( 別添 ) 個人住民税の現年課税化に係るこれまでの議論 これまでの議論の中で 大きな比重を占めているのは 特別徴収義務者の事務負担軽減である そのためにもわかりやすいシステム設計とICTを使った事務の軽減を考えなければならない したがって パソコンやスマホを使用してできる所得税及び個人住民税の計算

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Q1 市県民税 ( 住民税 ) とはどんな税金ですか? A1 その年の1 月 1 日現在 市内に住所がある個人に対し 前年中の所得 ( 給与 年金 営業 不動産 譲渡などの所得 ) に応じて課税されます また その年の1 月 1 日現在市内に住所がなくても 市内に事務所 事業所又は家屋敷があれば課税

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特別徴収制度説明会

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出先機関名市立病院事務局総務課 編集年度分類記号種別 書 目 24 C36 3 所得税 県市町村税関係 全 1 冊の 1 冊 索引番号 完結年月日文書番号 件 名 備 考 平成 24 年 3 月分住民税の納入について ( 伺い ) 平成 24 年 3 月分所得税の

個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)

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個人住民税 特別徴収 に係る Q&A 問 1 個人住民税の 特別徴収 とはどんな制度ですか? 答 1 従業員の方々の納税の便宜を図る目的から 事業者の方が 毎月の給与を支払う際に所得税などのように 個人住民税を徴収して ( 天引きして ) 納入していただく制度です 従業員の所得税は給与から源泉徴収し

田沼 薫  様

「1 所得税及び復興特別所得税の確定申告書データをお持ちの方」からの更正の請求書・修正申告書作成編

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

特別徴収制度説明会

特別徴収事業者特別徴収事業者であることであること が入札参加申請入札参加申請の要件要件に加わりますわります 個人住民税の特別徴収制度は 地方税法や各市町村の条例等で定められており 所得税の源泉徴収をしている従業員がいる場合は 特別徴収することが義務づけられています 伊佐市では 法令遵守の観点から こ

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

「左記以外の所得のある方」からの確定申告書作成編

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平成 29 年版の kyuyo29.xlsb を起動して 前年分データ読込 を実行するとメッセージが出ます 2 つのファイルが同じフォルダにあると平成 27 年版の kyuyo27.xlsb を自動的に認識して メッセージからデータの移行処理が開始されます データ移行についてのご注意 VBA 源泉徴

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個人住民税の特別徴収に関するQ&A

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

退職金についての市県民税はどうなるの? 私は平成 28 年 4 月に退職しました 勤続 30 年で退職金は 2,100 万円ですがこの退職 金に対する市県民税はいくらですか 通常の市県民税の課税は前年中の所得に対し翌年課税されるしくみになっていますが 退職金に対する課税については 他の所得と分離して

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FX取引に係る確定申告について

第 1 個人住民税の現年課税化についての検討 1 個人住民税の現年課税化に係る議論の背景 (1) これまでの経緯個人所得課税において 給与等は原則として 所得税 ( 国税 ) は 所得の発生した年に課税 納税が行われるいわゆる 現年課税 であるのに対し 個人住民税 ( 地方税 ) は前年の所得を基準

納税義務者とは従業員等をいいます 特別徴収義務者用より詳細な内容になっています 市町村によっては個人情報保護から特別徴収義務者用の通知書が圧着 加工等されていることがあります この場合 開かずに本人に渡すよ う要請されています ミシン目で切り離し 各個人にお渡しください 6 月の給料袋に同封 するこ

Q4 すべての事業主が個人住民税を特別徴収しなければいけないのですか? A4 所得税の源泉徴収義務のある事業主は 従業員の個人住民税を特別徴収することが法令 ( 地方税法及び各市町村の条例 ) により義務付けられています 特別徴収義務者に指定された事業主は 従業員に給与を支払う際に 個人住民税を特別

計算してみましょう あなたの個人住民税はいくらになりますか? 高知市に住む T さんの場合 ( サラリーマン ) 家 族 妻 ( パートタイム労働者 収入 120 万円 : 所得 =120 万円 -65 万円 =55 万円 ) 子 人大学生 中学生 収 入 万円 社会保険料 万円 新生命保険料 万円

