藤田小矢香秦幸吉表 1 月経周期に伴う自覚症状のうち食行動に関係する記述 no 月経前月経中 A B とても食欲が出て甘いものを大量に摂取しがち腹痛で食事が食べられないことがある C 爆飲爆食甘いものがやたらとほしくなる食欲はだんだんなくなる D E F 食欲がでる太る甘いものが食べたく

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ああすたつざわ
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1 島根県立大学出雲キャンパス紀要第 13 巻,7-12,2018 月経前の食行動の変化と月経随伴症状藤田小矢香秦幸吉概要本調査の目的は, 月経前の食行動の変化の実態を明らかにし月経随伴症状との関連から月経教育での食生活について検討することである調査対象は月経周期が規則的な成人女性 44 名である月経周期に伴う自覚症状で食行動が日常生活に影響を与えていたのは 9 名 (20.5%) であった特に月経前と月経中で食欲の変化や甘味がほしくなると回答していた月経随伴症状尺度では自律神経失調項目で食行動の変化が日常生活に影響与えている群で意に得点が高かった (p <.05) 月経前症候群に食欲が増すことがある症状の周知理解と食事教育を含めた健康教育を月経教育にとして検討していく必要があるキーワード : 月経前症候群, 食行動, 月経周期 Ⅰ. はじめに女性は月経周期に伴い, さまざまな心身症状を伴うなかでも月経前に現れる心身症状を総称して月経前症候群 (Premenstrual syndrome: 以後 PMS) がある PMS( 日本産婦人科学会, 2014) とは月経前 3 ~ 10 日の黄体期に続く精神的あるいは身体的症状で月経発来とともに減少あるいは消失するものをいうその症状はイライラ, のぼせ, 下腹部膨満感, 下腹部痛, 腰痛, 頭重感, 怒りっぽくなる, 頭痛, 乳頭痛, 落ち着きがない, 抑鬱の順に多い ( 日本産婦人科学会, 2014) PMS の調査 ( 櫻田,2004) において食行動については PMS の特徴として発症率では食欲が増す 20% 強, 症状の重度では食欲が増す眠くなるむくみの順に高く, 重度の結果では食欲が増すが最も症状が重いと報告しているしかし PMS 症状に食欲の変化があることはあまり認識されていないそこで本調査の目的は, 月経前 ( 月経発来の約 1 週間前 ) の食行動の変化の実態を明らかにし月経随伴症状との関連から月経教育での食生活について検討することである Ⅱ. 方法 1. 対象者 A 大学に在籍する 18 歳から 32 歳までの月経周期が規則的で, 月経不順のない女性 44 名とした 2. 調査期間と方法 1) 調査期間平成 26 年 4 月から平成 29 年 8 月である 2) 調査内容質問紙により, 年齢, 身長, 体重, 月経持続期間等調査した月経随伴症状の測定として日本語版 Menstrual Distress Questionaire( 以後 MDQ) を用いた MDQ は月経周期に伴う心身両面にわたる愁訴 ( 月経随伴症状 ) を測定する尺度で秋山らにより開発された ( 堀,2005) MDQ は 47 項目で構成されており, 症状なし~ 強い (0 点 ~ 3 点 ) の 4 段階評定である下位項目は痛み集中力の低下行動の変化自律神経失調水分貯留 -7-

