出 場計画を作成する上での考え方 1 消防力の基準で想定する火災モデル 1 戸建専用住宅において発生した火災を火元建築物 1 棟の独立火災にとどめ 隣棟への延焼を阻止すること 延 火災発生地域 市街地 隣棟間隔 5m 未満 焼 火元建築物の構造 木造 防火造 火元建築物の用途 一戸建て専用住宅 火元建築物の階層 2 階建て 延焼 走行時間 4.5 分 阻 ホース延長時間 2.0 分 止 出場 ~ 放水開始時間 計 6.5 分 放水口数 2 口以上 2 消防力の基準における消防隊の活動状況 < 木造 防火造建築物火災 : 隣棟間隔 5m 未満の火災 > 署 所 消防団 最大放水口数 4.2 口 5.0 口 =2.5 隊 放水 : 人命救助現場指揮原因調査資機材 小 計 5 2.3 口 放水活動以外 搬送等 隊 =3.0 口 0.5 隊 0.4 隊 0.6 隊 0.8 隊 2.3 出場人員 : 2.5 隊 60.5 人 < 木造 防火造建築物火災 : 隣棟間隔 5m 以上の火災 > 署 所 消防団 最大放水口数 3.5 口 4.0 口 =2.0 隊 放水 : 人命救助現場指揮原因調査資機材 小 計 4 2.0 口 放水活動以外 搬送等 隊出場人員 : 0.3 隊 0.4 隊 0.6 隊 0.5 隊 1.8 45.6 人 2.0 隊 < 耐火造建築物火災 > 署 所 消防団 最大放水口数 3.8 口 4.0 口 =2.0 隊 放水 : 人命救助現場指揮原因調査資機材 小 計 9 0.5 口 放水活動以外 搬送等 隊 =1.0 口 2.1 隊 1.4 隊 0.9 隊 1.9 隊 6.3 出場人員 : 7.0 隊 24.1 人 ただし 政令指定都市 県庁所在地等の大規模な消防本部のデータは 全国的に見て平均的な消防本部のデータと著しく異なる傾向があるため除かれている
3 消防力の基準による消防活動モデル消防力の基準による市街地における消防活動モデルは次のとおりである 消火活動に必要な Aタイプ Bタイプ 市街地人口による署所と消防団 消防力 の消防力の配分 ス人命の検索救助 0.5 隊 0.5 隊 テ援護注水 ( 放水 ) 0.5 隊 0.5 隊 署所の消防力 ッ延焼阻止 ( 放水 ) 1.0 隊 5 隊以上 プ 小計 2 隊 小計 1 隊 1 (4 口 ) (2 口 ) ス延焼阻止 ( 放水 ) 1.5 隊 1.5 隊 テ現場指揮 0.5 隊 0.5 隊 ッ原因調査 0.5 隊 0.5 隊 プ資機材搬送等 1.0 隊 1.0 隊 2 小計 3 隊 小計 3 隊 累計 5 隊 累計 4 隊 (10 口 ) (8 口 ) ス火勢鎮圧 ( 放水 ) 1.5 隊 1.0 隊 テ (3 口 ) (2 口 ) 消防団の消防力 ッ周辺警戒 2.5 口 プその他飛び火警戒 団員数十名 3 等 Aタイプ火災とは 出動から6.5 分以内に有効な消防活動が実施されないと隣棟への延焼危険性が高 い火災であり 隣棟間隔が5m 未満の場合に生じる可能性があるが 2m 未満の場合特にその危険性が高 まる 一方 Bタイプ火災とは 出動から消防活動の開始までの時間が6.5 分を超えても隣棟への延焼危険 が低い火災であり 隣棟間隔が5m 以上の場合にほとんどこのタイプとなり 2m 以上 5m 未満であって もBタイプ火災は相当程度の可能性で発生しうる 消防活動の時系列的な過程は同じであるが,Aタイプの方が延焼危険性が高いことから, 投入する仕事 量が大きい点で異なる ステップ1では, 最優先して人命の検索救助, そして最大延焼危険の排除が目的であり, 消防隊が現場到 着後できるだけ早期に人命検索救助が開始され, これと同時に援護注水の開始が必要となる このステッ プは出動後 6.5 分以降の時間帯に相当する ステップ2では, 消防活動体制の構築, 延焼危険の排除が目的であり, 延焼阻止のためさらに放水活動を 