64 昨年10 月 厚生年金の支給開始年齢について68 歳~ 歳を視野に検討 というニュースが流れ 話題となりました 年金は定年退職後の生活を支える大きな柱です その支給開始年齢が引き上げられれば ライフプランにも多大な影響を与えます このときは一旦 引き上げ案は取り下げられましたが 世界一のスピードで進む少子高齢化の状況を鑑みれば 法案として取り上げられることは必至です そこで支給開始年齢と関連して 再任用の現状と 歳定年制の動きについて調べてみました 年金の支給開始年齢と再任用に関する動き共済年金は大きくとから構成されていますが このうちについては平成13 (2001)年から については平成25 (2013)年から支給開始年齢が引き上げられます(図 1) これにともない 国家公務員においては平成13 (2001)年より再任用制度が施行されています 平成13 (2001)年度 共済年金のを段階的に 歳から 歳に引上げ開始(平成25 年度まで) 国家公務員における再任用制度の施行 平成25 (2013)年度 共済年金のを段階的に 歳から 歳に引上げ開始(平成37 年度まで)再任用制度は 満額年金の支給開始年齢の引上げに対応して設けられました その目的は雇用と年金の連携を図るとともに 長年培った能力 経験を有効に発揮できるようにすることです なお 国家公務員の再任用制度の概要は地方公務員の再任用の現状と 歳定年制への動きについて次のとおりです 対象者 定年退職者 勤務延長後に退職した者 等 任用の方法 1年以内 任期の更新 更新直前の任期における勤務実績が良好である場合に あらかじめ本人の同意を得た上で1年以内で可能 任期の末日 退職共済年金の支給開始年齢の段階的引き上げにあわせ 歳に向けて段階的に引き上げ 勤務時間 フルタイム勤務(週40 時間) または 短時間勤務(週16 時間から32 時間) 俸給月額 各級ごとに設定した俸給月額(短時間勤務職員については 40 時間に対する1週間当たりの勤務時間の割合を乗じて得た額) 昇給制度 なし地方自治体においてはそれぞれ条例で定
図 1 年金の支給開始年齢の引上げスケジュール めることになっているため 再 任 用 制 度を 用すること 定年退職者を臨時職員や非常勤嘱託など 再 雇 用 再 任 用 制 度が導 入される以 前 の動きを受けて 地方 自 治 体においても再 で雇用する際に使われていた言葉 設けていないところもあります ただし 国 任 用 制 度を設けるところが多くなっていま からは 歳までの再任用が可能となります 地方自治体の再任用の現状は ところで 定年退職後の再就職を表す言 れている制 度です この再 任 用 制 度による つまり 再 任 用は法 律にもとづき設けら まず 図 2は団体規模別に見た 再任 再任用制度について 各地方自治体では 葉として同じような意 味で使われる再 任 用 任期の上限は 年金のの支給開始 用の条例制定と実施状況 です 再任用制 再任用制度の条例制定団体 都道府県 とに見ていきましょう 政令指定都市 93.2 46.2 市 特別区 80 40 20 0 再任用制度の実施団体 11.8 9.6 総務省 平成22年度 地方公務員の再任用実施状況等調査 となります その条 例 制 定について 都 道 64 どのような状況なのでしょうか データをも と再 雇 用には どのような違いがあるので 年 齢 引き上げに合わせ段 階 的に引き上げら 平成22 2010 年4月 れており 現在は定年後 しょうか 平成31 2019 年4月 可能となっています の支給開始 25 図 2 再任用制度の条例制定と実施状況 平成37 2025 年4月 条の4 第 度の実 施にあたっては 条 例の制 定が必要 す 歳まで再任用が 平成19 2007 年4月 府県 政令指定都市ではいずれも 再 任 用 地 方 自 治 法 第 年齢が 歳となる平成 2013 年度 平成34 2022 年4月 平成 2016 年4月 平成16 2004 年4月 条の5 に則って定年退職者等を再任 Vol.10 8 57.8 一部事務組合 87.5 町村 平成25 2013 年4月 歳 64歳 63歳 62歳 61歳 歳 平成13 2001 年4月
66 ですが 市 特別区 町村では9割程度 一部事務組合では6割程度にとどまっています 実施団体数についてはさらに少なく 市 特別区では5割以下 町村 一部事務組合では1割程度となっています 再任用の条例を制定していなかったり 制度を実施していない理由については 図 3に示しています 市 町村ともに もっとも多い理由は 新規採用等優先のため ですが それ以外について市では 他の制度で対応したため が多いのに対し 町村では ニーズがないため や 応募者なしのため 定年退職者がなかったため が比較的多くなっています 図 3 市 町村の再任用に関する条例未制定と制度未実施の理由図 4 再任用制度実施団体の常時勤務と短時間勤務の割合
