小学校における 対人関係スキル 習得のためのソーシャルスキルトレーニング実践 相模原市立上溝南小学校中園真由美 Ⅰ. はじめに ソーシャルスキルトレーニング ( 以下 SST と表記する ) は 社会生活上の望まし い思考判断や言動の仕方を習得するための訓練である 主に 基本的生活習慣に関するもの ( 日常生活スキル訓練 ) と 対人コミュニケーションに関するもの ( 対人関係スキル訓練 ) とで構成される 本校においても低学年や支援学級の児童を対象にわぁ ^^ くんの手のあげかた 靴や傘のじょうずだね! しまい方 や 着席時のよい姿プラスの暗示子どもの言動を 意味づけ する勢 などの生活習慣に関する SST を実践している 日常生活スキルを早期段階から積極的に指導することで 気持ちよく学校生活を送る とともに 社会に出てからも充実した人生を送れる 児童の育成をめざしている 一方 対人関係スキルについても積極的な SST の必要性を感じている 自分自身や仲間 集団と折り合いをつけることに困難を抱えている児童がいる 本校では 特にギャングエイジをむかえ 対人関係が広がり始める中学年以降に その困難さが顕著になるケースが少なくない 児童にとって 核家族化や少子化 地域力の低下などの社会環境の変化により 対 人関係スキルを日常生活のみで十分習得することは難しくなってきていると思われる そこで学校教育の早期段階において対人関係スキルの習得と補充に向けた意図的かつ積極的な SST 実践が必要なのではないかと考えるようになった Ⅱ. 研究の目的小学生を対象とした 対人関係に関する SST プログラム を作成 実践し 本プログラムの有効性と実践授業のあり方について検証する Ⅲ. 研究の内容 Ⅲ-1. 対人関係スキル の定義本研究における 対人関係スキル は 子どもの社会的スキル横浜プログラム ( 以下 YP とする 1) の 仲間づくりスキル を参考にした YP では 仲間づくりスキル の下位概念として 自己表現スキル と 共感 配慮スキル の二つを挙げている 資料 1: 子どもの社会的スキル YP 仲間づくりスキル - 1 -
よって本論文では 対人関係スキル を 1 自分の気持ちを適切に表現できる 2 相手の気持ちに適切に共感 配慮できるスキルであると定義し 研究を進める Ⅲ-2. アセスメント本校の第 1 学年 第 3 学年 支援学級の児童 (5 学級 計 120 名 ) を対象に 学校生活についてのアンケート ver5( 2) 及び 児童の行動観察 担任からの聞き取り により対人関係スキルの育成状況についての実態調査を行なった なお上記児童及び学級集団を対象とした理由は以下の通りである ギャングエイジのまっただ中で友人関係の広がりやそれに伴う対人トラブルが増えつつあり 指導実践のニーズに適うと考えたため ( 第 3 学年児童 ) 対人関係スキルに関する個別の教育的ニーズがあり 通年して SST に取り組んでいるため ( 支援学級児童 ) 本プログラムでは 自他の感情などの抽象概念を扱う よって3 年生集団と比較することで発達段階上の早期導入が可能な時期を検証できると考えたため ( 第 1 学年児童 ) Ⅲ-3. 実態調査の結果調査から 以下のようなことがわかった 感情の分化が未発達で 内在する感情表現のバリエーションが少ない そのため自分の感情を言葉で適切に表現したりコントロールしたりすることが難しい児童がいる 特に 怒り 感情のコントロールが難しく突然 キレて 乱暴な言動に走ることがある どの児童も 友だちと仲良くしたい という思いを持っている しかし不適切な自己表現や友だちとの関わり方によって思いがけないトラブルに発展し ているケースがある 対人トラブルを繰り返し 二次障害 ( 自己肯定感の低下など ) の兆候が見られる児童がいる 例 ) 友だちに間違いを指摘されたとき ムッ とした気持ちがみるみると 激怒 へと膨らみ 衝動的に相手に暴力を振るってしまうが その興奮状態を自分ではどうにも抑えきれない Ⅲ-4. 