試験の有効性および安全性 費用 入院費 : 初期急性期の治療費 心臓デバイス : 装着費と器具交換費 心血管イベントによる入院, 有害事象 : 薬剤費 : エプレレノン以外の薬剤について加重平均 エプレレノン :2 回の来院と血液化学検査 割引 3.5 % 不確実性の取り扱い 確率によらない感度分析 (DSA) 確率的感度分析 (PSA) これらの条件に基づいて実施した基本分析の結果を図 5に示す QALY については, 標準治療群およびエプレレノン群でそれぞれ 4.98,6.19 となりエプレレノン群で 1.22 増加した また, および生存年 (LY) については, 標準治療群およびエプレレノン群で 6.23 および 7.74 となり,

29 年の増加が確認された 総費用は標準治療群, エプレレノン群でそれぞれ 14,275 ポンドおよび 18,559 ポンドであり, エプレレノン群で 4,284 ポンドの増加が認められた これらから ICER を算出した結果,1QALY を増加させるために必要な増分費用 (Cost per QALY) は 3,520 ポンド,1LY を増加させるために必要な増分費用 (Cost per LY) は 2,825 ポンドであった 英国における支払い意思額 (WTP) の目安は 1QALY 増加あたり 20,000 から 30,000 ポンドとされていることから, 慢性心不全患者に対するエプレレノンの上乗せ投与は費用対効果に優れることが示された 感度分析として,DSA および PSA を実施したところ,DSA ではすべての条件において ICER は 5,500 ポンドを下回る結果となった また PSA では,100 回のシミュレーションの結果,ICER の全体平均は 6,939 ポンド (95% ベイズ確信区間 :6,656; ポンド ) であり,DSA と同様に WTP を大きく下回っていた これらから本分析の結果の頑健性が確認され, エプレレノンが慢性心不全治療として費用対効果に優れることが結論付けられた 図 5 離散イベントシミュレーションモデルによる基本分析結果 ( 参考文献 46 より抜粋 ) 29

30 3 本研究の目的と意義 これまで見てきたように, アルドステロン受容体拮抗薬であるエプレレノンは, 慢性心不全に対して臨床上の有用性が確立しており, 欧米の治療ガイドラインでは標準的な治療選択肢としてその利用が推奨されている また, 医療技術の経済性評価は, 我が国をはじめとする将来の医療制度の持続可能性を実現する上で重要な意思決定のツールとして注目され, 薬剤経済評価研究の手法も確立しつつある エプレレノンの心不全治療における薬剤経済評価は欧州でその検討が進んでおり, 費用対効果に優れることが示されているものの, 我が国の医療環境を反映した薬剤経済評価は実施されていない したがって, 標準治療を受けている日本人慢性心不全患者に対しエプレレノンを追加投与した際の費用対効果について検討することを, 本研究の目的とする 本研究では, 国内外の臨床試験結果および医療データベースから必要なデータを収集したうえで, 薬剤経済評価研究の標準的な手法を用いて分析を行い, 本剤の薬剤経済性について評価を行う 日本人心不全患者に対してエプレレノンを追加投与することの妥当性を, 医学的観点のみならず経済的観点も含めて考察し, 本剤が慢性心不全の標準的な治療選択肢となりうるか否かを検討する 30

31 4 倫理的配慮 本研究は後ろ向き非介入研究であり, 既に論文化された臨床試験から得られる統計データや, 商業用データベースから取得される診療報酬データなど, 既存データの 2 次的利用により実施することから, 十分な倫理的配慮が取られていると考えた また, 研究者はファイザー株式会社の社員であり, 研究に必要な材料については所属企業が既に所有しているあるいは新たに購入したデータを用いることとした 当該内容について本学の倫理審査で適切に審査され, 承認が得られている ( 承認番号 :17-Ig-57) 31

32 5 方法 標準治療を受けている日本人慢性心不全患者に対してエプレレノンを追加投与した際の費用効果分析について, 医療経済評価研究における分析手法に関するガイドライン(ver 年 3 月 29 日 ) 23 に記載されている分析手法に沿って, 基本分析として設定した条件を以下に記載する モデル分析本研究では,EMPHASIS-HF 試験に組入れられた患者集団および, 当該試験により検証された慢性心不全患者に対するエプレレノンの有効性ならびに安全性のデータを用いて, 先行研究として 2.3 項で詳説したシミュレーションモデルを活用して分析を行うこととした 第 1 章で述べたとおり, 心不全患者はその治療の経過において心血管イベントによる入退院を複数回繰り返し得ること, また, 前回起こった臨床イベントが次回の臨床イベントの発生リスクに影響を与えること 48 から, そのような病態を適切に反映する必要があった そこで本研究で用いるシミュレーションでは, 離散イベントシミュレーションモデル (DES) を採用した 本モデルでは, 医学的, 経済的に重要なイベントが発生するまでの時間および回数について, EMPHASIS-HF 試験の患者レベルのデータを用いてその発生リスクを算出し, 仮想的に作成した患者を 1 例ずつシミュレーションすることが可能である 図 6にモデルの概念図を示し, 当該モデルを構築する際に設定した仮定およびパラメータについて詳述する なお, 本モデルでは Simul8 ( バージョン 15.0) および Microsoft Excel を用いて, 仮想症例およびイベントの創出と臨床アウトカム, ならびに費用の算出をそれぞれ実施した 32

33 図 6 本研究で用いた離散イベントシミュレーションモデルの概念図 ( 先行研究論文 46 より引用 ) 33

34 本モデルでは, 患者背景の同じ 25,000 例の慢性心不全患者集団を仮想的に作成し, 標準治療群およびエプレレノンの追加投与群として, それぞれシミュレーションを実施した これにより, 実際の臨床試験でランダム割付を行うことと同様の状態を仮想的に実現したことになる エプレレノン群においては, 慢性心不全治療で用いられる用法 用量に従い, エプレレノン 25 mg 1 日 1 回を 4 週間投与した後,50 mg 1 日 1 回に増量し投与を継続することとした 図 6に示したとおり, 本モデルのシミュレーションに採用した臨床イベントは,EMPHASIS-HF 試験で評価した以下のものである 心血管イベントによる死亡 その他の死亡 心不全悪化による入院 その他心血管イベントによる入院 心房細動の新規発症 埋め込み型除細動器(CRT または ICD) の留置, 有害事象( 高カリウム血症, 低カリウム血症, 腎不全, 低血圧, 女性化乳房 ) 治療中止: 有害事象, 入院またはその他の理由 本研究における心血管イベントとは,EMPHASIS-HF 試験に従い以下のイベントと定義した : 不 整脈, 心筋梗塞, 不安定狭心症, 胸痛, 脳梗塞, 一過性脳虚血発作, 低血糖, 心臓タンポナーデ, 心内膜炎, 高血圧, 心臓弁膜症, 肺塞栓症, その他の閉塞性動脈硬化症および破裂動脈瘤 仮想患者 1 例ずつに対して,EMPHASIS-HF 試験の患者レベルデータから得られたリスク分布を用いて, コホート内で定義した上記イベントの発生患者数をシミュレーションした 発生する最初のイベントが決定された後, 患者はそのイベントに進行し, 以下の 2 つのパターンで推移することとした : 1. 死亡または心臓デバイス (ICD または CRT) が留置された場合, モデルから脱落する 34

