経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション これらのことから, 社会保険料と消費税の負担増加が避けられない現状で, 相対的に負担が大きくなりがちな低所得世帯に対して, 再分配の観点で租税面からなしうることとして, 高所得世帯が恩恵を受けている所得控除の縮減が有効であることが示された

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1 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション * 1, 2 *3 川出真清 要約 高齢化と度重なる景気対策で悪化した財政の健全化のために, 税収増と社会保険料負担の増加は避けられない 一方, これらの公的負担増加が低所得世帯への過度な負担となることも懸念され, 財政健全化を困難にする可能性がある そこで, 本論は 慶應義塾家計パネル調査 (KHPS) を用いて, 所得税, 消費税および社会保険料負担を考慮したマイクロ シミュレーションを試みた まず,KHPS の 2009 年から 2012 年調査を用いて, 調査対象である 2008 年から 2011 年の所得に対して, 同年度の税制及び社会保険制度を適用し, 租税及び社会保険料負担額をそれぞれ再計算, さらに公的移転額を加えて世帯別の等価総所得をもとめ,10 分位別に評価した 次に,2008 年から 2011 年の所得に,2015 年度の税制及び社会保険制度を適用した場合の公的負担の状況を推計した その結果, 社会保険料の負担増加と消費税率の引き上げが特に低所得世帯に大きな負担増となっていることが明らかとなった 高所得世帯は負担の増加額では多いが, 負担率の点で見れば低所得世帯に比べて増加幅が限定的なため, 所得に対して公的負担のフラット化が進行していることが確認できた そして, 今後の社会保険料負担増や消費税率の引き上げの中で, このフラット化が進行してゆくことが予想される そこで, 政策シミュレーションとして,2015 年度の制度を適用した 2008 年から 2011 年の推計値に対して,(1) 給与所得控除の上限引下げ,(2) 公的年金等控除の上限引下げ,(3) 社会保険料控除の上限導入,(4) 配偶者控除の所得に応じた段階的縮減を設定し, それぞれ小幅に縮減するケース ( 標準ケース ), 大幅な縮減を実施するケース ( 改革ケース ) について, 影響評価を試みた その結果, 配偶者控除段階的縮減, 給与所得控除または社会保険料控除, 公的年金等控除の順で, 高所得世帯より大きな負担増をもたらすことがわかった ただし, どのケースも単独では課税ベースの拡大効果が非常に限られるため, 特に 標準ケース では負担額 負担率ともに限定的で, 改革ケース でも, 負担率は十分上がらないことがわかった 上記の政策シミュレーションでの税収の増加分を用いて, 特に低所得世帯の公的負担率をどの程度軽減できるかを計算したところ, 標準ケース をすべて実施した場合では最も低い所得世帯である第 I 分位の世帯から中位である第 V 分位の世帯に対して, 最大で 2%, 改革ケース では 7.5% 程度, 公的負担率を引き下げられることがわかった *1 本論は科学研究費補助金基盤研究 (C) 財政運営と有権者の価値観に関する実証分析 ( 課題番号 ) の補助を受けて行われた研究である *2 また, 本論は慶應義塾大学から 慶應義塾家計パネル調査 (KHPS) における個票データの提供を受けた *3 日本大学経済学部教授

2 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション これらのことから, 社会保険料と消費税の負担増加が避けられない現状で, 相対的に負担が大きくなりがちな低所得世帯に対して, 再分配の観点で租税面からなしうることとして, 高所得世帯が恩恵を受けている所得控除の縮減が有効であることが示された ただし, 上記の所得控除縮減のみでは高所得世帯への負担増加に限界があるだけでなく, 高所得世帯でも約半数の世帯には影響がない したがって, 今後の公的負担増に伴う負担のフラット化の中で, 部分的な所得控除の縮減だけではその是正効果に限界があり, 所得控除全般, そして社会保障を含めた総合的な観点からの公的負担のあり方を検討しなければならないことも明らかとなった Ⅰ. はじめに 近年, 高齢化に加え, 度重なる景気対策や東日本大震災を始めとした自然災害などで財政状況は悪化の一途をたどっている 一方, 高齢化が社会保険負担を増加させており, 公的負担のあり方が社会の重要課題となっている 基礎年金の国庫負担率引き上げなどを受けた 2014 年度の消費税率引き上げや, 公的年金や健康保険, 介護保険などの保険料率の段階的引き上げなど, 公的負担は増加傾向にある 所得については, アベノミクスに代表される経済政策による恩恵が見られる一方, 高齢化や阿部 (2008) でも懸念されたような雇用の非正規化などで特に低所得世帯で社会保険料も十分納められないなど, 北村 宮崎 (2012) でも議論された経済格差が拡大しているとの指摘もなされる 税制及び社会保険制度は個別に改革されることが多いが, 両者を組み合わせた場合, どのような相互効果を持ち, 最終的にどのような公的負担となるかを検討することが重要である 実際, 土居 (2010), 田中他 (2013), 大野他 (2014), 松田他 (2014), 八塩 蜂須賀 (2014) など, それぞれに注目する制度が異なるが, 税制と社会保障制度の双方の関係性に注目した分析が行われている そこで, 本論は 慶應義塾家計パネル調査 (KHPS) を用いて, 租税に加えて社会保険料負担も考慮した個票データによるマイクロ シミュレーションを試みた まず,KHPS の 2009 年から 2012 年調査を用いて, 調査対象である 2008 年から 2011 年の所得に各時点の税制及び社会保険制度を適用して, 租税及び社会保険料負担額を求め, 世帯別の公的負担額を集計した さらに, 公的移転額を求めて総所得とした上で公的負担率を計算し, 世帯別の等価総所得で 10 分位に分けて, 分析を試みた また, 同期間の所得に対して,2015 年度の税制及び社会保険制度を当てはめることで, 仮想的な公的負担額を推計し, 異時点間の制度の相違による公的負担を比較した 2015 年度はそれ以前に比べて, 消費税率の引き上げなど, 比較的重い公的負担になっていると考えられるため, 各所得階級で負担率および負担額がどの程度変化しているかを評価した なお, 所得だけで見れば,2008 年はリーマンショックに差し掛かる時期であり比較的所得は高く,2010 年調査である 2009 年やそれ以降は所得が全体的に低めの時期となる 所得の変動に対して, 税制及び社会保険制度でどの程度負担の差異が生じるかを評価できることも, 個票パネルデータである KHPS の利点だといえるだろう 上述の比較分析を踏まえ, 高所得世帯の所得税および住民税負担を増加させることに対象を絞り, さらに所得控除縮小に限定した制度改革を政策シミュレーションとして評価した 具体

