目 次 1. 体外受精の歴史と現状 1 2. 体外受精を行う時期と適応 1 3. 原因不明不妊症の方へ ( 内視鏡手術の勧め ) 2 4. 早めに採卵することの意義について 3 5. 妊娠率 ( 成功率 ) 3 6. 排卵誘発法について 5 7. 採卵について 7 8. 採卵時の卵子 8 9. 精子調整法 8 10. 受精卵の培養 8 11. 顕微授精法 (ICSI) 9 12. 胚移植 (ET) 10 13. 受精卵 ( 余剰胚 ) の凍結保存 11 14. 体外受精反復不成功におけるオプション 14 15. 誘発剤および採卵に伴う副作用について 16 16. 体外受精費用 17 17. 体外受精周期スケジュールについて 19 18.Q & A 20 19. 当院における 着床不全および不育症 の特殊検査 22
体外受精説明書 1. 体外受精の歴史と現状 1978 年に世界初の体外受精をエドワード博士 ( イギリス ) が成功させ 体外受精児が誕生してから 40 年余りが経過しました その誕生児 ( ルイーズ ブラウンさん ) もすでに結婚 自然妊娠 出産されています この功績が認められ 2010 年に博士はノーベル生理学医学賞を受賞されています この間 日本でも 40 万人以上の赤ちゃんが体外受精により誕生しています 一方 顕微授精 ( 後述 ) での誕生はおよそ 20 年が経過しています 現在日本でも体外受精は不妊治療の主流となってきており 2015 年には年間 5 万人のお子様が誕生しています (20 人に1 人が体外受精による妊娠です ) 国内では1 年間に実に 40 万周期の治療が行われており 体外受精件数としては世界第 1 位となっております その事情には 日本では高齢の方が体外受精を受けられている等の背景があり ( 平均 39 歳 ) 日本では提供卵子が認められておらず( 法的整備がない ) 結果として同じ方が何回も体外受精を受けているからです 2. 体外受精を行う時期と適応絶対的な適応は 精子が極端に少ない男性因子または両側の卵管閉塞である卵管因子でありますが それ以外の原因不明不妊症の場合 どの時期で初めて行うか非常に悩ましい所です しかし 原因が無いにも関わらず なかなか妊娠されない場合 焦ってくるのは当然のことで 妊娠の確率が高い体外受精を選択されるのは自然の流れです 体外受精では 採卵することで今まで確認することが出来なかった 卵子の状態 を検査することができ また受精の有無やその状態 ( 質 ) も確認することが出来ます (P7 ~ 11 参照 ) すなわち 原因不明不妊症に対する最終的な検査という考えもできます 良好な受精卵が得られれば 初回で妊娠される方も多くいらっしゃいますので 迷っている方は検査の意味からも お受け下さい 良好な受精卵が高い確率で得られるには年齢が若い方が好ましく 体外受精を受ける時期としたら 35 歳までの方でしたら 2 年以上の不妊症の方 35 歳以上の方は1 年以上の方にお勧めいたします -1-
3. 原因不明不妊症の方へ ( 内視鏡手術の勧め ) 各種検査でも異常が見つからずに 数年経過していらっしゃる患者様を 原因不明不妊症 と定義されています おそらく原因不明なまま数年を経過している方も少なくないと思います 体外受精を行うことで卵子の検査にもなりますので ご年齢的な要因が心配な方は早めの体外受精が有効ですが なかなか踏み切れない方には下記の内視鏡手術を選択肢の一つとしてお考えください 当院 ( 丸の内分院がメイン ) では下記の内視鏡手術は原則日帰りで行っております 体外受精を回避する手段として 腹腔鏡手術 があります 子宮内膜症やクラミジア感染 卵管水腫等で卵管周囲が癒着等を起こしていますと排卵された卵子が卵管内に取り込まれない 卵子キャッチアップ障害 を起こして 不妊となります 子宮卵管造影ではこのような細かい現象は確認出来ません 癒着剥離術や卵管形成術などを施行しますと 術後半年間がゴールデン期間として自然妊娠を期待出来ます (35 歳までの術後妊娠率は半年累計で約 45% です ) また 当院では 卵管狭窄例に対しては 卵管鏡下卵管形成術 (FT) を 子宮内病変 ( 子宮内ポリープや子宮内筋腫等 ) に対しては 子宮鏡下腫瘍摘出術 (TCR) など お腹を切らないでも可能な内視鏡手術も提供できます これら手術は必要に応じて 一度に複数の手術も可能ですので どうぞご相談ください 費用は腹腔鏡で約 15 ~ 25 万 卵管鏡で約 25 万円 ( 片方につき ) 子宮鏡は約 8~ 15 万円です 高額医療費となった場合には 限度額認定という制度により医療費の一定額以上は還付されます 限度額適用認定証とは 入院時のお支払いのみにご利用出来る制度です 事前に 限度額適用認定証 の交付を受けますと 入院会計時に窓口での支払いが自己限度額を超えた場合に それ以上のお支払いが免除される制度のことです 手術をお受けになるか 体外受精に進むのか 最終的には本人の希望ということになります 自然妊娠 のご希望が強い方は先ず内視鏡手術をお勧めしますが 不妊歴 / ご年齢 / ホルモン値などにより医師とご相談ください -2-
