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こうしろういとえ
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1 中学生の統合型HTP法における人物表現の関連性 Human Relationships in Synthetic House-Tree-Person Drawings by Japanese Junior High School Students 加藤大樹１鈴木美樹江２ Daiki KATO, Mikie SUZUKI 動性と穏健性の下位因子から構成され問題と目的 HTP法は Buck 1948 によって開発された文脈的整合性はテーマ性と現実性投影描画法の 1 つである Buckによる原法での下位因子から構成されるこのように心理は家木人の 3 つのアイテムを個別の画用アセスメントとしてはまず作品の全体的な印紙に描いていくこれをもとに三上 1995 は象を捉えることが重要であると考えられるが 1 枚の画用紙の中に 3 つのアイテムを統合しそれに続くステップとして個々のアイテムのて描くものであるS-HTP法を考案した S-HTP 特徴について詳細に検討することが求められ法はアイテムどうしの関連性なども総合的にる評価できることから心理アセスメントの媒体 S-HTPにおける個々のアイテムに注目した研究として青山市川 2006 はアイデンティとして幅広く活用されている S-HTP法の解釈仮説としてはこれまでにティ感覚と描画特徴の関連を検討している様々な分類がされているがここでは作品のこの中で対自的同一性の低い人では人物の全体像を捉えるアプローチと個々のアイテム記号化が顕著であったり心理社会的同一性の意味に焦点を当てたアプローチに着目しての上昇に伴って人物と木の関連が見られたりみたい S-HTPの全体的評価をするための視点することなどが示されているこのように人として三上 1995 は統合性遠近感ア物に焦点を当てて作品と向き合うことは重要イテムどうしの関係付けなどを挙げているまであると考えられる纐纈森田 2011 はた Kato & Suzuki 2016 は S-HTPの全体的青年期を対象に友人とのコミュニケーションス印象を評定するためのシステムとして STID タイルと描画特性の関連を検討しているそ the Scale for Total Impression of Drawings を開して中でも人物の表現が描き手の感情ア発したこれは情緒的安定性と文脈的イデンティティ他者との関係の持ち方などが整合性の 2 次元から作品の全体的な印象を投影される媒体として機能する可能性を指摘評定するものである情緒的安定性は活している人物表現に関して Kato & Suzuki 2015 は中学生のS-HTPにおける人物どう１金城学院大学人間科学部２金城学院大学心理臨床相談室しの関連性に着目した検討を行った実際の心理臨床場面におけるアセスメントでは描か 14

2 中学生の統合型HTP法における人物表現の関連性加藤大樹鈴木美樹江れた人物どうしや人物と木や家との関連性手をつないでいる一緒に遊んでいるなどのを検討することは重要な解釈視点となるし表現は関連があるとみなされた一方そかし基礎研究の中では数量化の難しさかられぞれの人物が離れて別の活動をしている場これまで取り上げられることは少なかった合や記念写真のように並列に並べられてい Kato & Suzuki 2015 は例えば人物どうしる場合は関連がないとみなされたまたが一緒に遊んでいる手をつないでいるなど現実場面における対人関係の指標として日の表現を関連性として捉え被験者の性常生活において困ったことがあった際に相談別との関係を検討したその結果女子の作できる相手の有無について尋ねた描画特徴品において人物どうしの関連が多く認められと学年や相談できる人物の有無との関連がたこの研究からも示されているように中学検討された生という発達段階においては男子女子それぞれの対人関係やアイデンティティの築き方結果の特徴が描画にも表れていると考えられる一描かれた人物の人数の平均値は1.80 標準方で性別のみでなく年齢や現実の対象関偏差は1.42であった全体の25.6%に人物間係の持ち方など様々な要因が影響を与えるの関連が認められた学年間における人物のことが予想されるそこで本研究では中学人数 F 2,196 = 0.02, n.s., η2 = およ生によるS-HTP画における人物どうしの関連性び人物の関連性 χ 1 = 2.08, n.s., φ = 0.10 に焦点を当て学年や現実場面における対人には有意な差は認められなかった相談でき関係が与える影響を検討することを目的とする相手の有無と人物の人数 t 84 = 1.94, p る特に現実場面における対人関係の指標 <.10, d = 0.28 およびの人物の関連性 χ 1 として重要な他者の存在に着目し検討を行う = 3.28, p <.10, φ = 0.13 には有意傾向が認め 2 2 られた現実場面で相談できる相手がいる生徒の方が描画における人物の人数が多く調査 1 本調査では中学生によるS-HTP画におけ人物間に関連性がみられた学年相談相手る人物表現に着目しその特徴を検討するの有無と人物数をTable 1に示したまた学表現された人物の人数や人物間の関わりの有年相談相手の有無と人物どうしの関連を無に着目し学年や日常の対人関係との関連 Table 2に示したを検討する方 Table 1. 学年相談相手の有無と人物数法中学生199名男性100名女性99名を調査対象とした学年の内訳は 1 年生71名 2 年生62名 3 年生66名であった B5サイズの用紙に鉛筆を用いて自由に家木人を含む絵を描くように求めた人物表現に Mean SD １年生２年生３年生学年相談相手有関して描かれた人物の人数がカウントされ無たまた人物が複数描かれた場合は人物合計 1.80 どうしの関連の有無が評定された例えば p <.10

