242 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 {1998 (76 ) 表 1 傷寒論六経の病証と主方太陽病 : 表証, 熱証一麻黄湯, 桂枝湯陽頭項強痛, 発熱悪寒無汗, 或は発熱悪風汗出 ) 明病 : 胃家実, 実熱証一白虎湯, 承帰湯身大熱, 汗多煩渇, 腹満痛, 大便難, 潮熱, 譫

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ひでかかわらい
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1 (75 ) 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 , 総説滋陰剤 9 るついて松本克彦 Drugs fdr NourishingYin Katsuhiko MATSUMOTO M.D.Hyogo lnstitute fororコcma Medicine,1 1 lhigashiohmono chq,amagasaki.hyogo Japan Abstract NourishingYin mcan to moistel1 } il ユ.and ul 虻 1mately i is 且 he use Qf a Kampo fumlu ]ation to sup Plcm n 亘 b dy fl id.s n1 g uuh f rnml ti n ch 1 gi lly,th 融 t p 脚 w B kum d t By kk k 跏 ji 1 a e 恒 f th Sh g h t nd th th H himi 9 whi h w s eg d d Yi Yang formulation with a lonlc effcet.after that there fol[owed Sejshin renshi in in Fo ロ nulations 跚 d Pham1 乱 cq P ni, d h uh ame tim,ina 亀 b k fp di tri w it by Qi n Yi R k mi 9 w men1i d t b avai ]able as ヨ sub for1 ユ lulation of Hachi 皿 i iq gan.slibsequent]y in the 卜 {ing era many fo 叮 nulations appeared, cslablishing [hc concep [ of nourishing Yin and trealment of clerring away heal cvi Jlin koka Q as an overal ] trcatment,e nd fol. ernahza 竃 ion. as rcpresentat1 c The diagnoscsof Yin de 且 clency in whlch these drugs for nourishing Yin are indicatedare as fouows l thinnes and sk 垂 l/ dryness through vislla ]obscrvation mou ヒ h dryness weakness of legs and waist.and viscous spu ヒ umby inlerview The eas ]est diagnosisis by tonguediagnosis mainly }nobserving the r luctionof he coating of the tongue and 且 tr phy of the tongue Yirldeflo 沁 11cy ls generany foundin aging diabe 監 e and chron 孟 c intlammatorydiseases.thissecrns tq take on a vcry import lllt meaning for K ヨ mp {> treatment in thisagipg society ノ W 川 τo ぎ o / 9aku Z 1 hi ( apanese Jounlal ot OrientalMedicine },49 (2), ,1998 (Accepted ; 14 Feb り 1998 はじめに滋陰を文字通り解釈すると陰を滋 { 潤 ) するという意味になり. この陰には広義には血と津液が含まれるが, 狭義には津液を潤す滋陰剤と, 血を補う補血剤とに分けられるただここでは現代の中医学にならって主に津液を潤す力剤として考えていきたい即ちこの適応となる陰虚とは, 慢性的な水分欠乏状態を指し, 客観的にはるい痩, 皮膚の乾燥, 舌苔の欠乏, 舌質の萎縮などがその特徴となるまたこれに伴う陰虚陽亢とは, 脱水による機能亢進症状で 1 いらいら, 微熱, 心悸亢進, 血圧の上昇などが見られ, 相対的な交感神経緊張状態ともいえるが, こうした状態を抑えるには, 水分の補給保持が必要となり, これを滋陰降火といっている c 医, 兵庫県立東洋医学研究所, 兵庫, 66D 0828 尼崎市東大物町年 2 月 14 H 受理ユ

2 242 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 {1998 (76 ) 表 1 傷寒論六経の病証と主方太陽病 : 表証, 熱証一麻黄湯, 桂枝湯陽頭項強痛, 発熱悪寒無汗, 或は発熱悪風汗出 ) 明病 : 胃家実, 実熱証一白虎湯, 承帰湯身大熱, 汗多煩渇, 腹満痛, 大便難, 潮熱, 譫語 ) 少陽病 : 半表半裏, 熱証一小柴胡湯 { 往来寒熱 1 胸脇苦満, 心煩喜嘔, [rg 咽乾, 目眩 ) 太陰病 : 脾虚湿熱, 裏証一理中湯腹満而吐, 食不ド, 自利益甚, 時に腹自痛, 口不渇 ) 少陰病 : 陽虚, 裏寒虚衰一四逆湯, 真武湯 { 日欲寝, 心煩, 自利而渇, 小便色白 ) 厥陰病 : 寒熱錯雑裏証一当帰 Fq 逆湯, 烏梅丸消渇, 気上撞心, 心中疼熱, 飢而不欲食, 食即吐蛻 ) 熱陽病攤寒 s 陰 ( 臓 ) 病 { 辭図 1 病態の経時的変化傷寒論六経理論 ) 漢代傷寒論, 金匱要略さて漢代の傷寒論では陽病かへら陰病という病態の変化を六経に分け, 各々における病状と対する処方を呈示したことで有名であるが, この中には滋陰剤は含まれていないつまり六経の陰陽論によれば ( 表 1 図 1 ) 陰病の時期には陽虚陰盛となり, 必然的に寒と水飲が主となるため, 対する処方は温熱と珊水になるが, ここでは陰虚即ち脱水症状は見られず従って陰虚陽亢となる虚熱の状態も入る余地がないしかし当時陰虚或いはこれに対する滋陰剤がなかったかというとそうではない金匱要略の碣の病には暑が欝して火逆咳嗽となった場合の処方として麦門冬湯があり, 消

3 (77 ) 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 (1998) 243 表 2 金匱要略後漢張仲景 ) 処方 :262 処方臓腑, 経絡先後の病の脈証と治痰飲, 咳嗽の病の脈証と治痙, 湿, 賜消渇, 小便利, 淋ウク百合, 狐惑, 陰陽毒! y ク水気瘧黄疸ク中風, 歴節血痺, 虚労クウ驚悸, 吐衂下血, 胸満, 癌血嘔吐, 藏, 下痢肺痿, 肺癰, 咳嗽, 上気奔豚気胸痺, 心痛, 短気腹満, 寒疝, 宿食五臓の風寒, 積聚 t / ク瘡癰, 腸癰, 浸淫趺蹶, 手指臂腫, 転筋, 陰狐疝, 就虫婦人妊娠婦人産後婦人雑病クウ渇による陰虚証に対しては白虎加人参湯が挙げられているが, これらの処力中に麦門冬, 石膏, 知母といった滋陰或いは滋陰降火の主薬がすでに出そろっている ( 表 2 ) しかしこれらは婦人病に対する補血剤と同じく, 傷寒六経の理論に当てはまらないため, 雑病として金匱要略中に組み込まれたのであるただこれらの処方についての條文或いは口訣はすでによく知られているのでここでは割愛する宋代和剤局方, 小児薬証直訣続く和剤局方中には気血の剤は多いが滋陰剤は少ないただ痼冷篇に付されている消渇に対する処方として清心蓮子飲がある. これについての條文の一部を抜粋してみると以下のごとくである大平恵民和剤局方裴宋元陳師文編痼冷 ( 附消渇 ) 清心蓮子飲心中蓄積して時常に熕燥しヒ盛下虚, 心火炎上し, 