第 38 回岡山県臨床細胞学会のご案内 ( 第 1 次 ) 第 38 回岡山県臨床細胞学会を下記の通り開催いたしますので, ご案内申し上げます. 記 1. 期日 : 平成 30 年 7 月 7 日 ( 土 ) 2. 会場 : 岡山大学医学部臨床講義棟 2F 第 1 講義室 3. 学会事務局 : 70

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2 第 38 回岡山県臨床細胞学会のご案内 ( 第 1 次 ) 第 38 回岡山県臨床細胞学会を下記の通り開催いたしますので, ご案内申し上げます. 記 1. 期日 : 平成 30 年 7 月 7 日 ( 土 ) 2. 会場 : 岡山大学医学部臨床講義棟 2F 第 1 講義室 3. 学会事務局 : 岡山市北区鹿田町 岡山大学病院病理診断科内第 38 回岡山県臨床細胞学会学術集会事務局事務局担当 : 那須篤子 TEL: FAX: nasu-a@cc.okayama-u.ac.jp 4. プログラム : 1) 一般演題 2) 要望講演, 会長講演 : 各 1 題 3) 特別講演 : 口腔と舌可動域における腫瘍性病変の細胞診 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔病理学分野准教授中野敬介先生 5. 一般演題応募 : 平成 30 年 5 月下旬ごろ締切り 第 38 回岡山県臨床細胞学会学術集会会長藤田勝

3 1 第 37 回岡山県臨床細胞学会 学術集会 プログラム 日時平成 29 年 7 月 22 日 ( 土 ) 8:55 11:30 会場 川崎医科大学現代医学教育博物館 2 階 ( 岡山県倉敷市松島 577) 会 柳井広之 ( 岡山大学病院病理診断科 ) 参加者の皆様へ 会場へはできるだけ公共交通機関を利用してお越しください 車でのお越しの際は外来駐車場をご利用ください なお 料金は各自でお願いします 受付開始は 8 時 30 分です 参加費として 当日 500 円を申し受けます 年会費の納付受付は行いませんので ご承知ください * 年会費納付は振り込みのみとさせていただいております カジュアルな服装でお越しください 細胞診専門医 細胞検査士の資格更新クレジットを申請しております 演者の皆様へ 1 演題 7 分とし 発表 5 分 質疑応答 2 分で進めます 役員の皆様へ 当日 8 時 30 分より川崎医科大学現代医学教育博物館 3 階にて役員会を開催します

4 2 プログラム 8:55 9:00 開会挨拶学術集会会 柳井広之 ( 岡山大学病院 ) 9:00 9:14 一般演題 1 座 林敦志 ( 岡山赤十字病院 ) 1. EUS-FNA で経験した膵 neuroendocrine carcinoma の一例公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 1) 2) 臨床検査技術部病理検査室同病理診断科 中村香織 (CT) 1), 原田美香 (CT) 1), 香田浩美 (CT) 1), 小寺明美 (CT) 1), 實平悦子 (CT) 1), 山口大介 (CT) 1), 板倉淳哉 (MD) 2), 内野かおり (MD) 2) 2. MTX 関連リンパ増殖性疾患の 2 例岡山大学病院病理部 濵田香菜 (CT), 那須篤子 (CT), 本山由紀子 (MT), 原田和恵 (CT), 井上博文 (CT), 今井みどり (CT), 松岡博美 (CT), 藤田勝 (CT), 田中顕之 (MD), 田中健大 (MD), 柳井広之 (MD) 9:14 9:28 一般演題 2 座 舟田和幸 ( 岡 市 病院 ) 3. 気管支に発生した粘表皮癌の一例 1) 川崎医科大学総合医療センター病理部 2) 神 常磐 学 日野寛子 (CT) 1), 高須賀博久 (CT) 1), 成富真理 (CT) 1), 畠榮 (CT ) 2), 物部泰昌 (MD) 1) 4. 高度なリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例 1) 独立行政法人労働者健康安全機構岡山労災病院中央検査部, 2) 3) 同病理診断科, 同胸部外科 菅沼和義 (CT) 1), 園部宏 (MD) 2), 岩佐貴仁 (CT) 1), 妹尾純江 (CT) 1), 藤木正昭 (CT) 1), 横谷幸男 (CT) 1), 河合央 (MD) 3)

5 3 9:28 9:49 一般演題 3 座 田村麻衣子 ( 岡山赤十字病院 ) 5. 細胞形態と免疫染色結果が診断のピットフォールとなった悪性中皮腫の 1 例国立病院機構岩国医療センター 佐藤正和 (CT) 6. 子宮頚部擦過標本にて小細胞癌との鑑別に苦慮した basaloid squamous cell carcinoma の 1 例 国立病院機構福山医療センター 1) 2) 3), 岡山大学病院, 岡山労災病院 有安早苗 (CT) 1), 柳井広之 (MD) 2), 園部宏 (MD) 3) 7. 尿管癌術後, 胸水細胞診に TTF-1 陽性異型細胞が出現した1 例 1) 2) 国立病院機構岡山医療センター臨床検査科, 岡山大学病院病理診断科 平本直美 (CT) 1), 福田智 (CT) 1), 原田侑香里 (CT) 1), 神農陽子 (MD) 1), 谷口香 (MD) 2) 9:49 10:00 休憩 10:00 10:30 岡山県臨床細胞学会総会 10:30 11:30 特別講演 座 柳井広之 ( 岡山大学病院 ) 尿細胞診:The Paris System と標本の見方を中心に 社会医療法人白十字会白十字病院臨床検査科大谷博先生

6 巻頭言 神戸常盤大学保健科学部医療検査学科畠榮 2017 年 4 月より神戸常盤大学保健科学部医療検査学科の教授として赴任し, 神戸での生活も半年が過ぎ大学の業務にも慣れ, 学生と楽しく過ごしています. そこで, 神戸常盤大学細胞検査士養成課程の事を, 少し紹介したいと思います. 近畿圏の細胞検査士養成校として長年続いた大阪府立成人病センター ( 現大阪国際がんセンター ) 付設細胞検査士養成コースが休講となり, 細胞検査士を養成する施設がないという状況下, 短期大学だった本学は 2008 年に 4 年制大学に移行し, 保健科学部医療検査学科の新しいカリキュラムとして,2011 年に 4 年制大卒で臨床検査技師 細胞検査士のダブルライセンスを取得できる細胞検査士養成課程が開設されました. 北里大学の服部学先生をはじめ, 多くの養成機関や大阪府立成人病センター細胞検査士養成コースのシステムを参考とし開設されており, 開校当時からご尽力下さった布引治先生や覚道健一先生 ( 当時和歌山県立医科大学教授 ) の呼びかけで, 近畿圏医学部各分野の教授 ( 細胞診専門医 ) の協力のもと岩井重寿先生 ( 当時神戸常盤大学教授 ) がカリキュラムの基盤をまとめて下さいました.2011 年の開講から 2016 年までの 6 年間で 65 名の合格者を世に送り出しています. 大学での細胞検査士教育について必要なことは, 病理組織学を基礎とし細胞が織りなす形態的変化を認識することと考えています. 認識とは基本的には哲学の概念で, 主体あるいは主観が対象を明確に把握することを言い表しています. 知識とほぼ同義語でありますが, 日常語の知識と区別され, 知識は主に認識によって得られた 成果 を意味します. 認識は成果のみならず対象を把握するに至る 作用 を含む概念と考えています. 形態学的なパターン認識は自然情報処理のひとつで, 画像などの多量のデータの中から, 意味を持つ対象を選別して取り出す処理です. 病理 細胞診断における多量の正常細胞の中から, 特定の細胞や細胞が織り成すパターンを識別 認識するなどの行為がパターン認識そのものであります. 教育者としてどの様に振舞うかは Aristoteles の言葉にありますように, Those that know, do. Those that understand, teach. 認識し理解することは, 教えることにつながると考えています. 本号は, 第 37 回岡山県臨床細胞学会 学術集会で発表された 7 例と症例報告 1 の編で構成されています. これら 8 編すべての症例は, 病理医指導のもとで細胞検査士が報告したもので, 多岐の分野にわたる症例で構成されています. 岡山臨床細胞学会の前身である日本臨床細胞学会岡山支部会は, 若い細胞検査士が学問を発展させるための場として 1981 年 8 月に設立され, この設立を機に学会で発表した症例を論文とし, 業績として残すことを目的に支部会誌が発刊されました. 本号で第 36 巻となり, 多くの症例はいずれも実地臨床に即した内容で明日からの診療に応用できるものです. 岡山県臨床細胞学会においても, 日本臨床細胞学会の理念である 我が国の細胞診断学の進歩 発展を図り, 細胞診を通じて国民の健康を守ること を肝に銘じ, その考えが本誌にもしっかりと反映されたものと考えます. 最後になりましたが, 現在, 本誌は柳井先生をはじめとする編集委員のもとで, 電子ジャーナル化の検討を始めています. 電子ジャーナル化は時代のニーズであり, 実現しなくてはならない重要な課題と考えていますので, 皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます.

7 岡山県臨床細胞学会 7 総 説 尿細胞診 :The Paris System と標本の見方を中心に 大谷 博 社会医療法人白十字会白十字病院臨床検査科 The Paris System( パリスシステム ) は, 尿細胞診報告様式の統一を目的として作成された国際的な報告様式である.2013 年にパリで開催されたInternational Academy of Cytology CongressにおいてThe Paris System for Reporting Urinary Cytologyのワーキンググループが発足したことに始まり,2016 年にその集大成としてアトラス本が発刊された. パリスシステムの最大の特徴は, 高異型度尿路上皮癌 (HGUC) の検出にターゲットを絞ったことであり, 生命予後が良く, 尿細胞診の感度が低い低異型度尿路上皮癌 (LGUC) は尿細胞診の主な対象から除外された. 一方,2015 年に承認された本邦初の泌尿器細胞診報告様式は, 包括的な報告様式であり, パリスシステムとの読み替えが可能となるよう配慮された. 新しい両報告様式は, 社会的背景, 診断書式, 診断カテゴリーの定義, および診断基準等に類似点と相違点がある. 各施設において新しい報告様式を導入する際には, 両報告様式の特徴を理解することと泌尿器科医を含めた臨床サイドとの情報共有が不可欠である. Key Words: 尿細胞診, 報告様式, パリスシステム, 高異型度尿路上皮癌, 標準化 Ⅰ. はじめに 尿細胞診は, 尿路悪性腫瘍の早期発見及び再発スク リーニングとして非侵襲性, かつ安価な優れた検査である. 腎移植後等の免疫不全状態におけるBKウイルス腎症の検出 ( デコイ細胞 ) にも用いられ, 現在の実地臨床に広く浸透している. 自然尿細胞診では, 上部尿路から下部尿路までの剥離細胞が様々な程度に形態変化を示して出現するので, 初心者には一見難しい領域と思われる. しかし, いくつかのコツを覚えてしまえば, 比較的ストレスなく鏡検できるようになる 1). 特に,5 種類の細胞像, つまり1)HGUC 細胞,2) デコイ細胞,3)LGUC 細胞,4) 反応性尿路上皮細胞, 5) 反応性尿細管上皮細胞の出現パターンとその特徴を掴めば, 特殊な症例を除いた大部分の尿細胞診検体の診断が可能となる. 尿細胞診の報告書は, 各施設や各個人のルールで個別に運用されてきた. 診断カテゴリーに関しても, 国内外を問わず様々な用語, 記号が様々な定義で用いら 論文別刷請求先 福岡市西区石丸 社会医療法人白十字会白十字病院臨床検査科大谷博 れ, 国内ではパパニコローの5 段階分類, その細分型の7 段階分類, 更に3 段階分類,4 段階分類などが利用されてきた 2). 尿細胞診のレポートを異なる基準や異なる用語で報告すると, 受け取った臨床医が病理医の意図とは異なった解釈をしてしまうリスクがあり 3), それは患者に対する不適切な治療に繋がる危険性を孕んでいる. 更に, 国内外を問わず, 尿細胞診標本の作製法は, 検体処理法や細胞保存液を含めて施設によって多種多様であり, 標準化や再現性のハードルとなっている. 尿細胞診の発展には, 報告様式, 診断基準及び標本作製法の3 要素の標準化は避けられない重要な課題である. そのような背景から, 日本臨床細胞学会や泌尿器細胞診カンファレンスにおいて尿細胞診の報告様式を統一しようという機運が高まっていた.2012 年に日本臨床細胞学会, 日本病理学会, 日本泌尿器科学会のエキスパートからなる泌尿器細胞診報告様式統一のためのワーキンググループが発足し, その成果は2015 年 4 月に日本臨床細胞学会理事会で承認され, 泌尿器細胞診報告様式 2015として公開された 4). 一方, 国際的にも報告様式統一を試みる動きがあり 5~8), 本邦からやや遅れて, 米国の病理医主導で欧州を含めた10ヵ国, 総勢 49 名からなるパリスシステムのワーキンググループ

8 8 岡山県臨床細胞学会 が発足した. 日本からも7 名がcontributing authorとして参加し,2016 年に米国からアトラス本が 9),2017 年には本邦からその翻訳本が出版された 10). 本稿では, まず, パリスシステムの概要を紹介し, 現状での解釈や問題点を述べることで, 導入を検討される施設への情報提供としたい. 後半では, 尿細胞標本の系統的かつ精度向上に役立つ分かりやすい見方を本邦報告様式に沿って説明する. 日常診断の一助になれば幸いである. Ⅱ. パリスシステムの特徴と診断カテゴリーの概要 1. パリスシステムの特徴パリスシステムは, 米国細胞診学会と国際細胞診アカデミーに支持され,2 年間に渡るワーキンググループの活動により確立された世界初の標準化された尿細胞診報告様式である. 早期治療が必要な高異型度尿路上皮癌 (HGUC) の診断を目的にデザインされ, 生命予後が良く, 緊急性の低い低異型度尿路上皮癌 (LGUC) は尿細胞診の主たる対象から除外された. 腫瘍発生学的にHGUCとLGUCは異なる経路由来であり, 異なる臨床病理像を示すことが一つの根拠となっている 9). エビデンスが網羅され, 診断カテゴリーの定義や診断基準が厳密に規定されおり, 既存の報告様式とは一線を画したパラダイムシフトの様相を呈している. 尿管カテーテル尿のような上部尿路検体は対象ではなく, 下部尿路検体を対象としている. 泌尿器科の泌尿器腫瘍に関連した患者が主な対象となる. 2. 診断カテゴリーの概要パリスシステムは, 主にHGUCの有無あるいその可 能性の程度を診断するカテゴリー分類となっており, 直接,7 種類の組織型あるいは記述診断に分類する方法を採用している. 従来の分類および本邦報告様式との対比を表 1に示す. 以下に, カテゴリーの定義, 診断基準と臨床管理を概説するが, 実際の細胞形態, 細 9, 胞写真を含めた詳細は, アトラス本 10) や文献 11) を参照していただきたい. 1) 尿検体の適正 (Adequacy) カテゴリー尿細胞標本の妥当性, 適正評価に関する基本的な考え方は本邦報告様式に類似している. エビデンスが乏しいこともあり,The Paris System's recommendation としてアルゴリズムを提示している. その概略は, 悪性を否定できない異型細胞の有無, 自然尿か洗浄尿か, 細胞密度, 及び尿量によって適正か不適正かを判定するよう推奨し, 各施設での条件設定に役立てるよう丁寧に解説されている. 臨床管理 : 尿細胞診の再検 2) 高異型度尿路上皮癌陰性 (Negative for High- Grade Urothelial Carcinoma,NHGUC) カテゴリー良性と考えられる細胞からなるもので,HGUCを示唆する異型細胞が出現していなければNHGUCと診断する. 例えば,LGUCが疑われる異型細胞が出現していてもNHGUCと診断してコメントにLGUCが疑われると記載すればよい. これが本邦報告様式やこれまでの報告様式と根本的に異なる点であり,HGUCが存在しないというメッセージが強調されて臨床側に伝わることとなる. 臨床管理 : 必要がある場合のみ経過観察 3) 異型尿路上皮細胞 (Atypical Urothelial Cells, AUC) カテゴリー基本的な考え方は本邦の異型細胞カテゴリーと同様 表 1 診断カテゴリーの対比表 ( 日本臨床細胞学会 4) より引用改変 ). パリスシステム (TPS) 本邦の新報告様式 7 段階クラス分類 5 段階クラス分類 3 段階分類 Adequacy 不適正 classⅠ classⅠ Negative for HGUC 陰性 classⅡ classⅡ 陰性 classⅢa Atypical urothelial cells 異型細胞 classⅢ classⅢ classⅢb 疑陽性 Suspicious for HGUC 悪性疑い classⅣ classⅣ HGUC LGUN Other malignancies 悪性 HGUC LGUC Other malignancies classⅤ classⅤ 陽性