4. 早めに採卵することの意義について早めに採卵する最大の意義は 卵子検査 と 体外受精での高い妊娠率 です 卵子の質 は一般的に年齢相当と考えられていますが 必ずしもそうではないケースがあります また何歳までが若いのか? なども個人差が大きいです 採卵をすることによって卵子検査を行います 35 歳を過ぎますと急激に質が低下する方がいますので 35 歳までに1 年以上ご妊娠に至らない場合には 卵子検査もかねて 躊躇無く体外受精をお勧めいたします ちょっと早すぎるくらいが体外受精の成功の秘訣とも言えます 卵子が良好であれば 1 回の体外受精でご妊娠されることも多く また受精卵が余れば ( 余剰胚といいます ) 凍結保存し お二人目の治療として用いることができ 技術的には何年でも保存しておくことが可能です また過去に 卵巣の手術をされた方 内膜症をお持ちの方 月経が極端に不順な方 喫煙をされている方 などは年齢を前倒しにお考えください 卵子の質がご年齢以上に悪いケースが多くあります 良好な受精卵を 1 個のみ移植した場合の着床率 ( 括弧内は流産率 ) ~ 30 歳 約 40% 以上 ( 約 13%) 31 ~ 33 歳 約 40 ~ 35%( 約 15%) 34 ~ 36 歳 約 35 ~ 30%( 約 16%) 37 ~ 38 歳 約 30 ~ 20%( 約 18%) 39 ~ 40 歳 約 20 ~ 15%( 約 25%) 41 ~ 42 歳 約 10 ~ 5%( 約 30%) 43 歳 ~ 約 5 % 以下 ( 約 40%) 5. 妊娠率 ( 成功率 ) 体外受精の妊娠率は胚移植 ( 子宮内に受精卵を戻す手技 ) する受精卵の質と個数により左右されます 質に限れば 上記の年齢別を参考にしていただければ結構ですが 移植の個数に関しては 多胎妊娠の予防という観点から現在学会の見解では 35 歳までは1 個 ( はじめの2 回 ) 複数回不成功の方や 36 歳以上は2 個を検討 という考えになっています 質と個数で検討しますと 例えば 30% 程度の受精卵を2 個移植した場合には 30% 30%= 9% が双子になる計算になります 当院の考えも 双子の予防という観点からは 移植は1 個 余剰胚は凍結保存して翌月以降に使用するのが最も安全ということになります < 当院の実例 > 30 ~ 36 歳で体外受精をした場合卵巣刺激注射は平均 2~3 回 採卵数が平均 6 個 移植は1 個に限定 ( 双子 0%) 妊娠率は新鮮胚移植あたり 32% 余剰胚移植での妊娠率 37% 合計で採卵あたり 47% 流産率 17% となっております 注射の回数が少ないため 卵巣過剰刺激症候群でご入院された方はいませんでした -3-
動画で説明いたします 以下の項目が当院ホームページより 動画 でご覧頂けます https://www.sugiyama.or.jp/sterility/index 患者様専用サイト: 各種説明動画 と表示されています パスワードを聞かれましたら sugiyama です ご覧頂ける項目 1. 排卵誘発剤自己注射の方法 ( ペンタイプ ) 通常はこちら 2. 点鼻薬スプレーの使用方法 3. 精子容器の使用方法 ( 採取方法 ) 4. 体外受精の採卵のアニメーション動画 5. 採卵後の精子 / 卵子の授精および成長過程のアニメーション動画 6. 胚移植のアニメーション動画 7. 排卵誘発剤自己注射 ( アンプルタイプ ) あまり使用しません スマートフォンの QR コードはこちら -4-
6. 排卵誘発法について自然周期の場合には 通常 排卵は 1 個です そこで 体外受精で採卵を行う際には 発育卵胞を増やすことが一般的に行われます 複数個の良好な受精卵が得られれば 余剰胚は凍結保存をして 次周期以降のためにストック出来るメリットがあるからです 当院は世田谷本院で5 万例以上 丸の内分院で2 万例以上の体外受精を行った実績がございます この誘発法は体外受精の成功を左右するといっても過言では有りませんので 十分に相談し 個人にあった最適な排卵誘発法をご提案いたします 排卵誘発法を決定する因子 1. 卵巣機能を予知するホルモン値 (AMH FSH など ) 2. 超音波所見 ( 卵巣嚢腫の有無 antral follicle 数 ) 3. 年齢 4. 患者様ご本人の過去の治療実績など 完全自然周期法排卵誘発剤を一切使用しない方法です 当然ですが 卵子は1 個狙いです 卵巣に負担がかからないので 次周期も続けてトライが可能です 一方で採卵は 1 個のみですから 余剰胚は出来ません 若干の月経不順等があり 排卵誘発剤内服薬のみを使用する場合も これに含めて考えてください 以下の方が適応となります 1. 排卵誘発を望まない場合 2. 誘発剤を使用しても1 個しか育たないと予想される場合 ( 卵巣機能が弱い方 ) 3. 過去に複数個採卵しても 受精卵の質が悪かった場合など 具体的には 排卵日予想の数日前にお越しいただき 超音波 / ホルモン検査を行い 採卵日を決定します 来院日は医師とご相談できますが 来院したら診察前にすぐ血液検査があります 結果が出るまで1 時間程度かかりますので 診察終了 1 時間前までに来院し 受付で 先に採血 とお申し出ください 時間を過ぎますと採血結果は翌日になります -5-