肺金剋を受け, 口舌乾燥して漸く消渇となる睡臥して不安, 四肢倦怠, 男.. は五淋, 婦人は帯下赤白 c, 薬性温平, 不冷不熱, 常に服して神を養う人参黄蓍 ( 補気, 麦門冬蓮肉 ( 滋陰 ), 黄苓二地骨皮 ( 清熱 ), 茯苓車前了 ( 利水 ), 甘草條文は明らかに陰虚証であるが気陰両虚に対する方剤ともいえ, また潤して滞らせずという意味で利水剤が配されているのも次の六味丸に通じる同時に軽いながら滋陰清熱ということでは, 八味丸とは違った概念がすでに出はじめているといえようさらに滋陰剤の基本とされる六味丸であるが, 今回銭乙の原典について調べてみたこの著作と和剤局方とどちらが古いかについては, 和剤局方が何回も編纂し直されているのではっきりしたことは分からないが, おそらく数十年局方の方が古いようであるつまり, 銭乙は清心蓮子飲を知っており, これが八味丸から桂附を去って六味丸を創作するヒントになったのかも知れない小児薬証直訣銭乙著腎虚地黄丸腎怯え音を失う, 鹵開きて合わず ( 頭頂骨の縫合不全 ), 神不足し, 目中自晴多く, 面色晄白等の方地黄 ( 滋潤 ), 沢鳳滲湿 ), 山薬 ( 補脾 ), 茯苓 ( 利水 ), ILI 茱萸 ( 補肝 ), 牡丹皮 ( 涼血 ) いわゆる腎脾肝に渉る三補三瀉の名方だが, 原方はあくまで八味地黄丸で, 桂附という温薬を去り性を平にしたに過ぎない條文からみて虚弱児に対する補腎の剤として工夫されたもので, 温薬を除いたのは小児は本来熱に偏りがちなので, これを避けたのであろう現在一般的に用いられている六味地黄丸という名称は, 後代に八味地黄丸

4 244 H 本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 ll998) (781 と区別するため付けられたと思われるが. 滋陰即ち補腎という考え方及び腎陽と腎陰というといった分け方の嚆矢ともなった現在凵本では陰虚に対し八味丸が主に使われているようであるが, 胃腸障害が出ることも多く, この点六味丸の方が副作用が少なくて使い易いように思える, なおここに金匱要略中に見られる八味丸に関する記載を列挙しておく八味丸の原典金匱要略第五章 : 中風歴節病崔氏八味丸, 治脚気上入, 少腹不仁,. 第六章 : 血痺虚労病虚労腰痛, 少腹拘急, 小便不利者八味腎気丸主. 之. 第卜二章 : 痰飲咳嗽病夫短気有微飲, 当従小便去之, 苓桂朮甘湯主之, 腎気丸亦主之 1 第レ三章 : 消渇小便利淋病劣了消渇, 小便反多, 以飲一牛, 小便. 一斗, 腎気丸主之.J 第二十二章 : 婦人雑病明代万病回春問日, 婦人病飲食如故, 煩熱不得臥, 而反倚息者何也, 師ヒ亅, 此名転胞, 不得溺也, 以胞系了戻, 病, 盲腎気丸主之故致此この後中国では金元四大家が出現し, 清熱瀉火を主とする温病学派が出現するが, 最後の朱丹渓は水をもって火を清するという滋陰降火を主張したつまりは滋陰清熱という概念の確立であるが, 彼の主方とした大補陰丸は亀板などがあって使いにくく, 次の明代初期の襲延賢が万病回春の中で表した滋陰降火湯という処方によって, その精神が受け継がれ広く口本でも応用された万病回春虚労滋陰降火湯聾廷賢著陰虚火動し, 発熱咳嗽し, 吐痰喘急し, 盗汗口乾するを治すこの方と六味地黄丸を相兼ねて服すれば大いに虚労を補いて神効あり地黄当帰芍薬 ( 補血肝 ), 天門冬麦門冬滋陰肺 ), 知母黄柏 ( 瀉火腎 }, 白朮陳皮一草 ( 補脾気脾 ) 11 肝, 肺, 腎, 脾に渉るきれいな組み合わせだが, 六味丸と比較してみると, 六味丸が水を主として滋潤, 利水しているのに対し, こちらは四物湯の補血をベースとして, 知母, 黄柏によってはっきりした滋陰清熱の意図を示している六味丸と相兼ねて服するという條文は両者の滋潤と補血, 平と寒という違いを意識したものであろうが, いずれも滋陰剤の範躊に入るこいない医療用漢方製剤における滋陰剤とは間違以ヒ述べてきたように, 金匱要略, 和剤局方, 万病回春と, 滋陰剤或は滋陰清熱剤は次第に型を整え数も増えてくる今囗の医療 ]H 漢方製剤 138 処方についての出典を見ると, 傷寒金匱 64 方, 