3 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 的には,(1) 給与所得控除の上限引下げ, (2) 公的年金等控除の上限引下げ,(3) 社会保険料控除の上限導入,(4) 配偶者控除の所得に応じた段階的縮減について, 小幅に縮減するケース ( 標準ケース ), 大幅に縮減するケース ( 改革ケース ) を考慮した それぞれの改革案について, 世帯あたりの負担額と負担率の上昇分を推計し, 各所得水準の世帯における公的負担がどのようになるかを計算した 政策シミュレーションにおける所得控除縮減は近年の税制改正で試みられている所得控除の縮減をさらに強化したものであり, 所得控除の縮小は最終的に高い限界税率に直面する高所得世帯への大幅な税負担の増加となることが期待される 最後に, 前述の政策シミュレーションによって得られた税収の増加分が, 低所得世帯の公的負担をどれだけ軽減できるかを検討した 具体的には 標準ケース 及び 改革ケース で得られる各世帯の負担額の増加分を低所得世帯に傾斜配分して, 各所得世帯別の公的負担率がどのようになるかを簡易計算した 所得控除の縮減によって, 低所得世帯の公的負担をどれだけ 軽減可能かについて評価することは, 今後の社会保険料負担や税負担の増加の中で, 必要な改革の規模を知る上で重要であろう 本論は以下のように構成する Ⅱ 節ではデータと推計方法,Ⅲ 節では 2009 年から 2012 年調査から得られる 2008 年から 2011 年の所得情報を用いて, 同時期の税制及び社会保険制度を適用した際の公的負担の割合や金額などを, 標準的な結果として示す Ⅳ 節では同時期の所得に対して 2015 年度の税制及び社会保険制度を適用した際の公的負担について, その結果を示すとともにⅢ 節の結果との比較を通じて, 近年の公的負担に関する制度改正の課題を評価する Ⅴ 節ではⅣ 節で得られた公的負担における課題を解決するための政策シミュレーションを示し, その効果を評価する Ⅵ 節ではⅤ 節における政策シミュレーションで生じる新たな公的負担の増加分が低所得世帯への負担をどの程度軽減できるかを評価しつつ, 再分配効果と本研究の政策的含意について述べる Ⅶ 節で本論をまとめる Ⅱ. データと推計方法 本論では世帯ごとの所得水準を把握し, 税負担及び社会保険料負担を求めるために 慶應義塾家計パネル調査 (KHPS) を用いる KHPS は 2004 年から, 同一家計の所得や雇用状況を始めとして, 全国約 4,000 世帯,7,000 人に対して毎年追跡調査を行っているパネルデータであり, その規模も大きいことから, 我が国における個票分析に大変有用な資料の一つである 1) 長期の追跡調査のため, 対象となる世帯が減少してゆくが, 適宜, 新しい調査対象を追加し, 標本の規模を出来る限り維持するよう設計されている なお, 配偶者のいる有配偶世帯と, 死離別も含めた無配偶世帯について調査している 本論では,KHPS は 2004 年よりデータが利用可能であったが, 所得や支出などについて, 精緻な情報が入手可能な 2009 年から 2012 年の調査に限定した KHPS は毎年 1 月調査であり, 所得情報については1 万円単位で前年所得の情報が入手できる なお, 消費額は調査当年 1 月について質問されており, 必ずしも所得と消費 1 ) 標本の脱落を補うため, 約 1,400 人 (2007 年 ), その後約 1,000 人 (2012 年 ) を対象に加えている 2015 年末より 2009 年より実施されている日本家計パネル調査 (JHPS) と統合し, 日本家計パネル調査 (JHPS/ KHPS) となっている

4 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション の時期が揃っていない 両者のずれに関しては, パネルデータであるため過去の回答に遡って調整することも可能だったが, 調査年 1 年分の消費額ではないことに加え, 新規に加わった世帯や情報の欠損による標本の縮小を回避する観点から, 調査年 1 月の消費額を前年消費額の推計に利用した また, 租税について, 国税である所得税は当年の, 地方税である住民税は前年の所得情報を用いて課税されるが, 本論は標本規模を維持する観点から, 所得税も住民税も同一年の所得に対して課税されるとして計算している なお, 社会保険料については, 個別にその負担額を回答している場合もあるが, 整合性の観点から本論の枠組みで理論値を再計算し, その計数を用いることとしている Ⅱ-1. 所得の計算所得に関しては 昨年 1 年間に得た年収 という質問事項があり, そこからは 勤め先の収入, 自営 事業 内職収入, 家賃 地代収入, 利子 配当金, 仕送り金 受贈金の受け取り, 公的年金, 企業年金 個人年金, 失業給付 育児休業給付, 子ども手当 児童扶養手当, 生活保護給付, その他の収入 といった情報が入手可能である 特に 勤め先の収入 についてはその後の社会保険料の計算の際に月収と賞与に関する情報が必要なため, それらの情報を推計する際の補助情報の一つとして用い, その他については回答された計数を前提に所得の計算をした 2) また, 回答者本人, 配偶者, その他家族という区分で質問がなされており, それぞれについて, 社会保険料負担及び税負担の計算を行う 以下では, 調査年と所得情報の年の違いの混乱を避けるため調査年ではなく,2008 年から 2011 年といった所得年で の表記に統一する 勤め先の収入 については昨年 1 年間の月給, 賞与総額に関する質問があり, 通常は 勤め先の収入 から賞与総額を引いて 12 等分することで月給を求めている ただし, 賞与情報がない場合には 勤め先の収入 を 12 等分し, 勤め先の収入 がなく月給, 賞与総額の回答がある場合にはそこから, 勤め先の収入 を推計している 賞与に関しては年 2 回として, 賞与を 2 等分して求めている その他家族については, 月給, 賞与総額の質問がないため,12 等分したものを月給としている 世帯員の複数がその他家族として就労する場合は, 就業者で均等割して公的負担を求めている 税制での優遇や 公的年金, 企業年金 個人年金, 失業給付 育児休業給付, 子ども手当 児童扶養手当, 生活保護給付 については, 公的移転として総所得に加えている また, すべての所得を合算し, 世帯の総所得が 12 万円以下の所得については回答の妥当性の観点から分析から除外している Ⅱ-2. 社会保険料負担の計算社会保険料負担については, 公的年金, 健康保険, 介護保険, 雇用保険の 4 つについて保険料負担を計算した 3) まず正規雇用者( 常勤の職員 従業員 [ 正規社員 ] かつ従業員規模が 1~4 人 ではない ) については厚生年金, 全国健康保険協会管掌健康保険 ( 介護保険料を含む ), 雇用保険に加入しているとの前提で社会保険料負担を計算し, 厚生年金基金には加入していないとしている なお, 標準報酬月額及び標準賞与額は各年の規定に従って計算されることとし, 保険料率についても毎年のもの ( 東京都でかつ隔年の 9 月以降に適用される ) を用いて計算している 2 )KHPS には退職金に関する質問が別途存在するが, 勤続年数がわからず, 税額が計算出来ないため所得の計算から除外している 3 )KHPS でも一部の社会保険料の実額を聞いているが, 大野他 (2015) によれば 全国消費実態調査 と 家計調査 において, 理論値に比べて記入値が過少になるとされている 本論も過少な傾向があったが, 未記入のものも散見されたため理論値とした