準自然周期法 詳細は 19 ページを参照してください この方法は当院の主流となっています 排卵誘発剤 ( 内服 注射 ) を数回使用して 複数個の採卵する方法です 誘発剤の効果には個人差がありますが 内服 + 注射 2 回程度で採卵数は3~5 個が平均です 卵巣の負担も軽度ですが 毎月のトライは出来ません ( 隔月では可能です ) 以下の方が適応となります 1. 複数個の受精卵を望む方で 医師が誘発剤が有効であると判断した場合 2.35 歳以上の方で2 個以上の受精卵を同時に移植したい場合 ( 日本産婦人科学会の規定で 34 歳以下の方は1 個移植となっております ) 3. 余剰胚を期待する場合 具体的には 月経 2~4 日目にお越しいただき ホルモン検査を行い 誘発剤の種類 量などを決定します 来院したら診察前にすぐに血液検査があります 結果が出るまで 1 時間程度かかりますので 診察終了 1 時間前までに来院し 受付で 先に採血 とお申し出ください 時間を過ぎますと採血結果は翌日になります ご予約は生理開始しましたらすぐお願いいたします ネット予約がいっぱいでも時間内 ( 終了 60 分前まで ) でしたらどうぞお越し下さい その他の誘発法 Long 法 Short 法または antagonist 法といい 排卵誘発剤を最大限使用し 複数個の卵子を狙う方法です 注射が連日となり (7~ 10 回 )10 個以上採卵するものですが 以下の理由により当院では原則として行っていません 卵巣過剰刺激症候群の発症( 過度の腹痛 ) 入院治療の危険性もあります 過度の誘発は将来卵巣機能の低下を来す危険性など 当院では 注射は自己注射を推奨しています (P.4 参照 ) 自己注射は QR コードをご覧下さい ( 実際にきちんと指導いたします ) 新宿 ( 月 / 水 / 金 ) 丸の内 ( 火 / 木 ) は夕方お仕事帰りにも診察出来る ( 採血も ) 時間帯を設けております -6-
7. 採卵について (QR コードをご覧下さい ) 来院時間 : 採卵は通常 8:00 ~ 10:30 に行います 来院したらすぐに診察をして 排卵の有無の確認をします 排卵が終わって しまっている場合 ( 約 5%) や 成長が止まってしまった場合 ( 約 2%) は 中止となります 排卵後のときは 人工授精に切り替えることが可能です 帰宅時間 : 採卵に静脈麻酔を使用しない ( 痛み止めの坐薬を使用します ) 場合には 採卵後はすぐにお仕事に行くことが可能です 静脈麻酔を使用した場合に は帰宅はお昼前後になり午後も念のために自宅安静としてください 帰宅前に 卵子の状態 / 精子の状態を説明し顕微授精の必要性を相談し ます このときに 移植希望日を伺います ( 通常は 2 3 日後または 5 日後 ) 採卵方法 : 腟式採卵です 通常の診察で使用している経腟超音波を見ながら腟から卵 巣に針を刺し採卵する方法です 注射をするような鈍痛が有りますが 専 用の細い針で行いますので 卵子が 5 個程度まででしたら痛み止めの坐薬 ( 静脈麻酔無し ) で十分に採卵出来ます 静脈麻酔 : 卵子が複数個の場合 または少数でも卵巣の位置が悪く強い痛みが予想さ れる場合 または患者様のご希望 ( 過度の痛がりの方 過度の緊張など ) に より行います なお 静脈麻酔をご希望の場合には 麻酔費用が別途かかります 麻酔を使用する場合のお約束事 前日 22 時以降は 一切禁飲食です ( 当日の朝も駄目です ) 帰宅時に車の運転は出来ません 帰宅はお昼になります ( 午後はご自宅で安静にお休みください ) 安全上 当日はお化粧 人工爪 マニキュアなどは落として来院ください 静脈麻酔を使用する場合の問診票 を必ずご記入いただきます 持ち物 : 採卵日に精子をご持参いただきます 精子は 2 時間以内に採取したものを お持ちいただきますが ご希望により院内で採取することも可能です 事 前に精子を凍結保存しておくことも可能ですが 凍結精子は所見に関わら ず顕徴授精になります ( 新宿は日祝の採精室は使用できません ) 体外受精申込書 顕微授精申込書 初回のみ 移植同意書 1 年毎 費用 ( クレジットカードの使用可 ) 採卵時のお支払いは移植代を除く 全額となります (P.17 参照 ) 副作用 : 採卵はほとんど安全な手技ですので 基本的には何も心配ありませんので ご安心ください 経腟超音波ガイド下にて卵巣に針を穿刺しますので 腸 や膀胱等臓器損傷を起こす可能性がごく稀にあります また卵巣表面からの卵巣出血 / 卵巣内の感染が起こる場合が有ります その場合には数日間 安静入院が必要となる場合が有り その可能性は 0.3% 程度とお考えください -7-
