資料2   低炭素社会づくりに向けて

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参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

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地球温暖化対策推進小委員会2007年度第1回委員会

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参考資料3(第1回検討会資料3)

資料 3 ー 1 環境貢献型商品開発 販売促進支援事業 環境省市場メカニズム室


問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

姫路市及びたつの市における連携中枢都市圏形成に係る連携協約 姫路市 ( 以下 甲 という ) 及びたつの市 ( 以下 乙 という ) は 連携中枢都市圏構想推進要綱 ( 平成 26 年 8 月 25 日付け総行市第 200 号総務省自治行政局長通知 ) に基づく連携中枢都市圏である播磨圏域 ( 以下

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気候変動に関する科学的知見の整理について (前回資料2)

宮城の将来ビジョン 富県宮城の実現 ~ 県内総生産 10 兆円への挑戦 ~ 富県宮城の実現 ~ 県内総生産 10 兆円への挑戦 ~ 認知度集計表 ( 回答者属性別 ) 内容について知っている 言葉は聞いたことがある 効知らない ( はじめて聞く言葉である ) 県全体 度数 ,172

4. 都市づくりの目標と方針 4-1 都市づくりの基本理念 地域の個性が輝く生活快適都市 上田 ~ 魅力あるふるさと活気ある交流風格ただようまち ~ 基本理念の意味あい 上田市は 歴史 文化 自然 産業などに恵まれた特色ある地域から成り立っており 各地域が個性を発揮し 連携し合い 交流を促進しながら

正誤表 ( 抜粋版 ) 気象庁訳 (2015 年 7 月 1 日版 ) 注意 この資料は IPCC 第 5 次評価報告書第 1 作業部会報告書の正誤表を 日本語訳版に関連する部分について抜粋して翻訳 作成したものである この翻訳は IPCC ホームページに掲載された正誤表 (2015 年 4 月 1

本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

第 4 章計画のめざすところ 4.1. 基本理念 本計画の基本理念は 西東京市環境基本条例第 3 条の基本理念と共有します 基本理念 環境の保全等は 市民が健康で心豊かに生活できる環境を守り より良好な環境を確保し これ を将来の世代に引き継ぐことを目的として行われなければならない 環境の保全等は

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取組概要 ( 申請書からの転記 ) 全 般 排 出 量 の 認 識 取組名称 認証取得者名取組の概要 適用したカーボン オフセット第三者認証基準のバージョン認証の有効期間オフセット主体認証ラベルの使途 認証対象活動 認証番号 :CO 有効期間満了報告書受領済み 持続可能な島嶼社会の発展に

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資料3-1 温室効果ガス「見える化」の役割について


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次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

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四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1

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(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

気候変動と森林 IPCC 第 5 次評価報告書 (AR5) から 2014 年 8 月 29 日 東京 第 3 回森林分野における国際的な動向等に関する報告会 林野庁森林利用課 佐藤雄一


IPCC 第 5 次評価報告書に向けた将来シナリオの検討日本からの貢献とその意義環境研究総合推進費 A 1103 統合評価モデルを用いた世界の温暖化対策を考慮したわが国の温暖化政策の効果と影響 藤森真一郎 国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト一般公開

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

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などの極端現象も含め 気候変動による影響を評価している さらに AR4 は 長期的な展望として 適応策と緩和策のどちらも その一方だけではすべての気候変動の影響を防ぐことができないが 両者は互いに補完し合い 気候変動のリスクを大きく低減することが可能であることは 確信度が高い とし 最も厳しい緩和努

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7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

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里地里山と流域環境圏

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新とする理由⑴ 政策目的 車体課税については 平成 23 年度税制改正大綱において エコカー減税の期限到来時までに 地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政の状況を踏まえつつ 当分の間として適用される税率の取扱いを含め 簡素化 グリーン化 負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討 することとされて

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自転車活用推進に関係する本市既存計画 例規 (2) 計画名駐車基本計画 (H11 年 3 月策定 ) 都市計画局 大阪都市魅力創造戦略 2020( H28 年 11 月策定 ) 経済戦略局 駐車場法 1999( H11) 年度から 2016( H28) 年度から 駐車政策の基本方針 1