5 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 また, 契約社員, アルバイト パートタイマー, 派遣社員, 嘱託 については勤め先収入が 130 万円を超える場合には正規雇用者と同じ扱いとしつつ, それ以外は国民年金, 国民健康保険, 介護保険に別途加入しているとした なお, 勤め先が公務員である場合, 国家公務員共済に入っているとし, その保険料率等は加入者が一番多いと考えられる財務省共済組合の計数を用いた 仕事についている との回答ではない場合で, 所得条件から扶養されていると推定できる場合には社会保険料は課されないものとし, そうでない場合には別途, 国民年金, 国民健康保険, 介護保険に加入しているとした 国民年金については月額保険料を 12 倍して求め, 更に低所得世帯については所得水準に応じて保険料免除 ( 全額から 4 分の 1 免除 ) を適用することとした 国民健康保険と介護保険については地域別で設定され, かつその方式も多様であるため, 資産割などが存在せず, 均等割と所得割で求めることができ, さらに過去の資料を入手可能な東京都中野区の国民健康保険および介護保険制度を適用して, 負担額を求めている 4) なお, この場合も各年度における減額規定を用いて, 低所得世帯に対しては保険料の縮減を行っている 社会保険の加入の有無に関する質問で, 加入しているとの回答がない場合で, かつ正規雇用者ではない場合には社会保険は未加入としている 5) Ⅱ-3. 税負担の計算税負担については所得税, 住民税, 消費税について求めている 所得税, 住民税は, 年収のうち 勤め先の収入, 自営 事業 内職収入, 家賃 地代収入, 利子 配当金, 公的年金, 企業年金 個人年金, その他の収入 を課税対象とした 勤め先の収入, 公的年金, 企 業年金 個人年金 については, 給与所得控除, 公的年金等控除といった所得控除を適用している また, 利子 配当金 については 1 万円単位であることから, 税額控除である配当控除を適用している その他の所得についてはそのまま課税所得として加えた その上で, 基礎控除, 社会保険料控除, 医療費控除, 配偶者控除 ( 配偶者特別控除 ), 扶養控除, 寡婦 ( 夫 ) 控除を適用して, 課税所得を求めている 6) 税率はそれぞれから得られた課税所得に対して, 所得税は累進税率 (5~ 40%), 住民税は定率 (10%) の税負担がそれぞれ課されている また, 税額控除として, 先に述べた配当控除に加え, それぞれ記入があった場合には住宅ローン控除を適用している 消費税の計算に必要な消費額については調査当年 1 月の消費額を聞いているが, それを前年の 12ヶ月間の消費水準を代表していると仮定し, その 12 倍したものを前年消費額として消費税額を推計した その際には, 支出項目として, 食料費, 外食 給食費, 家賃 地代 住宅の修繕, 集合住宅の共益, 交通費, 電気代 ガス代 水道代, 通信費, 家具 電化製品 家事用品, 衣類 はき物, 保健医療費, 教養 娯楽, 交際費 小遣い, 仕送り金, その他の支出 のうちで, 消費税課税対象となると考えられる 食料費, 外食 給食費, 交通費, 電気代 ガス代 水道代, 通信費, 家具 電化製品 家事用品, 衣類 はき物, 保健医療費, 教養 娯楽, 交際費 小遣い, その他の支出 に対して消費税が課されることとした なお, 家賃 地代 住宅の修繕 については家賃などが主であると考え, 仕送り金 については支出が確実ではないため, 消費税の税負担から除外した 4) 旧ただし書き所得への移行も 2011 年の保険料から適用している 5 ) なお, 正規雇用者でかつ社会保険加入義務のある事業所が加入せず, 個人で社会保険に入っている場合は存在しないとの前提で計算している 6) 情報がないため, 生命保険料控除, 地震保険料控除, 障害者控除は適用していない

6 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション Ⅲ. 標準結果 Ⅱ 節で述べた方法によって, 個々の世帯の公的負担及び公的移転を計算し, 総所得を世帯員数の平方根で割った等価総所得別に集計を行った また, その際には各年の等価総所得による 10 分位を用いて, その分位ごとで集計した なお, 各分位の等価総所得及び総所得の平均値を表 1 及び表 2 に示した 等価総所得で見た表 1からは,KHPS のデータでは 400 万円未満の世帯が集中していることがわかる これは世帯員を調整していない表 2 を見ると明らかである また, 表 1 及び表 2 の両者から,2008 年は所得が高い時期であり, 各分位の平均所得もその他の年に比べて高めになっていることがわかる 一方で,2011 年は東日本大震災の年でもあり, 所得は低めになっている 各年の所得については若干の変動があるものの, 概ね安定しており,KHPS の所得データは安定していると考えられる 図 1 には世帯所得別のヒストグラムを示し た 国民生活基礎調査の各年資料などと比べ, 平均所得が 万円, 中位所得で 600 万円など, 両者とも 150 万円程度高く, 全体的に高所得世帯が多めになっている なお, 課税後の所得である可処分所得は図 2 に示されており, 平均所得が 万円, 中位所得で 万円であり,100 万円程度低下している 次に,2011 年の所得データを示す 2012 年調査による所得税, 住民税, 消費税, 公的年金, 健康保険, 介護保険, 雇用保険について, 総所得との比で求められる公的負担率を, 図 3 に示した 7) 図 3 からは所得税, 住民税, 公的年金については所得に対して累進的, 健康保険と雇用保険は所得に対して中立的, 消費税と介護保険は所得に対して逆進的な負担構造となっている また, 所得税は住民税に比べて, 低所得では低い負担, 高所得では高い負担となっており, 公的年金と健康保険は低所得と高所得の両端で部分的に負担率が低下する形となっている 負 表 1 等価世帯所得分位別の等価総所得の平均値 [ 万円 ] I II III IV V VI VII VIII IX X 1, , , , 表 2 等価世帯所得分位別の総所得の平均値 [ 万円 ] I II III IV V VI VII VIII IX 1, , , , X 1, , , , ) 大野他 (2013) では 全国消費実態調査, 家計調査, 国民生活基礎調査 の 3 つについて, 公的負担率の比較を行っており, 本論はそれにならった なお, 本論の結果は大野他 (2013) でもそれぞれの資料で結果がわずかに異なっているが, 大きく外れたものとはなっていない