平成19年度分から

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

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eltax( 地方税ポータルシステム ) について 1.eLTAX( エルタックス : 地方税ポータルシステム ) の現状 運用主体 一般社団法人地方税電子化協議会 ( 全ての都道府県 市区町村が会員として加入 ) eltax 接続団体 全 47 都道府県及び全 1,741 市区町村が eltax

中小法人の地方法人二税の eltax の利用率 70% 以上という目標達成に向けて 下記の eltax の使い勝手改善等の取組を進めるとともに 地方団体の協力を得つつ 利用勧奨や広報 周知等 eltax の普及に向けた取組を一層進める また 中小法人の地方法人二税の eltax の利用率の推移等を踏

住民税 所得税の税率国から地方への税源移譲に伴い 平成 19 年度から住民税所得割の税率が 10% に統一され 所得税の税率が 4 段階から 7 段階の累進税率に改正されています 住民税については平成 19 年度分 ( 平成 19 年 6 月納付分 ) 所得税については平成 19 年分 ( 平成 1

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

市 県民税 ( 住民税 ) 市民税は 県民税と合わせて住民税と呼ばれ 住民のみなさんがそれぞれの税の負担能力に応じて分担し合うという性格をもつ税金で 個人が負担する個人市民税と 会社などが負担する法人市民税があります 市民税には 均等の額によって納めていただく均等割と 個人の所得に応じて納めていただ

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年末調整のしくみ

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スライド 1

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公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

「2 所得税及び復興特別所得税の確定申告書データをお持ちでない方」からの更正の請求書・修正申告書作成編

目次 個人住民税とは? 1 1) 個人住民税の特別徴収とは? 1 2) 普通徴収 ( 個人で納付 ) と特別徴収 ( 給不天引き ) の違い 1 特別徴収事務の流れ 2 1) 給不支払報告書の提出 (1 月 31 日まで ) 3 2) 給不支払報告書の提出後に従業員等の異動があった場合 5 3) 個

2 外国人従業員に関すること Q4 A4 特別徴収をしていた 従業員 Bさん ( 外国人 ) が退職し 帰国することになりました この場合 未徴収分の市民税はどうすればいいですか 従業員 Bさんが帰国する場合は できる限り未徴収分の市県民税を一括徴収してください なお 1 月 1 日以降 4 月 3

「左記に該当しない方」からの確定申告書作成編

2018 年版 初めての 年末調整セミナー 概要編 ハッピーニャーゴ 担当講師 : 平賀信幸 社会保険労務士ファイナンシャルプランナー (CFP 1 級 FP 技能士 )

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

目次 1 個人住民税とは 1 2 特別徴収の義務 1 (1) 特別徴収義務者の指定 1 (2) 特別徴収のメリット 2 (3) 特別徴収の対象になる方 2 (4) 給与支払報告書の提出 3 (5) 特別徴収税額決定通知書の送付 5 (6) 納期と納入方法 6 (7) 税額の変更通知 6 (8) 退職

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1 個人住民税とは 1 2 特別徴収とは (1) 特別徴収と普通徴収 1 (2) 特別徴収義務者の指定 1 3 特別徴収の流れ (1) 給与支払報告書の提出 2 (2) 特別徴収税額決定通知書等の送付 6 (3) 納期と納入方法 6 (4) 税額の変更通知 7 4 随時の手続き ( 納税義務者に異動

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

第16回税制調査会 別添資料1(税務手続の電子化に向けた具体的取組(国税))

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

目次 1. 特別徴収制度とは 該当ページ (1) 新潟県での取り組み 2 (2) 特別徴収と普通徴収 3 (3) 特別徴収の対象者 5 (4) 特別徴収に該当しない人 6 2. 特別徴収事務の流れ特別徴収事務月別一覧表 8 (1) 総括表の送付 11 月から12 月 9 (2) 給与支払報告書の提出

