大阪市立大学大学院創造都市研究科 博士学位論文 ベトナム人の労働移動と就労に関する意思決定 - 国内移動 日本での在留資格 帰国後の就労に着目して - (Decision Making of Vietnamese in Labor Migration and Employment : Focus o

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1 大阪市立大学大学院創造都市研究科 博士学位論文 ベトナム人の労働移動と就労に関する意思決定 - 国内移動 日本での在留資格 帰国後の就労に着目して - (Decision Making of Vietnamese in Labor Migration and Employment : Focus on Internal Migration, Eligibility in Japan and Jobs after Returning Home) 2020 年 3 月大阪市立大学大学院創造都市研究科創造都市専攻国際地域経済研究領域 D12UD508 西川直孝 (NISHIKAWA,Naotaka)

2 論文要旨 1. 論文名 : ベトナム人の労働移動と就労に関する意思決定 - 国内移動 日本での在留資格 帰国後の就労に着目して- 2. 氏名 : 西川直孝日本の労働市場は 少子高齢化の進展による生産年齢人口比率の低下により 慢性的な労働力不足となっており 近年その傾向はいっそう強まっている 2019 年 4 月には 労働力不足を要因とした新たな在留資格 特定技能 を創設し 積極的な外国人労働者受け入れへと舵を切り始めたことで 国民の関心を集めている 中でも かつての中国人に代わり 来日するベトナム人労働者が急増しているのが近年の特徴とされる ところで 人の移動は財や資本 技術など他の経営資源と違い 各人のライフサイクルや経済的 文化的要因等に基づいた意思によって 移動するか否かの決定がなされていると考えられる つまり 人の移動を研究する際には その背景にある意思決定の要因を幅広く理解することが求められるといえる そこで本研究は 急増する来日ベトナム人労働者の意思決定に焦点を当て そのプロセスを理解することを通じて 日本の外国人労働者受入政策に関する新たな知見を提示することを目指す 具体的には 先行研究において国際移動する労働者は事前に国内移動を経てから出国するケースが多いとされていることから 本研究の分析対象を 国内移動 国際移動 ( 来日 ) 帰国 の 3 つの段階における意思決定に設定し ベトナム人のそれぞれの労働移動における意思決定の要因やそのリンケージを実証分析によって明らかにする はじめに 序章では日本において外国人労働者が増加した背景や来日ベトナム人労働者の現状について述べ 問題の所在について言及する 次に 1 章ではベトナムの歴史的背景や人口構成 経済発展の状況 国内 国際労働移動の進展について紹介する ベトナムにおいて市場経済化や経済発展が進展したのは 1990 年代以降であり その前後の国内 国際労働移動の変化を中心に論じる 2 章では 国内移動 国際移動 帰国 のそれぞれに関連する先行研究と日本の外国人労働者受入政策について紹介する まず国内移動については 伝統的な農村 都市間の労働移動モデルを中心に 次に国際移動については 東アジア地域の国際労働移動に関する先行研究 特に主要な労働者送出国であるフィリピンやインドネシアに関する研究を中心に示す そして帰国に関する先行研究については 東アジア地域での先行研究が限定的であるため 主に欧米を対象とした帰国労働者に関する研究を中心に示す そのうえで これまでの日本の外国人労働者受入政策の推移を論じ それぞれの労働者に関連した先行研究についてもレビューする 3 章では 本研究で使用する分析方法について示す 本研究は 先に述べた労働移動の 3

3 段階におけるベトナム人の意思決定について 複数の説明変数からなる多変量データを統計的に分析する手法を採用する そのため 実際の分析で使用する 3 つの理論モデルと使用するデータに関する情報を紹介する 4 章では まずベトナム人の国内移動に関する意思決定要因を取り上げる ここでは ベトナム統計総局が発表するベトナム各省間の移動人口と各省のマクロデータをもとに ベトナム人が国内移動を意思決定する要因について 重力モデルをベースとしてトービットモデルを用いて推定する 分析の結果 ベトナムの国内移動は失業率の影響を受けず 期待賃金が高い外国企業の比率が高い省への移動が促進されている一方で 農業生産性の高い省からの移動は少ないことなどが明らかとなった 5 章では 来日前のベトナム人技能実習生と留学生に対するアンケート調査を通じて得られたデータをもとに それぞれの在留資格を選択した意思決定要因について プロビットモデルを用いて推定する 分析の結果 技能実習生と留学生の間で学力的な有意差は明らかとならず むしろ家庭の経済状況や在日近親者の有無が在留資格選択に影響を与えている結果が得られ 日本の留学生受入政策の課題が示された 6 章では 日本の製造業で 3 年間の技能実習を修了して ベトナムへ帰国後数年経過した元技能実習生への電話インタビュー調査を通じて得られたデータをもとに 帰国後の就業選択と製造業での就業継続の決定要因をプロビットモデルを用いて 収入を規定する要因をヘキットモデルを用いて二段階推定を行なう 分析を通じて 送出国への技能移転を理念としている技能実習制度にもかかわらず 帰国生の過半数が非就労または製造業以外で就労しており 技能移転の実現は限定的であることが示された また 収入に関しては 来日前の学歴の影響を受ける一方 在日中の技能実習で得られた技能水準等の影響は必ずしも大きくないことが示唆された 加えて 現地日系企業における元技能実習生の収入は他企業と比べて相対的に高くないことも明らかとなった 7 章では 4 章から 6 章の各考察において論じた概念を組み合わせた総括的な検討を行ない ベトナムにおける国内移動と国際労働移動の関係性や日本の外国人労働者受入政策の課題 そして 2019 年に創設された 特定技能 の在留資格が来日外国人労働者に与えるインパクトについて論じる そして終章では これまでの考察をベースに 東アジア地域の国際労働移動の課題と将来像を提示する 具体的に この地域の国際労働移動は送出国と受入国で事前に就労職種や就労期間を事前に指定した覚書等を締結して 期間満了後は本国に帰国する有期ローテーション型の労働移動が主流とされるが 政府機関を通じたフォーマルな移動においても労働者自身が多額の手数料を支払う等の課題が認められている そのため 他の経営資源と同様 人の移動に関する制度的な経済統合への進化の必要性について論じる そのうえで これまでの研究との違いや本研究独自の貢献 残された課題について言及する

4 論文構成 ( 目次 ) 序章はじめに 研究の背景 問題の所在 研究の目的と意義 研究の対象 構成の紹介 第 1 章ベトナムの経済発展と労働移動の進展 ベトナムの経済発展と人口構成 ベトナムの工業化と農村 都市間労働移動の進展 ベトナム人の国際労働移動の展開 第 2 章先行研究と日本の外国人労働者受入政策 国内労働移動に関する先行研究 東アジア地域の国際労働移動に関する先行研究 移住労働者の帰国後や技能移転に関する先行研究 日本の外国人労働者受入政策の推移 日本の外国人労働者に関する先行研究 第 3 章本研究の分析方法 ベトナム国内の労働移動 来日ベトナム人の在留資格選択 ベトナム人技能実習生の帰国後の就業と収入 第 4 章ベトナムにおける国内移動の意思決定要因 本分析の概要 推定結果 考察 小括 第 5 章ベトナム人技能実習生および留学生の在留資格選択要因 本分析の概要 推定結果 考察 小括 第 6 章帰国技能実習生の就業選択と収入の決定要因 本分析の概要... 62

5 2. 推定結果 考察 小括 第 7 章各分析を通じた総括的結論 ベトナムにおける国内移動と国際労働移動の関係性 日本の外国人労働者受入政策に関する考察 新たな在留資格 特定技能 が与える影響 終章おわりに 東アジア地域の国際労働移動に関する議論 これまでの研究との違い 今後の研究課題と展望 引用 参考文献一覧 ( 参考資料 )1 技能実習生用アンケート用紙 ( 日本語 ) ( 参考資料 )2 留学生用アンケート用紙 ( 日本語 ) ( 参考資料 )3 技能実習生用アンケート用紙 ( ベトナム語 ) ( 参考資料 )4 留学生用アンケート用紙 ( ベトナム語 ) ( 参考資料 )5 電話インタビュー調査内容 ( 口頭確認用 )

6 図表目次 図表 1 日本の外国人労働者数の推移 (1993 年 年 )... 2 図表 2 日本の主要国籍別外国人登録者数の推移... 3 図表 3 東アジア地域における労働移動の一般的なイメージ... 8 図表 4 在日ベトナム人の在留資格内訳 (2017 年末 )... 9 図表 5 ベトナム人技能実習生数と留学生数の推移... 9 図表 6 ベトナムの一人当たり GDP と経済成長率の推移 図表 7 ベトナムの人口推移 図表 8 ベトナムの男女別人口ピラミッド (2018 年 ) 図表 9 ベトナムの都市人口比率の推移 図表 年ベトナムの派遣先別海外労働者数 ( 上位 15 か国 ) 図表 11 Lewis Model 図表 12 Harris Todaro Model 図表 13 日本の在留資格別外国人労働者の総数 (2018 年 10 月末 ) 図表 14 重力モデルのイメージ図 図表 15 ベトナムの年平均国内移動人口比較 ( 年と 年 ) 図表 16 ベトナム国内の地域間人口移動の概況 (2011 年 4 月 1 日から 2012 年 4 月 1 日 ) 図表 17 ベトナム地域別全図 図表 18 ベトナムの人口流入先と流入元の上位 5 省 ( 年 ) 図表 19 記述統計量 ( ベトナム国内移動 ) 図表 20 推定結果 ( ベトナム国内移動 ) 図表 21 日本の技能実習生および留学生の条件比較 図表 22 記述統計量 ( 在留資格選択 ) 図表 23 推定結果 ( 在留資格選択 ) 図表 24 電話インタビュー調査の概要 図表 25 記述統計量 ( 帰国技能実習生 ) 図表 26 推定結果 ( 就業選択 ) 図表 27 推定結果 ( 製造業就業 ) 図表 28 推定結果 ( 収入 ) 図表 29 ベトナムにおける労働移動のイメージ... 73

7 序章はじめに 1. 研究の背景生産年齢 (15-64 歳 ) 人口が 1995 年をピークに一貫して減少を続けている日本では 全人口に占める生産年齢人口の割合においても減少の一途を辿っており 労働力人口減少社会となっている この間 日本政府は女性や高齢者の労働力を動員する政策を推進してきた一方で 並行して外国人労働者の受け入れに関する検討が進められてきた そもそも戦後の日本社会では その高度経済成長期においても外国人労働者の数が大きく増加することはなかった 日本政府は 1990 年に施行された改正出入国管理法において 専門的技術的外国人労働者の受入を促進し 非熟練外国人労働者の受け入れはしない との方針を初めて明確に打ち出したが 同時に 3 世までの日系人とその配偶者を実質的に無条件で受け入れるとしたため この時点で初めて本格的な非熟練外国人労働者の流入が始まることとなったのである 加えて 1993 年に創設された外国人技能実習 ( 当初は研修 ) 制度によって 中国をはじめとする東アジア各国から技能実習生が日本の労働市場に参入してくることになった ( 津崎 2017) この制度は 実質的には非熟練外国人労働者の受入制度であったが 開発途上国への技能移転を通じた国際貢献のための制度 との建前 1を掲げて 受入職種や在留期間を拡大しながら 25 年以上経過した現在もなお その受入規模の拡大が継続している また 2008 年には日本政府が 外国人留学生受入 30 万人 という目標を掲げて留学生の受入を強力に推進したことによって 留学生の資格外活動という形のアルバイト労働力が都市部の飲食業や宿泊業などのサービス産業を中心に活用されてきた ( 鈴木 2011) そしてここ数年 これら 技能実習 と 留学 という 2 つの在留資格において ベトナム人の増加が顕著となっている 厚生労働省 (2019) によると 2018 年 10 月末時点の国内のベトナム人労働者数は約 32 万人に達しており 中国人 ( 約 39 万人 ) に次ぐ 2 位の規模となっている また増加率では 前年比 31.9% で国籍別の 1 位とされ 労働力人口減少社会の日本において ベトナム人労働者の重要性が急速に高まっているといえる ところが このような来日する外国人労働者 特にベトナム人労働者に関する実証的な研究は 言語の問題をはじめとして 来日前や帰国後の生活状況まで考慮した場合に必要とされる時間的な制約などから なかなか進展してこなかった そこで本研究では 日本社会の現状や日本の外国人労働者受入政策を踏まえたうえで 来日するベトナム人労働者について 現地調査などを通じてその実態を把握し 得られた結果を通じて日本の外国人労働者受入政策の現状や課題に関する示唆の提示を試みるものである 1 技能実習制度をめぐる建前と実態については 3 章で詳述する 1

8 最初に 日本の外国人労働者受入に関する歴史に触れておく 図表 1 は 1993 年以降の日本の外国人労働者数の推移を示しているが その数は 1990 年代以降 2008 年の世界金融危機前後も一貫して増加を続け 同時期に急速に減少した日本人の高卒就職者を補完または代替する役割を担ってきた ( 井口 2009a) とされる このうち 労働移動の自由が認められた日系人労働者は より良い就労条件を求めて移動した結果 自動車産業の集積地などにおいて集住化して日本人労働者を代替する労働力として機能した反面 労働移動が制限された技能実習生は 日本人労働者が不足する いわゆる 3K 産業や過疎地における第一次産業などにおいて 日本人労働者を補完する労働力として機能してきた 一方 都市部の宿泊業や飲食業などでは 留学生によるアルバイト労働力が活用され 近年の日本における外国人労働者は 日系人労働者に加えて 技能実習生と留学生という 本来は就労を主目的としていない 2 つの在留資格の人材が中心となって発展しているという特徴を持っている 図表 1 日本の外国人労働者数の推移 (1993 年 年 ) 出所 : 厚生労働省 外国人雇用状況報告 (~2006 年 ) 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況 (2008 年 ~) をもと筆者作成 (2007 年のみ調査実施されず ) そして この間に突発的に発生した労働力需要についても これらの政策の条件を時限的に緩和するなどして対応し 例えば 東日本大震災の復興事業や 2020 年の東京オリンピック パラリンピック関連施設建設の労働力需要に際しては 技能実習の修了生が帰国せずに就労を継続できるような在留資格を創設して 労働力不足の問題が顕在化すること 2

9 をなんとか回避してきた ところが 2010 年代後半に入ると 医療や介護の分野など これまでの制度では対応しきれない新たな職種においても深刻な労働力不足の状態に陥り 本格的な非熟練外国人労働者受入の議論が起こることとなった そして 2019 年の改正出入国管理法において 1990 年以来の 非熟練外国人労働者の受入はしない とした方針を撤回して 労働力不足を理由とした 非熟練外国人労働者受入のための新たな在留資格 特定技能 を創設し 東アジア地域の各国と事前に二国間協定を締結したうえで 非熟練外国人労働者の受入に初めて公式に門戸を開くことになった しかし一方で 日本の外国人労働者受入政策においては 開発途上国への技能移転を建前としている技能実習生や 学業が本分である留学生を実質的な労働力として活用していることの矛盾に対して 国内外から批判を受けるという課題を長年抱えてきた また この分野に関する研究においても これらの政策上の矛盾から様々な制約を受けてきたために なかなか深化できないという課題が存在してきた しかし 労働力不足が顕在化している現在の日本社会において 外国人労働者受入の実態に関する研究や議論が重要なテーマであることは明らかであり その重要性は年々高まっているといえる 次に 現在の日本の外国人労働者の状況について概観しておく まず 図表 2 には国籍別の外国人登録者 2 数の推移を示した 図表で示されたとおり 日本に在住する外国人といえば 概ね東アジア地域の人材がその大半を占めてきた 1980 年代以前は 戦前 戦後の歴史的経緯から韓国 朝鮮人がその大半を占めたが その後は中国人が大幅に増加してい 図表 2 日本の主要国籍別外国人登録者数の推移 出所 : 法務省 出入国管理 をもとに筆者作成 2 図表 2 で示されているのは外国人労働者数ではなく 外国人登録者数であることに留意されたい 3