7 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 図 1 世帯所得のヒストグラム ( 横軸 : 総所得 [ 万円 ], 縦軸 : 世帯数, ラベル : 構成比 ) 図 2 世帯所得のヒストグラム ( 横軸 : 可処分所得 [ 万円 ], 縦軸 : 世帯数, ラベル : 構成比 ) 担率はそれぞれ最大 6% 程度となっているが, それが累積した場合に全体としてどのような構成となるかを示したのが図 4 である 図 4 からは低所得世帯である第 I 分位で負担割合が大き いのは消費税と健康保険料であり, 高所得になるにしたがって消費税率の負担割合が減り, 代わって, 所得税と住民税, そして公的年金の負担割合が増加している したがって, 公的負担

8 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション の中でも毎年の生活に必要な負担が大きく, 高所得になるにしたがって, 再分配的な要素や老後に備えた負担が大きな割合を占める事がわかる また, 第 X 分位は所得税と住民税により負担率が突出しているが, その他の分位については,20% 程度が上限と考えられる 総所得に占める租税と社会保険料それぞれの負担率は所得 水準にかかわらず, 公的負担の重さと捉えることができ, 低所得世帯には消費税や健康保険料が大きな負担となって現れ, 高所得世帯には所得税と住民税がそれに当たると考えられる なお, 表 3 には 2011 年における各分位別の平均公的負担額が示されており, 所得税や住民税などは低所得世帯がほとんど負担しておら 図 3 等価世帯所得分位別の公的負担率 ( 対総所得比, 所得 :2011 年, 制度 :2011 年 ) 図 4 等価世帯所得分位別の公的負担率の構成 ( 対総所得比, 所得 :2011 年, 制度 :2011 年 )

9 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 ず, 高所得世帯では第 X 分位で所得税や住民税を合わせて, 一世帯あたり 205 万円負担するなど大きな差がある ただし, 消費税は第 I 分位でも 10 万円, 公的年金, 健康保険, 介護保険などの社会保険も 5 万円前後の負担をしており, 項目によってその負担額にばらつきがある 表 4 には 2011 年の各世帯所得分位別の一世帯あたりの公的移転所得額と公的負担を合わせた純受取額を示している 表 4 からは公的移転所得では年金所得がその大半を占め, 低所得世帯だけではなく高所得世帯も比較的大きな移転を受けていること, さらには, 公的年金は第 Ⅰ 分位では他の世帯に比べて金額で見れば半分程 度しか受け取れていないことがわかる そのため, 公的純受取額から見ても第 I 分位は純移転が第 II 分位よりも小さくなっている 所得税と住民税, 公的年金については所得階層間で税負担が累進的であるといえるものの, 消費税, 健康保険料, 介護保険料は低所得世帯への負担が重いことがわかる 一方, 消費税率の引き上げを始め, 継続的に社会保険料が増加傾向にあることから, 公的負担の増加が各所得分位に与える影響を評価することは有益であろう そこで,2008 年から 2011 年の所得に 2015 年度の税制及び社会保険制度を適用した場合の公的負担について,Ⅳ 節で評価を試みる 表 3 等価世帯所得分位別の公的負担の平均額 ( 万円, 所得 :2011 年, 制度 :2011 年 ) 所得税 住民税 消費税 公的年金 健康保険 介護保険 雇用保険 I II III IV V VI VII VIII IX X 表 4 等価世帯所得分位別の公的移転の平均額 ( 万円, 所得 :2011 年, 制度 :2011 年 ) 公的年金等 失業手当 児童手当等 生活保護 純受取 I II III IV V VI VII VIII IX X