和剤局方ユ 6 方, 万病回春 18 方, その他が中国 20 方, 日本 20 方と漢代とそれ以後の処方が相トばしているこのうち滋陰薬である地黄, 麦門冬, 天門冬及び滋陰降火の知母, 石膏, 地骨皮を使用した滋陰剤についてみてみると, 滋陰剤滋陰降火剤麦門冬湯酸棗仁湯清心蓮子飲六味丸白虎加人参湯清肺湯辛夷清肺湯滋陰至宝湯滋陰降火湯消風散などが挙がってくるそしてこれらの処方はまた上焦肺, 吸ぴ鼻皮膚 ), 中焦脾胃, 下焦肝 ( 血 ) 腎に渉り, ほぼ万遍なくすべての病証に対応できるように選択されている即ち陰虚に対する認識とその診断法がしっかりしていれば, エキス漢方治療でもほぼ十分な処方が揃っていると

5 (79) 凵本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 Q998) 245 寒く一熱舌色青一淡白一淡紅紅深紅 ( 点刺 ) 苔色白黄焦黄一黒水湿く ( :: 陰 ( 津 ) 虚舌形胖大 ( 齒痕 ) 痩薄 ( 裂紋 ) 舌苔厚薄少無艫く ( ::} f M 舌色淡白癌点, 瘢斑, 紫図 2 寒熟, 水, 血と舌診の関係いえよう陰虚の診断法陰虚を来たす原因としては, 第に老化, そ L て糖尿病, 慢性炎症, : 次的にはド痢, 多尿さらには長期に渉る交感神経系の緊張状態などが挙げられ, 疾患としては動脈硬化, 肝硬変, 強皮症, 肺線維症などすべての組織の硬化が見られる疾患及び備群がその範疇に入るといえる従って診断に当たってはこうした全身状態及び疾患とステージ及び年齢や血圧の上昇などがよい指標となるが, 漢方的な四診もまた参考となる即ち望診では皮膚の乾燥, るい痩, 聞診では嗄声など, 問診では足腰の弱り, 頻尿口, 渇感, 粘稠な痰, 手掌足蹠の火照り, 或いはこれらに伴う E 気, らいら, 不眠等で, 切診によっても皮膚の乾燥, 硬化は確認されよう. ただこのうち外部の体表の状態と内部裏の状態が食い違う場合も多く, いわゆる裏の状態の診断には舌診法が簡単で目. つ客観性もあるので特にここで取り上げてみたい. 舌診法は舌質と舌苔に分けて観察し, 内部状態を推測するが, 主な性状と識別の対象となる証をい挙げると以下のようになる,, 舌質 : 舌色寒熱, 舌形津液舌態気舌形 : 苔色寒熱厚薄津液偏全臓腑血ただ陰虚及び陰虚陽亢の判別には, 特に舌苔の厚薄と舌色が重要となる = というのは舌苔についてはその変化が速く, 数日から数ケ月くらいで大きく変化することがあるのに対し, 舌質の変化は年単位とゆっくりしており, 処方選択に当っては一応舌昔の状態を指標にするのがよいように思われるからであるまた病理的には水湿は時間の経過とともに熱を帯びて湿熱となり, さらには津液を亡ぼして最終的には陰虚になると考えると整理がつきやすいが, この経過の中で陰虚と水湿が併存する場合も多く, また本来体質的に陰虚であるものが, 時的に水湿を帯びることもあるこうした場合を陰虚の上に湿が乗っていると云っているが, これらに対しては滋陰剤と利湿剤を併用する必要もでてく惹ただ. 一般的には理気, 燥湿剤と滋陰剤の併用は慎重にすべきであろう,

6 246 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 Cl998) (80 ) また寒熱についても赤味がなく同時に舌苔のない舌はよく見られ, これは陰虚陽亢はなく陰陽両虚と解すべき. であろうが, 迷う場合は血圧を参考にするのがよいすなわち陰虚陽亢であれば血圧はやや上昇傾向になるまた白っぽい舌は, 寒と共に血虚があることも考えなければならないらに舌診はあくまで裏の状態であり, 望診による体表の状態或いは疾患名, ステージ或い見などとも併せて診断すべさは検査所きであろう,. いずれにせよ現代医学にはない病態生理的な診断手法として, 特に陰虚に対する分かり易い診は重要である t) 症例報告症例 1 糖尿病高脂血症脂肪肝插罷 f 列 :43 歳, 男 F 生診断法として舌 S.56 年 1 月より肝機能障害を指摘される H,5 年 i2 月 19 日初診併用薬なし, 身長 177cm, 体重 96Kg [ 虹厂 mmHg 舌 : 紅苔 : 少六味丸 12 自虎加人参湯 1 4 防巳黄耆湯 1. 