1. 水 素 供 給 の 現 状

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1 資 料 2 水 素 の 製 造 輸 送 貯 蔵 について 平 成 26 年 4 月 14 日 資 源 エネルギー 庁 燃 料 電 池 推 進 室

2 1. 水 素 供 給 の 現 状

3 1-1. 水 素 利 用 の 現 状 水 素 は 他 の 原 子 と 共 有 結 合 しやすい 燃 焼 時 に 生 成 されるものは 水 のみである 質 量 当 たりの 熱 量 が 大 き いなどの 性 質 がある このため 石 油 精 製 における 脱 硫 や 石 油 製 品 製 造 に 利 用 されている また 規 模 は 小 さいものの 半 導 体 ス テンレス 鋼 の 光 輝 焼 鈍 用 ガラス 産 業 食 品 産 業 等 でも 利 用 されている さらに 定 置 用 燃 料 電 池 や 燃 料 電 池 自 動 車 等 の 燃 料 電 池 技 術 の 進 展 水 素 ガスタービン 等 の 水 素 利 用 技 術 の 進 展 液 化 水 素 や 有 機 ハイドライド 等 の 水 素 輸 送 貯 蔵 技 術 の 進 展 等 によって 水 素 のエネルギーとし ての 活 用 が 今 後 拡 大 していくことが 見 込 まれる 工 業 用 途 エネルギー 利 用 金 属 半 導 体 自 動 車 バス ロケット 燃 料 光 ファイバー 石 油 フォークリフト 家 庭 用 燃 料 電 池 水 素 タービン ( 出 典 ) 岩 谷 産 業 ( 株 )ホームページ 2

4 参 考 水 素 の 工 業 用 利 用 現 時 点 における 国 内 の 水 素 利 用 は 約 150 億 Nm 3 となっており その 大 半 は 石 油 精 製 を 初 めとして 自 家 消 費 されている また 約 3 億 Nm 3 強 が 半 導 体 金 属 硝 子 化 学 工 業 など 向 けに 外 販 されており 1 産 業 ガス 事 業 者 等 が ユーザーの 工 業 用 プラント 等 に 水 素 製 造 装 置 を 設 置 して 供 給 するもの(オンサイト 供 給 ) 2 圧 縮 水 素 により 運 搬 されるもの 3 液 化 水 素 により 運 搬 されるものがある 国 内 における 工 業 用 水 素 利 用 食 塩 電 解 63% 国 内 における 水 素 の 外 販 圧 縮 水 素 の 供 給 源 別 の 生 産 能 力 シェア LNG 分 解 8% 転 炉 ガス 3% アスファルトガ ス 分 解 3% オンサイト 水 素 の 原 料 別 の 生 産 能 力 シェア 外 販 水 素 供 給 実 績 ( 億 Nm3) 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 エチレンオフ ガス 7% 石 油 精 製 オフ ガス 3% コークス 炉 オ フガス 6% カリ 電 解 1% メタノール 分 解 6% 液 化 水 素 圧 縮 水 素 オンサイト 水 素 圧 縮 水 素 の 用 途 別 シェア 硝 子 9% 化 学 17% その 他 18% 金 属 22% 弱 電 34% オンサイト 水 素 の 用 途 別 シェア LPG 7% 光 ファイ バー 28% 鉄 鋼 金 属 9% 出 典 1 国 内 における 工 業 用 水 素 利 用 : 各 種 資 料 により 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 推 計 2 国 内 における 水 素 の 外 販 : ハイドリズム4 による 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 作 成 都 市 ガス 天 然 ガス (LNG 含 む) 45% メタノール 48% 半 導 体 40% 硝 子 6% その 他 11% 電 気 電 子 部 品 6% 3

5 2. 水 素 の 製 造

6 2-1. 水 素 の 製 造 ( 総 論 ) 水 素 は 様 々なエネルギー 源 から 製 造 することができるが 製 造 方 法 によって コスト 量 エネルギー 政 策 上 の 意 義 は 異 なる 石 油 天 然 ガス 等 化 石 燃 料 触 媒 等 を 用 いて 改 質 発 電 した 電 気 を 用 いて 水 を 電 気 分 解 自 然 エネルギー 製 鉄 所 化 学 工 場 等 からの 副 産 物 水 素 バイオマス 副 生 ガスを 精 製 発 生 したメタノール やメタンガスを 触 媒 等 を 用 いて 改 質 5

7 2-2. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 1( 副 生 水 素 ⅰ( 苛 性 ソーダ)) 副 生 水 素 の 代 表 的 なものとして 苛 性 ソーダの 製 造 プロセスで 発 生 する 水 素 が 挙 げられる 食 塩 電 解 により 苛 性 ソーダを 製 造 する 際 に 発 生 する 副 生 水 素 は 純 度 が 高 く 外 販 用 としても 用 いられている 苛 性 ソーダ 製 造 由 来 の 水 素 食 塩 電 解 により 苛 性 ソーダを1トン 製 造 する 際 に 副 生 物 として 水 素 が280Nm 3 発 生 苛 性 ソーダの 生 産 量 ( 平 成 24 年 度 は357 万 トン)から 機 械 的 に 計 算 すると 苛 性 ソー ダ 製 造 プロセスで 発 生 する 副 生 水 素 は 約 10 億 Nm 3 と 推 定 される 苛 性 ソーダの 製 造 プロセス 塩 素 Cl 2 苛 性 ソーダ NaOH 水 素 H 2 実 用 化 状 況 環 境 性 実 用 段 階 ( 苛 性 ソーダの 製 造 プロセスに 導 入 ) 食 塩 電 解 に 用 いられる 電 源 の 電 源 構 成 による 既 に 副 生 水 素 がボイラー 等 の 燃 料 とし て 用 いられている 場 合 には 代 替 燃 料 の 利 用 によりCO2が 追 加 的 に 発 生 Cl Cl Na + Na + OH OH H + H + 安 定 性 経 済 性 苛 性 ソーダの 製 造 量 による ( 近 年 減 少 傾 向 ) 純 度 が 高 く 比 較 的 低 コストで 活 用 可 既 に 副 生 水 素 がボイラー 等 の 燃 料 とし て 活 用 されている 場 合 代 替 燃 料 費 コ ストが 追 加 的 に 発 生 陽 極 イオン 交 換 膜 陰 極 食 塩 水 水 2NaCl+2H 2 O Cl 2 +H 2 +2NaOH 留 意 点 実 用 化 されつつあるガス 拡 散 電 極 食 塩 電 解 技 術 ( 電 力 使 用 量 を3 割 削 減 可 ) が 導 入 されると 副 生 水 素 は 発 生 せず [ 出 典 ] 各 種 資 料 より 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 作 成 6

8 2-3. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 2( 副 生 水 素 ⅱ( 鉄 鋼 ) ) 鉄 鋼 の 製 造 過 程 では 一 定 量 の 水 素 を 含 む 副 生 ガスが 発 生 しており これを 精 製 して 純 度 を 上 げることで 水 素 を 用 いることが 可 能 特 に 石 炭 の 乾 留 ( 蒸 し 焼 き)によってコークスを 製 造 するプロセスにおいて 発 生 するコークス 炉 ガスは ガス 組 成 に 占 める 水 素 の 割 合 が5 割 以 上 と 比 較 的 高 いため 一 部 が 外 販 用 としても 用 いられている 製 鉄 所 コークス 炉 由 来 の 水 素 鉄 鋼 の 製 造 プロセスのうち コークスを 精 製 するコークス 炉 において 水 素 を50% 以 上 含 むコークス 炉 ガスが 発 生 水 素 成 分 比 を50%とすると 製 鉄 所 から 発 生 するコークス 炉 ガス*に 含 まれる 副 生 水 素 は 約 70 億 Nm 3 と 推 定 される * 石 油 等 消 費 動 態 統 計 2012 年 度 の 鉄 鋼 コークス 炉 ガス 受 入 発 生 回 収 生 産 量 142 億 m3 水 素 を50% 以 上 含 む コークス 炉 ガス 鉄 鋼 の 製 造 プロセス 高 炉 ガス 転 炉 ガス 水 素 を 含 むが 数 %のみ 実 化 状 況 環 境 性 安 定 性 経 済 性 実 用 段 階 (コークスの 製 造 プロセスに 導 入 ) COGの 多 くが 所 内 のボイラや 直 接 加 熱 に 利 用 されており COGの 水 素 を 外 部 に 供 給 する 場 合 は 代 替 燃 料 の 利 用 によりCO2が 発 生 コークス 製 造 量 による ( 近 年 は 安 定 的 に 推 移 ) 水 素 濃 度 を 高 めるためのコストが 追 加 的 に 発 生 既 に 副 生 水 素 がボイラー 等 の 燃 料 と して 活 用 されている 場 合 代 替 燃 料 費 コストが 追 加 的 に 発 生 [ 出 典 ] 水 素 需 給 の 現 状 と 将 来 見 通 しに 関 する 検 討, NEDO 平 成 24 年 度 成 果 報 告 書 留 意 点 コークス 炉 ガスは 水 素 濃 度 が 低 いた め 精 製 により 純 度 を 上 げる 必 要 実 用 化 を 目 指 す 水 素 還 元 製 鉄 により 外 販 余 力 が 減 少 する 可 能 性 7