10 く 1990 年代になると 先に述べたとおり 戦前に南米やフィリピンなどに移民として移住していた日系人子孫の就労が解禁されたことにより 日系二世 三世の数が急激に増加した そして 2010 年以降になるとベトナム人が増加しはじめ 特にここ数年はその数が急増している 約 14 億人の人口を抱え 地理的にも日本に近い中国と比較すると ベトナムの人口は 1 億人以下で かつ東南アジアに位置し日本との距離も相応にあることから 決して有利な条件が揃っているとはいえない にもかかわらず 近年急増しているベトナム人労働者の来日の背景には どのような要因があるのかを明らかにすることは相応の意義があるものと考えられる 本研究では 在留外国人の大半が同じ東アジア域内の出身者で占められているという 在日外国人の特徴を理解したうえで 近年特に急増している来日ベトナム人を研究の対象として取り上げ これまで明らかにされなかった増加の背景について分析を試みる 2. 問題の所在前節で述べたとおり 現在の日本において外国人労働者 特にベトナム人労働者は重要な労働力として機能しており その重要性は年々高まっている ところが 外国人労働者に頼るこのような状況は 東アジア地域の他の外国人労働者受入国でも同様であり 外国人労働力の安定的かつ持続的な受入は 今後の各国の重要な経済 社会政策の一つとなっていくと考えられる また 外国人労働力に関する研究においては その送出 受入に関する政策の理解はもとより 実際に労働移動する外国人労働者の意思決定過程を理解しておくことも重要になると考えられる ところが すでに述べたとおり これまでこの分野に関する研究には様々な制約があり なかなか進展しないという課題が存在してきたのである ここで 東アジア地域の経済発展と人の移動に関する概要に目を転じてみる 第二次大戦後の東アジア地域の経済発展は日本が先導役となり 次に NIES 諸国 そして ASEAN ( 東南アジア諸国連合 ) 諸国と それぞれの国が順送りに工業化を進展させてきたことから 雁行型経済発展 ( 小島 2003) などといわれてきた 東アジア地域の経済発展は 単に欧米からの技術や経営資源の移転によって進んだわけではなく 域内で工業化の先発国から後発国に技術や経営資源が移転されることによって 地域全体の工業化の進展をより促進してきたという特徴がみられた その結果 東アジア各国で工業化の進展とともに所得水準も大きく伸長して 東アジア地域に多くの高所得国および中所得国が誕生した また同時に 東アジア域内での分業化や貿易の相互依存も広がりを見せ 特に 2000 年代以降は それまでの ASEAN 自由貿易地域 (AFTA) に加えて ASEAN と日本 韓国 中国の各国との自由貿易協定 (FTA) や経済連携協定 (EPA) の締結が進んでおり 東アジア 4

11 地域の経済発展の実態は 制度的な経済統合の段階へと展開されつつあるといえる ところが これら東アジア地域の工業化や分業化の進展 経済統合に関する先行研究において ヒト モノ カネ の三大経営資源のうち モノやカネに関する議論は深化してきたものの ヒト ( 人 ) に関する議論 特に域内の人の移動に関しては 長年インフォーマルなものも多かったというこの地域の特徴もあって 研究テーマとして取り上げられにくいというネガティブな状況があった しかし 情報技術の進化によって誰もが容易に海外の情報にアクセスできるようになっていること 東アジア地域で格安航空会社 (LCC) の台頭が進んだことにより他国への渡航費用が大幅に低下していること 等の理由から この地域における人の国際的な移動は急速に進行している 特に 国際的かつ労働を目的とした移動 ( 以下 国際労働移動という ) においては 専門的労働者のみならず 非熟練労働者についても急速に拡大しているとされる これまで 東アジア地域の非熟練労働者による国際労働移動というと インフォーマルセクターの労働者のイメージが強かったが 近年はフォーマルセクターにおいても非熟練労働者の移動が世界で最も顕著に増加している地域の一つ (IOM 2017) とされる また 移動の増加に伴って 東アジア各国の外国人労働者受入政策や送出政策は激しく改変されており 今後も暫くはこの傾向が継続するものと推測されている そして この現象は域内の国際労働移動の問題にとどまらず 各国の労働市場に対しても大きな影響を与えており 国内の産業間や地域間の労働移動とも密接に関連していることが考えられる 例えば 国内の労働市場に吸収余力が発生すると 国際労働移動に対する圧力が弱まるという相反関係 ( トランほか 2015) にあることが考えられ 域内の国際労働移動を論ずる際には 送出国 受入国それぞれの労働市場や国内移動も含めた 多角的な視点からの分析を要すると考えられるのである 続いて 東アジア地域各国の労働市場を概観してみる 日本 韓国 台湾の先発 3 ヵ国はすでに高所得国の水準に達しており これらに加えて シンガポールやマレーシアなど一部の ASEAN 諸国においては すでに国内の労働力需給のミスマッチ 特に非熟練労働者や低賃金労働力不足の問題に直面している 先発 3 カ国ではこれまでに 資本集約的産業へのシフトや労働節約的技術の積極的な導入等を通じて 労働力不足の問題に対応を試みてきたものの それでもなお不足する労働力については 東アジア地域の他国から受け入れて対応してきた また 一部の ASEAN 諸国においても同様の対応 3が取られている これらの東アジア地域のフォーマルな国際労働移動の特徴は 送出国と受入国の政府間で事前に締結された覚書や 受入国における特定のプログラムの下で 受入国での就労職種を事前に指定するなどの 二国間協定 による制度構築が中心となっている点である また労働者の送出国は 受入国での社会統合や市民権の付与までは要求しないといった点に 3 例えば タイでは 2000 年代以降不法入国した外国人労働者に労働ビザの支給を進めており 現在では隣国のミャンマーやカンボジアから 100 万人以上の外国人労働者を受け入れている 5

12 ついても 欧米諸国における移民とは異なる東アジア地域の国際労働移動の特徴といえる つまり 欧米の国際労働移動とは異なり 東アジア地域では送出国への帰国を前提とした ローテーション型 ( 旗手 1993) や 循環型 ( 平野 2018) などと呼ばれる移動が主流となっているのである また 依然としてインフォーマルな労働移動も多いとされるうえに 政府機関を通じたフォーマルなチャネルによる労働移動の場合であっても 労働者自身が送出国において手数料の名目で高いコストを負担しているという課題がある点も この地域の国際労働移動の特徴とされてきた 一方で 労働者受入国側の特徴としては 日本をはじめとする受入国の多くで 少子高齢化の進行による若年労働力不足が進んでおり ( 李ほか 2018) 加えて国内労働力の需給ミスマッチの問題から 各国とも外国人労働者の受入職種の拡大や在留期間の延長等の規制緩和的な政策が採られているという点があげられる 現在のところ 労働力不足を要因とした新たな在留資格の創設や在留期間延長の政策は 日本だけでなく東アジア地域の他の高所得国においても同時的に採用されており 特に 2010 年以降は韓国や台湾などを中心に積極的な外国人労働者受入政策へと舵が切られている つまり 将来的には東アジア地域で各国が域内の外国人労働者を争奪する状況へと進展していくことが懸念されるのである そのうえ これまで東アジア地域の主要な労働者送出国であった中国は 急速な経済発展の結果 外国人労働者受入国へと転換していくことが考えられ 東アジア地域の非熟練外国人労働者は大幅な供給不足となっていく可能性も推測される また 現在の主要な労働者送出国であるベトナムやインドネシアにおいても 2040 年代以降には高齢化が進行し ( 小峰ほか 2007) 送出国内の余剰労働力が減少して海外への労働者送出圧力が弱まっていくことが予想されるという懸念も存在する ところが このように多くの課題や懸念の存在にもかかわらず 先述したように 東アジア地域における人の移動 特に非熟練労働者の国際的な移動に関する先行研究は必ずしも活発であったとはいえなかった そもそも 労働者はそれぞれが自身のライフサイクルを持っており モノやカネと違って 自らのライフサイクルに基づいた自らの意思で移動や就労の是非を決定する また 外国人労働者を自国へ入国させるか否かという 受入国の国家としての意思 ( 政策 ) も存在するうえ 二国間協定による労働移動が主体となっている東アジア地域では 労働者を派遣するかどうかという送出国としての意思 ( 政策 ) も存在する そのため 東アジア地域の人の移動を理解する際には 送出国の政策にも配慮することに加え 実際に移動する労働者の意思決定過程を理解しておくことが 将来にわたって安定的かつ持続的に貴重な外国人労働力を確保していくためにも重要であることは明らかであろう そこで本研究では これらの状況を理解したうえで 近年特に急増している来日ベトナム人に焦点を当て 彼らの労働移動や就労に関する意思決定要因を定量的に明らかにすることを通じて 日本の外国人労働者 ひいては東アジア地域の国際労働移動に関する新たな知見の提示を目指すものである 6

13 そして本研究の最終的な目標として 戦後の東アジア地域において技術や資本が先発国から後発国に移転することを通じて地域全体の経済発展を促してきた経緯を踏まえ 東アジア域内を労働移動した労働者が先発国で修得した技能や知識を後発国へと移転させることによって 東アジア地域全体の経済発展に貢献するという 国際労働移動を通じた新たな東アジア地域における経済発展モデルの可能性についても検討したい 3. 研究の目的と意義前節で述べたとおり 本研究は来日ベトナム人の意思決定要因を明らかにすることを通じて 東アジア地域の国際労働移動や就労に関する意思決定モデルの一端を明らかにすることを目指すものである 一般的に 現代文明社会においては自国内での移動の自由が認められており 自国内を移動する労働者は 物理的な距離や経済的または社会的な要因などを踏まえて 労働者の自由意思によって移動している このうち 国内の労働移動では 高い賃金や雇用の機会を求めて農村から都市への労働移動が主流とされてきた 一方で 国際的な労働移動は 自国内の都市への移動で得られる賃金以上の高賃金がその主要な移動動機であるのが一般的とされ 移動距離や経済的 社会的な要因 文化的な背景 移動先での職種や待遇 在留可能期間などを考慮した労働者の意思に加えて 両国の送出 受入政策の影響を大きく受けていることが指摘されてきた そのうえ 東アジア地域における国際労働移動の特徴である有期のローテーション型労働移動の場合 移動は一方通行ではなく 受入国から送出国へと帰国する移動もあり この場合 労働者は帰国後に移動先で就労していた職種と同様の職業に就くのか 帰国後は都市または農村のどちらに住むのか 等の意思決定がなされることになる ( 図表 3 参照 ) そして これらの国内移動と国際移動の 2 つの労働移動と帰国後の生活などは 個別に独立した意思決定ではなく それぞれが密接に影響し合っていることも考えられる しかし これまで東アジア地域を移動する労働者 特に来日する外国人労働者の意思決定や帰国後の状況に関する先行研究は 研究対象者へのアプローチが困難なこともあり なかなか有効な調査が実施されてこなかった しかし 東アジア地域の経済発展において 帰国した労働力の活用は 技術や資本と同様に重要な経済資本の一つであると考えられる つまり 東アジア地域の労働移動を論ずるうえにおいて 移動する労働者の意思決定を理解することは 送出国はもちろんのこと 受入国である日本などにとっても その政策運営上きわめて重要な課題であり この点において本研究には相応の研究意義が認められると思われる これまでの日本や東アジア地域の国際労働移動に関する先行研究と比較した本研究の特徴は 第一に 送出国内の移動 来日 帰国後の 3 段階の移動における労働者の意思決定を包括的に取り上げているという点である 第ニに 主にアンケート調査やヒアリング調査などのミクロデータと マクロデータを用いて 意思決定を実証的に分析している点で 7

14 図表 3 東アジア地域における労働移動の一般的なイメージ 出所 : 筆者作成 ある 第三に これらの意思決定要因の分析結果をもとに 日本の外国人労働者政策の現状と課題について言及する点である 一般的に 労働移動は 社会学 心理学 経営学などの多様な学問分野の研究対象となってきたが 本研究では経済学の枠組みを使い 来日する外国人労働者の意思決定要因を分析することを通じて 労働者の送出国の経済発展に与える影響への示唆と 日本の外国人労働者受入政策の課題を考察しつつ 最終的に東アジア地域における国際労働を通じた人材育成のモデル提示を目指すという特徴を持っている 4. 研究の対象本研究では 来日するベトナム人を主な研究対象とするが ここで 現在の在日ベトナム人の状況について概観しておく 図表 4 では 2017 年末時点の在日ベトナム人の在留資格別の割合を示している ここで 在日ベトナム人全体の 75 % が技能実習と留学の在留資格で滞在していることが明らかであるが この数字は他の主要な在日外国人の出身国 4と比較すると突出して高く 在日ベトナム人の特徴として その多くが技能実習制度や留学生のアルバイトを通じて 日本の労働力不足の業界における労働力として活用されていることが考えられる このような状況の要因として 他の主要国と比べて 永住者や定住者 4 技能実習生と留学生が全在留外国人に占める比率は 例えば中国では全体の 27.6% フィリピンでは 10.7% し かみられない 8

15 家族滞在 日本人の配偶者などの 身分や地位に基づく在留資格の保有者がベトナム人に 少ないことがあげられる 一般に 日本に中長期間滞在する予定の外国人が初めて来日す 図表 4 在日ベトナム人の在留資格内訳 (2017 年末 ) 出所 : 法務省 出入国管理 2018 年版をもとに筆者作成 図表 5 ベトナム人技能実習生数と留学生数の推移 出所 : 法務省 出入国管理 をもとに筆者作成 9

16 る際の いわば入り口となる在留資格が技能実習や留学であり その先に結婚や就職等 各人の個別事情に応じた在留資格への変更が行われる つまり 在日ベトナム人は現在のところ ここ最近に来日したニューカマー 5 が中心であるという特徴を持っていると考えられる また 図表 5 では 2012 年以降のベトナム人技能実習生数と留学生数の推移を示した 図表から明らかなように 双方ともその数はここ数年で急増しており 労働者としての両者が日本社会に与えている影響が増していることは明らかであろう 本研究では 在日ベトナム人の大半を占める技能実習生と留学生を主な分析対象として取り上げ 来日ベトナム人の労働移動に関する意思決定要因の分析を通じて 東アジア地域の国際労働移動に関する新たな知見を明らかにしたい 5. 構成の紹介本論文の構成は以下のとおりである まず 1 章では 研究対象とするベトナムの経済発展と労働移動について説明する 最初に ベトナムの歴史的な背景と人口構成の特徴について言及する 特に ベトナム戦争以降の社会主義政策と人口構成の状況に焦点を当てる 次に 1986 年の政策転換後の経済発展の状況と 経済発展に伴う農村と都市間の人口移動の拡大について紹介し 特に首都ハノイ市と南部の大都市ホーチミン市の経済発展と人口増加について詳述する そして最後に ベトナム人の国際労働移動について ベトナム戦争以降の政策転換前後の状況を中心に 歴史的な要因や背景 その特徴について紹介する 特に 社会主義政策下における旧ソ連や東欧諸国への労働者送出と 政策転換後の東アジア地域への労働者送出への移行について説明する 2 章では 労働移動に関する先行研究について紹介する 労働を目的とした人の移動については 大きく国内移動と国際移動に分けられるが まず国内の移動について 主に農村から都市への労働移動に関する先行研究やモデルについて述べる 次に 国際的な労働移動について言及するが 国際的な労働移動は古くから欧米では非常に重要な研究テーマであったことから 欧米での先行研究やモデルを中心に言及する その後で 東アジア地域における労働移動に関する先行研究を述べ 最後に 日本の外国人労働者受入政策の推移を紹介したうえで 各々の外国人労働者に関連した先行研究を紹介することとする 3 章では 本研究で使用するモデルについて言及する 本研究では ベトナム人の国内移動とベトナム人の国際労働移動 具体的には来日する技能実習生および留学生 そしてベトナムへ帰国後の技能実習生の 3 つの労働移動における意思決定要因を対象として分析する 本章では これら 3 つの移動に関する分析で使用するモデルを これまでの先行 年代以降に来日した中国人や日系人を総称してニューカマーと呼んでいたが ベトナム人は近年のニュー カマーと考えられる 10

