サイトカイン依存性に増殖するミエロイド細胞の構築 人工多能性幹細胞から分化誘導 人工多能性幹細胞からミエロイド系細胞への分化誘導法 A ESC or ipsc Myeloid cell (MC) Proliferating Myeloid cell () -DC B Day Day 6-7 Day1

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 資料3-8_(B理研・古関)拠点B理研古関120613

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

従来のペプチド免疫療法の問題点 樹状細胞 CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL 腫瘍組織 腫瘍細胞を殺す 細胞傷害性 T 細胞 (CTL) の大半は 腫瘍の存在に気づかず 血管内を通り過ぎている! 腫瘍抗原の提示を考えると それは当然! 2


がん免疫療法モデルの概要 1. TGN1412 第 Ⅰ 相試験事件 2. がん免疫療法での動物モデルの有用性がんワクチン抗 CTLA-4 抗体抗 PD-1 抗体 2

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

学位論文の要約 免疫抑制機構の観点からの ペプチドワクチン療法の効果増強を目指した研究 Programmed death-1 blockade enhances the antitumor effects of peptide vaccine-induced peptide-specific cyt

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

Untitled

Microsoft Word - FHA_13FD0159_Y.doc

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

Untitled

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

Microsoft Word _前立腺がん統計解析資料.docx

平成 28 年 12 月 12 日 癌の転移の一種である胃癌腹膜播種 ( ふくまくはしゅ ) に特異的な新しい標的分子 synaptotagmin 8 の発見 ~ 革新的な分子標的治療薬とそのコンパニオン診断薬開発へ ~ 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 髙橋雅英 ) 消化器外科学の小寺泰

STAP現象の検証の実施について

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

報道関係者各位

法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

<4D F736F F F696E74202D2097D58FB08E8E8CB1838F815B834E F197D58FB E96D8816A66696E616C CF68A4A2E >

Microsoft Word _肺がん統計解析資料.docx

60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

Untitled


平成 28 年 2 月 1 日 膠芽腫に対する新たな治療法の開発 ポドプラニンに対するキメラ遺伝子改変 T 細胞受容体 T 細胞療法 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 髙橋雅英 ) 脳神経外科学の夏目敦至 ( なつめあつし ) 准教授 及び東北大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 下瀬川徹

-119-

Untitled

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

Microsoft PowerPoint - 2_(廣瀬宗孝).ppt

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

(Microsoft Word - \226\306\211u\212w\211\337\213\216\226\ doc)

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

令和元年 10 月 18 日 がん免疫療法時の最適なステロイド剤投与により生存率アップへ! 名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞免疫学 ( 国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野分野長兼任 ) の西川博嘉教授 杉山大介特任助教らの研究グループは ステロイド剤が免疫関連有害事象 1 に関連するよう

肝クッパ 細胞を簡便 大量に 回収できる新規培養方法 農研機構動物衛生研究所病態研究領域上席研究員山中典子 2016 National Agriculture and Food Research Organization. 農研機構 は国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構のコミュニケーショ

スライド 1

第一章自然免疫活性化物質による T 細胞機能の修飾に関する検討自然免疫は 感染の初期段階において重要な防御機構である 自然免疫を担当する細胞は パターン認識受容体 (Pattern Recognition Receptors:PRRs) を介して PAMPs の特異的な構造を検知する 機能性食品は

H26分子遺伝-20(サイトカイン).ppt

VENTANA PD-L1 SP142 Rabbit Monoclonal Antibody OptiView PD-L1 SP142

<4D F736F F D F4390B388C4817A C A838A815B8358>

< 研究の背景と経緯 > 私たちの消化管は 食物や腸内細菌などの外来抗原に常にさらされています 消化管粘膜の免疫系は 有害な病原体の侵入を防ぐと同時に 生体に有益な抗原に対しては過剰に反応しないよう巧妙に調節されています 消化管に常在するマクロファージはCX3CR1を発現し インターロイキン-10(

考えられている 一部の痒疹反応は, 長時間持続する蕁麻疹様の反応から始まり, 持続性の丘疹や結節を形成するに至る マウスでは IgE 存在下に抗原を投与すると, 即時型アレルギー反応, 遅発型アレルギー反応に引き続いて, 好塩基球依存性の第 3 相反応 (IgE-CAI: IgE-dependent