8. 採卵時の卵子卵子の状態は基本的には年齢に左右されますが超音波やホルモン値ではわかりません この採卵により初めて見ることが出来ます 以下に採取した直後の卵子を示します 卵子の状態の詳細は翌日以降に確認されます 成熟卵子 35 歳未満の方は 採卵された卵子の約 90% は成熟卵子です 未成熟卵子 採卵された卵子の 10 ~ 15% 程度が未熟卵子で その具合により使用できる場合と出来ない場合があります 変性卵子 通常は 5% 以下ですが 高齢の場合に散見されます 38 歳を超えますと 3 個に 1 個が変性卵となってきます この卵子は受精には使用できません 未成熟卵子の取り扱い未成熟卵子は妊娠率が極めて低いため 一般的に未成熟卵子は廃棄となります しかし 採卵全てが未成熟卵子で体外で少し培養し翌日成熟が確認された場合は顕微授精を行い 受精を試みる場合があります ( 病院の判断になります ) 9. 精子調整法 成熟卵子未成熟卵子変性卵子 精子は採卵日当日に必ずお持ちください また 事前に良好な状態で精子を凍結した場合には当日分は不要ですが 凍結した精子は新鮮精子に比して受精率が低いために 凍結精子を使用する場合には 顕微授精となります ご主人は採卵予定前の数日間 (2 日 ~7 日が目安 ) は禁欲をお願いします 10. 受精卵の培養採取された卵子のうち成熟卵子 ( 上記参照 ) のみが受精する能力を有しています これらの卵子と調整された精子を 特殊な培養液 特別な環境下にて数時間培養いたします 翌日に受精したかを観察いたしますが 以下のように卵子中央に核が2 個見えると正常受精です 核が見えない場合には 受精しなかったと判断され 場合により核数に異常 ( 複数受精 ) が見られると異常受精としてその後の培養は中止となります 成熟卵と良好精子の場合には 通常は顕微授精は行わず 自然受精 ( 媒精 ) を試みますが 受精する確率は約 70% 程度で 何も異常がなくても 30% 程度は受精しないことになります また 35 歳以降は年齢とともに受精率はさらに低くなります 一方 精子が良好な場合でも貴重卵などの理由からご希望により後述の顕微授精を行う場合があります その場合には受精する確率は約 85% と上昇傾向になります 顕微授精の施行に関しては採卵当日の精子の状態を見て 医師とご相談ください 正常受精 (2 核 ) 異常受精 (3 核 ) -8-
11. 顕微授精法 (ICSI) 本法は 体外受精一胚移植法のうち 男性因子により体外受精治療が選択された場合や採取された卵子の状態が思わしくない場合 また数回の体外受精で受精障害が確認された場合などに適応します 最近では女性が高齢の場合 受精率が高いことから 精子良好でも念のため顕微授精を希望される方が多くなっています なるべく形がよく運動性も良好な精子を厳選し 顕微鏡下に細い針 ( 直径 0.01 mm ) でその精子を1 個だけ吸引し 直接卵子に注入し受精させる方法で 細胞質内精子注入法 (ICSI: イクシー ) と呼ばれています 現在 日本全国で出産している体外受精児の約 60% はこの顕微授精による妊娠です 複数個の採卵が出来た場合には 保険的に幾つかの卵を ICSI しておくこともできます 現在最も懸念されていることは 男性因子の児への遺伝問題です この遺伝子はまだ全て確認されていませんが Y 染色体上にある精子を形成する遺伝子に問題 ( 欠失 ) が在るとすれば この遺伝子の問題が児へ伝播され 出生したお子様が 男児 であった場合には この児が将来男性不妊になる可能性が在るということです 顕微授精により男性不妊が突発的に起こるということではありませんので ご安心ください 男性不妊でない方は心配ありません ご主人の都合で当日精子を持参できない場合には事前に精子を凍結し 使用することができます 尚 凍結精子を使用する場合は 所見に関わらず顕微授精になります 媒精 ( ふりかけ ) を行うか 顕微授精を行うかは当日の精液所見により 病院で判断します ただし 所見に関わらず顕微授精を必ずご希望の方はその旨をお知らせ下さい また 所見不良でも顕微授精を望まない方 ( 受精しない可能性を了承する ) もその旨をお知らせください 精子 精子 穿刺直前 穿刺時 -9-
12. 胚移植 (ET)(QR コードをご覧下さい ) 受精卵を子宮に戻すことを胚移植といいます 通常は4~8 細胞期 ( 採卵 2~3 日目 ) に移植を行いますが 実際には患者様と相談し その時の受精卵の数と質により決定いたします 一般的には初回と2 回目は1 個を移植します 多くの良好な受精卵を同時に移植すれば 妊娠率が向上する一方で多胎の可能性があり得ます 余った受精卵 ( 余剰胚 ) は凍結保存可能です またご希望に応じて 5~6 日間培養を重ねて 胚盤胞 まで到達するか見届けてから移植する方法もあります ( 胚盤胞移植 ) ここまで到達した受精卵の着床率は高い事は当然ですが 培養途中で駄目になってしまう事も多く 移植自体が中止になってしまうこともありますので 複数個の良好受精卵がある場合のみが可能です ( 受精卵の選別を目的に ) 胚移植は5 分程度で終わり痛みもありません 移植終了後すぐのご帰宅も可能です ご希望の方はお申し出ください 翌日以降も過度な運動以外は問題ございません 尚 移植日当日は 30 分前からお小水をためた状態で来院いただき 移植まではお手洗いを我慢してお待ちください 4 分割 ( 採卵 2 日後 ) 8 分割 ( 採卵 3 日後 ) 胚盤胞 ( 採卵 5~6 日後 ) 新宿 ( 月 / 水 / 金 ) 丸の内( 火 / 木 ) は夕方に移植出来る時間帯を設けております どうぞご相談ください どの段階で凍結するかは 移植時に相談します また 排卵のみで全て凍結の方は 採卵 3 日後の朝 9 時頃に来院して相談するか または来院出来ない場合は病院にお任せください 胚の状態 治療歴を考慮し選択いたします -10-