10 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション Ⅳ.2015 年度の公的制度による評価 2009 年から 2011 年の各世帯の所得に対して 2015 年度の税制及び社会保険制度を適用した場合の負担を求める まず, それまでの制度と特に変更された点について述べておく 所得税については 2015 年から課税所得 4,000 万円超について,40% から 45% へと税率が引き上げられることとなった また,2013 年より給与所得控除に上限が設けられ, 控除上限額が 245 万円となっている また, 同年には復興特別所得税が所得税額の 2.1% 分だけ課されている さらに, 消費税率が 5% から 8% へと 2014 年度より引き上げられている 社会保険料については保険料率の 2015 年計数への変更と東京都中野区の健康保険料の算定基準が住民税方式から簡便化された旧ただし書き方式へと変更された なお, 公的移転所得については今回の分析が, 基準とする 2009 年から 2011 年の所得データに 2015 年の税制及び社会保険制度を当てはめることが目的であるため, 同期間における移転額をそのままとした 8) その結果のうち, 相対的に公的負担は低く, 所得水準が最も高い 2008 年と, 相対的に公的負担は高く, 所得が最も低い 2011 年の結果を表 5 および表 6 に示した まず, 両者共通の結果としては, 高所得世帯に限っては所得税および住民税の負担が減少していることがあげられる 年少扶養控除廃止, 給与所得控除の上限導入や最高税率の引き上げ, 更には復興特別所得税の導入にもかかわらず減少に転じている この結果は, 田近 八塩 (2006) や松田他 (2014) で指摘された社会保険料増加による課税ベースの縮小が原因である 表 7 は所得分位を第 I 分位から第 III 分位までと, 第 VIII 分位から第 X 分位までに分けたうえで, 所得税と住民税の増減額で区分したものであるが, どちらで評価しても 8 割程度の世帯で所得税と住民税の税負担は減少している 社会保険料は 2008 年では約 2%,2011 年では約 1% だけ, その負担率が上昇している 一方, 所得税および住民税では社会保険料控除があり, 社会保険料の増加が所得税や住民税の減税につながる なお, 課税所得 4,000 万円超のため税負担が増加する世帯は, 2008 年の個票では 3335 世帯中 3 世帯,2009 年では 3117 世帯中 0 世帯,2010 年は 2959 世帯中 1 世帯,2011 年では 2796 世帯中 2 世帯と極めて少ない 土居 朴 (2011) でも指摘されているように, 最高税率の引き上げ効果は極めて限定的である 2008 年では第 VIII 分位以下,2011 年では第 V 分位以下の所得税負担が増加している これは特定扶養控除と年少扶養控除廃止と復興特別所得税が原因である このことから, すべての世帯で税負担は本来増加しているはずであるが, 高所得世帯は社会保険料負担の増加によって, 高税率で課税される部分が縮減されて恩恵を受けていることがわかる 一方, 消費税率の引き上げ効果がすべての世帯で確認できる ただし, 消費税に関する評価を試みた八塩 長谷川 (2009) でも指摘されたように, その効果も第 I 分位の約 2.9% から第 X 分位の約 1.1% へと, 所得に対して逆進的な負担増加が生じている 年度別の特徴としては 2008 年では 2011 年に比べて社会保険負担率の上昇幅が大きい これはまず 2008 年のほうが社会保険負担が低いことが大きな要因である 8 ) 年金生活者等支援臨時福祉給付金, 臨時福祉給付金, 子育て世帯臨時特例給付金が適用されていないため, 厳密な意味での 2015 年度の総所得を計算していない点に留意が必要である

11 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 次に, 公的負担率の上昇が期待される高所得世帯である第 X 分位は 2008 年でも 2011 年でも社会保険料の負担率が第 IX 分位よりも低いだけでなく, 消費税率引き上げに伴う負担率の上昇も最も低く, 所得税や住民税の負担が減少すらしている それに比べて, 低所得世帯は公 的負担のほぼすべての項目について負担率が上昇しており, 低所得になるにつれて全負担率が上昇してゆく傾向にある 理由としては, 消費税が低所得世帯に重く, 社会保険料負担は世帯の所得水準にかかわらず, ほぼ均等な負担となることがあげられる 当然, 本分析では取り入 表 5 等価世帯所得分位別の公的負担の変化率 ( 所得 :2008 年, 制度 : 年 ) 所得税 住民税 消費税 公的年金 健康保険 介護保険 雇用保険 公的負担 I 0.06% 0.14% 2.88% 0.46% 0.75% 0.24% -0.01% 4.88% II 0.10% 0.23% 2.43% 0.70% 1.36% 0.26% -0.03% 5.09% III 0.14% 0.28% 2.19% 0.77% 1.27% 0.22% -0.03% 4.84% IV 0.18% 0.31% 1.98% 0.90% 1.16% 0.18% -0.04% 4.67% V 0.22% 0.25% 1.76% 0.92% 1.06% 0.16% -0.05% 4.34% VI 0.17% 0.10% 1.65% 0.99% 1.04% 0.17% -0.08% 4.05% VII 0.14% 0.02% 1.55% 1.00% 1.05% 0.14% -0.09% 3.83% VIII 0.04% -0.04% 1.48% 1.00% 1.01% 0.14% -0.11% 3.53% IX -0.08% -0.12% 1.32% 1.01% 1.12% 0.16% -0.11% 3.31% X -0.19% -0.14% 1.05% 0.83% 1.14% 0.12% -0.16% 2.65% 表 6 等価世帯所得分位別の公的負担の変化率 ( 所得 :2011 年, 制度 : 年 ) 所得税 住民税 消費税 公的年金 健康保険 介護保険 雇用保険 公的負担 I 0.02% 0.03% 2.94% 0.21% -1.08% 0.18% -0.01% 2.91% II 0.00% 0.00% 2.39% 0.35% 0.32% 0.20% -0.03% 3.26% III 0.01% 0.00% 2.19% 0.44% 0.66% 0.16% -0.03% 3.44% IV 0.01% -0.01% 2.04% 0.47% 0.73% 0.14% -0.04% 3.34% V 0.00% -0.02% 1.85% 0.55% 0.65% 0.09% -0.05% 3.08% VI -0.02% -0.05% 1.75% 0.61% 0.65% 0.09% -0.07% 2.97% VII -0.01% -0.04% 1.62% 0.60% 0.62% 0.06% -0.08% 2.77% VIII -0.05% -0.07% 1.54% 0.62% 0.66% 0.06% -0.09% 2.69% IX -0.07% -0.08% 1.37% 0.60% 0.63% 0.06% -0.09% 2.43% X -0.10% -0.10% 1.10% 0.55% 0.65% 0.06% -0.13% 2.02% 表 7 等価世帯所得分位別の公的負担の増加額構成 ( 所得 : 各年, 制度 : 各年 2015 年 ) 所得税と住民税の増加額 第 I~III 分位計第 XIII~X 分位計 増加 10 万円以上 3.90% 0.12% 8.73% 1.19% 増加 10 万円未満 24.08% 10.53% 12.34% 10.39% 不変 0.00% 0.00% 1.50% 2.99% 減少 10 万円未満 53.95% 59.29% 77.43% 85.42% 減少 10 万円以上 18.08% 30.06% 0.00% 0.00%