Ł\”ƒ-2005

第90回日本感染症学会学術講演会抄録(I)

Untitled

PowerPoint プレゼンテーション

るマウスを解析したところ XCR1 陽性樹状細胞欠失マウスと同様に 腸管 T 細胞の減少が認められました さらに XCL1 の発現が 脾臓やリンパ節の T 細胞に比較して 腸管組織の T 細胞において高いこと そして 腸管内で T 細胞と XCR1 陽性樹状細胞が密に相互作用していることも明らかにな

1)表紙14年v0

報道発表資料 2006 年 6 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 アレルギー反応を制御する新たなメカニズムを発見 - 謎の免疫細胞 記憶型 T 細胞 がアレルギー反応に必須 - ポイント アレルギー発症の細胞を可視化する緑色蛍光マウスの開発により解明 分化 発生等で重要なノッチ分子への情報伝達

センシンレンのエタノール抽出液による白血病細胞株での抗腫瘍効果の検討

Microsoft PowerPoint - 新技術説明会配付資料rev提出版(後藤)修正.pp

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

Fri. アダカラム治療が解明してきた CMV 感染の機序 講演 1 潰瘍性大腸炎における CMV 再活性化と GMA の役割 サイトメガロウイルス ( C M V ) 感染は潰瘍性大腸炎 ( U C) の増悪因子であり ステロイドがウイルスの再活性化を促進することが知られている

スライド 0

nsg02-13/ky045059301600033210

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

第6号-2/8)最前線(大矢)

序にかえて がん免疫療法のリバース TR による 腫瘍免疫学の進歩 河上 裕 はじめに 2013 年 腫瘍免疫学とがん免疫療法の当時の知見をまとめた実験医学増刊号 腫瘍免 疫学とがん免疫療法 を出版 その後 免疫チェックポイント阻害薬が悪性黒色腫で承 認され 臨床試験では複数のがんで治療効果が認めら

ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

Microsoft Word - 最終:【広報課】Dectin-2発表資料0519.doc

メディカルスタッフのための白血病診療ハンドブック

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

<4D F736F F D DC58F49288A6D92E A96C E837C AA8E714C41472D3382C982E682E996C D90A78B408D5C82F089F096BE E646F6378>

BA_kanen_QA_zenpan_kani_univers.indd

長期/島本1

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx

PowerPoint プレゼンテーション

Untitled

141225がん新薬開発HP公開用ファイル.pptx

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

大腸癌術前化学療法後切除標本を用いた免疫チェックポイント分子及び癌関連遺伝子異常のプロファイリングの研究 

Untitled

かし この技術に必要となる遺伝子改変技術は ヒトの組織細胞ではこれまで実現できず ヒトがん組織の細胞系譜解析は困難でした 正常の大腸上皮の組織には幹細胞が存在し 自分自身と同じ幹細胞を永続的に産み出す ( 自己複製 ) とともに 寿命が短く自己複製できない分化した細胞を次々と産み出すことで組織構造を

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

表1-4B.ai

制御性 T 細胞が大腸がんの進行に関与していた! 腸内細菌のコントロールによる大腸がん治療に期待 研究成果のポイント 免疫細胞の一種である制御性 T 細胞 1 が大腸がんに対する免疫を弱めることを解明 逆に 大腸がんの周辺に存在する FOXP3 2 を弱発現 3 する細胞群は がん免疫を促進すること

ÿþ

日本内科学会雑誌第97巻第7号

日本内科学会雑誌第98巻第4号

2. Tハイブリドーマによる抗原認識二重特異性を有する (BALB/c X C57BL/6)F 1 T 細胞ハイブリドーマを作製した このT 細胞ハイブリドーマは I-A d に拘束された抗原 KLH と自己の I-A b 単独を二重に認識した 外来抗原に反応するT 細胞が自己のMHCによって絶えず

するものであり 分子標的治療薬の 標的 とする分子です 表 : 日本で承認されている分子標的治療薬 薬剤名 ( 商品の名称 ) 一般名 ( 国際的に用いられる名称 ) 分類 主な標的分子 対象となるがん イレッサ ゲフィニチブ 低分子 EGFR 非小細胞肺がん タルセバ エルロチニブ 低分子 EGF