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得等から控除)編

目次 1. 平成 30 年改正対応 ( 平成 31 年 1 月リリース予定 ) (1) 改正内容 (2) 様式変更 (3) 画面イメージ (4) 帳票イメージ 1-2. 電子申告 (1) 様式変更 (2) メッセージボックスセキュリティ強化 (3) 納付手続き手順の変更 2. 注意事項 1

電子申告研修会(年末調整編)

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スライド 1

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特別徴収事務処理の流れ 1 給与支払報告書の提出 (1 月 31 日まで ) 税務課窓口に給与支払報告書を提出する場合 (1) 前年中の給与支払の実績に基づいて 個人別の 給与支払報告書 を正副 2 部作成し 以下の区分毎に仕分けする 1 特別徴収 ( 給与天引き ) する人 2 普通徴収とする人

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

2 税務署への提出方法の選択 画面において 書面提出 をクリックする 3 申告書等印刷を行う際の確認事項 画面において ご利用のパソコンの環境が推奨環境を満たしていることを確認の上 ご利用のパソコンの環境 (O S/ ブラウザ /PDF 閲覧ソフト ) が以下の推奨環境を満たしている をチェックする

Ⅰ 年の中途で行う年末調整の対象となる人 年末調整は 原則として給与の支払者に 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( 以下 扶養控除等申告書 といいます ) を提出している人について その年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますので 通常は12 月に行うこととなりますが 次に掲

B 事例 1: 日本赤十字社と公益財団法人公益法人協会ともに 所得控除方式 を適用し ffff た場合に還付される税金について 前提 1 寄附先の名称等 ( 弊協会の他に 東日本大震災の義援金として日本赤十字社に寄附したものと仮定 ) 名称金額備考 日本赤十字社 ( 東日本大震災義援金 ) 30,0

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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

「左記に該当しない方」からの確定申告書作成編

従業員は家族だけなので特別徴収しなくていいです 従業員数の少ない事業所でも特別徴収しなければなりません 毎月納めるのが面倒なのですが 納期の特例 を利用すれば 住民税の毎月の給与からの天引きはしなくても良いのです 特別徴収 のメリットは何です 家族に対して支払う給与から所得税を源泉

申告者と配偶者の合計所得金額の入力フォーム 申告者 ( 給与の支払いを受ける人 ) の事業所得 雑所得 配当所得 不動産所得 その他の所得の収入金額と必要経費を入力して合計所得金額を計算します 申告者の合計所得金額が 900 万円を超えると 配偶者控除または配偶者特別控除の控除額が変動します 申告者


目次 1. 特別徴収制度とは 該当ページ (1) 新潟県での取り組み 2 (2) 特別徴収と普通徴収 3 (3) 特別徴収の対象者 5 (4) 特別徴収に該当しない人 6 2. 特別徴収事務の流れ特別徴収事務月別一覧表 8 (1) 総括表の送付 11 月から12 月 9 (2) 給与支払報告書の提出

電子申告簡易マニュアル 実践 給与支払報告書 編 内容 1. 魔法陣データを読み込む 署名をする 送信する 受付完了通知 ( メッセージ詳細 ) を確認する... 12


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供託者等の住所 氏名または名称および個人番号または法人番 号は 供託者等の口座管理機関から日本銀行に対して 課税事 務のために提供される 2 所得税の徴収 納 入 利付国債の利子または割引国債等 ( 国庫短期証券のうち その銘柄の価格競争入札における募入最低価格 ( 額面金額 100 円当り ) が

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本稿では筆者が知る範囲で この個人住民税検討会での検討内容とこれからの課題について論じたい なお 本文中意見に関わる部分は筆者の個人的な見解である 一一九九〇年代の検討会一九八〇年代後半に世界的な潮流となった税制改革の方向性は 家計の税負担のフラット化であった 日本でも中曽根政権のもとで シャウプ勧


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総論 Q1 民間事業者はどのような場面でマイナンバーを扱うのですか A1 民間事業者でも 従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し 給与所得の源泉徴収や社会保険の被保険者資格取得届などに記載し 行政機関などに提出する必要があります 原稿料の支払調書などの税の手続では原稿料を支払う相手などのマイナン