強化し複数の消防隊の活動を総括するための現場指揮が必要となる さらにローブ, 空気ボンベ等消防活 動に必要な資機材や補給用の資機材を消防自動車から火災現場に搬送するなど, 放水活動を支える様々な 活動が必要となる このステップは延焼危険の排除のために所有する消防力が最大限に機能する段階で 出動後 10 数分以降の時間帯に相当する ステップ3では 火災の鎮圧 火災による影響の及ぶ周辺地域を含んだ火災現場の統制が目的である 残火処理をはじめ必要な放水を局所的に実施し 火災現場周辺の警戒を実施する また 強風時等には風 下方向への飛び火警戒等も実施する ステッブ1 2までは高い迅速性, 高度な装備と技術が求められ, 特にステップ1は常備消防, すなわ ち署所が担当することを原則とする 市街地内に署所がバランスよく配置されていれば, ステップ1は火災現場に最も近い署所が担当し, ス テップ2 以降の活動は, その隣接署所に配置された消防ポンプ自動車による対応が可能であるが, 人口規 模の比較的小さな市街地にあっては, 消防団が担当する場合が多いと考えられる ステップ3は, 消防団の担当を基本とするが, 大都市など署所数, 消防自動車数の多い消防本部にあっ ては, 署所が担当する場合もある - 1 -
4 の過去の火災出場データから 活動状況について検証 (1) の平成 11 年中の炎上火災における活動状況 火点への放水状況 補給状況 建築焼損類焼火 点 50mm 延 長 65mm 延 長 補給補 給 延 長 活動 構造 階 面積面積棟数放 水放水 ホース 放 水 ホース 車輌口 数 ホース 人員 車輌数口数 本 数 口 数 本 数 数 本 数 木造 1 115 115 4 3 5 12 0 0 2 2 11 27 木造 1 83 83 2 3 8 11 1 5 2 2 7 36 木造 2 44 26 3 4 9 1 5 1 1 6 32 木造 1 40 40 4 4 9 23 ( 分岐 ) 1 5 2 2 13 42 木造 2 48 166 4 3 8 14 ( 分岐 ) 1 19 1 1 2 39 木造 2 82 37 0 3 9 17 ( 分岐 ) 1 3 2 2 8 40 木造 1 46 57 3 3 5 10 ( 分岐 ) 1 10 0 0 0 39 木造 2 48 71 3 4 5 16 0 0 1 1 5 39 木造 2 162 249 1 5 11 23 ( 分岐 ) 1 32 1 1 10 40 木造 2 110 92 0 3 7 21 ( 分岐 ) 1 5 2 2 11 29 木造 1 124 56 0 2 5 8 0 0 1 1 7 35 防火 2 80 25 0 2 4 8 0 0 2 2 10 29 平均 82 84.8 1.9 3.2 6.7 14.3 0.7 7.0 1.4 1.4 7.5 35.6 準耐火 2 115 86 0 4 6 10 ( 分岐 ) 1 14 1 1 4 34 準耐火 1 87 87 1 3 7 10 ( 分岐 ) 1 4 2 2 12 35 耐火 3 116 35 1 3 5 12 ( 分岐 ) 1 16 1 1 7 30 耐火 4 207 59 0 3 6 8 ( 分岐 ) 1 3 3 3 14 33 耐火 5 453 127 0 3 4 13 ( 分岐 ) 1 7 2 2 9 37 平均 196 78.8 0.4 3.2 5.6 10.6 1 8.8 1.8 1.8 9.2 33.8 以上のデータを元に消防力の基準の活動状況と同様な表を作成すると < 木造 防火造建築物火災 > 署 所 消防団 最大放水口数 8.1 口 8.0 口 =4.0 隊 ( 火点放水 6.7 口 + 補給 1.4 口 ) 放水活動以外 人命救助 現場指揮 原因調査 資機材搬送等 小 計 6 1 団 0.5 隊 0.5 隊 (0.5 隊 ) (0.5 隊 ) 2.0 隊 (5) (1.0 隊 ) 隊 * 原因調査 資機材搬送等についてはポンプ隊が兼任することができる - 2 -
