個人住民税の現年課税化に係る課題について

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法によって徴収することになっています したがって パートやアルバイトの従業員であっても この要件に該当する場合は特別徴収しなければなりません ただし 次のようなケースは特別徴収することが著しく困難なため 特別徴収の対象とならない場合があります ( 詳しくは各市町村の個人住民税担当課へご確認ください

給与所得控除 給与収入の金額控除額 162 万 5,000 円以下 65 万円 162 万 5,000 円超 180 万円以下収入金額 40% 180 万円超 360 万円以下収入金額 30% + 18 万円 360 万円超 660 万円以下収入金額 20% + 54 万円 660 万円超 1,00

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給与所得控除 給与収入の金額 控 除 額 162 万 5,000 円以下 65 万円 162 万 5,000 円超 180 万円以下 収入金額 40% 180 万円超 360 万円以下 収入金額 30% + 18 万円 360 万円超 660 万円以下 収入金額 20% + 54 万円 660 万円

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公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

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個人住民税の現年課税化について 2016 年 10 月 27 日第 3 回個人住民税検討会 株式会社大崎コンピュータエンヂニアリング代表取締役社長武田健三 0

現年課税化の問題点 1. 企業の事務負担の重さ 2. マイナンバー導入後は企業の負担が先行 3. 現年課税化の問題点はマイナンバーが導入されても解決しない ( マイナンバーの利用は民間では制限されている ) 4. 企業側で税額を計算すると非効率 5. 切替年度における問題 1

1. 企業の事務負担の重さ 生産性の向上が課題となっている日本の企業にとって これ以上の事務負担の増大は 避けねばならない 事務項目所得税関連の事務量個人住民税関連の事務量 毎月の税額の算定 管理 8 時間 / 年 12 時間 / 年 毎月の税額の納入 8 時間 / 年 8 時間 / 年 調書の作成 提出 配布 18 時間 / 年 15 時間 / 年 小計 34 時間 / 年 35 時間 / 年 年末調整 105 時間 / 年 1 うち扶養申告書等の必要書類の配布 回収 29 時間 / 年 2( 住基地確認 ) 合計 139 時間 / 年 35 時間 / 年 + 1 年末調整の事務負担は 11 月 12 月の短期間に集中し 100 時間以上発生している 住民税の現年課税化では更なる負担が予想される ( 1 及び 2) 年末調整の事務を外部へ委託している企業の割合は 37.5% となっており その場合の委託費は 300 人超の企業の場合 年に約 1,800 万円必要となる ( 出典 ) 総務省 所得税の源泉徴収 個人住民税の特別徴収に係る事務負担についてのアンケート結果 2

2. マイナンバー導入後は企業の負担が先行 (1) 業務フローは簡素化されず マイナンバー制度を導入しても業務フローが簡素化されることはなく むしろマイナンバー記載の負担や書留での送付など事務負担が増加することが想定される < 従来 > 企業市区町村企業 給与支払報告書 郵便 < マイナンバー導入後 > ( 本人交付 ) ( 本人交付 ) ( 企業控え ) ( 企業控え ) 異動届 企業市区町村企業 給与支払報告書市区町村 税務署提出用の報告書はマイナンハ ーの記載あり物理的安全措置を講じた個室で作業 発送業務 郵送 発送方法について 特に規定はないが 簡易書留等を利用 市区町村ごとに 発送方法が指定されることも想定される 郵便 ( 本人交付 ) ( 本人交付 ) 特別徴収事務 ( 納税 ) 6 月給与から翌 5 月給与まで 特別徴収事務 ( 異動 ) 退職者 中途入社者 ( 企業控え ) マイナンハ ー記載あり ( 企業控え ) マイナンハ ー記載あり 異動届 郵送 特別徴収事務 ( 納税 ) 6 月給与から翌 5 月給与まで 特別徴収事務 ( 異動 ) マイナンハ ー記載あり 退職者 中途入社者 宅配 保管 テ ータ 郵便 宅配 保管 テ ータ 郵送 6 月給与明細書に同封し 宅急便にて各拠点 担当者へ発送 書庫に保管 ( 施錠 ) 人事給与システムに登録 毎月テ ータ送信にて納付送信内容 : 各市区町村別の人数と徴収税額の合計 ( 個人情報なし ) 異動届を市区町村に発送 6 月給与明細書に同封し 宅急便にて各拠点 担当者へ発送 物理的安全措置を講じた個室の書庫に保管 ( 施錠 ) 人事給与システムに登録 毎月テ ータ送信にて納付送信内容 : 各市区町村別の人数と徴収税額の合計 ( 個人情報なし ) 物理的安全措置を講じた個室にて異動届を作成し 市区町村に発送 3