目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

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第 3 次 山形県総合発展計画 短期アクションプラン ( 平成 25 年度 ~28 年度 ) 平成 2 5 年 3 月 山形県

水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって 開発競争が進め

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

第 1 部森林及び林業の動向 森林 林業の再生に向けた新たな取組 東日本大震災 で森林 林業 木材産業に甚大な被害 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律 の成立 生物多様性に関する新たな世界目標 ルールの採択 国際森林年 林業 木材産業関係者が天皇杯等を受賞 木材の需要拡大の背景 ( )

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北杜市新エネルギービジョン

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

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事例2_自動車用材料

H28秋_24地方税財源

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

バイオ燃料

2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

資料 2-2 成長戦略改訂に向けた地域活性化の取組みについて ( 案 ) 内閣官房地域活性化統合事務局 成長戦略の改訂に向け これまでの施策の成果が実感できない地方において 新たな活力ある地域づくりと地域産業の成長のためのビジョンを提供しその具体化を図る 超高齢化 人口減少社会における持続可能な都市

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Transcription:

資料 2 低炭素社会づくりに向けて ( 論点整理 ) 平成 19 年 12 月 21 日 ( 金 )

はじめに 低炭素社会づくりの検討について (1)2007 年 5 月 日本政府は クールアース 50 において 世界全体の排出量を現状に比して 2050 年までに半減するという長期目標を掲げました ( なぜこれが必要か という背景については 3 ページをご参照下さい ) そして その実現のためには 革新的技術開発 とこれを中核とする 低炭素社会づくり が必要であるとしています このため 環境省では 低炭素社会づくり の実現に向けた取組の方向性を明らかにするため 低炭素社会づくり の基本理念 具体的なイメージ さらに これを実現するための戦略の検討に着手しています また 21 世紀環境立国戦略 においては 持続可能な社会 の実現に向けて 循環型社会 自然共生社会 と並んで 低炭素社会 の実現を追求していくこととされており このための検討を深めるものでもあります (2) これまで 中央環境審議会地球環境部会において 本年 9 月 21 日から 12 月 7 日までに 9 回の会合を開催し 有識者からのヒアリングを実施して これを踏まえた論点整理として 本ペーパーをまとめたところです この論点整理は議論の出発点であり 今後 同部会において更なる議論を行う予定ですが 同時に 幅広く各界各層のご意見を伺い これを反映させていきたいと考えています 検討の前提 (1) 低炭素社会づくりは世界全体で進めていく必要がありますが この論点整理の 1.~3. は 主に日本を念頭において整理したものです この中にも諸外国の参考となる要素はあると考えていますし また 4. を発展させていくことで より諸外国にも役に立つものにしていきたいと考えています (2) 今から 50 年前には 現在のような IT 社会は想像もできないものでした 2050 年の社会も現在とは全く違った社会となっている可能性もありますが ここでは 現実的にイメージできる範囲内で検討を進めています (3) ここまでの本検討においては 2050 年の社会の人口や経済規模 産業構造等 検討の前提となる数量的なシナリオは置かず 大きな方向性を描くことを重視しています ( この分野における数量的なシナリオの研究事例としては 脱温暖化 2050プロジェクトhttp://2050.nies.go.jp/index_j.html などを参照 ) 1