2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeL

Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt

株式会社 デンドリックス

免疫を使ったがん治療法の検討約 150 年前 免疫ががん治療に活かせるのではないかと考えた医師ががん患者に細菌を感染させて免疫を刺激し がんに対する免疫治療効果を確認する実験を行いました この時には十分な治療効果は現れませんでした 当時は免疫に対する研究が今ほど進んでおらず 免疫の仕組みを理解しない

膜小胞「エキソソーム」を介した経口免疫寛容誘導機構の解析

Transcription:

人工多能性幹細胞由来ミエロイド細胞を用いた がん免疫療法の開発 熊本大学大学院 研究背景と開発の必要性 ( ニーズ ) がん免疫細胞療法 ² CAR-T 細胞療法 ² TCR 遺伝子導入 T 細胞療法 ネオアンチゲンを標的とするワクチン法 ² ペプチドワクチン ² 樹状細胞ワクチン 免疫抑制チェックポイント阻害剤 (ICB) ² 抗 PD-1/PD-L1 抗体療法 ² 抗 CTLA-4 抗体療法 個別化治療 ( 高額 ) 自己血液を利用した細胞療法 治療抵抗性獲得の問題標的分子変異による治療抵抗性 個別化医療 ( 高額 ) 患者毎のがん遺伝子変異解析 非感受性患者が数多く存在治療方針変更による医療費の高騰 ニーズ コストを抑えて広く応用可能な免疫療法 多様ながん抗原を同時に標的とする免疫療法 ICB 抵抗性を克服する免疫療法 本研究開発のコンセプト 大量生産が可能な免疫細胞プラットフォーム 普遍的に投与可能な細胞製剤 多様ながん抗原を標的にする治療法 ネオアンチゲン等のがん抗原を同定する必要がない 人工多能性幹細胞に由来する規格化された細胞製剤効果の安定性患者採血の負担なし 汎用性の向上 ( 低コスト ) 多様な抗原を同時に標的とする免疫応答を惹起 コストパフォーマンス ICB 抵抗性を克服がん組織に T 細胞浸潤が観察されない症例は ICB 抵抗性 ICB 抵抗性の理解に基づくアプローチがん組織に T 細胞浸潤を誘導する方法 ICB 抵抗性を克服 HLA 非依存性の効果 ( 汎用性 ) 1 型インターフェロン産生ミエロイド細胞

サイトカイン依存性に増殖するミエロイド細胞の構築 人工多能性幹細胞から分化誘導 人工多能性幹細胞からミエロイド系細胞への分化誘導法 A ESC or ipsc Myeloid cell (MC) Proliferating Myeloid cell () -DC B Day Day 6-7 Day13-14 Day 23-24 Day 26-27 OP9 Feeder GM-CSF GM-CSF + M-CSF Passage c-myc transduction Passage IL-4 + GM-CSF IL-4 GM-CSF C 2.5 1 mm 1 mm 2 mm 2 mm Num. of cells (O.D.595) 2 1.5 1.5 GM-CSF / M-CSF GM-CSF M-CSF Medium ESC or ipsc Mesoderm Myeloid cell DC-like cell 1 2 3 4 day Zhang R. et al. Cancer Immunol. Res. 215 Proliferation factor GM-CSF or M-CSF 依存性に増殖操作性 コストパフォーマンスに優れ大量生産が可能

1 型インターフェロン産生能を賦与したミエロイド細胞 オートクラインシステムによって免疫細胞の遊走を誘導する液性因子を産生 A B C Num. of cells" (O.D.595) 1.5 1.5 GM-CSF / M-CSF GM-CSF M-CSF Medium 1 2 3 4 GM-CSF 非存在下でも 1 型 IFN を産生 IFN-α (pg/ml) 4 3 2 1 D Relative exp. 自己の 1 型 IFN 受容体を介したシグナルで T 細胞遊走を誘導する液性因子を産生 2 15 1 5 Cxcl1 * E F Medium Relative exp.( 1-2 ) 6 4 2 Ccl6 Ccl9 Ccl3 Ccl2 Il16 Ccl22 Cx3cl1 Ccl4 Cxcl2 Ccl12 Cxcl9 Ccl5 Cxcl1 1 型 IFN 産生能を賦与した 単に 1 型 IFN を産生するたけではなく 白血球遊走を誘導する多様な液性因子を産生