4 経過解説 : 年齢は 43 歳で体重は 96kg と一見すれば実証として防風通聖散などを用いたくなる例だが, 舌紅, 苔少で陰虚があると判断し, 体表の肥満に対しては防巳黄耆湯を使用した陰虚による口渇, 過食多飲が, 肥満引いては糖尿病や脂肪肝を来すことはままあり, この例でも 3 年程かかっているが, 徐々に状態が改善されているのが分かる c 症例 2 1gA 腎症症例 :46 歳, 男性 H.3 年 12 月人間ドックにて蛋白尿を指摘され, 腎生検にて IgA 腎症と診断され PSL60mg より開始, 初診時 PSL2.5mg H.4 年 6 月 5 日初診身長 173em, 体重 62Kg, 血圧 102 7b6mmHg 舌 : 淡紅苔 : 自少心蓮子飲レ 2 ia 六味丸 14 柴苓湯 1 4 初診後一ケ月にて,PSL の内服中止 H.7 年 8 月正 O 月 11 月 3 月 5 月 7 月ユ ,0 1,4 上.5 GOTGPTHbAlcT 一じ hd H,5 年 H.6 年 12 ユ9 2 ユ0 4 ユ , 垂 H 8 年 2, , , ± 士 + 士クレアチニンクリアランス 1 ユ0 月.6 年 1 月一 Cr l β2mgi I,4 L5 尿蛋白 + + 潜血クレァチニンクリアランス H 7 年 t73m.. mi 冂 H,8 年 7 月 12 月 8 丿 J l2 月 4 月!l 月.5 1.O l.0 ユ.0 1,4 1,3 1.6 ユ.1 十十十十十十十十十十十十 85mrmin LO ユ,O I 十十十十十十 GOT ;IU L GPT :IU, 1,T cho : gd ] 解説 : 小児の IgA 腎症には柴苓湯が効果的で

7 81 ) 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 (1998) 247 あるが, 成人の lga 腎症にはステロイドも奏効しにくく, 漢方的にも難治な場合が多いこの場合舌苔は白少程度であるが, 病名診断から六味丸と清心蓮了飲を含わせ滋陰利水を計った柴苓湯も一応 lga 腎症に対する常用方剤ということで併用している尿蛋自は完全には止まっていないが, クレアチニンの減少, クレアチニンクリアランスの増加などステロイド治療中止後も時聞はかかりながらも改善が見られている症例 3 1 IL 小板減少性紫斑病症例 :50 歳, 女性 H5 年 8 月発症 H.6 年 4 月 26 囗初診他院にて,PSL 5 mg 中, 身長 153cm, 体重 48kg, 血圧?mmHg 舌 : 紅苔 : 白燥滋陰降火湯 2 /3 柴胡清肝湯レ 3 紀過投. 与 H.7 H,8 年 H.9 年 8 月 10 月 5 月 8 月 11 月 2 月 7 月 10 月 4 月 ! ,5 9.4 ユ 0,1 1,7 PSL 内服中止解説 : 本病に対する滋陰降火湯の使用経験は多く, 過去に本学会でも報告したが, 一般的に lf[l 熱と考えて, 滋陰降火湯を主に帰脾湯や補中益気湯を合わせることが多い, 本例でも滋陰降火湯を屯にしているが, 紅舌から清熱作用を強める意味で一. 一部に柴胡濤肝湯を加えたステロイド中止後時的なリバウンドとして [lil 小板の減少が見られたが, 徐々に回復している重症のものではステロイドが切れない場合も多いが減量には役立つ症例 4 Myelodysplasticsynd. 症例二 47 歳, 女性 H.7 年 7 月検診で見つ投与中かる他院にて PSL2.5mg H.8 年 10 月 15 日初診身長 142cm, 体重 42kg, rfw 圧 1 OO 60mmHg 舌 : 淡紅苔 : 白一一淡黄厚補中益気湯ユ 2 養胃湯 14 滋陰降火湯 1 4 経過 PLTq } μ1)1 3.2 i R]SC](10 P 11] [ 273 Hb ( gd1 ) OL77 ユ O, , 解説 : 本病は比較的新しい疾患概念で, 現代医学的にも治療法がまだ確立されておらず, 我々これまで 2 3 例扱ったに過ぎない本病に再生不良性貧血及び急性リンパ腫などの血液疾患は一応免疫異常があり, 漢方的には血熱と考えられるので, 全身的な体力増強も含めて滋陰降火湯と補中益気湯を合わせ, 気陰或いは気血両補を行っているただ中には湿を含むものも多いようで, この対策についてはまた別に工夫する必要があろうここに挙げた養胃湯は六君子湯と平胃散の含方で, 舌苔臼一淡黄厚に見られる湿熱に対したものである. こ,3.1 の症状の現代医学的治療は PSL と蛋白同化ホルモンによるが終始不変であり, な 1 ) 顕著な改苒が見られたのも短期間でかで報告した追試を試みていただきたい c