研究仮説調査結果から 小学校段階における 対人関係 のつまずきは 児童本人の性格や人格に起因するものではなく 対人関係スキル の適切な ( 無意識の ) 未学習 ( 結果としての ) 思考 判断の仕方問題行動叱責怒られる意味が 誤学習や分からない振る舞い方がによると分からないこの悪循環を断ち切る悪循環支援が出来ないだろうか? ころが大自信低下きいので指導が二次障害浸透しないはないか ( 自己肯定感の定着しない著しい低下 ) と見当を つけた ( 資料 2: 悪循環 ) その上で 次のような仮説を立てた 研究仮説小学校における早期段階で 適切な 自己表現 や 共感 配慮 の仕方をスキルとして学習することにより 対人関係スキル の向上が期待できるのではないか 適切な思考判断の仕方や振る舞い方を スキルとして習得 (SST) 力を発揮 適切な思考判断や適切な振る舞いができる 好循環 やる気意欲 褒められる 自信 イケテル感 自己肯定感 ( 資料 3: 好循環 ) - 2 -
Ⅲ-5.SST プログラムの概要実態と仮説を踏まえ 学校教育の早期段階 ( 小学校低学年程度 ) の児童を対象とした 対人関係スキル習得のための SST プログラム ( 以下 SST プログラムとする ) を以下の2 本柱で作成した 対人関係スキル SST 第 1 プログラム第 2 プログラムプロ 自己表現スキル 共感 配慮スキル グラの習得に関するの習得に関するムプログラムプログラム Ⅲ-5-1.SST プログラムのねらい (1) 第 1プログラムのねらい 感情をコントロールする方法を学び 自分の感情を適切に認識 表現できるようにする 自分の感情を客観視する 自他の感情の捉え方の違いを知る 感情の分化を促し 感情表現のバリエーションを増やす 感情コントロールの方法を知る (2) 第 2プログラムのねらい 互いに共感 配慮しあおうとする態度を養う 対人関係に関する望ましい思考判断や振る舞い方について知る より良い対人関係を築こうとする態度を育成する Ⅲ-5-2.SST プログラムの手立て (1) 第 1プログラムの内容 ~ 自己表現スキル 習得の手立て~ 単元名 : 感情のボリュームをコントロールしよう 1 感情のチャンネルを作ろう 2こんなときどんな気持ち? 3 感情をコントロールする方法を考えよう 1 感情のチャンネル を作ろう 悲しみ 怒り 喜びに関するそれぞれの 感情のチャンネル を作る 例えば同じ 怒り でも イライラ 不満 くやしい 激怒など程度の異なる感情がある 感情のチャンネル数 を増やすことで感情の分化を促す 例 : 怒りのチャンネル づくり イライラ ブチッ キレた! ウムムがまんだ ムー いやだ ウッ くやしい この~! 仕返ししたい という6つ表情カード ( 資料 4: 表情カード 3) を 自分にとって怒り の度合いが小さいもの ( レベル1) から大きいもの ( レベル6) へと並べる そして各々の 怒りレベル になるのは具体的にどのような場面なのかをシートに記入する ( 例 : レベル4= 友だちに嫌なあだ名で呼ばれたとき ) ( 資料 5: チャンネルシート ) 2こんなときどんな気持ち? ロールプレーイング活動を行う 児童の実際の対人トラブルに基づく寸劇を作成し 教師と抽出児童とで演じる 周りの児童は主人公と自分とを重ね合わせることで このときのぼく / わたしの気持ちは何レベル? かを客観的に考える - 3 -
資料 6: ロールプレイング台本例 ( 給食場面にて ) 3 感情をコントロールする方法を考えよう ここでは感情を自分でコントロールする具体的方法について考える 例えば怒りのレベルが6になってしまったとき 大きなけんかやトラブルに発展する前にその怒りをレベル4や3へと下げる方法はないか考える そして具体的なコントロール方法のアイディアを友だちと共有しあう (2) 第 2プログラムの内容 ~ 共感 配慮スキル 習得の手立て~ 単元名 : なかよし名人カルタ を作ろう 1ソーシャルスキルカルタで遊ぼう 2なかよし名人カルタを作ろう 1ソーシャルスキルカルタで遊ぼう ソーシャルスキルカルタは 基本的生活習慣 あいさつ 学習規律などの生活スキルを 五七五の軽快なリズムと分かりやすいイラストとで楽しく学ぶことができる市販教材である ( 4) 今回はその中から対人関係に関する内容のカルタを精選し 五七五の音読 暗唱活動やカルタ取りゲームをおこなう 目と耳と口を使って 対人関係に関する望ましい思考判断や振る舞い方について知る機会とする 2 なかよし名人カルタ を作ろう 対人関係に関する悩みを共有しあった後 どうすればお互いに仲良くすごせるか考える 資料 7: カルタシート その際 3 年生には1 年生の悩みを紹介し なかよし名人のコツ を1 年生へ伝授してあげてほしい 旨を伝えた上で (1 年生は次年度入学の新 1 年生のために ) 対人関係のコツを考え 五七五のリズムとイラストで表す活動を行う Ⅲ-6. 