35 2. それ以外のイベントの場合は, 患者はモデルに留まり, 次のイベントまでの時間が計算される あるイベントが他のイベントの発生までの期間に影響を与えると見なされる場合は, これらの イベントの時刻は次の式を使用して再計算した E + T2 * E1((T1-E)/ T1) E = 現在のイベントの時間 T1 = 関心のあるイベントの最初に計算された時間 T2 = 現在のイベントに基づいて調整されたリスク方程式を使用して関心のあるイベントについ て新たに計算された時間 該当するイベントは以下のとおりとした 心不全悪化による入院; 心血管イベントによる死亡の発生リスクを高める 心不全悪化による入院; 将来の心不全悪化による入院の発生リスクを高める その他の心血管イベントによる入院; 心血管イベントによる死亡の発生リスクを高める その他の心血管イベントによる入院; 将来の他の心血管イベントによる入院の発生リスクを高める 有害事象; 将来の有害事象の発生リスクを高める 心不全悪化による入院, 心血管イベントによる入院, または有害事象が発生した場合は, それぞれ関連する治療費用および効用値の減少を定義した なお, 心房細動の新規発症については, 本モデルでは効用値の減少のみに関連すると仮定した 心房細動は脳卒中や心血管イベントによる入院などの発生リスクを増加させることが知られているが, これらのイベントは既にモデル内の他のイベントとして定義されており, 心房細動のみの治療費用は本検討の結果に影響を及ぼす可能性は低いと判断した 35

36 以上の設定によりシミュレーションを実施した結果,1 症例ごとに発生するイベント ( ここでは心不全悪化による入院 ) のタイミングと回数の例を図 7に示す Patient ID が症例単位,Treatment が標準治療群またはエプレレノン群,Time of HF Hosp 1(2,3,4 ) は, 心不全悪化による入院というイベントが発生するまでの日数をそれぞれ示している 例えば Patient ID 1 の症例は, 初回の入院が投与開始から 1,314 日に発生し, その後 1,465 日,1,660 日, と再発入院を繰り返している 一方,Patient ID 2 の症例は, 分析期間中一度も心不全悪化による入院が生じなかった症例, と理解することができる Patient ID Treatment Time of HF Hosp 1 Time of HF Hosp 2 Time of HF Hosp 3 Time of HF Hosp 4 Time of HF Hosp 5 Time of HF Hosp 6 Time of HF Hosp 7 Time of HF Hosp 8 Time of HF Hosp 図 7 シミュレーションにより得られる症例ごとの臨床アウトカムの例 分析の立場 本研究では, 基本分析および感度分析のいずれにおいても 公的医療費支払者の立場 を取る こととした 36

37 比較対照技術 EMPHASIS-HF 試験では慢性心不全の標準薬物治療を受けている集団に対し, エプレレノンを上乗せした際の有効性および安全性を評価した したがって本研究においても, 慢性心不全の標準薬物治療 ( 費用の測定の項目にて詳述する ) を比較対照技術することが妥当と判断した 分析手法 本研究では, アウトカム指標として QALY を用いた費用効用分析を実施した 結果は, 下記方 法を用いて増分費用効果比 (ICER) を算出することとした ICER = IC/IE = (C epl -C std )/(E epl -E std ) IC: 増分費用,IE: 増分効果 C epl : エプレレノン上乗せ投与群の期待費用,C std : 標準治療群の期待費用 E epl : エプレレノン上乗せ投与群の期待効果,E std : 標準治療群の期待効果 分析期間 基本分析では, 生涯にわたる期間を分析期間として設定した シナリオ分析では,EMPHASIS-HF 試験の観察期間とほぼ同期間である 2 年間をシミュレーション期間として, 検討を行った アウトカム指標質調整生存年 (QALY) をアウトカム指標として選択した また,EMPHASIS-HF 試験では, エプレレノンの上乗せ投与により全死亡の発生割合も有意に低下したことから, 生存年 (Life Year) も合わせて算出することとした 効用値 (QOL) に関しては,EMPHASIS-HF 試験および J-EMPHASIS-HF 試験ともに QOL 関連情報の収集を行っておらず, また, 日本人心不全患者の QOL について利用可能な文献データを見 37

38 出すことが困難であった したがって, 本研究の対象集団における QOL とイベント発生に伴う QOL 値の変動については, 先行研究にて使用された海外での検討結果 49 を引用し,EMPHASIS-HF 試験の患者背景データから算出した ( 表 4) 表 4 効用値の変動 パラメータ 効用値の増加または減少 標準誤差 EMPHASIS 試験での値 インターセプト 年齢 (Age-50)^3 (used only in age >50) (Age-65)^3 (used only in age >65) (Age-80)^3 (used only in age 850) 男性 % 糖尿病の既往 % 急性心筋梗塞 (>2) の既往 % 脳卒中 /TIA の既往 % 末梢血管疾患の既往 % 慢性閉塞性肺疾患の既往 % 入院 (1 回 ) 入院 (2 回 ) 入院 (3 回以上 )

39 有効性および安全性データ慢性心不全に対するエプレレノンの有効性および安全性については, エビデンスレベルの高さを考慮して, 日本人慢性心不全患者を対象とした J-EMPHASIS-HF 試験ではなく,EMPHASIS-HF 試験で得られた結果を用いた 海外試験で得られたデータを活用することの妥当性については, 考察の項で詳述する なお, 併用薬については, 日本の治療実態および薬剤費用をより適切に反映するため,J-EMPHASIS-HF 試験におけるベースライン時の併用薬のデータを用いた 本モデルにおいて, シミュレーション開始時点の対象患者背景は,EMPHASIS-HF 試験に組入れられた軽症心不全患者の患者背景を活用し, 以下のとおりとした NYHA 心機能分類クラス :II( シミュレーション期間中にクラスは変化しないと想定 ) 平均年齢:69 歳 男性:78% 左室駆出率:26% 生産性損失 本研究では生産性損失については含めないこととした 割引率 割引率は 2.0% を基本分析とし, シナリオ分析において 0% または 3.5% と仮定して検討した 費用今回検討するエプレレノンの継続投与に係る費用のみでなく 臨床上のアウトカムや将来の関連する合併症, 有害事象等の費用も含めて検討すべく, 以下の費用について, 株式会社メディカル データ ビジョン社が保有する医療データベースから算出した 1. 心不全またはその他の心血管イベントによる入院費用 2. その他のイベント費用 39

