美肌効果お酒を造る杜氏さんの手がキレイというのはよく知られています米麹には麹菌が産生したコウジ酸が含まれておりコウジ酸はメラニン合成酵素であるチロシナーゼ活性を抑制しメラニンの生成を抑える作用を有することが知られています 1988 年に美白成分として認可されています最近の研究ではメラニン

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よしたかてらわ
5 years ago
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1 1. 甘酒の機能性米麹には麹菌が産生する機能性成分が含まれています米麹を原料とする甘酒にはこの機能性成分の多くが含まれており甘酒を飲むことによる効能が期待されます一般的に甘酒に期待される機能性について説明しますアレルギー発症予防一部のアレルギー反応はカテプシンBと呼ばれる酵素が関与していることが知られていますがカテプシンBの活性を阻害する成分を麹菌が複数産生することが分かっていますまたこれに類する酵素は骨粗しょう症にも関与していることが知られています Cysteine Protease Inhibitors Produced by the Industrial Koji Mold, Aspergillus oryzae O T. Yamada, et al., Biosci. Biotech Biochem., 62, (1998) 整腸作用と腸内フローラの改善便秘や下痢などのおなかの不調は腸内の微生物のバランスが崩れることで生じます ( 悪玉菌が増えて善玉菌が減ることによります ) 善玉菌の代表格としてビフィズス菌が知られています米糠で麹菌を増やした米糠麹の成分を調べるとビフィズス菌を増やす働きをする成分が見つかりましたその機能性成分はペプチドと考えられます米糠麹中のビフィズス菌増殖促進物質細山浩ら日本食品工業学会誌 38(10), (1991) 麹菌由来のプロテアーゼをラットの餌に添加して摂取させた結果ラット腸内のビフィズス菌と乳酸菌が増加していることが分かりました Beneficial effects of protease preparations derived from Aspergillus on the colonic luminal environment in rats consuming a high-fat diet. Y. Yongshou, et al., Biomed Rep., 3(5), (2015) 麹菌が産生するグルコシルセラミドが善玉腸内細菌の一種である Blautia coccoides を増加させる可能性があることがわかりました Japanese traditional dietary fungus koji Aspergillus oryzae function as a prebiotic for Blautia coccoides through glydosylceramide: Japanese dietary fungus koji is a new prebiotic., H. Hamajima, et al., Springerplus, 5(1) 1321 (2016)

2 美肌効果お酒を造る杜氏さんの手がキレイというのはよく知られています米麹には麹菌が産生したコウジ酸が含まれておりコウジ酸はメラニン合成酵素であるチロシナーゼ活性を抑制しメラニンの生成を抑える作用を有することが知られています 1988 年に美白成分として認可されています最近の研究ではメラニンなどの色素の沈着だけでなくタンパク質と糖との結合で生じる皮膚の黄ぐすみの抑制にも効果があることが分かってきましたコウジ酸の顔面黄ぐすみに対する改善効果伊賀和宏ら西日本皮膚科 77(3), (2015) 抗酸化効果美容や健康の大敵は細胞など体を構成する成分の酸化です食べ物化学物質太陽光などの外からの影響のみならず運動やストレスなどでも酸化物質が体内で産生されます酸化を打ち消してくれる抗酸化物質の探索は多くの研究機関で進められており甘酒やその原料でも抗酸化物質が見つかっています抗酸化物質にはアンチエイジング動脈硬化抑制抗ガン作用美白などの効果が期待されています Antioxidant actibity of a medicine based on Aspergillus oryzae NK koji measured by a modified t-butyl perosyl radical scavenging., T. Kawasumi, et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 63(3), (1999) Effects of koji production and Saccharification time on the antioxidant activity of amazake., N. Saigusa, et al., Food Sci. Technol. Res., 13(2), (2007) Isolation of the antioxidant Pyranonigrin-A from rice koji mold starters used in the manufacturing process of fermented foods., Y. Miyake, et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 71(10), (2007) 米糠の麹菌発酵物中の抗酸化物質江崎秀男ら農芸化学会講演要旨集 p109 (2002) 米麹の糖化および発酵による抗酸化能の付与尾関健二ら食品臨床栄養 4, (2008) 酸化ストレスと抗酸化物に関する課題と展望 ( 特集抗酸化能食品で健康に ) 二木鋭雄医と食 84(4), (2016)