分析方法プログラムの効果は 実践後のアンケート 授業記録 ( 行動観察 ) 及び学級担任からの聞き取りの内容を分析することで 児童に対人関係スキルの向上的変容が見られたかどうかを検討する Ⅲ-7. 実践の様子本校第 1 学年 第 3 学年 支援学級を対象とし 道徳および生活単元学習の時間に授業実践を行なった Ⅲ-7-1. 第 1プログラムの実践の様子第 1プログラムは 感情という目に見えない抽象概念を扱うものであったが 表情カードやチャンネルシートを用いた具体的操作活動や 実際の生活場面をモチーフとしたロールプレイングを取り入れたことにより 支援学級や1 年生を含めた全ての対象児童にとって取り組みやすい活動となった よって 小学校の早期段階においても十分可能なプログラム内容であったと考える (1) 感情のチャンネルを作ろう 表情カードを並び替える活動では 瞬時にカードの順番を決定する児童 試行錯誤し何度も並びを変更する児童 6 枚全てをレベル6 に重ねて配置する児童など 思い思いに自分のチャンネルづくりに取り組んでいる様 - 4 -
子が見られた その後出来上がったシートを友だち同士で見合うと 児童は自分と友だちとの違いに驚いていた さんはなぜこのカードをレベル6にしたの? レベル6になるのは具体的にどんなとき? と理由や背景を聞き合う中で 自他の感情に客観的に向き合いながら意見を交流し合う様子が見られた (2) こんなときどんな気持ち? 各学級の対人トラブルの具体的場面を題材にした台本を作成し ロールプレーイングを行なった 実際にロールプレイングを体験する児童は実態調査をもとに各担任と相談して抽出した その他の児童も劇の主人公に自分を重ね合わせて もし自分だったらこのときの怒り ( 悲しみ / 喜び ) のレベルはどれくらいか? を考え 自作のチャンネルシートに指を差して示した その後 友だちに嫌なあだ名で呼ばれたとき 私の怒りレベルは4くらいかな えー! 僕だったら絶対レベル6! など意見を交流し合う中で 自分と他者とでは物事の感じ方や受け取り方が異なることに気づくことができていた (3) 感情をコントロールする方法を考えよう はじめに 怒りのレベルが6になることが悪く レベル1が良いというわけではない ことや それぞれが抱く素直な感情は自然なものであり 大切にすべきものである ことを伝えた上で 感じ方の善し悪しではなく その表出 表現の仕方の善し悪しによってトラブルに発展することがあるのではないかと児童に投げかけた上で次の活動に入った ここでは特に 怒り の感情をコントロールする方法について取り上げた 怒りを重点的に扱った理由は実態調査の結果 (Ⅲ -3) に記した通り 対象児童の対人トラブルの多くが 怒りの感情表現の不適切さ が引き金になっていると考えたからだ まず各々の 怒りのレベルが6になるのはどのようなときか を互いに共有しあった後 どうしても6になってしまいそうなときにはどうしたらよいか というアイディアを考えた 児童からは 目をつぶって深呼吸する 野球の素振りをしてすっきりする 家族や先生に相談する 図書室など静かな部屋に行って気持ちを切り替える という具体的な方法から そもそも友だちをレベル6の怒りにさせないようにみんなで気をつけあおうよ という級友への提案まで 前向きなアイディアが活発に出された Ⅲ-7-2. 第 2プログラムの実践の様子第 2プログラムでは 友だちや後輩の悩みに共感し 友だちを傷つけずにお互いに仲良くするためにはどうすればよいかということを児童一人ひとりが懸命に考える姿が見られた (1) ソーシャルスキルカルタで遊ぼうカルタ活動はゲームとしての要素も強く多くの児童にとって楽しい時間となっていた またソーシャルスキルカルタは諸感覚 ( 主に耳と目 ) を使って対人関係に関する望ましい思考判断や具体的言動を知識として自然に身につけることができる有効なツールだと感じた 五七五のリズムは児童にとって覚えやすい 例えば ぶつかったわざとじゃなくてもごめんなさい というカルタがある 児童同士のトラブルにおいて わざとではないから自分は悪くない というかたくなな主張により互いの気持ちがすれ違うケースがある 例え故意でなくても 相手を思いやる声かけが自分からできると 気持ちのよい関係を築ける ということを早期段階で あたりまえのスキル として身につけておく すると中学年以降 よりスムー - 5 -
