ポルフィランの開発と応用 株式会社鍵庄 技術開発部
ポルフィランの部分構造 H CH 2 S 3 - H L- ガラクトース -6- 硫酸 基本物性 H CH 2 R H 6-- メチルガラクトース ( 一部 ) CH 2 H 3,6- アンヒドロガラクトース H CH 2 H H D- ガラクトース 分子量 :160000~200000 粘度 :1.5mPa S 以上 (1% 溶解液 (10% エタノール溶液 )) 微生物 : 一般細菌数 ( 生菌数 ) 300cfu/g 以下大腸菌群陰性 /2.22g カビ数陰性 /0.1g 酵母数陰性 /0.1g 美容分野 特徴 作用保湿 保護作用効果肌荒れ防止効果紫外線による紅斑抑制作用フリーラジカル制御毛髪強度向上効果過酷環境における安定な毛髪状態の維持作用 ポルフィランの応用例 健康食品分野 生理活性自然免疫活性の向上作用動脈硬化指数低下効果コレステロール低下効果腸内フローラ改善効果抗酸化作用 安全性 財団法人日本食品分析センターに次の試験を依頼し 安全性を確認しています 1. マウスを用いた急性経口毒性試験 2. ウサギを用いた眼刺激性試験 3. ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験 4. ウサギを用いた累積皮膚刺激性試験 5. モルモットを用いた Maximization 法による皮膚感作性試験 6. モルモットを用いた光毒性試験 7. 細菌を用いる復帰突然変異試験 医薬品分野 期待される効果 作用抗腫瘍活性血管新生抑制作用腸溶作用排便促進作用抗変異原生作用 一般食品分野 特長 作用保水 乳化 ゲル化応用麺改質剤米飯改質剤乳化剤ゲル化剤
各種海藻の生育帯分布図 海苔は海面で生育する特異な海藻です
海苔は渇水に耐えうる保水力が必要です 海苔の根腐されを防止する目的で 一日に 3~4 時間以上網を海面から上げて 干します 支柱式養殖法 遠浅の海に適応 ( 有明海 ) 浮流式養殖法 深い海に適応 ( 瀬戸内海 ) 潮の干満を利用して 自然に 強制的に
海苔とポルフィランの関係 ポルフィランの役割 渇水 外敵 海苔細胞を防衛する
海苔の成分とポルフィランの含有量 炭水化物の約 80% 海苔全体の 30% 以上を ポルフィランが占めています
海苔の微構造とポルフィラン 20μm ポルフィランは 海苔細胞を保護するための細胞壁を構成する水溶性食物繊維です 表面微細構造 SEM 写真 20μm 断面微細構造 SEM 写真 20μm
ポルフィランの部分構造式 1) H CH 2 R R=H,CH 3 CH 2 H H H H H CH 2 CH 2 S 3 - H H L - ガラクトース -6- 硫酸 6-- メチルガラクトース ( 一部 ) 3,6- アンヒドロガラクトース D- ガラクトース 1) [Porphyran Primary Structure] LoraM.MRRICE.,et.al.,Eur.J.Biochem.133,6 73-684(1983)
海藻の粘質多糖類 種類緑藻類褐藻類紅藻類 粘質多糖類 グルクロノキシロラムナン硫酸 ( アオサ アオノリ ) キシロアラビノガラクタン硫酸 ( ミル イワズタ属 ) グルクロノキシロラムノガラクタン硫酸 ( カサノリ属 ) アルギン酸 ( ワカメ コンブ ホンダワラ アラメ カジメ ) フコイダン ( ヒバマタ属 コンブ属 ワカメ属 ) サルガッサン ( ホンダワラ ) 寒天 ( テングサ類 オゴノリ類 ) カラギーナン ( キリンサイ属 ツノマタ類 ) アルギン酸 ( オオシコロ ) フノラン ( フクロノリ ) ポルフィラン ( アサクサノリ スサビノリ )
40,90%RH 20 min. 21,45%RH Sample 1.0g ( 乾燥重量 ) Por. HA PVA PVP ヒアルロン酸と同程度もしくはそれ以上の吸保水性
均一性 透明性 柔軟性 速溶性 安定性
一般的な米飯の水分分布の概念図 米飯表面に吸着した水分 米飯中に存在する水分 ブランク米飯の AFM 表面観察結果 ポルフィランナノ粒子を表面の析出させた米飯の水分分布の概念図 ポルフィランナノ粒子 米飯中に均一分散した水分 大気中に存在する水分 ポルフィラン添加米飯の AFM 表面観察結果