17 研究で示されてきた考え方を交えて紹介する 4 章では ベトナム人の国内移動に関する意思決定の分析として ベトナム各省間の人口移動を決定している要因について ベトナム統計総局などが発表しているベトナム全 63 省の省間移動人口データと各省別マクロデータを用いて分析する 主に ベトナム人が国内移動の可否や 移動先を決定する際のプッシュ要因について明らかにすることを試みる 5 章では 近年急増している来日ベトナム人について 来日前の在留資格 技能実習 と 留学 の希望者を対象に なぜそれぞれの在留資格を選択するに至ったかの意思決定要因に関して現地で実施したアンケート調査結果を用いて分析する 主に 両在留資格選択者の属性や家庭環境の違い 来日後の関心事項に焦点を当てる 6 章では 技能実習生として来日して 3 年間の技能実習を修了し ベトナムへ帰国した元技能実習生の 本国での就業選択に関する行動や収入を決定している要因について 帰国後数年程度経過した帰国者を対象とした電話による聞き取り調査の結果を用いて その要因を明らかにすることを試みる 特に 帰国後に就労するかしないかの決定要因や 就労した際の収入の決定要因を 個人の属性や在日中の技能実習環境から分析する 7 章では 4 章から 6 章において分析して得られた結果を総合的に検討し ベトナムにおける国内移動と国際労働移動の関係性や 来日以前と帰国後のベトナム人の意思決定に関する総括的結論と日本の外国人労働者受入政策の課題 そして 2019 年 4 月に新たに創設された新たな在留資格 特定技能 が 来日外国人労働者に与えるインパクトなどについて考察する そして終章では これまでの来日ベトナム人に関する分析を通じて得られた知見をもとに 東アジア地域における国際労働移動全体の課題と将来に向けたインプリケーションの提示を試みるとともに これまでの研究と本研究との違いや 残された研究課題などに言及する 11

18 第 1 章ベトナムの経済発展と労働移動の進展 本章では ベトナムの経済発展や人口増加 それに伴う労働移動の発展について紹介す る 特に ベトナム人の都市への労働移動および国際労働移動が発展していく歴史や背景 を中心に述べる 1. ベトナムの経済発展と人口構成本節では まずベトナムの経済発展に至る近代以降の歴史的な背景に触れておく ベトナム最後の封建王朝であったグェン王朝時代の 1858 年に突如フランス軍が中部の都市ダナン沖合に現れ威嚇したことに始まり 1884 年の甲申条約でベトナム南部 6 省がフランスの支配下におかれたことから フランスによるベトナムの被植民地政策が始まった しかし 実態は当時の首都フエのあった中部や北部も含めて すでにベトナム全土がフランスの支配下におかれていたともされる ( トラン 2010) そのような状況下で フランスに対するベトナム愛国者による抵抗運動が相次ぎ 当時 欧米の列国に対抗できる力を見せ始めていた日本から近代化を学ぼうとする東遊 ( ドンズー ) 運動が 1905 年に始まった この運動はフランスの強い弾圧により失敗に終わるが この時の民主社会の建設や経済発展に関する目標は 1920 年以降の民族解放運動に継承されることとなる 1920 年代に入ると それまでの民族解放に加えて マルクスやレーニンの思想を取り入れた社会的革命が重視され始めた その中で最も影響力を保持したのが 後の国家主席ホー チ ミンであった 彼は 民族解放と共産主義を融合させ 祖国を植民地主義から解放させることと 無産階級を解放させることを同時に目指した 第二次世界大戦が終戦した 1945 年には 8 月革命によって独立を宣言して連合政府を樹立し ベトナムの民族主義の高揚を見せた ところが その後もフランス軍との戦闘は 1954 年に勝利するまで継続した この戦闘において ベトナムは中国から少なからず支援を受け その際に毛沢東思想の影響も同時に受けた ( トラン 2010) とされる そして 戦後のジュネーブ協定によって北緯 17 度線で南北に分断され ホー チ ミンが率いるベトナム労働党が指導する北ベトナム民主共和国と 米国の支援の下に南部の都市サイゴン ( 現在のホーチミン市 ) に政権を置くベトナム共和国が対抗することとなる 北部のベトナム労働党では 民間企業の没収や資産家階級への弾圧を進めた結果 共産主義を恐れた多くの知識人が南部へと移住することとなった つまり 当初は救国運動の手段として共産主義を利用してきた民族解放指導者は 統治の初期こそ民族主義を堅持していたが 1950 年代からは中国の毛沢東主義の影響も受けて 革命精神を強化した結果 階級闘争に傾いていくこととなったといえる 1960 年代に入ると 祖国統一を目的とした北ベトナムと 米国の支援を受けた南ベトナ 12

19 ムの間で内戦が発生し 戦況は熾烈を極めることとなる そして 米国の撤退を受けて 1975 年に戦争が終結し南北統一が実現されると ベトナム労働党は自信を持ち ベトナム共産党と名称を変えて 北ベトナムの首都であったハノイに政権を置いて それまでに進めてきた社会主義システムを全国的に展開していくこととなった その主な特徴は 第一に 共産党が社会 経済 文化を指導する 第ニに 経済活動は中央集権的指示の下で計画的に進める 第三に 生産手段は国営企業や合作社に所有される 第四に 産業構造は海外との分業ではなく自己完結型となる さらに 冷戦下における国防強化の観点から重工業の発展が重視されることとなった ところが これらの政策おいて南北間の民族的な和解は軽視され 南部の旧制度における官僚や将校に対して社会主義 共産主義への忠誠を強制したことによって 1970 年代末には実質的に経済は破綻し 国民の生活は困窮を極めることとなった その結果 南部出身者を中心に多くの政治難民が生まれ その多くが最終的に米国やオーストラリアへと移住することとなる これらの在外ベトナム人 ( 越僑 ) 6 の存在は 後述するベトナム人の国際労働移動の意思決定に少なからず影響を与えていることが考えられる そして 1986 年の第 6 回共産党大会において ドイモイ ( 刷新 ) と呼ばれる市場経済への移行を政策決定したことで ベトナム共産党は大きな路線変更を開始する ドイモイ政策の特徴は 社会主義社会の実現を一時棚上げし 経済の回復や発展を優先した点にある 1990 年代に入ると 多くの東欧諸国の共産党が解体され 旧ソ連を構成してきた国々が独立したことにより 理念の変更を余儀なくされたベトナム共産党は 従来のマルクス レーニン主義に加えて 新たにホー チ ミン思想を定めた それは いわゆるホー チ ミンが唱えた道徳に関する思想ともいえる内容であった これと同時に ベトナム政府は本格的な社会主義型市場経済の導入を推進することとなった その後 1990 年代半ばからは外国資本による投資が始まったことで ベトナムは急速に経済発展していく 外国からの投資とともに かつて難民として海外へ脱出していた在外ベトナム人の帰国も段階的に進み 彼らによる投資もベトナムの経済発展を後押しすることとなった 図表 6 が示すとおり 1997 年のアジア通貨危機の影響により一旦は経済成長スピードが鈍ったものの 2000 年代に入ると ベトナム共産党は 社会経済 10 カ年計画 において 2020 年の 工業国化 7 近代化 を新たな国家目標に掲げて 経済発展のアクセルをより踏み込むこととなり 工業化の進展を推し進めるともに一人当たり GDP も急速に伸長していく 具体的には 2020 年に GDP に占める鉱工業およびサービス業の割合を 85% 以上 農業労働人口を 40% 以下 などの数値目標を設定したことにより 農 6 在外ベトナム人の詳細は 本章 3 節において詳説する 7 工業国化に関する具体的な規定はないが 一般に工業の付加価値生産額が農業のそれを上回る状態のことを指す といわれている 13

20 村から都市 農業から他の産業への労働移動が広がりを見せていくとともに 年平均経済成長率も毎年 6% 以上のスピードを維持して現在に至っている また 2018 年以降は 米国と中国の間で貿易摩擦が発生したことにより 中国にある生産拠点の主要な移転先としてベトナムが注目を集めており 引き続き今後もこの経済成長スピードは維持されていくものと考えられる 図表 6 ベトナムの一人当たり GDP と経済成長率の推移 出所 : 世界銀行ウェブサイトをもとに筆者作成 次に ベトナムの人口構成について紹介する まず 図表 7 はベトナムの 1980 年以降の人口推移を示した 1975 年に終結したベトナム戦争では 軍民合わせて 300 万人以上の人的被害を出した ( 古田 2018) とされており ベトナム全体の人口にも大きな影響を与えた しかし 戦争終結後は一貫して人口が増加しており 1980 年以降だけですでに 78% も人口が増加している 現在のベトナムの人口は約 9,800 万人で ASEAN ではインドネシア フィリピンに次いで 3 番目の規模となっている また 国際移住機関 (IOM) の予測によると 2020 年代前半にベトナムの人口は 14

21 図表 7 ベトナムの人口推移 出所 : ベトナム統計総局ウェブサイト IOM ウェブサイト (2030 年 50 年予想のみ ) をもとに筆者作成 図表 8 ベトナムの男女別人口ピラミッド (2018 年 ) 出所 : ベトナム統計総局ウェブサイトをもとに筆者作成 15

22 1 億人を突破し 2050 年には 1 億 1,500 万人にまで達するとされる 図表 8 では ベトナムの人口ピラミッドを示した この図表では 男女ともに現在 歳の世代が最も人口が多いことがわかる 1990 年代半ば以降 ベトナム政府は人口抑制と貧困解消を目的に緩やかな出生抑制策をとっており 近年になってピラミッド型の人口構成が崩れていたが 2000 年代以降は 1980 年代生まれの世代が出産期に入ったことにより 近年は再びピラミッド型を構築し始めている 2. ベトナムの工業化と農村 都市間労働移動の進展 2000 年代に入り 工業国化を国家目標に掲げたベトナムであるが それ以前は国際的に見れば 生産性の低い農業国 と位置づけられてきた その要因は 1 人当たりの耕地面積が小さく 余剰労働力を多く抱えていることにあった ドイモイ政策以前のベトナムでは 農業生産は合作社や人民公社による集団生産体制が取られ 土地などの生産手段の集団所有や国家による農産物の買い取りがあったため 労働者の生産意欲は向上しなかった 2000 年に民間企業の発展促進を目指した新しい企業法と外資導入法が発効すると 工業 サービス部門を中心に民間企業で就労する労働者が急速に増加していく そして これが 図表 9 ベトナムの都市人口比率の推移 出所 : ベトナム統計総局ウェブサイトをもとに筆者作成 16

23 農村にあった余剰労働力を吸収する動きを見せることとなった 図表 9 には ベトナムの全人口に占める都市人口比率の推移を示した これによると 1990 年以降 一貫して都市人口の比率は上昇を続けており 都市への人口流入が進んでいる しかし 2013 年の世界銀行 IBRD(International Bank for Reconstruction and Development) の調査によると ベトナムの都市人口比率 (32.31 %) は ASEAN 加盟国の中でカンボジアに次いで 2 番目に低く アジアの中でも最も農村人口比率の高い国の一つであったことから 歴史的にみれば ベトナムには都市への人口集中が緩やかという特徴があった 実際に 現在でもハノイ市やホーチミン市の中心部から 1 時間ほど車を走らせれば のどかな田園風景が一面に広がり 農民が手作業で農業を行なっている風景を目にすることができる 現在 すでにハノイ市は約 800 万人 ホーチミン市は約 880 万人の人口を抱える大都市となっているが 伝統的に農業国であったベトナムでは 依然として都市化率が近隣諸国と比較して低く 都市化の進展とともに一人当たり GDP が急速に増加してきたといえる しかしながら ここ 15 年間で 10 % 以上も都市化が進行する状況はいささか急激であり 過剰都市化 (over-urbanization) という状態に陥って 都市インフォーマルセクターや貧困層の増大 スラム化の進展 交通渋滞 河川や大気汚染などの環境汚染を引き起こすことが懸念されている ( 経済産業省 2008) 米国や EU が採用している大気汚染度を示す AQI( 空気質指数 ) の基準による調査では ハノイ ホーチミン両都市の大気汚染度は ASEAN 域内ですでにインドネシアの首都ジャカルタに次ぐ水準にまで進行していることが明らかとなっており 今後も大気汚染の進行が懸念される また 大泉 (2009) では 一般的に都市化率と経済発展は相関関係にあるとされるものの 都市化の急速な進展は 農村における若年労働人口が急激に不足することによって 農村 都市間の所得格差の是正を困難にすることが指摘されている 本研究では これらの先行研究において示された懸念にも配慮したい ところで ベトナムは 1954 年のジュネーブ協定から 1975 年の内戦終結時まで南北に分断されていたわけだが 米国の支援を受けていた南ベトナムの首都であったサイゴン市 ( 現在のホーチミン市 ) は 当時の東南アジアを代表する大都市の一つとして発展していた 南北統一後は北ベトナムの首都であったハノイ市に統一国家の首都が置かれたものの ホーチミン市もそれまでの都市基盤をベースにして発展を続けたため 北部と南部に二大都市が併存するという この規模の国家としては珍しい機能分散が実現している 加えて その国土は南北に細長く 西側は山脈 東側は南シナ海に囲まれているため 開発途上国でよくみられる 単純な首都周辺への人口一極集中というモデルではなく 南北の大都市に分散して人口が移動しているという特異な人口移動モデルが考えられる点が特徴といえる 二大都市を有している国としては 例えばマドリードとバルセロナという二大都市を持つスペインがあるが 両都市間の距離は 600 km 程度と比較的近距離である一方 ベト 17

24 ナムの両都市間の距離は直線でも約 1,100 km 以上離れており この点においても ベト ナムの国内人口移動や国内労働移動を分析することは 他国ではあまりみられないベトナ ム固有の人口移動モデルを明らかにできる可能性が考えられる 3. ベトナム人の国際労働移動の展開 1975 年の南北統一後のベトナムにおける国際労働移動というと 当初は政府による非熟練労働者の海外派遣が中心であった 南北統一後の 1978 年に 旧ソ連主導の経済相互援助会議 (COMECON) に加盟したベトナムは 同じく加盟国のキューバと同様に 貴重な温暖国として農産物の域内輸出が期待された 加えて ベトナムは当時から豊富な若年人口を抱えていたことから 慢性的な労働力不足にあった旧ソ連や東欧の先進社会主義国 ( 東ドイツ ブルガリア チェコスロバキアなど ) との間で締結された労働協力協定に基づき 労働者を送り出す役割を担ってきた つまり この当時から労働力の輸出はベトナムにおける主要産業のひとつとして国内で認識されていたといえる その目的は 表面的にはベトナム人労働者の技能向上とされていたものの 実質的には受入国側の労働力不足とベトナム側の余剰労働力に対する雇用の創出 そしてこれらの国々に対する貿易赤字の存在等があげられる その派遣手法は ベトナム労働省が相手国政府と事前に派遣する労働者の職種 人数 賃金等の条件について交渉を行い その協定に基づいて 派遣労働者の渡航手続きまで一貫して責任を負った ( 小高 2000) とされ この制度において 1980 年から 90 年までの間に約 30 万人のベトナム人労働者が海外へと派遣された この間 1986 年にドイモイ政策への路線変更が公になると 労働者の海外派遣についても 従来の雇用創出や労働者の技能向上に 新たな目的として国家予算のための外貨獲得や労働者の収入増加が加えられ この分野の拡大は長期的に重要な経済戦略と位置づけられることとなった そして派遣の拡大とともに これらの労働協力業務は分権化されていくこととなり 各省庁傘下の経済組織などが直接担当する制度へと転換が進んだ ( 石塚 2012) しかし 1990 年以降のソビエト連邦の崩壊や東欧諸国の体制転換により 最終的にこれらのベトナム人在外労働者は帰国し これらの国への派遣は停止された 1991 年になるとベトナム政府は労働力輸出事業をライセンス制とすることを決定し 労働省の許可を受けた送出機関 ( 当初は主に国営企業 ) が 海外市場の開拓 労働者の採用 派遣前の教育訓練 派遣中の管理等を担当することとなった また 海外へ送り出される労働者自身が 送出機関に対して派遣手数料や保証金を納付することとなり ベトナムの市場経済化の進展とともに 労働者派遣事業は企業が主体となる経済活動へと変化することとなった 同時に 労働者の派遣先は 1980 年代の東欧諸国から台湾や日本 韓国の北東アジアや中東諸国へと変化し これまでの労働省による派遣と比較すると その規模は徐々に拡大していった反面 労働者が支払う手数料などの高額化も同時に進行した 18