特別徴収税額の変更特別徴収税額を通知した後 その税額に誤りがあったり また これを変更する理由が生じたときは 市役所から 市民税 県民税特別徴収税額の変更通知書 ( 特別徴収義務者用 ) および 市民税 県民税特別徴収税額の変更通知書 ( 納税義務者用 ) を送付いたします これらの通知書が届いた際

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Transcription:

平成 29 年 12 月 22 日個人住民税の現年課税化について平成 28 年 10 月 12 日から平成 29 年 12 月 21 日まで8 回の個人住民税の現年課税化研究会を実施してきました これは 参議院議員林芳正先生に相談をし 立ち上げていただいた研究会で 衆議院議員平井たくや先生をはじめ内閣官房の浅岡先生 また IT 企業の方々また 総務省自治税務局市町村税課にオブザーバー出席をいただきました 研究会の中では 多くの問題点を洗い出し 解決手段などを話し合ってきました 現時点においては 諸課題についての一定の方向性は見いだせたものの 今後どのような環境整備がなされれば解決につながるかとの検討も行われた すなわち 1 中小零細企業におけるIT 化の進展最近 クラウドを利用した安価な給与計算ソフト開発が進みつつあり こうしたソフトが普及し 多くの中小零細企業がITを利用して源泉徴収税額の計算や年末調整を行うことができる状況になれば 特別徴収義務者に大きな負担をかけることなく 地方団体で異なる税率や個人住民税独自の項目を反映した税額計算ができるようになる 2 マイナンバーカード マイナポータルの普及マイナンバーカードの普及が進めば 住所地の把握など 事務負担の軽減が図られ またマイナポータルの利用が進めば 扶養控除等申告書など発行が容易になる 3 eltaxの機能拡充 eltax( 地方税のオンライン手続きのためのシステム ) については 平成 31 年 10 月より共通電子納税システム ( 共同収納 ) が導入されるなど 機能の拡充が予定されている 今後 更にeLTAXの機能が拡充され 地方税の情報センター的な機能を果たすようになれば 現年課税化に係る諸課題の解決に資する可能性がある などであります 今後 総務省内にある個人住民税検討会で検討をしていただけることになりました 私が作成をした別添 個人住民税の現年課税化に係るこれまでの議論 を参考に掲載します ( 次葉に続く ) 1

( 別添 ) 個人住民税の現年課税化に係るこれまでの議論 これまでの議論の中で 大きな比重を占めているのは 特別徴収義務者の事務負担軽減である そのためにもわかりやすいシステム設計とICTを使った事務の軽減を考えなければならない したがって パソコンやスマホを使用してできる所得税及び個人住民税の計算ソフトの導入は必須事項であり それらを使えない人のサポートは 地方公共団体が責任をもって行えば カバーできる問題であると考える ( この問題を解決するために概算納付などの制度も考えられるが 事務処理負担を考えれば 導入しないほうが得策に思われる ) 以下 新システムでのフローを示します 特別徴収の新システム事務処理フロー (1) 従業員から マイナンバー 1 月 1 日の住所地を含んだ 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 を提出させる (2) 事業者は 国及び地方公共団体の事務を一括処理する団体 ( 以下 一括団体 という ) へ関係書類を送付するともに1 月分の所得税及び個人住民税を納付する (3) 一括団体は 地方公共団体へ関係書類を送付するとともに個人住民税を納付する (4) 地方公共団体は 関係書類及び個人住民税を精査する 1 月 1 日の住所地などに誤りがあれば 関係地方公共団体及び事業者と協議し 従業員から 訂正申告書を次回の納入日に関係書類と一緒に一括団体に送付してもらう (5) 一括団体は 訂正申告書が提出された場合は 適宜 精算処理を行い 地方公共団体へ修正申告書を含んだ関係書類とともに個人住民税を納付する (6) 地方公共団体は 年末調整についてパソコンやスマホが使えない事業者のために年末調整のための窓口の開設及びパソコンやスマホでも簡単に計算ができることの広報活動を行う (7) 確定申告については 所得税と個人住民税を一括精算ができるようにする (8) 所得税及び個人住民税の還付がある場合 一括還付をし 個人住民税の精算事務は一括団体が事務処理を行う この事務処理フローを基に今までの課題整理 ( 前回 国の担当が示された課 題ごとに考え方を整理しました ) を行うと次のとおりである 従業員の 1 月 1 日現在の住所地の把握 2