13. 受精卵 ( 余剰胚 ) の凍結保存 凍結胚の使用にあたり 複数年の長期保管は可能ですが 毎年の更新手続きがない場合には延長の意思なしと判断し廃棄となります 1 回の体外受精で複数個の受精卵が得られた場合に 余剰胚を液体窒素 (-196 ) にて凍結保存します もし その周期にご妊娠に至らなくても 次周期以降にこの凍結胚を解凍して胚移植を行えば またご妊娠が期待できます 一度凍結しました受精卵は複数年の保存が可能ですので ご妊娠された場合にはお二人目まで数年間保存しておくことも可能です また 卵巣刺激により卵巣過剰刺激症候群となっている周期には あえて全胚凍結を行うことで 卵巣過剰刺激症候群の重症化を予防します この 凍結胚を移植するには 今回の様に排卵誘発剤を大量に使用する必要はありませんので 肉体的にもかなり楽になります さて 凍結保存による受精卵の影響ですが その胚を用いた妊娠率が 刺激周期の妊娠率と差が無いことから 妊娠率へのダメージはほとんど無いものと考えます 受精卵の保存には 防犯カメラの設置 室内の施錠 容器にお名前の直接記入など可能な限りの対策を講じておりますが 盗難や天災などの不慮の事故には対応いたしかねますことをご了承いただいております なお 受精卵の凍結保存期間は技術的には数十年可能ですが 毎年更新の手続きを義務づけており 1 年後に更新手続きがない場合には 更新の意思なし と判断し 自動的に廃棄となります 費用は 初年度はストロー 1 本につき 30,000 円 ( 税別 ) 2 年目以降は 50,000 円 ( 税別 ) となります 凍結卵の使用時には胚移植代 (80,000 円税別 )+ 胚融解代 (20,000 円税別 / 本 ) となります 助成金適用の方は 1 回最大 75,000 円補助がでます -11-
< 融解胚移植について > お預りしております余剰胚の移植には以下の 2 通りの方法がございます 特に医師からの指示が無い場合には患者様のご希望が優先されます 1. 排卵周期での胚移植通常はこちらを選択します 排卵日 = 採卵日と考え 凍結した日を計算して凍結胚の融解日を決定します つまり 凍結が採卵 3 日後であれば 融解移植日も排卵の3 日後という事になります 但し 月経不順の方で排卵させるのに多くの注射等が必要な方は不向きな場合もあります なお その月の排卵が上手くいかなかったとき ( 非破裂卵胞 ) は中止となります 1 をご希望の周期は排卵予定の数日前( 通常は 12 ~ 14 日目前後 ) にお越し下さい 半年以上空いている場合には 月経中に一度お越し下さい 2. ホルモンコントロール周期 (HRC 周期 ) での胚移植月経開始 3 日目からホルモン剤を内服することにより好環境の子宮内膜を作製できます 結果として 1 よりも若干ですが 着床率が上昇します しかし 内服やホルモン剤貼付など個人で行う作業がやや煩雑ですので 初回 1 を行い 2 回目以降は 2 で行う場合が多いです 2 をご希望の周期は月経 1~3 日目まで ( 月経中に血液検査が有りますので 診察終了の1 時間前まで ) にご来院ください 尚 HRC 周期では妊娠判定までに約 16,000 円 妊娠陽性の場合 9 週までお薬を継続するとさらに約 5 万円がかかります < 黄体補充 ( 高温期 ) について> 胚移植終了後 高温期には着床環境を整えるためにホルモンの補充を行います 当院は原則として内服と1~2 回程度の注射を行います 注射の内容及び回数はホルモン状態により異なりますので その都度お話します 卵巣過剰刺激症候群 (OHSS) の方は注射により悪化の恐れもありますので診察 ( エコー ) を併用しながら 注射を調整します < 妊娠の判定 > 胚移植後 10 12 日目頃に行います また 週数の計算は採卵日を2 週 0 日として計算し 予定日は 40 週 0 日となります 高温期の注射と妊娠判定 ( 採血または尿 ) は 採卵された周期は体外受精費用に含まれていますので追加費用はありません -12-