2 藤田小矢香秦幸吉表 1 月経周期に伴う自覚症状のうち食行動に関係する記述 no 月経前月経中 A B とても食欲が出て甘いものを大量に摂取しがち腹痛で食事が食べられないことがある C 爆飲爆食甘いものがやたらとほしくなる食欲はだんだんなくなる D E F 食欲がでる太る甘いものが食べたくなる腹痛腰痛によってあまり食欲がでない食欲がなくなる G 食欲が増して食べ過ぎてしまう食欲がなくなり便がゆるくなる H 暴飲暴食してしまい体重が増加する I 甘いものが食べたくなる甘いものが食べたくなる J 月経前はとても食欲が増すそのため普段あまり口にしないお菓子などを食べて栄養が偏り肌荒れを引き起こす女性として肌荒れはとても悲しいことで外出を控えたくなる K チョコレートやアイスなど甘いものがほしくなるチョコレートやアイスなど甘いものがほしくなる L M 食欲がいつもよりさらに激しい少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになる月経後の記載はなし否定的情緒気分の高揚コントロールの 8 つである自由記載として月経周期に伴う自覚症状で日常生活に影響をあたえることについて月経前月経中月経後として記載欄を設けた 3. 分析方法統計ソフトは SPSS 24.0 for window を使用した対応のない2 群間の比較はMann- Whiteney の U 検定を用いた意確率は 5% 未満を意差ありとした自由記述回答は月経前月経中月経後の記載の中で食行動に関する項目のみ表にまとめた 4. 倫理的配慮研究協力者は公募で募集した研究参加への同意を得る際に, 口頭と文書で研究目的と方法について説明し, 研究への参加は自由意志に基づくものであること, また研究への不参加によってなんら不利益を生じないこと, 研究への参加に同意した後でも, 参加を取りやめることができ, その際も何ら不利益を生じないことを説明したまた, 研究データの使用目的と管理, 守秘義務について説明した研究への参加は同意書への署名によって確認した本調査は, 島根県立大学研究倫理審査委員会 ( 承認番号 ) の承認を得て実施した Ⅲ. 結果 1. 月経周期に伴う自覚症状自由記載で月経周期に伴う自覚症状で日常生活に影響をあたえることにおいて, 食行動に関する記載は 44 名中月経前 9 名 (20.5%), 月経中 8 名 (18.2%), 月経後 0 名 (0%) であった記載内容については表 1 に示す本研究では, 自由記載において月経前に食行動に関する記載があった群 ( 以後 : 食影響群 ) と記載がなかった群 ( 以後 : 食影響群 ) とし, 比較検討を行った 2. 対象者の属性食影響群と食影響群の属性を表 2 に示すすべての項目において意な差はみられなかった -8-

3 月経前の食行動の変化と月経随伴症状表2 平均±SD 21.8± ± ± ± ± ± ± ± ± ±1.3 群食影響年齢歳身長 cm 体重 kg BMI 月経持続日数日り同様の結果であると考える対象者の属性本調査において月経前の記載において食意差 0.73 欲がでる爆飲爆食のように食欲が旺盛に 0.57 なることや甘い物チョコレートやアイスな 0.33 どがほしくなるといった記載があった食欲が増すことは PMS 症状の 1 つであり本調 0.57 査における食影響あり群の中には PMS の可能 0.78 性も考えられるが診断や治療を受けたものは Mann-WhiteneyのU検定いない月経前の食欲亢進機序について渡辺渡辺 2008 は排卵黄体ホルモン分泌脂肪蓄積３月経随伴症状月経期別の MDQ 得点を表 3 に示す食影響糖から脂肪への転換糖の要求度亢進空腹群と食影響群の MDQ 下位項目得点におい感食欲亢進とし黄体ホルモンの脂肪蓄積て月経前月経後ではすべての項目で意差作用によって糖から脂肪への転換が促進されはみられなかった月経中の下位項目自律神ると述べているこのことにより糖を補給す経失調において食影響群で意に得点が高るために食欲が亢進する食欲が増すことは正かった p.05 常な月経周期であれば自然な生体反応であるが爆飲爆食の表現のように度を超えた食欲は Ⅳ.考察当事者にとって悩みの１つと考える２月経随伴症状１月経周期に伴う自覚症状 MDQ 得点において食影響あり群と食影響月経状況とそれに伴う関連症状について春名ら春名 2009 は食欲に関しては月経周期なし群の月経中での下位項目自律神経失調の影響を受けることが多くその変化量は 20 において食影響あり群で意に得点が高かっ 30 が最も多かったと述べている本調査た PMS の実態調査において櫻田ら櫻田において食べることに関する記述は約 20 であ 2004 は PMS 女性で血漿脂質血症リン脂質中表3 MDQ 痛み集中力行動の変化自律神経失調水分貯留否定的感情気分の高揚コントロールその他月経期別 MDQ 得点群食影響月経前 5.9± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±0.9 9 月経中 8.2± ± ± ± ± ± ± ±1.5 * 5.6± ± ± ± ± ± ± ± ± ±0.8 月経後 0.9± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±0.4 Mann-WhiteneyのU検定 *p 0.05

