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上方向 前方下方向 後方上方向 後方下方向の 4 台を車両天板上に配置しており 車両全周囲 54,300 点の 3 次元公共座標を取得する なお レーザーは人体に影響を与えない最も安全なものを使用している ( 写真 - 2) c) デジタルカメラカラー 500 万画素のデジタルカメラ 6 台を車両天板上に放射状 6 方向に画像の重なりを持たせるよう配置している ( 写真 -2) シャッター間隔は設定可能だが 通常は走行速度によって移動距離 2m から 4m に一枚の間隔で撮影を行う d) IMU オドメーター IMU は 運動を司る 3 軸の角度と加速度を検出する装置で車両天板上に配置される 測量用航空カメラにも設置されている装置である ( 写真 -2) オドメーターは 走行距離でタイヤの回転を測し正確な進行距離を取得する 車両右後輪に設置されている ( 写真 -1) IMU 及びオドメーターは GPS 衛星からの信号受信が不良の時にも精度を維持確保するために利用している e) 記録ユニット記録ユニットは車両内の後部座席片側に搭載されており センサ BOX(GPS 受信機 経路演算装置 ) 操作用 PC( 操作 ステータス取得 地図上で位置確認 ) カメラログ用 PC( 画像の確認 調整 記録 ) 画像記録用 HDD で構成されている ( 写真 -3) 写真 -3 MMS 車内機 (3) MMS による測処理の主な手順 a) 測画測対象に対して 測路線 交通規制や道路状況 GPS 衛星の配置状況などを勘案し 効率的かつ精度劣化を招かぬよう画立案準備を行う b) 測測は 初期化走行 測走行 終了走行により行う その際 GPS レーザースキャナー カメラ IMU オドメーターから取得されたデータを 車内機の記録ユニットに記録 蓄積する c) 後処理測により取得されたデータに面補正パラメータ (F KP 方式 ) を付加し解析処理することにより 自車位置姿勢 3 次元点群 色付き 3 次元点群 写真画像を取得する (4) MMS 測による取得データ MMS による測で得られるデータの一例として 写真画像データ ( 写真 -4) 3 次元色付き点群データ ( 公共座標データ )( 写真 -5) がある オドメーター 写真 -1 MMS 搭載車 写真 -4 写真画像データ ( 紫竹山 IC 付近 ) GPSアンテナ 3 台レーザースキャナー 4 台写真 -2 MMS 車外機 カメラ 6 台 IMU 写真 -5 3 次元色付き点群データ (R49 トンネル付近 )

3. MMS を利用した測量 (1) 測量の範囲 ( 区間 ) 実施の目的 MMS を利用した測量は 表 -1 の区間 ( 55.6km) において 道路構造検証のためを実施した 今回の測量では 交通量が多い現道上で交通規制を行わず いかにしてを実施するかをポイントに MMS による 3 次元データを取得 解析することで平面図 縦横断面図の作成を行うこととした 表 -1 MMS 測量実施区間 路線 区間 延長 1 R7 8 R49 R7~116 新潟 BP( 黒埼 IC) ~ 新新 BP( 新発田 IC) 亀田 BP( 茅野山 IC~ 紫竹山 IC) 紫竹山 IC~ 黒埼 IC: 現道部 28.4km 5.2km 13.0km 2 R49 福島県境 ~ 津川除雪ステーション 9.0km 55.6km (2) 測量方法に対する課題と対応 a) 精度検証 MMS で取得されたデータの位置座標は 3 台の GP S アンテナで取得したデータを処理することで決定されるが 公共座標値としての精度については検証を行う必要がある このため測予定路線沿い概ね 5km に 1 箇所の検証点を設置した GPS で検証点の座標 標高値の観測を行い MMS でも検証点 ( ターゲット板 ) の座標 標高値の測を行い 比較を行う事で精度検証を行った b) 点検測量測した縦断標高値を評価するため 点検測量を行うこととした 点検測量は 作業規定準則第 13 条 ( 精度管理について規程 ) に基づき 測した路線延長に対して 5% の延長について 再度点検測量用として取得したデータで 縦断標高値の測を行った また 作業規定準則 70 条で 4 級水準測量の標準偏差は最大 20mm としていること 縦断測点 20m 間隔で扱う場合 縦断勾配へ与える影響は 0.1% と軽微となることから 相対精度 20mm を精度管理の基準として設定し 2m 間隔で取得した同一箇所における縦断面図の測値 ( 標高値 ) と点検測により取得した点検値の較差を比較することにより実施した c) 3 次元座標データの取得は全車線を対象として行うため 多車線道路については上下線それぞれ片側 2 回の走行を行い 2 車線道路は上下線それぞれ片側 1 回のデータ取得を行った 取得した 3 次元座標データを基にした地形モデルを作成し 新潟 BP 新新 BP 亀田 BP 市街部については中央分離帯側の白線部を ( 市街地部で中央分離帯側が 無い箇所はセンターライン ) R49 号県境部はセンターライン上を それぞれ 2m 間隔で縦断要素 ( 単点標高 ) の抽出測を行った 4. 測量結果 (1) 精度検証結果公共座標値としての精度検証における制限較差は 地図情報レベル 500 を準用し残差制限 25cm としたが X 値較差最大は 12.9cm(R7 新新バイパス ( 上り線 ) 新発田 IC 付近歩道上 ) Y 値較差最大は 11.6cm(R49 亀田バイパス ( 上り線 ) とやの橋上 ) H 値較差最大は 10.9cm(R49 県境 ~ 除雪 ST( 下り線 ) 八木山地先路肩上 ) となり 制限を満たす結果となった ( 表 -2) 表 -2 MMS 精度検証結果 X 値較差 Y 値較差 H 値較差 最大較差 12.9cm 11.6cm 10.9cm 較差制限 25cm 25cm 25cm (2) 点検測量結果相対位置関係としての精度管理は 道路構造の検証 ( 縦断勾配 縦断曲線 ) に見合う範囲の制限でないと目的は達成できない 作業規定準則に記載がないことから 今回相対精度 20mm を設定し 点検測量の精度管理を実施した結果 較差の最大は R49 号県境 ~ 津川除雪ステーション間で確認された 16mm が最大値であり 設定した基準を満たす結果となった ( 表 -3) 表 -3 MMS 点検測量結果 路線 新潟 BP 新新 BP 亀田 BP 最大較差 14 mm 12 mm 11 mm 較差制限 20 mm 20 mm 20 mm 路線 49 号県境 7 号 116 号 最大較差 16 mm 12 mm 較差制限 20 mm 20 mm (3) 作成した縦断面図の縮尺は 縦 =1/100 横 =1/500 とし 図面のレイアウト及び表示範囲は既存の道路管理図と同様 上段に平面図 ( 点群オルソ ) を配置し 下段に縦断面図を配置し既存管理図と同範囲になるよう接図位置を調整して作成した ( 図 -2)