40 3. 疾患管理費用 4. 埋め込み型除細動器留置にかかる費用 5. 併用薬投与にかかる費用 それぞれの費用算出に用いた疾患定義, および定義に基づいて算出された費用について述べる なお, メディカル データ ビジョン社の医療データベースのデータセットは以下の条件とした 対象期間 :2016 年 4 月 ~2017 年 4 月対象施設 :2016 年 4 月 ~2017 年 3 月の全期間のデータを保持する施設対象患者 : 対象期間中に対象疾患で受診のある心不全患者 1. 心不全またはその他の心血管イベントによる入院費用 ( 表 6) 前述のとおり, 本研究では下記に示す心血管イベント ( 心不全を含む ) による入院について, その入院に係る費用を算出した : 心不全, 不整脈, 心筋梗塞, 不安定狭心症, 胸痛, 脳梗塞, 一過性脳虚血発作, 低血糖, 心臓タンポナーデ, 心内膜炎, 高血圧, 心臓弁膜症, 肺塞栓症, その他の閉塞性動脈硬化症および破裂動脈瘤 (1)ICD-10 コードを用いて各疾患の定義を確定 ( 表 5) (2) 対象期間中に入院および退院が完結している入院を特定 (3)(2) の入院の 最も医療資源を投入した傷病名 が集計対象の疾患である場合に, 疾患カテゴリごとに下記の項目について集計 ; 患者数の合計, 入院回数の平均, 出来高算定した場合の入院医療費の平均, 出来高算定した場合の入院医療費の標準偏差および在院日数の平均 表 5 心血管イベント ( 心不全を含む ) の疾患定義 疾患分類心不全不整脈心筋梗塞 ICD-10コード I110,I50x I44x,I45x,I47x,I48x,I49x,T462,T818 I21x,I22x,I23x,I241 40

41 不安定狭心症胸痛脳梗塞一過性脳虚血発作低血糖心臓タンポナーデ心内膜炎高血圧心臓弁膜症肺塞栓症その他の閉塞性動脈硬化症破裂動脈瘤 I200,I249 R071,R074 I63x G450,G451,G453,G454,G458,G459 E100,E110 I319 I33x,I38x,I39x I10x,I11x,I12x,I13x,I15x I05x,I06x,I07x,I08x,I34x,I35x,I36x,I391,I393 I26 I70x I219,I248,I288,I60x,I638,I67x,I710,I711,I712,I713, I714,I715,I718,I720,I723,I724,I725,I726,I728,I729, I772 41

42 表 6 心不全を含む心血管イベントの入院費用 患者数 平均入院回数 平均コスト 標準偏差 最小値 最大値 平均在院日数 心不全 32, , ,357 32,290 18,735, 不整脈 14, ,641,869 1,193,597 29,550 17,536, 心筋梗塞 不安定狭心症 胸痛 12, ,750,424 1,483,199 30,586 25,439, 脳梗塞 一過性脳虚血発作 7, ,340,934 1,244,542 52,510 15,479, 低血糖 , ,207 50,942 2,887, 心臓タンポナーデ 心内膜炎 高血圧 6, ,124,806 2,548,699 41,834 24,851, 心臓弁膜症 肺塞栓症 , ,210 99,800 6,793, その他の閉塞性動脈硬化症 3, ,099,426 1,062,647 38,590 14,984, 破裂動脈りゅう 1, ,335,886 3,037,191 40,844 19,931, 入院回数は 1 患者あたり その他の項目は 1 入院あたり 42

43 2. その他のイベント費用 ( 表 8) 下記に示すその他のイベントの治療に係る費用を表 7のとおり定義し,1 の入院費用と同じ方法で算出した ; 高カリウム血症, 低カリウム血症, 腎不全, 低血圧症および女性化乳房またはその他の乳房疾患 表 7 その他のイベントの疾患定義 疾患分類高カリウム血症低カリウム血症腎不全低血圧症女性化乳房またはその他の乳房疾患 ICD-10 コード E875,G723 E873,E876,G723,P743 E102,E112,E142,I120,N170,N171,N172,N178,N179, N181,N182,N183,N184,N185,N189,N19 I950,I951,I952,I958,I959 N60x,N61x,N62x,N63x,N64x 43

44 表 8 その他のイベントの治療に係る費用 患者数 平均入院回数 平均コスト 標準偏差 最小値 最大値 平均在院日数 高カリウム血症 , ,055 73,972 2,217, 低カリウム血症 , ,165 88,500 3,181, 腎不全 7, , ,748 49,338 11,646, 低血圧症 , ,409 51,190 2,247, 女性化乳房またはその他の乳房疾患 , , , , 入院回数は 1 患者あたり その他の項目は 1 入院あたり 44

45 3. 疾患管理費用 ( 表 10) エプレレノン群におけるエプレレノンの継続投与に係る薬剤費用は,2016 年の薬価を採用し 50 mg 錠 円,25 mg 錠 円とした 慢性心不全の退院後の外来治療に係る費用については, 以下の手順で算出した (1) 対象期間中の NYHA 心機能分類 II の初回入院日を特定 (2)(1) で特定した NYHA 心機能分類 II 以降,NYHA 心機能分類のクラスが変わる前またはデータの最終日までに心不全で外来受診した期間 (= 追跡期間 ) に関し,1 ヶ月毎の頻度でヒストグラムを作成 (3) 追跡期間中の 1 日あたりの外来医療費の平均および標準偏差をデータ区分別に集計 (4) 追跡期間中の循環器系診療科の外来受診回数の平均を,NYHA 心機能分類 II 度の初回入院退院後 90 日間と 91 日目以降から 270 日間に分けて集計 45

46 表 9 NYHA 心機能分類 II 度の慢性心不全患者における平均外来受診回数 患者数 全期間 退院後 90 日 退院後 91~270 日 合計平均受診回数 4, 循環器系診療科のみ 3, 追跡可能期間が 1 日以上の患者 表 10 NYHA 心機能分類 II 度の慢性心不全患者の外来医療費 平均コスト 標準偏差 最小値 最大値 合計 42, , ,945,012 基本診療料 ,190 管理料 2, , ,000 在宅 92, , ,019,274 投薬 34, , ,347,496 処置 20, , ,950 手術 33, , ,280 検査 10, , ,030 その他 1, , ,000 1 日あたり 46

47 4. 心臓デバイス留置に係る費用 ( 表 11) 心臓デバイス (ICD または CRT) の留置に係る医療費は,ICD CRT が実施された入院医療費 の平均として算出した 表 11 心臓デバイス留置に係る費用 平均コスト 標準偏差 最小値 最大値 植込み型除細動器 (ICD) 5,916, ,245,149 1,763,938 21,124,769 心臓再同期療法 (CRT) 2,297, ,811, ,000 21,124,769 47

48 5. 併用薬投与に係る費用 ( 表 12) 慢性心不全の治療として使用される併用薬剤の費用については, 以下の手順で算出した なお, 薬価は 2016 年 4 月改定以降の価格とした (1) 心不全に対して処方された併用薬について, グループごとに国内市場シェアを集計 (2)1 日分のコストは, 患者 薬剤 服用日ごとに ( 薬価 1 日量 ) を合計したものの平均 (3) 各薬剤グループのうちシェア 10% 以上の薬剤についてはそれぞれ個別に費用を算出,10% 未満の薬剤については合計し, 加重平均により費用を算出 表 12 併用薬に係る費用 薬剤タイプ 一般名 国内市場シェア 1 日薬価 利尿薬 フロセミド 39% 12 スピロノラクトン 21% 13 アゾセミド 16% 21 その他 24% 446 平均 118 ACE 阻害薬 エナラプリルマレイン酸塩 57% 36 イミダプリル塩酸塩 22% 43 ペリンドプリルエルブミン 11% 96 その他 10% 52 平均 46 ARB オルメサルタンメドキソミル 16% 127 テルミサルタン 16% 116 カンデサルタンシレキセチル 15% 78 アジルサルタン 11% 174 その他 42% 103 平均 113 β 遮断薬 カルベジロール 45% 45 ビソプロロールフマル酸塩 38% 49 その他 17% 28 平均 44 ジギタリス ジゴキシン 68% 9 メチルジゴキシン 26% 7 デスラノシド 6% 97 48