9 2-4. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 3( 副 生 水 素 ⅲ( 石 油 化 学 ) 既 設 目 的 生 産 ⅰ( 石 油 精 製 ) ) 石 油 精 製 の 過 程 では 一 部 副 生 水 素 が 発 生 するものの 全 て 脱 硫 等 に 用 い 水 素 が 不 足 するため 主 として ナフサ 等 から 製 造 し 追 加 投 入 している この 水 素 製 造 装 置 の 稼 働 率 を 上 げることで 外 部 へ 供 給 する 水 素 の 製 造 が 可 能 である( 追 加 供 給 には 追 加 の 原 料 投 入 が 必 要 であり 副 生 ではない) また 石 油 化 学 におけるエチレンの 製 造 プロセスでも 副 生 水 素 が 発 生 しており 一 部 は 外 販 されている 石 油 精 製 石 油 化 学 由 来 の 水 素 石 油 精 製 のプロセスでは 一 定 の 副 生 水 素 が 発 生 するもの の 脱 硫 等 に 用 いられる 水 素 の 分 量 が 多 いため 不 足 分 は 水 素 製 造 装 置 によりナフサ 等 から 製 造 して 用 いている 水 素 製 造 装 置 の 余 力 を 用 いれば 追 加 的 な 水 素 供 給 が 可 能 石 油 精 製 プロセス 石 油 化 学 実 化 状 況 環 境 性 安 定 性 実 用 段 階 ( 石 油 精 製 石 油 化 学 のプロセスに 導 入 ) 石 油 精 製 では 外 部 に 供 給 する 水 素 を 水 素 製 造 装 置 で 製 造 する 過 程 でCO2 が 余 分 に 発 生 石 油 化 学 では 副 生 水 素 は 燃 料 として も 使 用 されている 石 油 精 製 では 水 素 製 造 装 置 の 製 造 余 力 次 第 石 油 化 学 ではエチレン 製 造 設 備 の 稼 働 次 第 ( 近 年 減 少 傾 向 ) 経 済 性 石 油 精 製 では 現 状 水 素 製 造 装 置 に 余 力 があるものの 外 販 するためには 新 たに 出 荷 設 備 の 整 備 が 必 要 である また 原 料 や 化 石 燃 料 価 格 にも 依 存 出 典 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 留 意 点 製 油 所 の 閉 鎖 エチレン 製 造 設 備 の 停 止 により わが 国 における 石 油 精 製 能 力 エチレン 生 産 能 力 は 近 年 減 少 傾 向 にある 8

10 2-5. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 4( 既 設 目 的 生 産 ⅱ(アンモニア) ) アンモニア 製 造 は 水 素 に 空 気 中 の 窒 素 を 固 定 することで 行 う この 際 に 用 いられる 水 素 は 主 として 水 素 製 造 装 置 を 用 いて 化 石 燃 料 等 から 製 造 される このため 水 素 製 造 装 置 の 製 造 余 力 を 用 いてさらに 水 素 を 製 造 することは 可 能 であるものの 化 石 燃 料 高 騰 などにより アンモニア 自 体 が 海 外 輸 入 に 切 り 替 わってきており 将 来 的 な 供 給 は 厳 しい 状 況 アンモニア 製 造 由 来 の 水 素 アンモニア 製 造 は 水 素 に 空 気 から 分 離 した 窒 素 を 固 定 す ることで 行 う この 際 の 水 素 は 水 素 製 造 装 置 を 用 いて 化 石 燃 料 等 から 製 造 されており アンモニアの 年 間 生 産 量 101 万 トン(2012) を 踏 まえると 年 間 23 億 Nm3 程 度 の 水 素 が 用 いられる 水 素 製 造 装 置 空 気 分 離 アンモニア 製 造 プロセス H2 N2 合 成 アンモニア (NH3) 出 典 各 種 資 料 より 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 作 成 実 化 状 況 環 境 性 安 定 性 経 済 性 留 意 点 実 用 段 階 ( 既 にアンモニアの 製 造 プロセスに 導 入 ) 化 石 燃 料 を 用 いて 水 素 を 製 造 する 場 合 その 際 にCO2が 発 生 する 水 素 製 造 装 置 の 製 造 余 力 による ( 近 年 アンモニア 生 産 量 自 体 が 減 少 傾 向 ) 投 入 する 原 料 と 化 石 燃 料 の 価 格 による 水 素 製 造 装 置 に 余 力 はあるものの 国 内 でのアンモニア 製 造 需 要 の 動 向 に よって 水 素 製 造 装 置 の 運 用 も 動 くため 外 販 を 検 討 する 余 裕 はない 現 状 9

11 2-6. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 5( 新 設 目 的 生 産 ⅰ( 化 石 燃 料 等 改 質 ) ) 炭 化 水 素 からの 水 素 製 造 は 水 蒸 気 を 用 いてガス 化 する 水 蒸 気 改 質 法 などによって 行 われており 製 油 所 やアンモニア 製 造 所 における 水 素 製 造 装 置 にも 用 いられている この 他 工 業 用 に 小 型 の 水 素 製 造 装 置 の 販 売 も 行 われており 水 素 ステーション 向 けの 水 素 製 造 装 置 も 開 発 されている また 原 料 となる 炭 化 水 素 についても メタノールや 下 水 汚 泥 由 来 のメタンなど 幅 広 いものが 使 用 される 化 石 燃 料 由 来 の 水 素 炭 化 水 素 系 の 燃 料 を 高 温 (800 )で 水 蒸 気 と 反 応 させる ことでCO2と 水 素 を 製 造 するプロセス 水 蒸 気 改 質 による 水 素 製 造 プロセス 水 蒸 気 改 質 反 応 実 化 状 況 環 境 性 実 用 段 階 ( 国 内 で 多 数 導 入 済 み) 水 素 製 造 に 伴 いCO2が 発 生 する 一 酸 化 炭 素 シフト 反 応 安 定 性 水 蒸 気 改 質 法 では 水 素 の 大 規 模 かつ 安 定 的 な 供 給 が 可 能 出 所 JX 日 鉱 日 石 エネルギー 石 油 便 覧 経 済 性 従 来 からの 反 応 プロセスであり 広 く 実 用 化 されており 一 定 の 経 済 性 は ある 出 典 大 阪 ガス 水 素 ステーション 向 けのコン パクトな 改 質 装 置 (300Nm3 /h)も 開 発 されている 出 典 豊 田 通 商 下 水 処 理 場 から 生 ずるメタンから 水 素 を 取 り 出 し 水 素 ステーション 等 に 用 い るための 実 証 も 進 められている 留 意 点 発 生 する 水 素 は95~97% 程 度 の 純 度 のため 燃 料 電 池 や 工 業 用 に 用 い るためには PSA( 圧 力 スイング 吸 着 法 ) 等 による 精 製 も 必 要 となる 10

12 2-7. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 6( 新 設 目 的 生 産 ⅱ( 水 電 解 ) ) 水 の 電 気 分 解 による 水 素 製 造 は 技 術 的 には 確 立 しており 工 業 用 向 けに 中 小 規 模 の 水 素 製 造 装 置 が 普 及 している 今 後 再 生 可 能 エネルギーからの 水 素 製 造 を 行 っていくためには 大 規 模 かつ 低 コストで 再 生 可 能 エネル ギーの 負 荷 変 動 に 対 応 可 能 な 水 素 製 造 装 置 の 開 発 が 必 要 となる 水 電 解 由 来 の 水 素 アルカリ 性 の 溶 液 に 電 流 を 流 すことによって 水 素 と 酸 素 を 取 り 出 す アルカリ 水 電 解 による 水 素 製 造 プロセス 実 化 状 況 環 境 性 実 用 化 段 階 ( 工 業 用 向 けに 製 品 販 売 ) 大 規 模 なものは 研 究 開 発 中 水 電 解 に 用 いる 電 源 の 構 成 による 再 エネからの 水 電 解 はCO2フリーとな る 安 定 性 水 電 解 に 用 いる 電 源 の 安 定 性 による 再 生 可 能 エネルギーを 用 いる 場 合 に は 出 力 が 不 安 定 小 型 の 水 電 解 装 置 は 工 業 用 に 多 数 導 入 されている 出 典 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 低 コストアルカリ 水 電 解 システムの 開 発 経 済 性 理 論 値 でも1m3の 水 素 製 造 に3.6kWh の 電 力 ( 現 実 は5~6kWh)が 必 要 であ り 電 力 コストが 相 当 程 度 安 くないと 高 コスト 再 生 可 能 エネルギーなどにより 発 電 された 電 力 を 用 いて 水 素 を 製 造 する 水 電 解 システムについて 大 型 化 す るとともにより 低 コスト 高 効 率 と なるよう 技 術 開 発 を 行 っている 留 意 点 水 素 製 造 の 効 率 向 上 大 規 模 化 へ の 対 応 再 エネの 負 荷 変 動 への 対 応 などが 今 後 の 課 題 11

