昆虫たちの足の秘密 1 年 D 組小田島岳史 概要 私たちの身近にいる昆虫たち その昆虫たちはそれぞれ全く違う環境に生息しています なので 昆虫にはその環境に適応するために独自の特徴があるはずです 特に私は 昆虫の足は その昆虫の生息環境でその環境に適した特徴を持っているのではないかと考えました 今回 私は生息する環境が違う昆虫の足をSEMで調べその特徴について調べました 対象の昆虫は アメンボ 蝶 蚊 カブトムシとクワガタ 蜂です
蜂 観察結果 蜂の足には足の表面がわからないほど毛が密集していた ( 写真 1) 足の先端側と胴体側とで表面に密集している毛の形が違っていた 先端側には主に先がとがっている毛 ( 写真 2) がほとんどで 胴体側には主に毛の先が太く毛の根元が細い特殊な形の毛 ( 写真 3) が生えていた 胴体側の毛には先端よりも球形の物体が大量に挟まっていた ( 写真 4) まとめ 毛の間に花粉のような球形をした物体が挟まっていました 毛と毛の間の間隔が 10μm ~50μmで 蜂を採集した学校のかだんに咲いていた朝顔の花粉の幅を調べてみると 40μ m~50μmでした 蜂の毛に付いていた球形の物体の大きさは 30μm~40μmあったので 私はこれが花粉であればこの毛が花粉を他の花に運んでいるのではないかと考えました 今後はいろいろなところで蜂を採集してみてその蜂の生息域に咲いている花の花粉の幅と その蜂の足にはえている毛の幅と同じかどうか調べてみたいと思います 私は 足の先端側と胴体側とで毛の形が違っていたのは 胴体側の毛のように毛の先が太く根本が細いと 蜂の足に花粉が付いた時 毛の中にその花粉を挟みやすく そしてその花粉を足から落としにくくなるからではないかと考えました 今回はそれを確信できませんでしたが今後は深く調べていきたいです また 私は蜂の足に花粉がつき花粉を運んでいると推測しましたが 他にも花粉が付く場所があるかどうか今度は蜂の体全体を調べてみたいです ( 写真 1) ( 写真 2) ( 写真 3) ( 写真 4)
蚊 観察結果 足の表面は薄い膜のようなうろこのような毛が皆 先端に向かってはえていた ( 写真 5) この毛は厚さが 100nm 以下と非常に小さく紙のように薄い膜状をしている 拡大すると そのうろこのような毛の表面に縦筋のようなものがあった ( 写真 6) この毛の長さはだいたい横幅 5μm~10μm 縦幅 40μm~50μmであった 人間の肌にある刺激を伝える感覚点 ( 触点 ) はだいたい 1mmの間隔で点在している (1) よって うろこ状の毛の幅は 人間の感覚点の点在する幅より小さいことがわかった まとめ 表面のうろこ状の毛の面積は人間の感覚点 1つ 1 つの間の面積よりも小さいことがわかりました よって 私はうろこ状の毛が動物の体に蚊がとまったときに感知されにくくしているのではないかと考えました 自分でも蚊の足で意外な特徴があったことに驚きました 私は うろこ状の毛の表面にあった縦筋はその毛の強度を強化するためではないかと考えました 今回はそのことについて調べきれませんでしたが 今後ぜひ調べてみたいと思います 参考文献 (1) 理科資料集ビジュアルワイド 東京書籍 ( 写真 5) ( 写真 6)
蝶 観察結果 足の表面はうろこのような細長い板のようなもので覆われていた ( 写真 7) 拡大すると小さな穴が規則正しくたくさん並んでいた 一見すると蚊の足の表面とたいへんよく似ているがうろこ状のものを拡大すると構造が全く違う 蚊は縦筋が入っていたが 蝶は小さな穴が無数に点在していた ( 写真 8) また そのうろこ状のものの構造は蝶の羽についていたリンプンと全く同じ構造をしていた まとめ うろこ状のものは拡大するとたくさんの小さな穴が無数に点在していることから 私はこれはできるだけ空中に浮きやすいように体の重さをできるだけ小さくするために役立っていると考えられます 蝶も蜂と同じように花に花粉を運ぶであろうと考えていましたが 今回観察してみてそのような構造はありませんでした 今後は蝶の体で花粉が付きやすい部分があるかどうか調べてみたいと思います ( 写真 7) ( 写真 8)