ズに対人関係を拡大していけるのではないかと感じた 実際 日常場面でも わざとじゃなくても? と担任が声をかけることにより 自分から素直に ごめんなさい と言うことができ けんかに発展する前に気持ちよく解決できたケースがあった (2) なかよし名人カルタを作ろう なかよし名人になるためのコツを後輩へ伝授する という形態をとったことで 児童は張り切って活動に取り組むとともに 友だちと仲良くするとはどういうことか ということをより客観的に見直すことができていた ソーシャルスキルカルタの一覧表を提示し 良いと思うものはどんどんまねして取り入れてよい と伝えたところ 1 年生を含め全ての児童が何かしら自作の なかよし名人カルタ を書いて提出することができた 五七五のリズムは児童にとって分かりやすく創作意欲をかきたてる活動だったといえる 児童が作ったカルタの内容にはどれも 友だちと仲良くしよう という温かな思いが溢れていた 資料 8: 児童の作品 児童の作品は学級通信を通して保護者へも紹介された 家庭と学校とが連携し共通理解し合うことで学習内容のさらなる定着を図った 資料 9: 児童のカルタ作品 ( 学級通信の一部 ) Ⅳ. 結果と考察 Ⅳ - 1 アンケート結果から見るプログラムの効果についての検証プログラム終了後に5 段階評定と自由記述によるアンケートを実施した 評定項目は平均 3 以上を肯定的評価 3 未満を否定的評価と判断した ふりかえりアンケート 5 4.5 4 3.5 3 2.5 2 1 2 3 4 5 6 7 8 資料 10: アンケート結果 1 アンケート結果から 第 1 第 2プログラム共に肯定的評価が得られた 特に共通項目の1 楽しく道徳の授業ができましたか で 4.7 ポイントが得られたことから ( グラフの横軸 1) 本プログラムは対象児童の発達段階やニーズに合った実践であったと判断する また自由記述欄においても 自己表現や共感 配慮の仕方について これまでの自分を客観的に省みた上で よりよい対人関係を築いていこう とする前向きな意識の変容が見られた この点から 本プログラムは対人スキルに関する児童の向上的変容に一定の効果があったのではないかと考える - 6 -
共通 ふりかえりアンケート 質問項目 ( 有効数 n=106) 1 楽しく道徳の授業ができましたか 平均 4.7 2 共感 配慮の向上的変容に関する記述 私は もっとみんなと遊べたらいいのになといつも思います だからこれからはチクチク言葉を使ったりせずに みんなと仲良くしたいです 第 2 怒りのチャンネル を作って自分 思いやりのあるクラス を目標にしたい 1 の気持ちについて考えることができ 4.0 このクラスは怒りのチャンネルが 6 になるときもあ プ ましたか るけど 1 のときはみんなすごくやさしい ログ 3 怒りのレベルを下げる方法を考えることができましたか 4.1 妹をいじめるのをやめたいです 資料 12: アンケート結果 ( 自由記述の一部抜粋 ) ラ 4 クラスの友だちがどういうときに ム レベル6 になるか知ることができましたか 4.2 Ⅳ-2 個人の変容からみるプログラムの効果の検証 第 2 5 グループの友だちと一緒に楽しくカルタゲームができましたか 4.0 1 A さんについて 3 年生のAさんは聡明で活発な児童であ プ 6 1 年生 ( 来年の 1 年生 ) のために な る 自分から積極的に友だちと関わること ロ かよしカルタ ( 五七五 ) を作るこ 4.4 ができる一方 衝動的 攻撃的な言動をコ グ とができましたか ントロールすることが難しく 友だちとの ラ 7 友だちと仲良くするための 友だち 些細なやり取りが大きなけんかやトラブル ム 名人 のコツを考えることができま 4.1 に発展することがあった したか 実践授業での A さんは 積極的に挙手す 8 学習した友だち名人のコツをつかっ るなど終始主体的に活動に参加している様 てこれから友だちと仲良くできそう 4.2 