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PGS PowerPoint template February 2014

研修企画書

GMP 第一三共株式会社信頼性保証本部品質保証部清水直樹

はじめに 監査には定型があるわけではない また, 監査を掘り下げる深さに限度があるわけではない それは,GMP システムの整備には 完璧 がないのと同じである もし監査の際, 完璧な GMP システムを有している と宣言する製造所があった場合には, 疑って監査に臨む必要がある 100% 完全に信頼で

QbDを用いた新薬申請の審査とGMP適合性調査 -現状及び課題-

バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

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Microsoft Word - es10HP.doc

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「GMP担当者研修・認定講座」の運用規定(案)

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電子的な管理 記録の管理 記録の保管に関する SOP 文書化の基準(Good Documentation Practice*) ( 注 :* この部分については適切な訳が見出せない ) 4.3 変更の管理 変更管理の手順 製造変更の管理 変更の独立した承認 適格性評価又はバリデーションへ

本日の内容 1. 施行通知の改定について 2.QbD 適用品目と通常申請品目の調査の違い 3. 調査及び相談業務からの事例 4. QbD 申請にあたっての留意事項 2 2

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精米 HACCP 規格 ~ 精米工場向け HACCP 手法に基づく 精米の食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御の取組み ~ 第 1 版 2016 年 3 月 16 日 第 1 目的一般社団法人日本精米工業会の精米 HACCP 規格は 精米工場で製造する精米が消費者及び実需者より信頼される製品精米と

総合衛生管理製造過程と PDCAサイクル

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翻訳についての注意事項 本翻訳は 参考資料として ( 株 ) シーエムプラスがご提供するものです 本翻訳を使用する場合はご使用する方の責任において慎重に原文と内容を照査の上ご利用ください なお ( 株 ) シーエムプラスは 本翻訳の瑕疵に起因した直接或いは間接的損害に対し如何なる賠償責任も負いません

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PowerPoint プレゼンテーション

本日の内容 1. 査察対象 ( 若狭工場 ) の紹介 2. 査察の準備 実施 結果とその対応 KFDA 及び BPOM を実例に 3. PIC/S に対応した改正 GMP とインドネシア査察内容の対比 4. 査察のグローバル化に伴うインパクト

品質向上セミナー

本日の内容 u GMP 調査の状況 u 国際整合の時代に向けた調査 u 調査時の不備事項と不適合事例 u 実地調査時の重大な不備事項 u GMP 不適合事例 u 事例から u まとめ

Q4.25 バルク保管用の設備が製品の要求事項に従って設計されていることを保証するシステムの存在 Q4.26 必要な場合 製品を酸化や吸湿から保護するため 保管タンク内に窒素ブランケットシステムや除湿設備が備えられているか Q4.27 ブランケットガスの品質は 製品との適合性があるか Q4.28 必

MDSAP の調査結果の 試行的受入れについて ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構 品質管理部 登録認証機関監督課 1

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奈良県手順書ガイドライン

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SGEC 附属文書 理事会 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文

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食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

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HACCP 自主点検リスト ( 一般食品 ) 別添 1-2 手順番号 1 HACCP チームの編成 項目 評価 ( ) HACCP チームは編成できましたか ( 従業員が少数の場合 チームは必ずしも複数名である必要はありません また 外部の人材を活用することもできます ) HACCP チームには製品

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卵及び卵製品の高度化基準

厚生労働科学研究費補助金 医薬品 医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業 GMP,QMS,GTP 及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究 平成 28 年度分担研究報告書 研究代表者櫻井信豪医薬品医療機器総合機構研究分担者檜山行雄国立医薬品食品衛生研究所研究分担者坂本知昭国立医

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目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

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診療用 PET 薬剤製造施設認証の概要 PET 薬剤製造施設認証小委員会第 3.1 版 分子イメージング臨床研究に用いる PET 薬剤についての基準 I. 製造基準 に準拠した 承認医療機器を用いた診療用 PET 薬剤の院内製造管理体制についての施設認証の概要 ( 診療用 PET 薬剤製造施設認証の

