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しなつゆのもと
5 years ago
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1 豪州の排出権取引制度炭素リーケージ対策の考え方地球環境ユニット金星姫

2 構成豪州の温室効果ガス排出事情 CPRSのこれまでの経緯 CPRS 概要炭素リーケージ対策 : 産業補助策他の政策との関係今後の法案動向 4-2

3 豪州の温室効果ガス削減目標 2020 年目標実施条件 5% 条件なし 15% 安定化水準 ppm 先進国は 90 年水準から 15-25% 削減途上国は MRV コミットメントと行動 REDD 炭素市場 25% 安定化水準 450ppm 対象ガス排出源の拡大 (REDD 土地部門 ) 2020 年以前にピーク先進国全体で 1990 年対比 25% 以上削減途上国は BAU から 20% 以上削減国際炭素市場の創設基準年 :2000 年 4-3

4 2020 年排出量予測 BAU Source: Department of Climate Change, Tracking to the Kyoto and 2020 : Australia s greenhouse emissions trends 1990 to and 2020,

5 CPRS のこれまでの経緯 CPRS 導入を2013 年以降に延期 2010/4/27 CPRS 法案再々提出 2010/2/2 CPRS 法案上院で再否決 2009/12/2 CPRS 法案再審議開始 2009/10/22 CPRS 法案上院で否決 2009/8/13 CPRS 法案審議開始 2009/5/14 白書 (White Paper) 公表 2008/12/15 The Garnaut Climate Change Review 2008/9/30 グリーンペーパ公表 2008/7/16 National Emissions Trading Taskforce (NETT), a multi-state taskforce, 最終報告書発表 2007/12 Prime Ministerial Task Group on Emissions Trading 最終報告書発表 2007/5 National Emissions Trading Taskforce (NETT) discussion paper Possible Design for a National Greenhouse Gas Emissions Trading Scheme 発表 2006/8 CPRS: Carbon Pollution Reduction Scheme 4-5

6 豪州の政治状況上院の議席状況 : 総 76 議席緑の党, 5 家族第 1 党, 1 無所属, 1 労働党, 32 野党保守連合, 37 ( 自由党 + 国家党 ) 政府与党下院では 83 議席 ( 定員 150) を占める上院で法案通過のためには 39 票が必要 4-6

7 CPRS 概要導入時期 2010 年 7 月 1 日 2011 年 7 月 1 日に延期 (2009/5/4) 2013 年以降に延期 (2010/4/27) カバー率総排出量の 75% 対象約 1,000 企業 ( 25,000t-CO 2 / 年以上 ) 規制ガス対象部門オフセット Price Cap 京都 Credit の使用京都議定書で規定された 6 ガス固定排出源運輸廃ガス産業プロセス廃棄物再植林 ( 自主参加 ) 農業については 2015 年から制度に含めるかについて 2013 年までに決定農業部門除外 (2009/11/24) 国内オフセットに関して 2013 年に決定初年度 (2011 年度 ) 固定価格 (10 豪州ドル )(2009/5/4) 次年度 40 豪州ドル ( 以降実質 5% で上昇 2015 年度まで適用 ) CER ERU 使用量制限なし AAU の使用は認めない制度導入まで JI(Joint Implementation) は実施しない ( 制度対象セクターにおける JI プロジェクトの実施は認めない ) 注 )CER:Certified Emission Reduction CDM クレジット ERU:Emission Reduction Unit JI クレジット AAU:Assigned Amount Unit 京都議定書国家割当 4-7

8 負担緩和策貿易露出排出集約産業炭素リーケージ対策石炭発電所家計燃料補助気候変動基金 4-8

9 産業補助策 : 炭素リーケージ対策エネルギー多消費産業で国際競争上費用の転嫁が困難とされる産業を貿易露出排出集約産業 ( Emissions Intensive Trade Exposed industries 以下 EITE) と定義 1 該当産業を制度から除外 2 国境調整 ( 輸出品免税や輸入品課税 ) 3 現金支給 4 無償割当産業全般が支持しており排出権価格の変動による調整が必要ないことから 4 無償割当を選択 4-9

10 産業補助策概要 1 補助形態補助スコープ適格性評価無償割当量各企業の前年度の生産量基準の無償割当 ( 閉鎖時は無償割当分を放棄 ) 直接排出電気 / 蒸気利用による費用増加分天然ガスなど原材料の費用増加分 1 貿易シェア評価 2 排出原単位評価排出データ :2006/ /08 収入付加価値 :2004/05~2008/09 前半 100 万ドル収入 ( 付加価値 ) 当たりの排出原単位が 2,000(6,000) t-co 2 以上は 90% 無償割当 100 万ドル収入 ( 付加価値 ) 当たりの排出原単位が 1,000~1,999 (3,000~5,999)t-CO 2 以上は 60% 無償割当貿易シェアの評価基準貿易シェアが 10% 以上 (2004~2007) [( 年間輸入額 + 年間輸出額 )/ 年間生産額 ] 100 ( 式 1) 4-10