事業所は 従業員からの申請を基に事務処理を行うこととし 従業員から住民票などの提出を求めなくてもよい 毎月の税額の納入を個人単位で行ってもらう必要があるが 従業員が多い場合は 電算処理で行われており 特別徴収義務者において負担はそれほど無いのではないか 特別徴収義務者が行った誤納付を地方公共団体間で精算することについては 従業員本人から訂正申告書を提出し精算することになるので 法制的に問題はないのではないか 年末調整後に納付先団体の誤りが判明した場合の事務処理は 上記のフローによって訂正する期間は 約一年間あるので あまり起こらないと考えられるが そのようなことが発生しても 現在行っている方法 ( 各地方公共団体の協議による解決 ) に準じて行うことになると考える 誤納付について 納税義務者本人に対し 課税団体の告知を行う仕組みが必要になるということについては 本人から訂正申告書を提出してもらうことにより行う 報酬や原稿料等については 給与と同様に マイナンバーと1 月 1 日住所地を確認し 所得税と個人住民税を国及び一括団体へ納入することとし 個人住民税の支払調書については 所得税の支払調書に必要事項を追記し 所得税 個人住民税の支払調書とする 個人住民税の税額の計算 年末調整 計算ソフトの導入で 多くの場合は解決できるが それらを使えない事業者のために地方公共団体に相談 処理窓口の設置により処理を行うようにし理解を得る 入力確認や検算などシステムを導入することで 確実に事務負担は軽減する ITを導入していない事業者については 地方公共団体の窓口業務又はスマホの普及により対応することができると考える 年末調整など手計算で対応してもらうことは難しいと考えるので 上記の方法で対応する 従業員が個人住民税の確定申告を行えるよう 所得税と個人住民税を記載した1 枚の源泉徴収票を交付するものとする 確立されたITシステムで出力するので 特別徴収義務者や納税義務者の混乱は生じないと考える 納税義務者による確定申告 所得税と個人住民税を兼ねた確定申告書を提出してもらい処理することにな る 3

e-tax や eltax の普及により対応は十分にできると考える 転居した場合でも一括団体のシステムで対応できるので 課税団体に対し 正しく申告できる 市区町村における事務負担 確定申告による市区町村からの還付事務については 所得税の還付も含め国か一括団体が行うことにより事務の効率化は図られる 所得情報を各社会保障制度等で活用することは今までどおりであり 現年課税化することと直接関係することはないと考える 切替年度の税負担 切替年度の対応については 不公平が生じないためにも 下記のとおり特別徴収 普通徴収及び年金徴収について 新しい考え方をまとめたので 今後の検討資料としてもらいたいと考えています なお 切替年度における税負担に係る考え方として 税負担は 行政サービスの提供に必要な財源を賄うために求めるものであるという観点から 基本的に1 年分の所得に対して課税をすることを前提として移行処理を考えています 個人住民税の現年課税化の移行処理 ( 案 ) 特別徴収の場合特別徴収の場合は 今まで個人住民税額を12 等分して給料の時に天引きする方法をとっているが 新システムにおいては 所得税と同様に賞与についても天引きすることとします そのことを前提に移行処理を考えます 例えば N 年を切替年とすると N 年 1 月 5 月 6 月 12 月 (N-2 年所得に対する税額 ) (N-1 年又は N 年の所得に対 する個人住民税の多い額 ) ( 注 ) の実際の処理はN+1 年から行う通年処理に準じて行い 年末調整又は確定申告によりN-1 年又はN 年の所得の多いい税額で決定する 具体的には 6 月から11 月までは毎月の給料及び6 月の賞与 12 月の賞与から個人住民税を天引きし 年末調整時 (12 月の給与 ) にN-1 年又はN 年の所得の多いほうの所得で計算し個人住民税を徴収する 具体的には 12 月の給料でN-1 年又はN 年の所得の多い方で計算した個人住民税額から6 月の 4