9 VOL であり, 異型尿路上皮細胞が出現しているが,HGUC 疑いカテゴリーやHGUCカテゴリーに診断することができず, かつ,NHGUCカテゴリーにも診断できないものである. 異型扁平上皮細胞などの尿路上皮系以外の異型細胞が出現している場合の対応については明記されていない.LGUCが疑われる異型尿路上皮細胞が出現している場合は,AUCカテゴリーではなく, NHGUCカテゴリーに診断される.N/C 比 >50% が必須であり, 核クロマチン増加, 核膜不整, 粗大 凝集クロマチン等の質的要素を重要視している 11). 量的基準はない. 臨床管理 : 必要がある場合のみ経過観察.FISH (fluorescence in situ hybridization) を含めた補助検査が考慮される. 4) 高異型度尿路上皮癌疑い (Suspicious for High- Grade Urothelial Carcinoma,SHGUC) カテゴリー HGUCと考えられる異型尿路上皮細胞が出現しているが, 細胞量 ( 数 ) が少ない (10 個未満 ) ために HGUCの診断に届かないものに限定して用いられる. つまり, 高異型度尿路上皮癌カテゴリーとの質的な差はなく, 量が不足しているものである. 質的な基準は, AUCカテゴリーの各基準の程度が強くなったものと考えるとよい. 臨床管理 : 膀胱鏡や生検 5) 高異型度尿路上皮癌 (High-Grade Urothelial Carcinoma,HGUC) カテゴリー HGUCと考えられる異型尿路上皮細胞が5-10 個以上みられ,HGUCと診断できるものである. 尿路上皮系以外の悪性腫瘍はHGUCカテゴリーではなく, その他の悪性腫瘍のカテゴリーに含まれる. 臨床管理 : 膀胱鏡や生検, 病期の決定など 6) 低異型度尿路上皮腫瘍 (Low-Grade Urothelial Neoplasia,LGUN) カテゴリー LGUN( エルガンと読む ) は,LGUC,PUNLMP (papillary urothelial neoplasm of low malignant potential),urothelial papillomaの3 種類の乳頭状腫瘍およびurothelial dysplasiaを包括したカテゴリーである. 尿細胞診でこれらを厳密に区別することができないことが包括された理由の1つである. 定義は, 尿路上皮細胞の立体的乳頭状集塊にfibrovascular core ( 線維血管軸 ) が見られることが絶対条件であり, 線維血管軸のないものはLGUNとしてはならない (dysplasiaは必然的にlgunから除外される). 経験上, 自然尿では極めて稀である. 臨床管理 : 生検によるgradeとstageの確認 7) その他の原発性, 転移性悪性腫瘍およびその他の病変 (Other Malignancies Primary and Metastatic and Miscellaneous Lesions) カテゴリー 9 非尿路上皮系の悪性腫瘍とその他の病変が含まれ, 一般に尿細胞診のみで正確に診断することは困難で, 臨床情報や免疫染色が診断に役立つことがある. 臨床管理 : 膀胱鏡や生検, 病期の決定など 3. パリスシステムの利点と問題点 1) パリスシステムの利点パリスシステムの特筆すべきポイントは, 世界初の統一された国際的尿細胞診報告様式であることと HGUCの検出に焦点を絞り,LGUCを尿細胞診の主たる対象から除外したことである 12).HGUCのみをターゲットにしたことにより, 診断カテゴリーが論理的で特にがん専門施設の泌尿器科医には理解しやすいものと思われる. 文献を含めたエビデンスが網羅されていることから, 尿細胞診の自学や研究に役立つ. 論文を国際雑誌に投稿する際には有利である. 2) パリスシステムの問題点パリスシステムの問題点は, 高異型度か低異型度かが不明瞭な場合や非尿路上皮系の異型細胞への対応が明記されていないこと 12), および診断アルゴリズム 11) に従った場合,N/C 比が50% 以下のHGUC 細胞が見落とされる可能性があることが挙げられる.SHGUCカテゴリーの量的基準が実用的か否か,LGUCが疑われる細胞をNHGUCカテゴリーに包括することによって上部尿路のLGUCを見落とすリスクはないか, 尿管カテーテル尿の報告様式はどの報告様式を利用するのか等の問題も想定される. Ⅲ. 泌尿器細胞診報告様式 2015に沿った尿細胞標本の見方本邦の新報告様式では,HGUC 細胞を見落とさないことが基本である. 自然尿細胞診では, 上部尿路から下部尿路までのさまざまな剝離細胞がさまざまな程度に形態変化を示して出現するので,HGUC 細胞の他の異型細胞と鑑別することは必ずしも容易ではない. 従って,1. 各疾患における背景所見を含めた出現パターンを認識して鑑別診断を絞り, 次に2. 細胞形態を診断する2 段階細胞診断が推奨される (2-step cytodiagnosis) 4, 12, 13). 1. パターン認識鏡検を進めていく上で, まず, 背景所見と上皮細胞の出現パターン等から鑑別診断を絞り, 年齢や臨床所見を考慮して鑑別診断の優先順位を想定する. 同時に, 細胞変性の程度と正常細胞の形態, 特に核クロマチンの性状 ( 異型細胞と対比するため ) を確認しておくとよい. このパターン認識は, 一般に, 狭い領域に細胞

10 10 岡山県臨床細胞学会 や構造物を重なることなく集めることができるLBC 法標本のメリットが大きい. 実臨床では, 特殊な症例を除けば,5 種類の細胞像の特徴を理解することにより, ストレスなく尿細胞の診断が可能になると考えている. 以下にそれら5 種類の細胞, つまり1)HGUC 細胞,2) デコイ細胞,3)LGUC 細胞,4) 反応性尿路上皮細胞,5) 反応性尿細管上皮細胞の出現パターンと細胞像の特徴を概説する. 1) 高異型度尿路上皮癌 (HGUC) 細胞背景は, 主に,1 多数の細胞断片とアポトーシス細胞がみられ 高度になると壊死性になるもの ( 写真 1), 2 細胞断片が少なく, 大型の孤在性異型細胞が散見される上皮内癌 (CIS) パターン ( 写真 2),3 高度血性背景に, 少数の異型細胞が見られる ( 写真 3)3パターンがある. 一般に孤在性異型細胞は必ず出現し, 孤在細胞がない場合あるいは乏しい場合は結石等の可 写真 1 高異型度尿路上皮癌の典型的なパターン. 多数の細胞断片を背景に大型異型尿路上皮細胞が孤在性およびやや緩い結合性を示す小集塊で多数出現している ( 40). 能性を考慮する. 細胞集塊の結合性は緩いことが多く, 核の飛び出しや集塊内に核片 ( アポトーシス小体 ) がみられることがある. 類円形の孤在細胞のみかあるいは孤在細胞に平面的な小集塊が混在するような場合は CISの可能性を記載しておくとよい. 逆に, 細長い細胞からなる大型の重積性集塊が多数みられるような場合は乳頭状腫瘍の存在が疑われる. 細胞形態の特徴は, 後述の2. 細胞形態診断を参照していただきたい. 2) デコイ細胞 ( ウイルス感染細胞 ) 背景は比較的きれいであることが多く, 一般に細胞断片は見られても少数である. ポリオーマウイルス感染 ( デコイ細胞 ) は, 不顕性感染したものが免疫抑制状態で再活性化されるものであるが, この頻度が高く, アデノウイルス, サイトメガロウイルス, 単純ヘルペスウイルス, パピローマウイルスの感染も知られている. 背景の比較的きれいなHGUC, 特にCISとの鑑別が難しい場合があり, クロマチンパターンの確認は必須である. デコイ細胞の核は丸みを持って腫大し, 緊満感がある. 核形不整はないものが優勢で, たとえ見られても軽度である. ウイルス封入体が確認できる場合の診断は容易である ( 写真 4) が, 泥炭状クロマチンに核形不整を伴う場合など難しい症例も経験する ( 写真 5). 鑑別には,SV-40の免疫染色が役立つが, 感染細胞の多くは尿細管上皮細胞なので 14),vimentin 免疫染色で代用することも可能である. 3) 低異型度尿路上皮癌 (LGUC) 細胞背景は比較的きれいで, 細胞断片はあっても少ない. 異型細胞の出現数はHGUCよりも一般に少なく, 異型細胞が標本中に見られないことも稀ではない. 小型の異型細胞が均一な核濃染を示すことが特徴の一つで, 通常, 細胞質も濃染する. 細胞異型の評価すべき項目は, 基本的にHGUC 細胞の項目と同様であるが, 各項 写真 2 CIS の典型的なパターン. 少数の好中球と細胞断片を背景に大型異型尿路上皮細胞が孤在性に少数出現している ( 40). 写真 3 高異型度尿路上皮癌の高度血尿パターン. 凝血塊を伴う高度血性背景に異型尿路上皮細胞が孤在性にごく少数出現している ( 40).

11 VOL 目の異型の程度はHGUCよりも軽い. 線維血管軸を伴うような重積性大型集塊もしくは小型異型細胞がびまん性に出現する場合 ( 写真 6) はLGUCの推定診断が可能であるが, 自然尿での出現頻度は低い. 細胞集塊の結合性は比較的強く, 結石患者に出現する反応性尿路上皮細胞の集塊との区別が難しいことがある. 一般に,LGUC 細胞集塊に結石でみられるような滑らかな丸味はないことが多く, 辺縁に不整な凹凸がみられる. 孤在性異型細胞がほとんどみられない場合や集塊に好中球浸潤がみられる場合は, 結石の可能性をより疑う. 一方, 核密度が高く, クロマチン増量, 核偏在性や核溝 15) がみられる場合はLGUCが疑われる. 少数の類円形孤在細胞のみがみられる場合は異形成の可能性も考慮される.LGUCの予後は良好なので, 鑑別が難しい場合は無理をせず, 異型尿路上皮細胞と診断して再検を依頼するとよい. 11 4) 反応性尿路上皮細胞反応性尿路上皮細胞で特に問題となるのは尿路結石患者に出現するものである. 背景は, 少数の好中球がみられる場合と血性 ( 軽度 ~ 高度 ) の場合がある. 尿路上皮細胞は, 辺縁の滑らかな結合性の強い集塊で出現することが多いが, 修復細胞としてシート状に出現 ( 稀 ) するときは慎重な鑑別を要する. 一般に, ほつれや集塊からの核のとび出しは見られないが, 好中球浸潤が目立つ集塊には, ほつれが見られることがある. 核密度やN/C 比は低く 核クロマチンの増量はみられないことが多い. 細胞質はLGUC 細胞と同じ程度に濃染する. 細胞質内空胞 ( アンブレラ細胞を除く ) や集塊内好中球浸潤は, 結石に関連する反応性尿路上皮細胞の特徴であり ( 写真 7),LGUCとの鑑別に役立つ. 5) 反応性尿細管上皮細胞尿細管上皮細胞が自然尿に出現することは稀ではな 写真 4 ウイルス感染パターン. 好中球を背景に核内封入体を持つ大型異型細胞が孤在性にみられる ( 100). 写真 5 ウイルス感染パターン. 尿細管上皮細胞を背景に泥炭状クロマチンと核形不整を示す大型異型細胞が孤在性にみられる ( 100). 写真 6 低異型度尿路上皮癌の稀なパターン. 少数の好中球と細胞断片を背景に小型異型尿路上皮細胞が孤在性およびやや緩い結合性を示す小集塊で多数出現している ( 40). 写真 7 尿路結石 ( 反応性尿路上皮細胞 ) パターン. 少数の好中球を背景に, 辺縁が比較的滑らかな丸みのある重積性細胞集塊がみられる. 集塊内に好中球浸潤がみられる ( 100).

12 12 岡山県臨床細胞学会 写真 8 腎疾患パターン. 背景には多数の円柱, 顆粒状物質や無構造物が見られ, その中に尿細管上皮細胞が小集塊および孤在性に散見される ( 10). 表 2 高異型度尿路上皮癌の細胞診断に重要な 5 項目 ( 日本臨床細胞学会 4) より引用改変 ). 1. 核クロマチン増量 核濃染 (Hyperchromasia) 2. 核形不整 立体不整 (Irregular nuclear shape) 3. N/C 比大 (High nuclear/cytoplasmic ratio) 4. 核偏在 突出 (Eccentric nuclei) 5. 核腫大 (Enlarged nuclei) い. 腎疾患患者に見られる典型的な背景は, ゴミが散乱しているような印象で, 円柱, 顆粒状物質, 無構造物質, 赤血球等が無秩序に出現し, 変形赤血球がみられることもある ( 写真 8). 反応性尿細管上皮細胞は放射状, 立体的 ~ 管状の小集塊で出現し, 通常, 孤在細胞も同時にみられる. 核は偏在してhobnail 細胞の形態を示す ( 写真 9). 細胞質は顆粒状, 泡沫状 ~ 空胞状でN/C 比は比較的低く, 細胞質内にヘモジデリンや好酸性小体がみられることがある. 鑑別が難しい場合は,vimentin 免疫染色が有用である 16). 2. 細胞形態診断細胞形態診断では, 個々の異型細胞の所見と細胞集塊の所見を評価する必要があるが 1, 4, 13), 本稿では 4, 13, HGUCの重要な細胞診断基準 5 項目 17) について述べる ( 表 2). 現時点で, 絶対的な診断指標は存在せず, 所見の組合せ 程度を総合的に評価する. 核クロマチン増量と核腫大の判定では, 背景にみられる正常の尿路上皮細胞, 中層型の扁平上皮細胞あるいは好中球との対比は欠かせない. 総合判定では, 細胞形態保持の状態, つまり, 評価に耐えうる細胞であるか ( 質 ) や細胞数 ( 量 ) を考慮することが大切である. 1) 核クロマチン増量 ( または核濃染 ) 同じ標本中にみられる良性の尿路上皮細胞または中層扁平上皮細胞の核と比較してクロマチン増量 ( また 写真 9 腎疾患パターン. 円柱と顆粒状物質を背景に,hobnail 細胞が緩い結合性を示す放射状小集塊で出現している ( 100). は核濃染 ) がみられるものである. 好中球の核と同等あるいはそれ以上に濃いクロマチンは高度増量 ( または高度核濃染 ) とされる. 集塊内では細胞の重なり等によって濃く見える場合があるので, 孤在細胞か集塊からほつれた細胞で評価した方が良い. クロマチンの性状は, 標本作製法や細胞保存状態の影響を受けやすい. 核濃縮等による核の濃染は含まない. 核濃染 ( クロマチン増量 ) はHGUC の細胞診断の必須所見である. クロマチン凝集も高異型度尿路上皮癌の特徴の一つで同時に確認することを勧めるが,LBC 法では特に目立たない場合があり, 必須所見ではない. 2) 核形不整正常尿路上皮細胞に見られるような平滑な辺縁の円形 ~ 楕円形の核ではなく, 核の形が不整 ( 多角形 分葉状 不整形など ) あるいは不整な核縁 ( 凹凸 切れ込み 鋸歯状など ) を呈するものである. 核の立体不整 ( 顕微鏡の焦点を変えたときに核形態が変わる ) は高度の核形不整に含まれる. 慣れると, 焦点をずらさなくても核の一部にフォーカスが合わない領域があれば立体不整と認識することができる. 3)N/C 比大細胞質 ( 細胞 ) 全体の面積と核面積の比で, 一般に 50% 以上あればN/C 比が高いとされる.70~75% 以上は, 高度のN/C 比大である. 細胞集塊では, 細胞境界を正確に把握できないことが多いので, 孤在細胞か集塊からほつれた細胞で評価した方が良い. 尿路上皮細胞のN/C 比は, 細胞の短軸方向に封入されると高くなり, 長軸方向封入では低くなる傾向があるので, 特に細胞数が少ない場合は過剰評価しない. 一般に, 目測値と実測値では, 目測値の方が高く見積もってしまう傾向がある.