子が見られた 自作のカルタには友だちの ですか 悩みに共感し 応援しようとする A さんの 資料 11: アンケート結果 2 優しい気持ちが表れていた 1 自己認識 表現の向上的変容に関する記述 わたしの心は中園先生と道徳の勉強をしてちょっと変わったと思います がんばるぞ!! やさしい心を持つことができそうです 暴力を振るったり すぐ怒ったり すぐ泣いたり それをすこしずつやめられるようにしたい いままで ちょっとけんかしすぎだったかなぁ ぼくはたまにしか友だちと遊びません ぼくもさそえるようにがんばるので みんなもさそってください ちょっと怒りやすい性格を直したいです ともだちのこまっていることたすけよう ともだちのゆめをおうえんがんばって 資料 13:A さんの作った なかよしカルタ またアンケートには細かい文字でびっしりと自らの思いを書き込んでいた そこには自分自身のこれまでのトラブルを客観的かつ内省的に捉え 自分自身のあり方や友だちとの接し方をよりよく変容させたいと願うAさんの姿勢が見て取れた いかりのチャンネルの授業では いかりのレベル6をどんどん減らしていこうと思いました クラスのみんなへ ぼくの嫌な悪口を言わないで下さい ぼくも言っちゃうときがあるかもしれ ません そのときはとめて下さい お願いします - 7 -
ぼくが暴力をやってもやり返さないで下さい ぼくは今いるともだちを大切にします ぼくは暴力をふるいました 友達に悪口も言いました それからいろいろなことをしました これから先生の話を聞いて努力したいです けんかもしないようにしたいです これからは頑張ります 資料 14:Aさんのふりかえりアンケート記述 ( 抜粋 ) 2 B さんについて同じく3 年生のBさんは 学年相応以上の冷静さと落ち着きを感じさせる児童で 周りからも 大人っぽい と一目置かれているようなところがある 本授業にも淡々と取り組んでいる印象であったが 自作のカルタ作品とふりかえりアンケートの記述には より良い対人関係を願う B さんの思いと決意が書かれていた はげますときもちがいいねふたりとも あいさつは心すてきにへんしんだ資料 15:Bさんの作った なかよしカルタ クラスのみんなへ みんな友だちと遊んでいて楽しそうだね わたしもいれてほしいなと思っていてもなかなか声をかけられないからみんなから声をかけてくれるとうれしいな いつもたのしそうなことをやっているなと思っているよ 声をかけてね よろしくね わたしへ 今のわたしのままではあまりともだちができないよ 気軽に話ができる友だちがいればそこからどんどん勇気がわいて念願の友だち 1000 人くらいできるかもしれないよ 声をかければどんどんきもちが伝わって ともだちが出来るんだから声をかけなよ 声をかけるのは今だよ 資料 17:B さんのふりかえりアンケートの記述 ( 抜粋 ) Ⅴ. 成果と今後の課題本校において 対人関係 に焦点を当てたSST 実践は初の試みであったが 1 年生や支援学級の児童にも主体的な取り組みができたことから 学校教育の早期段階での導入が可能なプログラム内容であったと言える またアンケートや行動観察などの分析結果から より良い対人関係を築こう とする児童の前向きな意識の変容が確認できた さらに ソーシャルスキルカルタを用いた取り組みや自作のカルタを作る実践を通して 児童は良好な対人関係を築く上で必要となる 望ましい思考判断や具体的言動の仕方 について学ぶことができた 以上 児童に向上的な変容が見られたことから 自己表現 や 共感 配慮 の方法を学ぶSSTを学校教育の早期段階で取り入れることは 児童が 対人関係スキル を身に付ける上で一定の効果があることだと結論づけたい ただし 今回の実践は単発のプログラムである スキルの確実な定着のためには継続的な取り組みが不可欠である また 早期段階にこの SST を経験した児童がその後どのような成長をしていくのかという分析も含め 長期的視野での 対人スキルの般化 を今後の研究課題とし さらなる実践の工夫を重ねていく決意である 参考文献と資料 1 子どもの社会的スキル横浜プログラム理論編 ( 三訂版 ) 2 YP 学校生活についてのアンケート ver5 3ページ目質問 1~12 3 表情カード ( 株 ) クリエーションアカデミー 4 五色ソーシャルスキルカルタ東京教育技術研究所 - 8 -