3 金城学院大学論集人文科学編第12巻第 2 号 2016年 3 月 Table2. 学年相談相手の有無と人物どうしの関連関連有関連無人数 % 人数 % 学年１年生２年生３年生有無相談相手合計 p <.10 FFPCは全40項目から成り協調性統制性調査 2 調査 1 では学年や相談できる対象の有無神経症傾向外向性開放性の 5 因子から総から S-HTPにおける人物表現を検討した合的にパーソナリティを測定するものであ本調査では描き手のパーソナリティ特性にる着目し人物表現との関連を検討するパーソナリティ特性を測定する指標としてBig 結果 FFPCの各下位尺度の信頼性が検討された Five尺度を用いて検討を行うその結果すべての下位尺度において一定の方信頼性が認められた協調性 α =.72 統法中学生185名男性96名女性89名を調査対象とした学年の内訳は 1 年生65名制性 α =.68 情緒性 α =.82 外向性 α =.74 開放性 α =.79 2 年生59名 3 年生61名であった調査 1 と S-HTPにおける人物表現の関連性の有無に同様に B5サイズの用紙に鉛筆で自由によって調査対象者が 2 群に分類された関連家木人を含む絵を描くように求めた描がみられた群は49名関連がみられない群は画における人物どうしの関連の有無が調査 136名であった群間において FFPCの各下１と同様の基準によって評定されたまた位尺度の得点が比較されたその結果統制曽我 1999 によるFive Factor Personality In- 性において有意な差が認められ t 105 = ventory for Children FFPC への回答を求めた -2.55, p <.05, d = 0.39 協調性において有意 Table 3. パーソナリティ傾向と人物どうしの関連関連有関連無 Mean SD Mean 協調性 SD 統制性 * 情緒性外向性開放性 * p <.05, p <.10 16

4 中学生の統合型HTP法における人物表現の関連性加藤大樹鈴木美樹江傾向が認められた t 117 = 1.93, p <.10, 関係を構築していく時期であるまた 3 年 d = 0.28 いずれも人物間に関連のある群生は中学校の課程を終え一人一人がそれの方が得点が高い情緒性 t 101 = 0.14, ぞれの進路を模索していく時期であるこれ n.s., d = 0.02 外向性 t 90 = 0.30, n.s., d らの時期においては個人としての特性や指 = 0.04 開放性 t 92 = 0.05, n.s., d = 0.00 向性に関心が向きやすくこのことが描画においては有意な差は認められなかったにおいても複数の人物の関係性を描くよりもパーソナリティ傾向と人物どうしの関連を 1 人の自己像を丁寧に描くということにつな Table 3に示したがっているのではないか対照的に 2 年生は学業やクラブ活動などに最も自由に専念考できる時期であり関心や対人関係の幅も広察調査 1 においてはまず学年における人がると考えられるこのような特性が描画物表現の特徴が検討された本研究の結果かにおける人物どうしの関連という形になってらは人物の人数関わりの有無ともに学表出されているのではないだろうか年による有意な差異は認められなかったし困った際に相談できる相手の有無とかし効果量に着目すると人物どうしの関 S-HTPにおける人物の数に関しては相談相連の有無については弱いながらも学年によ手がいる群のほうが描かれた人物が多い傾向る違いを見て取ることができる本研究ではが認められた同時に相談相手がいる群で人物像の質的な特徴には触れずにその数やは描画における人物どうしの関連も多い傾関係性に着目した検討を行った三上 1995 向が認められた S-HTPにおいて複数の人物は S-HTP法の大規模な発達調査の結果中が描かれた場合には現実自己と理想自己学生の時期では 1 人の人物のみを描く割合が自己像と重要な他者など様々な解釈が可能高くなることを指摘している本調査ではであるそのため一義的な解釈に拘ること描かれた人物の人数の平均値は1.80 標準偏は避けなければならないそのことをふまえ差は1.42であり実際の作品群においてもた上で解釈仮説の一つとして拠り所とな 1 人もしくは 2 3 人の人物を描く生徒が大る対象や安定した愛着対象として 2 人目 3 半を占めている中学生の 3 年間は身体的人目の人物が描かれる可能性もある今回のにも心理的にも大きな変化を体験する時期で調査では家庭や学校における生活場面を想あるさらに児童期を終えて青年期を迎え定しその中で自分が困った時に実際に相談アイデンティティの形成という観点からも重できる相手がいるかについて回答をしてい要な時期であるそのため自己イメージのるそのためはいと回答した生徒の多投影である人物画には調査対象者たちの内くは親や友人教師など特定の人物をイ面が多分に投影されていると考えられる学メージして回答していると考えられる年別に人物どうしの関連を見てみると 2 年 S-HTPにおける人物表現は意識的な自己像生でやや関連のある割合が上昇していることしての解釈が可能であるが中学生の描画のことには中学生の各学年における対人関において関連性のある複数の人物が描かれた係や発達上の特徴が反映されていると推測さ場合そこには現実生活で意識されているれる 1 年生は小学校から中学校へ進学し重要な他者像が投影されている可能性もあるたばかりの時期でありこれから様々な対人と考えられる 17