給料から12 月の賞与までに天引きした個人住民税の総額を引いた額を徴収する ( この方法だと 賞与は年間 4.3か月分あるので給料と合わせると11. 3か月分になり 12 月の給料では0.7か月分余分に天引きされるが影響は少ないと考える ) 普通徴収の場合現状は 6 月 8 月 10 月及び1 月で徴収しているので N 年 1 月までN -2 年所得の税額で徴収する 変更後は 所得税の予定納税額が15 万円以上のものは 7 月 11 月及び3 月に徴収することになるので N 年の7 月及び11 月については確定申告の予定納税に準じて納入してもらい 3 月については N-1 年又はN 年の所得の多い方で計算をする 年金徴収の場合現状は 4 月 6 月 8 月 10 月 12 月 2 月で徴収しているので N 年 2 月までN-2 年所得の税額で徴収する 変更後は 所得税の納期が2 月 4 月 8 月 10 月 12 月となるので N 年の4 月 6 月 8 月 10 月及び12 月については N-1 年又はN 年の所得の多い方の個人住民税を分割して納入してもらう この案を基本に課題整理を行うと 上記方法で行えば 給与所得 事業所得 年金所得を含め 平等に処理できると考える 有価証券 不動産などの分離譲渡所得については 所得の発生時期を調整することが可能であることから 税逃れを防止するため N-1 年とN 年を合算し N 年に税負担を求めることにすれば 駆け込み需要や反動減は生じないと考える 現年課税導入で 世代間の不公平が生じるのは確かであるが 全体的に有利に働くし 制度の改廃であるので受忍できる範囲であると考える 長期的に見ても地方団体の税源が失われることはないと考える 上記の方法であれば 給与所得者や 事業者においても平等に課税ができると考える 所得情報の精度は維持できるし 社会保障制度等において適切な運用はできると考える 個人住民税の現年課税化を検討する意義 各々の立場から検討する意義を考えれば次のとおりである 5

納税者においては 退職後の税の負担がなくなる 移行時に個人住民税の減額がある(4 兆円程度 ) 国においては 地方交付税が減額できる( 毎年 1000 億円以上 ) 働き方改革に寄与できる 都道府県においては ( 山口県の場合 ) 市町村への委託料がなくなる( 毎年 25 億円程度 ) 各市町村への滞納処理のサポートが不要になる N 年の都道府県民税は5/12ほど増加する 各市町村においては ( 宇部市の場合 ) N 年の市町村税は5/12ほど増加する 事務削減効果がある( 毎年 2 億 4000 万円程度 ) 次のような事務がなくなる 各事業者からの前年の給与支払報告書の徴収及び電算入力および個人住民税の計算 上記個人住民税を各事業所への通知 各事業所から振り込まれた個人住民税の消込 各月の各事業所からの就職 退職等の異動報告の処理 個人市民税の滞納処理など 日本年金機構への年金受給者ごとの天引き額の通知 各事業所においては ( 毎年 全体として数兆円の規模ではないかと推測する ) 事務の削減効果がある 次のような事務がなくなる 前年の給与支払報告書を従業員が居住している市町村への報告 各市町村からの従業員の個人住民税の税額を受け 電算入力処理 毎月の各市町村への従業員の個人住民税の振込処理 各市町村への就職 退職等の異動報告 日本年金機構においては 所得額から自動計算されるので 事務負担が軽減される ( 現制度においては 各自治体からの天引き額を入力し 徴収する事務が発生している ) 配当 ( 利子も含む ) 株式譲渡においては 証券会社等が マイナンバーに基づく一括団体への納入となるので 各市町村への正確な分配ができるとともに交付金計算も不要になる ( 現制度では 証券会社等が国及び都道府県へ納入し 都道府県は 市町村へ個人の都道府県民税額により分配している ) 6