食品 環境分析用 コメ DNA 抽出キット ( 精米 玄米 1 粒スケール ) 説明書 v201703da
本キットは未加熱の精米あるいは玄米 1 粒から DNA の調製を行う際に使用します 最終的に回収された DNA 溶液は 直接 PCR 反応などに利用することができ また 制限酵素処理やサブクローニングに使用することもできます 本キットを用いた DNA 調製には 劇物であるフェノールやクロロホルムは使用しません I. 内容 *1 1. Lysis Buffer A 60 ml 2. Lysis Buffer B 9 ml 3. DNA Binding Buffer 28 ml 4. 毒 Magnetic Particles *2 2.25 ml 5. 2 Wash Buffer 20 ml 3 6. Elution Buffer 30 ml * 1: 288 サンプル (96 ウェルプレート 3 枚分 ) を処理できます * 2: Magnetic Particles には防腐剤として 0.02% チメロサールが含まれていますので 取扱い 保管にご注意ください II. 保存 常温 (25 付近が望ましい ) 凍結保存は不可 遮光のため 各試薬はキット箱内にて保存してください III. キット以外に必要な試薬 機器 Proteinase K( 製品コード 9034) エタノール (99.5% 以上 ) 2- プロパノール 55 に設定可能なインキュベーター 遠心分離機 (4 冷却機能つき 各種チューブに対応したもの ) 各種容器 ( 反応容器 * 1.5 ml チューブ ) 各種マイクロピペット マイクロピペット用チップ 磁性粒子分離装置 * * 反応容器および磁性粒子分離装置については 以下の組み合わせをお勧めします 反応容器に 96 ウェルプレートを使用する場合 反応容器 ;Greiner Bio-One 社製 U-bottom Plate(Greiner Bio-One 社 Code. 650161) 磁性粒子分離装置 ; Promega 社 MagnaBot 96 Magnetic Separation Device (Promega 社 Code. V8151) [ 注意 ] MagnaBot 96 Magnetic Separation Device を使用する際には 磁力の調整のため MagnaBot Spacer(Promega 社 Code. V8381) を併用してください [ 溶液との分離について ] Magneteic Particle と溶液成分の分離には プレートを MagnaBot 96 Magnetic Separation Device にセット後 1 分間の放置をお勧めします タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 2
反応容器に 1.5 ml チューブを使用する場合 反応容器 ; 標準的な 1.5 ml チューブを使用してください 磁性粒子分離装置 ; Magnetic Stand (6 tubes) ( 製品コード 5328) Magnetight Separation Stand(Merck 社 Code. 69964-3) [ 注意 ] Magnetight Separation Stand を使用する場合には 下部のチューブ固定穴を厚手のテープなどで塞いだ上に両面テープを貼付して使用すると 適当な磁力が得られます また 両面テープを用いることで 分離装置へのチューブの固定がよくなります [ 溶液との分離について ] Magnetic Particle と溶液成分の分離には チューブを磁性粒子分離用スタンドにセット後 1 分間の放置をお勧めします IV. 使用上の注意 本キットを使用する場合の注意事項です 使用前に必ずお読みください 本製品は食品および環境分析用試薬です ヒト 動物への医療 臨床診断には使用しないでください また 食品 化粧品 家庭用品等として使用しないでください Lysis Buffer B DNA Binding Buffer は低温になると沈殿を生じることがありますので 常温 (25 付近 ) での保存をお勧めします 沈殿が生じた場合は 40 程度で加温し 沈殿を完全に融解した後 使用してください なお Lysis Buffer B は攪拌しながら溶解してください 放置状態で加温すると沈殿の溶解が困難になります DNA Binding Buffer は刺激性がありますので手袋などを着用し 安全に取り扱ってください また次亜塩素酸などの漂白剤と混ぜないでください 試薬の分注を行う時は 必ず滅菌した新しいディスポーサブルチップおよびピペットを用い 試薬のコンタミネーションを防止してください 米品種や検体状態 ( 精米度合いなど ) によって DNA の収量は異なります 検体の状態によっては 回収した DNA 溶液に PCR 阻害物質などが含まれ PCR が進行しない場合があります タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 3