< 耐火造建築物火災 > 署 所 消防団 最大放水口数 7.4 口 8.0 口 =4.0 隊 ( 火点放水 5.6 口 + 補給 1.8 口 ) 放水活動以外 人命救助 現場指揮 原因調査 資機材搬送等 小 計 9 1 団 2.0 隊 1.0 隊 (0.5 隊 ) ( 1.5 隊 ) 5.0 隊 (7) (2.0 隊 ) 隊 * 原因調査 資機材搬送等についてはポンプ隊が兼任することができる (2) 消防活動モデル 消防力の基準による市街地における消防活動モデルを ではAタイプの火災とBタイプの火災 に対して消防活動がそれぞれ半数の割合で実施されると想定し Aタイプの火災に必要な2 隊とBタ イプの火災に必要な1 隊の中間値の1.5 隊とした活動モデルを作成した における消防活動モデル 消火活動に必要な消防力普通火災中高層火災 ス人命の検索救助 0.5 隊 ポンプ車 0.5 1.0 隊 梯子車 1.0 テ援護注水 ( 放水 ) 0.5 隊 ポンプ車 0.5 0.5 隊 ポンプ車 0.5 ッ延焼阻止 ( 放水 ) 0.5 隊 ポンプ車 0.5 プ現場指揮 0.5 隊 指令車 0.5 1 小計 1.5 隊 ポンプ車 1.5 小計 2 隊 梯子車 1.0 (3 口 ) (1 口 ) ポンプ車 0.5 指令車 0.5 人命の検索救助 1.0 隊 救助工作車 1.0 ス延焼阻止 ( 放水 ) 1.0 隊 ポンプ車 1.0 1.5 隊 ポンプ車 1.5 テ現場指揮 0.5 隊 指令車 0.5 0.5 隊 指令車 0.5 ッ原因調査 0.5 隊 ポンプ車 0.5 0.5 隊 ポンプ車 0.5 プ資機材搬送等 1.0 隊 ポンプ車 1.0 1.5 隊 ポンプ車 1.5 2 小計 3 隊 ポンプ車 2.5 小計 5 隊 救助工作車 1.0 (5 口 ) 指揮隊 0.5 (7 口 ) 指令車 1.0 ポンプ車 3.5 累計 4.5 隊 ポンプ車 4.0 累計 7 隊 ポンプ車 4.0 指令車 1.0 指令車 1.0 梯子車 1.0 (8 口 ) (8 口 ) 救助工作車 1.0 ス人命の検索救助 0.5 隊 救助工作車 0.5 テ火勢鎮圧 ( 放水 ) 1.0 隊 ポンプ車 1.0 1.5 隊 ポンプ車 1.5 ッ (2 口 ) (3 口 ) プ 3 周辺警戒 その他飛び火警戒等 - 3 -
従って ステップ1+ステップ2をあわせて出場計画の第 1 出場とし ステップ3を第 2 出場とすれば 木造火災で第 1 出場 ポンプ隊 2 隊 ( ペア運用 )+ ポンプ隊 2 隊 + 指揮隊 1 隊人員 (4+3) +4 2 +3=18 人 第 2 出場ポンプ隊 1 隊以上 4 人となる中高層の耐火建物で第 1 出場ポンプ隊 2 隊 ( ペア運用 )+ポンプ隊 2 隊 + 指揮隊 1 隊 + 梯子隊 1 隊 + 救助隊 1 隊人員 (4+3) +4 2 +3 +2 +3=23 人第 2 出場ポンプ隊 1 隊 + 梯子隊 1+ 救助隊 1 人員 4 +2 +3 =9 人となる * 人員の基準については後述する 人員の基準に対する の考え方 を参照 5 消防ポンプ自動車走行速度の分析 (1) 消防力の基準による消防ポンプ車の走行速度消防ポンプ車の走行速度について消防力の基準の中では道路の整備状況や混雑度 交差点数 交通量 通行者数等の影響を大きく受けるため分析が難しいとして DID 人口密度に着目して走行速度を算出している -5 消防ポンプ自動車走行速度 (km/ 分 ) V=-(2 10 )p+0.64 p:did 人口密度 ( 人 /km2) DID 人口密度 (p) 消防ポンプ自動車走行速度 (V) 3,000 0.58 4,000 0.56 5,000 0.54 6,000 0.52 7,000 