12 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション れられていない公的負担の上昇に合わせて, 児童手当 ( 旧子ども手当 ) や消費税率引き上げに対する給付措置が取られているため, 直ちに格差を助長していることにはならないが, 税制や社会保険制度では高所得世帯への公的負担強化が有効に機能しないことがわかる また, 図 5 は 2015 年の税制および社会保険制度を 2008 年から 2011 年所得に適用した公的負担率と, 2008 年度から 2011 年度の公的負担率の世帯所得分位別平均値に前者の第 X 分位の負担率の平均上昇率である 2.4% 分だけ上方スライドさせたものであるが, 公的負担率の傾斜が以前は所得に対して比較的累進的であったにも関わらず,2015 年の制度を適用すると累進性が緩和してしまう これは少子高齢化による所得に対して均等な社会保険料負担の増加と, 低所得世帯に負担が重くなる税制により所得に対して累 進的な公的負担構造がフラット化していることを表す したがって, 低所得世帯に負担の大きい消費税率の引き上げと, 社会保険料負担の増加を通じた課税ベースの侵食による高所得世帯の税負担の軽減が税の再分配機能を弱めてゆくことが確認でき, 今後もその傾向がさらに進むと考えられる 9) これらは近年注目される公的負担の格差是正機能が弱まっていると解釈することもでき, 税制 社会保障制度それぞれの低所得世帯対策だけでなく, 総合的な対応が必要だろう そこで, 本論では,2015 年の改正ですでに行われたものの, その効果が必ずしも高所得世帯に影響したとはいえない最高税率の引き上げ以外の方法で, 本来期待される高所得世帯に負担を促す政策シミュレーションを行う 図 5 制度の相違と所得分位別の公的負担率 ( 対総所得比, 制度 :2015 年, 平均は各年制度を適用した平均 ) 9 ) 田近 古谷 (2005) や八塩 蜂須賀 (2014) で指摘される公的年金等控除を通じた, 高齢化による所得税の課税ベースの侵食も進んでゆくと考えられ, 今後, 多方面からの課税ベースの侵食が進んでゆくことに留意が必要である

13 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 Ⅴ. 政策シミュレーション 前節で高所得世帯の公的負担の増加が想定される制度改正にもかかわらず, 実際には機能していない可能性が示された 田近 八塩 (2006) では一部の所得控除を全廃した際の効果を評価しているが, 本論では高所得世帯に限定して租税負担を増加させることが期待できる政策シミュレーションを試みる 具体的には, 増税効果が十分ではない所得税率の引き上げではなく, 課税ベースである課税所得を増加させるための政策シミュレーションとした 2015 年度の制度を適用した 2008 年から 2011 年の推計値に対して,(1) 給与所得控除の上限引下げ, (2) 公的年金等控除の上限導入,(3) 社会保険料控除の上限導入,(4) 配偶者控除の所得に応じた段階的縮減の4つの所得控除を実施した場合に, 所得税の負担率および負担額がどのように変化するかを推計する その際, 過去の制度改正に付加する形で小幅に縮減するケース ( 標準ケース, 以下 A と表記), 大幅な縮減を実施するケース ( 改革ケース, 以下 B と表記) を用いる 表 8 には政策シミュレーションの一覧が示されている まず,(1) 給与所得控除の上限引下げについては, 現在 240 万円の上限が設定されているが, それを 2017 年以降の上限となる 220 万円としたもの ( 給与 A) とさらに縮減して 180 万円としたもの ( 給与 B) を用いた (2) 公的年金等控除の上限導入については, 所得控除額に上限がない形となっている公的年金等控除について,2015 年において 65 歳以上に適用される所得控除の最低額である 120 万円としたもの ( 年金 A) と, 更にそれを引き下げて80 万円としたもの ( 年金 B) とした (3) 社会保険料控除の上限導入については, これまで社会保険料控除には上限がなかったことから, 比較的高めの 150 万円 ( 社保 A) と 低めにおいた 100 万円 ( 社保 B) を用いた (4) 配偶者控除の所得に応じた段階的縮減については, 現在, 配偶者特別控除だけが配偶者所得に応じて縮減されることとなっているが, 本人の所得に応じて配偶者控除と配偶者特別控除両者が縮減されることとした 例えば, 合計所得金額 800 万円以上から所得が 1 万円上昇するごとに 1.65 万円だけ配偶者控除が減少し, 1000 万円で 0 となるもの ( 配偶 A), 更にその縮減の開始金額を 400 万円に引き下げて上限を 600 万円としたもの ( 配偶 B) を用いた なお, 配偶者特別控除についてもその控除税額を最大値として, 最高所得で 0 となるように線形で縮小する その結果について, 各年の所得税と住民税を合わせた租税負担率の上昇幅の世帯あたり平均を表 9, 租税負担額の世帯平均を表 10 に示した 表 9 および表 10 からは低所得世帯にはほぼ影響を与えないにもかかわらず, すべてのシミュレーションで高所得世帯の負担が増加していることがわかる しかしながら, 年金 A については高所得世帯への負担がほとんどないことがわかった 負担率で見れば, 配偶 A, 給与 A, 社保 A の順で高所得に負担が重くなるが, 負担額で見れば, 給与 A, 配偶 A, 社保 A の順である 負担率が各世帯の総所得比で小さな値に留まったとしても, 特に高所得世帯の場合にはわずかな負担割合の増加でも負担額が大きくなるからである なお, 負担率ではいずれも, 百分の一パーセント水準ほどしか負担増をもたらさない 次に, 改革ケースを見てみると, 十分の一パーセント水準で負担を増加させることが可能となる 負担率で見れば, 配偶 B, 社保 B, 給与 B の順で高所得に負担が重くなるが, 負担額で見れば, 給与 B, 社保 B, 配偶 B の順である

14 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション 配偶者控除では負担率が高い割には負担額は少ない これは配偶者控除が非常に高い所得の世帯の負担増加よりも高所得世帯全体への幅広い負担になっているからだと考えられる しかしながら, 全体の負担率の上昇が十分の一パーセント台にとどまることは, 所得税制において, 所得控除の縮減で課税ベースを広げることに一定の限界があるといえるだろう 負担額からも 標準ケース では課税ベースの拡大効果が非常に限られるため, 十分な負担とはいえない その原因として, 所得控除の削減が一部の世帯の税負担上昇にしかならない事が考えられる 表 11 では上位 3 分位である第 VIII 分位から第 X 分位において, 実際に税負担が上昇した世帯の割合を示しているが, 個別の所得控除を縮減しても 80% 以上の世帯には 表 8 政策シミュレーションの一覧 給与所得控除公的年金等控除社会保険料控除配偶者控除 標準 (A) 改革 (B) 上限を 220 万円上限を 120 万円上限を 150 万円 上限を 180 万円上限を 80 万円上限を 100 万円 合計所得金額 800 万円から 1000 万円まで段階的に縮減合計所得金額 400 万円から 600 万円まで段階的に縮減 表 9 等価世帯所得分位別の政策シミュレーションによる所得 住民税負担率の変化 ( 対総所得比, 年平均 ) 給与 A 年金 A 社保 A 配偶 A 給与 B 年金 B 社保 B 配偶 B I 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% II 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.04% 0.00% 0.00% III 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.06% 0.00% 0.00% IV 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.08% 0.00% 0.00% V 0.00% 0.01% 0.00% 0.00% 0.02% 0.08% 0.02% 0.02% VI 0.00% 0.01% 0.00% 0.00% 0.05% 0.07% 0.06% 0.06% VII 0.00% 0.01% 0.00% 0.01% 0.10% 0.06% 0.13% 0.13% VIII 0.01% 0.02% 0.02% 0.03% 0.14% 0.10% 0.18% 0.18% IX 0.02% 0.01% 0.03% 0.07% 0.20% 0.07% 0.24% 0.24% X 0.08% 0.01% 0.06% 0.12% 0.29% 0.07% 0.30% 0.30% 表 10 等価世帯所得分位別の政策シミュレーションによる所得 住民税負担額の変化 ( 万円, 年平均 ) 給与 A 年金 A 社保 A 配偶 A 給与 B 年金 B 社保 B 配偶 B I II III IV V VI VII VIII IX X