図 5 再任用制度の職種別採用状況 消防職 1.2 福祉職 1.3 研究職 0.8 税務職 1.6 海事職 0.2 医療職 2.9 企業職 4.6 警察職 5.9 歳定年制についてはどのよう な動きがあるのでしょうか 国家公務員にお たが 一方 体に占める一般 行 政 職の割 合が高いことを いては 昨 年9月 人 事 院から 定 年を段 グラフにはありませんが 再 任 用 職 員 数 全 ごとの違いはあるのでしょうか 図 4は 考えると 教育職では短時間勤務ではなく 再任用制度の中身について 地方自治体 再任用制度を実施している市 特別区と町 階 的に いる団 体が多いのに対し 町 村においては 年 退 職 後の状 況について把 握できた方のう えた方の再就職に関する調査結果です 定 歳に引き上げるための国 家 公 務 員 常時勤務職員として採用されている比率が 高い傾向にあります 常 時 勤 務のみ で実 施している団 体が半 ち 都道府県 政令指定都市 市 特別区 年 度に定 年 退 職 者を迎 数 以 上となっています このような勤 務 時 一部事務組合ではいずれも 短時間勤務で 図 6は平 成 間以外にも 再任用の任期を1年単位では の再任用がもっとも多くなっています 特別区では 短時間勤務のみ で実施して なく半年単位としている団体や 再任用の 対象を定年退職者以外にも広げている団体 法等の改正についての意見の申出 が提出さ れていますので そのポイントをご紹介します 平成 2025 年度には 歳定年 段階的な定年の引上げ 平成 2013 年 度から3 年に1 歳ずつ段 階 的に定 年を引き上げ 平 成 歳 定 年とする 定 年の引上げ期間中は 再任用制度の活用拡 2025 年 度には 37 総務省 平成22年度 地方公務員の退職状況等調査 より編集作成 9 8 一部事務組合 3 10 歳定年制に向けた動き 大を通じて年金が満額支給される 歳まで 1 など 地方 自 治 体による違いも見られるよ 74 10 町村 3 12 8 11 4 ているか調べたものです これによると 市 村で常時勤務と短時間勤務のいずれを行っ 49 の雇用確保を図る Vol.10 8 67 37 25 市 特別区 46 16 32 15 21 図 6 平成 21年度の定年退職者の再就職に関する調査 ここまで再任用の現況について見てきまし 総務省 平成22年度 地方公務員の再任用実施状況等調査 うです 税務職 4.1 技能労務職 21.3 図 5は常 時 勤 務と短 時 間 勤 務におけ 教育職 14.0 19 24 政令指定都市 10 一般行政職 44.0 短時間 勤務職員 40,867人 企業職 8.2 13 16 9 都道府県 る 職種別の採用状況を示したグラフです 福祉職 2.9 80 常 時 勤 務のうちもっとも多いのが教 育 職で 一般行政職 27.4 再任用常時勤務 再任用短時間勤務 臨時 非常勤 当該団体以外の再就職 自営業 再就職しない者 不明である者 約4割を占めています 一方 短時間勤務 消防職 1.8 では一般行政職が4割以上を占めています 技能労務職 14.9 40 20 0 研究職 0.7 警察職 0.5 海事職 0.0 医療職 2.6 教育職 39.1 常時 勤務職員 10,8人
コラム 民間企業の高齢者雇用は どうなっている 常時勤務 ま 常時勤務 ま たは 短時間 たは 短時間 勤務 勤務 再任用時点で 再設定 歳前の 度との相違点とあわせ 退職手当や給与の 歳まで れるまでの措置として 本府省の局長 部 給与 1年 以 内 以 後 歳まで更 新あり 歳を超える職員の給与制度の設計 勤務時間 なし 制度設計など 今後の動向が気になるとこ 任期 あり 協会職員 篠田良子 1.8 となっています 歳時点 での選考 長 課長等の一定の範囲の管理職が現行の った人は24.6 基準に該当せず離職した人は 歳定年制 歳前の ろです 雇用された人は73.6 継続雇用を希望しなか 再任用制度 歳に達した場合に他の官職に 年間に定年を迎えた43万5,000人のうち 継続 定年である 異動させる ②短時間勤務制の導入 の雇用状況 集計結果によると 希望者全員 が歳まで働ける企業の割合は47.9 過去1 歳前と同 歳を超える職員の給与は じ職務を行う場合でも その年間給与を 歳前の に設定し 給与制度の設計を行 短時間勤務を希望する職員を短時間勤務 ポストに異 動させることを可 能とする こ 50 う これは 歳台前半層の民間企業従業 員の年 間 所 得 給 与 在 職 老 齢 年 金 高 厚生労働省が発表した平成23年 高年齢者 れにより若年層の新規採用や職員の昇進を 条件を満たした場合にのみ再雇用されるところ がほとんどです 歳台後半 支障がないことや定年前の勤務評価などによる できるだけ確保する 程度となっています 継続雇用制度は健康上に ③能力 実績にもとづく人事管理の徹底と 側の事情があります 実際 再雇用の際の賃金 見直しにより 給与水準は定年前の3割 6割 職員のキャリア支援 定年前の給与水準を維持できないという 企業 短期間で頻繁に異動させる人事運用を見 この中で 多くの企業で採用しているのが継 続雇用制度の 再雇用制度 です その背景には 直し 能力 実績に基づく人事管理の徹底 するため 賃金等の労働条件が見直される 歳定年制については 現在の再任用制 度雇用して雇用を継続する制度 一度退職 職員の能力を伸ばす多様な経験の機会拡充 ②再雇用制度 定年年齢で退職した後 再 などの措置を講じる必要がある 務を延長する制度 年 齢 雇 用 継 続 基 本 給 付 金 が ①勤務延長制度 定年年齢で退職せずに勤 であることを踏まえ 3 継続雇用制度を導入する 層の年間給与の約 2 定年年齢を引き上げる たものである 1 定年制を廃止する 歳で役職定年となった場合 役 います なお 民間企業の雇用確保義務については 次の中 から企業が選択し 制度を定めることになって 職 手 当がなくなるため 実 質 的にはさらな いくこととされています る収入減になる 平成25年 2013 年まで段階的に引き上げて 組織活力の維持のための方策 の支給開始年齢の引上げスケジュールにあわせ ①役職定年制の導入 保が義務づけられました 雇用確保年齢は年金 能力 実績にもとづく人事管理が徹底さ 雇用安定法 が改正され 歳までの雇用確 民間企業では 平成16 2004 年に高年 齢者等の雇用の安定等に関する法律 高年齢者 68