低炭素社会づくりに向けて 1. 1. 基本理念 2. 2. イメージ (1) まち (1) カーボン ミニマムの実現 社会のあらゆるセクターで温室効果ガス排出の最小化 (2) 豊かさを実感できる簡素な暮らしへの志向 大量消費から生活の質へ消費者の選択による社会変革 もったいないの心 (3) 自然との共生 CO 2 吸収等温暖化対策に不可欠な森林等の維持 再生 人口 資本の集積に応じたコンパクトな都市が形成 (2) 移動 公共交通機関が中心的役割 高度道路交通システムや自動車の高効率化が実現 (3) 居住空間 就業空間 高断熱な住宅 建築物 高効率エネルギー機器が普及 (4) エネルギー供給 革新的技術により低炭素型のエネルギー供給が実現 (5) 産業 ( 製造 建築 サービス業 ) 低炭素型の製造技術や製品を実現 グリーンジョブを推進 (6) 森林 農地 海洋 吸収源 エネルギー供給源として貢献 (7) 消費者選択 見える化 の充実と消費者の意識変化により カーボン ミニマムな選択が一般化 障壁 技術的障壁 経済的障壁 社会的障壁 情報的障壁 新規産業の創出 地域活性化 地域雇用の確保 健康 高齢化社会対応 快適居住空間 自然保全等 3. 実現のための戦略 3. 実現のための戦略 イノベーションの促進 エネルギー技術 社会システム 生活様式等 国民に望まれる行動 企業に望まれる行動 政府が講じる手段 炭素インフえる化 ) 資金低ラの整備コベネフィット (1) 制度的なインフラ整備 インセンティブの付与 ( 奨励 規制 経済的手法 ) (2) ソフト的インフラ整備 人 ( 人材育成 教育 ) 情報 ( 見 (3) ハード的インフラ整備 都市構造 交通網 建築物 エネルギー供給 適応 (4) 自然資本の整備 吸収 バイオマス資源 適応 4. 世界への発信 国際的な連携 2

背景 ~ 気候変動科学からの警告 ~ 地球温暖化問題は その予想される影響の大きさや深刻さから見て 人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題である 気候変動に関する政府 間パネル (IPCC) の報告によれば 地球が温暖化していることは疑う余地が ない その原因は人為起源の温室効果ガスの増加であると ほぼ断定されている 現状の世界の排出量は自然界の吸収量の 2 倍を超えており このままで行くと 世界の温室効果ガス排出量は今後数十年に渡って引き続き増加す 層の悪化 農業への打撃 感染症の増加 災害の激化等 我々の経済 社会活動に様々な悪影響が複合的に生じる可能性が指摘されている 既に 水資源や脆弱な生態系などには悪影響が生じており 今後の気温上昇に従って より深刻な悪影響が世界の全ての地域で生じることが予測されている 大気中の温室効果ガスの濃度を気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において安定化させるという 気候変動枠組条約 るものと考えられ 1980~1999 年と比較した今世紀末の地球全体の平均の究極目的の達成のためには 世界全体の排出量を自然界の吸収量と同等気温の上昇は 環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会 ( 右グのレベルに抑え込むことが必要である そこで 平成 19 年 5 月に我が国かラフB1) では 約 1.8 (1.1~2.9 ) である一方 化石エネルギー源を重ら世界に向けて発信した 美しい星 50 では 現状の世界の排出量は 視する社会 ( 右グラフA1FI) では 約 4.0 (2.4~6.4 ) に達すると予測自然界の吸収量の2 倍を超えており 大気中の濃度が高まる一方であるたされている め 世界全体の排出量を現状に比して2050 年までに半減する ことをこのような地球温暖化の結果 異常気象の頻発 気候システムの急激な世界全体の目標として国際的に共有することを求めている 転換といった影響のみならず 生態系への影響 数億人規模の水不足の一 地球平均地上気温の上昇量の推移 (IPCC AR4) 世界平均気温の上昇による主要な影響 (IPCC AR4) (1980-1990 年に対する世界平均気温の変化 ) 地球平均地上気温の上昇量 ( ) 2000 年濃度のまま推移 20 世紀 影響は適応の度合いや気温変化の速度 社会経済シナリオによって異なる 3