サンプル No. No.1 No.2 No.3 No.4 炊飯条件 おにぎり用調味液 +A 社寒天粉末 おにぎり用調味液 + 食用オイル おにぎり用調味液 おにぎり用調味液 + ポルフィラン *: 一釜 (6.7kg) に対して 2g 使用 No.5 舎利用合わせ酢 + A 社寒天粉末 No.6 舎利用合わせ酢 + 食用オイル No.7 炊飯 : 連続炊飯装置 (6.7kg/ 釜 ) 放置 : 室温 16 24 時間放置 評価 : モニターによる食味試験 連続炊飯装置による炊飯試験条件 舎利用合わせ酢 + ポルフィラン *: 一釜 (6.7kg) に対して 2g 使用 食味試験 ( モニターリング試験 ) 結果 モニター 塩飯 ( おにぎり ) 巻き寿司 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 A 3 4 2 1 1 3 2 B 3 4 2 1 3 2 1 C 2 4 3 1 1 3 2 D 4 2 3 1 3 1 2 E 4 3 2 1 3 2 1 F 4 3 2 1 1 3 2 G 4 3 2 1 3 2 1 H 3 4 2 1 2 3 1 I 4 3 2 1 2 3 1 J 4 1 3 2 3 2 1 合計 35 31 23 11 22 24 14 優 1 4 劣
コントロール塗布 ポルフィラン塗布 ブリーチ処理を施した毛髪を試験試料 ( 固形分 0.05% となるよう 10% エタノール水溶液に溶解 ) およびコントロール (10% エタノール水溶液 ) に浸漬後 自然乾燥させ 電子顕微鏡を用いて観察した キューティクルの浮き上がりを改善 表面の不均一さによる乱反射の低減 裂け毛 枝毛 切れ毛による櫛通りの改善
200 150 p < 0.01 荷重 (g) 150 100 50 Por. y = 22.8x + 28.0 R 2 = 0.652 control y = 17.4x + 25.0 R 2 = 0.732 毛髪強度 ( 相対値 ) 125 100 75 0 0 2 4 6 8 10 50 Por. control 断面積 (1E-03 mm^2) ブリーチ処理を施した毛髪を試験試料 ( ; 固形分 0.05% となるよう 10% エタノール水溶液に溶解 ) およびコントロール ( ;10% エタノール水溶液 ) に浸漬後 一定条件 (20, 50% RH) で乾燥させ レオメーターを用いて測定した 30~35% の毛髪強度の向上 保水力と成膜性による毛髪の潤いと強度
200 150 荷重 (g) 150 100 50 Por. y = 22.8x + 13.7 R 2 = 0.685 control y = 16.7x + 28.0 R 2 = 0.751 毛髪強度 ( 相対値 ) 125 100 75 p < 0.01 * 0 0 2 4 6 8 10 断面積 (1E-03 mm^2) * 50 Por. control ブラッシングを施していない試験のコントロールを 100 とした ブリーチ処理を施した毛髪を試験試料 ( ; 固形分 0.05% となるよう 10% エタノール水溶液に溶解 ) およびコントロール ( ;10% エタノール水溶液 ) に浸漬後 一定条件 (20, 50% RH) で乾燥させた その後 ブラッシングを 100 回施した毛髪についてレオメーターを用いて測定した 15~20% の毛髪強度の向上 膜の柔軟性による毛髪皮膜の維持
ポルフィラン 精製水 PVP PVA カチオン化セルロース ブリーチ処理を施した毛髪に各試験試料 ( 固形分 0.05%) を 200μL 噴霧して塗布し 20,30%RH の一定環境下で乾燥後 5 回のブラッシングを行った際の様子を観察した 毛髪間の反発を抑えた穏やかなまとまり しなやかな櫛通り 優れた吸保水性による乾燥状態での水分コントロール
環境化による毛髪への影響 300 250 200 150 100 * 50 0 30% 50% 90% 30% 50% 90% 30% 50% 90% 30% 50% 90% 30% 50% 90% ポルフィラン精製水 PVP PVA カチオン化セルロース * 縦軸 : 広がり度 (%, 精製水処理 50%RHを100 とした ) 横軸 : 湿度ブリーチ処理を施した毛髪に各試験試料 ( 固形分 0.05%) を 200μL 噴霧して塗布し 20, 各湿度の一定環境下で乾燥後 5 回のブラッシングを行った際の様子を観察した 幅広い湿度変化の対応が可能 優れた吸保水性により水分量を毛髪表面でコントロール
ポルフィランによる自然免疫活性の向上 獲得免疫系 自然免疫系 ポルフィランによる自然免疫活性の向上 感染を 繰り返すと抵抗性が 高まる 感染の繰り返しで 抵抗力が 高まらない マクロファージの活性化 可溶性物質 抗体 補体 リゾチーム インターフェロン 細 胞 T 細胞 マクロファージ ナチュラルキラー (NK) 細胞 Macrophage Stimulation of the Polysassharide Fraction from A Marine Alga (Porphyra yezoensis) Y.Yoshizawa et al. Biosci. Bioyech. Biochem., 59(10), 1933-1937, 1995
マクロファージの貪食作用モデル図 1. 抗体と結合した細菌に好中菌が付着する 4. 細菌を貪食した空胞の中で細菌を殺して消化する 2. 細菌を細胞内に取り込む 3. 細胞の入った空胞内へ顆粒成分を放出する ( 脱顆粒 )