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研究用 PET 薬剤製造施設認証の概要 PET 薬剤製造施設認証小委員会第 4.3 版 分子イメージング臨床研究に用いる PET 薬剤についての基準 I. 製造基準 準拠に関する施設認証 ( 研究用 PET 薬剤製造施設認証 ) の概要 目次 1. 施設認証の目的 2. 施設認証の対象となる PET

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5. 文書類に関する要求事項はどのように変わりましたか? 文書化された手順に関する特定の記述はなくなりました プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持し これらのプロセスが計画通りに実行されたと確信するために必要な文書化した情報を保持することは 組織の責任です 必要な文書類の程度は 事業の

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QMSにおける是正措置

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医薬品添加剤 医薬品添加剤の供給者管理 一般社団法人日本医薬品添加剤協会専務理事木嶋敬二 第 17 改正日本薬局方製剤総則による医薬品添加剤 添加剤は 製剤に含まれる有効成分以外の物質で 有効成分及び製剤の有用性を高める 製剤化を容易にする 品質の安定化を図る または使用性を向上させるなどの目的で用

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第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣

ISO13485:2005 と本邦における QMS との違いについて ( いわゆる追加的要求事項と呼ばれる事項について よく質問があります 品質マニュアル ( 品質管 理監督基準書 ) 作成の際に参考になると幸いです 条項ごとに解説を記載しましたので 参考にしてください 追加的要求事項 1: 製造所

資料編 に委託して製造をする場合を含み 他から委託を受けて製 造する場合を含まない ) をし 又は輸入した化粧品を製造 販売のために出荷することをいう 製造販売業者 とは 会社の経営陣 ( 取締役等 ) を指します 薬事法施行規則第 92 条 (4) ロット とは 一の製造期間内に一連の製造工程によ

仮訳 原文 P2 補遺 E6 (R2) コード 履歴 日付 E6(R2) R1 文書に対する補遺以下の各項に対する追加 : 序文,1.63,1.64, 1.65,2.10,2.13,4.2.5,4.2.6,4.9.0,5.0, 5.0.1,5.0.2,5.0.3,5.0.4,5.0.5,5.0.6,

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White Paper 計量プロセスにおける GxP OOS 目次 LabX RFID 11 RFID 11 RFID

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目次 表紙... 1 目次... 2 改訂記録 目的 対象 製造部門 品質部門組織 PET 薬剤製造施設 ( 施設長 ) の責務 製造管理者の責務 各責任者の責務... 7 ( 別紙 1) (

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Microsoft Word - 奈良県GQP-GVPガイドライン doc

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ていれば当局が交換品 ( 安定性データで問題ないとわかったロット ) の用意ができるまで待っていたことになる なおこの会社は別の製品でも 37 ロットをほぼ同じ理由で回収を行っている 回収理由 ; 本製品は溶出試験時にベッセルの底に難溶性の賦形剤が堆積することにより溶出性に影響を与えていることが確認

化粧品製造販売業 GQP GVP とは? 今まで 化粧品輸入販売業などの許可をお持ちの方は 製造販売業に許可が変わったことにより やらなくてはならない業務 が増えました それが GQP や GVP です ところが GQP や GVP を定めた省令などを読んでも 意味が分かりにくい という声を聞きまし

資料 3-2 ダイエタリーサプリメントの製造 包装 表示および保管のための cgmp 21 CFR Part 年 2 月 26 日 日本健康食品規格協会理事長大濱宏文 1

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務

Transcription:

平成 24 年度 GMP 事例研究会平成 24 年 9 月 18 日 ( 東京 ) 9 月 21 日 ( 大阪 ) 米国 FDA 及び欧州 EMA による GMP 査察事例 塩野義製薬株式会社信頼性保証本部品質保証部小山靖人 1

本日の発表内容 本年 1 月 同一製造所 同一品目に対する 欧州 EMA(European Medicines Agency) と米国 FDA(Food and Drug Administration) の GMP 査察を連続して受ける機会があった EMA と FDA はどのように査察を行ったのか? それぞれの査察手法の特徴は? 最近の海外規制当局の査察に傾向があるのだろうか? EMA と FDA の査察ガイドについて 査察事例の紹介にとどまらず 製造所の GMP 体制の構築と維持という課題に関しても参考としていただける情報をご提供したい 2