カブトムシとクワガタ 観察結果 ( カブトムシ ) カブトムシの足の先端は3 本に分かれている ( 写真 9) そのうち2 本はY 字型に曲がっていて カギ爪のようになっている そのカギ爪は直線ではなく爪の先に行くに従って折れ曲がり先端は約 45 度 ~90 度傾いていた もう一本にはカギ爪の2 本の足の間から先にブラシのようなものが付いた足が突き出ていた ( 写真 10) また かぎ爪の根本の部分に 230 ~250μmの小さなとげのようなものがついていた ( 写真 11) ( クワガタ ) クワガタの足も先端が3 本に分かれていてそのうちの2 本はカギ爪のようになっていた ( 写真 12) もう一本には カブトムシにあったブラシのようなものは一切なかった ( 写真 13) カブトムシと同じようにかぎ爪の根元に 60~80μm の大変小さなとげが確認できた まとめ 足の先のカギ爪が約 45 度 ~90 度曲がっていることから 私は足の先端の3 本の足が木の溝にしっかり引っかかり自分の体をしっかり固定しているのではないかと考えました 私は かぎ爪の根元についていた小さなとげは かぎ爪が木の溝等につかまるときの滑り止めになっているのではないかと考えました 今後はカブトムシとクワガタの爪の動きを調べてみてそのとげがどういう役目を果たしているのか追求してみたいと思います 今回 私は雑木林に生息する 2 種類の昆虫について調べました 足の構造は2 種類とも非常に似ていましたが他の雑木林に住む昆虫はどうなのか今後調べてみたいです ( 写真 10) ( 写真 11) ( 写真 12) ( 写真 13)
アメンボ 観察結果 足には毛が大量にはえていた ( 写真 14) 毛を取り除いた足の表面は今回調べた他の虫の足と比べ表面のでこぼこが小さかった アメンボの足を実際に測ってみると全長 1.7cmのものは胴体が 0.4cmあったのに対し足は 1.3cmもあり胴体のわりに足が長かった また 胴体の横幅が 1.2mmあったのに対し 足の横幅は 0.2~0.3mmほどと非常に細かった 足の少し先の方の毛と胴体側の毛で形が異なることが分かった 胴体側の毛は1 本 1 本単独ではえていたのに対し先の方の毛 ( 写真 15) は2 本の間の間に膜が張っているものがたくさんあった まとめ アメンボの足には表面張力という力がかかり水面に浮いてられるのだそうです (1) 足の先の方の足の毛に膜が張っているものはこの表面張力を大きくしているのではないかと私は考えました 今後 この毛の役割にも深く追求していきたいです 今回 アメンボの足の構造と水面に浮く関係を調べました ですが 私は 足の並び方にも何か関係があるのではないかとその後感じました 今後は足の並び方にも着目して研究を続けていきたいと思います 参考文献 (1) 野外観察図鑑昆虫 旺文社 ( 写真 14) ( 写真 15)
元素透かし2 号第 1 号では文字 (Ti) が大きすぎてしまいました 第 2 号では文字の大きさをできるかぎり小さく一画面で見られるようにするのが目標です ここでは その時作った試料をインターネット電顕の EDS を使って見ることができます さあ どのような形が見えるでしょう 試料作成手順 1 ポリエチレンを文字の形に切り取る 今回はニッケルの原子記号 Ni とはさみを使って切り取った 2 1で作ったポリエチレンをオーブンで熱する ポリエチレンは熱を加えると縮小する ここではプラバンの原理を応用して縮小させた 3 2でできあがったポリエチレンを試料台にマニキュアで貼り付ける 4 3で作った試料台を電気メッキ ( 1) する 5 4で電気メッキした試料台を除光剤 ( 2) につけポリエチレンをマニキュアごと取り除く 完成 1 電気メッキとは電気を通す物質にだけメッキするという方法で ここでは電気を通さないポリエチレン以外の部分にニッケルをメッキした 2 除光剤とはマニキュアをおとす薬品のこと
体験コーナー アメンボにはたらく水面張力 このコーナーでは皆さんにアメンボが水に浮かぶ仕組みを実際に体験していただくコーナーです エナメル線でアメンボの模型を作り水に浮かせます 今回 の異なる条件のエナメル線で作ったアメンボを 3 種類用意しました 実際に水に浮かばせてみて試して見ましょう さて どのアメンボが一番よく浮くでしょうか? < 今回用意したアメンボの種類 > 1 細いエナメル線で作ったアメンボと太いエナメル線で作ったアメンボ 重さを等しくしてある 2 エナメル線に小さなポリエチレン製の糸をくっつけ毛をつけたアメンボと何もつけないエナメル線で作ったアメンボ 針金の太さは同じにしている 3 エナメル線に布が付いたアメンボとそのエナメル線に油を付けて水をはじきやすくしているアメンボ 重さは等しくしてある 4 アメンボの足の先を丸めたアメンボと何もせず先を伸ばしたアメンボ 大きさ線の太さは等しい <エナメル線でアメンボを作る手順 > 1 エナメル線を 10cmほど切る これを 3 本作る 2 1で切ったエナメル線 3 本を重ね半分に曲げる 3 2の束になったエナメル線を適当に切ったエナメル線で曲げたほうに巻きつけて束ねる 4 3で足が 6 本できるのでその足を開く 完成