投与部位のみならず遠隔部位のがんを制御 投与局所に留まりながら低レベルの1型IFNを持続的に産生 Tumor Treatment C 5 6 7 B Treatment 12 13 14 Distant site Tumor volume (mm3) A Treatment site 2 2 Mice" C57Bl/6" " Tumor" B16-OVA 15 1 15 * 1 5 day5 day7 Color Scale" Min = 2.44e6" Max = 6.72e7 day11 Total flux ( 18 photon/sec) D * 5 1 1 2 1 1 2 (Days) 2 2 Mice" C57Bl/6" " Tumor" B16-OVA 1 1 1 * 5 4" 6" 4 F rifn-α (14 units) 3 2 1 1 Tumor volume (mm3) 低レベルの1型IFNを 持続的に産生 IFN-α (pg / ml) E 8" 1 3 * 12" 4" 6" 8" 1 1 2 * 1 n.s. 1 1 2 1 1 2 (Days) Treatment tumor Distant tumor Draining lymph node G Day 1 Day 1 1 mm 投与局所に留まって 抗腫瘍効果を発揮 Day 1 2 μm 1 mm 2 μm 1 mm Day 2 Day 2 Day 2 Day 3 Day 3 Day 3 Day 4 Day 4 Day 4 1 4 1 4 リコンビナント1型IFNよりも 優れた効果を発揮する No treatment rifn-α 2 No treatment 12" 3 Mice" C57BL/6" " Tumor" B16-OVA 2 がんの局所に投与すると 遠隔部位のがんまでも制御 15 (Days) 5 No treatment 1 2 μm 4

投与局所のみならず遠隔部位に T 細胞の浸潤を誘導 投与部位と遠隔部位に同じ TCR 遺伝子配列をもつ T 細胞が存在 A 遠隔部位のがんに T 細胞浸潤を誘導 =PD-1/PD-L1 阻害療法と相性が良い B 細胞傷害分子 Gzmb 発現を誘導 C CD8+ 細胞を除去すると効果が消失 =CD8+T 細胞依存性 No treatment Treatment site Distant site Depletion Ab Control Ab Treatment Distant CD8 Relative exp. 16" 12" 8" 4" Cd3e 3 2 2 1 1 Cd8 25 2 15 1 5 Gzmb Tumor volume (mm 3 ) 25 2 15 1 5 Distant site Treatment site * 1 * 8 6 4 2 投与部位と遠隔部位に同じTCR 遺伝子配列を持つT 細胞が存在 = 全身性の免疫応答を惹起 がんを特異的に傷害する D E F T 細胞が存在 G ネオアンチゲン反応性 T 細胞応答を誘導 Treatment site 1 Distant site 9" 6" 3" Spleen 3" 2" 1" 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 TRBV 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 TRBV 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 TRBV 8 1 TRBJ 8 1 TRBJ 8 TRBJ 1 TRB Ranking Top1-5 Rank TRBV TRBJ CDR3 Reads Frequency Left Rank Spleen Rank 1 TRBV16 TRBJ2-7 CASSLELGGREQYF 2172 3.87 1-2 TRBV5 TRBJ2-3 CASSQGLGGAETLYF 174 3.1 - - 3 TRBV5 TRBJ1-6 CASSQDPHSYNSPLYF 1473 2.63 - - 4 TRBV5 TRBJ2-7 CASSPPGGKEQYF 1347 2.4 - - 5 TRBV13-1 TRBJ1-6 CASRGDNSPLYF 161 1.89 58-6 TRBV16 TRBJ2-5 CASSVTVGQDTQYF 119 1.82 - - 7 TRBV2 TRBJ2-4 CGARGAENTLYF 117 1.81 - - 8 TRBV13-3 TRBJ2-7 CASSLGGYEQYF 95 1.61 32-9 TRBV5 TRBJ2-3 CASSPPGGSETLYF 854 1.52 - - 1 TRBV13-2 TRBJ2-1 CASGDGGNYAEQFF 758 1.35 8 4 11 TRBV2 TRBJ1-2 CGATRGANSDYTF 585 1.4 7 3 12 TRBV1 TRBJ1-5 CTCSRDNQAPLF 57 1.2 - - 13 TRBV2 TRBJ2-5 CASSQVGPDTQYF 565 1.1 - - 14 TRBV13-1 TRBJ2-1 CASRDSLAEQFF 562 1. 46-15 TRBV26 TRBJ2-1 CASSLPAIDNYAEQFF 416.74 - - 16 TRBV16 TRBJ2-3 CASSLDNRGAETLYF 48.73 61-17 TRBV4 TRBJ2-3 CASSLGAAETLYF 368.66 7-18 TRBV15 TRBJ1-2 CASSLESSDYTF 361.64 36 1 19 TRBV14 TRBJ1-6 CASSFHRDYNSPLYF 356.64 - - 2 TRBV5 TRBJ2-5 CASSPPGGEDTQYF 354.63 14-21 TRBV13-3 TRBJ2-3 CASGQGSAETLYF 354.63 - - 22 TRBV2 TRBJ1-3 CGARDNSGNTLYF 31.54 83 59 23 TRBV13-2 TRBJ2-2 CASGDVGNTGQLYF 269.48 - - 24 TRBV13-1 TRBJ1-4 CASQGADERLFF 267.48 - - 25 TRBV5 TRBJ2-4 CASSQTQGGSQNTLYF 255.45 - - 26 TRBV2 TRBJ2-7 CASSQEGDNYEQYF 255.45 57-27 TRBV2 TRBJ2-1 CASSQDTGFYAEQFF 247.44 - - 28 TRBV5 TRBJ2-3 CASSQDYRLGSSAETLYF 241.43 - - 29 TRBV13-3 TRBJ2-1 CASSGQGNYAEQFF 238.42 97-3 TRBV19 TRBJ2-4 CASSRTGGSQNTLYF 236.42 - - Tetramer Lysis (%) 1 8 6 4 2 Negative" tetramer CD8α E: T ratio OVA" tetramer Ag peptide Medium Peptide (-) wtadpgk ASMTNRELM" madpgk ASMTNMELM" EphA2 Number of spots 15 1 5 (-)" wtad" mad" wtre" mre" EphA2 Db" MC38" RMA-S