25 一方 台湾や日本 韓国などの受入国では ベトナム人労働者が就労先から逃亡して不法就労する事案が徐々に増加するようになり ベトナム側の送出機関は受入国での逃亡防止を目的として 労働者の出国前に高額な保証金を徴収するようになっていく しかし この保証金の高額化は 結果的に労働者が受入国に入国した後の収入に対するプレッシャーをより高めてしまうこととなり 逆により条件の良い職を求めて 不法就労を助長してしまうという悪循環を招いた そこで これらの問題に対処するために受入国側で様々な対応策が採られた 例えば 韓国では 2004 年から送り出し 受け入れともに両国政府が窓口を担う 雇用許可制 を導入し 1980 年代以前にあった政府による派遣に近いシステムへと再転換した また日本では 2010 年に国内法で 技能実習生やその親族から入国前に保証金を徴収することを禁止する などの規定を策定して対処した その一方で ベトナムでは 5 年に一度の共産党大会において 1990 年代以降毎回 労働力輸出に対する言及がなされるようになり この政策がベトナム政府や共産党の重要施策に位置付けられていることが明確となって 海外労働者派遣事業に対するポジティブな戦略が強力に推進された 現在 ベトナムにおける労働力輸出は 工業国化 近代化 という国家目標に貢献し 派遣先国との友好関係の強化に貢献できる人材の育成という 長期的戦略として重要視されており 同時に 派遣先国 ( 市場 ) の多様化と競争力の向上 労働者の権利保護を国家方針として掲げて発展している 図表 10 には 2012 年から 16 年までに各国に派遣されたベトナム人労働者数を示した これによると 近年のベトナム人の派遣先は一貫して台湾が首位となっている また この間 台湾 日本 韓国の上位 3 ヵ国の順位は不動であり この 3 ヵ国がベトナムにおける海外労働者派遣の中心国であるといえる 一方で 同じ ASEAN 域内のマレーシア ラオス カンボジアへの派遣は近年急速にその規模を縮小させており 上位 3 ヵ国への依存度がより上昇しているのが特徴である そもそも同じインドシナ半島に位置する隣国のカンボジアやラオスへの派遣は インフラ開発支援を目的とした公的な労働者派遣が中心であったが 近年は中国の進出によってベトナムの役割は縮小しているという背景があった また もう一つの主要派遣先であった中東では 2010 年から 2012 年にかけて いわゆる アラブの春 と呼ばれる反政府デモを主とした騒乱の影響を受け 派遣先としてのベトナム人労働者の支持を失っており 影響が比較的少なかったサウジアラビアにおいても その派遣規模はあまり成長していない その結果 近年の派遣先の約 80 % 以上が北東アジアの先発 3 ヵ国となっているのがベトナムの海外労働者派遣の特徴といえる つまり ドイモイ政策以前の東西冷戦時代は旧ソ連や東欧諸国が中心であった派遣先が ドイモイ政策以降の 30 年間で北東アジア 3 ヵ国へと変化しており 海外労働派遣の分野においてもドイモイ政策による大きな路線変更がなされたといえる 特に 2016 年には北東アジア 3 ヵ国への労働者派遣が全体の約 86% を占めており その割合は今後もますます上昇して 19

26 図表 年ベトナムの派遣先別海外労働者数 ( 上位 15 か国 ) 派遣先 合計 1 台湾 30,533 46,368 62,124 67,621 68, ,890 2 日本 8,775 9,686 19,766 29,810 39, ,975 3 韓国 9,228 5,446 7,242 6,019 8,482 36,417 4 マレーシア 9,298 7,564 5,139 7,454 2,079 31,534 5 サウジアラビア 2,360 1,703 4,191 4,125 4,033 16,412 6 ラオス 6,195 4, ,256 7 カンボジア 5,215 4, ,515 8 マカオ ( 中国 ) 2,304 2,294 2, ,873 9 UAE 1,731 2, , アルジェリア ,179 3,885 3, リビア 645 1,201 1, , カタール , キプロス 1, , イスラエル , ベラルーシ ,282 15ヵ国合計 78,336 86, , , , ,075 全体に占める割合 (%) 出所 :IOM(2017b)pp いくことが見込まれる 最後に ベトナム人の国際労働移動において忘れてはならないのが ベトナム戦争の終戦時や戦後に難民として海外に脱出した いわゆる在外ベトナム人 ( 越僑 ) の存在である このうち一部の人々は 漁船などの小船に乗って難民として海外へ逃げ出した ボートピープル と呼ばれた 彼らはいわゆる インドシナ難民 として 現在はその多くが米国やカナダ オーストラリア フランス 日本などで定住しており その後に呼び寄せた家族も含めると その数は約 400 万人 ( ベトナム外務省ウェブサイト ) とされる 彼らは ベトナム統一後の南ベトナムにおける体制変更の過程において 経済活動を制限されたり 迫害を受ける恐れがあったりしたことを要因として母国を棄てた政治難民であったため 厳密には国際移動した労働者とは呼べないものの その多くは受入国において非熟練労働者として就労を始めて 現在では経済的に成功を収めている者も少なからずいるとされることから これもベトナム固有の国際労働移動モデルの一つとして配慮しておく必要があ 20

27 ろう また近年では 受入国で生まれ育った難民二世がベトナムへ帰国して 起業者として成功するケースも散見されはじめている そして これらの在外ベトナム人に 海外派遣労働者を加えた国外からの本国送金は 2010 年以降になって急増しており 2018 年には年間 189 億 USD( 約 2 兆 1,000 億円 ) の過去最高額にまで達している 8 この額は 現在のベトナム政府にとって FDI( 海外直接投資 ) ODA( 政府開発援助 ) とともに大きな外貨収入源となっている この在外ベトナム人による本国送金はベトナムに残った親族への経済的援助の役割を担っており これらの在外ベトナム人による送金の増加も ベトナム人の国際労働移動に対するポジティブな印象を拡大させている大きな要因の一つと考えられる 年 1 月 25 日付現地の Tuổi Trẻ 新聞記事による 21

28 第 2 章先行研究と日本の外国人労働者受入政策 本章では 本研究に関連する先行研究や政策を紹介する 具体的には 国内 ( 農村 都 市間 ) 労働移動 東アジア地域の国際労働移動 帰国労働者に関する先行研究 そして最 後に 日本の外国人労働者受入政策の経緯とその先行研究について述べる 1. 国内労働移動に関する先行研究まず 国内労働移動の基本モデルである農村 都市間の労働移動に関する先行研究に言及する この分野の研究は 工業化が進展して経済発展が進むと労働力の地域間移動や産業間移動が促進される とした Lewis(1954) が出発点であったといえよう Lewis は 農村の過剰労働力が工業部門を中心とする近代セクターに吸収されていくとした二部門モデルを提示し 工業部門の拡大によって 最終的に農村の余剰労働力が無くなり 労働力不足となる転換点を迎えると論じた また都市部の工業部門においては 最低生存費賃金水準を上回る賃金を支払えば 農村の余剰労働力がなくなるまで容易に労働力を調達することが可能であり これこそが開発途上国における経済発展の原動力であると指摘した 図表 11 は Lewis が提示した 農村の余剰労働力がいかにして工業部門に吸収されていくかを示したモデル図である この中で 工業部門は最低生存費水準 (s) より高い賃金 (W1) を払うならば 農業部門から労働力を調達できる W1-s は農業から工業への移動コストとされ Lewis によるとその額は農村での最低生存費水準の約 30 % とされる 一方 工業部門の労働需要は 労働の限界生産性曲線 (D) で示され 初期段階には需要曲線 D1 と供給曲線 S の下で OL1 の労働を雇う その後 工業部門の発展により労働需要は右にシフトしていくが E 点までは一定の賃金水準の下で工業部門の労働需要の拡大が続く そして余剰労働力がなくなると もはや賃金を引き上げなければ労働力を農業部門から求めることができなくなる状況 つまり労働不足と賃金上昇への転換点 (E 点 ) の存在を指摘した そして この過程において 経済が労働集約的産業から資本集約的産業へと高度化していくことにより 労働節約が進み 労働不足への対応が取られてくることこそが重要であり 農村から都市へ 農業から工業へと労働移動が進むことで 持続的な経済発展が促されてきたとされる ところが 実際には多くの国でそのような転換が円滑には行われてこなかった そこで Todaro(1969) や Harris and Todaro(1970) は 工業化が進展しても農村の余剰労働力はすべて吸収されず 農村から都市へと移動した非熟練労働力がインフォーマルセクターを形成するなど 労働需給のミスマッチの存在を指摘した いわゆる都市の潜在失業者である すなわち 農村にいる都市への潜在移動者が都市で期待される 期待賃金 を設定することによって 農村で得られる賃金と期待賃金が同水準になるまで 移動は続くと指 22

29 図表 11 Lewis Model 出所 :Lewis(1954) をもとに筆者作成 摘した つまり 農村と都市の間に 都市におけるインフォーマルセクターが存在することを示したのである また同時に 労働移動の意思決定は農村と都市の間の期待賃金格差で決定されるため 農村開発の重要性を指摘した 図表 12 において 左右の縦軸にはそれぞれ農村と都市の限界生産性が 横軸には総労働量が取られている 曲線 A と M はそれぞれ農業と都市の限界生産性で 労働需要曲線を示している 図表において 競争均衡が成立すれば農業と都市の賃金は等しくなり E 点で均衡し 農村の賃金は WA 都市の賃金は WM となる しかし 都市では労働組合などの存在や人材獲得競争などによって 決定された賃金水準より高い賃金 WM 1 が支払われているため 都市の労働投入は OMLM となっている ところが 農村の労働者が都市に移動したときに期待できる賃金は 都市の賃金 WM 1 に就労確率 ( 図表では都市の総労働量 LU に対する OMLM の比 ) を乗じたものと定義されるため 農村から都市に労働者が流入していくにつれて 都市の総労働量は増加していき 期待賃金も低下していくこととなる 農村の労働者は 農村の賃金 WA 1 と期待賃金を比較して都市への移動と意思決定するため 農村から都市への労働移動が増加して 農村の賃金 WA 1 が上昇して都市の期待賃金と等しくなるまで 農村から都市への労働移動が発生する この結果 都市に LMLA の潜在失業が生じ 期待賃金は WM 1 を下回ることとなる ここで曲線 qq は Harris Todaro 曲線と呼ばれ 農村における均衡点は Z 点になると示した また Ishikawa(2000) は 工業化モデルには二種類あると指摘した すなわち Lewis の指摘した都市における工業セクターの発展型に加えて 中国の郷鎮企業のように農村に 23

30 図表 12 Harris Todaro Model 出所 :Harris and Todaro(1970) をもとに筆者作成 おける工業化型である これは 農村においても工業セクターの発展は可能であるとした考え方であった また Rondinelli(1983) では 東アジア地域における農村から都市への移動の特徴として タイやインドネシアを例に 各国の首都へ集中する傾向が強いことを指摘している ほかにも 森田 (1994) は開発途上国における輸出加工区に向けた労働移動では若年の女性労働者が選好されていることを指摘しており その要因として 女性は器用で忍耐強く 結婚や出産等により退職させることが容易であることをあげている 地域間移動に関する先行研究では 重力モデル (Gravity Model) を用いた Greenwood (1997) があげられる ここでは重力という概念を用いて 人口規模や距離との関係で労働力の移動を説明した 国際移動との関係については Amrith(2011) において 国内の地域間労働移動と国際的な労働移動は連動しており 前者が後者の 踏み台 の役割を演じているという フィリピンの例が紹介されている 一方で これまでは農村から都市に移動した非熟練労働者が より有利な条件を期待して海外へと移動するケースが考えられてきたが 現代のようにグローバル化が進展した社会では 農村にいながらにして海外での労働需要の情報に接することが可能となっており 出国手続きを理由に一時的に都市に移動してから出国する 24

31 ケースや まったく都市での就労や滞在を経ないケースの存在も渡部 (2002) などで指摘されている このほか 本研究で取り上げるベトナムの国内労働移動に関する先行研究としては Nguyen-Hoang and McPeak(2010) やグェン (2013a) があげられる 前者では 主に農村と都市間の経済格差や公共サービスの格差を中心とした分析がなされ 後者はハノイ市とホーチミン市の二大都市への流入者の決定要因を分析しているが いずれもベトナム国内全体の人口移動モデルや意思決定要因を把握するまでには至っていなかった 2. 東アジア地域の国際労働移動に関する先行研究本節では 東アジア地域の国際労働移動に関する先行研究について触れておく これまで 東アジア地域の発展や経済統合に関する先行研究は 主に財の貿易や資本 技術 経営資源の要素のみを対象とするものがほとんどであった ( トランほか 2015) 経済活動の重要要素の一つである労働に関しては 各国の国内問題として分析されており 国家間の移動についてはあまり取り上げられてこなかったのである 戦後 東アジア地域で本格的な国際労働移動が始まったのは 1970 年代に入って フィリピン タイ インドネシアの男性労働者が 中近東の建設業に出稼ぎしたことからとされる 1980 年代に入ると 東アジア地域での国際労働移動は盛んとなり 主にフィリピン インドネシア ミャンマーなどから 女性労働者がシンガポール マレーシア 台湾などに家事労働者として移動するケースが多くみられた また この頃からフィリピンなどから看護師などの専門的労働者も シンガポールやマレーシアに求職に向かったとされる このうち 東アジア地域最大の労働者送出国であるフィリピンに関する先行研究は最も進んでいるといえよう 例えば 国内の雇用率と国際的な移住労働者数に正の有意性を論じた Carlos(2002) や 家計調査を通じて 海外への労働移動が貧困脱出確率を上昇させると指摘した Ang, Sugiyarto and Jha(2009) など マクロ ミクロそれぞれの視点からの研究が進んできた そして 在外フィリピン人労働者による送金が GDP の約 10 % を占めているという事情から 労働者送金に関する研究も進んできた 例えば Ang(2007) では 1988 年から 2004 年までのデータを用いて 実質 GDP と労働者送金の変化の間に正の相関関係を明らかにしている これは 送金と経済の間の負の関係を指摘していた Burgess and Hakshar(2005) の結論と違う結果を導き出している また 1997 年から 98 年にかけて アジア通貨危機の影響を評価した Yang(2008) では 金融危機の際に在外労働者送金が増加しており 国家有事の場合には労働者送金が支援する役割を担っていると捉えられた この背景には フィリピン人の労働移動が東アジア地域にとどまらず 欧米へも数多く送り出していること フィリピンが海外への労働者派遣を国策として長年積極的に推進してきたことが要因として考えられる ほかにも Bayangos and Jansen 25

32 (2011) は フィリピン人の労働移動とその送金が 国内の労働供給を減少させることを実証した ここでは 国際労働移動によって直接的に国内労働者数の減少させることに加えて 在外労働者送金の存在が国内労働者の労働意欲を減退させている可能性が指摘されている 一方 もう一つの東南アジアの主要な労働者送出国であるインドネシアに関する研究では 派遣先であるマレーシアや中東における建設労働者や家事労働者に対する人権侵害行為や失踪問題等 ミクロの視点での研究が中心に進んできた点が特徴である この背景には インドネシア人の国際労働移動はフィリピンと異なり 中東や隣国のシンガポールやマレーシアで 危険な建設現場やプランテーション 家事や介護労働などの 劣悪環境かつ低賃金労働にも積極的に労働者を派遣してきたという要因が考えられる 具体的な先行研究としては 1997 年のアジア通貨危機と翌年のスハルト政権崩壊時に マレーシアへの労働移動が激増した問題を取り上げた Hugo(2000) や 家事労働や農林水産業の労働移動における諸問題を指摘した奥島 (2014) などがあげられる ベトナムの国際的な労働移動に関する先行研究についてもインドネシアと同様で 主に受入国における労働者の所在不明 いわゆる失踪者の割合が 他国出身者に比べて相対的に高いことが長年ベトナム人の国際労働移動研究の関心を集めてきた ベトナム人労働者の失踪が多発する要因として Belanger et al.(2010) は ベトナムの 3 つの省で標本調査を行い 労働者が派遣される前の費用が受入国での平均月収の 15 倍程度と非常に高額であることを指摘している また 公的には排除されたとされるベトナムから韓国への労働者送出制度に介在する仲介業者についても チェ (2010) は 出国のためには従来と同様に多額の手数料が依然として必要であると述べており ベトナム人の国際労働移動に関する研究は その高額な手数料問題にも焦点が当たっている また 鄭 (2018) においても 台湾で失踪した不法就労ベトナム人を研究対象として取り上げており いずれの研究でも ベトナム人による国際労働移動の負の側面が研究対象とされる傾向にある また 東アジア地域の大国である中国人の労働移動に関する研究では 国際労働移動より国内の労働移動により多くの関心を集めてきた 膨大な農村人口を抱え 地域間格差が非常に大きい中国では 国際労働移動の規模は国内の労働移動に比べて小さく 将来の問題であると考えられているようである したがって 中国の国内移動に関する研究は 巌 (2004) や金 (2011) のように 農民工の実態を把握することを中心に 前節で述べた Lewis Model や Harris Todaro Model の中国での適用について論じられてきた 中国では 国民を 農村戸籍 と 都市戸籍 に二分する戸籍制度のもとで 農村戸籍の農民工が農村と都市の間を行き来している その移動の意思決定は 単に経済要因によるものだけでなく 中国政府の政策や都市での差別的待遇の影響を大きく受けていると指摘され 王 (2009) では 農村出身者が都市において 税制や社会保険 子弟の就学等で差別的待遇を受けて 26