13 2-8. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 7( 将 来 技 術 ⅰ( 光 触 媒 )) 光 触 媒 に 太 陽 光 が 当 たることで 水 から 直 接 水 素 を 取 り 出 すことが 可 能 となる 太 陽 光 発 電 と 同 様 に 天 候 に 左 右 されるものの 将 来 的 に 実 用 化 されれば CO2フリーで 水 素 を 製 造 すること が 可 能 なため 期 待 される 技 術 光 触 媒 による 水 素 生 産 太 陽 光 により 水 から 水 素 を 取 り 出 すことができる 光 触 媒 を 用 いて 水 素 を 製 造 するプロセス 光 触 媒 による 水 素 製 造 プロセス 水 素 (H 2 ) 酸 素 (O 2 ) 実 化 状 況 環 境 性 研 究 開 発 段 階 製 造 段 階 でのCO2の 排 出 はない H 2 O H 2 O 光 触 媒 の 実 用 化 に 向 けた 研 究 開 発 水 や 二 酸 化 炭 素 を 原 料 に 太 陽 エネル ギーを 用 いてプラスチック 原 料 等 の 基 幹 化 学 品 を 製 造 するプロセス 開 発 の 一 環 として 水 から 水 素 を 製 造 する 光 触 媒 の 研 究 開 発 を 行 っている 光 触 媒 太 陽 光 光 触 媒 の 変 換 効 率 の 目 標 : H26:1%;H28:3%;H31:7%;H33:10% 安 定 性 経 済 性 留 意 点 天 候 に 左 右 される 太 陽 光 発 電 と 同 様 に 水 素 生 産 プロセ スでは 太 陽 光 と 水 しか 使 わないため ランニングコストは 安 価 であるものの 初 期 投 資 や 広 い 設 置 面 積 が 必 要 とな る 実 用 的 なプラントには 約 10%の 光 触 媒 の 変 換 効 率 が 必 要 とされ( 現 状 では 約 1%) 太 陽 光 利 用 率 の 高 い 光 触 媒 材 料 の 開 発 が 必 須 12

14 2-9. 個 別 の 水 素 製 造 技 術 8( 将 来 技 術 ⅱ(ISプロセス)) 水 を 熱 により 直 接 分 解 しようとすると4000 以 上 の 超 高 温 が 必 要 となるが 複 数 の 化 学 反 応 を 組 み 合 わせ て 1000 以 下 の 熱 で 水 を 分 解 することが 可 能 となる 例 えば ヨウ 素 (I)と 硫 黄 (S)の 化 合 物 を 用 いたISプロセスでは 900 程 度 の 温 度 により 水 素 の 製 造 が 可 能 となり 熱 源 としては 高 温 ガス 炉 の 利 用 も 検 討 されている ISプロセスによる 水 素 ヨウ 素 と 硫 黄 の 化 合 物 を 用 いて 複 数 の 化 学 反 応 を 組 み 合 わせることで 900 の 熱 で 水 素 の 製 造 が 可 能 実 化 状 況 研 究 開 発 段 階 ISプロセスによる 水 素 製 造 プロセス 環 境 性 熱 源 により 異 なる 高 温 ガス 炉 を 用 い ればCO2 排 出 はほぼゼロとなる 安 定 性 安 定 供 給 が 可 能 経 済 性 熱 源 により 設 備 設 置 のコストが 異 な る 出 所 独 立 行 政 法 人 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 13

15 2-10. 水 素 の 製 造 方 法 (まとめ1) 様 々な 水 素 の 製 造 方 法 は 1 副 生 水 素 2 既 存 設 備 による 目 的 生 産 3 新 規 設 備 による 目 的 生 産 4 将 来 技 術 に 分 類 することが 出 来 る 追 加 的 なコストは 1が 最 も 低 く 3が 高 い 状 況 となるが 1の 製 造 可 能 量 は 目 的 生 産 物 の 製 造 量 によって も 変 わってくるため 簡 単 に 融 通 ができない 可 能 性 もある 各 水 素 製 造 方 法 に 対 する 追 加 的 な 水 素 活 用 に 向 けた 考 え 方 水 素 発 生 の 概 要 追 加 活 用 に 向 けた 考 え 方 副 生 水 素 苛 性 ソーダ 鉄 鋼 石 油 化 学 目 的 生 産 物 の 生 産 に 伴 い 副 次 的 に 水 素 が 発 生 ( 設 備 の 新 設 は 不 要 ) 水 素 製 造 量 は 目 的 生 産 物 の 生 産 状 況 に 依 存 する 追 加 的 なCO2 排 出 や 設 備 コストは 少 なく 済 む ただし 副 生 水 素 が 既 に 発 電 用 燃 料 等 に 活 用 されている 場 合 には それを 代 替 する 燃 料 等 による 追 加 コスト CO2 排 出 が 発 生 目 的 生 産 ( 既 存 設 備 ) 石 油 精 製 アンモニア 工 業 プロセスに 用 いるために 既 存 の 水 素 製 造 装 置 を 活 用 ( 設 備 の 新 設 は 不 要 ) 本 来 目 的 に 活 用 して いない 製 造 余 力 によ り 水 素 を 製 造 追 加 的 な 設 備 コストは 少 なくて 済 むが 水 素 の 製 造 のためには 追 加 的 に 燃 料 を 投 入 する 必 要 があり CO2やコストも 追 加 的 に 発 生 目 的 生 産 ( 新 規 設 備 ) 化 石 燃 料 改 質 水 電 解 追 加 的 に 設 備 を 設 置 して 水 素 を 製 造 製 造 能 力 は 設 備 の 新 設 状 況 次 第 新 たに 設 備 コストや 燃 料 電 力 コ ストが 必 要 となる 将 来 技 術 光 触 媒 ISプロセス 将 来 的 な 活 用 が 期 待 される 新 規 技 術 技 術 が 実 用 化 されれば 活 用 が 可 能 (いずれも 新 規 設 備 による 目 的 生 産 ) 14

16 2-11. 水 素 の 製 造 方 法 (まとめ2:CO2 排 出 量 ) 水 素 の 製 造 プロセスで 生 ずるCO2 排 出 については 再 生 可 能 エネルギーを 用 いた 水 電 解 を 行 った 場 合 には 非 常 に 少 ない また 副 生 水 素 ( 苛 性 ソーダ 鉄 鋼 石 油 化 学 )については 副 次 的 に 発 生 する 点 を 踏 まえると CO2の 排 出 は 非 常 に 少 ないと 考 えられるものの 既 にこれらの 副 生 水 素 がボイラー 等 の 燃 料 として 用 いられている 場 合 には 代 替 燃 料 として 化 石 燃 料 を 用 いるケースが 想 定 されるため その 分 のCO2が 追 加 的 に 排 出 されること となる 各 製 造 方 法 のCO2 排 出 量 比 較 CO2 排 出 量 (kg CO2/Nm3 H2) 備 考 苛 性 ソーダ 0.89~1.16 ( 重 油 代 替 ~ 石 炭 代 替 ) 副 生 水 素 鉄 鋼 1.00~1.28 ( 重 油 代 替 ~ 石 炭 代 替 ) COGからの 水 素 分 離 のためにPSAを 想 定 系 統 電 力 のCO2 排 出 係 数 は2010 年 の0.35kgCO2/kWh を 想 定 石 油 化 学 N.A. 目 的 生 産 ( 既 存 設 備 ) 目 的 生 産 ( 新 規 設 備 ) 石 油 精 製 アンモニア 化 石 燃 料 等 改 質 水 電 解 0.95, 1.08, 1.13 ( 都 市 ガス, LPG,ナフサ) 0.00~1.78 ( 再 生 可 能 エネルギー~ 系 統 電 力 ) 改 質 効 率 は70%を 想 定 改 質 後 は 水 素 精 製 にPSAを 想 定 系 統 電 力 のCO2 排 出 係 数 は2010 年 の0.35kgCO2/kWh を 想 定 電 解 効 率 は70%を 想 定 系 統 電 力 のCO2 排 出 係 数 は2010 年 の0.35kgCO2/kWh を 想 定 将 来 技 術 光 触 媒 ISプロセス 注 :ライフサイクルCO2は 考 慮 していない 製 造 段 階 では 排 出 無 し 熱 源 のCO2 排 出 量 による 15