49 平均 14 抗不整脈薬 アミオダロン塩酸塩 27% 282 ピルシカイニド塩酸塩水和物 17% 148 リドカイン 16% 327 シベンゾリンコハク酸塩 11% 103 その他 29% 113 平均 197 抗血栓薬 ( 抗血小 アスピリン 28% 6 板薬および抗凝 ワルファリンカリウム 16% 26 固薬 ) クロピドグレル硫酸塩 12% 172 その他 44% 301 平均 158 抗コレステロー ロスバスタチンカルシウム 28% 93 ル薬 アトルバスタチンカルシウム 22% 67 ピタバスタチンカルシウム 13% 89 その他 37% 173 平均

50 6 結果 6.1 基本分析 5 章で示した条件に基づいて実施した基本分析の結果について記載する まず臨床イベントについて表 13 に示す 各群 25,000 例のシミュレーションを行った結果, 標準治療群に比較してエプレレノン群で心血管死, 心不全悪化による入院等の発生回数が減少し,EMPHASIS-HF 試験で検証された有効性が, 本モデルでも再現できたことが確認された また,QALY および LY については, エプレレノン群, 標準治療群でそれぞれ,7.16 および 8.98 年,5.61 および 7.04 年であった ( 表 14) QALY および LY のそれぞれについて, エプレレノン群で 1.55 および 1.92 年増加し, QOL の向上を伴った生存期間の延長が示された 続いて, 両群における費用について表 15 に示す エプレレノン群の費用総額は 7,992,261 円, 標準治療群では 7,110,536 円となり, エプレレノン群で 881,725 円, より多くの費用がかかることが示された 治療継続に係る費用や併用薬の投薬費用, デバイスの費用においてエプレレノン群で多くの費用が多くかかっており, 生存期間の延長に伴ってこれらの増加が生じたと推察される 以上の結果から ICER 増分費用効果比を示したのが表 16 である 1QALY 増加させるために必要な費用は 570,270 円となり, 標準治療を受けている日本人慢性心不全患者に対して, エプレレノンを上乗せ投与することは費用対効果に優れるという結果が得られた また, 生存期間を 1 年延長するために必要な費用は 455,095 円であった 50

51 表 13 臨床イベント エプレレノン群 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 合計 イベント数心疾患イベントによ る入院 心不全悪化による入 院 心房細動の新規発症 心血管イベントによ る死亡 その他の死亡 有害事象 ICD/CRT 留置 治療中止 標準治療群 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 合計 イベント数心疾患イベントによ る入院 心不全悪化による入 院 心房細動の新規発症 心血管イベントによ る死亡 その他の死亡 有害事象 ICD/CRT 留置 表 14 質調整生存年 (QALY) および生存年 (Life Year) エプレレノン群 標準治療群 差 QALY Life Year

52 表 15 費用 ( 割引率 2.0%) エプレレノン群 標準治療群 心血管イベントによる入院費用 1,831,387 1,813,133 心不全による入院費用 1,187,190 1,464,970 エプレレノン継続投与にかかる費用 231,905 0 併用薬投与にかかる費用 1,459,275 1,144,350 デバイス留置にかかる費用 2,703,756 2,218,903 疾患管理費用 517, ,880 その他のイベント費用 ( 有害事象 ) 61,171 63,299 費用総額 7,992,261 7,110,536 表 16 増分費用効果比 (ICER) Cost per QALY 570,270 Cost per LY 455,095 52

53 6.2 シナリオ分析費用およびアウトカムについて割引率を 3.5%,0%( 割引率なし ) にした場合, および分析期間を 2 年間に限定した場合を設定し, シナリオ分析を行った その結果, 表 17 に示すとおりいずれの分析においてもエプレレノンの上乗せ投与は費用対効果に優れることが確認された 分析期間 2 年のシナリオ分析においては優位 ( ドミナント ) であった 表 17 シナリオ分析結果 割引率 3.5% 割引率 0% 分析期間 2 年 Cost per QALY 492, ,773-5,473,857 Cost per LY 395, ,836-5,323, 確率によらない感度分析 (DSA) 続いて, 表 18 に示す各パラメータをそれぞれ変動させて,DSA を実施した その結果, 図 8 のトルネードプロットに示したとおり, いずれの条件においても 1QALY 増加させるために必要な費用は 700,000 円未満であり, 本検討の結果の頑健性が確認された QALY に最も強く影響を与えたパラメータは利尿薬の薬剤費用であり, 次いで ICD または CRT の留置費用, 抗血栓薬の薬剤費用であった 53

54 表 18 確率によらない感度分析に用いる各パラメータ パラメータ 基本分析 SD 分布 下限 上限 薬剤費 エプレレノン 2,721 N/A 利尿薬 43,274 Min and Max of Drug 4, ,051 Brands ACE 阻害薬 16,731 Min and Max of Drug 13,059 35,216 Brands ARB 41,328 Min and Max of Drug 28,324 63,597 Brands β 遮断薬 15,991 Min and Max of Drug 10,404 17,880 Brands ジギタリス 4,985 Min and Max of Drug 2,558 35,528 Brands 抗不整脈薬 72,104 Min and Max of Drug 37, ,599 Brands 抗血栓薬 ( 抗血小板薬および抗凝固薬 ) 57,533 Min and Max of Drug 2, ,927 Brands 抗コレステロール薬 42,594 Min and Max of Drug 24,391 63,108 Brands 併用薬使用割合利尿薬投与割合 85% Beta 84.0% 86.2% ACE 阻害薬投与割合 50% Beta 48.2% 51.4% 54

55 ARB 投与割合 37% Beta 35.2% 38.2% β 遮断薬投与割合 82% Beta 81.2% 83.6% ジギタリス投与割合 14% Beta 12.9% 15.1% 抗不整脈薬投与割合 22% Beta 20.9% 23.5% 抗血栓薬投与割合 88% Beta 87.2% 89.2% 抗コレステロール薬投与割合 51% Beta 49.1% 52.3% 心臓デバイス留置 ICD 留置にかかる費用 5,916,452 2,245,149 + or - 30% 4,141,516 7,691,387 CRT 留置にかかる費用 2,297,237 1,811,590 + or - 30% 1,608,066 2,986,408 ICD 留置割合 81% Beta 79.8% 82.3% CRT 留置割合 50% Beta 48.4% 51.6% ICD 留置期間 5 Min and Max of source 2 9 CRT 留置期間 6.5 Min and Max of source 5 8 心血管イベント発症割合不整脈 28% Beta 24.6% 31.2% 心筋梗塞 不安定狭心症 胸痛 32% Beta 28.8% 35.7% 脳梗塞 一過性脳虚血発作 12% Beta 10.1% 14.9% 低血糖 8% Beta 5.7% 9.5% 心臓タンポナーデ 心内膜炎 高血圧 14% Beta 11.8% 16.9% 心臓弁膜症 肺塞栓症 1% Beta 0.2% 1.2% その他の閉塞性動脈硬化症 5% Beta 3.5% 6.6% 破裂動脈りゅう 0% Beta 0.0% 0.6% 55