ポルフィランの抗腫瘍活性 Ⅰ 経口投与による Ehrlich 腫瘍に対する抗腫瘍活性 Antitumour Activity of Polysaccharides and Lipids from Marine Algae Noda et al. Nippon Suisan Gakkaishi 55(7), 1265-1271 (1989) Sample Dose (mg/kg x days) Inhibition rate (%) 50 x 28 3.3 Fucoidan Ⅰ 100 x 28 25.0 200 x 28 56.7 *1 400 x 28 51.7 *1 500 x 28 55.0 *1 50 x 28 54.7 *1 Porphyran 100 x 28 43.4 200 x 28 41.5 400 x 28 56.6 *1 500 x 28 45.3 *1 *1 : Represent P<0.05 of significant difference
ポルフィランの抗腫瘍活性 Ⅱ 腹腔内投与による Meth-A 固形腫瘍に対する抗腫瘍活性 Antitumour Activity of Polysaccharides and Lipids from Marine Algae Noda et al. Nippon Suisan Gakkaishi 55(7), 1265-1271 (1989) Polysaccharide Dose (mg/kg x days) Inhibition rate (%) No. of Toxic death Green-algal salfated 40 x 7 26.5 0 Sodium alginate 40 x 7 1.2 0 Fucoidan Ⅰ 40 x 7 53.4* 3 Fucoidan Ⅱ 40 x 7 78.1 0 Laminaran 40 x 7-4.1 1 Kappa-carageenan 40 x 5 54.0* 5 Lambda-carageenan 40 x 5 45.8* 4 Porphyran 40 x 7 58.4* 0 * : Significant difference difference P<0.05
ポルフィランの動脈硬化指数低下効果 Study on antihypertensive and antihyperlipidemic effects of marine algae D.Ren,H.Noda,H.Amano,T.Nishino,and K.Nisizawa. Fisheries Sci., 60 83-88 (1994) 体重 増加量 総コレステロール 遊離コレステロール 高比重リポタンパク質 中性脂肪 低比重リポタンパク質 動脈硬化指数 対照 75.5±3.1 569.3±32.4 114.3±10.4 19.7±1.5 84.0±2.7 576.6±37.3 29.3±5.1 含硫酸グルクロノキシロラムナン 92.1±2.3 385.6±38.4 73.0±13.3 26.0±5.2 53.3±9.2 359.4±42.5 13.8±5.3 フコイダン 80.0±2.9 524.7±28.5 92.6±15.1 29.0±6.7 67.2±9.5 490.3±41.6 16.9±6.1 アルギン酸ナトリウム 92.9±2.5 405.6±28.2 79.1±5.7 25.4±2.3 60.1±6.1 380.3±29.2 15.0±2.8 ポルフィラン 81.5±3.9 456.7±33.2 90.6±8.3 20.4±1.0 60.7±2.9 436.3±33.7 21.4±2.7 フノラン 77.8±2.0 381.6±43.4 60.8±2.0 21.5±1.1 38.6±3.2 366.3±38.8 16.7±3.5 数字は平均値 ±S.D. 太字は統計的に有意差が認められるもの
ポルフィランの血圧低下効果 Study on antihypertensive and antihyperlipidemic effects of marine algae D.Ren,H.Noda,H.Amano,T.Nishino,and K.Nisizawa. Fisheries Sci., 60 83-88 (1994) 多糖類 収縮期血圧 対照 167.1±2.5 緑藻含硫酸グルクロノキシロラムナン 156.8±3.3 褐藻 フコイダン 140.1±3.1 アルギン酸ナトリウム 141.6±2.4 ポルフィラン 153.1±3.6 紅藻 フノラン 132.4±2.8 寒天 148.6±4.6 数字は平均値 ±S.D. 太字は統計的に有意の血圧低下効果が認められるもの