17 参 考 各 製 造 方 法 のCO2 排 出 量 推 計 方 法 各 製 造 方 法 のCO2 排 出 量 推 計 方 法 推 計 方 法 前 提 条 件 副 生 水 素 目 的 生 産 ( 既 存 設 備 ) 目 的 生 産 ( 新 規 設 備 ) 苛 性 ソーダ 鉄 鋼 石 油 化 学 石 油 精 製 アンモニア 化 石 燃 料 等 改 質 水 電 解 所 内 でボイラ 等 に 燃 焼 利 用 されている 水 素 を 代 替 するために 必 要 な 化 石 燃 料 (A 重 油 B C 重 油 LPG 都 市 ガス 石 炭 )の 量 を 水 素 等 価 熱 量 をベースに 推 計 水 素 は 高 純 度 であることから 水 素 精 製 に 係 るエネルギー 投 入 は 考 慮 しない COGからH2をPSAによって 取 り 除 いた 後 の 他 のガスはCOG 系 統 へ 戻 されること から 所 内 でボイラ 等 に 燃 焼 利 用 されているCOG 含 有 中 の 水 素 を 代 替 するため に 必 要 な 化 石 燃 料 (A 重 油 B C 重 油 LPG 都 市 ガス 石 炭 )の 量 を 水 素 等 価 熱 量 をベースに 推 計 PSA 用 電 力 原 単 位 は0.33kWh/Nm3 H2( 水 素 社 会 における 水 素 供 給 者 のビジ ネスモデルと 石 油 産 業 の 位 置 付 けに 関 する 調 査 報 告 書, 石 油 産 業 活 性 化 セン ター, 平 成 15 年 )を 想 定 N.A. 水 素 製 造 に 石 油 精 製 ではナフサやLPG アンモニア 製 造 では 化 石 燃 料 全 般 を 使 用 していることから 都 市 ガス LPG ナフサを 対 象 として 推 計 改 質 後 は 水 素 精 製 にPSAを 想 定 PSA 用 電 力 原 単 位 は 鉄 鋼 のCOGと 同 じ 値 を 使 用 しているが 改 質 後 の 混 合 ガス 成 分 が 異 なるため 実 際 とは 異 なると 考 えら れる 電 解 効 率 は70%を 想 定 系 統 電 力 のCO2 排 出 係 数 は2010 年 の0.35kgCO2/kWhを 想 定 ( ) 過 去 の 各 種 調 査 より 抜 粋 しており 必 ずしも 同 じ 前 提 に 従 って 計 算 されたものではない 16

18 2-12. 水 素 の 製 造 方 法 (まとめ3: 経 済 性 ) 各 製 造 方 法 の 経 済 性 製 造 コスト ( 円 /Nm3) 備 考 副 生 水 素 目 的 生 産 ( 既 存 設 備 ) 目 的 生 産 ( 新 規 設 備 ) 苛 性 ソーダ 20 各 種 資 料 からの 引 用 であり 詳 細 は 不 明 鉄 鋼 24~32 石 油 化 学 20 各 種 資 料 からの 引 用 であり 詳 細 は 不 明 石 油 精 製 アンモニア 化 石 燃 料 等 改 質 水 電 解 23~37 N.A. 31~58 ( )ランニングのみ 84( 系 統 電 力 ) 76~136 ( 風 力 ~ 太 陽 光 ) ( )ランニングのみ 各 種 資 料 から12~20 円 /Nm3 水 素 社 会 における 水 素 供 給 者 のビジネスモデルと 石 油 産 業 の 位 置 付 けに 関 する 調 査 報 告 書, 石 油 産 業 活 性 化 センター, 平 成 15 年 )では16.3 円 /Nm3であるが 最 新 のエネル ギー 価 格 に 基 づくと28.1 円 /Nm3となり 上 記 の 価 格 に 比 べ12 円 の 上 昇 各 種 資 料 から10~24 円 /Nm3 水 素 社 会 における 水 素 供 給 者 のビジネスモデルと 石 油 産 業 の 位 置 付 けに 関 する 調 査 報 告 書, 石 油 産 業 活 性 化 センター, 平 成 15 年 )では11.1 円 /Nm3であるが 最 新 のエネル ギー 価 格 に 基 づくと23.7 円 /Nm3となり 上 記 の 価 格 に 比 べ13 円 の 上 昇 改 質 器 の 設 備 費 等 は 含 まない 改 質 効 率 を70%と 想 定 都 市 ガス( 工 業 商 業 用 )1.7 円 /MJ, A 重 油 1.4 円 /MJ, LPG2.9 円 /MJ, ナフサ1.8 円 /MJ PSA 用 電 力 は0.33kWh/Nm3 H 年 の 電 力 平 均 単 価 16.5 円 /kwh 電 解 装 置 の 設 備 費 等 は 含 まない 電 解 効 率 を70%と 想 定 系 統 電 力 は2012 年 の 電 力 平 均 単 価 16.5 円 /kwh 調 達 価 格 算 定 委 員 会 資 料 に 基 づき 風 力 発 電 は30 万 円 /kw, 太 陽 光 は10kW 以 上 を29 万 円 /kw, 10kW 未 満 を38.5 万 円 /kwとし コスト 等 検 証 委 員 会 の 手 法 により 発 電 単 価 を 推 計 すると 各 々14.9 円 /kwh, 23.6 円 /kwh, 26.8 円 /kwh 水 素 製 造 は 発 電 サイトでの 電 解 を 想 定 していることから 送 電 コストは 含 まない ( ) 過 去 の 各 種 調 査 より 抜 粋 しており 必 ずしも 同 じ 前 提 に 従 って 計 算 されたものではない また 電 力 料 金 化 石 燃 料 価 格 等 の 上 昇 等 に 伴 い 現 在 コストが 高 くなっているものもあると 想 定 される 17

19 3. 水 素 の 輸 送 貯 蔵

20 3-1. 水 素 の 輸 送 貯 蔵 方 法 ( 総 論 ) 水 素 は 体 積 当 たりのエネルギー 密 度 が 低 く( 天 然 ガスの1/3 程 度 ) これをどのような 手 段 で 高 い 密 度 に 維 持 しつつ 輸 送 貯 蔵 するかが 課 題 となる これに 加 え 水 素 の 製 造 方 法 や 利 用 方 法 供 給 地 と 需 要 地 の 距 離 等 によって 様 々な 方 法 が 考 えられる 水 素 の 輸 送 貯 蔵 方 法 製 造 輸 送 貯 蔵 利 用 水 素 ステーション 石 油 天 然 ガス 等 化 石 燃 料 高 圧 ガス 水 素 製 鉄 所 化 学 工 場 等 からの 副 産 物 自 然 エネルギー 水 素 液 体 水 素 水 素 燃 料 電 池 自 動 車 有 機 ハイドライド 分 散 型 電 源 バイオマス パイプライン 水 素 発 電 etc 19

21 3-2. 個 別 の 水 素 輸 送 貯 蔵 技 術 1( 高 圧 ガス) 水 素 の 供 給 地 と 需 要 地 に 一 定 の 距 離 がある 場 合 には 圧 縮 に 一 定 のエネルギーを 要 するものの 水 素 を 高 圧 ガスの 形 で 運 搬 する 方 法 が 広 く 活 用 されている 水 素 の 利 用 先 が 燃 料 電 池 自 動 車 の 場 合 には 最 終 的 に70MPa 以 上 に 昇 圧 する 必 要 があることから 運 搬 時 の 圧 縮 に 用 いたエネルギーは 無 駄 にならない このため 輸 送 効 率 を 更 に 向 上 させるため 45MPaでの 水 素 輸 送 を 可 能 とする 規 制 見 直 しも 行 われている 高 圧 ガスによる 水 素 の 輸 送 貯 蔵 水 素 を 高 圧 に 圧 縮 し ボンベ 等 で 輸 送 貯 蔵 実 用 化 状 況 既 に 外 販 用 の 水 素 輸 送 方 法 として 普 及 水 素 貯 蔵 利 用 輸 送 効 率 例 えば20MPaであれば 常 圧 の 状 態 に 比 べて 約 200 分 の1に 圧 縮 が 可 能 圧 縮 カードルやトレーラーで 輸 送 ( ) 既 存 のトレーラー 輸 送 は20MPaが 中 心 国 内 における 高 圧 ガス 輸 送 に 関 する 規 制 見 直 し 圧 縮 水 素 運 送 自 動 車 用 容 器 の 最 高 充 填 圧 力 を35MPaから45MPaに 引 き 上 げるための 技 術 基 準 の 整 備 を 実 施 済 み エネルギー 投 入 経 済 性 圧 縮 に 一 定 のエネルギーを 要 する 圧 縮 機 や 高 圧 で 貯 蔵 するタンクなどについ ては 低 コスト 化 に 向 けて 更 なる 技 術 開 発 が 必 要 NEDOプロジェクトで 実 証 された45MPaトレーラー 留 意 点 高 圧 にすることにより 取 扱 いには 注 意 が 必 要 であり 高 圧 ガス 保 安 法 等 の 法 規 へ の 対 応 が 必 要 20