13 VOL ) 核偏在核が細胞膜に接しているように見える場合で, 組織所見の構築 ( 極性 ) の乱れを反映する所見である. 細胞質内空胞によって核が偏在するものは含まない. 核突出 ( 核偏在により, 核が本来の細胞膜の輪郭から外方に突出しているようにみえる ) は高度の核偏在とされる. 核偏在を示す異型細胞は, 反応性尿細管上皮細胞を除外する必要があり, 除外できない細胞は参考程度にとどめた方がよい. 5) 核腫大同じ標本中にみられる良性の尿路上皮細胞または中層型扁平上皮細胞の核または好中球と比較して, これよりも核面積が広いものである. 好中球の2 倍以上の核は高度腫大とする. 細胞収縮や萎縮により, 好中球と同じ程度の大きさの核面積を示す小型のHGUC 細胞がみられることがあるので, 見落とさないようにする. 他方, 核腫大のある大型の尿路上皮細胞がみられても, クロマチン増量が全くみられないものは無視してよい. 一般に, これらの5 所見全てが, 細胞形態良好の多数の細胞に明瞭に観察されれば, 悪性, 推定組織型 : HGUC と診断することができる.5 所見の中でどの所見がどの程度欠如したら 悪性疑い または 異型細胞 の診断カテゴリーにすべきかについては, まだ十分には検討されていない. この5 所見以外の重要な所見としては,pair cell 18), アポトーシス, 細胞質異常, intracytoplasmic lumina(icl) 等が挙げられる. Ⅳ. まとめパリシステムを概説し, 泌尿器細胞診報告様式 2015 に沿った自然尿細胞診の見方を解説した. 新報告様式の導入に際しては, 従来のカテゴリー分類との関連を含めた臨床側との情報共有が何より大切である. 尿細胞診では, 診断基準の統一や標本作製法の標準化など解決すべき問題は少なくない. 標準化された報告様式と診断基準を用いた尿細胞診断の精度向上が泌尿器疾患患者の迅速で適切な診断, および治療に役立つものと確信している. 今後の課題としては, パリスシステムとの報告様式, 診断基準の統合や標本作製法の標準化が挙げられ, これらは同時に細胞診断業務に献身する我々の社会的責務でもある. Ⅴ. 文献 /URL 1) 大谷博, 小出祐子, 森健一, 吉田一博, 笠間美紀子, 関本哉恵. 総説実践尿細胞診断. 香臨細胞雑誌 2015;27: ) 日本臨床細胞学会編. 細胞診ガイドライン1 婦人科 泌尿器. 東京 : 金原出版 ; )Powsner SM,Costa J,Homer RJ. Clinicians are from Mars and pathologists are from Venus. Arch Pathol Lab Med 2000;124: ) 日本臨床細胞学会 : 泌尿器細胞診報告様式 jscc.or.jp/wp-content/themes/jscc/zassi/55-4yp/ 泌尿器細胞診新報告様式解説書刊行ワーキンググループ.pdf 5)Layfield LJ,Elsheikh TM,Fili A,Nayar R,Shidham V. Review of the state of the art and recommendations of the Papanicolaou Society of Cytopathology for urinary cytology procedures and reporting : the Papanicolaou Society of Cytopathology Practice Guidelines Task Force. Diagn Cytopathol 2004;20: )Owens CL,Vandenbussche CJ,Burroughs FH, Rosenthal DL. A review of reporting systems and terminology for urine cytology. Cancer Cytopathol 2013; 121:9-14 7)Rosenthal DL,Vandenbussche CJ,Burroughs FH, Sathiyamoorthy A,Guan H,Owens C. The Johns Hopkins Hospital template for urologic cytology samples: part I-creating the template. Cancer Cytopathol 2013; 121: )VandenBussche CJ,Sathiyamoorthy S,Owens CL, Burroughs FH,Rosenthal DL. The Johns Hopkins Hospital template for urologic cytology samples: parts II and III: improving the predictability of indeterminate results in urinary cytologic samples: an outcomes and cytomorphologic study. Cancer Cytopathol 2013;121: )Rosenthal DL,Wojcik EM,Kurtycz DFI. The Paris System for Reporting Urinary Cytology. Switzerland: Springer International Publishing; )Rosenthal DL,Wojcik EM,Kurtycz DFI. 都築豊徳監訳. 尿細胞診報告様式パリシステム. 東京 : 丸善出版 ; )Barkan GA,Wojcik EM,Nayar R,Savic-Prince S, Quek ML,Kurtycz DFI,et al. The Paris System for Reporting Urinary Cytology: The Quest to Develop a Standardized Terminology. Acta Cytol 2016;60: ) 大谷博, 吉田一博, 林洋子. 尿細胞診報告書 日本と世界で何が変わったのか. 臨泌 2016;70: ) 大谷博 : 尿細胞診. 青笹克之 ( 総編 ), 都築豊徳 ( 専編 ). 癌診療指針のための病理診断プラクティス 腎 尿路 / 男性生殖器腫瘍 )Ariyasu S,Yanai H,Sato M,Shinno Y,Taniguchi K, Yamadori I,et al. Simultaneous immunostaining with anti-s100p and anti-sv40 antibodies revealed the origin of BK virus-infected decoy cells in voided urine samples. Cytopathology 2015; 26: ) 今井律子, 夏目園子, 橋本政子, 高木里枝, 深津俊明, 佐竹立成. 尿路上皮細胞に認められる核溝について. 日臨細胞誌 2004;43: )Ohsaki H,Hirakawa E,Nakamura M,Norimatsu Y, Kiyomoto H,Haba R. Expression of vimentin and highmolecular-weight cytokeratin(clone 34ßE12)in differentiating reactive renal tubular cells from low-grade

14 14 岡山県臨床細胞学会 urothelial carcinoma cells in voided urine. Cytopathology 2011; 22: ) 大谷博, 小出祐子, 冨川千晶, 新飼好広, 森健一, 原田龍二. 新しい泌尿器細胞診の報告様式 -その概要と運用 の実際. メディカル テクノロジー 2017;45: ) 金城満, 福島朋子, 渡辺寿美子, 濱野克彦, 鷺山和幸 : 尿中細胞診における Pair cell の細胞学的および臨床的意義. 日臨細胞誌 1999;38:

15 岡山県臨床細胞学会 15 症 例 EUS-FNA で経験した膵 neuroendocrine carcinoma の一例 中村香織 (CT) 1), 原田美香 (CT) 1), 小寺明美 (CT) 1), 實平悦子 (CT) 1), 山口大介 (CT) 1), 香田浩美 (CT) 1), 板倉淳哉 (MD) 2), 内野かおり (MD) 2) 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院臨床検査技術部病理検査室 1) 2), 同病理診断科 背景膵臓のEUS-FNAにおいて, 組織診ではneuroendocrine carcinoma(nec) と診断できたものの, 細胞診では他の組織型との鑑別に苦慮した症例を経験したので, 細胞像を中心に報告する. 症例 50 歳代男性. 腰痛, 食欲不振, 体重減少を主訴に前医受診. 膵体部腫瘤と肝, 肺転移を認め組織型確定のため膵腫瘤のEUS-FNAが施行された. 細胞量は多く, 細胞の集簇とともに孤立性の細胞が多数認められた. 崩壊し, 核線を形成する細胞も多数見られた. 個々の細胞は大型でN/C 比が高く, 核は偏在傾向を示し, 核形不整は著明であった. 核クロマチンは粗顆粒状を示し, 小型の核小体が1~ 数個認められた. ギムザ染色標本では細胞質は好塩基性で空胞も見られた. 以上より非上皮性腫瘍の可能性も否定できずClassⅤ,malignant neoplasmとした. 同時に採取された組織標本では核が濃染し, やや大型の異型細胞の増生がみられた. 細胞はやや結合性に乏しいもののシート状に増生していた. 免疫染色では神経内分泌マーカー陽性で Ki-67 indexは38.6% でありNECと診断された. まとめ異型の強い円形細胞からなる膵腫瘍は, 細胞像のみでは鑑別に苦慮する場合もある. 形態的にNECを考えるには, 充実性増殖を示唆する豊富な細胞量, 強い細胞異型, ロゼット形成や上皮性結合などの特徴を観察することが重要である. Key words:neuroendocrine carcinoma, neuroendocrine tumor, EUS-FNA, Ki-67 index, case report Ⅰ. はじめに ので細胞像を中心に報告する. Neuroendocrine carcinoma(nec) は細胞学的に 神経内分泌分化を示唆する所見を有するが, 異型は強く他の組織型との鑑別に苦慮することも多い. 今回膵臓のEUS-FNA( 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診 ) において, 組織診ではNECと診断できたものの, 細胞診では他の組織型との鑑別に苦慮した症例を経験した Kaori NAKAMURA 1) C.T., Mika HARADA 1) C.T.,I.A.C., Akemi KODERA 1) C.T.,I.A.C., Etsuko SANEHIRA 1) C.T.,I.A.C., Daisuke YAMAGUCHI )) C.T.I.A.C., Hiromi KODA 1) C.T.,I.A.C., Junya ITAKURA 2) M.D., Kaori UCHINO 2) M.D. Pathology Laboratory, Kurashiki Central Hospital 1) Department of Anatomical Pathology, Kurashiki Central Hospital 2) 論文別刷請求先 : 岡山県倉敷市美和 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院臨床検査技術部病理検査室中村香織 Ⅱ. 症例 50 歳代男性. 腰痛, 食欲不振, 体重減少を主訴に前医を受診し, 膵体部腫瘤と肝, 肺転移を認め当院紹介となった. 組織型確定のため, 膵腫瘤のEUS-FNAが施行された. EUSでは膵体部に39 37 mm 大の辺縁がスムースなlow echoic massを認めた. 内部は血流が豊富であり, 腫瘍内を血管が貫通している所見も認められた ( 写真 1). Ⅲ. 細胞所見 EUS-FNAにて採取した検体で, 直接塗抹標本およ

16 16 岡山県臨床細胞学会 び穿刺針の洗浄液のオートスメア標本の作製を行った. 採取細胞量は多く, 細胞集簇を示す部分とともに孤立性の細胞も多数みられた ( 写真 2a, b). これら a の細胞の核は崩壊し核線を形成しているものもみられた ( 写真 2b). 個々の細胞は大型でN/C 比が高く, 核は偏在傾向を示し, 核形不整は著明であった. b 写真 1 EUS 画像 mm大の辺縁スムースな low echoic mass を認める. a: 腫瘍内部は血流豊富. b: 腫瘍内部を血管が貫通している. a b c d 写真 2 a:pap 染色 20 b:giemsa 染色 20 c:pap 染色 40 d:giemsa 染色 40 a.b: 採取細胞量は多く細胞集簇を示す部分とともに多数の孤立性細胞がみられた. b: 崩壊し核線を形成する細胞もみられた. c: 核クロマチンは粗顆粒状. d: 胞体内に空胞を認める.

17 VOL パパニコロウ染色では核クロマチンは粗顆粒状を示し, 小型の核小体が1~ 数個認められた ( 写真 2c). ギムザ染色では細胞質は好塩基性を示し, 空胞もみられた ( 写真 2d). 以上の細胞所見より非上皮性腫瘍の可能性も否定できず, 細胞診ではClassⅤ, malignant neoplasmと報告した. Ⅳ. 組織所見 同時に採取された組織生検では核が濃染し, やや大型の異型細胞の増生がみられた. 細胞はやや結合性に乏しいもののシート状に増生していた ( 写真 3). 免疫染色ではシナプトフィジンがびまん性に陽性, クロモグラニンAが一部に陽性,Ki-67 indexは38.6% であり,NECと診断された( 写真 4). 他の免疫染色結果はCD10(-),CD3(-),CD20(-),CD30(-), AE1/AE3(+/-),CD56(+),β カテニン (-), トリプシン (-) であった. 写真 3 HE 染色 10 核が濃染し, やや大型の異型細胞の増生が見られた. 細胞質は顆粒状であった. 細胞はやや結合性に乏しいもののシート状に増生していた. 17 Ⅴ. 考察膵神経内分泌腫瘍は膵腫瘍の2~3% であり, そのうち神経内分泌癌 (neuroendocrine carcinoma: NEC) は7.5% と比較的稀な腫瘍である 1). 多くは高齢者に発症し, 性差は見られない. 近年 EUS-FNAの普及により日常の検査業務にて遭遇する可能性も高まりつつある. 腫瘍は急速に増大し, 高率に転移するため予後は極めて不良である 2). 浸潤性膵管癌やNETとは治療方針も異なるため, 確実な診断が求められる. NECは組織学的に腫瘍細胞が小型で胞体に乏しい裸核状のものと, やや大型で淡好酸性の胞体を持つものとがあるが, いずれも高度の細胞異型を示すといわれている 3).WHO 分類 (2010) では前者は小細胞型神経内分泌癌 (Small cell NEC) と呼ばれており, 後者は大細胞型神経内分泌癌 (Large cell NEC) と呼ばれている. 小細胞型は高異型度の裸核様小型細胞のシート状増殖という特徴的な細胞, 組織所見から神経内分泌分化を推測されやすい. 一方, 大細胞型は神経内分泌分化に気づきにくく, 鑑別を要する疾患も多い 3). 本例も大型で異型の強い細胞からなる大細胞型であり,EUS-FNAの採取時のオンサイトでの鏡検では NECの可能性を指摘することができず, 最終的に組織標本での免疫染色によって診断が可能となった. この結果を踏まえて, 再度細胞診標本の見直しを行った. 改めて観察してみると, 直接塗抹のパパニコロウ標本において神経内分泌分化を示唆するロゼット形成が見られた ( 写真 5b). また穿刺針の洗浄液の標本において, 多数の孤立性細胞に混在して上皮性結合を示す細胞集塊が確認できた ( 写真 5a). 膵臓のEUS-FNAにおいてNECと鑑別を要するものには1solid pseudopapillary neoplasm(spn),acinar cell carcinoma(acc),net(g1.g2)2 悪性リンパ腫 3 膵管癌が挙げられる. これらの疾患との細胞の鑑別のポイントについて述べる ( 表 1). 1 SPN,ACC,NETとの鑑別ポイント a b c 写真 4 免疫組織染色 10 a: シナプトフィジン b: クロモグラニンA c:ki-67 index 38.6%