図-2 縦断面図作成結果 (4) 平面図 縦横断面図作成 a) 平面図 縦断面図 平面図の縮尺は1/500とし上段に 縦断面図の縮尺は 縦 1/100 横 1/500とし下段に配置した 図-3 また 平面図は 国土地理院による公共測量の承認 社団法人日本測量協会による成果品の検定を受け 適合 していること証明された 14万台の交通量がある このため一度 事故や落下物な ど突発的な交通障害が発生すると 通行止めや著しい交 通渋滞を引き起こし 利用者や地域住民に多大な影響を 与えてしまう このような区域でのについて による測量とMMSによる測量の流れ 図-5 及び費用と作業日数の比較 表-4 5 を示す 今回 交通量の多い道路など直接測量を行うことによ り 様々な障害が発生しやすい区域での測量をいかに行 うかという課題に対し 費用や作業日数の観点において もMMSを利用した測量は一つの成果を出せたのではな いかと考えられる また 現場での作業を極力低減でき るために 交通量の問題以外にも 地域住民への配慮や トラブルの回避 安全管理 事故防止などへの効果も期 待できるものと考えられる 路線の起終点 5 に1点程度 MMS測処理 成果等の整理 成果等の整理 図-5 作業フローの比較 表-4 費用の比較 直接経費 図-3 平面図 縦横断面図作成結果 (1業務) 880万円 (401点) 880万円 260万円 500万円 b) 横断面図 横断面図の縮尺は1/100として作成した 図-4 (1業務) (5点) 60万円 200万円 MMS測処理 約 2,500万円 約280万円 20km 市街地甲 平地 20m間隔 3,000台以上/12時間で比 較 表-5 作業日数の比較 日数 図-4 横断面図作成結果 5. 考察及びまとめ (1) まとめ 今回の測量範囲は 新潟市を縦貫する新潟 新新バイ パスを含む区域であり 紫竹山IC付近では 1日に約 89日 227日 55日 260日 2 77日 48日 135日 MMS測処理 2日 2日 68日 約 220日 約 75日 約 700日 約 6日 20km 市街地甲 平地 20m間隔 3,000台以上/12時間で比 較

当然のことながら 当初画した精度基準である 公 共座標としての精度基準25cm以下 相対位置関係として の精度基準20mm以下を満たしたことにより成り立つもの である (2) 課題 MMSは 確立された測量手法ではないために 目的 や条件 必要とする成果内容に応じて 運用方法や精度 基準を検討し適用させていく必要があり 実証を積み重 ねることで 様々なケースの運用方法などを確立するこ ができると考えられる MMSは GPSにより車両位置座標を取得するので GPSの配置状況や上空の視界状況などにより精度誤差 を引き起こす可能性があり 今後 日本地域向けに利用 可能な衛星の実用化により改善すると考えられる (3) 利活用方法 平成21年度冬に発生した国道49号県境部における登 坂不能障害に対して 既存道路管理図により21区間の発 生の恐れのある区間を抽出したが これに加えてMMS による観測データ 実測値 を使い 区間の整合を行い 発生区間1区間を追加し22区間の把握を行った このほか MMSによる取得データ 3次元色付き点 群データ 画像データ から利活用できると考えるもの として 道路管理図作成 図-6 道路現況確認調査 写真-6 路面 法面の管理 写真-7 トンネル内 空変位調査 図-7 河川堤防確認調査 道路及び街路 シミュレーション 災害復旧資料作成など 様々な活用 が期待できる 写真-6 道路現況確認調査 写真-7 路面 法面の管理 図-7 トンネル内空調査例 図-6 道路管理図の作成