22 3-3. 個 別 の 水 素 輸 送 貯 蔵 技 術 2( 液 化 水 素 ) 水 素 は-253 で 液 化 し 体 積 もガスに 比 べて 約 800 分 の1となるため 液 化 水 素 の 形 で 輸 送 貯 蔵 すると 通 常 のガスや 圧 縮 ガスに 比 べて 効 率 が 高 くなる 液 化 水 素 は 従 来 ロケット 用 燃 料 として 用 いられていたが 近 年 工 業 用 の 水 素 供 給 に 占 める 割 合 も 高 まっ てきている 液 化 水 素 による 水 素 の 輸 送 貯 蔵 水 素 を-253 まで 冷 却 することで 液 化 させ 輸 送 貯 蔵 を 行 う 実 用 化 状 況 従 来 はロケット 用 燃 料 として 用 いられ 近 年 では 工 業 用 の 水 素 輸 送 方 法 として 普 及 水 素 貯 蔵 利 用 輸 送 効 率 常 圧 のガス 状 態 に 比 べて 約 800 分 の1の 体 積 に 圧 縮 することが 可 能 液 化 液 化 水 素 トレーラーで 輸 送 国 内 における 液 化 水 素 の 活 用 エネルギー 投 入 液 化 に 一 定 のエネルギーを 要 する ( 百 万 Nm3) 産 業 ガス 向 けの 液 化 水 素 販 売 は 増 加 傾 向 [ 出 典 ]ガスレビュー [ 出 典 ] 岩 谷 産 業 LNGの 冷 熱 等 を 活 用 して 効 率 よく 水 素 を 液 化 する 取 組 も 国 内 で 行 われている 経 済 性 留 意 点 液 化 には 大 規 模 な 設 備 が 必 要 となるた め 設 備 コストが 高 まる 一 定 の 割 合 で 気 化 (ボイルオフ)するため 輸 送 貯 蔵 用 の 容 器 の 技 術 開 発 などによ り これを 減 少 させることが 必 要 また 法 令 上 は 高 圧 ガス となるため 高 圧 ガス 保 安 法 等 の 法 規 への 対 応 も 必 要 21

23 3-4. 個 別 の 水 素 輸 送 貯 蔵 技 術 3( 有 機 ハイドライド) 水 素 をトルエン 等 の 有 機 物 に 化 合 させて 有 機 ハイドライドの 形 で 輸 送 貯 蔵 を 行 い 脱 水 素 して 水 素 を 用 いる 形 態 についても 実 用 化 段 階 にあり 検 討 が 進 められている 有 機 ハイドライドは 体 積 も 通 常 のガスに 比 べて 約 600 分 の1 程 度 になることに 加 えて 既 存 の 化 学 物 質 を 輸 送 貯 蔵 するインフラを 活 用 することが 可 能 有 機 ハイドライドによる 水 素 の 輸 送 貯 蔵 水 素 をトルエンに 化 合 させてメチルシクロヘキサンの 形 に して 輸 送 貯 蔵 需 要 地 で 脱 水 素 して 水 素 を 活 用 水 素 トルエン MCH 水 素 水 素 を 化 合 ケミカルローリー 等 により 輸 送 脱 水 素 貯 蔵 利 用 有 機 ハイドライドによる 水 素 ステーションへの 水 素 輸 送 水 素 ステーション トルエンは 再 利 用 脱 水 素 水 素 燃 料 電 池 自 動 車 メチルシクロ ヘキサン 将 来 的 には メチルシクロヘキサ ンを 水 素 ステーションに 運 び オ ンサイトで 脱 水 素 して 燃 料 電 池 自 動 車 に 供 給 することも 検 討 さ れている このためには 脱 水 素 装 置 の 小 型 化 に 向 けた 技 術 開 発 が 必 要 実 用 化 状 況 輸 送 効 率 エネルギー 投 入 経 済 性 留 意 点 脱 水 素 のための 触 媒 について 研 究 が 進 め られており 実 用 化 段 階 に 達 しつつある 常 圧 のガス 状 態 に 比 べて 約 500 分 の1の 体 積 に 脱 水 素 に 一 定 のエネルギーを 要 する 水 素 化 合 脱 水 素 には 一 定 の 投 資 が 必 要 であるが 常 温 常 圧 での 輸 送 貯 蔵 が 可 能 であり 既 存 の 輸 送 貯 蔵 手 段 でも 対 応 可 能 水 素 キャリアとしての 利 用 が 想 定 されてい ないため 各 種 規 制 について 対 応 が 必 要 22

24 3-5. 個 別 の 水 素 輸 送 貯 蔵 技 術 4(パイプライン) 水 素 の 輸 送 手 段 としては 都 市 ガスと 同 様 にパイプラインで 輸 送 するケースも 考 えられる 国 内 においても 工 業 用 の 水 素 をコンビナートや 近 傍 の 化 学 工 場 等 の 間 でパイプラインを 通 じて 融 通 している 例 がある また 北 九 州 市 の 水 素 利 用 社 会 システム 構 築 実 証 事 業 ( 経 済 産 業 省 )の 一 環 として 整 備 された 水 素 タウン においては 近 傍 の 製 鉄 所 で 生 じる 副 生 水 素 を 水 素 ステーションや 実 証 用 の 家 庭 用 燃 料 電 池 に 供 給 してお り 水 素 源 との 距 離 や 需 要 の 度 合 いによって 将 来 的 にこうしたケースも 考 えられる パイプラインによる 水 素 の 輸 送 貯 蔵 水 素 を 気 体 のままパイプラインに 流 すことで 需 要 地 まで 輸 送 水 素 パイプライン 北 九 州 水 素 タウン 実 証 における 水 素 パイプライン 製 鉄 所 で 生 ずる 副 生 水 素 をパイプラ インで 近 傍 に 供 給 し 水 素 ステーショ ンでの 水 素 供 給 や 純 水 素 型 の 燃 料 電 池 を 用 いた 電 力 供 給 などを 行 って いる [ 出 典 ]HySUT 貯 蔵 利 用 実 用 化 状 況 輸 送 効 率 エネルギー 投 入 経 済 性 留 意 点 コンビナート 等 における 工 業 用 水 素 の 輸 送 手 段 としては 用 いられており 海 外 でも 大 規 模 長 距 離 の 工 業 用 水 素 輸 送 が 行 われ ている 大 量 の 水 素 を 安 定 的 に 輸 送 可 能 特 段 無 し 大 規 模 なインフラ 投 資 が 必 要 となり 初 期 コストが 大 きい 水 素 パイプラインの 設 計 施 工 維 持 管 理 に 係 る 安 全 性 確 保 について 検 討 が 必 要 23

25 3-6. 個 別 の 水 素 輸 送 貯 蔵 技 術 5( 将 来 技 術 ) この 他 にも 水 素 の 将 来 的 な 輸 送 貯 蔵 技 術 として 様 々な 手 法 が 検 討 されている 水 素 NH3 アンモニア として 輸 送 貯 蔵 将 来 的 な 水 素 の 輸 送 貯 蔵 技 術 アンモニア 水 素 吸 蔵 合 金 メタン 化 水 素 のキャリアとしてアンモニアを 活 用 することも 検 討 されている 実 用 化 状 況 脱 水 素 直 接 利 用 水 素 利 用 将 来 の 活 用 に 向 けて 大 学 や 研 究 機 関 で の 技 術 開 発 が 進 められている メリット アンモニアは 室 温 でも 容 易 に 液 化 可 能 であ り 液 化 水 素 に 比 較 しても 倍 程 度 の 高 い 体 積 水 素 密 度 を 有 する 課 題 強 アルカリ 性 で 刺 激 臭 の 強 い 物 質 であり エネルギーキャリアとして 用 いる 場 合 には 取 扱 いに 注 意 が 必 要 となる また 低 コストのアンモニア 製 造 水 素 を 取 り 出 すためのアンモニア 分 解 を 容 易 とする 手 法 の 開 発 が 今 後 必 要 合 金 に 水 素 原 子 を 吸 蔵 させることで 水 素 を 輸 送 貯 蔵 する 水 素 吸 蔵 合 金 についても 開 発 が 行 われている 実 用 化 状 況 大 学 等 での 研 究 開 発 や 一 部 企 業 による 商 品 化 に 向 けた 取 組 も 進 められている メリット 常 圧 のまま 水 素 を 貯 蔵 することが 可 能 であ り 取 扱 いが 容 易 また 体 積 水 素 密 度 も 液 化 水 素 より 高 い 課 題 合 金 自 体 が 重 いため 重 量 当 たりの 水 素 貯 蔵 量 が 低 い ニッケル 水 素 蓄 電 池 に 広 く 使 用 されているが その 他 用 途 は 潜 水 艇 な ど 限 定 的 広 範 な 活 用 に 向 けては 低 コス トかつ 重 量 当 たりの 貯 蔵 量 を 高 くする 技 術 開 発 が 必 要 水 素 を 二 酸 化 炭 素 と 反 応 させること でメタン(CH 4 )に 変 化 させ そのまま 都 市 ガス 導 管 に 流 したり 燃 料 とし て 用 いる 取 組 も 検 討 されている メタン 化 装 置 H 2 CH 4 CO 2 + 4H 2 CH 4 +2H 2 O 実 用 化 状 況 既 存 ガスインフラ への 供 給 燃 料 として 使 用 研 究 開 発 や 実 証 が 進 められている メリット 利 用 時 には 天 然 ガスと 変 わらないため 既 存 のインフラが 活 用 可 能 課 題 CO2 分 離 回 収 の 効 率 向 上 や メタン 化 の 効 率 向 上 等 が 必 要 また メタン 化 に 伴 う 発 熱 反 応 によりエネル ギー 量 が 減 少 することから その 一 部 を 電 力 として 回 収 するなど 全 体 として 経 済 性 が 成 り 立 つようなシステム 設 計 も 必 要 24