56 心血管イベントによる入院費用心不全 988, ,357 Normal 691,645 1,284,484 不整脈 1,641,869 1,193,597 + or - 30% 1,149,308 2,134,430 心筋梗塞 不安定狭心症 胸痛 1,750,424 1,483,199 + or - 30% 1,225,296 2,275,551 脳梗塞 一過性脳虚血発作 1,340,934 1,244,542 + or - 30% 938,654 1,743,214 低血糖 424, ,207 + or - 30% 297, ,914 心臓タンポナーデ 心内膜炎 高血圧 2,124,806 2,548,699 + or - 30% 1,487,364 2,762,248 心臓弁膜症 肺塞栓症 997, ,210 + or - 30% 698,597 1,297,394 その他の閉塞性動脈硬化症 1,099,426 1,062,647 + or - 30% 769,598 1,429,253 破裂動脈りゅう 3,335,886 3,037,191 + or - 30% 2,335,120 4,336,652 その他のイベント費用高カリウム血症 - 入院なし or - 30% 609 1,131 高カリウム血症 - 入院あり 465, ,055 + or - 30% 325, ,837 低カリウム血症 - 入院なし or - 30% 609 1,131 低カリウム血症 - 入院あり 675, ,165 + or - 30% 473, ,780 腎不全 - 入院なし or - 30% 609 1,131 腎不全 - 入院あり 904, ,748 + or - 30% 632,969 1,175,513 低血圧症 - 入院なし or - 30% 609 1,131 低血圧症 - 入院あり 356, ,408 + or - 30% 249, ,396 検査 10,933 10,942 + or - 30% 7,653 14,213 56

57 Cost of Diuretic Cost of ICD Cost of Antithrombotic drug (antiplatelet or oral anticoagulant) Cost of heart failure hospitalisation Cost of CRT Cost of Biochemistry Cost of Lipid-lowering agent Cost of Antiarrhythmic drug Cost of ARB Cost of ACE inhibitor Cost of GP visit Cost of Beta-blocker Cost of Digitalis glycosides Cost of Hyperkalemia - hospitalised Cost of Cardiology Myocardial Infarction, Unstable Angina or Chest Pain.. % Receiving Antiarrhythmic drug Cost of Renal failure - hospitalised Arrythmia % Receiving Lipid-lowering agent 450, , , , , ,000 Lower bound Upper bound 図 8 トルネードプロット 57

58 6.4 確率的感度分析 (PSA) 本研究はいくつもの不確実性を有するパラメータを用いたモデル分析であることから, 結果の頑健性を保証することを目的として PSA もあわせて行った 本分析では, 増分効果および増分費用を 100 回ランダムに発生させ, それぞれの結果を散布図として図に示した 図 9に示すとおり, いずれの分析においても, 我が国の支払い意思額 (WTP) の目安を 5,000,000 円と仮定した直線より明らかに下回っており, エプレレノンの上乗せ投与が費用対効果に優れることが一貫して示された 12,000,000 10,000,000 8,000,000 WTP = 5,000,000 増分費用 6,000,000 4,000,000 2,000,000 0 ( 2,000,000) 増分効果 (QALY) 図 9 確率的感度分析の結果 58

59 7 考察 本研究は, これまで検討されていなかった, 日本人慢性心不全患者に対しエプレレノンを追加投与した際の費用対効果について評価することを目的に実施した 慢性心不全患者の病態推移を離散イベントシミュレーションモデルにて表し, 医療経済評価研究における分析手法に関するガイドライン (ver 年 3 月 29 日 ) 23 で推奨されている一般的な分析手法を用いて基本分析を行った結果,QALY を指標とする増分費用効果比 (ICER) は 570,270 円となり, 本剤の心不全患者に対する使用は費用対効果に優れるという結果が得られた 割引率および分析期間を変動させたシナリオ分析でも傾向は変わらず, 分析期間を 2 年とした検討では優位であった また, 薬剤経済評価研究において重要である感度分析について,DSA および PSA の 2 つの方法で実施したところ, いずれも基本分析の結果に大きく影響しなかったことから, 本研究で得られた結論の頑健性が確認された エプレレノンの心不全に対する適応症は 2016 年に我が国で承認取得されたばかりであり, 今後の実臨床での使用と, それによる臨床アウトカム向上が期待されるところである 今回の研究の結果は, エプレレノンが近い将来, 標準治療として日本の慢性心不全治療に導入されることを薬剤経済性の観点から強く後押しするものと考える 我が国における慢性心不全の治療ガイドラインは 2010 年以降更新されておらず,EMPHASIS-HF 試験や J-EMPHASIS-HF 試験の結果を反映したアルドステロン受容体拮抗薬の評価, 推奨に至っていないのが現状である 次回の診療ガイドライン改訂時には, 上記の臨床試験に加えて, 費用対効果も考慮した評価が盛り込まれること, その際に本研究が正しく活用されることを期待する 本項では, いくつかの観点から本研究の科学的妥当性や意義について考察したい 薬剤経済評価研究の重要性 第 1 章で論じたとおり, 我が国の保健医療制度の持続可能性を維持することは喫緊の政策課題 であり, 特に近年高騰を続けている新しい医療技術を適切な形で社会に導入することは重要であ 59

60 る その観点から, 新しい薬剤や医療機器の有用性を, 臨床上の有効性や安全性だけでなく, 財政に対するインパクトも合わせて総合的に評価することの重要性が増してきており, 医療技術の費用対効果評価を薬価制度に導入するための検討が進められている 22 既に, 英国をはじめとする海外諸国では, 医療技術評価を政策の意思決定に応用する仕組みが確立しており, さらに NICE ( 国立医療技術評価機構 ) では, 費用対効果に基づいた医薬品の使用ガイダンスが発出され, 治療方針にも大きな影響を与えている 一方日本では,2016 年から費用対効果評価の試行的導入として, 複数の薬剤および医療機器の評価が開始された段階であり, 実際の政策応用に至っていないのが現状である こうした状況を危惧する声は高まっており,2017 年 11 月に開催された中央社会保険医療協議会総会の場においても, 費用対効果を踏まえた治療ガイドラインの作成を国が主導して推進するよう健保連からの提言があった 50 本研究は, 今後の医療技術評価の我が国への導入に向けて, 研究手法ガイドライン 23 に沿った研究事例をひとつ追加するという点でも意義のあるものと考える また, 新しく適応症を取得した直後の薬剤の経済性を評価した検討である点や, 入院費用や疾患処置費用, 薬剤費用などを推計値ではなく医療データベースから抽出される実データを用いた検討であり, 我が国の医療環境を反映した薬剤経済評価という点からも, 有益性の高い検討と言えよう モデルを用いた分析の妥当性今回の研究では, 慢性心不全を対象にエプレレノンを評価した EMPHASIS-HF 試験のデータをそのまま活用した分析ではなく, 当該試験に基づいて離散イベントシミュレーションモデルにより仮想的な患者集団を構築し, その長期予後を予測することで経済性評価を行った 1.5 項で論じたとおり, 薬剤経済評価研究においては, 対象とする医薬品や医療技術の価値を評価するために 十分に長い分析期間 を設定することがガイドラインで推奨されている 23 今回の研究対象とした慢性心不全の患者は, 通常数年にわたり治療が継続されるため, 生涯にわたる期間 の病態推移や, 治療介入の効果と安全性, それらに係る費用を評価することが理想である しかしながら通常の臨床試験では, 対象とする医薬品の有効性や安全性を評価するために最低限必要な期間 60