2. マイナンバー導入後は企業の負担が先行 (2) 負担増加の項目 平成 29 年 1 月以降の各種手続きに向け マイナンバーの取扱に係る負担が先行している 既に対応済み 初期投資 今後の対応 継続的な対応 従業員へのマイナンバー制度の周知 講師等へのマイナンバー提供依頼 従業員および家族のマイナンバー収集 マイナンバー記載書類の郵送に係る 簡易書留郵便 の追加的費用負担 情報セキュリティ対策 規定に則った利用 管理 マイナンバーの管理 利用等における社内規定の策定 業務フローや社内情報システムの見直し 更新 マイナンバー管理者の選定 研修 マイナンバーの保管 作業場所の確保 4 つの安全管理措置 組織的 人的 物理的 技術的 業務委託先の監督 複数回答 4

2. マイナンバー導入後は企業の負担が先行 (3) 企業の対応状況 (2016 年 6 月調査 ) マイナンバーへの対応状況は 完了している 企業 ( 全産業 ) は 43.2% 一方 対応する内容は分かっているが 準備には未着手 具体的に何をすべきかわからない は合わせて 31.4% < マイナンバーへの対応状況について > 具体的に何をすべきかわからない 13.4% 完了している 43.2% 対応する内容は分かっているが 準備には未着手 18.0% < 未着手の主な理由 > 複数回答 マイナンバーの使用がなく 必要となるまでに対応すれば良いから 51.1% 自社の業務の中で優先度が低いから 31.9% 社内規定の整備が遅れているから 21.0% 対応中 25.4% n=1,275 ( 出典 ) 日本商工会議所 商工会議所 LOBO( 早期景気観測 ) 2016 年 6 月調査結果 5

3. 現年課税化の問題点はマイナンバーが導入されても解決しない 1 従前からの課題 マイナンバー導入による変化 住所地の確定 源泉徴収事務 全従業員の 1 月 1 日時点の住所確認をすることは 事務負担が膨大である 特に 短期間のパート アルバイトが多い業種 ( 小売 飲食 サービス業 ) や短期間の労働者が多い事業者 ( 建設業等 ) は負担大 手作業で経理事務を行っている企業は 給与額によって月次の税額が変わるため 税額計算の事務負担が重い 短期間のパート アルバイトは 企業へのマイナンバー提出をためらうことも考えられる 全従業員の提出を徹底するためには マイナンバー取得の目的や管理体制 必要性等を教育する必要があるため 人材不足の中小企業では負担が大きい マイナンバーの提出を受けても 企業は住所地を把握できるわけではなく 毎年 1 月 1 日時点の住所地は別の方法で確認する必要が残るため 事務負担の軽減とはならない 手作業 システム導入のいずれにおいても正確にマイナンバーを記載するための事務負担が追加で発生する 勤怠 給与 税額計算が一体となったシステムを導入している企業は 一部に新しい事項が入ると システム導入や改修のための費用負担が発生する可能性がある 所得税方式 ( 年末調整を行う ) を前提 6