18 18 岡山県臨床細胞学会 いずれも充実性増殖を示す膵腫瘍であり, 血流豊富で画像的には類似した像を示す 4).SPNではN/C 比の高い小型類円形異型細胞が間質を軸とした偽乳頭状あるいは孤立散在性に出現し, 間質粘液球を取り囲むように異型細胞が出現するといわれている 5). 高度悪性転化 (high grade malignant transformation) といわれるSPN のまれな亜型では, 強い細胞異型を示し, NECとの鑑別が必要となる場合もある. このような場合は免疫染色において, ビメンチン陽性,CD10 陽性, βカテニン核内陽性などの確認が必須となる 6).ACC では好酸性胞体を有する類円形細胞が腺房様構造を形成すると言われており, 免疫染色ではトリプシンが陽性となる. いずれも単調な腫瘍細胞が類円型核を有する点では, 低グレードのNETと類似しているものの, 本例のような強い細胞異型を示すことはまれであり, 細胞形態的にはNECとの鑑別は比較的容易であると思われる. NETとNECの鑑別は,WHO 分類 (2010) では核分裂数とKi-67 indexにおいて分類される. 形態的には NETでは神経内分泌腫瘍の特徴を示し, 核は類円形 ~ 楕円形で salt-and-pepper pattern と呼ばれる粗いクロマチンが核内に分布する核所見を有する 7). それに対してNECでは上記のような特徴所見に乏しく, 強い核異型や多形性を示す. 2 悪性リンパ腫との鑑別ポイント EUS-FNAにおいて経験したdiffuse large B cell lymphoma,follicular lymphoma 症例との比較を行った. 悪性リンパ腫症例は, 両者ともに細胞採取量は多く, パパニコロウ染色標本において核網は繊細であり細胞質が乏しいのに対し ( 写真 6c, d),nec では核クロマチンは粗顆粒状であり顆粒状の明瞭な細胞質が見られる点, 孤立性細胞の中に混在して, 少数でも上皮性結合を示す細胞集塊が見られる点が鑑別のポイン トになると思われた. ギムザ染色標本では, 悪性リンパ腫の細胞の集簇と本例の緩い上皮性結合を見誤ると鑑別が難しいと思われた ( 写真 6a, b). また本例では, 悪性リンパ腫細胞に多くみられるとされる空胞もみられ 8), これらの症例と類似しており, 鑑別に苦慮した. EUS-FNAの採取現場においてはギムザ染色での判断が求められるため, ギムザ染色所見も重要であるが, 鑑別にはパパニコロウ染色所見も踏まえた総合的な観察が必須である. 3 膵管癌との鑑別ポイント膵管癌は充実性に増殖することはまれであるが, 頻度と細胞異型からは鑑別に挙げておく必要がある. 膵管癌では異型は強くても, 腺癌の特徴である明るい細胞質や不規則重積性の腺腔構造が見られる点や, 孤立性癌細胞がほとんど見られない点 9) で鑑別可能と思われる. しかし, まれではあるものの肝様腺癌 hepatoid carcinomaでは充実性増殖を示し, 異型も強いため鑑別の対象となりうる. Ⅵ. まとめ膵腫瘍のEUS-FNAにおいて, 充実性増殖を示唆する豊富な細胞量, 強い細胞異型, 神経内分泌分化を示唆するロゼット形成や上皮性結合などの特徴を示す細胞に遭遇したら,NECの可能性を考える.NECを含む類円形腫瘍の確定診断には組織での免疫染色が必須であり, 細胞診のみでは診断に至らない場合もある. その可能性を念頭に置き, 病理組織診断を確実に行うためには, 採取現場に出向き, 確実に診断可能な標本を採取することが臨床検査技師としての責務である. また, 細胞診断の精度を保つためにも, 病理診断結果を細胞診診断にフィードバックする日頃の精度管理が重要であり, 診断精度の向上に寄与すると考えられる. a b 写真 5 Pap 染色 40 a: 洗浄液標本の上皮性結合 b: ロゼット形成所見が見られた.

19 VOL 表 1 膵富細胞性腫瘍の EUS-FNA における鑑別ポイント ( 細胞像を中心に ) NEC( 本症例 ) SPN ACC NET(G1.G2) 悪性リンパ腫膵管癌 細胞量多少 ~ 多 孤立性 > 集塊 偽乳頭状 腺房様 索状敷石状 孤立散在性 孤立性 < 集塊 出現形態 ロゼット形成 小集塊状 弧在性 ロゼット形成 緩い結合性 リボン状 ロゼット形成 不規則重積性 ~ 緩い結合 結合性強弱 (+/-)~(+) (+/-)~(+) (+/-)~(+) (+/-)~(+) (-) (+)~(++) 細胞の 大小不同性 著明乏しい乏しい乏しい乏しい ~ 多 高分化型では 乏しい クロマチンハ ターン 粗顆粒状 微細 ~ 細顆粒状 細 ~ 粗顆粒状ごま塩状細顆粒状 不規則凝集 融解状 核形 不整 円形 ~ 類円形 核溝 円形 ~ 不整円形 ~ 類円形円形 ~ 不整不整 N/C 比高中 ~ 高中 ~ 高中 ~ 高高低 ~ 中 核小体小型小型大型小型 ~ 大型大型大型 細胞質 顆粒状 顆粒状 粗顆粒状 微細顆粒状 Pap 染色で乏し 広く明瞭 突起状 突起状 (~ 泡沫状 ) く不明瞭 淡明 好酸性胞体 免疫組織化学 シナプトフィジン ビメンチン トリプシン シナプトフィジン CD45(LCA) クロモグラニン A CD10 クロモグラニン A CD3 Ki-67 β カテニン ( 核内 ) Ki-67 CD20 NEC:neuroendocrine carcinoma,spn:solid pseudopapillary neoplasm ACC:acinar cell carcinoma,net:neuroendocrine tumor

20 20 岡山県臨床細胞学会 a b c d 写真 6 a:diffuse large B cell lymphoma Giemsa 染色 40 b:follicular lymphoma Giemsa 染色 40 c:diffuse large B cell lymphoma Pap 染色 40 d:follicular lymphoma Pap 染色 40 a,b:giemsa 染色においては N/C が極めて高い細胞が集簇を示している. c,d:pap 染色において核網繊細であり, 細胞質が乏しい. 結合性も見られない. 文献 1) 伊藤鉄英, 三木正美, 安永浩平, 宮ヶ原典, 野崎哲史, 安森翔. ほか. 消化管神経内分泌腫瘍におけるNET/ NECの部位別頻度. 消化器内視鏡 : ) 大池信之神経内分泌癌の特徴. 消化器内視鏡 : ) 川内洋消化器内分泌細胞腫瘍の病理診断. 消化器内視鏡 : ) 松本慎平, 肱岡範, 水野伸匡, 奥野のぞみ, 平山貴視, 渋谷仁ほか膵 NET/NECの診断 :US,EUS,EUS-FNA を中心に. 消化器内視鏡 : ) 實平悦子, 香田浩美, 原田美香, 小寺明美, 藤澤真義, 能登原憲司. ほかEUS-FNAで経験した高齢男性の膵 Solid Pseudopapillary Neoplasmの1 例. 日本臨床細胞学会岡山 県支部会誌 : ) 山口 厚, 飯尾澄夫, 壺井章克, 山下 賢, 森 豪, 保田 和毅. ほか 急速に進行した膵 Solid Pseudopapillary Neoplasm の1 例. 膵臓 : ) 笠島敦子, 笹野公伸 膵 消化管神経内分泌腫瘍の病理組 織像と最近の話題. 内分泌甲状腺外会誌 (4): ) 今井宏樹, 仲村 武, 岸本浩次, 野崎真仁, 牧野 純, 小 山剛司. ほか 悪性リンパ腫のギムザ染色における細胞質 内空胞の検討. 日本臨床細胞学会雑誌 : ) 香田浩美, 原田美香, 小寺明美, 實平悦子, 和仁洋治, 能 登原憲司. ほか 膵神経内分泌腫瘍の3 症例. 日本臨床細 胞学会岡山県支部会誌 :38-42.

21 岡山県臨床細胞学会 21 症 例 MTX 関連リンパ増殖性疾患の 2 例 濵田香菜, 那須篤子, 本山由紀子, 原田和恵, 井上博文, 今井みどり, 松岡博美, 藤田勝, 田中顕之, 田中健大, 柳井広之 岡山大学病院病理部 背景関節リウマチ (RA) の治療薬として広く用いられているメトトレキサート (MTX) は服用によりリンパ増殖性疾患を併発することがあり,MTX 関連リンパ増殖性疾患 (MTX-LPD) と呼ばれる. 今回,RA 治療中に発症したMTX-LPDの2 例を経験したので報告する. 症例症例 1:70 代男性.RAに対するMTX 治療中,CT 検査にて両肺に多発結節, 全身リンパ節腫大がみられ, 頚部リンパ節より穿刺吸引細胞診, 針生検を施行. 症例 2:70 代女性.RAに対する MTX 治療中, 右肩関節前面皮下腫瘤およびリンパ節腫大, 乳房腫瘤がみられ, 生検にてMTX-LPD の可能性が示唆され休薬. 病変は縮小していたが, 再度乳房腫瘤を自覚し穿刺吸引細胞診を施行. 細胞所見 いずれとも核小体明瞭で高度な異型の大型リンパ球がみられた. 組織診断 症例 1: 広範な壊死内部にCD20 陽性を示す比較的大型のリンパ球が同定され,MTX-LPDの消退像と診断された. 症例 2: 主に円形核を有するN/C 比の高い中型細胞がびまん性に増殖するびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫の像であった. 結論 MTX-LPDは悪性リンパ腫との形態学的な鑑別が不可能であり, 診断上, 臨床情報が不可欠である. 薬剤投与中止で腫瘍の退縮をみる症例もあり,RAの既往症例ではMTX 使用の有無を確認することが重要である. Key Words:methotrexate(MTX),MTX-LPD, Fine needle aspiration cytology Ⅰ. はじめに メトトレキサート (methotrexate : MTX) は, 葉 酸代謝拮抗剤に分類される抗癌剤であるが, 現在では関節リウマチ (rheumatoid arthritis : RA) 予後不良群に対しての第一選択薬として広く用いられている. MTX 使用中の患者には異常なリンパ球増殖をみることがあり, メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 (methotrexate-associated lymphoproliferative disorders : MTX-LPD) と呼ばれている.2008 年の Kana HAMADA, C.T.,I.A.C., Atsuko NASU,C.T.,I.A.C., Yukiko MOTOYAMA, Kazue HARADA,C.T., Hirofumi INOUE,C.T.,I.A.C., Midori IMAI,C.T.,I.A.C., Hiromi MATSUOKA,C.T.,I.A.C., Masaru FUJITA,C.T.,I.A.C., Noriyuki TANAKA,M.D., Takehiro TANAKA,M.D., Hiroyuki YANAI,M.D. Department of Pathology, Okayama University Hospital 論文別刷請求先 : WHO による造血系 リンパ系腫瘍分類では,MTX- LPDは 他の医原性免疫不全症関連増殖性疾患 の1 つに分類されており 1),RA 治療におけるガイドラインにおいては MTX の副作用の一つとしてあげられている 2). 今回,RA 治療中に発症したMTX-LPDの2 例を経験したので報告する. Ⅱ. 症例症例 1:70 代男性.40 代でRAを発症し,MTXにて 9 年間治療. その後, 右第 5 指のしびれ, 腫脹を認め, 上大静脈症候群の可能性を考慮しCT 検査が施行された. 肺両側の多発結節, 縦隔, 肺門部, 頚部など全身のリンパ節腫大が認められた.MTX-LPDが考えられたため,MTXを休薬したが病変の縮小傾向が乏しく, 肺癌や多発転移も疑われ, 頚部リンパ節の穿刺吸引細胞診および針生検が施行された. 症例 2:70 代女性.30 代で RAを発症し,18 年前よ

22 22 岡山県臨床細胞学会 りMTXにて治療. 治療開始後 15 年目に右肩関節前面皮下腫瘤およびリンパ節腫大, 乳房腫瘤を認め, 皮下腫瘤および乳房腫瘤の針生検にてMTX-LPDの可能性が示唆され休薬した. 休薬により病変は縮小していたが,4か月後に再度乳房腫瘤を自覚し穿刺吸引細胞診が施行された. Ⅲ. 細胞所見 2 症例ともに著明な核小体腫大や核形不整などの高度な異型を示す比較的大型のリンパ球がみられた. 症例 1は壊死性背景で, 核分裂像が多数認められた ( 写真 1). 症例 2は背景にlymphoglandular bodyがみられた ( 写真 2). いずれも悪性リンパ腫と判定し, MTX 服用歴より所見にはMTX-LPDの可能性が考慮されることを付記した. Ⅳ. 組織所見症例 1: 広範な壊死内部にCD20 陽性の大型のリンパ球が同定され,MTX-LPDの消退像と診断した( 写真 3). EBER-ISHは陰性であった. 症例 2: 右肩皮下腫瘤の針生検. 主に円形核を有するN/C 比の高い中型細胞がびまん性に増殖するびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫 (diffuse large B-cell lymphoma; DLBCL) の像であった. 免疫組織化学的にはCD3 陰性,CD20 陽性,CD5 陰性,CD10 一部陽性, EBER-ISH 陰性であった.( 写真 4) Ⅴ. 考察 MTX-LPD はRA 治療にMTXが使われることになったことと相まって報告が増加し, 疾患概念として a b 写真 1 症例 1 穿刺吸引細胞像壊死を背景に著明な核小体を複数有する大型リンパ球と分裂像 ( 矢頭 ) a. パパニコロウ染色 ( 100) b. ヘマカラー染色 ( 100) a b 写真 2 症例 2 穿刺吸引細胞像 lymphoglandular body を背景に著明な核小体を有する N/C 比の高い大型リンパ球 a. パパニコロウ染色 ( 100) b. ヘマカラー染色 ( 100)

23 VOL a b 写真 3 症例 1 針生検組織像広範な壊死内部に CD20 陽性を示す異型細胞の増殖を認める a.he 染色 ( 10) b. 免疫染色 CD20( 10) a b 写真 4 症例 2 針生検組織像 CD20 陽性を示す異型細胞がびまん性に増殖 a.he 染色 ( 40) b. 免疫染色 CD20( 40) 確立するに至った.MTX-LPD の発生部位は, リンパ節が半数, 節外病変が半数である. 節外病変は消化管 皮膚 肝 脾 肺 軟部組織などに認められ, 今回経験した2 症例ともに節外病変が確認された. MTX-LPD では,MTXの投与中止によって腫瘍の退縮が起こり, 寛解を得られる症例が存在し, その頻度は約 30% とされている 1). とくにEB ウイルス (EBV) 陽性例で寛解率が高いとされ, 薬剤中止後 1 2 週間で腫瘍の退縮傾向がみられる例が多い. そのため, MTX-LPD と診断された際には, まずMTXの投薬中止が勧められる.EBVの陽性率はMTX-LPD 全体の約 40% で, 悪性リンパ腫病型別ではDLBCLが25%, ホジキンリンパ腫で80% といわれている 1). 自験例はいずれもEBER-ISHが陰性であったが, 症例 1では休薬後 2か月で病変は消退し, 症例 2では消退後 4か月後 に再燃している.MTXの投与中止で寛解を得られても再増大する例もあることから, 慎重な経過観察が必要である. MTX-LPDは形態学的には一般的な悪性リンパ腫と同様であり, 組織型はDLBCLと古典的ホジキンリンパ腫 (CHL) が大部分を占める. すなわち, 組織型により様々な細胞像を呈し, 細胞像のみから本疾患を診断することは不可能と言える. 本疾患を考慮するためには, 臨床情報や投薬歴に注意を払うことが重要である. 形態的に悪性リンパ腫が疑われる場合には, 臨床情報を確認してMTX-LPDの可能性を除外する必要があり,MTX-LPDが示唆される場合には慎重な診断による対応を行うことで, 無用な治療を回避でき, 患者の負担を軽減する意味から有用であるといえる.