所属リンパ節に存在するクロスプレゼンテーションDCの活性化を誘導 ホスト免疫系の活性化を誘導して全身性の抗腫瘍効果を発揮 DTxで樹状細胞 DC を除去すると遠隔部位の抗腫瘍効果が低下 DCが重要な役割を果たす A B E Tumor Treatment 4 5 6 7 DTx Treatment 11 12 13 14 DTx DTx DTx Tumor volume (mm3) Distant site Treatment site Mice" CD11c-DTR WT " B16-OVA" WT 4 3 2 4 2 1 1 1 1 No treatment DTx / DTx 3 2 n.s. 2 1 1 2 2 (Days) CD11c+ XCR1- DC MFI" (αh2-kb/ova) CD11c+ XCR1+ DC CD169+ F4/8- Mφ 15 15 15 1 1 1 5 5 5 樹状細胞 DC の活性化を誘導 がん特異的T細胞活性化を促進 D CD11c+ XCR1+ DC MFI" (αcd86) C 樹状細胞 DC による がん抗原の抗原提示が上昇 がん特異的T細胞を活性化 CD11c+ XCR1- DC CD169+ F4/8- Mφ 16 16 16 12 12 12 8 8 8 4 4 4 1型IFN産生ミエロイド細胞 ホスト免疫系に作用して がん特異的な T細胞応答を惹起

ヒト人工多能性幹細胞由来ミエロイド細胞 ゼノグラフトモデル がん組織に遊走 浸潤して持続的な抗腫瘍効果を発揮 腹膜播種モデル NUGC-4(GFP) ips-ml(pkh-26) GFP発現腫瘍細胞 腹腔内投与 腹膜播種モデル あるいは 脾臓内投与 肝転移モデル Cancer" ips-ml" がん組織内に浸潤 がん局所に集積 Spleen SCID mouse 2 µm 肝転移モデル 赤色蛍光色 PKH26 標識 ips-mlを腹腔内投与 MKN45 Liver" Cancer" Meta" Portal region Spleen" Tumor" Metastases ips-ml" Tumor" 2μm"