26 3-7. 水 素 の 輸 送 貯 蔵 方 法 (まとめ) (kg) 特 に 将 来 的 に 水 素 ステーションへの 輸 送 貯 蔵 が 想 定 される 高 圧 ガス 液 体 水 素 有 機 ハイドライドについて 比 較 を 行 うと 高 圧 ガスに 比 べて 液 化 水 素 や 有 機 ハイドライドが 貯 蔵 性 に 優 れることが 分 かる 他 方 で 液 化 水 素 の 総 合 的 なエネルギー 効 率 は 現 時 点 では 高 いものではなく 有 機 ハイドライドについても 現 段 階 で 小 型 の 脱 水 素 が 実 用 化 していないため 将 来 に 向 けて 技 術 開 発 等 を 行 っていく 必 要 がある 14 m3 当 たり 水 素 貯 蔵 密 度 物 性 値 の 貯 蔵 密 度 ( 容 器 含 まず) 各 水 素 キャリアの 貯 蔵 密 度 の 比 較 メチル 液 化 シクロ 圧 縮 水 素 (MPa) 水 素 ヘキサン 高 圧 ガス 20MPaトレーラー 2300~3000m3/ 台 体 積 貯 蔵 密 度 kg-h2/m ( ) 水 素 5kgを 容 器 に 入 れた 場 合 の 貯 蔵 密 度 ( ) 水 素 の 運 搬 量 により 順 序 も 含 め 変 化 すると 考 えられる 出 典 水 素 利 用 技 術 集 成 より エネルギー 総 合 工 学 研 究 所 作 成 メチルシクロヘキサン 圧 縮 水 素 (70MPa) 圧 縮 水 素 (20MPa) 参 考 ガソリン 液 化 水 素 質 量 貯 蔵 密 度 wt% 液 化 水 素 液 化 水 素 ローリー 2 万 ~3.2 万 m3/ 台 メチルシクロヘキサン ケミカルローリー 1 万 m3/ 台 エネルギー 効 率 ( 1) CO2 排 出 量 ( 2) 水 素 ステーション 供 給 時 の 各 水 素 キャリアの 比 較 高 圧 ガス 液 化 水 素 メチル シクロ ヘキサン % ( 3) ( 4) % 55.7% 52.1% ( 3) ( 4) ( 1)チェーン 全 体 ( 採 掘 輸 送 精 製 からステ- ションでの 充 填 まで)の 効 率 ( 2)チェーン 全 体 ( 単 位 :kg-co 2 /m 3 -H 2 ) ( 3) 技 術 的 には 実 用 化 段 階 だが 2015 年 断 面 で は 水 素 ステーションの 稼 働 率 が 低 水 準 にとど まるため ボイルオフによるエネルギーロス が 多 数 発 生 ( 4) 水 素 ステーションで 脱 水 素 できるよう 脱 水 素 装 置 の 小 型 化 が 必 要 [ 出 典 ]NEDO 水 素 キャリアに 応 じたフィージビリ ティスタディ ( 平 成 20 年 度 ) 25

27 参 考 都 市 ガス 導 管 について1 都 市 ガスの 原 料 は 石 炭 系 から 始 まり 石 油 系 (1950 年 代 ) 天 然 ガス(1960 年 代 ~)へと 変 遷 都 市 ガス 機 器 の 用 途 開 発 ( 厨 房 給 湯 暖 房 生 産 用 熱 設 備 空 調 等 ) 等 の 需 要 開 発 に 関 する 取 組 と 需 要 が 見 込 める 地 域 でのインフラ 投 資 を 一 体 的 に 行 うことによって 都 市 ガス 導 管 が100 年 以 上 の 年 月 をかけて 供 給 ガスの 高 カロリー 化 を 伴 いながら 家 庭 等 の 細 部 にまでに 広 がっている 状 況 都 市 ガス 導 管 延 長 と 販 売 量 の 推 移 ( 東 京 ガス 管 内 ) 千 住 工 場 設 置 大 森 工 場 設 置 鶴 見 工 場 設 置 豊 洲 工 場 設 置 根 岸 工 場 設 置 袖 ヶ 浦 工 場 設 置 扇 島 工 場 設 置 ( 注 ) 赤 字 : 石 油 石 炭 系 工 場 黒 字 :LNG 工 場 出 典 ガス 事 業 便 覧 東 京 ガス 百 年 史 26

28 参 考 都 市 ガス 導 管 について2 都 市 ガス 導 管 は 都 市 ガスの 供 給 元 ( 製 造 元 出 荷 下 等 )を 起 点 として 需 要 の 開 拓 状 況 に 応 じて 周 辺 地 域 に 徐 々に 拡 大 都 市 ガス 導 管 網 の 変 遷 ( 東 京 ガスの 例 ) 石 炭 系 石 油 系 の 製 造 工 場 ( 千 住 豊 洲 大 森 鶴 見 )は 閉 止 1955 年 頃 の 導 管 網 ( 導 管 延 長 約 1.2 万 km) 2010 年 の 導 管 網 ( 導 管 延 長 約 5.3 万 km) 27

29 4. 水 素 需 給 の 将 来 見 通 し

30 4-1. 水 素 需 給 の 将 来 見 通 し( 試 算 の 一 例 ) NEDO 委 託 調 査 ( 委 託 先 :みずほ 情 報 総 研 )によれば 水 素 の 利 用 が 定 置 用 燃 料 電 池 や 燃 料 電 池 自 動 車 に とどまるのであれば 2030 年 の 水 素 の 自 家 消 費 を 除 く 需 要 ポテンシャル(= 年 間 30 億 Nm 3 程 度 )は 国 内 の 供 給 ポテンシャル(= 年 間 120~180 億 Nm 3 程 度 )で 満 たすことが 可 能 と 推 計 他 方 水 素 発 電 の 導 入 量 次 第 では 2030 年 の 水 素 需 要 (= 最 大 で 年 間 250 億 Nm 3 程 度 )は 国 内 の 供 給 (= 年 間 120~180 億 Nm 3 程 度 )だけでは 賄 えず 海 外 からの 水 素 輸 送 (= 年 間 90 億 Nm 3 程 度 )にも 頼 らざ るを 得 ないと 推 計 年 間 水 素 需 給 ( 億 Nm3) 海 外 供 給 10 国 内 供 給 110~170 水 素 需 給 の 将 来 見 通 し ( 試 算 の 一 例 ) 0~220 海 外 供 給 90 国 内 供 給 120~180 有 機 ハイドライド 液 化 水 素 製 油 所 の 水 素 製 造 装 置 余 力 による 水 素 ソーダ 工 業 鉄 鋼 業 からの 副 生 水 素 等 自 家 消 費 150 程 度 自 家 消 費 150 程 度 自 家 消 費 150 程 度 水 素 発 電 燃 料 電 池 自 動 車 外 販 水 素 ( 産 業 ガス) 製 油 所 等 自 家 消 費 分 参 考 値 ( 需 要 のみ) 需 要 供 給 需 要 供 給 出 典 NEDO 委 託 調 査 ( 委 託 先 :みずほ 情 報 総 研 ) 現 在 2015 年 2030 年 水 素 需 給 の 現 状 と 将 来 見 通 しに 関 する 検 討 (2012 年 ) 等 ( 注 ) 上 記 前 提 は 本 試 算 を 行 ったみずほ 情 報 総 研 が 行 ったヒアリング 調 査 結 果 等 を 踏 まえた より 資 源 エネルギー 庁 作 成 ものであり 資 源 エネルギー 庁 の 見 解 を 示 すものではない 29

31 4-2. 水 素 需 給 の 将 来 見 通 し( 試 算 の 一 例 ) 前 ページの 試 算 に 関 する 前 提 (ポイント) 水 素 の 供 給 ポテンシャル : 試 算 対 象 に 含 む : 試 算 対 象 に 含 めず 試 算 対 象 水 素 の 製 造 方 法 等 既 存 製 造 源 石 油 製 油 所 の 水 素 製 造 装 置 において 製 造 また 接 触 改 質 装 置 などの 各 装 置 から 副 生 水 素 が 発 生 化 学 苛 性 ソーダ 製 造 段 階 において 副 生 水 素 が 発 生 アンモニア ( 外 販 の 意 向 は 低 く 難 しい) 石 油 化 学 エチレン 等 (プラントはエネルギー 的 に 自 立 できるように 設 計 されてい ること 等 より 外 販 は 困 難 ) 鉄 鋼 COG ガスに 含 まれる 水 素 を 対 象 BFG LDG ( 水 素 含 有 率 が 低 いため 水 素 の 取 り 出 しは 非 現 実 的 ) 新 規 製 造 源 天 然 ガス 水 蒸 気 改 質 により 製 造 国 内 RE 海 外 海 外 から 輸 入 再 生 可 能 エネルギーからの 水 素 製 造 は 再 エネ 導 入 量 やコ ストが 不 透 明 であることから 含 まず ( 注 ) 上 記 前 提 は 本 試 算 を 行 ったみずほ 情 報 総 研 が 行 ったヒアリング 調 査 結 果 等 を 踏 まえたものであり 資 源 エネルギー 庁 の 見 解 を 示 すものではない 30