24 24 岡山県臨床細胞学会 Ⅵ. 結語 MTX-LPDの2 症例を経験した. 形態的に悪性リンパ腫と鑑別することは困難な疾患であり, 本疾患の可能性を示唆するためには臨床情報の確認が最も重要であると考えられた. 文献 1)Gaulard P, Swerdlow SH, Harris NL, et al: Other iatrogenic immunodeficiency-associated lymphoproliferative disorders. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, Swerdlow SH, Campo, E, Harris, NL, et al(eds).iarc Press;2008:pp ) 日本リウマチ学会 MTX 診療ガイドライン策定小委員会編 : 関節リウマチ治療におけるメトトレキサート (MTX) 診療ガイドライン2016 年改訂版 簡易版. 東京 : 羊土社 ; 2016.

25 岡山県臨床細胞学会 25 症 例 気管支に発生した粘表皮癌の一例 日野寛子 (CT) 1), 畠榮 (PhD) 2), 高須賀博久 (CT) 1), 成富真理 (CT) 1), 物部泰昌 (MD) 1) 川崎医科大学総合医療センター病理部 1) 2), 神戸常磐大学保健科学部医療検査学科 背景気管支発生の粘表皮癌は全肺癌の約 0.1~0.2% と稀な腫瘍である 1). 今回, 低悪性度粘表皮癌を経験したので, 気管支擦過標本の細胞像を中心に報告する. 症例 50 代男性. 健診にて胸部異常陰影を指摘され他院にて経過観察していたが, 約 6か月後, 結節の増大がみられ, 精査加療目的で当院を受診した.CTでは右肺中葉に1cm大の辺縁整な結節を認め, 気管支鏡ではB4a 入口部に突出する隆起性病変がみられた. 気管支擦過細胞診標本では炎症細胞と少量の粘液を背景に, 比較的小型で軽度核腫大した, 類円形 ~ 多稜形の細胞からなるシート状集塊を認めた. 集塊中には細胞質内に粘液を有する細胞が混在してみられた. 腺癌が疑われ, 右肺中葉切除術が施行された. 組織学的には, 扁平上皮類似の異型細胞や中間細胞が胞巣を形成しながら増殖し, 粘液産生細胞の混在や, 粘液貯留で拡張した腺管もみられ, 低悪性度粘表皮癌と診断した. 結論気管支発生の低悪性度粘表皮癌の診断は, 異型の弱い扁平上皮様細胞, 粘液産生細胞とともに集塊を形成し出現する中間細胞の細胞像を熟知したうえで, 画像などの臨床所見を加味し診断することが肝要である. Key words:lung,sclape cytology,mucoepidermoid carcinoma,intermediate cell,case report Ⅰ. はじめに気管支発生の粘表皮癌は全肺癌の約 0.1~0.2% と稀な腫瘍である 1). 今回, 気管支擦過標本に腫瘍細胞が観察された, 低悪性度粘表皮癌を経験したのでその細胞像を中心に報告する. Ⅱ. 症例患者 :50 代, 男性主訴 : なし既往歴 : 前立腺肥大, 大腸ポリープ 家族歴 : 前立腺癌 ( 父 ) 嗜好歴 : タバコ15-20 本 30 年現病歴 : 健診にて胸部異常陰影を指摘され他院を受診した.CTで右肺中葉に結節を認め経過観察していたが, 約 6か月後の受診で結節の増大がみられたため精査加療目的で当院を受診した.CTでは1cm 大の辺縁整な結節を認めた ( 写真 1).PET-CTではFDGの集積はごく軽度であった. 気管支鏡ではB4a 入口部に突出したポリープ状の隆起性病変がみられ ( 写真 2), この部位より気管支擦過細胞診が施行された. Ⅲ. 気管支擦過細胞診所見 Hiroko HINO 1), C.T., I.A.C., Sakae HATA 2), C.F., CFIAC., phd., Hirohisa TAKASUGA 1), C.T., I.A.C., Mari NARITOMI 1), C.T., I.A.C., Yasumasa MONOBE 1),M.D. Department of Pathology,Kawasaki Medical University Genaral Medical Center 1) Department of Medical Technology, Faculty of Health Sciences, Kobe Tokiwa University 2) 論文別刷請求先 : 岡山県岡山市北区中山下 川崎医科大学総合医療センター病理部日野寛子 炎症細胞と少量の粘液を背景に, 軽度核不整のあるシート状の細胞集塊を認めた ( 写真 3). 集塊を構成する細胞は, 比較的小型, 類円形 ~ 多稜形でN/C 比がやや高く, ライトグリーン好性の細胞質を有していた ( 写真 4). 核は類円型, 軽度腫大し, クロマチンは細顆粒状, 核小体を1 2 個認めた. また, 細胞質内に粘液を有する細胞が孤在性, あるいは細胞集塊に混在

26 26 岡山県臨床細胞学会 してみられた ( 写真 5). さらに, 明るい細胞質を有する細胞集塊や, 基底細胞様の細胞集塊もみられた. 以上の細胞所見より,ClassⅣ 腺癌の疑いと診断した. Ⅳ. 病理組織所見右肺中葉の切除術が施行された. 気管支断端から 15mmの気管支内に, 突出した灰白色境界明瞭な13 10 mm 大の腫瘍を認めた ( 写真 6). 腫瘍の表面は線毛円柱上皮で覆われていた ( 写真 7). 腫瘍内部は扁 写真 1 CT 画像右肺中葉に 1cm 大の辺縁整な結節を認めた 写真 2 気管支鏡写真 B4a 入口部に突出したポリープ状の隆起性病変がみられた a b 写真 3 気管支擦過細胞像炎症細胞と少量の粘液を背景に, 軽度核不整のある細胞集塊をシート状に認めた (Pap. 染色 4) 写真 4 気管支擦過細胞像 (a) 比較的小型, 類円形でN/C 比がやや高く, ライトグリーン好性の細胞質を有する細胞集塊 (b) 多稜形の細胞質を有する細胞集塊 (Pap. 染色 40) 写真 5 気管支擦過細胞像粘液産生細胞の混在する細胞集塊 (Pap. 染色 40) 写真 6 肉眼像気管支内に突出した, 灰白色境界明瞭な13 10mm 大の腫瘍を認めた

27 VOL 平上皮類似の異型細胞やN/C比の高い類円形の細胞が 胞巣を形成しながら増殖し 粘液産生細胞も混在して 核分裂像はごく少数で MIB-1 indexは11 程度 脈 管侵襲 リンパ管侵襲 郭清リンパ節転移 肺内転移 いた 一部には粘液貯留で拡張した腺管もみられた 写 真8 粘液産生細胞はPAS反応 Alcian blue染色で 陽性 MUC5AC染色陽性であった 壊死巣はなく 胸膜浸潤はすべて陰性で 低悪性度粘表皮癌と診断し た a 写真7 組織像 腫瘍の表面は線毛円柱上皮で覆われていた HE染色 a 4 a b c d 写真8 組織像 扁平上皮類似の異型細胞やN/C比の高い類円形の細胞 中間細胞 が胞巣を形成しながら増殖し 粘液産生細胞の混在や 粘液貯留 で拡張した腺管もみられた HE染色 a 4 b 扁平上皮様細胞 40 c 粘液産生細胞 40 d 中間細胞 40

28 28 岡山県臨床細胞学会 Ⅴ. 考察気管支発生の粘表皮癌は, 肺癌取扱い規約第 8 版では唾液腺型腫瘍に分類されており, 唾液腺由来の粘表皮癌と同様の組織像を呈する. 発生頻度は, 全肺癌の 0.1~0.2% と稀な腫瘍で,30 40 代の主気管支 ~ 区域気管支を主体とする中枢気管支に好発し, 病変は気管支腔内にポリープ状に突出するが表面は平滑で, 粘膜下腫瘍様の形態をとる 1). 組織学的に, 腫瘍の表面は線毛円柱上皮に覆われているため腫瘍細胞が喀痰中にみられることはほとんどなく, ブラシによる気管支擦過法でも十分量の腫瘍細胞が採取できるとは限らない 2). 組織生検でも, 正常細胞が混在し, 腫瘍の部分像のみで診断するのは困難な場合があり, 粘表皮癌の手術前の確定診断率は低く, 鈴木らは約 35% であったと報告している 3). 粘表皮癌は嚢胞成分, 神経浸潤, 壊死, 核分裂像, 退形成の有無などから低悪性度と高悪性度に分類されるが 4), 気管支発生例では低悪性度の方が多いとされている 3). 低悪性度粘表皮癌の細胞像は, 背景は粘液性で, 異型性の弱い扁平上皮様細胞, 中間細胞, 粘液産生細胞の分化の異なった細胞が孤在性に, あるいは混在した細胞集塊としてみられるが 5), これら細胞の出現比率は, 検体の採取部位や症例によって異なる. 気管支鏡細胞診検体における鑑別診断としては, 粘液産生細胞が主体の細胞像の場合, 粘液産生性腺癌が挙がる. また異型性が弱いことから, 良性の気管支嚢胞性病変や正常な気管支上皮細胞などとも鑑別を要する. いずれの場合も, この腫瘍に特徴的な中間細胞, あるいは粘液産生細胞が混在した中間細胞集塊を確認することが重要であると考える. 本症例は, 腫瘍細胞を中間細胞と認識できなかったため, 粘表皮癌の診断に至らなかった. 中間細胞についての解釈は諸説あり, 諸外国では基底細胞と多稜形の細胞の中間的な形態と大きさを示す細胞で, 本質的には小型の扁平上皮細胞であると考えられている 6, 7, 8). 本邦では粘液細胞と扁平上皮細胞の両者の性格を有する中間的な細胞あるいは移行的な細 6, 胞であるという解釈 8) や, 未分化な小型細胞という 6, 解釈 9) などがある. 河原らは中間細胞の特徴を, 核中心性で細胞質がややライトグリーン好性,N/C 比大, クロマチンは細顆粒状, 小型核小体を有し密なシート状集塊として認められる細胞と報告している 6). また一方で, 集塊または孤在性に出現し, 細胞質はライトグリーン好性で重厚感のある細胞質を有し, 細胞質内に粘液様空胞を認め, クロマチンは細顆粒状で核小体の腫大が認められる細胞も中間細胞として認識するべきであると述べている. 本症例で認められた, 比較的小型, 類円形 ~ 多稜形でN/C 比がやや高く, ライトグリーン好性の細胞質を有しシート状に認めた細胞が, 河原らが報告している中間細胞に一致する細胞と考えられ, これらの細胞を明確に判定することが粘表皮癌を診断するうえで, 診断のカギとなると考えられた. Ⅵ. 結語気管支発生の低悪性度粘表皮癌の診断は, 異型の弱い扁平上皮様細胞, 粘液産生細胞と混在して集塊を形成する中間細胞の細胞像を熟知し, 画像などの臨床所見を加味し診断することが肝要である. 参考文献 1) 日本肺癌学会編. 臨床 病理肺癌取扱い規約第 8 版. 金原出版 :2016 2) 田島紹吉, 渋木康雄, 蛇沢晶, 小松彦太郎. 肺粘表皮癌の2 例. 日臨細胞誌 1998;3785: ) 鈴木一彦, 森裕二, 中田尚志, 大西哲郎, 阿部庄作. 気管支管状切除 端端吻合術を施行した中間気管支幹原発粘表皮癌の1 例 本邦報告 104 例の臨床像に関する文献的考察. 肺癌 2000;40: ) 森永正二郎, 高田隆, 長尾俊孝編集. 頭頸部腫瘍 Ⅰ 唾液腺腫瘍. 文光堂 1994; ) 日本唾液腺学会編. 唾液腺腫瘍アトラス. 金原出版 : 2005; ) 河原明彦, 横山俊朗, 杉島節夫, 原田博史, 林逸郎, 島松一秀, 鹿毛政義. 耳下腺原発粘表皮癌の細胞学的検討. 日臨細胞誌 1999;38: )Ellis,G.L., Auclair,P.L.. Atlas of tumor pathology, tumor of salivary glands. Washington,D.C. : Armed Forces Institute of Pathology, 1996; )Vicky, S.M.C,, Ali, H.Q., J. Edwaerd, M.Y. Head and Neck second edition. Guides to clinical aspiration biopsy. New york:igaku-shoin, 1996; ) 二階宏昌. 組織診断アトラス. 顎口腔の病変. 東京 : 杏林書院 :1997;66-69.