1. 低炭素社会の基本的理念 1. 4

1. 低炭素社会の基本的理念 世界全体の排出量を現状に比して 2050 年までに半減する という低炭素社会の実現に向けては 世界が一丸となって最大限の努力を行う必要がある 例えば 半減した時点で 仮に一人当たりの排出量が世界全体で同じになるとすると 先進国では一人当たり排出量を現在から 7-8 割程度削減し 途上国では経済発展 生活の質の向上を達成しながらも 現状程度の一人当たり排出量に留めることが必要 このような社会は 現在のトレンドの延長線上には存在しないと考えられ 以下のような基本的理念のもとに あらゆる主体が取組を進めていくことが必要 (1) カーボン ミニマムの実現 低炭素社会とは 究極的には 温室効果ガスの排出を自然が吸収できる量以内にとどめる ( カーボン ニュートラル ) 社会を目指すものである そのためには 産業 行政 国民など社会のあらゆるセクターが 地球の有限性を認識し その選択や意志決定の際に 省エネルギー 低炭素エネルギーの推進や 3Rの推進による資源生産性の向上等により 二酸化炭素の排出を最小化 ( カーボン ミニマム ) するための配慮を徹底することを当然とする社会システムが必要 低炭素社会の基本的理念 カーボン ミニマム 社会のあらゆるセクターで温室効果ガス排出の最小化 (2) 豊かさを実感できる簡素な暮らしへの志向 人々は先進国を中心に形成された大量消費に生活の豊かさを求める画一的な社会から脱却し 家族やコミュニティとの絆 健康 自然との触れ合い もったいないの心などに価値を置くことにより生活の質を高めることを志向する このような消費者の選択が社会システムの変革をもたらし 低炭素で豊かな社会を実現する (3) 自然との共生 人間とその社会は地球生態系の一部であるとの認識の下 低炭素社会に不可欠な CO 2 の吸収を確保し 今後避けられない温暖化への適応を図るためにも 森林や海洋をはじめとする豊かで多様な自然環境を保全し 再生することが重要 このため 地域社会において バイオマス利用を含めた 自然調和型技術 の推進を図るなど 自然と調和 共生した社会づくりを進めることが必要 豊かさを実感できる簡素な暮らし 自然との共生 大量消費から生活の質へ消費者の選択による社会変革 もったいないの心 CO 2 吸収等温暖化対策に不可欠な森林等の維持 再生 5

2. 低炭素社会の具体的イメージ 2. 6

大都市 中都市 人 資本の集積度が極めて高く 高付加価値なサービス業を実現 道路は自転車 パーソナル移動体が安全に走行できるようにデザイン 都市規模や既設インフラに応じ 鉄道 バス LRT を組み合わせた公共交通網が整備 集合住宅比率が極めて高く 職場と住居は近接 中心部は熱輸送管が整備され排熱を有効に活用 風の道 やオープンスペース 水辺が確保され ヒートアイランドが緩和 屋外照明 広告の減少等により星空の観察が可能 集中豪雨に伴い都市型浸水が起こることがないような水循環インフラが整備 低炭素社会における まち のイメージ図 2. 低炭素社会の具体的イメージ心 Spirit (1) - まち - 小都市 鉄道駅等が拠点となり 周辺に商業施設 居住地域がコンパクトに集積 ICT の進展により利便性が大幅に向上したバスが公共交通機関として中心的役割を果たす 需要に応じて様々なサイズのバス運行 都市部周辺には農地があり 地産地消が行いやすい環境にある 従来は鉄骨建築であった中層の建築物についても木造の比率が高い 自然本来の姿を活かした工法により治水が行われ 災害に強いまちになっている 農山漁村 農林水業経営規模の拡大 効率的な生産により 第一次産業は活性化 移動については自動車の比重が高いが 自動車はモータ駆動もしくはバイオ燃料で走行 住居 建築物のほとんどは木造 地域で発生する廃棄物系バイオマス 稲わらや間伐材等の未利用バイオマス 資源作物などがエネルギーや製品の供給源 地域関係者連携の下 地域に賦存するバイオマスを総合的に利活用する取組が全国に広がっている 通信システムの高度化により 自然豊かな地域に居住しながらの就業が可能 また 医療サービスや教育の十分な享受も可能 森林整備に伴い保水力が強化され 集中豪雨に強い農山村が形成 まちの規模と低炭素社会の構成要素 大都市 中都市小都市農山漁村 徒歩 自転車 パーソナル移動体 交通 鉄道 LRT バス 自動車 ( モーター駆動 バイオ燃料 ) 高層住宅 建築物 住宅 建築物 * 中層住宅 建築物 ( 鉄 ) 中層住宅 建築物 ( 木 ) 低層住宅 建築物 ( 木 ) エネルギー 熱融通 太陽光 熱 風力 バイオエネルギー供給源 * 低層は 2~3 階 中層は 4~7 階, 高層はそれ以上と大まかに分類 7