32 4-3. 水 素 需 給 の 将 来 見 通 し( 試 算 の 一 例 ) 前 ページの 試 算 に 関 する 前 提 (ポイント)< 続 > 水 素 の 需 要 ポテンシャル 試 算 対 象 水 素 の 利 用 方 法 等 既 存 用 途 外 販 水 素 ( 産 業 ガス) 半 導 体 生 産 金 属 熱 処 理 等 大 きな 変 化 がないものと 想 定 新 規 用 途 輸 送 用 乗 用 車 発 電 用 民 生 用 その 他 混 焼 発 電 その 他 都 市 ガス 混 合 産 業 用 家 庭 用 業 務 用 燃 料 電 池 自 動 車 (FCV)を 対 象 2015 年 1000 台 2030 年 200 万 台 を 想 定 (バス 大 型 貨 物 ともに2030 年 の 導 入 は 限 定 的 であるため 対 象 外 ) LNGと 混 焼 2015 年 時 点 での 導 入 は 想 定 せず 今 後 新 設 リプレースされるLNG 火 力 発 電 に50%の 水 素 が 混 合 されたケースを 想 定 ( 水 素 ガスタービン( 専 焼 ) IGFC 等 は 今 後 も 技 術 開 発 が 必 要 であり 既 存 火 力 への 混 焼 から 導 入 されると 想 定 ) ( 水 素 を 混 合 することによるユーザー 側 ( 一 部 )での 機 器 の 調 整 やLPG 混 合 等 の 必 要 性 に 対 し 効 果 ( 主 にCO 2 削 減 効 果 ) が 小 さく 事 業 者 の 受 容 性 が 低 いと 考 えられるため 対 象 外 ) ( 純 水 素 型 燃 料 電 池 の 導 入 は2030 年 には 限 定 的 であるため 対 象 外 ) : 試 算 対 象 に 含 む : 試 算 対 象 に 含 めず (コジェネとして 想 定 される 水 素 利 用 ガスタービンおよび 純 水 素 型 定 置 用 燃 料 電 池 の 導 入 は2030 年 には 限 定 的 であるため 対 象 外 ) ( 注 ) 上 記 前 提 は 本 試 算 を 行 ったみずほ 情 報 総 研 が 行 ったヒアリング 調 査 結 果 等 を 踏 まえたものであり 資 源 エネルギー 庁 の 見 解 を 示 すものではない ( 注 ) 水 素 発 電 の 混 焼 比 率 は 現 状 では5% 程 度 にとどまる 31

33 5. 海 外 からの 水 素 供 給

34 5-1. 海 外 からの 水 素 供 給 に 関 する 検 討 の 必 要 性 既 述 のとおり 水 素 発 電 が 導 入 されなければ 少 なくとも2030 年 までについては 国 内 の 水 素 需 要 は 国 内 の 水 素 供 給 によって 賄 うことが 可 能 との 試 算 もある 近 年 海 外 から 水 素 を 供 給 する 構 想 への 期 待 が 高 まっているが 海 外 からの 水 素 供 給 の 必 要 性 必 要 とな る 契 機 等 について 検 討 を 行 うべきではないか 液 化 水 素 による 水 素 輸 送 水 素 を-253 まで 冷 却 することで 液 化 させ 貯 蔵 有 機 ハイドライドによる 水 素 輸 送 トルエンを 水 素 と 反 応 させ メチルシクロヘキサンとして 貯 蔵 常 圧 のガス 状 態 に 比 べて800 分 の1 程 度 に 圧 縮 す ることが 可 能 液 体 水 素 タンカーの 貯 槽 は 陸 上 用 貯 槽 技 術 が 適 用 可 能 輸 送 船 の 製 造 にはLNGタンカーで 培 ったわが 国 の 造 船 技 術 が 適 用 可 能 常 圧 のガス 状 態 に 比 べて500 分 の1 程 度 に 圧 縮 すること が 可 能 常 温 常 圧 での 液 体 輸 送 が 可 能 で 取 扱 いが 容 易 トルエ ン メチルシクロヘキサンともにガソリンの 成 分 であり 化 学 品 としての 大 型 貯 蔵 技 術 が 既 に 確 立 商 業 技 術 実 証 プラント ガス 化 水 素 製 造 液 化 積 荷 液 化 水 素 輸 送 船 出 典 川 崎 重 工 業 出 典 千 代 田 化 工 建 設 33

35 5-2. 海 外 からの 水 素 供 給 の 契 機 1( 環 境 制 約 への 対 応 ⅰ(CCS)) 環 境 制 約 の 状 況 によっては 利 用 段 階 でCO2を 排 出 しない 水 素 の 需 要 が 高 まり 得 る ただし 水 素 製 造 国 でCO2を 排 出 する 手 法 ( 化 石 燃 料 改 質 等 )によって 製 造 された 水 素 を 国 内 に 輸 送 する 場 合 国 内 で 排 出 されていたCO2が 国 外 に 移 転 しただけにすぎないとの 評 価 もされ 得 る このため 水 素 製 造 国 において 排 出 されるCO2を 回 収 貯 留 するCCSのルールや 技 術 等 を 確 立 することが 必 要 なお 全 世 界 のCCSの 技 術 ポテンシャルは 約 2 兆 トン(= 現 在 の 排 出 量 の 約 70 年 分 相 当 )とされており[ 出 典 : IPCC CCSに 関 する 特 別 報 告 書 ] 2050 年 までにCO2を 半 減 させる 場 合 排 出 削 減 量 の14%は CCSにより 達 成 されると 評 価 されている[ 出 典 : IEA エネルギー 技 術 展 望 2012 ] 温 暖 化 対 策 を 行 わない 場 合 の 排 出 量 (57Gt) 温 暖 化 対 策 における 各 技 術 の 貢 献 原 子 力 8% 発 電 効 率 化 と 燃 料 転 換 3% 40 排 出 30 量 ( Gt 単 位 のGtは 十 億 (ギガ)トン ) 温 暖 化 対 策 を 行 った 場 合 の 排 出 量 (14Gt) 再 生 可 能 エネルギー 21% エネルギー 最 終 消 費 の 燃 料 転 換 12% CCS 14% エネルギー 最 終 消 費 の 燃 料 と 電 気 利 用 の 効 率 化 42% 年 出 典 IEA エネルギー 技 術 展 望

36 参 考 CCS( 二 酸 化 炭 素 回 収 貯 留 )の 一 連 の 流 れと 仕 組 み CCS( 二 酸 化 炭 素 回 収 貯 留 )とは 火 力 発 電 所 や 工 場 などで 排 出 されるCO2(Carbon dioxide)を 大 気 中 に 放 散 する 前 に 捕 らえて(Capture) 地 中 に 貯 留 する(Storage) 技 術 上 部 に 水 やガスを 透 さない 不 透 水 層 が 存 在 する 帯 水 層 を 選 んでCO2を 圧 入 すれば 長 期 間 にわたって 安 全 に 貯 留 できる 天 然 ガスや 石 油 は このような 地 層 構 造 に 長 期 間 蓄 えられている CCS( 二 酸 化 炭 素 回 収 貯 留 )の 概 要 分 離 回 収 輸 送 圧 入 海 上 施 設 より 圧 入 地 上 施 設 より 圧 入 パイプライン 輸 送 分 離 回 収 地 上 施 設 より 圧 入 パイプライ ン 輸 送 不 透 水 層 大 規 模 排 出 源 不 透 水 層 CO 2 陸 域 地 中 帯 水 層 CO 2 帯 水 層 の 顕 微 鏡 写 真 Pore( 空 隙 ) 部 分 に CO 2 を 貯 留 海 域 地 中 帯 水 層 出 典 公 益 財 団 法 人 地 球 環 境 産 業 技 術 研 究 機 構 35

37 5-3. 海 外 からの 水 素 供 給 の 契 機 2( 環 境 制 約 への 対 応 ⅱ( 再 エネの 活 用 )) 太 陽 光 エネルギーについては 我 が 国 では 年 間 1,000~1,500kWh/m2 程 度 の 日 射 であるのに 対 して サンベルト( 米 国 南 西 部 中 東 アフリカ 豪 州 南 欧 モンゴル メキシコ 南 米 等 )においては 年 間 2,000 ~2,500kWh/m2 程 度 の 大 きな 日 射 が 得 られる また 風 力 エネルギーについては 我 が 国 では 北 海 道 東 北 関 東 九 州 等 の 洋 上 の 風 況 は 比 較 的 恵 まれ ているものの 陸 上 の 風 況 は 各 国 と 比 較 して 芳 しくない 世 界 的 には 米 国 中 央 部 中 国 西 部 英 国 アルゼ ンチン 南 部 等 の 風 況 が 恵 まれている 将 来 的 には こうした 我 が 国 の 遠 隔 地 に 豊 富 に 賦 存 する 再 生 可 能 エネルギーを 有 効 に 活 用 するため 現 地 で 再 生 可 能 エネルギーを 活 用 して 水 素 を 製 造 し 海 外 から 水 素 輸 送 を 行 うこともあり 得 る 世 界 の 日 射 量 マップ 世 界 の 風 況 マップ 出 典 3TIER Inc 出 典 3TIER Inc 36