11 産業補助策概要 2 経済危機緩和策追加的割当炭素生産性貢献割当 Baseline 90% カテゴリの活動量に+5% 60% カテゴリの活動量に +10% 5 年間適用 5 年後も廃止しない (2010/11/24) 無償割当量は年率 1.3% で減少する産業別適用 (2010/11/24) 生産単位あたり過去の産業全体の平均排出量電気割当係数 (1t-CO 2 /MWh) 州別天然ガス原材料割当係数新規参入旧施設と同様の補助前例のない活動は国際 Best Practice に基づく新規設備への割当は旧設備への割当に影響しない無償割当枠総排出枠の 25%( 初期 ) 45%(2020 年 ) 4-11

12 貿易シェアの評価について豪州政府は EITE 補助は価格転嫁が困難な貿易財の生産に与えられるべきであるが明確な評価手法を開発することは不可能なので貿易シェアはEITE 補助の資格を決める閾値として活用し EITEの水準の決定には活用しないとする (White Paper, CH12,p29) 4-12

13 排出原単位の評価について Green Paper では, 雇用付加価値生産価値または収入炭素費用の影響が比較可能な評価であるか? 異なる活動に対する透明で確固たる算定が可能か? Green Paperでは収入あたりの排出量を評価基準として推奨装置産業 ( 石油精製など ) から炭素費用負担が過小評価される恐れがあるとの主張 4-13

14 収入 / 付加価値のメリットデメリット収入メリット産業全体の相対的炭素費用の規模が把握できる時間経過による変化が少ないすべての活動に対して計算が比較的容易デメリット供給網の下にある投入費の大きい活動の排出原単位が低く評価される付加価値カーボンリーケージの可能性との相関が高い企業が直接調整できるコストを反映するので産業活動の実際の経済価値を表す活動ベースの定義データが整備されていない付加価値における排出比率は同様の活動をする企業ごと時間ごとに差が大きい CPRS Discussion Paper 4-14

15 収入 100 万ドル当たりの CO 2 排出量アルミ肉牛セメント羊乳牛豚ブラック石炭セラミックアルミナ鉄鋼化学非金属石油ガス製紙その他鉱山サトウキビ養鶏硝子その他非鉄金属非鉄金属鉱石 IEEJ: 2010 年 6 月掲載 1000tCO2-e/$m revenue 90% 補助カテゴリ 60% 補助カテゴリ CPRS Discussion Paper 4-15

16 付加価値 100 万ドル当たりの CO 2 排出量アルミセメント肉牛石油石炭羊乳牛鉄鋼化学セラミック製紙非鉄金属アルミナその他鉱山豚ブラック石炭非金属サトウキビ養鶏石油ガス硝子 IEEJ: 2010 年 6 月掲載 1000tCO2-e/$m VA 90% 補助カテゴリ 60% 補助カテゴリ CPRS Discussion Paper 4-16

17 適格性基準値の採択排出集約度を収入と付加価値それぞれで推定した結果上位 21 産業には変わりはなかった石油石炭生産の場合付加価値基準では 4 位であったが収入基準では 21 位アルミを除いた 21 産業において付加価値の値は収入の値の 2~4 倍従って付加価値の閾値を収入の 3 倍とする : 無償割当 60% グループの基準値は 4,500~6,000 90% グループの基準値は 6,000 以上が妥当 EITE 無償割当が総排出枠の 30% 以内に収まるよう実際の活動水準データを考慮して調整する 4-17

18 適格性基準値と補助率に関する論点補助率を 100% に ( 鉄鋼など ) 補助率が高すぎる ( 環境団体 ) 中間的補助が必要 (30% や 50% など ); スライド制の導入データの限界から基準値の引き下げ ( 緩和 ) で対応する 1,500 トンから 1,000 トンに引き下げる ( 付加価値当たりは 3,000 トン ) 100 万ドル収入 ( 付加価値 ) 当たりの排出原単位が 2,000(6,000) t-co 2 以上は 90% 無償割当 100 万ドル収入 ( 付加価値 ) 当たりの排出原単位が 1,000~1,999 (3,000~5,999)t-CO 2 以上は 60% 無償割当 4-18

19 州別電力割当係数試算 NSW QLD SA TAS VIC 卸売市場国家電力市場国家卸売電力市場 Source: 気候変動省 White Paper 4-19

20 州別電力割当係数を 1 にした理由コスト増分の影響が地域によってばらつきがある電力自由化などの影響により例えば石炭火力発電所の比率が高い地域においても直ちにコスト増分にはならないコスト増加の試算には不確実性が高い最終的には 1t-CO 2 /MWh と高い全国統一の電力割当係数を採用した 4-20