0.50 8,000 0.48 9,000 0.46 10,000 0.44 (2) の過去の出場データからの検証消防力の基準では DID 人口密度により消防ポンプ自動車の走行速度を設定しているが 実際の災害における走行道路は DID が一定のところを走行しているわけではないため 過去の出場データから走行時間を測定した 到着順位 平均走行時間 平均走行距離 分 速 4.5 分では 6.5 分では 第 1 署所 3 分 28 秒 1,520m 402m 1,809m 第 2 署所 6 分 42 秒 3,416m 470m 3,055m 第 3 署所 6 分 35 秒 3,730m 570m 3,705m 第 2 署所と第 3 署所の到着時間差はほとんどなく ほぼ同時と思われる この結果から 災害点に近い署所から出動から 4.5 分以内に 1~2 車 6.5 分以内に 2 車の合計 3 ~4 車の現場到着が可能となっている また 走行距離と走行速度の分布をグラフにすると 災害点から 1,000m 以内では走行速度は分速 200~300m 程度となり これは主に街区内の道路の走行速度と考えられる 次に 2,000m 付近では分速 400m 程度 3,000m 付近では分速 500m 程度と 走行距離が長くなるに従って 分速は増加していく さらに走行距離が長くなり 5,000m 以上になると 分速は走行距離が長くなっても余り増加せず 600~800m で一定の速度となると考えられる - 4 -
分速 (m) 800 700 600 500 400 300 200 100 0 消防車の災害現場までの距離と走行速度の関係 ( 平成 13 年 8 月 ~9 月 ) 分速 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 走行距離 (m) 距離 10000 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0-1000 回帰分析による分速観測値グラフ 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 分速 (m) - 5 -
6 人員の基準に対する新システムでの考え方 (1) 消防ポンプ車の搭乗人員消防力の基準では1 隊 =5 人としているが の消防力の基準に対する人員充足率が約 80 % であることから1 隊 =4 人と設定した ただし 分署 出張所等においては3 人乗車もあり得ることから 1 火災当たりの出場隊数及び総出場人員を設定し 規定の出場隊数では人員が確保できないときは不足人員分に対応するポンプ隊を追加出場させることとした (2) 新方式に基づく現場活動の考え方ア車両は現場への移動手段現在 消防車両搭乗人員は3~4 人であり 3 人乗車の場合 1 台の人員で有効な災害活動をすることは困難である このため 災害現場に集結した車両が連携し 人員 機械器具を活用することが必要となってきている イ最先着車両の任務活動方針の決定最先着車両の隊長は 災害の状況から 次先着車両との連携を考慮し活動隊編成を指示する < 例 1> 山林火災出場所連携による小隊編成たとえば 三輪地区の林野火災が発生 出場した場合を例に考えてみると 先着隊三輪タンク車が現場付近到着時点で 山の中腹に白煙を認めた場合 三輪タンク車は火点直近 ホース延長準備するとともに 次先着隊の岩野田タンク ポンプ車に対し 岩野田タンク車は三輪タンク車と合流 岩野田ポンプ車は部署 三輪タンク車に補給せよ と指示することにより 3 台による活動小隊を編成する この場合の先着隊編成は次のような小隊編成となる ( ホース延長 延焼阻止 ) 水槽付 機関員 水槽付 消 防 機関員 消防ポンプ 消防ポンプ ポンプ 自動車 自動車 自動車 機関員 三輪タンク車 岩野田タンク車 岩野田ポンプ車 4 人乗車 3 人乗車 3 人乗車 三輪分隊 + 岩野田分隊 < 例 >2 建物火災本署 2 台同時出場による小隊編成 延焼阻止 援護注水水槽付 機関員消防 機関員 消防ポンプ ポンプ運用ポンプ ポンプ人名検索救助自動車 無線運用自動車運用 兼指揮者 4 名乗車 4 名乗車 延焼阻止 ( 第 3 4 線 ) - 6 -
