図 1 乳管上皮内癌と小葉上皮内癌 (DCIS/LCIS) の組織像 a: 乳頭状増殖を示す乳管癌 (low grade).b: 篩状 (cribriform) に増殖する DCIS は, 乳管内に血管増生を伴わない時は,comedo 壊死を形成することがあるが, 本症例のように血管の走行があると,

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図 1 乳管上皮内癌と小葉上皮内癌 (DCIS/LCIS) の組織像 a: 乳頭状増殖を示す乳管癌 (low grade).b: 篩状 (cribriform) に増殖する DCIS は, 乳管内に血管増生を伴わない時は,comedo 壊死を形成することがあるが, 本症例のように血管の走行があると, 壊死の形成はない.c: 面疱状増殖,comedo 壊死と石灰沈着を示す DCIS.d: 小葉癌の上皮内要素.terminalduct-lobularunit の小葉側に小型で形態が揃い結合性の低い小葉癌細胞が増殖し, 小葉構造は膨れあがっている. β

表 1 乳癌の組織学的分類 ( 乳癌取扱い規約 2008 年 ) 1. 非浸潤癌 a. 非浸潤性乳管癌 b. 非浸潤性小葉癌 2. 浸潤癌 a. 浸潤性乳管癌 1. 乳頭腺管癌 2. 充実腺管癌 3. 硬癌 b. 特殊型 * 1. 粘液癌 2. 髄様癌 3. 浸潤性小葉癌 4. 腺様嚢胞癌 5. 扁平上皮癌 6. 紡錘細胞癌 7. アポクリン癌 3.Paget 病 8. 骨軟骨化生を伴う癌 9. 管状癌 10. 分泌癌 ( 若年性癌 ) 11. 浸潤性微小乳頭癌 12. 基質産生癌 13. その他 ( 脂質分泌癌 カルチノイド etc) 図 2 浸潤性乳管癌 a: 腺管腔形成性を示す浸潤性乳管癌,b: 充実巣形成性 膨張性に発育する充実腺管癌 ( 下 2/3),c: 膠原線維増生を伴って索状に浸潤 増殖する硬癌. 表 2 浸潤性乳管癌の核グレード (nucleargrade) 分類 ( 乳癌取扱い規約 2004 年 ) 1. 核グレードの判定 : 核異型スコア + 核分裂像スコアの合計 grade1:2,3 点,grade2:4 点,grade3:5,6 点 2. 核異型スコア 1 点 : 核の大きさ 形態が一様で, クロマチンは目立たない 2 点 :1 と 3 の中間 3 点 : 核の大小不同, 形態不整が目立つクロマチン増量 不均等分布が目立つ大型の核小体を有することがある 3. 核分裂像スコア 1 点 :10 視野で核分裂像 5 個未満 2 点 :10 視野で 5~10 個 3 点 :10 視野で 11 個以上 各顕微鏡の接眼レンズの視野数により補正 ; 視野数 20 が上記. WH10( 視野数は 22) の場合, スコア 2 点は 10 視野で 6~12 個となる. β

表 3 乳癌の組織学的悪性度 11) 1. 腺管形成 1 点 : 癌の 75% 以上は腺管形成性である 2 点 : 癌の 10% 以上 75% 未満 3 点 : 癌の 10% 未満 2. 核異型 1 点 : 小型核, 大きさ 形に不ぞろいなし 2 点 : 中等度に大きい核と不ぞろいを示す 3 点 : 著しい不ぞろい, 非常に大きな核 奇怪 bizarre な核, 複数の核小体 3. 核分裂像 1 点 :0~5/400 倍 10 視野 2 点 :6~10/400 倍 10 視野 3 点 :11 以上 /400 倍 10 視野合計点 3~5 点 :GradeI 高分化型 6~7 点 :Grade I 中分化型 8~9 点 :Grade I 低分化型 β

図 3 特殊型癌と Paget 病 a: 粘液癌は粘液湖内に癌細胞集塊が浮遊している.90% 以上この所見があると診断される (puretype).90% 未満だと予後は通常の乳管癌と同様となる (mixedtype). b: 髄様癌は診断の難しい組織型である. 境界明瞭な腫瘤を形成, 核小体を有する大型泡沫状の核, やや明調で境界不鮮明な細胞質の癌細胞が髄様に増殖する. 間質に著明なリンパ球 形質細胞浸潤を示す. 高悪性度癌を思わせるが, リンパ節転移が少なく予後良好な症例が多い. c: 管状癌は筋上皮のない一層性の腺管形成性に増殖, 豊富な線維性間質中に浸潤している. 管腔に面して apicalsnout を形成する. d: 腺様嚢胞癌は, 唾液腺に見られると同様の組織像を呈し, 篩状 ( 図の右上と挿入図 ) 腺管状 ( 図の中央部 ) 小充実性 ( 図の左下 ) の増殖を示す. 腺管状 嚢胞状構造の多くは間質との連続性を示す偽嚢胞 pseudocyst である. e: 浸潤性小葉癌は小型で形態のそろった極性のない癌細胞が線維性結合織中に一列縦隊に浸潤増殖している ( 挿入図 ). しばしば正常乳管周囲に同心円状に配列し, 標的状 targetoid と表現される. 図 1d のように小葉内上皮内病変を伴うことが多い. f: 大型核と淡明な細胞質の Paget 細胞が表皮内を進展している. 非浸潤性乳管癌の表皮内進展である. 表皮下の慢性炎症細胞浸潤を伴う.

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図 4 浸潤性小葉癌 a:estrogenreceptor(er) はほとんどすべての癌細胞核が強く染まっている.b:E-cadherin は陰性である. 図 5 乳房温存手術 a: 乳房円状部分切除 (Bp) された組織,b: その全割面図. 図 6 センチネル ( 歩哨 ) リンパ節への乳癌転移像 a: 微小転移の HE 像,b:Papanicolaou 染色捺印標本,c: 捺印標本のケラチン免疫染色. 図 7 Invasivemicropapilarycarcinoma( 浸潤性微小乳頭癌 IMPCa) a:muc1 免疫染色. 右上の正常乳管は管腔面の染色性を示しているが, リンパ管侵襲を示す癌細胞集塊と挿入図の癌巣 (b) は外回りが陽性である.c:HE 染色. 小胞巣と線維性間質との間に裂隙状の空隙を形成する像が IMPCa に特徴的である. 図 8 HercepTest における HER2 の染色性 S-0,S-1+,S-2+,S-3+ はそれぞれ陰性 (score0) 弱い (score1) 中等度 (score2) 強い (score3) 染色性を示す. 図 9 FISH による HER2 遺伝子増幅の評価 a: 増幅あり,b: 増幅なし.HercepTest で score2 の症例で増幅あり (c), 増幅なし (d). 表 4 A lredscoringsystem による estrogenreceptor/ progesteronereceptor の評価 Proportionscore Score0 Score1 Score2 Score3 Score4 Score5 none <1/100 1/100to<1/10 <1/3 1/3to2/3 >_ 2/3 Intensityscore: averageestimatedinten sity ofstaining in posi tivecels Score0 Score1 Score2 Socre3 none weak intermediate strong Totalscore=proportionscore+intensityscore(0,2~ 8).

図 10 乳癌のトラスツズマブによる治療の適応を決定するアルゴリズム右 : 免疫染色により S-3+ の染色性が得られれば適応,S-1+ または S-0 の場合は非適応,S-2+ の場合はさらに FISH 法を行い,HER2 遺伝子増幅を示せば適応, 示さなければ非適応となる. 左 : 始めから FISH 法を用いて,HER2 遺伝子増幅の有無の評価により決定する. TP53

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