< 体外受精における流産率と子宮外妊娠 > 体外受精における妊娠とは 妊娠反応 ( 尿または血液 ) をもって判断する化学的妊娠と 超音波における胎児の袋 ( 胎嚢 ) を確認して判断する臨床妊娠を指します 化学的妊娠を妊娠とすれば その後の流産率は約 17% 程度と考えられています 一方 体外受精 ( 顕微授精を除く ) により出産された児の追跡調査では 通常の妊娠により出生された児と比して 明らかに異常があるとの報告は現在はありませんが 今後 歴史を重ねることでその詳細は明らかになる事と思います その他 体外受精の子宮外妊娠の発生率は1~3% 正常妊娠と子宮外妊娠の同時妊娠という珍しいケースが 0.1 ~ 0.3% 程度あります 尚 諸種報告によりますと 体外受精妊娠の場合自然妊娠に比べ 胎盤の位置が通常と異なる可能性が若干高まると言われていますが ( 前置胎盤 ) 医学的根拠は示されておりません <ご妊娠された場合 > 赤ちゃんを包む袋 ( 胎嚢 ) が見えるのは妊娠 5 週目以降で 心拍が確認できるのは妊娠 6 週中頃からです 当院では最大で妊娠 9 週目までフォローいたしますが それ以降はご希望の産院へ転院いただきます 必要な場合にはご紹介状を用意いたします なお 当院にて体外受精でご妊娠され 世田谷本院でご出産をご希望の方には 分娩に関して割引がございます 妊娠 5 週胎嚢 7.0 mm妊娠 6 週頭殿長 5.5 mm -13-
14. 体外受精反復不成功におけるオプション <2 段階移植法 (2 - step ET)> 先ずは 2 日目もしくは3 日目の4~8 細胞頃に1 回目の移植をします この時入れる数は1 個です 残りの受精卵は さらに2~3 日間培養を行い 5 日目にもう一度移植します 2 回入れることのデメリットはやはり多胎妊娠です 但し 獲得した受精卵が少ない場合には 2 回入れるメリットはないので行えません また 体外受精に追加で 50,000 円 ( 税別 ) の費用 ( 胚盤胞培養代 +2 回目移植代 ) がかかります この方法は合計で最低 2 個以上の移植となりますから 複数回不成功の方のみの施行となります <アシステッドハッチング (AHA)> 受精卵の外を囲む膜 ( 透明帯 ) が厚い場合には 透明帯を薄くする方法により着床を助ける方法が有ります ( アシステッドハッチング ) 当院の AHA は最新の設備を用いて卵へのダメージがないレーザーによる AHA を行っています ( 追加費用 20,000 税別 ) 現時点で危険性の報告は有りませんが 着床時に1つの卵子が分離して 1 卵性双胎の発生率が若干上昇することがあるかもしれません 良好胚であっても 何度も着床しないケースや透明帯が厚いケースには こちらからご提案致します 特に凍結後の融解胚移植では有用です AHA 前 AHA 後 -14-
受精卵や精子のお預かりについて 当院は 十分なセキュリティーにより保管しておりますが 不測の事態 ( 火災や盗難 地震など ) による紛失の際は ご容赦下さい 勿論 常識で考えられる非常事態 ( 盗難 取り間違えなど ) には 十分に注意しておりますので どうぞご安心下さい 凍結延長のご希望は 1 年毎に必ずご連絡ください 尚 1 年を過ぎてもご連絡が無い場合には自動破棄となりますことをご了承ください 1 年凍結延長料金 : 精子 (1 本 )/10,000 円 ( 税別 ) 受精卵( 余剰胚 )(1ストロー)/ 50,000 円 ( 税別 ) 感染症検査について 当院で不妊治療を行う方全員に以下の検査をお願いしております (1 年に1 回 ) 血液型 貧血 B 型肝炎 C 型肝炎 梅毒 HIV AMH( 卵巣年齢を予想するホルモン ) 検査には約 13,000 円 ( 自費 ) かかります 他院で行ったものも結果を持参頂ければ1 年以内は有効です -15-
15. 誘発剤および採卵に伴う副作用について体外受精における主な副作用は3 点あります 多胎妊娠 採卵による出血 感染 卵巣過剰刺激症候群 です 多胎は移植数を1 個にすれば防ぐ事は出来ます (1 卵性多胎は除く ) が もし双胎になりますと妊娠経過に大きな危険を伴います そのために現在は 35 歳未満の初回と2 回目までの移植は1 個との学会規則がございますが それ以外の場合でも初回は 1 個が好ましいと思います ( 詳細別途相談します ) 双胎になりますとほぼ全例帝王切開 また流早産の危険性も上がり その率は単胎より 10 倍近くにもなります 仮に早産で未熟児ですとそのお子様の将来に様々な後遺症が残り得ますので やはり避けたいことです また現在では新生児センターが不足しておりますので 仮に双胎以上になりますと 紹介できる施設がなかなかありませんことをご承知おき下さい しかしながら 複数回ご妊娠されない場合 妊娠率の向上を目的に複数個の移植をご希望されるのは当然ですので 詳細は医師と充分にご相談ください 採卵による副作用は 腸等の臓器損傷 卵巣表面からの出血 感染です 採卵針は細いのですが やはり穿刺すれば卵巣表面から徐々に出血し縫わなければならない場合があります ( 過去に4 万例以上採卵し 現在までは開腹手術例は1 例のみございます ) 採卵し 帰宅後に過度の痛みが生じ 安静や鎮痛剤でも効果不十分な場合にはご連絡のうえお越し下さい 診察の結果 腹腔内に出血が多く認められれば 入院になる場合がございます 卵巣過剰刺激症候群 は排卵誘発剤の副作用で 多く採卵できた場合に採卵数日後に発生します 腹部膨満感 腹痛 無尿等の場合には きちんと超音波検査等で対応しますのでその場合にはご相談下さい 個人差もありますが 目安としまして 15 個以上採卵できた場合には起こり易いです ただ 当院の採卵の多くは準自然周期法で その場合には過剰な採卵数にはほとんどなりません 稀に数個の採卵でも卵巣過剰刺激症候群となる方もいらっしゃいます -16-