5 金城学院大学論集人文科学編調査 2 では描画における人物表現の特徴第12巻第 2 号 2016年 3 月今回の調査結果からは情緒性外向性とパーソナリティ特性の関連を検討した基開放性との有意な関連は認められなかった本統計量として人物どうしに関連がみられしかしこれらの要素は個人のパーソナリた群とみられない群はそれぞれ49名ティや病態水準のアセスメントを行う上で重 26.5% と136名 73.5% であったこの要な視点である本研究では人物どうしの比率は調査 1 における結果とほぼ一致する関連性という一側面からの検討を行ったがものであり信頼性の高いものであると考え例えば描画全体の印象評定など包括的なられるパーソナリティとの関連ではまず視点から検討を行うことで新たな関連が認め人物どうしに関連の見られる群では協調性られる可能性もあるため今後の課題としたが高い傾向が認められた登張 2010 はい協調性を非利己的で他者に対して受容本研究では学年やパーソナリティ特性の的共感的友好的に接し他者と競い合う観点から S-HTP法における人物表現の関連のではなく譲り合って調和を図ったり協力性について検討してきた示された結果はしたりする傾向と定義しているこのよう実際の心理臨床場面において思春期青年期に協調性の高い人は他者との協力や調和のクライエントの描画表現と向き合う際に有を重んじ現実生活においても良好な対人関用な視点を提供するものであると考えられ係を構築することに努めると考えられる本る一方で一言に人物の関連性といっても調査における描画においても一緒に遊んで実際の描画表現では親和的なものや葛藤をいたり談笑していたりする場面が最も多く含むものなど様々な関係の形があり今後敵対的な対人関係が描かれているものはほとはその質的側面も考慮に入れた検討が必要でんど見られなかった協調性に含まれる対他あろう配慮や親和欲求などの要素が描画内のポジティブな人物どうしの関わりとして表出され文たものと考えられる青山桂子市川珠理 2006 青年期におけるアイデンティティの感覚と統合型HTPの描画特徴また同時に人物どうしに関連が見られた群では統制性も高いことが認められた統制性は真面目さや誠実さに関わる因子で心理臨床学研究 Buck, J.N The H-T-P technique: A qualitative and quantitative scoring manual. Journal of あり具体的な質問項目の中にはリーダーシップや他者との約束を守るという内容も Clinical Psychology, Kato, D. & Suzuki, M Developing a Scale to Measure Total Impression of Synthetic House-Tree- 含まれるこの点では先述の協調性におけ Person Drawings. Social Behavior and Personality, る非利己的な協力態度と共通する側面もある一方で統制性の特性として課題を計画的に遂行し失敗や間違いがないかを心配 44 1 in press. Kato, D. & Suzuki, M Relationships Between Human Figures Drawn by Japanese Early Ad- するという側面も含まれるこのような特徴 olescents: Applying the Synthetic House-Tree-Person Test. Social Behavior and Personality, 43 1 から描画における他者の存在も例えば一緒に課題を遂行する仲間やそれに伴う心配や不安を受け止めてくれる対象などとして献纐纈千晶森田美弥子 2011 現代青年の友人へ投影されている可能性もある 18 の交流態度からみたS-HTPの描画特徴心理臨

6 中学生の統合型HTP法における人物表現の関連性加藤大樹床学研究三上直子 1995 S-HTP法統合型HTP法における臨床的発達的アプローチ誠信書房曽我祥子 1999 小学生用 5 因子性格検査 FFPC の標準化心理学研究登張真稲 2010 協調性とその起源 AgreeablenessとCooperativenessの概念を用いた検討パーソナリティ研究鈴木美樹江

Microsoft Word - manuscript_kiire_summary.docx

Microsoft Word - manuscript_kiire_summary.docx 法政大学審査学位論文の要約パートナーに対する暴力のメカニズム Dark Triad と生活史戦略による個人差に対するアプローチ喜入暁恋愛関係は, われわれのライフコースにおける多くの対人関係の中でも, 排他性, 性関係性などを伴う特徴的な関係性であるこのような関係性で発生する対人葛藤や, それに基づく暴力は, 親密なパートナー間暴力 (intimate partner violence: IPV;