3. 現年課税化の問題点はマイナンバーが導入されても解決しない 2 従前からの課題 マイナンバー導入による変化 年末調整事務 各従業員の扶養控除と生命保険料控除の書類や 税額計算等の確認作業が非常に大きな事務負担となる 市区町村ごとに異なる様式を使い それぞれの独自事項を確認することは 対応不可能 各従業員の 給与以外の所得を企業が把握することは非現実的 市区町村ごとにマイナンバーの記入箇所が異なると 企業側はマイナンバー記入の負担がさらに増大することとなる 給与以外の所得については マイナンバーを利用することができない企業側は把握することができない 各市町村への納税 納税先が複数あるので 個々に対応する必要がある 各市区町村に対して 各企業から毎月郵送で書類を提出することは非現実的 中途採用 退職などの場合を考え 普通徴収と同様の仕組み ( 確定申告 ) は存続させる必要がある 納税先を一括にできればマイナンバーによって自治体側が 1 月 1 日時点の住所地を把握でき 事務負担を軽減することができる 所得税方式 ( 年末調整を行う ) を前提 ( 出典 ) 平成 27 年度個人住民税検討会発表資料を基に一部更新 7

4. 企業側で税額を計算すると非効率 企業側で個人住民税の税額を計算すると 正確性が担保できない 企業に所得を知られたくない等の理由で 特別徴収を希望せず普通徴収を選択するような従業員が存在している 従業員は企業に全ての所得情報を開示するとは考えられず 企業側で従業員の全ての所得を把握することは困難である 最終的には 市区町村側が所得の紐づけを行い税額を決定することとなる 市区町村ごとに異なる税率を確認する必要がある 数十 ~ 百程度の自治体について確認し 短期間で税額を計算することは 特に中小企業にとって 極めて重い事務負担である 以上の理由から市区町村側での再計算が避けられないと考えられる 8

5. 切替年度における問題 下記の状況から スムーズな切替が出来るのか疑問 ( 中小企業の声 ) 基本的には市区町村と納税者の問題と思うが 税額の変動が大きい場合は 従業員への説明が必要になる 仮に切替年度に税が余計に徴収されることになれば 従業員が節税のために就労調整を行う恐れがあり 一時的な人手不足をもたらす懸念がある 現年課税化には問題が多く 実現が困難である 9

特別徴収税額通知の電子化について 1. 中小企業の IT 化は道半ばである 2. 現行手続きを電子化するだけでは 中小企業の利便性は向上しない 10

1. 中小企業の IT 化は道半ばである Ⅰ) 中小企業の経理事務に関するパソコン利用率は約 4 割程度 < 経理事務等へのパソコンの利用率 > Ⅱ) 中小企業のうち 約 2 割はシステムを利用するのは困難と回答しており 全ての企業がシステムで事務を行うことは非常に難題 < 経理事務担当者のパソコンへの対応について > n=2,632 者 n=2,718 者 ( 複数回答あり ) ( 出典 ) 日本商工会議所 消費税の事務負担等に関する実態調査 (2013 年 7~9 月 ) 11

2. 現行手続きを電子化するだけでは中小企業の利便性は向上しない ( 中小企業の声 ) IT が苦手な従業員に対し マイナポータルの利用方法を教育するのは 負担大 少人数の企業は 紙でもらった方が楽 電子化に対応するメリットがわからない 市町村から送付される ばらばらの通知ファイルをまとめて 安全確実に各社員に電子配布する手間が大変に思われる むしろ 昨年度に提案した納税の一本化のようなものが 市区町村 企業双方の事務負担を軽減するものと考える ただし 電子化 紙ベースを併用すべき < 納税一括管理センター ( 仮称 ) のイメージ > 電子化を意味するものでは無い A 市 2 給与支払報告書等の情報を提示 1 給与支払報告書等を一括送付 B 町 3 税額決定等の通知 6 企業からの納税額を分配 4 税額決定等の通知 5 一括納税 C 村 納税一括管理センター ( 仮称 ) 企業 12