V. 使用方法 試薬の調製 使用直前に以下の溶液を調製してください 1.Lysis Buffer Lysis Buffer A:Lysis Buffer B = 7:1 の割合で混合調製してください 混合液は不安定ですので 用時に 必要量を混合調製してください 2.Magnetic Particles Dilution Magnetic Particles をよく懸濁した後 Magnetic Particles: 滅菌 MilliQ 水 = 63:600 の割合で混合調製してください 用時に 必要量を混合調製してください また 放置により Magnetic Particle が沈降しますので よく懸濁して分注してください 3.1 Wash Buffer 20 ml の 2 Wash Buffer に対して 10 ml のエタノール (99.5% 以上 ) と 10 ml の 2- プロパノールを加え よく混合調製してください 添加後は 溶液成分が揮発しないように蓋を充分に締め 20 25 にて保存してください DNA 調製プロトコール 1. 米 1 粒を 1.5 ml 容量のチューブに採り 精米の場合は 30 μl 玄米の場合は 36 μl の滅菌 MilliQ 水をそれぞれ添加する 2. 室温で一晩放置する (25 付近が好ましい ) 3. Lysis Buffer を 精米の場合は 150 μl 玄米の場合は 180 μl それぞれ添加する 4. 塊がなくなるまで 出来るだけ細かく米粒を粉砕する [ 例 ] 1 ml 容量のチップをチューブ底壁に押し付けることにより先を折り曲げ そのチップの先で粉砕する 5. Proteinase K( 製品コード 9034) を 10 μl 添加し 充分に混合後 直ちに 55 で加温する 6. 55 にて 1 時間放置する その間 Proteinase K を添加した約 10 分後 約 20 分後 約 40 分後に転倒混和する ( チューブ底を上にしたときタッピングにてチューブ底近辺の沈降物も完全に懸濁する できるだけ泡立てないように気をつけること ) 7. 4 13,500 rpm にて 5 分間 遠心分離操作を行う 8. あらかじめ DNA Binding Buffer を 83 μl 分注しておいた 1.5 ml チューブに上清 110 μl を加え 転倒混和後 直ちに氷中保存する この段階で白濁する場合もある [ 注意 ] 上清を移す際 液表層の浮遊物が出来るだけ混ざらないよう 沈殿近くから上清を回収してください なお 沈殿も混ざらないよう注意してください 9. 氷中で 10 分間放置する 途中で一度転倒混和し 遠心機にかける前に再度転倒混和する ( チューブ底を上にしたときタッピングにてチューブ底近辺の液も完全に混合する 通常 この段階で白濁する ) 10. 4 13,500 rpm にて 5 分間 遠心分離操作を行う 11. 125 μl の上清と 60 μl の Magnetic Particles Dilution を反応容器 *1 中で良く混合する 上清を移す際 出来るだけ不溶物を移さないように注意すること 12. 5 分間 室温にて放置する 途中で一度 再懸濁する 13. 磁性粒子分離装置にて Magnetic Particle と溶液を分離する 14. 溶液成分を除去後 1 Wash Buffer を 150 μl 添加し 良く混合する [ 注意 ] 再懸濁しにくい場合がありますので 懸濁状態をよく確認してください 15. 磁性粒子分離装置にて Magnetic Particle と溶液を分離する タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 4