16. 体外受精費用 体外受精コスト一覧 2018 年 1 月 ~ 初回 2 回目 3 回目 4 回目以降 A: 採卵 ( 静脈麻酔は別途 ) 10 10 10 5 B: 精子調整 受精および培養 15 10 10 10 C: 顕微授精 (ICSI) 加算 ( 5 ) ( 5 ) ( 5 ) ( 5 ) 合計 :A+B+C( 採卵時に会計 ) 25(30) 20(25) 20(25) 15(20) D: 胚移植 ( 移植時にお支払い ) 10 10 5 5 合 計 ( 消費税 別 ) 35(40) 30(35) 25(30) 20(25) < お支払い > 採卵時と移植時の 2 回に分けて会計させていただきます 採卵時に上記合計から移植代を除いた合計額 (A+B+C+ 麻酔代 ) となります 移植時には 移植代 +( 余剰胚凍結 下記オプション ) をお支払いいただきます 採卵時に関して 静脈麻酔をご希望の場合には別途 50,000 円がかかります 排卵誘発剤を一切使用しない 完全自然周期 では 上記合計より 50,000 円引きとなります ( ただし 胚移植まで施行した周期に限りますので 移植中止は対象外です ) 採卵し卵子の状態が不良 ( 変性卵など ) で その後の作業が中止の場合の採卵代金は上記となりますが 卵子が一つも得られない場合 ( 空胞の場合 ) 採卵代は 50,000 円となります 2 回目以降の減額は胚移植まで施行しご妊娠に至らなかった場合にのみ適応です ( 卵不良等による移植中止で一部返金があった場合には次回の減額にはなりません ) 1. 上記費用は胚移植後の黄体ホルモン補充 ( 内服 / 注射 ) を含みます 2. 採卵までの準備 ( 排卵誘発剤 / ホルモン検査 / 超音波検査代など ) は含まれておりません 準自然周期法で注射を2~3 回投与の場合 平均で合計 3~5 万円程度がかかります < 特殊加算 ( 胚移植のときにお支払いください ) 消費税別途加算 > アシステッドハッチング 20,000 円 胚盤胞培養 40,000 円 2 段階胚移植 50,000 円 ( 培養後 移植中止の場合は 40,000 円 ) 余剰胚凍結( 初年度 ) 30,000 円 /1 本 (2 年目以降の延長は 50,000 円 / 年 ) 凍結融解胚移植 80,000 円 ( 融解代 20,000 円 / 本 ) 年収制限がありますが 自治体から 1 回に 20 ~ 30 万円の補助金が支給されます (P.23 参照 ) -17-
< 学会への報告および個人情報について> 当院で行った体外受精の成績は日本産婦人科学会へ報告いたします ( 報告義務 ) また 症例の報告などを国内 海外の学会で発表することがございます もちろん 個人を特定するようなことは一切ございませんので ( 個人情報保護 ) どうぞご安心 ご了承下さい < 最後に> 最後までお読みいただきありがとうございました 体外受精により 皆さまがご妊娠 ご出産されることに当院は最大限のご協力を惜しみません そのため 皆さまも十分にその治療内容や必要性を検討され 医師と十分にご相談しお受け下さい また 本法施行に関しましては法的なこと 倫理的なことは十分に配慮する必要が有りますので厚生労働省および日本産婦人科学会などの見解には対応していくことにどうぞご理解下さい 2018 年 1 月作成 杉山産婦人科院長 この説明書を十分にお読み戴き ご理解の上 体外受精申込書にサインを頂きます -18-
17. 体外受精周期スケジュールについて -19-
18. Q & A Q 1 ) 仕事はどの程度休むの? 月経開始 体外受精希望の周期は月経 2~4 日目にお越し下さい 採血結果待ちのため 午前 / 午後ともに終了 1 時間前までに 注射 原則自己注射です ( 通院も可 ) 採卵決定診察 目安として月経 9~10 日目となります 通常このときに採卵日が最終決定されます 超音波 +ホルモン検査 ( 終了 1 時間前までに ) 採卵は麻酔無しなら採卵後 30 分 ~1 時間くらいの帰宅 麻酔ならお昼帰宅 (1 日休み ) 移植は採卵 2~3 日後もしくは 5 日後 所要時間は1 時間程度 高温期は移植後 4~6 日後に1 回程度 注射に来院してもらう可能性があります 妊娠判定は移植から 10 ~ 12 日頃 基本的には血液検査になります Q 2 ) 採卵時の準備は? 来院時間 採卵は午前中に行います 朝 8~ 10 時頃に来院いただきます ご主人の付き添いは不要ですが 精子をご持参ください 帰宅時間麻酔あり 麻酔の影響で帰宅はお昼頃 仕事は午後もお休みください麻酔なし 採卵後 30 分 ~ 1 時間くらいの帰宅 ( 仕事 ) が可能 麻酔 = 静脈麻酔で全身麻酔ではありません 受精の確認 翌日 受精のご確認 胚移植 採卵 2~ 3 日後もしくは 5 日後で選ぶ事が出来ます 所要時間は1 時間程度 移植数や移植胚の最終決定は移植日当日です -20-