61 が設定されるため, 長期のデータは取得できていないことが多い 特に EMPHASIS-HF 試験では, 試験期間中に実施した中間解析でエプレレノンの有効性が確認されたことから, 予定よりも早く ( 観察期間の中央値 :21 か月 ) 臨床試験が終了している また, 医療技術の進化が非常に早く進む現代においては, 仮に臨床試験での観察期間の十分に長い期間設定し評価を行っても, 試験の結論が出る時点で治療方針そのものが変わっていることも考えられる このような観点から, 本研究では臨床試験で得られた実データではなく, それらに基づくモデルを構築し, 死亡に至るまでの期間, すなわち生涯にわたる期間を分析した また, モデルの構築にあたっては,Caro らはコホートアプローチ方法が適切なのは, 人口特性が移行確率に影響しない場合や, 競合するリスクがなく, 時間や病歴などの相互作用を反映する必要がない場合であり, 薬剤経済評価において, それらの条件を満たすことは稀であると論じている 50 今回の研究で対象とした慢性心不全患者においては, 年齢や合併症などの人口特性が予後のリスクに影響すること, 例えば入院回数の増加が死亡に至る確率を増加させるといった競合リスクが存在する したがって, 長期予後のリスクが変動しないと仮定してシミュレーションを行うマルコフモデルではなく, 離散イベントシミュレーションモデルを用いたことは, 科学的に妥当であると判断できる モデル化した仮想症例数の設定根拠本研究では, 標準治療群とエプレレノン群をそれぞれ 25,000 例ずつシミュレーションして分析を行った 一般的にシミュレーションモデルを用いて分析を行う場合, 仮想症例における不確実性 ( 同じパラメータを入れても異なるアウトプットが出されること,first-order uncertainty) を最小化するためには, 可能な限り大きなサイズで検討を行うことが推奨されている 52 先行研究では事前検討が行われており, 表 19 の結果から,25,000 例のシミュレーションを行うことが, 標準偏差を最小化し, 精度高く安定した結果を得るために必要十分と判断した これによりベースラインの患者背景は両群間で一致し, 表 13 で示した臨床イベントにおける両群の差は, 介入した治療効果, すなわちエプレレノンを上乗せした際の影響として見ることができる 本研究では, 61

62 この検討結果を踏襲し, 各群 25,000 例のシミュレーションにて評価を実施した 表 19 コホートサイズの検討 (Lee より提供 ) コホートサイズ平均 ICER 標準偏差 (5 回試行 ) 5,000 3, ,000 3, ,000 3, アウトカム指標について分析手法ガイドラインでは, 薬剤経済評価に用いるアウトカム指標としては, 分析者が最も適すると考えるアウトカム指標を用いて良いが, 疾患や技術によらず使用できる共通尺度として質調整生存年 (QALY) を用いた分析を可能な限り含めることが推奨されている また, 生存期間に影響を及ぼす医療技術については, 生存年 (LY) での評価もあわせて提示することが望ましいとされている 今回の検討では,QALY および LY の両方を用いて評価を行い, いずれの分析においても費用対効果に優れることを示した QALY を算出する際の QOL 値 ( 効用値 ) に関しては, データソースとして引用した EMPHASIS-HF 試験では情報を収集しておらず, また, 残念ながら日本人心不全患者の QOL について利用可能な文献データを見出すことは困難であった したがって, 本研究の対象集団における QOL と, イベント発生に伴う QOL 値の変動については, 先行研究にて使用された海外での検討結果 49 を引用し,EMPHASIS-HF 試験の患者背景データから算出することで代用した 今後我が国でも様々な疾患で日本人の効用値を定める研究が進み, 広く利用できる仕組みが確立されれば, 薬剤経済評価研究の質はさらに向上することが期待される 今回の研究における臨床アウトカムは, EMPHASIS-HF 試験で評価されていた臨床イベントをすべて採用した 一般的に循環器疾患の臨床試験では, 死亡率などのハードエンドポイントが重視されるが, 近年の医学の進歩により標準治療の質が改善され, 新規技術の介入による効果を測るためには, 死亡だけでなくその他の臨床的に重要なイベントを複合的に組み合わせて, 複合エ 62

63 ンドポイントとして評価項目とすることが主流となっている 第 1 章で述べたように, 今回対象とした慢性心不全の予後としては, 死亡は当然のこと, 心不全が悪化することによって生じる 入院 も重要な臨床イベントと捉えられている また, 死亡の中でも心血管イベントに起因する死亡は重要であり, その内訳として, 不整脈, 心筋梗塞, 不安定狭心症, 胸痛, 脳梗塞, 一過性脳虚血発作, など主たる心血管イベントを網羅的に評価することで臨床試験の質が担保される EMPHASIS-HF 試験では, 心血管イベントによる死亡と心不全悪化による入院の複合エンドポイントが主要評価項目として設定されていたため, 分析の正確性や網羅性を向上させる目的から, 本研究ではそれら一つひとつのイベントに対する費用を算出した 有効性および安全性データとして海外試験成績を用いたことの妥当性今回の研究においては, 慢性心不全に対するエプレレノンの有効性および安全性データとして, 海外で実施された臨床試験である EMPHASIS-HF 試験の成績を活用した 我が国の医療経済評価研究のガイドラインでは, 当該データは 1) エビデンスレベルが高く, かつ現実の臨床成績を反映しているものを優先的に使用すること, および 2) 国内外で有効性 安全性に明確な異質性が存在する場合には国内データを優先すること, が推奨されている 本項では有効性および安全性データとして海外試験成績を用いたことの妥当性を以下に論じたい まず, 我が国の慢性心不全治療ガイドラインと,ESC の心不全ガイドライン 43 および米国の心不全管理ガイドライン 45 において, 心不全の定義や診断に大きな違いはなく, 薬物治療に関しては,1.3 項に示したとおり他の薬物治療の使用方針についても同様とみなすことができる また,ESC および米国のガイドラインでは,ACE 阻害薬 ( または ARB) およびβ 遮断薬が既に投与されている NYHA 心機能分類 II から IV 度の心不全患者に対し, アルドステロン受容体拮抗薬の使用を推奨している 一方で我が国のガイドラインでは, アルドステロン受容体拮抗薬の推奨は重症心不全のみに限定されており, 軽症心不全への使用は推奨されていない これは,2010 年のガイドラインの発行時点では,EMPHASIS-HF 試験成績が未公表であったことが理由と考えられるため, 国内外の慢性心不全の薬物治療環境に大きな違いはないと言える 63