藤田小矢香秦図１幸吉血糖値の上昇が少ない食材の例 γ - リノレン酸量とジホモγ - リノレン酸量が藤佐藤 2016 は口腔内舌や口腔粘膜に黄体期と卵胞期において意に低下していたと

エンド群がジホモγ - リノレン酸量が意に低下してルフィンモルヒネ様作用を示す脳内麻薬がいることを示したさらに元食事中のγ - リノ分泌され鎮静作用や多幸感などの抗ストレスレン酸量は微量であるとし

食欲が増し血糖コントロールがる影響は少ないことが確認されたと考えると不良になることで一過性のストレス状態に陥述べている本調査では食事内容の調査は行っるため脳のエネルギー源である糖分を切望する

コレート等の血糖値を急激に上昇させる甘味に自由記載より月経前は爆飲爆食といったよりストレス症状をコントロールしているのか食欲が過剰で甘い物がやたらと食べたい状もしれないしかし月経が始まり

4 藤田小矢香秦図１幸吉血糖値の上昇が少ない食材の例 γ - リノレン酸量とジホモγ - リノレン酸量が藤佐藤 2016 は口腔内舌や口腔粘膜に黄体期と卵胞期において意に低下していたと甘味が入った段階でセンサーとして受容体味述べている櫻田ら櫻田 2004 は続けてイ蕾などが甘味を認知し脳が甘味食ライラ食欲が増す症状ので症状がある物エネルギー源と本能的に認知しエンド群がジホモγ - リノレン酸量が意に低下してルフィンモルヒネ様作用を示す脳内麻薬がいることを示したさらに元食事中のγ - リノ分泌され鎮静作用や多幸感などの抗ストレスレン酸量は微量であるとし連続した１週間食作用を発現させるのではなかと述べている事調査を実施した結果 PMS と非 PMS とで差森ら森 2015 は黄体期にインスリン感受性がは少ないことが確認されたことから食事によ不良となり食欲が増し血糖コントロールがる影響は少ないことが確認されたと考えると不良になることで一過性のストレス状態に陥述べている本調査では食事内容の調査は行っるため脳のエネルギー源である糖分を切望するていないが血漿脂質の低下等の脂質異常が月と述べている月経前は黄体ホルモンの影響か経中の自律神経失調に影響を与えた可能性は否ら糖分を求めており食欲を満たすことやチョ定できないコレート等の血糖値を急激に上昇させる甘味に自由記載より月経前は爆飲爆食といったよりストレス症状をコントロールしているのか食欲が過剰で甘い物がやたらと食べたい状もしれないしかし月経が始まり月経痛な態であったのに対し月経中は月経痛などによどの症状により食欲が低下することで一時的り食欲がでない食事が食べられない食欲がな甘味離脱症状が起こり月経中の自律神経失わかない状態に変化していた甘みに関して佐調に影響しているのではないかと考える 10