15 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 表 11 所得控除縮減による所得税と住民税の増加した高所得世帯割合 第 XIII~X 分位計 給与 A 年金 A 社保 A 配偶 A 全部 A 増加 10 万円以上 2.94% 0.96% 2.14% 8.58% 13.60% 増加 10 万円未満 10.42% 3.11% 9.92% 7.28% 11.49% 不変 86.64% 95.90% 87.93% 81.14% 74.88% 減少 10 万円未満 0.00% 0.03% 0.00% 0.00% 0.03% 減少 10 万円以上 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 第 XIII~X 分位計 給与 B 年金 B 社保 B 配偶 B 全部 B 増加 10 万円以上 19.38% 6.38% 20.34% 24.46% 42.00% 増加 10 万円未満 24.63% 9.07% 25.10% 20.59% 21.08% 不変 55.99% 84.11% 54.56% 54.95% 36.89% 減少 10 万円未満 0.00% 0.44% 0.00% 0.00% 0.44% 減少 10 万円以上 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 影響がなく, すべての控除を縮減しても約 75% の世帯には所得控除の影響は出ていない また, 改革ケース でも個別の縮減では 5 割 程度の世帯は所得控除の影響を受けておらず, 多くの高所得世帯に負担を広げるためには規模に加え, 複合的な所得控除の縮減が必要である Ⅵ. 再分配効果と政策的含意 前節の政策シミュレーションでは所得税および住民税の負担増加が, 限界はあるものの高所得世帯から一定の税収を得られることを明らかにした 特に 改革ケース では一世帯あたり数万円の税収を得ることができるため, 増収分を再分配に活用することも考えられるだろう そして, 低所得世帯にとってはたとえ数万円の所得移転でも十分な格差是正効果を持つと考えられる そこで, 政策シミュレーションによって得られた税収を集計して, それを第 I 分位から第 V 分位まで, 線形 ( 比率としては第 I 分位 : 第 II 分位 : 第 III 分位 : 第 IV 分位 : 第 V 分位 =5:4:3:2:1) で傾斜的に配分することを考える 10,11) そのうえで,2008 年から 2011 年の一世帯あたりの分位別所得の平均値で除した割合から, 各政策シミュレーションによって可能となる公的負担の軽減率を概算で求めた その結果をまとめたのが表 12 である 表 12 からは 標準ケース では配偶 A が第 I 分位の世帯の負担を 0.84% 引き下げるのを筆頭に,1% 未満の負担軽減にとどまることがわかる ただ, 仮にすべての政策が実施されたと仮定して, 簡易集計すると最大 2.02% の軽減が可能となる 一方, 改革ケース では配偶 B の 10 ) なお, 各世帯がほぼ同数となる 10 分位での世帯区分であることから, すべての世帯の所得税と住民税の増加分の和をとって, 各世帯に配分することで, 税収中立の計算となる 11 ) 田近 八塩 (2006), 白石 (2009), 田近 八塩 (2010) や高山 白石 (2010) をはじめとした給付付き税額控除を中心とした低所得世帯への所得移転を想定している なお, 田近 八塩 (2008) や鎌倉 (2010) にあるように, 給付付き税額控除のような直接的支払いの他, 税額控除で残った部分をバウチャー化することで, 社会保険料支払いに限定して充てる国も存在している

16 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション 実施だけで 標準ケース をすべて実施したのに相当する再分配効果を持つことがわかる 改革ケース で最も効果的なのは全体的に負担額の増加をもたらす社保 B であり, 第 I 分位の公的負担を 2.68% 縮減できる なお, 改革ケース をすべて実施すると, 第 I 分位の公的負担を約 7.53% 縮減できる 図 6 では, 標準ケース の全部, 改革ケース の全部, そしてⅢ 節の 標準結果およびⅣ 節の 2015 年制度による結果の各平均による, 世帯所得分位別の公的負担率の平均値を示している 図 6 からは, 所得控除縮減によって得られた税収を低所得世帯に配分することで, 時間を通じた所得水準別の公的負担のフラット化を食い止め, さらに再分配効果を高めることができることがわかる 表 12 政策シミュレーション別の公的負担率の改善幅 ( 対総所得比 ) 給与 A 年金 A 社保 A 配偶 A 全部 A I 0.70% 0.28% 0.66% 0.84% 2.02% II 0.33% 0.13% 0.31% 0.39% 0.94% III 0.19% 0.08% 0.18% 0.23% 0.56% IV 0.11% 0.04% 0.10% 0.13% 0.31% V 0.05% 0.02% 0.04% 0.05% 0.13% 給与 B 年金 B 社保 B 配偶 B 全部 B I 2.46% 1.01% 2.68% 2.28% 7.53% II 1.15% 0.47% 1.25% 1.07% 3.52% III 0.68% 0.28% 0.74% 0.63% 2.07% IV 0.38% 0.16% 0.41% 0.35% 1.16% V 0.16% 0.07% 0.17% 0.15% 0.49% 図 6 所得控除縮減と再分配による所得分位別の公的負担率の変化