38 参 考 ロシア マガダン 州 からの 水 素 輸 送 構 想 ロシア マガダン 州 内 の 水 力 発 電 量 は 州 内 の 電 力 需 要 を 上 回 っており 多 くの 余 剰 電 力 が 存 在 するが 同 州 の 電 力 系 統 システムはロシアの 他 の 電 力 系 統 とは 未 接 続 であるため 当 該 余 剰 電 力 を 有 効 活 用 できていな い 状 況 こうした 状 況 下 において ロシア 水 力 発 電 大 手 のルスギドロ 社 とその 子 会 社 の 極 東 のロシア 東 部 電 力 社 (Rao Energy System Vostok 社 :RAO-V 社 )が マガダン 州 の 余 剰 水 力 電 力 から 水 電 解 によって 製 造 した 水 素 を 日 本 を 含 むアジアのマーケットに 液 化 水 素 で 供 給 するプロジェクトを 国 内 企 業 と 共 同 で 検 討 している ロシア マガダン 州 供 給 水 素 製 造 海 上 輸 送 水 素 輸 送 船 日 本 を 含 むアジア 諸 国 需 要 工 業 プロセス 利 用 余 剰 電 力 コンテナ 船 マガダン 燃 料 電 池 自 動 車 発 電 水 力 発 電 所 37

39 5-4. 海 外 からの 水 素 供 給 の 契 機 3( 経 済 的 メリット) 例 えば 豪 州 の 褐 炭 を 原 料 として 水 素 製 造 を 行 い 豪 州 連 邦 政 府 及 びビクトリア 州 政 府 が 推 進 しているCO2 分 離 回 収 貯 留 ハブプロジェクト(カーボンネット)を 利 用 することにより CO2フリーの 水 素 を 国 内 に 輸 入 した 場 合 2025 年 の 水 素 コストは30 円 /Nm 3 程 度 (CIFコスト)となるとの 試 算 がある この 程 度 のコストまで 低 減 すれば 導 入 初 期 においては 許 容 できるとのアンケート 結 果 もある さらに 設 備 機 器 の 大 型 化 や 大 量 輸 送 等 によって 更 なるコスト 低 減 が 期 待 される 豪 州 出 荷 : 238,500t/ 年 褐 炭 液 化 水 素 液 化 水 素 船 豪 州 褐 炭 を 活 用 した 水 素 輸 入 プロジェクトの 経 済 性 評 価 2025 年 CIFコスト 29.7 円 /Nm 3 水 素 輸 送 船 積 荷 基 地 水 素 液 化 将 来 更 なるコスト 低 減 ポテンシャル 設 備 機 器 の 大 型 化 大 量 輸 送 技 術 改 良 等 ( 回 答 数 ) CO2フリー 水 素 の 導 入 初 期 の 許 容 コスト 水 素 ハ イフ ライン 0.5 日 本 受 入 : 225,400t/ 年 水 素 製 造 9.7 燃 料 電 池 自 動 車 約 240 万 台 or 水 素 発 電 所 約 650MW CCS 褐 炭 燃 料 代 [ 出 典 ]エネルギー 総 合 工 学 研 究 所 CO2 フ リー 水 素 チェーン 実 現 に 向 けたアクションプラン 研 究 成 果 報 告 書 ( 平 成 24 年 度 ) 出 典 NEDO 委 託 調 査 低 品 位 炭 起 源 の 炭 素 フリー 燃 料 による 将 来 エネルギーシステム( 水 素 チェーンモデル)の 実 現 可 能 性 に 関 する 調 査 研 究 (2011 年 ) 等 により 資 源 エネルギー 庁 作 成 38

40 参 考 CO2-EOR (CO2 圧 入 による 石 油 増 進 回 収 法 ) 経 済 性 を 確 保 するための 取 組 として EORも 考 えられる EOR(Enhanced Oil Recovery( 石 油 増 進 回 収 法 ) )は ガスや 化 学 薬 品 を 油 層 中 に 注 入 し 原 油 と 高 圧 下 で 混 合 させて 油 層 内 の 原 油 の 流 動 性 を 改 善 す ることで 原 油 増 産 を 実 現 する 技 術 水 素 製 造 時 に 発 生 するCO2を 圧 入 することで(CO2-EOR) 原 油 増 産 の 対 価 を 得 ると 同 時 に CO2の 処 理 ( 封 じ 込 め)を 一 定 程 度 行 うことが 可 能 北 米 中 東 等 において 商 業 目 的 での 実 施 例 が 報 告 されている 改 質 /ガス 化 装 置 から 発 生 する CO 2 は 純 度 が 高 く( ) 分 離 回 収 プロセスを 経 ずに 圧 入 用 CO 2 として 利 用 可 能 CO2-EORの 概 要 CO 2 原 油 生 産 期 間 中 は 圧 入 した CO2の 一 部 は 原 油 随 伴 ガス とともに 生 産 井 から 排 出 され る このCO 2 は 回 収 され 再 度 圧 入 に 利 用 される 発 電 所 からの 排 ガスと 異 なり 空 気 中 の 窒 素 などを 含 まない CO 2 CO 2 回 収 分 離 CO 2 と 随 伴 ガス を 分 離 天 然 ガス 等 水 素 改 質 /ガス 化 天 然 カ ス 石 油 石 炭 等 を 原 料 に 水 素 を 製 造 圧 縮 油 井 への 注 入 の 為 に 超 臨 界 まで 加 圧 気 液 分 離 液 体 ( 原 油 )と 気 体 ( 随 伴 ガス CO2 等 ) に 分 離 原 油 燃 料 ( 天 然 カ ス 石 油 石 炭 等 ) 2 C O 圧 入 井 生 産 井 随 伴 原 ガ油 ス キャップロック 油 層 出 典 ( 一 財 ) 機 械 システム 振 興 協 会 CDM(クリーン 開 発 メカニズム) 推 進 のためのCO2 回 収 EOR(Enhanced Oil Recovery)システム 技 術 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 より 作 成 39

41 5-5. 海 外 からの 水 素 供 給 に 関 する 主 な 課 題 1 導 入 初 期 においては 単 線 の 供 給 ルートとなるため 小 ロットで 効 率 が 悪 く コストが 高 止 まりしがち 普 及 期 においては ネットワークの 供 給 ルートとなるため 大 ロットで 効 率 が 向 上 し コストが 低 減 この 導 入 初 期 と 普 及 期 の 断 絶 を 如 何 にクリアするかが 課 題 なお LNG 受 入 の 際 には 需 要 側 と 供 給 側 のそれぞれの 取 りまとめを 一 体 的 に 行 うとともに ファースト チェーン 構 築 以 降 も 新 たなチェーンを 継 続 的 に 構 築 して 行 くことで 導 入 初 期 と 普 及 期 の 断 絶 をクリアした サプライチェーン 発 展 の 一 般 的 なイメージ 導 入 初 期 (1 対 1の 供 給 関 係 が 少 数 ある 状 態 ) 普 及 期 ( 多 対 多 の 供 給 のネットワークに 発 展 ) 輸 送 規 模 が 着 発 地 のインフラ( 港 湾 など)の 制 約 を 受 け 大 ロット 多 頻 度 の 効 率 的 な 輸 送 が 行 えないこともあり 一 つの 水 素 供 給 源 専 用 のインフラ 整 備 等 が 必 要 なケー スもあり 輸 送 コストが 高 止 まりしがち 代 替 水 素 供 給 源 の 確 保 が 容 易 でないため 供 給 の 冗 長 性 の 確 保 に 必 要 以 上 のコストがかかりがち ネットワーク 化 により 大 ロット 多 頻 度 の 効 率 的 な 輸 送 が 実 現 輸 送 インフラの 共 用 化 等 により 輸 送 コストの 一 層 の 低 減 も 期 待 可 能 多 数 の 水 素 供 給 源 が 相 互 に 代 替 可 能 なため 安 定 的 な 供 給 が 実 現 ネットワークの 大 規 模 化 が 進 むことで 流 通 在 庫 も 供 給 安 定 化 に 寄 与 さらに 戦 略 的 備 蓄 により 一 層 の 供 給 安 定 性 が 確 保 可 能 40

42 5-6. 海 外 からの 水 素 供 給 に 関 する 主 な 課 題 2 有 機 ハイドライドによる 水 素 輸 送 については 技 術 的 には 実 用 段 階 にあって 商 用 化 に 向 けた 検 討 が 進 められつつあるプロジェクトもある 他 方 本 手 法 はトルエンを 循 環 的 に 使 用 するなど 従 来 の 制 度 が 想 定 していなかったものであるため 通 関 等 の 手 続 について 課 題 を 整 理 して 取 り 組 んでいくことが 必 要 ではないか 液 化 水 素 による 水 素 輸 送 については 制 度 的 にはLNGとほぼ 同 様 に 取 り 扱 えばよいことから 大 きな 課 題 はないと 考 えられる 他 方 LNGよりも 更 に 低 い 温 度 水 素 を 運 搬 する 船 の 開 発 が 必 要 である 等 技 術 的 な 課 題 を 抱 えている 昨 年 12 月 に 小 型 液 化 水 素 運 搬 船 の 貨 物 格 納 装 置 について 世 界 初 の 基 本 認 証 が 行 われたが 更 なる 技 術 的 課 題 を 整 理 して 取 り 組 んでいくことが 必 要 ではないか 41