16. 溶液成分を除去後 1 Wash Buffer を 100 μl 添加し 良く混合する 17. 磁性粒子分離装置にて Magnetic Particle と溶液を分離する 18. 溶液成分を除去後 室温にて Magnetic Particle を 15 20 分程度乾燥させる 19. Elution Buffer を 50 μl 加え 良く混合する 20. 5 分間 室温にて放置する 21. 磁性粒子分離装置にて Magnetic Particle と溶液を分離する 22. 溶液成分を新しいチューブに移す チューブに移した溶液を ピペッティング操作にて均一にする 23. 4 13,500 rpm にて 5 分間 遠心分離操作を行う 以後 4 にて保存する [ 注意 ] 検体が玄米の場合 液表層近辺に白線が生じることがあります この場合 白線成分と液が再度混じらないよう 以後の操作では底の方から液をとるようにしてください 24. 10 倍希釈液を調製し OD260 OD320 *2 を測定する 希釈液には TE を滅菌水にて 10 倍希釈した 1/10 TE を用いる 25. (OD260 OD320) の値より 1 (OD260 OD320)= 50 ng/ μl として DNA 量を算出する [ 計算例 ] 10 倍希釈液の測定値が OD260 = 0.0256 OD320= 0.0052 の場合 DNA サンプル ( 原液 ) の濃度 = (0.0256-0.0052) 50 (ng/ μl) 10 = 10.2 (ng/ μl) * 1: 反応容器について 96 ウェルプレートや 1.5 ml 容量チューブを使用することが出来ます 96 ウェルプレートの場合 以後の操作における Magnetic Particle と溶液成分との混合はピペッティング操作で行ってください 1.5 ml 容量チューブを用いる場合は Magnetic Particle と溶液成分との混合をタッピング操作でも実施できますが 内容物がチューブ内に飛散する可能性があります その場合には 磁性粒子分離装置にかける前に軽く遠心して内容物を回収し Buffer 置換効率の悪化を避けるようにしてください なお 過剰に遠心すると不溶物と Mangetic Particle との分離が悪くなりますので 内容物が回収できる程度にできるだけ緩やかに遠心してください ( 例 :6,000 rpm 程度の卓上遠心機でのフラッシュ遠心 ) Magnetic Particle と溶液の分離については 2 ~ 3 ページをご参照ください * 2: 吸光度値について本キットで調製した DNA 溶液の 10 倍希釈液の場合 OD260 は通常 0.1 未満の値を示します 小数点第 3 位まで表示可能な吸光度測定計の使用をお勧めします また OD320 も必ず測定してください タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 5
< 操作フローチャート > 米 1 粒 滅菌 MilliQ 水添加 ( 精米の場合は 30 μl 玄米の場合は 36 μl) 一晩放置 ( 室温 25 付近が望ましい ) Lysis Buffer *1 添加 ( 精米の場合は 150 μl 玄米の場合は 180 μl) 米粒の粉砕 Proteinase K を 10 μl 添加 55 1 時間放置 (10 分後 20 分後 40 分後に再懸濁 ) 13,500 rpm 5 分間 4 にて遠心 110 μl の上清と 83 μl の DNA Binding Buffer を混和 ( 上清回収の際 液表層の浮遊物を出来るだけ回収しないように注意 ) 氷中 10 分間放置 ( 途中 1 回および遠心前に 再度転倒混和 ) 13,500 rpm 5 分間 4 にて遠心 125 μl の上清と 60 μl の Magnetic Particles Dilution *2 を混合 室温 5 分間放置 ( 途中 1 回 再懸濁 ) 後 Magnetic Particle を分離 1 Wash Buffer *3 による Magnetic Particle 洗浄 (2 回 ) 50 μl の Elution Buffer による DNA 溶出 13,500 rpm 5 分間 4 にて遠心 米 DNA 溶液 (4 にて保存 ) * 1: Lysis Buffer Lysis Buffer A:Lysis Buffer B = 7:1 の割合で混合調製してください 混合液は不安定ですので 用時に 必要量を混合調製してください * 2: Magnetic Particles Dilution Magnetic Particles をよく混合した後 Magnetic Particles: 滅菌 MilliQ 水 = 63:600 の割合で混合調製してください 用時に 必要量を混合調製してください * 3: 1 Wash Buffer 20 ml の 2 Wash Buffer に 10 ml のエタノール (99.5% 以上 ) と 10 ml の 2- プロパノールを加え よく混合調製してください 添加後は 溶液成分が揮発しないように蓋を充分に締め 20 25 にて保存してください タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 6