64 Tsutsui らが実施した J-EMPHASIS-HF 試験は,EMPHASIS-HF 試験と同様のデザインではあるものの, 慢性心不全患者の予後を主要評価項目として優越性を検証するには数千例規模の試験が必要であり, 日本単独でそのような大規模な臨床試験の実施は困難であった したがって J-EMPHASIS-HF 試験は,EMPHASIS-HF 試験と同じ主要評価項目を設定し, 実施可能な症例数において当該試験と一貫した結果が得られることを確認することで,EMPHASIS-HF 試験の結果が日本人慢性心不全にも外挿できる, という方針で実施された EMPHASIS-HF 試験および J-EMPHASIS-HF 試験に組入れられた被験者の患者背景に関しては, 性別や年齢の分布は概ね類似していた 一方で, 腎機能低下患者の割合は日本人の方が高く, また, 心不全の主たる成因のうち, 虚血性心不全の割合は EMPHASIS-HF 試験では約 7 割, J-EMPHASIS-HF 試験では約 3.5 割と外国人で高い傾向が見られた J-EMPHASIS-HF 試験の結果, 有効性の主要評価項目である 心血管死または心不全悪化による入院 について,EMPHASIS-HF 試験と同様の傾向が示された しかしながら 全死亡 と 心血管死 の発現は, プラセボ群に比べてエプレレノン群で多い傾向であった この要因については, 一部の背景因子の偏りや, プラセボ群の全死亡の発現割合が国内の既発表データに比較して低かったこと, 十分な症例数ではなかったこと等が関与している可能性が挙げられる これらを踏まえ, 有効性の主要評価項目や副次評価項目において, 両試験で同様の傾向が示され, 安全性の観点から大きな懸念となる事象が確認されなかったことから,EMPHASIS-HF 試験の結果は, 日本人慢性心不全患者にも適用できると結論付けられている 以上の議論から, 本研究の有効性および安全性のデータソースとして, 海外臨床試験 (EMPHASIS-HF 試験 ) の結果を用いることは妥当であると判断できる 日本の医療環境を反映した分析の重要性第 2 章で示したとおり, 慢性心不全に対するエプレレノンの費用効果分析は, 欧州を中心とする複数の国で実施されている 今回と同様の分析手法を用いて分析した, 英国, スペイン, ギリシャの基本分析結果を表 20 に示す いずれの国においても結果の傾向は類似しており, エプレ 64

65 レノンがどの医療環境においても一貫して費用対効果に優れることが示唆された 一方, 費用に関しては, 英国における標準治療群およびエプレレノン群の費用は, それぞれ 14,275 ポンド (2,124,120 円 ) および 18,559 ポンド (2,761,579 円 ), 日本の基本分析では 7,110,536 円および 7,992,261 円 ( 表 15) と 500 万円程度日本の費用が高いことが示された 薬剤費用, 心不全悪化あるいは心血管イベントによる入院費用, 心臓デバイス留置費用など, 平均的に日本の費用の方が高く, 医療費の高さで特徴づけられる我が国の医療環境を反映した結果と言える また, 第 5 章の方法に記載したとおり, 心血管イベントに関連した入院費用や, デバイス留置に係る費用, 疾患管理費用などは標準偏差が非常に大きく, イベント発生時の状態や処置の内容によって大きく変動することが推察される このように, 各国で導入されている医療制度とその運用方法によって, 対象疾患の診断や治療に係る費用に多様な差異が生じることから, 着目する国の医療環境を適切に反映したうえで薬剤経済評価を行うことは重要と考える 日本 表 20 各国の増分費用効果比 46 英国 Cost per QALY 570,270 円 3,520 ポンド (523,776 円 ) Cost per LY 455,095 円 2,825 ポンド (420,360 円 ) スペイン 46 ギリシャ 47 5,532 ユーロ (734,650 円 ) 4,431 ユーロ (588,437 円 ) 1,624 ユーロ (215,667 円 ) 1,301 ユーロ (172,773 円 ) 1 ポンド =148.8 円,1 ユーロ =132.8 円と換算 (2017 年 11 月現在 ) スピロノラクトンの費用対効果について本研究では, アルドステロン受容体拮抗薬としてエプレレノンを用いて薬剤経済評価を行ったが, 重症心不全患者に対してはスピロノラクトンも推奨され,2009 年時点で 42.2% の日本人慢性心不全患者に広く使用されている 年薬価改定時のスピロノラクトン 25 mg 錠の薬価は 円, エプレレノン 25 mg 錠は 円であることから, スピロノラクトンによる上乗せ投与の方が, より費用対効果に優れる可能性は考えられる 一方で,1.3 章で論じたとおり, スピロノラクトンは重症心不全を対象とした臨床試験成績しか得られていないこと, 性ホルモン関連有害 65

66 事象の発現が多く確認されており, それらが費用にも影響し得ることから, アルドステロン受容 体拮抗薬同士の費用対効果について論じることは困難である 66

67 8 本研究の限界 本研究で得られた結果を適切に評価する上で, 研究の限界について認識することは重要である まず, 本研究は実測データではなく, モデリングによるデータを用いた分析であるため, 特にエプレレノンの長期使用時の有効性や安全性については不確実性が残る 考察でも論じたように, 今回対象とした慢性心不全における薬剤経済評価では 生涯にわたる期間 を分析することが重要であり, 臨床試験からは取得が困難であったためモデルを活用する必要があったこと, また, 確率的感度分析によって有効性や安全性のパラメータを変動させた分析においても, 基本分析の結果から大きく変化せず結論が変わらなかったことは, 本検討の結果を支持するものと考える 将来的に日本の実臨床下でのエビデンスが蓄積され, 長期使用時の安全性や有効性が実際のデータとして取得できる環境となった時点で, それらを用いた検討を再度行うことは有用と考えられる また, 今回の研究では, 海外大規模臨床試験である EMPHASIS-HF 試験に組み入れられた患者集団を基に, 慢性心不全患者をモデル化した 当該試験の患者集団は疫学情報から得られる心不全患者に比較して, 平均年齢が若く, また, 厳密な組入れ基準に適合した患者であるため合併症が比較的少ないという特徴がある したがって, 外的妥当性の観点から結果の解釈には留意する必要がある さらに, 上述のとおり本研究では EPMHASIS-HF 試験の対象患者をモデル化して検討を行ったことから,NYHA 心機能分類 II 度, すなわち軽症から中等症の心不全患者が対象である したがって, 重症心不全患者にエプレレノンを投与した際の薬剤経済性については検討できておらず, その費用対効果は不明である ただし, 重症 ( 急性増悪した ) 心不全患者に対しては, 呼吸や血行動態の改善, 安定化を目的とした処置も多く実施されることが予想されるため, 長期間に渡る薬物治療以外の要素が大きく影響する可能性も考えられる 同様に, 薬物療法が中心的な役割を担うのは軽症から中等症の心不全患者であり, エプレレノンも当該患者集団を中心とした利用が期待されるため, 本研究は実臨床で予想される本剤の使用実態に即した検討であったと考える 67