21 豪州制度の特徴と他の政策との関係幅広いカバー率総排出量の 75% 上流 ( 燃料 )+ 下流 ( 大規模排出口 ) のハイブリッド型産業補助策補助対象評価基準に付加価値と収入当たりの排出量を採用割当のベンチマークとして産業平均原単位を採用広い補助スコープ ( 直接排出 + 間接排出 + 原材料 ) 豪州の国家削減目標を達成するための 2 本柱 CPRS RET( 再生可能エネルギー目標制度 ) 豪州政府は CPRS 及び Renewable Energy Target (RET) をセットで法案化する計画であったが CPRS の法案化が遅延されているため RET を分離し 2009 年 8 月から導入している (2020 年までに再生可能エネルギー利用を 20% に ) 4-21

22 今後の展望議会での検討状況 2010 年 2 月 2 日議会に 3 度目に提出上院議会議論を拒否法案通過へのプラス要因高い国民の支持低下傾向 2009 年度豪州の平均温度 2 度上昇 ( 国内の気候関連災害の多発 ) 法案通過失敗の要因国内要因政治情勢要因 : 野党自由党の保守化 (Tonny Abbot 新党首の誕生 ) 制度の欠陥 : 修正を繰り返すことで初期の意義を失う国民への説明不足外部要因コペンハーゲンでの拘束力ある合意の失敗現在は選挙態勢に入り政策の議論はほとんど行われずラッド首相は 2013 年以降に実施を延期することを表明 (2010/4/27) 4-22

23 参考資料 :EITE への無償割当方法 1. 補助資格補助率の決定単位 ( 収入または VA) あたり平均排出量貿易露出度の評価 2. 割当ベースラインの設定生産単位あたりの平均排出量 3. 企業における補助資格評価規制当局への申請 4. 割当量の算定企業の年間算出データ補助率ベースライン企業別年間算出 Discussion Paper 4-23

24 参考資料 : 負担緩和策 1 補助の対象は EITE 石炭発電所家計燃料補助 1) EITE 2) 石炭発電所電力部門調整スキームに基づく 5 ヵ年で総額 39 億ドル相当の排出権供与基準 :2004 年 7 月 ~2007 年 6 月までの化石燃料火力発電所の全国排出量平均値の 0.86t-CO 2 /MW 以上欧州の取引制度第 1 フェーズの経験を踏まえ棚ぼた審査を設けておりこれは 2012 年度に発電業者の実質収入と予想収入比較を行い棚ぼた利益が認められる場合は当該業者の残り 2 年の補助を廃止する 4-24

25 負担緩和策 2 3) 家計現金給付を主体とする助成策を検討 4) 燃料費補助制度導入から 3 年間 6 ヶ月ごとに燃料物品税の減税 (38 セント /L) 農業漁業運輸部門には燃料クレジットを通じた補償を検討その他気候変動行動基金 :21 億 5,000 万ドル 4-25

26 気候変動行動基金 1 5 年間で 21.5 億豪州ドル対象 :EITE 対象以外中小企業特定産業労働者自治体分野 1: 情報 (5 年間 1.3 億豪州ドル ) 制度の運用に関する広報省エネ技術情報普及の障壁を取り除くなど分野 2: 省エネ低炭素投資 (5 年間 14 億豪州ドル ) 小企業資金提供 : 省エネ設備投資補助 ( 高効率温水システム燃焼設備照明 Motors and drives CHP 暖房空調機冷蔵設備 ) コミュニティ組織資金提供 : 省エネ設備投資補助気候変動技術革新 : 公募研究 ( 革新的低炭素技術生産方法供給プロセス改善長期投資回収の省エネ事業 ) 詳細は 2009 年前半に決定 4-26

27 気候変動行動基金 2 分野 3: 構造転換 ( 2010 年度 2 億豪州ドル ) 労働者自治体の経済的構造転換を補助する目的まずは当該地域への影響などを分析分野 4: 石炭調整 ( 7.5 億豪州ドル 5 年間 ) 石炭 ( 鉱山 ) は EITE 基準は満たさないが放出排出量の問題があり負担が大きくなる場合がある石炭炭鉱転換補助基金 (5 億ドル 5 年間 ):2007 年 6 月 3 日以前に始業した炭鉱が対象排出原単位が 0.1t-CO 2 / 生産トン以上かつ排出削減計画 (Emission Reduction Plan) を策定し計画とおり実施する鉱山であること石炭炭鉱削減基金 (2.5 億ドル 5 年間 ): 炭鉱運営に関わる排出量の削減促進お問い合せ :report@tky.ieej 4-27

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