代表的な腸内菌種の利用能腸内菌によるポルフィランの利用試験 久保孝藤井建夫 海藻食物繊維と腸内フローラ New Food Industry 1996 Vol.38 No.5 褐藻類中多糖類 紅藻類中多糖類 菌種名 アルギン酸ラミナランフコイダン キシラン マンナン ポルフィラン B.ovatus + + +/ Bacteroides B.vulgatus +/ B.distasonis B.flagilis + + Eubacterium E.ventoriosum E.aerofaciens + GAM 半流動培地 ( 日水 ) に各菌種を接種し 各多糖類の発酵により培地中 ph が低下したものを利用能陽性 (+) ph 変化の見られないものを利用能陰性 (-) とし 同菌種でも菌株により利用能の有無がある場合 (+/-) とした
ポルフィランの生理活性 血管新生抑制作用 ポルフィラン : 比較的高濃度で 強い血管新生抑制作用が発現 - 東京都臨床医学総合研究所芦野洋美 固形腫瘍の増殖に血管新生は必須であり これなくしては巨大化し得ないことから 血管新生を阻害することができれば 腫瘍の増殖を抑制し得る可能が出てくる 兵糧攻めの発想 : 癌治療のアプローチ 抗変異原生作用 ポルフィランおよびその酵素分解物のオリゴ糖日本大学大川いずみ 焼肉など多くの食品には生物の遺伝子に傷をつけて運が悪ければ癌を引き起こすような物質 変異原性物質 極微量ではあるが含まれている 有害な効力を打ち消す作用 : 抗変異原性作用
研究開発された海藻の美容効果 皮膚老化予防効果抗エラスターゼ活性紫外線による皮膚老化予防効果 血管拡張ならびに収縮効果血管拡張効果血管収縮効果 フリーラジカル抑制効果 美白効果 皮膚由来繊維芽細胞の増殖促進効果とコラーゲン産生促進効果 痛み抑制効果 スリミング剤としての効果 皮脂の抑制効果 赤ら顔抑制効果 皮脂中の細菌抑制効果
紅藻類抽出物の成分 作用 適応 CDIF 社 ( フランス ) 資料より 起源 ( 公定書等 ) 商品名成分作用適応 紅藻類カクレイト目サンゴモ (Coralina officinalis) ( 許可取得 : 基礎 50%) C.Coralline 微量元素 (Ca,Mg,Zn) ペプチドアミノ酸 血管収縮 ( 臨床テスト ) 鎮静皮脂抑制 脂性肌敏感肌太陽を浴びた後の肌 紅藻類ダルス目パルマリア (Palmaria palmata) ( 許可取得 : 基礎 50%) Rh.Palmaria HG アミノ酸豊富なミネラル 微小循環の促進 ( 臨床テスト ) うっ血緩和水分の除去 たるんだ肌頭皮の強壮むくんだ足脂肪の除去 紅藻類スギノリ目ツノマタ (Chondrus crispus) ( 許可取得 : 基礎 50%) Rh.Chondrus HG カラギーナン硫酸化糖複合体還元糖 保湿抗炎症うっ血緩和 ダメージを受けた肌炎症のある肌 紅藻類ウシケノリ目アサクサノリ (Porphyra umbilcalis) ( 許可取得 : 基礎 50%) Rh.Porphyra HG 豊富なタンパク質アミノ酸 (Ala,Asp,Giu,Arg) 多糖類 ( ポルフィラン ) 修復作用保護作用 疲れた肌たるんだ肌 紅藻類スギノリ目スギノリ (Gigartina stellata) ( 許可取得 : 基礎 50%) Rh.Gigartina HG カラギーナン硫酸化糖複合体 保湿抗炎症 ダメージを受けた肌炎症のある肌 紅藻類イギス目ヌメハノリ (Delesseria sanguinea) ( 許可取得 : 基礎 50%) Rh.Deless HG フェノール化合物遊離アミノ酸 ( プロリン ) 多糖類 ( 硫酸ガラクトキシラン ) 水分の除去うっ血緩和鎮静微小循環の促進 むくんだ足過剰な脂肪の除去頭皮
身近な海藻成分入り化粧品例 歯みがき 練り歯みがきの多くには 粘度を与えるために海藻中の多糖類を配合している 一部の多糖類は増粘の目的以外に抗腐蝕の目的で配合することもある ボディーソープ 液状のボディーソープには 粘度を上げて液が垂れにくくするためと 泡質の改善のために海藻の多糖類をよく利用する 多糖類は泡を保持する性質があり きめ細かな泡をつくる シャンプー 洗髪用のもので, マフノリやフクロフノリに含まれている多糖類成分を洗浄の骨格として配合し 必要最小量の洗浄剤を加えてある 過剰な洗浄剤を配合したシャンプーに比べ ダメージを与えることが少なく 髪や頭皮にもよい ゲル化パック 海藻の多糖類がゲル化し ゼリー状に固まる性質を利用したものである 二つのタイプがあり 一つは温湯を混合するタイプで 温湯により肌の代謝を促進させ シミやシワなどに有効な美容成分を積極的に浸透させる もう一つは 冷水を混合するタイプで 基材を溶解するときに吸熱する作用を利用して 混合時の水温より低くなるようにし 冷感とパックに配合している抗炎症成分により 日焼けやオーバートリートメントで日照った肌を沈静化させる