248 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 U998) (82 ) おわりに滋陰剤の代表格である濤心蓮子飲, 六昧丸, 滋陰隆火湯三者の使用法の違いについて虚実の点から流れを整理してみたまず一貫堂の竜胆瀉肝湯は強力な実熱に対する袿湿熱の処方であるが虚実丸を中心として麦門冬湯と合わせれば麦味地黄丸に近くなって土焦に, 当帰芍薬散と合わせれば帰芍地黄丸として下焦に,

8 248 日本東洋医学雑誌第 49 巻第 2 号 U998) (82 ) おわりに滋陰剤の代表格である濤心蓮子飲, 六昧丸, 滋陰隆火湯三者の使用法の違いについて虚実の点から流れを整理してみたまず一貫堂の竜胆瀉肝湯は強力な実熱に対する袿湿熱の処方であるが虚実丸を中心として麦門冬湯と合わせれば麦味地黄丸に近くなって土焦に, 当帰芍薬散と合わせれば帰芍地黄丸として下焦に, また四逆散と合わせれば柴芍地黄丸として膈下に対する処方に変化するつまりあらゆる滋陰剤の某本といってよいであろうなお寒性については, 六味丸, 清心蓮子飲, 滋中間証とすると柴苓湯となるこれを陰虚に当てると清心蓮了飲になる同じく化瘢に対しては通導散があるが補血の剤とすれば当帰芍薬散となる [/ これを滋陰清熱に変えると滋陰降火湯となる, まり水と血に関する瀉から補への流れであるこれらに対して六味丸は中閭にあるといってよい肝腎脾に渉る, 三補二, 潟という構成はいずれの流れとも含流しうるため, 滋陰降火湯, 或いは清心蓮了飲との合方もあり得る訳であるまた六味つ陰降火湯の順に強くなり, 一方利水作用については, 清心蓮了飲, 六味丸, 滋陰降火湯の順に弱くなるこのため清心蓮子飲が軽い滋陰, 清熱, 利水剤として胃にも優しく, かつ鎮静作用があるため一般的には使い易いようであるまた滋陰降火湯については, ステロイドを必要とする患者にはよいというのを一つの H 安にしているが, いずれにしても舌診が鑑別に役立つようである要旨滋陰とは陰を潤すという意味で. 結局は体液を補う万剤ということになる tt このような方剤群を歴史を追って整理すると, まず金置要略に麦門冬湯, 白虎加人参湯があり, また陰陽双補剤と考えられる八味丸がある, 次いで和剤局方には清心蓮子飲があり, ほぼ同年代の小児薬証直訣では六味丸が八味丸の受方として独甑するその後明代に滋陰清熱の概念が確立するとともに, 多くの処方が現れるが, 代表的なものとしては万病回春の滋陰降火湯があげられようこれらの滋陰剤の適応となる陰虚証の診断には, 望診でるい痩, 皮膚の乾燥, 問診で口渇, 足腰の弱り, 粘稠な痰などがあるが, 舌苔の減少, 舌質の萎縮を主とする舌診所見が最も簡単である陰虚証は老化, 糖尿病, 慢性炎症惟諸疾患等に. 般的に見られ, 今後の高齢化時代における漢方治療に極めて重要な意味を持つと考えられる

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< E397C E396F B836888EA D8F82DD90B696F28F9C82AD816A2E786C7378> 05 年 5 月日更新 00 葛根湯 800 ツムラ葛根湯エキス顆粒 ( 医療用 ) B 標ボトル 500g 4987388004 (0)049873880069 (0)498738800 (0)4987388008 09879000 50003D3 50003D3 650406 00 葛根湯 800 ツムラ葛根湯エキス顆粒 ( 医療用 ) B 大パウチ 5kg 498738800 (0)049873880083