(3) 現場活動単位としてのペア運用 ペア運用の定義について ア 同一署からの出場 イ 同一署から出場でなくても 車載モニターによる他車表示機能 消防無線等により 出場途上で 2 台の車両の円滑な連携がはかれペア運用が可能な場合 (4) 先着隊 + 次先着隊の2~3 台による活動単位としてのペア運用ア消防力の基準によるペア運用 延焼阻止 援護注水 水槽付 機関員 消 防 機関員 消防ポンプ ポンプ運用 ポンプ ポンプ 人名検索救助 自動車 無線運用 自動車 運用 指揮者 5 名乗車 4 名乗車 延焼阻止 ( 第 3 線 ) ( 注 ) : 水槽付消防ポンプ自動車の搭乗員 : 消防ポンプ自動車の搭乗員 イ におけるペア運用例その 1( 本署 2 台同時出場 ) 延焼阻止 援護注水水槽付 機関員消防 機関員 消防ポンプ ポンプ運用ポンプ ポンプ人名検索救助自動車 無線運用自動車運用 兼指揮者 4 名乗車 4 名乗車 延焼阻止 ( 第 3 4 線 ) ウ におけるペア運用例その 2( 分署 出張所 ) 援護注水 水槽付 機関員消防 機関員 消防ポンプ ポンプ運用ポンプ ポンプ人名検索救助自動車 無線運用自動車運用 兼指揮者 3 名乗車 3 名乗車 延焼阻止 ( 第 3 線 ) - 7 -
エ におけるペア運用例その 3( 出張所又は本署 出張所又は分署 ) 延焼阻止 援護注水水槽付 機関員消防 機関員 消防ポンプ ポンプ運用ポンプ ポンプ人名検索救助自動車 無線運用自動車運用 兼指揮者 4 名乗車 3 名乗車 延焼阻止 ( 第 3 線 ) オ におけるペア運用例その 4( 山林火災 ) 延焼阻止 水槽付 機関員 水槽付 消 防 機関員 消防ポンプ 消防ポンプ ポンプ ポンプ 自動車 自動車 自動車 運用 機関員 (5) 後着隊の役割ア現状後着隊の任務としては 先着隊の手薄方面への消火活動が主体となると思われる 後着車両が部署位置する場所は 先着隊又は指令車の延焼危険方面の指示があれば指示された方面に部署することが多い この場合 現在の傾向として 別々の署所から出場した場合は単独の活動をし 同 1 署所から2 台が同時に出場した場合はペア運用をする場合がほとんどである イ問題点先着隊のみで放水口数が十分な場合でも 車両ごとに部署 ホース延長の体制を取る場合が多い ウ改善点従前でも 後着隊が放水の必要ないときは先着隊の放水の補助 水損防止等を行ってきた これを もう少し進めて 放水の必要のない車両の隊員を現場本部が集め 具体的な任務を与え活動させることが必要である 大切なことは 従前は何となくしてきた活動 つまり 明確に意識しないでしてきた現場での活動 任務を認識して隊員が活動することである (6) 現場指揮隊の任務現場に集結した車両及び人員の管理災害現場に出場した車両のすべてが有効に活用されるわけではない 後着隊で災害活動に活用されない車両の人員を先着隊の活動に再配置することが必要 (7) 総指揮隊の任務現場活動隊 指令課 後方支援隊としての本部各課との調整管理 - 8 -