17 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 28 年第 2 号 ( 通巻第 127 号 )2016 年 10 月 Ⅶ. まとめ 本論は 慶應義塾家計パネル調査 (KHPS) を用いて, 租税に加えて社会保険料負担も考慮した個票データによるマイクロ シミュレーションを試みた まず,KHPS の 2009 年から 2012 年調査を用いて, 当時の税制及び社会保険制度を適用して, 租税及び社会保険料負担額, 公的移転額をそれぞれ再計算し, 等価総所得による 10 分位別の公的負担を集計した その結果, 低所得世帯ほど, 消費税および健康保険料の負担比率が高く, 高所得になるにつれてそれが低下し, 代わって所得税, 住民税, 公的年金負担が増加することを確認した また,2008 年から 2011 年の所得に対して仮想的に,2015 年度の租税及び社会保険制度が適用された場合の公的負担を推計した その結果, 社会保険料の負担増加と消費税率の引き上げが特に低所得世帯への大きな負担となっていることが明らかとなった 高所得世帯は租税の負担額が大きく増加するものの, 特に社会保険料控除が社会保険の負担増を相殺してしまうため, 所得税や住民税の実質的な税負担の軽減を通じて, 公的負担全体で見れば非常に小さな上昇に留まる また, 所得税の最高税率の引き上げは該当する世帯が極めて限られるため, 全体的な影響はほとんどなかった これらは今後の社会保険料負担増や消費税率の引き上げの過程で, 所得に対する公的負担のフラット化をもたらす要因になると考えられる このフラット化を食い止めるため, 高所得世帯への税負担の増加を目的として, 政策シミュ レーションとして, 高所得世帯の負担増をもたらす所得控除の縮減を既存の制度改正に付加する形で小幅に実施するケース ( 標準ケース ), 大幅に実施するケース ( 改革ケース ) について推計した 標準ケース では課税ベースの拡大効果が非常に限られるため, 十分な税収が得られないこと, 改革ケース でも, 高所得世帯の租税負担率はそれほど上がらないことがわかった また, そこで得られた税収を低所得世帯に配分すると, 標準ケース では税収の少なさから限定的だが, 改革ケース では低所得世帯の公的負担率を大きく下げられることがわかった これらの結果から, 今後, 現状の低所得世帯への負担を軽減するため, 再分配の観点から一定規模の所得控除の縮減が有効であることが示された 一方, 公的負担が増加する中で, 一部の所得控除, また一部の高所得世帯だけに的を絞った所得控除の縮減だけでは限界があり, 全世帯を視野に入れた所得控除全般, さらには社会保険制度を含む総合的な観点からの負担構造を再検討する必要があるだろう なお,KHPS はパネルデータであり, 中澤他 (2014) で議論されたような所得変動について, 個票データを異時点間で評価することができるという利点がある しかし, 本論では 4 年平均を用いるなど分析に留まっており, 今後の課題としてパネルデータの特性を活かすためのフレームワークを検討する必要がある 参考文献 阿部彩 (2008) 格差 貧困と公的医療保険 : 新しい保険料設定のマイクロ シミュレー

18 経済格差と税 社会保障負担に関するマイクロ シミュレーション ション 季刊社会保障研究, 第 44 巻 3 号, pp 大野太郎 中澤正彦 三好向洋 松尾浩平 松田和也 片岡拓也 高見澤有一 蜂須賀圭史 増田知子 (2013) 家計の税 保険料負担: 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 の比較 PRI Discussion Paper Series No. 13A-07, 財務省財務総合政策研究所. 大野太郎 中澤正彦 松田和也 菊田和晃 増田知子 (2014) 家計の税 保険料負担: 全国消費実態調査 を用いた計測 フィナンシャル レビュー 第 118 号,pp 大野太郎 中澤正彦 菊田和晃 山本学 (2015) 家計の税 社会保険料の比較 フィナンシャル レビュー,122 号,40-58 頁. 鎌倉治子 (2010) 諸外国の給付付き税額控除の概要, 調査と情報, 第 678 号,pp. 1-12, 国立国会図書館. 北村行伸 宮崎毅 (2012) 所得不平等と税の所得再分配機能の評価 : 年 Hitotsubashi University Global COE Hi-Stat Discussion Paper Series 230. 白石浩介 (2009) 給付つき税額控除による所得保障 PIE/CIS Discussion Paper ; No. 456, 一橋大学. 高山憲之 白石浩介 (2010) 米国型 EITC の日本への導入効果, 経済研究 第 61 巻 2 号. pp 田近栄治 古谷泉生 (2005) 年金課税の実態と改革のマイクロ シミュレーション分析 経済研究, 第 56 巻 4 号,pp 田近栄治 八塩裕之 (2006) 税制を通じた所得再分配 所得控除にかわる税額控除の活用 小塩隆士 田近栄治 府川哲夫編 日本の所得分配 : 格差拡大と政策の役割, 東京大学出版会, 第 4 章. 田近栄治 八塩裕之 (2008) 所得税改革 税額控除による税と社会保険料負担の一体調 整, 季刊社会保障研究, 第 44 巻 3 号, 頁. 田近栄治 八塩裕之 (2010) 税収の確保と格差の是正 : 給付付き税額控除制度の導入, 土居丈朗 ( 編 ) 日本の税をどう見直すか, 日本経済新聞出版社, 第 2 章. 田中聡一郎 四方理人 駒村康平 (2013) 高齢者の税 社会保障負担の分析 全国消費実 : 態調査 の個票データを用いて フィナンシャル レビュー, 第 115 号,pp 土居丈朗 (2010) 子ども手当て導入に伴う家計への影響分析 - JHPS を用いたマイクロ シミュレーション, 経済研究, 第 61 巻, 第 2 号, 頁. 土居丈朗 朴寶美 (2011) 所得税制改革が家計に与える影響 : 平成 23 年度税制改正大綱に関するマイクロ シミュレーション KEIO/KYOTO GLOBAL COE DISCUSSION PAPER SERIES DP 中澤正彦 松田和也 米田泰隆 菊田和晃 (2014) 国民生活基礎調査の個票データによる所得税収変動要因等の定量的分析 フィナンシャル レビュー,117 号,78-95 頁. 松田和也 大関由美子 菊田和晃 上田淳二 (2014) 人口構造の変化に伴う社会保険料増加が将来の所得税の課税ベースに与える影響 マイクロ シミュレーションの手法を用いた将来推計, フィナンシャル レビュー, 第 118 号, 頁, 財務省財務総合政策研究所. 八塩裕之 長谷川裕一 (2009) わが国家計の消費税負担の実態について, 経済分析 182 号,pp 八塩裕之 蜂須賀圭史 (2014) 高齢化が所得税の課税ベースに与える影響について 個票による年金課税のシミュレーション分析 フィナンシャル レビュー,118 号, 頁

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