マウス胚性幹細胞由来 1 型 IFN 産生ミエロイド細胞 大腸がんの腹膜播種を抑制 Control Day 2 9" 16 23 3 Tumor growth" 8 7 6 5 4 3 2 1 Control( 未治療 ) 腫瘍増殖率 ES-ML/IFNβ" day2 day9 day16 day22 day3 Days after cancer cell implantation control IFNb- ML 治療 ML/IFNβ survival (%) s u r v iv a l ( %) 1 8 6 4 2 3 6 9 1 2 1 5 D a y s e la p s e d c o n tro l IF N b - ML ES-ML/IFNβ" Control( 未治療 ) P<.1 Days after cancer cell implantation Colon26 > BALB/c

ヒト ipsc 由来 1/2 型 IFN 産生ミエロイド細胞 肝細胞がんゼノグラフトモデル 1 型 IFN と 2 型 IFN の併用で抗腫瘍効果が増強 Day 1 17 24 31 38 45 Control Tumor growth" 9 8 7 6 5 4 3 2 1 Control( 未治療 ) ips-ml/ifnβ+γ" 1 17 24 31 38 45 ML/IFNβ+γ" SK-Hep-1 > SCID survival (%) 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 Control( 未治療 ) 2 4 6 8 1 12 Days after cancer cell implantation Day 1 週 2 回 4 週間腹腔内投与 ips-ml/ifnβ+γ"

ヒト ipsc 由来 1/2 型 IFN 産生ミエロイド細胞治験実施の為の細胞製剤製造システム Cell Processing Center ( 熊本大学生命科学研究部総合研究棟 8F) 閉鎖式細胞プロセシング装置 冷凍 冷蔵 冷蔵 冷凍 Sealer 安キ 冷凍 WAVE PRO 培 冷凍 冷蔵加温 培 顕微 遠心 安キ Optical DO sensor embedded in bag Optional tubing Inoculation/ harvest lines Cellbag rod Air outlet filter Air inlet filter Optical ph sensor embedded in bag Optional tubing Needleless sampling port Optional tubing Fig 8. 閉鎖式自動細胞培養装置 WAVE-25

人工多能性幹細胞に由来する 1 型 IFN 産生ミエロイド細胞熊本大学大学院 ipsc- ² CAR-T 細胞療法 TCR 遺伝子導入 T 細胞療法とは全く異なる機序を用いて がんの排除を誘導する 直接抑制効果 1 型 IFN T 細胞浸潤を誘導するケモカイン ² がん抗原の同定を必要とせず がん特異的 T 細胞の活性化を誘導できる DC T 細胞活性化 ² 免疫チェックポイント阻害剤との併用により優れた抗腫瘍効果を発揮する ( メラノーマ 乳がん 大腸がん ) ² IFN 産生能を賦与したヒト ipsc 由来ミエロイド細胞は ゼノグラフトモデルにおいて胃がん腹膜播種 転移性肝臓がんを抑制する ü In vivo POC を取得 ( 済 ) ü ヒト人工多能性幹細胞由来 1 型 /2 型 IFN 産生ミエロイド細胞を構築 ( 済 ) ü ゼノグラフトモデルにおける効果証明 ( 済 ) ü 国内特許取得 ( 済 ), 米国特許申請中 ü PMDA 薬事相談進行中 ( ) 非臨床試験及び治験フェーズ I パートナーのマッチングへ原発性 転移性肝がん / 胃がん / 大腸がん / 膵臓がん / 乳がん / メラノーマ他

ヒト ipsc 由来ミエロイド細胞を用いたがん治療 臨床試験実施予定機関国立がん研究センター 東病院 ( 病院長大津敦 ) 問合せ 連絡先 Ø 国立がん研究センター 先端医療開発センター 免疫療法開発分野ユニット長植村靖史 E- mail: yuemura@east.ncc.go.jp Ø 熊本大学大学院 生命科学研究部 免疫識別学講座准教授千住覚 E- mail: senjusat@gpo.kumamoto- u.ac.jp