5 月経前の食行動の変化と月経随伴症状自由記載にもあるように月経前の食欲が増すことで体重増加を気にしているしかし食欲増加は黄体期の身体症状の1つであるそのため月経教育として,PMS 症状の理解に合わせて, 食事や間食を含めた内容が必要である食事として月経前は, 緩やかな血糖上昇が見込まれる食材を用いた食事が望まれる例えば卵や納豆, トマトの料理 ( 図 1), サーモンや鯖, ローストビーフ, アボカドなどは 100g 中の糖質は 10g 以下であり, このような食事をした場合には血糖値の上昇は最大 30mg/dl 以下であることが実験結果から明らかとなっているこうした食事教育を含めた健康教育を月経教育として今後検討していく必要がある (2014): 産婦人科ガイドライン婦人科外来編 2014, 櫻田美穂, 平澤裕子, 近藤和雄他 (2004):20 ~ 30 歳代女性の月経前症候群 (PMS) 実態調査, 母性衛生,45(2), 佐藤泰昌 (2016): 甘麦大棗湯の頓服療法の用性 - 味覚から考える-, 日本東洋心身医学研究,31(1-2), 渡辺卓 (2008): 月経前食欲亢進について, 産婦人科治療,96(5), Ⅴ. 結論本調査の約 20% の成人女性において, 月経周期に伴う自覚症状で食行動が日常生活に影響を与えていた特に月経前と月経中で食欲の増加等日常生活に影響していると感じていた今後月経周期に伴う食欲の変化, 食事内容についての健康教育を取り入れ, 女性の QOL の向上に努めていく必要がある ( 本研究は, 平成 26 年度 27 年度島根県立大学出雲キャンパス自主テーマ研究費の助成を受けて行った ) 文献春名由美子, 大原麻美, 折戸征也他 (2009): 中学高校女子生徒における初経初来から月経状況とそれに伴う関連症状の推移について, 東京女子医科大学雑誌,79(12), 堀洋道 (2005): 心理測定尺度集 Ⅲ - 心の健康をはかる適応臨床, , 株式会社サイエンス社, 東京. 森一世, 中田英之 (2015): 月経前症候群に対して漢方が効であった2 例, 産婦人科漢方研究のあゆみ,32, 日本産婦人科学会, 日本産婦人科医会編集 -11-

6 藤田小矢香秦幸吉 Change of Meal Point Before Menstruation and Menstrual Distress Sayaka FUJITA and Kohkichi HATA Abstract The objective of the present study was to clarify the change of women s appetite before the menstrual period and to change the menstruation education. The participants ware 44 adult women with regular menstrual cycle. They has rational symptoms around menstrual cycle,in 9women(20.5% ) food prefence affected daily life. They wanted sweet foods and felt of promotion of appetite before the menstrual and the menstrual period. High score of the autonomic nerve atactic item in menstrual distress questionnaire related effects of food prefence(p <.05).Further our examination in regards to menstruation education is considered to be necessary. Key Words and Phrases:Premenstrual syndrome,change of Meal Point, menstrual cycle -12-

藤田小矢香化に伴う身体的症状がある卵胞期についての調査はほとんどないその背景としてエストロゲンからプロゲステロンにホルモンが大きく変動する黄体期や月経期は, 日常生活に支障を来す身体的症状や精神的症状を呈する女性が多く, 治療や看護的介入の必要な場合も多いしかし, 卵胞期においてもエストロゲン

藤田小矢香化に伴う身体的症状がある卵胞期についての調査はほとんどないその背景としてエストロゲンからプロゲステロンにホルモンが大きく変動する黄体期や月経期は, 日常生活に支障を来す身体的症状や精神的症状を呈する女性が多く, 治療や看護的介入の必要な場合も多いしかし, 卵胞期においてもエストロゲン島根県立大学出雲キャンパス紀要第 9 巻,1-8,2014 成熟期前期女性の月経中と月経後の月経随伴症状と気分の関係藤田小矢香概要成熟期女性 25 名を対象に, 月経周期特に月経中と月経後に着目し, 月経随伴症状と気分の関係を明らかにする目的で調査を行った調査用紙は月経随伴症状と気分を測定する日本語版 profile of Mood States 短縮版を用いた月経随伴症状では気分の高揚を除く全ての項目で,