29 岡山県臨床細胞学会 29 症 例 高度のリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例 菅沼和義 (CT) 1), 園部宏 (MD) 2), 岩佐貴仁 (CT) 1), 妹尾純江 (CT) 1), 藤木正昭 (CT) 1), 横谷幸男 (CT) 1), 河合央 (MD) 3) 独立行政法人労働者健康安全機構岡山労災病院中央検査部 1), 同病理診断科 2) 3), 同胸部外科 背景 WHO 分類 (2012 年 ) では, 髄様癌単独の項目は削除され, 髄様癌の特徴を有する癌 (Carcinoma with medullary features) という一括りの分類が示された. 今回経験した高度のリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例を報告する. 症例 80 代女性.MRIで左乳房腫瘤を認め, 超音波検査で悪性を疑った. 穿刺吸引細胞診では多数のリンパ球を背景に核異型の強い上皮細胞が緩い結合を示して集塊状に出現し, リンパ球浸潤の強い浸潤性乳管癌や髄様癌が鑑別となった. 組織学的には, リンパ球の密な浸潤を背景に, 大型で胞体の豊富な腫瘍細胞が, 高度の異型核を有し, 合胞体性増殖を示したが, 腺腔構造は認めなかった. しかし, 腫瘍と周囲との境界が一部不明瞭で,WHO 分類の髄様癌の診断基準に合致せず, 腫瘍はER,PgR 陽性,HER-2スコア(1+) で, CK5/6,S-100 蛋白陰性を示した. 以上より, 本乳癌は 髄様癌の特徴を有する非特殊型浸潤性乳癌 と考えられた. 結論 WHO 分類 (2012 年 ) の内容を理解するとともに, 乳腺細胞診で多数のリンパ球を伴う高異型度の癌細胞が出現しても, 安易に髄様癌と判定すべきではない. Key Words: Lymphocyte infiltration, Breast cancer, Medullary carcinoma, Carcinoma with medullary features, Case report Ⅰ. はじめに 乳腺の髄様癌は高度のリンパ球浸潤を特徴とするが 1, 2, 3), 浸潤性乳管癌でも稀に高度のリンパ球浸潤を背 景とするので, 鑑別が必要となる 4, 5). 最近, 発表さ れた乳癌に関するWHO 分類 (2012 年 ) で, 髄様癌を一亜型として包括する 髄様癌の特徴を有する癌 という概念が記載された 1). 今回, われわれは高度なリンパ球浸潤を伴った乳癌 Kazuyoshi SUGANUMA 1), C.T., Hiroshi SONOBE 2), M.D., Takahito IWASA 1), C.T., Sumie SENOO 1), C.T., Masaaki FUJIKI 1), C.T.,I.A.C., Yukio YOKOTANI 1), C.T.,I.A.C., Hiroshi KAWAI 3), M.D. Japan Organization of Occupational Health and Safety, Okayama Rousai Hospital, Department of Central Laboratory 1), Section of Pathology 2), Department of Thoracic Surgery 3) 論文別刷請求先 : 岡山市南区築港緑町 1 丁目 10 番 25 号独立行政法人労働者健康安全機構岡山労災病院中央検査部菅沼和義 の一例を経験したので, その穿刺吸引細胞像について報告するとともに, このWHO 分類の内容についても言及する. Ⅱ. 症例患者は80 代女性で,5 年前に当院内科で膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN) と診断され, その経過観察中に偶然,MRIで左乳房腫瘤が発見され, その後増大傾向を示した ( 写真 1-a,b) ので, 外科に紹介された. 超音波検査が行われ,D 領域に径 1.5cm 大で後方エコーを伴う低エコー病変を認め ( 写真 1-c), 悪性が疑われた. 穿刺吸引細胞診 (FNAC) が施行され, その後に左乳腺の部分切除が行われた. Ⅲ. 細胞所見背景には多数のリンパ球を認め, 高度の核異型を示

30 30 岡山県臨床細胞学会 す上皮細胞が孤在性 ~ 緩い結合性を示し, 軽度に重積した大小の集塊をなして出現していた. それらの高異型度の上皮細胞は淡い豊かな細胞質を有し, 核は腫大し, クロマチンは細顆粒状 ~ 粗顆粒状を呈して増量しており,1 個から数個の核小体を認め, 一部には明瞭なものもみられた ( 写真 2-a,b). 以上より, リンパ球浸潤の強い浸潤性乳管癌や髄様 癌が鑑別に挙げられた. Ⅳ. 肉眼所見および組織 免疫組織化学的所見肉眼的には, 腫瘍は径約 1.5cmで, その割面は灰白色 充実性を呈し, 周囲との境界は比較的明瞭であった ( 写真 3). 写真 1 本例の MRI と超音波検査 :MRI は左乳房腫瘤の増大傾向を示す (b は a の 1 年後の像である ). 超音波検査でその腫瘤は低エコーを示し, 後方エコーが増強している (c). 写真 2 本例の穿刺吸引細胞診 :a. 多数のリンパ球を背景に, 異型上皮細胞が緩い結合を示して集簇性に出現している (Pap. 染色 10). b. 異型上皮細胞は, 細 ~ 粗顆粒状で増量した核クロマチン,1~ 数個の核小体をもつ異型核および淡く豊かな細胞質を示す (Pap. 染色 40).

31 VOL 組織学的には, 背景に密なリンパ球浸潤を伴い, 大型で豊富な胞体と, 明瞭な核小体を伴い, 異型の強い核を有する腫瘍細胞が, 大小不整の索状 ~ 巣状パターンを呈して合胞性に増殖 浸潤していたが, 腺腔構造は明らかではなかった. 腫瘍と周囲との境界は一部で不明瞭であった ( 写真 4-a,b). 以上より, リンパ球浸潤の強い浸潤性乳管癌や髄様癌が疑われた. 免疫組織化学的には, 腫瘍成分はCK7,E-Cadherin が陽性で,CK20,CK5/6,S-100 蛋白は陰性であった. また,ERとPgRは陽性を示し,HER-2スコアは(1+) であった ( 写真 5). 以上より, 病理診断はcarcinoma with medullary features, invasive ductal carcinomaであった. 写真 3 本例腫瘍の肉眼像 : 病変は灰白色, 充実性で, 周囲との境界は比較的明瞭である. 写真 4 本例腫瘍の組織像 :a. 背景にリンパ球の密な浸潤を伴い, 腫瘍と周囲との境界は一部で不明瞭である (H.E. 染色 10).b. 大型で胞体豊富な腫瘍細胞は, 明瞭な核小体を伴う異型核を有し, 合胞性に増殖している (H.E. 染色 40).

32 32 岡山県臨床細胞学会 写真 5 本例腫瘍の免疫組織化学染色態度 :ER,PgR,CK7,E-Cadherin が陽性で,HER-2 スコアが (1+),CK20,CK5/6,S-100 蛋白は陰性である.

33 VOL Ⅴ. 本例と髄様癌と診断されていた2 症例との比較本例の乳癌と髄様癌の組織像における相違を明らかにするために, 過去に髄様癌と診断されていた2 症例を用いて,WHO 分類 (2012 年 ) の組織学的基準に従って比較検討するとともに, 免疫組織化学的にも相違の有無について検討した ( 表 1). 組織学的に髄様癌の診断に必要とされる,1 合胞体性増殖が腫瘍の75% 以上,2 顕微鏡的な境界明瞭,3 管状構造の欠如,4 高異型度の核所見,5リンパ球や形質細胞の著明な浸潤の5 項目についてみると, 比較症例 Aは1~5の項目 33 全てを満足していた ( 写真 6-a) が, 本症例と比較症例 Bは組織学的に腫瘍の一部で境界が不明瞭であり, 2の項目は満たしていなかった ( 写真 4-a,7-a). 免疫組織化学的には, 前述したように, 本症例では ERとPgRが陽性で,HER-2スコアは(1+) であり, S-100 蛋白とCK5/6は陰性を示した. 一方, 比較症例 Aと比較症例 Bは, ともにER,PgR,HER-2は陰性を示したが, 比較症例 AではS-100 蛋白とCK5/6が陽性で, 比較症例 BではS-100 蛋白は陽性を示し,CK5/6 は陰性であった ( 写真 6,7) 表 1 本例と比較 2 症例のまとめ 項目 本症例 比較症例 A 比較症例 B 年齢 80 代 50 代 70 代 性別 女性 女性 女性 病変部位 左乳房 左乳房 右乳房 臨床事項 腫瘍マーカー なし 未検査 なし 高値 予後 術後経過 術後半年, 経過良好 切除後約 2 年で永眠 ( 他院で経過観察, 詳細不明 ) 切除後 7 年, 再発なし 腫瘍の組織所見 ( 髄様癌の診断に必要な項目 ) 1 合胞体性増殖が腫瘍の 75% 以上 2 顕微鏡的な境界明瞭 3 管状構造の欠如 4 高異型度の核所見 5リンパ球や形質細胞の著明な浸潤 免疫組織化学的検討結果 ER PgR HER-2 スコア S-100 蛋白 CK5/ IPMN: 膵管内乳頭粘液性腫瘍 : 当てはまる : 当てはまらない +: 陽性 -: 陰性

34 34 岡山県臨床細胞学会 写真 6 比較症例 A の腫瘍組織像と免疫組織化学的染色態度 : a. 背景にリンパ球の密な浸潤を伴い, 腫瘍と周囲との境界は明瞭である (H.E. 染色 10). b. 大型で豊富な胞体と腫瘍細胞は, 明瞭な核小体を示す高度の異型核を示し, 合胞体性に増殖する (H.E. 染色 40). 免疫組織化学的染色では,ER,PgR,HER-2 陰性で,CK5/6,S-100 蛋白が陽性である.

35 VOL 写真 7 比較症例 B の腫瘍組織像と免疫組織化学的染色態度 : a. 背景にリンパ球の高度の浸潤を伴い, 腫瘍は合胞性に増殖 浸潤するが, 周囲との境界は不明瞭である (H.E. 染色 10). b. 大型で胞体豊富な腫瘍細胞は, 核小体が明瞭で核は高度の異型を示す (H.E. 染色 40). 免疫組織化学的には ER,PgR,HER- 2,CK5/6 が陰性で,S-100 蛋白が陽性である.

36 36 岡山県臨床細胞学会 Ⅵ. 考察髄様癌は, 乳癌の特殊型の一型として独立して扱われ, 組織学的には高度のリンパ球浸潤を背景とし, 高悪性を示唆する異型の強い癌細胞の増殖を特徴とし, 免疫組織化学的にはER,PgR,HER-2のいずれも陰性 ( いわゆるトリプルネガティブ ) であるにもかかわらず, 予後良好とみなされている 3, 4, 5). また, 多くの場合,S-100 蛋白やCK5/6,CK14,EGFRなどの基底細胞マーカーが陽性になるとされている 2, 3, 4). 最近乳癌に関するWHO 分類第 4 版 (2012 年 ) が発表されたが, この中で髄様癌は, Ⅰ. 髄様癌 (medullary carcinoma),Ⅱ. 非定型髄様癌 (atypical medullary carcinoma),Ⅲ. 髄様癌の特徴を有する非特殊型浸潤性乳癌 (invasive carcinoma of no specific type with medullary features) を包括する, 髄様癌の特徴を有する癌 (carcinoma with medullary features) の中の一亜型として分類されている 1). それによれば, 髄様癌の組織学的診断項目として,1 合胞体性増殖が腫瘍の75% 以上 (syncytial growth in over 75% of tumor mass),2 顕微鏡的な境界明瞭 (histological circumscription), 3 管状構造の欠如 (lack of glandular structures), 4 高異型度の核所見 (high nuclear grade),5リンパ球や形質細胞の著明な浸潤 (prominent lymphoplasmacytic infiltrate) が挙げられており 1, 3), 髄様癌の診断にはこれらの5 項目の全てを満足することが必要とされ,5 項目のうち1~2 項目が満たない場合には, 非定型髄様癌 あるいは 髄様癌の特徴を有する非特殊型浸潤性乳癌 の可能性について検討することになる 1, 3). 本例の乳癌は, 細胞学的に高度の異型核を有する癌細胞が不規則な集塊状 ~ 孤在性に出現し, 多数のリンパ球を背景としており, 当初髄様癌も鑑別に挙げられているが, 組織学的には診断基準とされる1~5の項目のうち,2は満足していない. また, 免疫染色で, ER PgR 陽性,HER-2スコア(1+) とトリプルネガティブも示していない. さらに, 今回 CK14やEGFRについては検討していないが,S-100 蛋白およびCK5/6は陰性であり, これまでに髄様癌で述べられている所見とは合致しない 2, 3). 以上の組織学的および免疫組織化学的所見からは, 本例の乳癌は 髄様癌の特徴を有する癌 のうちで, 髄様癌の特徴を有する非特殊型浸潤性乳癌 とするのが妥当である. 一方, 比較症例 Aは組織学的に1~5の項目全てを満たし, 髄様癌として妥当であり,S-100 蛋白およびCK5/6に陽性で従来の報告とも矛盾はない 2, 3). 比較症例 Bは,1~5の項目のうち2が合致せず,S-100 蛋白陽性であるが, CK5/6は陰性であり, 非定型髄様癌 に相当するものと考えられる. 最後に, 本例の経験からも分かるように, 髄様癌 の組織学的診断基準 1~5( 表 1) のうち,4 高異型度の核所見,5リンパ球 形質細胞の著明な浸潤は細胞像に反映されるが,1 合胞体性増殖が腫瘍の75% 以上,2 顕微鏡的な境界明瞭,3 管状構造の欠如は必ずしも反映されないと考えるので, 細胞診による 髄様癌 の判定はすべきではない. Ⅶ. 結語本例は, 穿刺吸引細胞診で異型の強い癌細胞が高度のリンパ球浸潤を伴って出現し, 髄様癌を鑑別に挙げたが, 組織学的にはWHO 分類 (2012 年 ) における 髄様癌の特徴を有する癌 のうち, 髄様癌の特徴を有する非特殊型浸潤性乳癌 に相当した. このWHO 分類の記載内容をよく理解することに加え, 乳腺細胞診で, 多数のリンパ球を背景とする異型の強い癌細胞が出現しても, 安易に髄様癌と判定しないことが重要である. 本稿の要旨は, 第 37 回岡山県臨床細胞学会学術集会 ( 平成 29 年 7 月 22 日倉敷市. 川崎医科大学 ) で発表した. 本集会の発表にあたり, 貴重なご助言をいただいた倉敷成人病センター病理診断科大森昌子先生に深謝致します. また, 本例との比較のため症例を提供して頂きました福山医療センター有安早苗, 福田由美子両細胞検査士のご厚意に感謝致します. なお, 筆者らには, 開示すべき利益相反はありません. 文献 1)Jacquemier J., Reis-Filho J.S., Lakhani S.R., Rakha E.: Carcinomas with medullary features. Lakhani S.R., Elis l.o., Schnitt S.J., Tan P.H., van de Vijver M.J.:WHO Classification of Tumors of the Breast:IARC; ) 藤井誠志, 山内稚佐子, 長谷部孝裕 : 髄様癌 : 黒住昌史, 森谷卓也 : 腫瘍病理鑑別診断アトラス乳癌 : 文光堂 ; ) 鈴木髙祐, 野嵜史, 宇野美惠子, 内田士朗 : 髄様癌 : 森谷卓也, 津田均 : 腫瘍病理鑑別診断アトラス乳癌第 2 版 : 文光堂 ; ) 森谷卓也ら : 髄様癌 : 公益社団法人日本臨床細胞学会編 : 細胞診ガイドライン2 乳腺 皮膚 軟部骨 2015 年度版 : 金原出版 ; ) 全陽, 笠原善郎, 堀田幸次郎, 藤岡雅子, 宮山士朗, 三浦將司. 乳腺髄様癌の1 例. 診断病理.2004;21;