33 いる実態を明らかにしている 本研究では 国際労働移動を主な研究対象とするため 国 内の労働移動が中心となってきた中国に関する先行研究についてはこの辺りに留めておき たい 3. 移住労働者の帰国後や技能移転に関する先行研究本節では 国際的な移動の後に本国へ帰還する人材に関する先行研究を見ていく 労働を目的とした移住労働者の本国への帰還に関して実証分析した海外の先行研究というと 帰国決定に至った要因を分析した研究が中心であり 受入国側から分析した研究では 米国の Borjas and Bratsberg (1996) やドイツの Kirdar(2009) 送出国側からの分析としては フィリピンを分析した Yang (2006) や太平洋諸国を分析した Gibson and McKenzie (2011) などがあげられる これらの研究では 外国人労働者による帰国に関する意思決定要因は 出身国や移住先の状況によって異なり 為替相場 家族事情 生活習慣などの要因が指摘されてきた ただ これらの研究対象は 東アジア地域の国際労働移動の特徴である 事前に予め期間が定められている ローテーション型 移動ではなく 移住労働者が自発的に帰国した要因に関する研究であるうえに 移住労働者の帰国後の状況にまでは進展してこなかった このほか ベトナム人の移住労働者 特に来日する人材や日本語学習者の意識や行動を分析した研究としては 丹野 原田 ( ) や椿 (2018) がある また 本国に帰国した労働者による 国際的な技能移転の可能性を論じた研究としては トヨタ社内での技能移転を取り上げた藤原 (2003) や公文 (2016) メキシコへ帰還した移民の技能移転を扱った Hagan and Wassink(2016) や 帰国者による技能移転の重要性を示した Plaza (2015) がみられる そして 日本の帰国技能実習生を調査した研究としては タイ ラオス ベトナムの帰国技能実習生や関係各機関へのインタビュー調査を実施した Piyadasa and Saliya(2018) や インドネシア人帰国技能実習生に対するインタビュー調査を分析した木元 東 藤倉 (2018) があげられる 前者では 日本人の勤勉さや品質意識等を修得したという点で 技能実習生の人的資本の発展への技能実習制度の貢献がみられるものの 技能の直接的な移転の実現は限定的であると指摘している また後者においても 故郷に戻ったインドネシア人帰国技能実習生には技能移転を実現する機会がなく 後輩の技能実習生を育成する日本語教師となっているという事例が紹介されており どちらの先行研究においても 帰国技能実習生による技能移転に関する限界が指摘されてきた 本研究では これらの先行研究にも配慮して分析を試みたい 4. 日本の外国人労働者受入政策の推移 本節では 1 章で述べた東アジアの状況を念頭において まず 日本の外国人労働者受 27

34 入政策が現在の状況に至った経緯について紹介したい 日本における外国人労働者は 戦前 戦中期に朝鮮半島から移住し 戦後も内地 ( 国内 ) に残った 在日コリアン を指すことが 戦後の長期にわたって一般的であり 1980 年の外国人登録者数における 韓国 朝鮮 籍の割合が全体の 80 % を超えていた ( 図表 2 参照 ) 彼らは戦後の経済発展の過程において低賃金労働者として広く活用された反面 国籍を理由とした差別や迫害等も多く存在してきた ただ 当時の日本国内への移動は 内地への移入 であるから通常の外国人労働者の受入とは異なる ( 外村 2006) のように 在日コリアンは純粋に国外から流入してきた労働者ではないとする議論もあり その点では 日本は 1980 年代まで外国人労働者とは無縁の社会であったといえる その後 高度経済成長時も外国人労働者が流入することのなかった日本では 1955 年から 1980 年までの 25 年間に外国人登録者数は 22 % しか増加しなかったが 1985 年のプラザ合意後における急激な円高の進行とその後のバブル経済 そして 1990 年代初頭の東西冷戦の終結によって 外国人労働者の流入に大きな変化がみられはじめる 当初は 当時の査証相互免除措置国であった中東や南アジア国籍の旅券保持者が 観光等の名目で来日し その後国内に不法に残留して就労する不法就労者が出現し バブル経済に沸く産業界 とりわけ建設業や製造業などの労働力不足に対する調整弁として機能した しかし そもそも違法労働者であったためにすぐに地下活動化してしまい 結果として日本社会における外国人労働者に対するネガティブなイメージを増長させる結果となった 日本で初めて外国人労働者受入に言及されたのは バブル期終盤の 1989 年に成立 その翌年に施行された出入国管理法においてであった 日本政府はこの法律改正において主に以下の 3 つの方針を打ち出した 1 専門的技術的労働者の受入を促進すべく職種の拡大を図る 2 いわゆる非熟練労働者については受け入れないという方針を堅持する 3 3 世までの日系人およびその配偶者は定住者として 3 年間の居住を認め その活動に制限を設けない 日系人は 当時全世界に 300 万人近くおり その大半がブラジルをはじめとする南米や米国 フィリピンに居住していた 戦前に移住した移民の二世や三世には日本国籍を持たない者が多く その彼らを学歴や保有スキル等にかかわらず 無条件かつ無制限に受け入れるとしたこの法律は 非熟練労働者を受け入れないとした方針の裏側で 実質的に非熟練外国人労働者の受入を解禁する大きな転換点となった そしてもう一つの転換点が 1993 年に創設された 外国人技能実習制度 である この制度は 開発途上国等における経済発展 産業振興の担い手となる人材を育成するためにわが国の進んだ技能 技術 知識を修得させる ことを目的に創設された制度で 主に東アジア地域の後発国からの受入を想定していた 当初は 1 年間の研修期間を終えた後に 28

35 1 年間の技能実習と称した就労活動を加えた計 2 年間を 1997 年には技能実習期間を 2 年間に延長して最長 3 年間となった そして 2010 年の制度改正において これまで就労活動として認められていなかった 1 年目の研修期間が廃止され 3 年間を通じて就労活動を意味する技能実習期間に改定されたことによって 実質的に 3 年限定の非熟練労働者受入の制度となり 2017 年には条件付きで 5 年間まで期間延長が可能となるなど 段階的に規制が緩和されてきた これに加え 近年の新たな動きとして東アジア各国との EPA に基づく労働者受入がある 日本は世界のグローバル化の波に乗り遅れまいと 2002 年に発効したシンガポールとの協定を皮切りに 既に 18 ヶ国 ( または地域 ) と EPA や自由貿易協定 (FTA) の締結を終えているが 日本の農産品市場の開放を留保する見返りとして 労働市場を一部開放する動きがあり インドネシア フィリピン ベトナムの EPA に基づいて両国から看護師や介護福祉士の分野における人材の受入を開始した この制度は すでに本国で国家資格を有する候補者に対して 日本の医療施設などで 3 年間 ( 介護福祉士は 4 年間 ) の研修をしながら 期間内に日本の国家資格を取得し 資格取得後は専門的労働者として無期限の就労を認めるというものであり 2008 年に受入が開始された 9 その一方で 2008 年には 留学生 30 万人計画 を策定し 将来の高度人材の供給源となる留学生の積極的な受入にも乗り出した 一見すると 留学生は外国人労働者と無関係と考えられるが 資格外活動許可を取得することにより 週 28 時間までのアルバイトが認められ 留学生によるアルバイト労働力は 技能実習生や EPA 人材では認められていないサービス産業 特に都市部の飲食業や宿泊業 物販業での労働力不足を補完する労働力として活用されてきた 以上のとおり 日本における外国人労働者 特に非熟練労働者の歴史は 1 在日コリアン 2 日系人 3 技能実習生 4EPA 人材 の 4 つの段階を歩み これに加えて サービス産業における 留学生の活用という流れがあった また 外国人労働者受入を巡る議論に関しては 年代後半のバブル期における労働力不足を背景とした受入議論 年代以降急速に進んだ少子高齢化の中で懸念される将来の労働力不足に対応した受入議論 3アジア諸国との EPA 交渉と背景とした受入議論 の 3 つのステップを経て進展してきた ところが 2010 年代に入ると 東日本大震災からの復興事業や 2020 年の東京オリンピック パラリンピック関連施設の建設需要に伴い 労働力不足がいっそう深刻化してくる 当初はこれまでの技能実習制度の拡充などで凌いでいたものの 中小事業者を中心とした慢性的な労働力不足は業界を問わず悪化する一方となり 2018 年 12 月に日本政府は つ 9 EPA による看護師 介護福祉士候補者の受入れは年間約 700 名 (2017 年 ) と少数なため 本研究の対象とはし ない 29

36 いに 生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において 一定の専門性 技能を有し 即戦力となる外国人を受けいれていく ことを閣議決定し 新たな在留資格 特定技能 を創設して 労働力不足を要因とした非熟練外国人労働者受入へと大きく政策転換することを余儀なくされた これまでの日本における東アジア地域の外国人労働者受入政策は 技能実習制度のように送出国への技能移転を建前としており その人材開発協力的な建前を重視してきたという事情があった また 留学生の資格外活動についても 日本で学ぶ留学生に対する人材育成という側面があった しかし そういった建前で受け入れているにもかかわらず 実態的には彼らを低賃金労働力として活用しているという点について 国内外から厳しい批判 10に晒されてきたという課題も存在した 図表 13 には現在の在留資格別外国人労働者数を示した この図表が示すとおり 現在の日本の外国人労働者は 単純労働者は受け入れないとする方針を長年堅持してきたにもかかわらず その約半数が技能実習生や 留学生のアルバイトがその大半を占める資格外活動による非熟練労働者である このうち技能実習生は 3 年間 (2017 年の制度改正により最長 5 年間 ) の有期労働者であり いわゆる ローテーション型 の労働力である そして 技能実習生は 在日中の労働移動が原則認められないという移動制限付きの労働力 図表 13 日本の在留資格別外国人労働者の総数 (2018 年 10 月末 ) 出所 : 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況 をもとに筆者作成 10 例えば 米国の 人身取引報告書 では 2017 年まで毎年 日本の技能実習制度は転職などが制限されるた め 人身取引に該当すると指摘している 30

37 でもある また 留学生も日本での在学中のみに限定された労働力であり 卒業後に日本での就労先が見つからない学生は帰国しなければならないという こちらも期間に制限が付いた労働力であるといえる つまり 現在の日本の外国人労働力とは 期間や職場に関して一定の制限の下で就労している労働者が過半を占めており その制限の存在も外国人労働者の意思決定に大きな影響を与えていることが推測されるのである 一方で 2008 年に受入を開始した EPA 人材に関しては 2017 年までの 10 年間で受け入れた実績が看護師候補者約 1,200 名 介護福祉士候補者は約 3,500 名で このうち実際に国家試験に合格したのは 看護師 344 名 介護福祉士が 719 名と 当初期待されたほどのインパクトを与えることができていないのが現状である 言うまでもなく 日本における外国人労働者問題は 我々の日常生活にも関連した大変重要な研究対象である また この問題は日本のみならず 同じく労働力不足に直面している他の東アジア地域の高所得国にとっても重要な研究対象といえるだろう しかし これまでに数多くの東アジア地域の労働者を実質的に受け入れてきた日本において 外国人労働者がどのような要因で意思決定し 本国への帰国後の状況はどうなっているのか その実態を調査した研究は限定的であった 国内の深刻な労働力不足を受けて 大きな転換点を迎えている日本の外国人労働者受入政策が 持続的かつ労働者送出国の経済発展にも資するものとしていくためには 国際移動する労働者の意思決定過程を理解したうえで 東アジア地域全体の経済発展に貢献する制度へと進化させていくことが求められていると考えられる 5. 日本の外国人労働者に関する先行研究 本節では 日本の外国人労働者に関する先行研究を 前節で示した 4 つの段階に 留学 生を加えたそれぞれの在留資格ごとに取り上げる 1) 在日コリアン労働者としての在日コリアンに関する先行研究は その歴史的な経緯から純粋な外国人労働者とはいえないとする研究もみられ 学術論文の対象としての関心 特に経済学的関心はあまり集めてこなかった 近年になって 日本の外国人労働者が増加するにしたがって外国人との 多文化共生 や 多様性 がたびたび議論されはじめると 在日コリアンとの関係を論じる研究がみられるようになっている 例えば 土屋 (2009) は 朝鮮人学校を手掛かりとして在日コリアンのアイデンティティと日本の法制度の関係について論じ 近藤 (2016) では 日本人と在日コリアンとの顕在的結合が地域モデルの構築を示すものだと指摘するなどしている ただし いずれも労働者としてではなく あくまで在日外国人として 共生をテーマとした研究の対象であった 31

38 2) 日系人日系人労働者に関する研究は すでに述べたとおり 集住化 という視点からアプローチするものが多くみられる 集住化により 地域の労働市場に与える影響を測る分析や 定住日系人労働者やその家族への日本語教育や行政サービスの問題 また保健医療の問題など ここでも地域経済や地域社会との共存や共生をテーマとする研究が進んできた 経済学的アプローチしたものとしては 日系人労働者に集住化する傾向があることを指摘した丹野 (2000) や是川 (2009) 自動車産業が強く日系人を引きつけていることを示した志甫 (2004) や若年者比率と日系ブラジル人比率の負の相関を実証した志甫 (2005) などがあげられる また 日系人労働者とその家族に対する日本語教育の課題を論じた米勢 (2006) 日系人の保健医療問題を取り上げた中村 ( 2008) などがみられた しかし 2008 年の金融危機以降 在日日系人労働者は減少しているためか 2010 年代以降は日系人労働者に対する関心が失われつつある 近年になると そのような減少の状況を指摘した志甫 大木 (2018) がみられはじめている 3) 技能実習生技能実習生に関する先行研究は 制度の本質が出稼ぎ労働であると指摘するような制度論や 制度運用の課題に焦点を当てた研究が大半であった たとえば グェン (2013b) をはじめとして 制度の課題や技能実習生の人権保護に関する研究は数多くみられてきた 一方 制度成立の背景や現行制度に至った経緯については 上林 (2015) や上林 (2018) において詳しく紹介されている また 井口 (2009a) では 技能実習生労働力が日本人労働市場を補完または代替する機能を有していることを マクロデータを用いて実証した このほか 本研究が対象とする帰国後の元技能実習生を対象とした調査や研究では 厚生労働省 公益財団法人国際研修協力機構や独立行政法人労働政策研究 研修機構などによって 毎年 帰国技能実習生調査 が実施されてきたほか タイ ラオス ベトナムの帰国技能実習生や関係各機関へのインタビュー調査を実施した Ratnayake and Silva(2018) や インドネシア人帰国技能実習生に対するインタビュー調査の木元 東 藤倉 (2018) など 最近になって研究対象としての関心を集めはじめている 4)EPA 人材 2008 年に受入を開始した看護 介護分野の EPA 人材に関する研究は 当初期待されていたほどに受入規模が拡大せず 日本の労働市場にインパクトを与える規模になっていないため 保健医療研究者のみの関心を集める段階で留まっているのが現状である そして その大半が現在の政策や職場環境の問題点を指摘するものや EPA 人材においても人材確保が困難になりつつある現状を指摘する内容となっている 井上 (2011) は 日本と英国 32