68 本研究においては, 一貫して公的医療費支払い者の立場で分析を実施した したがって, 心不全による入院に伴って発生する収入の損失や, 年金支払, 介護施設費などの間接費用については含めていない 慢性心不全患者の年齢層を考慮すると, 介護に係る費用などは大きな部分を占める可能性もある 68

69 9 結論 薬剤による治療が臨床上重要な位置を占める慢性心不全において, ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬であるエプレレノンは, 標準薬剤治療への追加投与により予後改善効果が立証されている 保健医療制度の持続可能性が懸念される中, 経済性も考慮した薬剤経済評価研究は重要である QALY をアウトカム指標とし, 我が国の医療環境を反映した離散イベントシミュレーションモデルによる費用効果分析を実施した結果, 標準治療へのエプレレノンの追加投与による増分費用効果比は 570,270 円 /QALY と, 我が国の支払い意思額 (WTP) の目安上限を大きく下回り, 費用対効果に優れることが示された 感度分析においても結果の大きな変動は認められず, 分析の頑健性が確認され, 欧州各国での研究結果との傾向の類似性も示された これらの結果から,ACE 阻害薬や ARB,β 遮断薬などの標準治療を受けている日本人慢性心不全患者に対してエプレレノンを上乗せ投与することは, 有効性や安全性といった医学的な観点のみならず, 経済性の観点からも優れており, 慢性心不全治療に対する選択肢として有用であると考えられた 本研究により, エプレレノン日本の慢性心不全治療の標準治療として導入され, 実臨床での使用が促進され, 臨床アウトカムの向上に寄与することを期待したい 69

70 10 謝辞 本研究の実施や本稿作成にあたり, 懇切なご指導ならびにご支援をいただきました国際医療福 祉大学大学院医療福祉学研究科の先生方に深甚の謝意を表します 70

71 11 文献一覧 1. Okura Y, Ramadan MM, Ohno Y, et al. Impending epidemic: future projection of heart failure in Japan to the year Circ J. 2008;72(3): 松崎益徳ら. 慢性心不全治療ガイドライン (2010 年改訂版 ) 3. Shiba N, Shimokawa H. Chronic heart failure in Japan: implications of the CHART studies. Vasc Health Risk Manag. 2008; 4: Tsutsui H, Tsuchihashi-Makaya M, Kinugawa S, et al. Clinical characteristics and outcome of hospitalized patients with heart failure in Japan: rationale and design of Japanese Cardiac Registry of Heart Failure in Cardiology (JCARE-CARD). Circ J. 2006; 70: Shiba N, Watanabe J, Shinozaki T, et al. Analysis of chronic heart failure registry in the Tohoku district: Third year follow-up. Circ J. 2004; 68: Goodlin SJ. Palliative care in congestive heart failure. J Am Coll Cardiol. 2009;54(5): The CONSENSUS Trial Study Group. Effects of enalapril on mortality in severe congestive heart failure. Results of the Cooperative North Scandinavian Enalapril Survival Study (CONSENSUS). N Eng J Med. 1987; 316: The SOLVD Investigattors. Effect of enalapril on mortality and the development of heart failure in asymptomatic patients with reduced left ventricular ejection fractions. N Eng J Med. 1992; 327: The SOLVD Investigators. Effect of enalapril on survival in patients with reduced left ventricular ejection fractions and congestive heart failure. N Eng J Med. 1991; 325: Jong P, Yusuf S, Rousseau MF, et al. Effect of enalapril on 12-year survival and life expectancy in patients with left ventricular systolic dysfunction: a follow-up study. Lancet. 2003; 361: Pitt B, Poole-Wilson PA, Segal R, et al. Effect of losartan compared with captopril on mortality in patients with symptomatic heart failure: randomised trial--the Losartan Heart Failure Survival Study ELITE II. Lancet. 2000; 355: Cohn JN, Levine TB, Olivari MT, et al. Plasma norepinephrine as a guide to prognosis in patients with chronic congestive heart failure. N Eng J Med. 1984; 311: Packer M, Bristow MR, Cohn JN, et al. The effect of carvedilol on morbidity and mortality in patients with chronic heart failure. U.S. Carvedilol Heart Failure Study Group. N Eng J Med. 1996; 334: Packer M, Coats AJ, Fowler MB, et al. Effect of carvedilol on survival in severe chronic heart failure. N Eng J Med 2001; 344: Staessen J, Lijnen P, Fagard R, et al. Rise in plasmaconcentration of aldosterone during long-term angiotensin IIsuppression. The Journal of endocrinology. 1981; 91: 森山美知子. 自治体の国民健康保険 後期高齢者医療制度医療 介護費分析から見えてくる医療費の使われ方. 経済 財政一体改革推進委員会社会保障ワーキング グループ第 8 回会 71

72 議資料 年 3 月 31 日. ( アクセス日 : 2017 年 10 月 10 日 ) 17. World Health Organization s Ranking of the World s Health Systems. ( -the-worlds-health-systems/ アクセス日 :2017 年 10 月 28 日 ) 18. 国立社会保障 人口問題研究所 : 平成 26 年度社会保障費用統計 ( アクセス日 :2017 年 10 月 28 日 ) 19. 厚生労働省保険局調査課 : 平成 27 年度医療費の動向 ( アクセス日 :2017 年 10 月 28 日 ) 20. 財務省主計局 : 社会保障 ( s/material/zaiseia270427/01.pdf アクセス日 :2017 年 10 月 28 日 ) 21. 厚生労働省中央社会保険医療協議会薬価専門部会 : 薬価改定の経緯と薬剤費及び推定乖離率の年次推移 ( アクセス日 :2017 年 10 月 28 日 ) 22. 厚生労働省中央社会保険医療協議会 : 第 334 回総会議事録 ( アクセス日 :2017 年 10 月 28 日 ) 23. 医療経済評価研究における分析手法に関するガイドライン. 厚生労働科学研究費補助金 ( 政策科学総合研究事業 ) 医療経済評価を応用した医療給付制度のあり方に関する研究 ( 研究代表者 : 福田敬 ) 平成 24 年度総合研究報告書 白岩健. 医療経済評価研究における分析手法に関するガイドライン の解説. 保健医療科学. 2013; 62(6): Drummond MF, Sculpher MJ, Torrance GW, et al. Methods for the economic evaluation of health care programmes. third ed. Oxford: Oxford University Press; Gold MR, Siegel JE, Russell LB, et al. Cost-Effectiveness in Health and Medicine. NewYork: Oxford University Press; 日本製薬工業協会データサイエンス部会 2014 年タスクフォース 3. 医薬品の価値の科学的な評価 -データサイエンス担当者のための費用対効果評価の現状と手法の解説-. ( アクセス日 :2017 年 11 月 2 日 ) ( アクセス日 :2017 年 11 月 2 日 ) ( アクセス日 :2017 年 11 月 2 日 ) ( アクセス日 :2017 年 11 月 2 日 ) 72

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