3 2. 今後解明が期待される甘酒の機能性乳酸菌や酵母と比べると麹菌にはまだまだ未解明な部分がたくさん残されています今後麹菌や麹を原料とする発酵食品で解明が期待される機能性について説明します目の下のクマの改善酒粕と米麹の甘酒を 40 代 ~60 代の女性 17 名に 1 か月間飲んでもらい目の下のクマの明るさを調べたところ有意に明るくなっていることまたこの効果は機械での測定だけでなく本人の自覚でも有意に効果があり実感を伴った効果であることが報告されています皮膚表面の温度が甘酒を飲む前後で差があることから老化異物の排泄が促進されたものと考えられます : 森永製菓プレスリリース髪のつや酒粕と米麹の甘酒を 40 代 ~60 代の女性 17 名に継続的に飲んでもらい髪のつやの自覚を調べたところ甘酒を飲んだ人たちに有意に髪のつやが良くなったという実感が得られたことが報告されています : 森永製菓プレスリリース疲労回復甘酒には米麹由来のビタミンB 群が含まれておりビタミンB 群の補給による疲労回復効果が期待されますまた甘酒の甘味は主にお米のデンプンが麹菌により分解されたブドウ糖によるものですがブドウ糖は点滴にも使われる糖類でもありますそのため甘酒は飲む点滴とも呼ばれることがあります免疫力アップ腸内は体外からの病原菌の侵入を防ぐ機能 ( 免疫力 ) を持つことが知られています甘酒は腸内環境を整えることから免疫力アップにも直接的間接的に影響している可能性がありますまたキノコの細胞壁多糖類は免疫力アップに効果があるという研究が多くあり麹菌細胞壁にもキノコと同様の多糖類があるため麹菌そのものが免疫力アップに効果がある可能性も期待されます

4 3. 酒粕および酒粕タイプ甘酒の機能性成分米麹だけでなく日本酒を造った後に出てくる酒粕にも機能性成分があることが分かっています酒粕や酒粕を原料とした甘酒の機能性について説明します肥満抑制マウスを用いた研究で甘酒を餌に混ぜて摂取させたマウスは体重の増加が抑えられることが分かりましたその際に血中の中性脂肪も有意に抑えられましたまた内臓脂肪の蓄積も抑えられている傾向があることが分かりましたこれらのことから生活習慣病の引き金となる肥満を抑える効果が期待されます血圧抑制高血圧マウスを用いた研究で甘酒を餌に混ぜて摂取させる試験が行われました甘酒が入った餌を食べたマウスは試験期間中収縮期血圧 ( いわゆる上の血圧 ) 拡張期血圧( いわゆる下の血圧 ) および平均血圧のいずれも低く抑えられており試験 50 日後には拡張期血圧の上昇が抑えられていました脳卒中などの血管障害を起こすリスクを下げることが期待されます酒粕中の血圧上昇抑制効果をもつペプチドと機能性食品素材への展開入江元子ら醸造協会雑誌 101(7), (2006) 健忘症抑制薬剤で一時的に健忘症の症状を発症させたマウスに甘酒を摂取させた試験では薬剤による記憶障害を予防することが分かりましたこの薬剤による記憶障害を抑制する物質はアルツハイマー病や老化による記憶力の低下だけでなく若年性の健忘症の予防や改善にも効果があると言われています

5 血中総コレステロール抑制酒粕を含んだ高コレステロール飼料で飼育したラットは酒粕を含んでいないラットと比較してコレステロールの上昇が抑えられていました酒粕のタンパク質成分がコレステロールを排出させた可能性があると考えられます酒粕がラットのコレステロール代謝に及ぼす影響芦田優子ら日本農芸化学会誌 71(2), (1997) 抗がん効果動物細胞を用いた試験により酒粕はリンパ球ががん細胞を殺す作用 (NK 作用 ) を増強することが分かりました清酒酒粕中の生理活性物質の解明奥田拓道醸造協会雑誌 98(11), (2003) 非アルコール性脂肪肝炎の予防ウイルスや飲酒による肝炎ではなく肥満などが原因でなる肝炎は非アルコール性脂肪肝炎とよばれますマウスの実験で酒粕の成分を摂取することで非アルコール性脂肪肝炎で特徴的ないくつかの症状 ( 脂肪の蓄積など ) に改善効果が確認されました酒粕摂取によるマウスの NASH 予防効果大浦新ら日本農芸化学会要旨集 (2004) 抗酸化効果日本酒や酒粕にも抗酸化効果が確認されています特にフェルラ酸やその誘導体に抗酸化活性があると言われています Effects of koji production and Saccharification time on the antioxidant activity of amazake., N. Saigusa, et al., Food Sci. Technol. Res., 13(2), (2007) Radical scavenging activity of the Japanese traditional food, Amazake., S. Yamamoto, et al., Food Sci. Technol. Res., 17(3), (2011) 清酒の製造工程におけるDPPH 消去能の推移北垣浩志醸造協会雑誌 98, (2003)

2015 年 11 月 5 日乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) ではアトピー性皮膚炎患者を対象に乳酸菌ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下乳酸菌発酵果

2015 年 11 月 5 日乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) ではアトピー性皮膚炎患者を対象に乳酸菌ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下乳酸菌発酵果 2015 年 11 月 5 日乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) ではアトピー性皮膚炎患者を対象に乳酸菌ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下乳酸菌発酵果汁飲料 ) の飲用試験を実施した結果アトピー性皮膚炎症状を改善する効果が確認されましたなお本研究成果は