39 の外国人看護師に対する規制内容の比較を試み 池田 (2018) は在日中のベトナム人 EPA 人材に対するアンケート調査を実施している ほかにも 下野 (2016) や平野 (2018) では EPA による受入の問題点を指摘しているが いずれにおいてもこの分野の研究は緒に就いたばかりで 今後の発展が期待される 5) 留学生留学生に関する研究では 井口 曙 (2003) や Kawai(2005) のように 送出国および受入国双方のマクロ経済が留学先の選択に与える影響を論じたものが多く 河合 (2011) のように来日している中国人留学生の思考に関する研究があった しかし 近年急増しているベトナム人留学生にフォーカスした研究はまだみられていない 一方で 在日留学生による労働力を研究対象とした研究は 近年拡がりをみせはじめている 例えば 鈴木 (2011) では 留学生に認められている資格外活動 ( アルバイト ) の存在が 日本留学への誘因要因になっていると指摘されている また 志甫 (2015) や志甫 (2016) では ベトナム人のような非漢字圏の留学生が 2 年間の日本語学習だけで大学に進学することは困難であると論じ 学業修得の限界からアルバイト労働が主体の生活になってしまう懸念が指摘されている また Liu(2016) は 在日留学生が卒業後に日本に残るのか 本国へ帰国するのかの意思決定要因を分析しているが 主な研究対象は中国人留学生に限定されてきた 33

40 第 3 章本研究の分析方法 1. ベトナム国内の労働移動本分析では ベトナム国内の人口移動を決定している要因を明らかにすることを目指す 一般的に 人口の地域間移動を分析するモデルとしては いわゆる重力モデルが多く用いられてきた 19 世紀後半に Ravenstein(1885) はニュートンの引力法則を人口移動に適用して 任意の 2 都市間の人口移動の規模は両都市の人口規模と両都市間の距離によって決定されると指摘した 図表 14 重力モデルのイメージ図 出所 :Ravenstein(1885) をもとに筆者作成 図表 14 において 円の大きさは X Y Z 各都市の人口規模 矢印の長さは各都市間の距離 矢印の太さは人口移動量を示している ここでは X-Y 都市間の人口移動が最大となり Y-Z 都市間の人口移動が最小となる このモデルが示す数式は以下のとおりである Mij = f[(pi Pj)/Dij] ここで i と j はそれぞれ流出元と流入先を示し Mij は地点 i から地点 j への移動者数 Pi と Pj はそれぞれ地点 i と地点 j の人口 Dij は移動費用の代理変数である両地点間の距離を表しており 人口移動する人数は 流出元 流入先それぞれの人口と 両者間の距離によって規定されると考えられてきた 本分析では Greenwood(1997) および Bodvarsson and Van den Berg(2013) で示さ 34

41 れた以下の重力モデルの拡張モデルを用いて分析する ln( M ij ) = ln + ln( D ) + ln( P ) + ln( P ) m n= 1 ij ln( X in 2 in ) + i m n 1 ln( X jn 3 j jn 4 ) + ij ln( Y ) + ln( Y ) i 5 j このモデルで Yi と Yj がそれぞれ地点 i と地点 j の経済規模の代理変数である一人当たり実質所得を表している Xi と Xj はそれぞれ地点 i と地点 j の社会経済変数ベクトルを示し ε ij は誤差項を表している このモデルでは 距離が人口移動のネガティブ要因となる一方で 流出元と流入先の人口規模および経済 ( 所得 ) 規模が大きいほど移動が促進され (Greenwood 1997) β1<0 β 2>0 β 3>0 β 4>0 β 5>0 となる なお 本モデルではすべての変数についてその対数をとっている これは 分析において 弾力性が一定である という前提のモデルを仮定していることによる ここでは 社会経済変数ベクトルにベトナムの省レベルのデータを投入して ベトナムの国内人口移動のパターンと意思決定要因をマクロデータから明らかにすることを目指す 本分析では ベトナム統計総局 (GSO:General Statistics Office) が刊行している 2012 年 4 月 1 日時点の人口動態と家族計画調査 (The 1/4/2012 Time-Point Population Change And Family Planning Survey) における 年国内居住地変更人口 のデータを被説明変数として用いる このデータは 2011 年 4 月 1 日から 2012 年 4 月 1 日までの 1 年間にベトナム全 63 省間で居住地登録を変更した移動者数のクロスセクションデータであり 63 62=3,906 のデータで構成されている ところが このうち 2,334 のデータにおいて移動者数が 0 とされるため 移動者数 0 を打ち切り (censored) データとみなしたトービットモデル (Tobit Model) を用いて分析を行う また すべての変数について対数をとるが 移動者数 0 のデータは対数がとれないため あえて全てのデータに 1 を加えて対数をとる手法を採用する 11 こととする 本分析で用いる説明変数には ベトナム統計総局が刊行している 2013 年統計年鑑 (Statistical Yearbook of Vietnam 2013) 2012 年家庭生活水準調査 (Data Results of the Vietnam Household Living Standard Survey 2012) 2012 年事業所センサス (Results Of The 2012 Establishment Census) 2012 年労働雇用調査報告 (Báo Cáo Điề u Tra Lao Đo ng Viề c La m Na m 2012) 2012 年 9 月 30 日時点省別学生数調査 (So Ho c Sinh Pho Tho ng Ta i Thờ i Điề m 30/09 Pha n Thềo Đi a Phường) のデータから 被説明変数と同時期である 11 あえて実数で分析する方法も考えられたが 等分散性の観点から不適当と判断した 35

42 2012 年の人口構成 経済 企業 雇用 海外直接投資 (FDI) 生活環境 教育 工業 農業に関連した省別データを集めた 12 なお 少数民族比率のみ 2009 年の国勢調査時のデータしか入手できなかったため 2009 年人口 住居センサス (Pha n Tí ch Ca c Chí Tiề u Chí nh Tư To ng Điề u Tra Da n So Va Nha ờ Viề t Nam Na m 2009) のものを利用している 13 説明変数の選択にあたっては 1 章で述べたベトナムの歴史的な背景を考慮し 人口移動に影響を与える可能性があると類推される変数を採用している また実際の人口移動とのタイムラグやバイアスを最小化するため 短期的な特殊要因の影響を受けにくいデータを中心とし 14 各変数間の多重共線性にも配慮した このほかにダミー変数として 隣接する省間を移動するデータに 隣接地ダミー 首都ハノイ市を中心とする紅河デルタ地域とホーチミン市を中心する東南部地域間を行き来するデータに それぞれ 北部 南部ダミー と 南部 北部ダミー 北中部沿岸および中部高原地域から紅河デルタ 東南部に移動するデータに それぞれ 中部 北部ダミー 中部 南部ダミー を設定した これは 近距離の省間移動の動向や二大都市地域間相互の移動状況 二大都市に挟まれた南北に細長い中部地域からの移動者がハノイ市とホーチミン市のどちらを選択する傾向にあるのかを把握することを目的としている 2. 来日ベトナム人の在留資格選択本分析では 序章や 2 章において指摘した日本の外国人労働者受入政策を踏まえて 来日する予定のベトナム人若年者のうち 技能実習生と留学生を希望する人材の意思決定要因を明らかにするものである 開発途上国等の青壮年労働者への技能等の移転を図り その国の経済発展を担う人材育成を目的とする とされる外国人技能実習制度における技能実習数は近年急激に増加しており 2018 年末時点で 28 万人を超えているとされる 一方 2008 年に 留学生 30 万人計画 を策定し 大学等と連携して社会のグローバル化を目指している日本へと来日する留学生の在留者数は 2018 年 5 月の時点で 29.9 万人となり 当初に掲げた 2020 年を目途に 30 万人 の目標をほぼ達成した状況にある 技能実習生は 技能実習という名の実質的な就労活動を通じて日本の技能を修得するものとされるが グェン (2013b) で指摘されるように そのほとんどが本国より高い賃金を志向した出稼ぎ労働者として考えるべきであろう また志甫 (2015) は 留学生が技能実習生では就労できないサービス産業における貴重な労働力として機能している側面を指摘しており 学業が本分とはいえ 留学生もパートタイム労働者としての一面を有しているといえる つ 12 基本的にすべての説明変数で 2012 年中の暦年データや平均データを採用しているが 一部データにおいて被説明変数と若干のタイムラグが生じているものがあることには注意を要する 13 3 年のタイムラグがあるが データの性質上 この間に大きな変化はないものと考えられる 14 実際のマクロデータと人口移動との間には相応のタイムラグが生じると考えられるが 各データのタイムラグは一様ではないため 本分析ではタイムラグの問題は考慮せず 原則として同期間のデータを使用している 36

43 まり両者は 建前では技能や学問を修得するのがその目的とされているが 現実的には日本社会を支えている労働者としての性格を持ち合わせているという類似点がある また 両者は所属機関の存在が在留資格の基礎となっている 15 中長期間滞在する外国人の半数近くを占めており どちらもその大半がアジア国籍であり 中でも近年ベトナム人の比率が急速に伸長している点でも類似している 序章で示したように 在日外国人に占めるベトナム人のシェアは ここ数年で急速に増加しており 国内の労働市場におけるベトナム人の重要性は高まっているといえよう ところで 急増しているベトナム人技能実習生と留学生であるが 元来 技能実習生は技能実習という名の就労活動 留学生は学業というまったく異なる目的で来日しているため 両者を目指す人材は異なる特質を持っているであろうと推察できる しかしながら ベトナム南西部メコンデルタ地域にある A 省省都の公立職業紹介センター 16 では 日本の技能実習生プログラムを紹介する 労働力輸出情報 という同じ看板上で 日本で学びながら働く という名目の日本留学プログラムが紹介されており 実際に同看板の前で技能実習と留学のどちらを選択するか思案するベトナム人学生が存在していた また ベトナムの技能実習生送出機関の多くは 日本向けの留学斡旋事業も手掛けていることも確認されている これらの点から ベトナムで両者を志している人材は同じ もしくは類似した背景を持つのではないのかとの仮説が得られた A 省職業紹介センター 労働力輸出情報 看板 注 )2016 年 4 月筆者撮影 ( 職業紹介センターにおいて日本留学が斡旋されている ) 15 所属機関の存在によらない在留資格としては 永住者 や 定住者 日本人の配偶者等 の身分 地位にもとづく在留資格がある 16 筆者は 2016 年 4 月に実際に A 省の職業紹介センターを訪問している 37

44 これまで 人の国際移動に関する研究は労働者を中心に進められてきたが 日本では非熟練労働者の受入を長年認めておらず いわゆる専門的労働者のみに限定されてきたことから 日本に流入する外国人材に関する研究はあまり進展してこなかった しかし IOM (2008) や King and Raghuram(2012) では 学生による国際移動がその他の目的の移動に対して数倍のペースで伸長している点を指摘しており 日本においても技能実習生や留学生といった人材に関する研究の重要性が今後増大していくものと考えられる したがって 急増している来日ベトナム人技能実習生および留学生に関する調査を実施することには これまであまり研究されてこなかったという斬新性のみならず それぞれの目的に応じた適正な人材の受入がなされているかを検証するという点においても 相応の意義があるものと考えられる そこで 来日前のベトナム人技能実習候補者と留学候補者に対してアンケート調査を実施した 実際のアンケート 17 は 日本の留学生と技能実習生の就労条件や環境の違いに留意した設問を中心に Epstein and Gang(2010) が指摘した文化の相互近接性や Bartel (1989) で示された外国人の集住性も考慮し 学力や意欲に関する独自の設問も加えて構成した 分析にあたっては Liu(2016) で使用されている来日留学生における帰国選択要因の分析モデル 18 を参考にして 以下のモデルを採用した D i = αa i + βl i + γs i + δf i + εm i + ζt i + e i ここで D i は留学生が 0 技能実習生が 1 となる二値変数 A i は年齢 L i は生活習慣 ( 日本のアニメ視聴やインターネット等 ) S i は学業 ( 成績 好きな教科 ) F i は家庭環境 ( 経済的要因等 ) M i は意欲 T i は思考パターン e i は誤差項を示している つまり 来日予 定の技能実習生と留学生が在留資格を選択する過程において 意思決定に影響を与えている要因を 両者に対するアンケート結果から明らかにすることを目指すものである なお 実際の調査に際しては 倫理的な配慮から本人が特定されないよう無記名とし 情報管理についても事前に十分な説明を徹底している 推定方法は 被説明変数がダミー変数であることを勘案して プロビット モデルを用いた回帰分析 (Probit Analysis) を採用している なお 本分析で使用するサンプルデータは 基本属性の年齢によるバイアスを可能な限り回避するために 技能実習生および留学生ともに 17 歳から 26 歳のみ 19 のデータを一次抽出し その数は留学生 107 名 技能実 17 実際に使用したアンケート用紙は 本稿の最後に参考資料として添付した 18 Liu[2016] では 来日中の外国人留学生が卒業後も日本に留まる意向を持つ要因として 経済的要因 語学 文化的要因 第三国への留学意欲 個人の性格をあげている 19 技能実習生のサンプルデータは 18 歳から 34 歳と年齢幅が広いため 留学生データの最年長である 26 歳まで を抽出して 両者の年齢幅を統一した 38

45 習生 237 名の計 344 名であった また実際の推定に際しては 前述した説明変数がすべて 利用可能であった 274 名 ( 留学生 86 名 技能実習生 188 名 20) のサンプルのみを採用し ている ベトナム人技能実習生の帰国後の就業と収入日本の技能実習制度は 人材育成を通じた開発途上地域等への技能 技術又は知識の移転による国際協力を推進することを目的とする ( 技能実習法 22 第 1 条 ) とされており 人材送出国 ( 以下 本国 という ) への技能移転は 改正後の新制度においても基本理念として維持されている しかし 実際には国内の労働力不足を補完する目的で活用されている 来日する技能実習生自身が本制度を単なる出稼ぎ労働と捉えている 修得した技能等の本国への移転が適切になされていない等の点に関して これまでにも多く指摘されてきた また 2017 年の制度改正における規制の緩和が 労働力不足に対応した経済界からの要請や 競合する他の労働者受入国への対策 23のためであるといった 基本理念からかけ離れた要因によるとの指摘も聞かれる ただ もし本制度の実態が 日本の高い収入を目指す単なる出稼ぎ労働や 国内の労働力不足を補うための単なる外国人労働者受入制度であったとしても 本制度に参加した経験や修得した技能 知識が 本国へ帰国した後の技能実習生 ( 以下 帰国生 という ) の生活になんらかの影響を与えている可能性は低くないであろう そのため 基本理念である技能移転が実際にどの程度達成されているのかを知ることは 本制度に対する評価においても極めて重要であろうと思われる ところが 国内では 制度の矛盾技能実習生に対する人権侵害の負の側面にばかり注目が集まる傾向にあり 帰国生の本国での状況については これまであまり注目されてこなかった 本来 本制度に参加する技能実習生は 本邦において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有し 本国に帰国後 本邦において修得等をした技能等を要する業務に従事することが予定されていること ( 技能実習法施行規則 24) とされており すべての帰国生は 帰国後に本制度を通じて修得した技能に関連する職業に就く前提であるとされている ところが これまでに実施されてきた帰国生に対する調査では 帰国生の多くが本制度での経験を 有意義であった と回答しているものの 帰国直前や帰国後間もない時期の調査であるうえに その回収率が低いため 実際の就業状況や帰国生 20 サンプルの男女比は 留学生が男性 45 名 女性 41 名に対し 技能実習生が男性 138 名 女性 50 名と 男女比に偏りがある点には注意を要する また この技能実習生 188 名は 欠損データのあるサンプルを除外しているため 高卒以上の技能実習生 に限定されている 元々のサンプルには 32 名の高卒以下の技能実習生が含まれていた点にも注意を要する 21 本研究では 働きそのものを意味する広義の 就労 という単語に対して 就職するという意味を含んだ より狭義の単語として 就業 を使い分ける 22 正式には 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 という 23 同じ北東アジアの外国人労働者受入国である韓国や台湾は 近年 外国人労働者受入の点で日本と競合関係にあるとされることを指す 24 正式には 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則 という 39