37 岡山県臨床細胞学会 37 症 例 細胞形態と免疫染色結果が診断のピットフォールとなった悪性中皮腫の1 例 佐藤正和 (CT,PhD) 国立病院機構岩国医療センター臨床検査科 背景胸水中の細胞形態と選択した免疫染色の結果から, 正しく診断できなかった悪性中皮腫症例を経験した. 症例 60 歳代 男性.CTにて肺気腫と結節影と胸水貯留を認めたため, 良悪の判定と原発巣推定を目的に胸水細胞診が施行された. 胸水中の細胞は, 細胞質が泡沫状で重厚感が無くギムザ染色で多数の小空胞が観られた. 細胞像より腎癌の可能性を考えcytokeratin7(CK7) が陰性,renal cell carcinoma marker(rcc Ma) が陽性の免疫染色結果から腎癌としても矛盾しない所見であると報告した. 精査の後の胸膜生検では, 組織像とカルレチニン陽性の免疫染色結果をもとに悪性中皮腫と診断された. 結語本症例のピットフォールは, 細胞像より中皮腫を除外し免疫染色結果のCK7( ),RCC Ma(+) を重視し腎癌を疑ってしまい臨床背景やカルレチニンを軽視したことにある. あらためて中皮腫の像の多彩性と免疫染色結果の解釈や体腔液免疫染色でのカルレチニンの重要性を認識した症例であった. Key words: 悪性中皮腫, 細胞質内小空胞, 腎癌,CK7, RCC Ma Ⅰ. はじめに 細胞診では, 作製標本枚数に制限があるため細胞形 態から鑑別疾患を絞り, 必要最少限の抗体を選択することが要求される. 胸水細胞診において悪性中皮腫を疑う細胞所見としては, 球状あるいは乳頭状の集塊と弧在性に出現した細胞の移行像がある. また, 個々の細胞においては, 核の異型性が弱く, 細胞質に重厚感があり辺縁は不明瞭とされている 1). 本症例は, 胸水細胞診で空胞状の細胞形態と, 細胞診標本で行った免疫染色でcytokeratin7(CK7) が陰性,renal cell carcinoma marker(rcc Ma) が陽性であることから腎癌を推定したが, 肥厚した胸膜から採取された生検組織の診断は悪性中皮腫であった. その細胞形態の Masakazu SATO, C.T,P.h.D National Hospital Organization Iwakuni Clinical Center, Clinical Laboratory 論文別刷請求先 : 山口県岩国市愛宕町 1 丁目 1 番 1 号独立行政法人国立病院機構岩国医療センター臨床検査科佐藤正和 特徴と免疫染結果の解釈におけるピットフォールを報告する. Ⅱ. 症例 60 歳代の男性. 膀胱癌の既往あり.CTにて肺気腫, 結節影とともに胸水貯留を認めたため, 良悪の判定と原発巣推定を目的に胸水細胞診が施行された. Ⅲ. 細胞像核腫大を伴う異型細胞がボール状や島状集塊として多数認められた (Fig1) 細胞質は泡沫状で重厚感が無く, ギムザ染色で多数の小空胞が観られ, 脂肪染色で陽性を示した (Fig2). Ⅳ. 免疫染色免疫染色可能な標本枚数が7 枚であったため肺癌, 尿路上皮癌, 腎癌の鑑別を考慮した抗体を選択し,

38 38 岡山県臨床細胞学会 Fig1 多数の上皮集塊と細胞質小空胞を示す胸水中の悪性中皮腫細胞像 Pap染色 Fig2 左 多数の細胞質空胞を有する胸水中の中皮腫細胞集塊像 ギムザ染色 右 細胞質空胞を有する胸水中の腎癌細胞像 ギムザ染色 40 20

39 VOL Ⅵ 組 織 診 断 CK7 CK20 TTF-1 S-100p p63 CD10 RCC Ma の結果であっ た Fig3 Ⅴ 細 胞 診 断 追加検査の胸部CTにて胸膜肥厚が指摘され 胸膜 生検が施行された 胸膜表面では 異型上皮様細胞が 乳頭状あるいは管状に増生していた また 腫瘍細胞 細胞質に多数の小空胞を認めCK7が陰性 RCCが陽 性であったことから腎癌としても矛盾しない所見であ がシート状の胞巣を形成しながら間質に浸潤してい た 組織材料の免疫染色は 細胞診で用いた抗体に加 えカルレチニンが陽性であった Fig4 また 細胞 ると報告した 診で陰性であったCK7が腫瘍深部で陽性 細胞診で 強陽性を示したRCC Maは表層の一部のみ陽性で結果 Fig3 胸水中の中皮腫細胞集塊の免疫染色像 左 RCC Ma染色 20 右 CK7染色 20 Fig4 胸膜生検組織HE染色と免疫染色像 上段 胸膜表面で乳頭状 管状の増殖を示し 深部で充実性増殖を示す中皮腫組織HE染色 下段 免疫染色像 左からCalretinin D RCC Ma P+ 4

40 40 岡山県臨床細胞学会 Table1 中皮腫, 転移性腎癌, 転移性腺癌における免疫染色での抗体別陽性率の比較 に若干の乖離があった. 組織像と免疫染色結果から総合的に判断し悪性中皮腫と診断された. Ⅶ. 考察 結語我々は, 胸水のギムザ染色で細胞質に見られる多数の小空胞が腎細胞癌の特徴と考えている. 本症例は, 細胞像で多数の小空胞を持つ希な中皮腫の像であったため中皮腫を除外し腎癌を疑ってしまった. 加えて通常陽性であるCK7が陰性でRCC Maが陽性であった結果を重視し, 臨床背景や抗体選択でカルレチニンを軽視したことが診断のピットフォールであったと考えている. 胸水の免疫染色においてCK7,RCC Ma,CD10 は転移性腎癌の有効なマーカーと考えている. しかし, Dennis JL やButnor KJ らは上皮型悪性中皮腫の胸水でCK7が33% 陰性を示し,RCC Maが26% 陽性を示したと報告している 2, 3) (Table1). 細胞質内にみられた小空胞に関しては,Nelson Gらが20 例の明細胞形態を示す悪性中皮腫を集めて検討し, 空胞が脂肪変性を示すグリコーゲンによるものと報告している 4). 腎癌細 胞も脂肪やグリコーゲンを有する細胞として知られており形態的に類似している. 免疫染色やこれらの所見の重なりが誤った診断を推定させたものと考える. 本症例を経験し, あらためて中皮腫細胞像の多彩性, 免疫染色結果の解釈と体腔液免疫染色でのカルレチニンの重要性を認識した症例である. 文献 1) 亀井利昭他 : 日本臨床細胞学会細胞診ガイドライン4, 体腔液, 悪性中皮腫 ; , )Dennis JL, Hvidsten TR, Wit EC, et al. Markers of adenocarcinoma characteristic of the site of origin: development of a diagnostic algorithm. Clin Cancer Res 2005;11: )Butnor KJ, Nicholson AG, Allred DC, et al. Expression of renal cell carcinoma-associated markers erythropoietin, CD10, and renal cell carcinoma marker in diffuse malignant mesothelioma and metastatic renal cell carcinoma. Arch Pathol Lab Med 2006;130: )Nelson G. Ordóñez MD. Mesothelioma with clear cell features: an ultrastructural and immunohistochemical study of 20 cases. Human Pathology(2005)36,

41 岡山県臨床細胞学会 41 症 例 子宮頚部擦過標本にて小細胞癌との鑑別に苦慮した basaloid squamous cell carcinoma の1 例 有安早苗 1), 柳井広之 2) 3), 園部宏 国立病院機構福山医療センター臨床検査科 1), 岡山大学病院病理診断科 2) 3), 岡山労災病院病理診断科 背景子宮頚部擦過標本で小細胞癌との鑑別に苦慮したBasaloid squamous cell carcinoma(bsc) を経験した. 症例患者は80 歳代, 女性. 性器出血を主訴に受診し, 子宮頚部に腫瘤を認めた. 細胞診では, 壊死を背景にN/C 比の高い小型細胞が集塊出現し, 扁平上皮癌と小細胞癌の鑑別に苦慮する細胞像であった. 組織診では, 密に増殖する腫瘍細胞が胞巣状を呈しており, 腫瘍胞巣辺縁には核の柵状配列像を認め,BSCと診断された. 結論細胞診でのBSCと小細胞癌の鑑別には細胞集塊辺縁の核の柵状配列像, 核クロマチン性状, 核小体所見が重要と考えられた. Key Words:Basaloid squamous cell carcinoma, peripheral palisading, small cell carcinoma Ⅰ. はじめに Basaloid squamous cell carcinoma( 以下 BSC) は種々の臓器に発生する扁平上皮癌の特殊型である. 生物学的悪性度が非常に高く予後不良といわれている 1, 2). 子宮頚部での発生は希であり, その細胞像に関する報告も少ない 3, 4). 今回我々は, 子宮頚部擦過細胞診標本で小細胞癌との鑑別に苦慮したBSCを経験したので報告する. Ⅱ. 症例 瘤を指摘され, 精査, 加療目的で当院紹介となった. 初診時の骨盤腔 CT 検査では子宮頚部に40mm 大の腫瘍を認め ( 写真 1), 同部位より子宮頚部擦過細胞診および組織生検が施行された. Ⅲ. 細胞所見強い壊死と炎症を背景に, 極めてN/C 比の高い小型細胞が, 層状構造や敷石状配列集塊で多数出現していた ( 写真 2a). 個々の細胞核は, 類円形で軽度の不整を伴っており, クロマチンは細顆粒状で増量し, 小型 患者 :80 歳代, 女性. 家族歴 既往歴 : 特記事項なし. 現病歴 : 性器出血にて前医を受診し, 子宮頚部に腫 Sanae ARIYASU 1) C. T., I.A.C., Hiroyuki YANAI 2) M. D., Hiroshi SONOBE 3) M. D. Department of Clinical Laboratory, National Hospital Organization Fukuyama Medical Center 1), Department of Pathology, Okayama University Hospital 2), Department of Pathology, Japan Labour Health and Welfare Organization Okayama Rosai Hospital 3) 論文別刷請求先 : 広島県福山市沖野上町 4 丁目 独立行政法人国立病院機構福山医療センター臨床検査科有安早苗写真 1 CT( 骨盤部 ) 画像 : 子宮頚部に 40mm 大の腫瘍を認める.

42 42 岡山県臨床細胞学会 b a c 写真 2 細胞像 : パパニコロウ染色 a; 10, b, c; 60(Cell Prep 法 ) 壊死を背景に,N/C 比の高い小型細胞が, 層状構造や敷石状配列集塊で出現する (a). 個々の細胞核は, 類円形で軽度の不整を伴い, クロマチンは細顆粒状で増量し, 小型核小体を認める (b). 一部の集塊では, 組織像での集塊辺縁の柵状配列像を反映する細胞集塊も認める (c). 核小体を認めた ( 写真 2b). なお, 明らかな角化を示す異型細胞はみられなかった. 以上の所見より, 扁平上皮癌もしくは小細胞癌を推定し,carcinoma cells と報告した. Ⅳ. 病理組織所見 N/C 比の高い細胞が索状や胞巣状に充実性, 密に増殖し, 腫瘍胞巣辺縁には核の柵状配列像を認めた ( 写真 3). 免疫染色では, 腫瘍細胞の多くがp63 陽性, CD56は一部に陽性,Chromogranin A, synaptophysin はいずれも陰性を示した. 以上の所見から,BSCと診断された. Ⅴ. 考察 BSCは扁平上皮癌の特殊型で, 悪性度の高い組織型とされる 1-3). 組織学的には, 細胞質に乏しい未熟な基底細胞様細胞が胞巣状に浸潤し, 胞巣周囲に癌細胞 写真 3 組織像 :HE 染色, 20 N/C 比の高い細胞が索状や胞巣状に充実性, 密に増殖し, 腫瘍胞巣辺縁には核の柵状配列像を認める.

43 VOL 図 1 BSC と小細胞癌の細胞像比較 : 小細胞癌は微細なクロマチンを呈する核に, あまり目立たない小型核小体を有するのに対し,BSC ではクロマチンがやや粗く, 好酸性の目立つ核小体を有している. の柵状配列 (peripheral palisading) を認めることを特徴とする. また, 地図状, 面皰型壊死がみられることもあり, 小細胞癌との鑑別が必要となる 5, 6). 組織学的に基底細胞様細胞を認める腫瘍には, 本腫瘍同様に悪性度の高い腺様嚢胞癌や低悪性度腫瘍である腺様基底細胞癌がある 6). また, 広範な壊死を伴い小型細胞主体の腫瘍である点では小細胞癌も鑑別対象となる. 特に細胞像からの鑑別診断には小細胞癌を挙げる報告が多い 3-5). 両者とも発生頻度の低い腫瘍であるため, その予後を比較し論じた報告はない. しかし, 治療方針は異なり 7), これらの疾患群を鑑別することは重要であるが, 腫瘍の全体像をとらえにくい細胞診での鑑別は困難である. 今回の我々の症例においても, 多量の壊死を背景に小型腫瘍細胞が出現する細胞像から, 小細胞癌との鑑別が問題となった. 図 1はBSCと小細胞癌の細胞像を比較している. 両者は強い壊死を伴い, 小型細胞が面的な敷石状配列集塊で出現する点ではよく似た像である. しかし, 詳細に観察すると小細胞癌はより微細なクロマチンを呈する核に, あまり目立たない小型核小体を有するのに対し,BSCではクロマチンがやや粗く, 好酸性の目立つ核小体を有している. また, 組織像で の集塊辺縁の柵状配列像を反映する細胞集塊 ( 写真 2 c) の出現はBSCを推察する手掛かりになると考えられる. 今回, 小細胞癌との鑑別に苦慮するBSCを経験した. 細胞形態は小細胞癌と酷似しているが, 組織での柵状配列像に相当する細胞集塊や核クロマチンの性状, 核小体所見に着目できるかが, 組織型推定の鍵になると思われた. 文献 1)Wain SL,Kier R,Vollmer RT,Bossen EH.Basaloid squamous carcinoma of the tongue,hypopharynx,and larynx:report of 10 cases.hum PathoL 1986;17: )Ferry JA,Scully RE. Adenoid cystic carcinoma and adenoid basal carcinoma of the uterine cervix;a study of 28 cases.arn J Surg Pathol.1988;12: )Daroca PJ,Dhurandhar HN.Basaloid carcinoma of uterine cervix.am J Surg Pathol.1980;4: )Rafael M G., Santiago M T., Joaqu M M. Basaloid squamous cell carcinoma of the uterine cervix: cytological and histological features. Diagn Cytopathol 2015;12: ) 林透, 島尾義也, 長友明彦, 他.:Basaloid squamous

44 44 岡山県臨床細胞学会 cell carcinomaと思われた子宮頸部癌の1 例. 診断病理 2007;24: ) 坂本穆彦, 安田政実 : 腫瘍病理鑑別診断アトラス子宮頚癌. 文光堂, 東京,pp49-50, ) 日本婦人科腫瘍学会 ( 編 ): 子宮頚癌治療ガイドライン. 金原出版,2011 利益相反状態の開示今回の発表に関して開示すべき COI はありません. 筆頭著者 : 有安早苗