金ケ崎工場の外観 3

金ケ崎工場の概要 所在地 岩手県胆沢郡金ケ崎町西根森山 7 敷地面積 205,828 m 2 建築面積 29,652 m 2 延床面積 58,709 m 2 事業内容 原薬合成 製剤 包装 治験薬 従業員数 約 500 名 (2012 年 1 月現在 ) 4

製品の特徴と製造概要 自社開発抗生物質製剤 用時溶解型注射剤 粉末充てん製剤 製造概要 原薬 無菌原薬 験検査* 試査察対象 製剤 ( 包装表示 ) * シオノギ分析センター ( 株 ) 5

査察の概要 EMA FDA 査察目的定期的 GMP 査察定期的 GMP 査察 査察期間 5 日間 (2012.1.10 ~1.16) 5 日間 (2012.1.30~2.3) 査察官 2 名 1 名 過去の査察履歴 ( 当該品目 ) 承認前査察 (2007) 施設追加 (2009) 承認前査察 (2007) 6

EMA による査察日程 査察内容 第 1 日第 2 日第 3 日第 4 日第 5 日 AM Opening presentation PM 倉庫棟 原薬棟 AM 無菌原薬棟 ( 一般区域 ) PM 無菌原薬棟 (Grade C) AM 無菌製剤棟 (Grade C) PM 無菌製剤棟 ( 一般区域 ) AM 品質管理棟 *( 理化学 ) 文書照査 PM 品質管理棟 *( 微生物 ) 文書照査 AM 文書照査 PM 文書照査 / Final wrap-up meeting * シオノギ分析センター ( 株 ) 7

FDA による査察日程 第 1 日第 2 日第 3 日第 4 日第 5 日 査察内容 AM Opening presentation PM 倉庫棟 原薬棟 AM 無菌原薬棟 ( 一般区域 Grade C) PM 文書照査 AM 無菌製剤棟 (Grade C) PM 無菌製剤棟 ( 一般区域 ) AM 品質管理棟 *( 理化学 微生物 ) PM 文書照査 AM 文書照査 PM 文書照査 / Final wrap-up meeting * シオノギ分析センター ( 株 ) 8

指摘事項 EMA 指摘事項 1 件 (Deficiency*) FDA 指摘事項 (Form 483) なし * Minor 指摘相当 9

査察の進め方 <EMA, FDA> 考え方 (Philosophy) 製造方法や規格 試験法の設定について SOP に定めた手順だけではなく その根拠と考え方を科学的 合理的に説明できなければならない どうやっているの? だけではなく どう考えているの? 考え方はリスク ベースであること 10

査察の進め方 <EMA> 担当者への質疑が詳細であり ( 特に現場確認時 ) 担当者の知識や経験を確認しようとする姿勢が顕著であった <FDA> 関連文書の連鎖的な要求が細かく それを実際の運用と対比しつつ システムの完全性を見ようとする意図が明確であった 同じ質問を繰り返し 説明事項の信頼性を確認しようとした 11

現場確認の割合 2007 年 承認前査察 (PAI) 2012 年 定期的 GMP 査察 EMA 55% 60% FDA 55% 50% 総査察時間に対する現場確認時間の割合 ( 概数 ) 12

現場確認における着目点 総現場確認時間に対する個別査察時間の割合 (%, 概数 ) 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 倉庫 原薬 無菌原薬 製剤 ( 無菌 ) 無菌工程を重視 QC( 微生物 ) QC( 理化学 ) EMA, 2007 PAI EMA, 2012 定期 FDA, 2007 PAI FDA, 2012 定期 13

特記すべき確認事項 / 震災対応 地震の被害と復旧について <FDA> 災害発生から復旧までの流れ ~ 復旧マスタープランとその報告書で説明 復旧にかかわるバリデーション 特に培地充填試験 地震など緊急事態対応の SOP 放射能汚染の対策 <EMA> 汚染リスクへの対応を説明した 14

特記すべき確認事項 <EMA> 優先して確認した文書 年次照査報告書 トレンド解析の結果 ~ 無菌環境管理 製造用水 充てん工程 逸脱と OOS 苦情処理と回収 工場出荷後の配送システム 15