指揮動警防活動の基本 1 警防活動における指揮命令系統について現在 消防活動で使用されている指揮命令系統の基本型は 20 世紀初頭 ドイツの前進であるプロシャの軍隊組織で開発され その後 各国の軍隊 企業の多くで採用されたピラミッド型指揮命令系統が使用されています この指揮命令系統の命令 情報の流れは次の図のようになっています 大隊長 中隊長 中隊長 小隊長小隊長小隊長小隊長 分隊長分隊長分隊長分隊長分隊長分隊長分隊長分隊長 しかし この指揮命令体系を維持するためには 1 十分な人員の配置 2 ピラミッドの頂点に十分な情報が収集できること 3 大隊長 ( 指揮本部 ) に十分な人材と人数を確保できること が必要となります 長所として 1 指揮命令が一貫している 2 行動に無駄が少ない 3 大隊長 ( 指揮本部 ) による情報の管理欠点として 1 命令待ちとなり 短時間で変化していく災害に素早く対応できない 2 情報が途中で途切れたり 内容が変わったりする恐れがある 3 命令や情報の収集に時間がかかる これらの点から ピラミット型は目標が明確で 組織的に動く場合には有効であるとされてきました しかし 地震や 同時多発災害のような突発的な災害に対しては ピラミッド型の指揮命令体系ができるまでに時間がかかるため 対応が遅れたり 困難な状況になる恐れがあります このような状況から 新しい指揮命令体系が必要と考えられています 現在 このような突発的な災害に対応するための指揮命令体系として考えられているのは 情報通信機器を活用し 情報をすべての隊が共有するとともに 現場活動隊に権限と責任を持たせ 刻々と変わる状況の変化に柔軟に対応していく次のような方式です 新指揮命令系統略図大隊長 中隊長 中隊長 小隊長小隊長小隊長 分隊長分隊長分隊長分隊長分隊長分隊長 - 9 -
3 出場車両自動順次編成自動出場による車両順次編成の目的は災害の種別に応じて必要な車両を 必要な順番で 最短距離のの順に編成し 効率的で有効な消防活動ができる事を目的としている 例として (1) 中高層建物火災の出場計画が次のようであり 出場計画 通常時 中高層火災 項 目 指令車 タンク ポンプ車梯子車水槽車工作車 救急車出場総人員 編成台数 1 4 1 1 1 編成順位 3 1678 2 4 5 25 (2) 災害点と署所の関係が下図のような関係の時 災害地点 直近順位 3 2 1 B 分署当務人員 8 A 署 当務人員 15 C 出張所当務人員 4 車 両 設定人員 車 両 設定人員 車 両 設定人員 タンク車 3 指令車 3 タンク車 4 ポンプ車 3 タンク車 4 救急車 3 水槽車 2 ポンプ車 4 4 人で2 台の車両を乗 救急車 3 ポンプ車 4 り換え運用 8 人で4 台の車両を 救助工作車 3 乗り換え運用 梯子車 2 救急車 3 (3) 自動出場隊編成は次のように行われる 編成順位 システム上の設定人員 実乗車人員署所の残留人員 1 C 出張所 タンク車 3 人 残 1 人 4 人 C 出張所は4 人全員が 2 A 署 梯子車 2 人 2 人 1 台に乗り出場 A 署 3 A 署 指令車 3 人 A 署 計 15 人 3 人 は設定人員の通りに乗 4 A 署 救助工作車 3 人 3 人 車して全員出場 B 分 5 A 署 救急車 3 人 3 人 署は設定では6 人で2 6 A 署 タンク車 4 人 残 0 人 4 人 台であるが4 人ずつの 7 B 分署 タンク車 3 人 4 人 8 人で出場 8 B 分署 ポンプ車 3 人 残 2 人 4 人 合計 8 台 25 人 27 人 以上のように 車両順位に基づき 車両選択をしながら選択車両に設定してある人員を署所の当務人員から減算していくことにより 人員管理と車両編成を両立させている なお 車両の設定人員は車両ごとに任意に設定可能 また 署所の当務人員も随時変更可能である 出場指令時には車載端末に出場指令書及び災害点の入った地図が表示される 出場各隊は車載端末の出場ボタンに続けて実際に乗車した人数ボタンを押す 指令台は出場実人員を自動的に計算し 設定してある総人員より不足する場合は不足表示をする指令課員は人員の不足表示が出たら 不足人員を補う追加出場をかける 上記の例の場合は 設定総人員 < 実出場人員であるから不足表示はでないことになる - 10 -