46 の収入状況を分析する対象とするのは困難であった そこで本分析は 3 年間の技能実習 25を終えて 帰国後一定期間が経過して 本国社会に同化していると考えられるベトナム人帰国生の現在の就業状況とその収入を調査し 帰国生の就業に関する意思決定や収入を規定している要因について明らかにすることを通じて 技能移転という基本理念の達成状況を分析してみる そして 効果的な技能移転の実現のためには どのような技能実習生を選抜し どのような受入企業で技能実習するのがより効果的なのか 限られたデータの範囲での提示を試みるものである 2019 年 4 月に 技能実習制度修了者を中心とした新たな在留資格 特定技能 が創設されており 帰国後 数年経過した帰国生の就業状況や収入に関する本分析を通じて 日本で長く就業してもらえる人材の選抜に関する示唆を得ることができる可能性も見込まれる なお 現在日本の出入国在留管理局における帰国生に対する留学等での再入国審査において 帰国後に技能実習にて修得した職種と関連した職種で一定の期間就業することを 技能移転の実現と評価していることから 本分析でも同様に 帰国後に同業種での就業継続が確認されることで 技能移転が実現したと考えるものとする 本分析で使用する 3 つの分析モデルは以下のとおりである 1) 就業選択 2) 製造業就業まず 第一に 帰国生が帰国後に就業するのかどうかの就業選択要因について 帰国生や受入企業の属性による影響を検証する 第二に 就業者のみを対象に 技能移転を実現するための前提となる製造業での就業選択に対して 帰国生や受入企業の属性が影響を与えているのかを検証する 具体的には 就業選択の被説明変数は非就業者 =0 就業者 =1 とするダミー変数 製造業就業の被説明変数は 非製造業就業 =0 製造業就業者 =1 とするダミー変数とし これら 2 つのプロビット推定 (Probit Analysis) 26 を行う y = β 1 +β 2 x 2 +β 3 x 3 + +ε ここで y は就業しない =0 就業する =1 および製造業以外で就業している =0 製造 業で就業している =1 の二値選択 x はそれぞれの変数 ( ダミー変数含む ) を示している 25 本分析では 全体の 95% 以上を占めている 団体監理型 技能実習生を対象としている この他に 大企業などを中心に実施されている 企業単独型 技能実習がある 26 詳細は省くが 本分析における各変数間の多重共線性と VIF 統計量のチェックへの配慮はなされている 40

47 3) 収入帰国生本人の収入に与えている要因を分析するために 通常の最小二乗法 (OLS) による推定に加えて Heckman(1979) に従い 二段階推定法 (Heckit Model) とよばれる手法を採用する まず 第 1 段階では就業関数の推定を行うため 被説明変数に非就業者 = 0 就業者 =1 のダミー変数を置き 第 2 段階で使う説明変数を考慮して 第 2 段階の賃金関数に影響を与えないと考えられる変数の 性別ダミー と 婚姻ダミー を説明変数として用いたプロビット推定を行い そこで得られた逆ミルズ比 λを用いて 第 2 段階では被説明変数を本人の月収として 1) および2) での推定と同様に 帰国生や受入企業に関する属性の説明変数を投入して分析するものである すなわち y i = x i β + σλ(x i α) + ε i y i > 0 となり α = β/σ E(ε i ) = 0 λ は逆ミルズ比を示している 41

48 第 4 章ベトナムにおける国内移動の意思決定要因 1. 本分析の概要 1986 年に それまでの社会主義計画経済からドイモイ政策へと転換し 1990 年代以降 急速に市場経済化が進展したベトナムでは 経済発展と同時に国内の人口移動が活発となった 特に 1996 年の共産党大会において 2020 年の工業国化を目標に掲げて 翌 97 年には WTO に加盟してグローバル経済に組み込まれたことによって その動きは加速しており 首都ハノイ市や南部の商業都市ホーチミン市の人口はすでに 800 万人を超えている 近年は 中国における生産コストの上昇や米中貿易摩擦等の事業リスクの増大により 製造業の生産拠点が中国から近隣諸国へとシフトされる受け皿国として 日系企業をはじめとする外資系製造業の進出が著しい 一方で これまで国内の地域間所得格差は比較的小さい 27 とされていたが 近年は年々拡大する傾向にある ドイモイ政策以前のベトナムでは 旧ソ連の指導による計画経済の下 他の社会主義国と同様に戸籍登録制度や開拓移民制度を使った政府による人口移動管理が厳格に運用され 生活必需品等の配給制度 28も存在したため 自由な移住が実質的に不可能な状態であった ところがドイモイ政策以降 市場経済化の実現にむけた労働力の流動性が必要となり これらの制約が徐々に緩和されて 条件付きで戸籍の移転が可能になったほか 一時居住も事実上黙認された そして 2006 年に制定された居住法において 一時居住の自由 を認めたことにより すべての人民の国内移住を正当化する法的根拠が整備され ( 貴志 2011) それまで制限されていた戸籍の移転条件も大幅に緩和された その結果 省や地域 29を跨いだ人口移動が急激に拡大し 図表 15 のとおり 地域を跨ぐ移動者数は 1995 年 年の 5 年間から 2005 年 年までの 5 年間の間に 77 % も増加した このうち 東南部への流入者数が 3 倍弱にまで急激に増加しており 特にメコンデルタ地域からの流出者数が 3 倍強に 北 南中部沿岸部からの流出者数も約 2 倍に増加しており この 10 年間で流入および流出する地域がより鮮明になっているといえる また図表 16 は 本分析で使用する 2011 年から 2012 年の年間移動者数データにおける地域間の移動者数を示しているが 近年は毎年全人口の 0.6 % 程度が地域を跨いで移動しており その規模が社会に与える影響はけっして無視できない水準にあるといえよう ここでも 北 南中部沿岸部とメコンデルタ地域から東南部への流入が目立っている 今後もこのような人口集中の流れが続けば 中国や他の ASEAN 諸国と同様に 大気汚染やゴミ処理 排水などの問題を 27 世界銀行ウェブサイトによると ベトナムの 2012 年のジニ係数は 35.6 で 中国やタイ インドネシア フィリピンなどの ASEAN 諸国より低いとされる 28 ベトナム政府による配給制度はバオカップと呼ばれ 直訳すると 丸抱えで供給する という意味である 29 本分析でいう地域は ベトナム全土を 北部山岳 紅河デルタ 北中部 南中部沿岸 中部高原 東南部 メ コンデルタの 6 つに分類したものを指す 42

49 深刻化させていく可能性が懸念される 特に公共交通機関が未発達のベトナムではバイクが市民の足として活用されており 輸送セクターが大気汚染の主因となっている ( 環境省ウェブサイト ) ことから 人口集中による環境汚染の深刻度は近隣の他国よりも高くなるものと推察することができる 図表 15 ベトナムの年平均国内移動人口比較 ( 年と 年 ) 出所 :General Statistics Office(2012) データより筆者作成 図表 16 ベトナム国内の地域間人口移動の概況 (2011 年 4 月 1 日から 2012 年 4 月 1 日 ) 出所 :General Statistics Office(2012) データより筆者作成 ところで 1 章で述べたとおり ベトナムはその歴史的経緯から 南北にそれぞれ大都 市が発展しており 開発途上国でよくみられる首都への一極集中という一般的な人口移動 43

50 モデルではなく より複雑なモデルになっていることが考えられる また 近年は都市部と農村部の経済格差の拡大が懸念されており 現在のベトナムにおける国内の人口移動の決定要因を 省別マクロデータを使って実証分析することは 単に首都を中心とした都市部への移動か農村部に留まるかという二者択一の人口移動モデルではなく 南北の二大都市圏から移動先を選定できる点において 人口移動に関する意思決定をより実証的に分析することが可能になるのではないかと考えられる 図表 17 ベトナム地域別全図 出所 : ベトナム農業だよりウェブサイト ( ここで ベトナムの 6 つ 30 の地域特性について簡単に紹介しておく 30 本分析では 図表 17 に示された 7 つの地域のうち 北中部沿岸地域 と 南中部沿岸地域 を一括して 北 南中部沿岸地域 として扱う 44

51 ( 北部山岳地域 ) この地域は中国と国境を接している 山岳が多く かつ少数民族比率が比較的高いことが特徴である 低地における稲作よりも 高地におけるキャッサバやお茶の生産 家族経営による畜産が盛んである 地域全体として 他の地域より工業開発が遅れている ( 紅河デルタ地域 ) 首都のハノイ市と中央直轄市のハイフォン市を中心とする ハノイ市が政治や商業の中心である一方 ハイフォン市は工業開発拠点 また港湾都市としてベトナム北部の重要な産業拠点となっている また このデルタ地域は広い稲作地帯であり 伝統的に農業が盛んでもある ( 北 南中部沿岸地域 ) 北中部沿岸地域は ベトナム最後の王朝グェン朝時代の首都であったフエ市を中心とする ホー チ ミン元主席の出身地でもあるが 自然災害も多く ベトナムで最も貧しい地域とされる また 南中部沿岸地域は 中央直轄市のダナンを中心としている ベトナム戦争時に米軍の中心基地があった関係から 人口や経済活動が発展しており 近年は周辺での工業生産の拡大がみられる 両地域とも海洋漁業が盛んである ( 中部高原地域 ) 地域の大部分が高原であるため コーヒー豆や野菜 サトウキビなどの生産が盛んである これらの農村には 低所得の少数民族が多く居住しているのが特徴である ( 東南部地域 ) 旧南ベトナムの首都であったホーチミン市を中心とする地域で 古くから商工業の中心であった 1990 年代以降 早くから海外からの直接投資を吸収し ベトナムで最も重要な工業地域である その一方で ゴムやサトウキビなどの農業生産も多くみられる ( メコンデルタ地域 ) 肥沃なメコンデルタ地域における稲作が最も重要な経済活動である地域である 三期作が可能なため 人口一人当たりの米生産量が高く 沿岸部では海洋漁業や海老の養殖などの水産業も盛んである 次に 図表 18 は同じく 年データにおける流入先と流出元の上位 5 省を示している ハノイ市とホーチミン市の現在の人口は 2012 年の時点でともに 700 万人を超す規模にまで拡大していたものの 必ずしも両市だけに人口が集中しているというわけではなく 両市からも相当数が流出していることが確認できる つまり すでに述べたように ベトナムにおける国内の人口移動は よくみられる首都への一極集中ではなく より複雑な要因によって意思決定されていると考えられるのである 45

52 図表 18 ベトナムの人口流入先と流入元の上位 5 省 ( 年 ) ( 単位 : 人 ) 流入先 流出元 順位 省名 地域 人数 順位 省名 地域 人数 1 ホーチミン市 東南部 112,372 1 ホーチミン市 東南部 54,234 2 ビンズン省 東南部 102,672 2 タインホア省 北中部沿岸 30,392 3 ドンナイ省 東南部 49,484 3 ゲアン省 北中部沿岸 28,681 4 ハノイ市 紅河デルタ 41,081 4 アンザン省 メコンデルタ 24,188 5 ダクノン省 中部高原 22,142 5 ハノイ市 紅河デルタ 22,667 出所 :General Statistics Office(2012) データより筆者作成 以上を踏まえ 本章では 2011 年から 2012 年の国内居住省の変更人口を被説明変数とし たトービットモデルによる分析をおこなった 2. 推定結果図表 19 は記述統計量を 図表 20 は推定結果を示している 分析の結果 移動者数は流出元および流入先の人口に正に有意 距離には負に有意となり ベーシックな重力モデルが有効となる一方で 流入先の一人当たり所得に対しては負に有意となり Greenwood(1997) らで示されたモデルとは一部異なる結果が得られた 人口構成の指標については 流出元の人口密度が負に有意であり 人口密度の低い地域からの人口流出が多いことを指摘している また 流入先の性比が正に有意なことは流入先には男性が多いことを示し さらに少数民族比率の高い地域への人口流入が多いことはベトナム国民の 86 % をしめるキン ( ベト ) 族とその他の少数民族 31との融合が進展しているものと考えられる また 流出元の粗出生率や離婚率は負に有意であり 出生率や離婚率の低い地域から人口流出が多いことが確認できた 経済的な指標では 流出元の建設完工高が正に有意であり 建設業の発展が必ずしも人口流出を抑制する要因とはならないと考えられる反面 流入先の小売売上高や貨物量が正に有意なことは活発な経済活動が人口流入を促進させていると考えられる また 旅客数では流出元 流入先ともに負に有意となっており 観光産業が発展している省では人口移動自体が少なく 住民が固定化する傾向にある可能性が考えられた 企業に関する指標では 活動企業数の少ない省から多い省への人口移動が確認でき 人口比の企業数が移動に大きな影響を及ぼしていることが示された 特に 資本金が約 8 千 31 ベトナムでは全体の 85% を占めるキン族 ( ベト族 ) のほかに 53 の少数民族が存在する 46

53 図表 19 記述統計量 ( ベトナム国内移動 ) N 平均値 標準偏差 最小値 最大値 重力モデル移動者数 ( 人 ) 3, ,819 距離 (km) 3, ,352 人口 ( 千人 ) 63 1, , ,663.8 人口構成 人口密度 ( 人 /km) ,657.1 性比 ( 女性 100 人あたり男性数 ) 粗出生率 ( 人口千人あたり出生数 ) 粗死亡率 ( 人口千人あたり死亡数 ) 離婚率 ( 人口千人あたり離婚件数 ) 少数民族比率 (%) 経済 千人当たり建設完工高 ( 十億 VND/ 千人 ) 千人当たり小売売上高 ( 十億 VND/ 千人 ) 千人当たり旅客数 ( 人 / 千人 ) 63 19, , , ,477.9 千人当たり貨物量 (t/ 千人 ) 企業 千人当たり活動企業社数 ( 社 / 千人 ) 従業員 500 人以上企業比率 (%) 資本金 8 千万円以上企業比率 (%) 従業員当たり固定資産額 ( 百万 VND/ 人 ) ,102.3 雇用 労働者平均賃金 ( 千 VND) 63 3, ,402 5,018 失業率 (%) 労働参加率 (%) 女性従業員比率 (%) FDI 千人当たりFDI 累計金額 ( 千 USD/ 千人 ) 63 1, , ,313.3 外国企業比率 (%) 外国企業従業員比率 (%) 生活環境 乳児死亡率 ( 件数 /1 歳以下千人 ) 千人当たり病床数 ( 床 / 千人 ) 千人当たり医療従事者数 ( 人 / 千人 ) 教育 15 歳以上識字率 (%) 小中高生千人当たり高等教育機関数 ( 校 / 千人 ) 歳以上訓練工率 (%) 工業 千人当たり工業生産額 ( 十億 VND/ 千人 ) 第二次産業雇用者比率 (%) 農業 千人当たり穀物収穫量 (t/ 千人 ) ,482.9 ダミー変数隣接地ダミー 3, 北部 南部ダミー 3, 南部 北部ダミー 3, 中部 北部ダミー 3, 中部 南部ダミー 3, 注 ) 北部ダミーは 紅河デルタ地域 中部ダミーは 北中部沿岸地域 と 中部高原地域 南部ダミーは 東 南部地域 を指しており 北部山岳地域 と メコンデルタ地域 はダミー変数の対象としていない 47

54 図表 20 推定結果 ( ベトナム国内移動 ) 係数 標準誤差 t 値 重力モデル 距離 *** 人口 i *** 人口 j ** 人口構成 人口密度 i ** 人口密度 j 性比 i 性比 j *** 粗出生率 i * 粗出生率 j 粗死亡率 i 粗死亡率 j 離婚率 i ** 離婚率 j 少数民族比率 i 少数民族比率 j *** 経済 建設完工高 i ** 建設完工高 j 小売売上高 i 小売売上高 j 旅客数 i * 旅客数 j *** 貨物量 i 貨物量 j ** 企業 活動企業数 i ** 活動企業数 j *** 従業員 500 人以上 i 従業員 500 人以上 j 資本金 1 億円以上 i 資本金 1 億円以上 j * 従業員当たり固定資産 i *** 従業員当たり固定資産 j 雇用 平均賃金 i 平均賃金 j 失業率 i ** 失業率 j 労働参加率 i 労働参加率 j 女性従業員比率 i 女性従業員比率 j * FDI FDI 累計金額 i FDI 累計金額 j * 外国企業比率 i *** 外国企業比率 j ** 外国企業従業員比率 i 外国企業従業員比率 j