特記すべき確認事項 <EMA> 製造用水の入念な確認 SOP の確認 記録 サンプリングの手順と実際の操作を要求 全ての建物で施設 配管の管理と運用をチェック 微生物試験の手順と結果を確認 試験者の適格性 最初の教育 スキル認定の方法と基準 継続教育 認定更新 スキル表の更新 教育計画 特にこのサイクルの確実な運用が求められた 16

特記すべき確認事項 <FDA> 前回査察のフォロー 前回査察時 (2007 年 ) の指摘事項への対応 及び前回からの変更点と変更後の品質トレンドを詳細に確認した 品質システム プロセス間のモノや情報の流れを注視した CAPA 変更 逸脱 OOS のシステムと実際の運用を詳細に調べた 製造工程 試験に対する深い知識を求めた 品質契約 シオノギ分析センター ( 株 ) 海外提携先との品質契約を確認した サービス プロバイダーとの品質契約も確認した 契約先との責任の分担が契約書に明記されていることをチェック した 17

文書照査の内容 <EMA, FDA> EMA, FDA とも基本的な GMP 要件に関する文書 (SOP, 記録 ) が照査の対象となった 品質マネジメントシステム - 年次照査報告書 職務要件書 変更管理 逸脱管理 出荷手順 供給業者の管理 職員の適格性 - 教育訓練の計画と記録 構造設備 - 特に無菌環境構築のための構造設備とユーティリティ 校正とメンテナンス 防虫防鼠 文書化 -SOP 管理手順 製造 - 特に無菌性保証のためのバリデーション ( 培地充てん試験など ) 製造記録 試験室管理 -HPLCの操作手順 標準品管理 OOS 試験記録 On-going 安定性試験の計画と結果 苦情と回収 自己点検 品質契約 18

ICH Q8, Q9, Q10 に関して ICH Q トリオについては 概して積極的な確認はなかった <EMA, FDA> Q8 工程のクリティカルなパラメーターとその設定根拠を理解していることが求められた 決められた製造手順と試験方法を遵守している というだけでは不十分である <EMA> Q9 リスクベースなアプローチを要求された <EMA, FDA> 高リスクのプロセスに対する重点的な確認 ( 無菌操作 環境モニタリング 無菌試験 製造用水 )<EMA, FDA> 培地充てん試験におけるワーストケースの設定根拠 <EMA> 環境モニタリング箇所設定の合理性 <EMA> 工程で何をリスクと考えるか との作業者への質問 <EMA> Q10 品質方針を確認 <EMA> マネジメントレビューの実施を確認 <EMA> 19

EMA 査察ガイド Conduct of Inspections of Pharmaceutical Manufacturers or Importers(2010) < 査察の重点項目 > 1. 製造及び試験の委受託契約契約された外注作業及び委受託両者の責任が明確に規定されていること 両者間の契約が EU-GMP の詳細に適合しているかどうか 査察官は調査すること 2. 苦情と回収査察官は苦情を記録し照査するシステムと EU 加盟国の内外から医薬品のバッチを回収するシステムを調査すること 査察官は苦情報告と回収を議論すること 3. 自己点検査察官は企業内で自己点検を行うシステムを調査すること ただし 通常 査察官は自己点検報告書を読むべきではない 20

FDA 査察ガイド Drug Manufacturing Inspections(2002) Compliance Program Guidance Manual Program 7356.002 システム査察 ~ 品質システム 構造設備システム 原材料システム 製造システム 包装 表示システム 試験室システム Pre-Approval Inspections(2010) Compliance Program Guidance Manual Program 7346.832 査察の 3 つの目的 1. 商業生産のための対応能力 2. 申請書との一致 3. データの完全性の監査 21

おわりに EMA, FDA の GMP 査察を通して 最近の海外規制当局が重点的に指向するところが理解できるように思われる わが国当局の GMP 査察においても PIC/S-GMP ガイドラインの取り込みがあり 今後の国内の査察動向として EMA, FDA の手法と方向が企業にとって参考になると考えられる 企業としては 直接の査察対応だけではなく 査察で得られた知見を今後の製造所の GMP 体制の改善に展開してゆくことが重要であると考えられる ご清聴ありがとうございました 22