VI.DNA 調製結果例 本キットにより調製した DNA 溶液をアガロースゲル電気泳動に供した例です 1 ウェルあたり吸光度換算値で 100 ng 相当の DNA 溶液を泳動しました 精米 1 粒からの抽出結果例 M1 M2 M1 M1:λ -EcoT14 I digest(100 ng/ レーン ) M2:λ -EcoT14 I digest(200 ng/ レーン ) 玄米 1 粒からの抽出結果例 M1 M2 M1 M1:λ -EcoT14 I digest(100 ng/ レーン ) M2:λ -EcoT14 I digest(200 ng/ レーン ) タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 7
VII. 本キットで得られた DNA 溶液使用例 VII-1.PCR 例 本キットを用いて調製した DNA 溶液を 弊社のコメ判別用 PCR キットに使用する場合は 以下をご参照ください コメ判別用 PCR Kit I( 製品コード RR211A) コメ判別用 PCR Kit II( 製品コード RR213A) 両キットとも 1 反応あたり吸光度換算値で 10 ng 相当の DNA 溶液を鋳型 DNA として用いてください また 電気泳動には Loading Buffer 添加後の PCR 反応液を コメ判別用 PCR Kit I の場合は 5 μl コメ判別用 PCR Kit II の場合は 10 μl を 1 ウェルあたりに用いてください 本キットで得られた DNA のコメ判別用 PCR Kit I のアガロースゲル電気泳動結果 M N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 M M: φ X174-Hae III digest(100 ng/ レーン ) N: ネガティブコントロール 1 18: コメ検体 タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 8
VII-2. ライブラリー作製例 回収された DNA 溶液全量を 制限酵素 Hind III(15 unit)( 製品コード 1060A) で 37 一晩反応 タンパク質除去 ~ DNA の精製 濃縮 Hind III 切断片の puc 118 への導入 ( 濃縮液 4 μl と 100 ng/μl puc 118 Hind III/BAP( 製品コード 3324)0.5 μl を DNA Ligation Kit < Mighty Mix >( 製品コード 6023) を用いて反応 ) E. coli JM109 Competent Cells( 製品コード 9052) を形質転換し AIX 選択寒天培地にて培養 本キットで得られた DNA の制限酵素切断結果 M1 M2 1 2 M2 M1 1: Hind III 処理した 200 ng 相当量 DNA 2: Hind III 処理した 200 ng 相当量 DNA M1: λ -EcoT14 I digest(100 ng/ レーン ) M2: φ X174-Hae III digest(100 ng/ レーン ) タカラバイオ ( 株 )http://www.takara-bio.co.jp/ 9
VIII. 関連製品 Proteinase K( 製品コード 9034) Magnetic Stand (6 tubes)( 製品コード 5328)(1.5 ml マイクロチューブ使用の場合 ) コメ DNA 抽出キット ( 精米 20 粒スケール )( 製品コード 9103) IX. 注意 本製品は食品分析および環境分析用試薬です ヒト 動物への医療 臨床診断には使用しないようご注意ください また 食品 化粧品 家庭用品等として使用しないでください 検査結果判定により発生する問題に関してタカラバイオ株式会社は一切の責任を負いません タカラバイオの承認を得ずに製品の再販 譲渡 再販 譲渡のための改変 商用製品の製造に使用することは禁止されています ライセンスに関する情報は弊社ウェブカタログをご覧ください 本説明書に記載されている会社名および商品名などは 各社の商号 または登録済みもしくは未登録の商標であり これらは各所有者に帰属します v201703da