55 生活環境 乳児死亡率 i 乳児死亡率 j ** 病床数 i *** 病床数 j *** 医療従事者数 i 医療従事者数 j 教育 識字率 i 識字率 j ** 高等教育機関数 i 高等教育機関数 j 訓練工率 i 訓練工率 j ** 工業 工業生産額 i 工業生産額 j * 第二次産業雇用者比率 i 第二次産業雇用者比率 j 農業 穀物収穫量 i *** 穀物収穫量 j ダミー変数 隣接地ダミー *** 北部 南部ダミー *** 南部 北部ダミー ** 中部 北部ダミー ** 中部 南部ダミー *** 定数項 対数尤度 -5,256.6 尤度比カイ2 乗値 2, 有意確率 疑似 R 注 ) *** は 1% 水準で有意 ** は 5% 水準で有意 * は 10% 水準で有意を示す 万円 32 以上の企業比率が流入先において 1% 水準で正に有意なことは 大企業 中堅企業の存在が人口流入を促す要因になることを示唆している また 従業員当たり固定資産額が流出元において 1% 水準で負に有意となっており いわゆる重厚長大型産業に人口流出を抑制する効果がある可能性が考えられた 雇用については 失業率が流出元のみで負に有意で 失業率から人口移動を直接的に説明することは困難な結果となった また 流入先の女性従業員比率が負に有意となったことは 先に述べた流入先の男性比率の結果を裏付ける結果が得られた 海外直接投資 (FDI) では 累計金額において流入先で負に有意となり 外国企業比率 32 正確には資本金が 200 億ベトナムドン以上のデータであり 2012 年当時の為替レートでは 8 千万円程度となるが 円安が進んだ 2019 年 7 月のレートでは 1 億円程度となっている点には注意を要する 49

56 では流出元で負に 流入先で正に有意となった 外国企業の比率が人口移動に直接的に影響を与えていることが示された一方で 累計金額の多い省への流入が少ないという点は ストック金額ではなく直近のフロー金額の影響を受けている可能性が考えられた 生活環境に関する変数では 流入先の乳児死亡率で負に有意となり 病床数では流出元 流入先ともに負に有意となった 流入先では医療環境は整っているものの 人口比の病床数や医療水準は必ずしも高くないと推察される 教育については 流入先の識字率と高等教育機関数が正に 訓練工率は負に有意となり 流入先では最低限の教育水準が要求されるものの 職業訓練を必要としていない産業が多いことが考えられる また 人口移動には進学に伴う移動が相当数含まれている (General Statistics Office 2011) 可能性を示唆する結果となった 工業では 流入先の工業生産額で負に有意となり 人口流入先では低付加価値の産業 もしくはサービス産業が発展しているのではないかと考えられる 農業については 穀物収穫量が流出元と流入先で共に負に有意で 高い農業生産性が人口移動を抑制していることが示された 最後に ダミー変数では 隣接地ダミー が正に有意となり 近隣省への移動が活発であることが確認できた また 北部 南部ダミー が正に有意である反面 南部 北部ダミー では負に有意となった これは 北部のハノイ市を中心とする紅河デルタからホーチミン市を中心とする東南部への人口移動が活発な反面 逆の移動が限定的であることを意味している また 中部 北部ダミー が負に有意に 中部 南部ダミー が正に有意となったことは 二大都市圏に挟まれた中部地域では紅河デルタより東南部へ向かう人口移動が より活発であることが示された 3. 考察まず ベトナムにおける国内人口移動の決定要因は ベーシックな重力モデルにおける距離と人口規模について有効であることが確認できたが 人口流出元および流入先の所得では有効とならなかった 本分析では ベトナム統計総局による 家庭生活水準調査 (Data Results Of The Vietnam Household Living Standard Survey) における省別の一人当たり所得のデータを使用しているが 坂田 (2014) によると ベトナムでは全労働人口の 23.5% がインフォーマルセクターで就労しているとされ Lucas(1997) において指摘されたように 他の開発途上国と同様 データと実際の所得との乖離の存在が懸念された この点は 都市の潜在失業者やインフォーマルセクターの存在を指摘した Harris Todaro Model( 図表 12 参照 ) を裏付ける結果が得られたともいえる 人口流入先には男性が多く 出生率や離婚率の低い省からの人口流出が多いことが明らかとなった 家族構成と人口移動との関係については McKinney(1993) において 開 50

57 発途上国では学歴や就労などの社会経済的属性が人口移動に影響を与えているとの仮説が指摘されており 移動主体の家族構成が人口移動に一定の影響を与えている可能性が考えられる この点に関しては より詳細な検討が必要となろう このほか 少数民族比率の高い地域への人口流入が多いことは 大半を占めているキン族とその他の民族との融合の進展を感じさせる結果となった ベトナムでは 中国のような民族融合政策が表立って採られることはないものの 岩井 (2006) が示したように 1990 年代まで 新経済区 開発の名目で組織的な移住政策が採用され 少数民族が多く住む未開拓地に農村開拓を目的として移住を推奨してきた経緯から 現在もその影響が残っていることが考えられた 一方で 人口移動を失業率で直接的に説明できない点は グェン ( 2013a) におけるホーチミン流入モデルの結果を支持している 特に 失業率の低い省からの人口流出が多いとされる点は 農村部より都市部の失業率が高いというベトナムの事情による説明が可能であり Nguyen-Hoang and McPeak(2010) において使用された都市部失業率 (Urban Unemployment Rates) を用いた分析とは異なる結果となっている この背景には 農村部が雇用のセーフティネットの役割を果たしている ( 厚生労働省 2013) という側面があることにも留意する必要があろう そして 移動人材は非訓練工の多い地域に流入していることから 流入先の産業は サービス産業を含む労働集約型が主体ではないかと推察され これら一連の動きがベトナムにおける人口移動のフレームワークになっている この他 人口移動に影響を与える主な要因として 活動企業数と外国企業比率があげられ 今後も拡大していくだろう人口集中の抑止には 企業 特に外国企業の分散立地が有効であると考えられる 外国企業が人口流入を促進させる点は 2011 年 10 月に内国企業と外国企業の最低賃金格差が撤廃された 33 ものの 本データ期間では依然として格差が存在していたため 期待賃金において外国企業に優位性があったと考えられ Harris and Todaro(1970) が指摘した 期待所得格差 による人口移動を支持する結果が得られたといえる また 進学を要因とする人口移動も確認することができた このほか 農業生産性の高い省では人口移動自体が少なかった ベトナムではメコンデルタ地域を中心に米の三期作が行われており これら農業生産性の高い地域では 農村の余剰労働力や都市部との期待賃金格差が限定的となり 人口移動が抑制されると考えられ Lucas(1997) の指摘と合致しているといえよう 地域間移動については 北部 ( 紅河デルタ ) から南部 ( 東南部 ) への人口移動が活発な反面 南部から北部への移動が鈍重であることが示された 同時に 中部 ( 北中部沿岸および中部高原 ) からの移動者が主に南部を志向していることも明らかになった Lucas 33 このような外国企業への差別的扱いの撤廃は WTO 加盟時の公約となっていた 51

58 (1997) では開発途上国における人口移動の主体が若年層であるとされるが より温暖な南部の気候や戦争以前に西側諸国の影響を受けていた南部の開放的な雰囲気が若年層に好まれやすいことが考えられた またベトナム固有の事情として ベトナム戦争の戦敗側である南部から 戦勝側である北部への移住に対する心理的嫌悪感が影響しているのではないかとも考えられた 4. 小括以上の分析を要約すると ベトナムにおける国内人口移動は 失業率に影響を受けておらず 期待賃金の高い外国企業の比率が低い省から高い省への移動が促進されている一方で 農業生産性の高い省では人口移動が少ないということが明らかとなった また 北部 中部からホーチミン市を中心とする東南部への移動が活発な反面 逆の移動は限定的で 移動モデルは東南部を重心とする重力モデルであるといえる また 流入先では職業訓練等を必要としないサービス産業や労働集約型産業が多く 一人当たり所得では要因を説明できない点など 開発途上国特有のインフォーマルセクターにおける人口移動が活発であることが推察された このように 外国企業や農業生産性 東南部に着目してベトナム全土における人口移動の決定要因を具体的に明示した先行研究はこれまでにみられず 本分析にはこれまでの先行研究では示されなかった成果があったものと考えられる 最後に 本分析の課題に言及する まず 本分析で使用した人口移動データは 年以降 毎年公表されており 今後はパネルデータ分析が可能になっていくであろう 2 つ目に 本分析ではミクロレベルの人口移動要因については分析されていない 南部への移動が促進される要因は 本分析で指摘した以外にも親戚ネットワークの存在などのミクロ要因が影響を与えている可能性が考えられる また ベトナムでは伝統的に 田舎の金持ちより都会の貧乏の方がいい (Giàu nhà quê không ba ng ngo i lê thành pho )( White, Yanyi and Anh 2001) とする考え方があるとされる これらの心理的 文化的な要因の検討も必要であろう 3 つ目に 2012 年以降の法改正で外国企業の賃金優位性が縮小した後に 外国企業が人口移動に与えている影響は再検討されなければならないであろう 最後に 国際人口移動との関連性の問題である ベトナムでは 分析で使用したデータ当時で 年間 9 万人以上が海外就労を 12 万人以上が海外留学を目的として出国しており 国内で移動する人材と海外へ移動する人材との関連を拡張的に分析することは 本分析で得られた成果の意義をさらに高める内容となるであろう これらの課題を踏まえたうえで 次章以降では国際労働移動について検討したい 52

59 第 5 章ベトナム人技能実習生および留学生の在留資格選択要因 本章では 3 章で述べたとおり ベトナムにおいて日本への技能実習と留学を志している 人材は同じ もしくは類似した背景を持つのではないのかとの仮説をもとに 両在留資格 希望者の意思決定要因を明らかにすることを試みる 1. 本分析の概要まず ベトナム人技能実習生と留学生の条件面の違いについて紹介しておきたい 一般に ベトナム人技能実習生は ベトナム政府の認定を受けた海外労働送出機関への登録を通じて 日本の技能実習監理団体 ( 協同組合や社団法人 ) または実習実施機関 ( 技能実習生の受入企業 ) の選抜試験を受け 合格した技能実習生が 3-4 ヶ月間の日本語教育を現地で受講する 来日後も 当初 1 ヶ月間は監理団体が運営する技能実習前講習を受講することが義務づけられ 主に日本での生活に必要なルールや日本語を修得する その後は実習実施機関が用意する住居に住み フルタイム労働者として勤務する 賃金は各地の法定最低賃金が適用されることが多く 3 年間 ( 実際には技能実習前講習を除いた 35 ヶ月間 ) 就労した後は 帰国して修得した技能を本国で活かすことが必要とされている 在留資格申請は監理団体を通じて行なわれ 出入国在留管理局では 主に実習実施機関と実際に技能実習生が従事する作業内容を中心に審査される 技能実習生は在留資格を得た後 送出機関に 万円程度の手数料を支払ったうえで来日するが 渡航費用や日本語学習費用はすべて日本側の負担とされており 日本での住居費用等も賃金から控除されていることから 多くの技能実習生が手取り収入の大半を本国の家族へ仕送りをしていると考えられる また 技能実習生には日本人労働者と同様の社会保険が付保されており 健康保険をはじめ労働災害等への対応も日本人と同等の扱いが義務づけられている 一方 本研究におけるベトナム人留学生とは その大半を占めている私費留学生 34を指す 一般的に 私費留学生はまず来日後に 2 年間通学する日本語教育機関を本国にて選択して応募し その入学許可を事前に得たうえで 出入国在留管理局に在留資格申請を行う 日本語教育機関を斡旋するのは現地の留学斡旋会社 35や前節で紹介したような職業紹介センターであり 来日前にこれらの斡旋機関で ごく初級の日本語教育が実施されているケースが多い 実際の在留資格申請は日本語教育機関を通じて行なわれ 主に経費支弁者 ( 多くは留学生の両親 ) の経済面を中心に審査される 留学生は在留資格を得た後 留学斡旋 34 本研究で取り上げるベトナム人留学生は その大半を占める私費留学生を指し 国費留学生は対象としていない 35 このような留学斡旋会社は日本向け留学生の増加とともに急速に拡大しており 多くは日本留学経験のあるベトナム人の起業によるものである 不正な会社も多いことから ベトナム政府は近年になって留学斡旋会社についても技能実習生派遣会社と同様に登録許可制に変更している 53

60 機関に数万円程度の斡旋料と 日本語教育機関に初年度の授業料 ( 通常 万円程度 ) を払い 私費で航空券等を手配して来日する 来日後は 多くの日本語教育機関が自前の学生寮や契約住居に留学生を住まわせる 授業は 1 日約 4 時間程度で 在留資格の更新のために出席率が厳しく管理されている 留学生は 事前に出入国在留管理局の資格外活動許可を得たうえでアルバイトが可能となるが 出入国管理法上では その上限が週 28 時間とされている 鈴木 (2011) は この資格外活動の存在が日本留学の誘引要因の一つであると指摘しているが 実際には週 28 時間を超えて就労しているケースがたびたび報道されており 36 この超過労働が留学生のインセンティブとなっているのではないかと懸念される 2 年間の日本語教育を終えた留学生は 大半が大学や専門学校の高等教育機関へと進学するが 志甫 (2015) は ベトナム人のような非漢字圏の留学生が 2 年間の日本語教育で大学進学に必要な日本語を修得することは困難であると指摘しており 実際に有名大学へ進学が可能なベトナム人私費留学生はごく少数に限定されると考えられる 図表 21 では 一般的な日本の技能実習生と留学生を比較しているが 収入面では両者に大きな差はなく 明確な差となっているのは 渡航前に要する費用 来日後の収入の保障や各種社会保険の有無 滞在可能年数 職業 ( アルバイト ) 選択の自由であると考えられる 渡航前費用に関しては 留学生が技能実習生より高額であり 出入国在留管理局における査証審査においても経費支弁者の経済力に重点が置かれるが 技能実習生では個人属性に関する審査はほとんど実施されていない 社会保険については 技能実習生には日本人労働者と同様の保険があるのに対し 留学生は任意の保険加入になっている また在留可能な期間は 留学生の場合 日本語教育機関を経て大学等を卒業後 大学等で学んだ知識を必要とする業務に従事する場合には 就労ビザによる無期限就労が可能となるが 技能実習生の調査時点での滞在期間は最長 3 年とされており 期間満了後は帰国を余儀なくされる 来日後の職業選択に関しては 留学生にはアルバイトにおける職種選択の自由 37があるが 技能実習生は渡航前に予め決められた実習実施機関や職種からの移動が原則認められず 来日後に配属された技能実習実施機関 ( 企業や農家等 ) からの離職を希望する場合は 本国へ帰国するか 失踪して不法滞在者として就労するしかないのが現状である 本分析では 以上のような条件の違う両在留資格を選択するベトナム人の意思決定の背景にある要因を明らかにすることを目指すものである そこで 2016 年 7 月と 8 月にベトナム北部の首都ハノイ市と同市近郊の B 省 および 36 ベトナム人留学生の週 28 時間を超えるアルバイトに関する統計等は存在しないが 多くの日本語学校在学中の学生がアルバイトの掛け持ち等により 規定の時間を超過している可能性がある 37 ここでは 転職ができない技能実習生に対して 留学生は自由に好きなアルバイトを選択できるということを 指す 54

61 図表 21 日本の技能実習生および留学生の条件比較 出所 : 国際研修協力機構 (2015) および日本学生支援機構 (2014) をもとに筆者作成 南部の中心都市ホーチミン市において 来日前の留学生 38および技能実習生計 389 名に対するアンケート調査 39を実施した アンケートは技能実習生送出機関および留学斡旋企業の施設内で実施し 全対象者に対してベトナム語で主旨を説明したうえでアンケート用紙を配布し 全員から回収した 対象とした技能実習生はすでに日本の実習実施機関または監理団体による採用試験に合格して 2016 年秋から 2017 年初頭に来日予定の日本語学習中の者 留学生は 2017 年 4 月の入国に向けて準備中の同じく日本語学習中の学生である 次に 分析に使用する変数を具体的に説明する まず 回答者の基本属性として年齢を設定している 次に生活習慣として 日本のアニメに対する興味 インターネット使用 38 すでに在留資格申請手続中の技能実習生に対して 対象となる留学生はまだ来日が確定的ではないが これまでの実績で 95% 以上の学生が実際に来日していることから ほぼ全員が留学生として来日すると考えても差し支えないと思われる 39 実際に使用したアンケート調査用紙を本稿の最後に参考資料として添付した 55

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