45 岡山県臨床細胞学会 45 症 例 尿管癌術後, 胸水細胞診に TTF-1 陽性異型細胞が出現した 1 例 平本直美 1), 福田智 1), 原田侑香里 1), 神農陽子 1) 2), 谷口香 国立病院機構岡山医療センター臨床検査科 1) 2), 岡山大学病院病理診断科 背景抗 Thyroid Transcription Factor-1( 以下 TTF-1) 抗体による免疫染色は臓器特異性が高く肺癌や甲状腺癌の診断に有用とされている. 今回我々は, 胸水細胞診にTTF-1 陽性の異型細胞が出現し, 尿管癌原発と考えられた症例を経験したので報告する. 症例 80 代男性尿管癌術後 3か月. 胸水細胞診で腺様または中皮細胞様の異型細胞を多数認めた. 細胞質にPAS 反応,Alcian Blue( 以下 AB) 染色で陽性を示す粘液を認め, 腺癌と悪性中皮腫の鑑別を考えた. 免疫染色でTTF-1 陽性を示したため肺腺癌の転移を疑ったが, 画像上肺に原発巣を疑う病変は認めなかった. 摘出後の尿管癌は, 一部腺上皮への分化を伴う浸潤性尿路上皮癌で, 免疫染色で一部にTTF-1 陽性像を認め, 胸水中の異型細胞は尿路上皮癌の転移と考えた. 結論胸水中の癌細胞が腺癌様の形態を示しTTF-1 陽性の場合, 肺以外の原発臓器も慎重に検討すべきであると再認識した. Key words: Thyroid Transcription Factor-1, TTF-1, Pleural effusion, Urothelial carcinoma Ⅰ. はじめに TTF-1は甲状腺, 肺, 間脳に特異的に発現している転写因子であり, 抗 TTF-1 抗体は免疫染色で臓器特異性の高い抗体として甲状腺癌や肺癌の診断に有用である 1, 2). 今回我々は, 尿管癌術後の胸水中に出現した多数の異型細胞が尿管原発のTTF-1 陽性尿路上皮癌と考えられた症例を経験した. Ⅱ. 症例 80 代男性尿管癌にて左腎尿管全摘術が施行された. 術前の尿細胞診は核の立体不整とクロマチンの粗造化, 不均等分布を示す多数の異型細胞を認め, 悪性, 尿路上皮癌とした ( 写真 1). 摘出された尿管癌は尿管周囲脂肪組織へ浸潤する浸潤性尿路上皮癌,G3で, 一部に胞体内粘液や腺腔形成を示す腺上皮への分化を認めた ( 写真 2). リンパ節は血管周囲組織と一塊になっており切除不能であった (pt3cn1m0, pstage IV). 術後 3か月で左胸水が出現し, 胸水細胞診が施行された. Ⅲ. 胸水細胞像および免疫組織化学的所見少数のリンパ球を背景に異型細胞が多数出現し, 孤在性主体であったが一部小集塊を認めた. 核は類円形で核形不整や大小不同が乏しく中皮細胞に類似していた. 細胞質にPAS 反応,AB 染色で陽性を示す粘液を認め, 細胞辺縁に微絨毛様のAB 染色陽性像を認めた ( 写真 3). 異型細胞はクロマチンの粗造化や核形不整を認めず, 一般に尿中でみられる尿路上皮癌細胞の核 Naomi HIRAMOTO 1), C. T., I.A.C., Satoshi HUKUDA 1), C. T. I.A.C., Yukari HARADA 1), C. T., Yoko SHINNO 1), M.D., Kaori TANIGUCHI 2), M.D. Department of Clinical Laboratory, National Hospital Organization Okayama Medical Center 1) Department of Pathology, Okayama University Hospital 2) 論文別刷請求先 : 岡山県岡山市北区田益 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター臨床検査科平本直美 写真 1 術前の尿細胞像異型細胞は立体的な不整とクロマチンの粗造化, 不均等分布を認め高異型度尿路上皮癌の細胞像であった.(Papanicolaou 染色 40)

46 46 岡山県臨床細胞学会 b c a a 浸潤性尿路上皮癌の像 b 胞体内粘液 写真2 尿管癌の組織像 c 腺腔形成など一部腺への分化を認めた a HE 2, b, c HE 20 a b c 写真3 胸水細胞像 a 異型細胞は孤在性に多数出現し 一部小集塊を認めた 核は類円形で核形不整や大小不同が乏しく中皮細胞に類似していた b c PAS反応やAB染色で細胞質に陽性を示す粘液 矢印 を認め AB染色で細胞周囲に微絨毛様の陽性像 矢頭 がみられた a: Pap.染色 40, b: PAS染色 40, c: AB染色 40

47 VOL a b c 写真 4 尿管癌のTTF-1 免疫染色尿路上皮癌の一部にTTF-1 陽性像を認めた.(a:TTF-1 2,b:TTF-1 10,c:TTF-1 20) 表 1 胸水と尿管癌組織との免疫染色結果 所見 3) とは異なっていた. 形態からは悪性中皮腫と腺癌の鑑別を第一に考えたが, 既往の尿管癌も考慮に入れ免疫染色を行った. 免疫染色で異型細胞はCK7 陽性, CK20 陰性,TTF-1 陽性,p63 陽性であった.Calretinin 等の中皮腫マーカーは陰性を示した.p63は陽性であったが,TTF-1が90% 以上の細胞に陽性を示したことから肺腺癌の転移を疑った. しかし画像上肺に明らかな病変が認められず肺原発とは断定できなかったため, 既往の尿管癌組織と共に再検討を行ったところ尿路上皮癌の一部にTTF-1が陽性となった ( 写真 4). NapsinAは胸水細胞, 尿管癌組織ともに陰性であった. S100Pは胸水細胞, 尿管癌組織ともに陽性,Uroplakin Ⅱは胸水でごく一部陽性, 尿管癌組織は陰性であった ( 表 1). 胸水中の異型細胞は尿路上皮癌の転移と考えた. Ⅳ. 考察 体腔液中の転移性尿路上皮癌細胞は時に反応性中皮細胞や悪性中皮腫, 腺癌, 低分化扁平上皮癌と形態的に類似し 4), 形態のみでは組織型の推定が困難なことがある. 本症例にみられた異型細胞は尿中と胸水中で細胞像, 特に核所見が異なっていたため形態からは尿路上皮癌を推定し得なかった. 体腔液はいわば培養液のような環境であり, 自然尿と変性の度合いが異なる

48 48 岡山県臨床細胞学会 と推測される. また, 細胞質が中皮細胞様でPAS 反応, AB 染色陽性の粘液を認めた点, さらにほとんどの異型細胞が免疫染色でTTF-1 陽性を示した点がピットフォールに陥った原因であった. TTF-1は肺癌以外でも陽性例が稀にあり,Matosoらの検討によるとクローンにより若干の隔たりはあるものの膀胱癌で 5.1%, 大腸癌で2.5% の陽性例が報告されている 5). 胸水中の異型細胞がTTF-1 陽性となった場合, 原発臓器の推定は画像や既往の組織像と併せ慎重に検討すべきであると再認識した. 文献 1) 石和直樹, 中谷行雄, 稲山嘉明, 一渡部克也, 前原孝光, 林康史ほか原発性肺癌におけるThyroid Transcription Factor-1(TTF-1) 発現の免疫組織化学的検討.JJLC 2001;41: ) 澁木康雄, 蔦幸冶, 野本清明ほか. 原発性肺腺癌特異的マーカーの免疫細胞化学的検討. 日本臨床細胞学会雑誌, 2006;45(1): ) 日本臨床細胞学会泌尿器細胞診報告様式ワーキンググループ編. 細胞所見の見方. 泌尿器細胞診報告様式 2015: )Cheng Cheng Huang, Anoja Attele, and Claire W. Michael. Cytomorphologic features of metastatic urothelial carcinoma in serous effusions. Diagnostic Cytopathology,2013;41(7): )Andres Matoso, et al. Comparison of thyroid transcription factor-1 expression by two monoclonal antibodies in pulmonary and non-pulmonary primary tumors. Appl. Immunohistochem. Mol. Morphol.2010 March;18(2):

49 岡山県臨床細胞学会 49 症 例 診断に苦慮した肺定型カルチノイドの 1 例 成富真理 1), 畠榮 2), 高須賀博久 1), 日野寛子 1) 1), 物部泰昌 川崎医科大学総合医療センター病理部 1) 2), 神戸常盤大学保健科学部医療検査学科 背景呼吸器材料で診断に苦慮した定型カルチノイドの1 例を経験したので報告する. 症例 60 代, 男性. 咳嗽, 血痰を主訴に近医受診, 当院紹介となった. 気管支鏡検査が施行され, 吸引痰, 気管支肺胞洗浄液, 気管支擦過標本および鉗子洗浄液が提出された. いずれも異型細胞が平面的集塊, 索状あるいは散在性に出現していた. 異型細胞は,N/C 比大, 細胞質は狭小で細胞境界は比較的明瞭, 核は類円 ~ 楕円形, 核クロマチンは細 ~ 粗顆粒状, 小型核小体がみられた. 本例では, 異型細胞の結合性がよく,N/C 大, 核クロマチンの性状から, 組織型を小細胞癌と診断した. 同時に採取した生検の組織像は, 腫瘍細胞が粘膜下に増殖し, 細胞質は淡明 ~ 淡好酸性, 核は円 ~ 紡錐形, 核クロマチン粗造であった. 免疫組織化学的にCD56,chromogranin A,synaptophysin 陽性であった. 定型カルチノイドと診断された. 結論定型カルチノイドは, 吸引痰, 気管支肺胞洗浄液, 液状化検体細胞診標本で診断する際, 機械的操作や標本作製法により, 擦過や穿刺法と比べ結合性があり, 細胞質が狭小で境界明瞭になる場合があるため, 臨床診断や免疫染色結果などと併せ, 慎重に診断する必要があると思われる. Key words:carcinoid, sputum, bronchoalveolar lavage fluid, liquid based cytology, case report Ⅰ. はじめに Ⅱ. 症例 肺カルチノイド腫瘍は, 肺癌の約 1% とまれであり, 大部分は定型カルチノイドである 1). 主気管支や区域 気管支に発生するが, 末梢にもみられる 1). カルチノ イド腫瘍は粘膜下に発育するため喀痰中にみられることはまれで, 細胞診では擦過あるいは経気管支針穿刺法が有効とされている 2, 3). 今回, 気管支鏡検査による呼吸器標本で診断に苦慮した定型カルチノイドの1 例を経験したので報告する. A case of lung typical carcinoid that was difficult to diagnose Mari NARITOMI 1), C.T.,I.A.C., Sakae HATA 2), C.T.,C.F.I.A.C., Hirohisa TAKASUGA1, C.T.,I.A.C., Hiroko HINO 1), C.T.,I.A.C., Yasumasa MONOBE 1), M.D. Department of Pathology, Kawasaki Medical University General Medical Center 1) Department of Medical Technology, Kobe Tokiwa University Faculty of Health Sciences 2) 論文別刷請求先 : 岡山県岡山市北区中山下 川崎医科大学総合医療センター病理部成富真理 症例 :60 代, 男性. 既往歴 : 特記すべきことなし現病歴 : 咳嗽, 血痰を主訴に近医受診, 当院紹介となった.CTで左肺下葉気管支分岐直下に気管腔内へ突出する腫瘤を認めた ( 写真 1). 気管支鏡検査が行われ, 吸引痰, 気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fluid; 以下 BALF), 気管支擦過標本, 鉗子洗浄液および経気管支生検材料が提出された. 吸引痰,BALF から塗抹標本, 鉗子洗浄液からBDシュアパス TM 法で液状化検体細胞診 (liquid based cytology; 以下 LBC) 標本を作製した. 経気管支生検で, 定型カルチノイド (typical carcinoid) と診断された. 後日, 左肺下葉スリーブ切除術およびリンパ節廓清術が施行され, 手術材料の腫瘍部から, 穿刺吸引細胞診標本および穿刺針洗浄液 LBC 標本を作製した. Ⅲ. 細胞所見吸引痰 BALF 塗抹標本, 鉗子洗浄液 LBC 標本, いずれも粘液, 好中球, リンパ球, 組織球, 線毛円柱上

50 50 岡山県臨床細胞学会 写真 1 CT 画像左肺下葉分岐直下に腫瘤を認めた ( ). a b 写真 2 a) 吸引痰塗抹標本 : 異型細胞が平面的な集塊で出現している ( パパニコロウ染色 10). b)balf 塗抹標本 : 異型細胞が索状に出現している ( パパニコロウ染色 10). 皮細胞とともに, 異型細胞が平面的な集塊や索状に出現していた ( 写真 2). 異型細胞は,N/C 比大, 細胞質は狭小で境界明瞭, 核は類円形 ~ 楕円形, 核クロマチンは細 ~ 粗顆粒状, 小型核小体がみられた ( 写真 3). 気管支擦過標本に異型細胞はみられなかった. 以上の所見から, 小細胞癌と診断した. 一方, 左肺下葉スリーブ切除術材料腫瘤部の穿刺吸引細胞診では, 線毛円柱上皮細胞を背景に, 均一な異型細胞が平面的な集塊で, 毛細血管とともに多数出現していた. 細胞質は豊富でライトグリーンに淡染し, 境界不明瞭, 核は類円形 ~ 楕円形, 核クロマチンは細 ~ 粗顆粒状, 核小体がみられた ( 写真 4a). 穿刺針洗浄液 LBC 標本では, 均一な異型細胞が平面的な集塊で, 毛細血管とともに多数出現していた ( 写真 4b). 異型細胞は, 吸引痰やBALF, 鉗子洗浄液 LBC 標本と類 写真 3 吸引痰塗抹標本 : 異型細胞は,N/C 比大, 細胞質は狭小で境界明瞭, 核は類円 ~ 楕円形, 核クロマチンは細 ~ 粗顆粒状, 核小体がみられる ( パパニコロウ染色 40). a 写真 4 左肺下葉切除術材料 a) 穿刺吸引細胞診 : 異型細胞は平面的な集塊で出現し, 細胞質は豊富でライトグリーンに淡染, 核は類円 ~ 楕円形, 核クロマチンは細 ~ 粗顆粒状, 核小体がみられる ( パパニコロウ染色 40). b) 穿刺針 LBC 標本 : 異型細胞が毛細血管とともに出現し,N/ C 比大, 細胞質は狭小である ( パパニコロウ染色 40). b

51 VOL 似していた ( 写真 4b). 左肺下葉スリーブ切除術材料腫瘤部の穿刺吸引細胞診の所見から, カルチノイド腫瘍と判定した. Ⅳ. 組織所見経気管支肺生検では, 気管支上皮に重層扁平上皮化生がみられ, 腫瘍細胞が粘膜下に, 索構造や小胞巣を形成し増殖していた. 細胞質は淡明 ~ 淡好酸性, 核は円 ~ 紡錐形, 核クロマチンは粗造であった. 壊死や核分裂像はみられなかった. 免疫組織化学的にCD56, chromogranin A,synaptophysin 陽性で,TTF-1 陰性 51 であった. 以上の所見より, 定型カルチノイドと診断された. 左下葉スリーブ切除材料の肉眼像では, 下葉下幹枝の気管支壁から内腔に向かって mm 大の境界明瞭な隆起性腫瘍が存在し, 気管支腔内に伸展していた ( 写真 5). 組織学的に, 腫瘍細胞はN/C 比の高い円形細胞でシート状, 網状, 索状, 管状に血管を伴って増殖し, ロゼット形成も認められた. 細胞質は淡明 ~ 淡好酸性で境界不明瞭, 核は円 ~ 楕円形で均一, 核クロマチンは顆粒状であった ( 写真 6). 免疫組織化学的にCD56,chromogranin A,synaptophysin 陽性, MIB-1 indexは1% 未満であった ( 写真 7). 細胞異型 a b a b 写真 5 肉眼像 a) 左下葉下幹枝の気管支壁から内腔に隆起性腫瘤 ( mm) がみられる ( ). b) 割面 : 腫瘤は境界明瞭で 気管支腔内に伸展している ( ). 写真 6 組織像 : 腫瘍細胞は,N/C 比の高い円形細胞で, シート状, 網状, 索状, 管状に浸潤し, 細胞質は好酸性, 核は円 ~ 楕円形である (HE 染色 a: 4,b: 10). a b c d 写真 7 免疫組織化学 a)synaptophysin 陽性,b)CD56 陽性,c)Chromogranin A 陽性,d)MIB-1 index1% 未満.

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PowerPoint プレゼンテーション 症例 1: Intraductal papilloma 乳頭状集塊の出現や 背景の泡沫状マクロファージの出現から 嚢胞内乳頭状病変が示唆される 細胞集塊は全体的に結合性が強く 乳頭状集塊の中心には比較的太い線維性結合織が認められ 集塊内とくに腺上皮と線維性結合織の間には筋上皮の介在が窺われる LBC 検体を用いた免疫染色では シート状集塊において高分子量サイトケラチン (CK5/6) のモザイク状陽性所見が認められ

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