Q 3 ) 良好な卵子が得られるか心配です? 卵子の質は基本的には年齢に比例しますが 以下の場合にはご注意ください ストレス 女性の喫煙 肥満 急激な体重の増減 遺伝/ 体質 ホルモンバランス( 特に AMH と FSH) 卵巣手術の既往( 特に子宮内膜症 ) 従来よりの月経不順( 特に 50 日以上 PCOS: 多嚢胞性卵巣症候群 ) 上記に当てはまる場合 年齢に比して卵子の状態が劣っている場合が散見されますの で 早めの採卵をお勧めいたします Q 4 ) お勧めのサプリメントや漢方は有りますか? はい 当院でオリジナルのサプリメントを用意しております 女性専用 2 種類の用意がございます 臨床効果はまだ明らかでは有りませんが 1 年の使用経験から有る程度の感触は得ております 2 種類のうちレスベラトロールに関しましては 細胞の若返り ( 長寿遺伝子といわれています ) という概念から なかなか良好な受精卵が得られない方への一助になれば と考えています また もう1 種類のサプリメントはビタミン D と葉酸が含まれており 妊娠前 ~ 妊娠初期に 是非お飲み頂きたいサプリメントです ご希望の場合には受付までお願いいたします 数には限りがございますので 品薄の場合にはご容赦ください なお 禁煙 / 適度な運動 睡眠および規則正しい食生活を引き続き心がけてください -21-
19. 当院における 着床不全および不育症 の特殊検査 以下の検査は患者様のご希望により行う特殊検査です < 着床不全 > 体外受精 胚移植において 良好な胚を3 回以上移植しているにも関わらず 一度も妊娠反応を得ないケースを対象と考えます < 不育症 > 過去のご妊娠で 3 回以上続けて流産をご経験されているご夫婦が対象となります 流産はご妊娠の約 15 ~ 20% に起こるものですから 2 回の流産はそんなにご心配になる必要はありませんが ご希望でしたら 3 回未満の流産でも検査をお受けになることも可能です < 検査 > 子宮鏡による子宮内膜の状態 ( 子宮筋腫や子宮内ポリープなど ) 月経が始まったらすぐ予約してください ( 施行日は生理終了直後 ~ 排卵前まで ) 保険で 3,000 円程度 自費なら 10,000 円程度 ( 異常があった場合が保険適応 ) 不育および着床不全セット検査 ( 血液検査です 内容は当院オリジナルです ) 凝固系異常や自己免疫性疾患などを検索し 着床不全や不育症の原因を探ります 以下の検査では 抗リン脂質抗体や自分を傷つける抗体反応 血液がかたまりやすくなる要因を探ります また 以下の項目に異常があれば 抗凝固療法 ( 低用量アスピリン内服 ヘパリン自己注射 ) 漢方内服などの治療を行います 検査結果には約 3 週間要します 以下の項目をすべて行いますと総額で約 60,000 円となります セット内容 ( 自費 ) 抗核抗体 LA-DRVVT APTT 甲状腺ホルモン 抗 CL 抗体 IgG 抗 CL 抗体 IgM プロテイン Sおよび C 活性 第 12 因子 抗 PEIgM / IgG 抗体 抗 CLβ2GPI 抗体 Thl 細胞 / Th2 細胞 ご夫婦染色体検査血液検査です ご本人 ( 女性 ) の検査は保険で可能です ( 約 9,000 円 ) ご主人も施行される場合は自費で約 30,000 円です 治療法はございませんが 特に不育などの原因検索には重要な検査です これらの血液検査は月経周期に関わらずどの時期でも可能ですが 特殊検査のために採血時間は 平日の午前のみ となります ご予約もお願いいたします -22-
東京都特定不妊治療を申請される方へ 1. 助成金の対象者 ( 年収制限 ) ご夫婦の年収合計 ( 税金 保険料を差し引いた手取額 ) が 730 万以下のご夫婦 2. 助成金の対象者 ( 年齢制限 ) 治療開始日で妻年齢が 43 歳以上の場合は助成金の対象外となります 治療中に 43 歳の誕生日をむかえた方は助成金を受けられます 治療開始日とは その周期にはじめて来院された日 ( 通常は月経 2 ~ 4 日目頃 ) 3. 助成の回数初回助成を受けた妻年齢により 助成の回数が変わります (43 歳以降は助成終了 ) 初回申請が ~ 40 歳未満の方は最大 6 回まで助成を受けられます 初回申請が 40 ~ 43 歳未満の方は最大 3 回まで助成を受けられます 初回申請が 43 歳以上の方は助成の対象外となります 4. 助成の金額 (1 回あたりの最大の助成金額 ) A: 採卵から新鮮胚移植まですべてを実施 ( 最大 30 万円 ) B: 採卵し一旦すべて凍結 数ヶ月後に融解胚移植を実施 ( 初回 25 万円 ) C: 以前に凍結した胚による融解胚移植を実施 ( 最大 7.5 万円 ) その他途中で中止の場合にも 15 万程度の助成があります 5. 申請方法治療終了の時点 ( 妊娠判定がわかってから ) で当院受付まで申し出ください 作成には1 ~ 2 週間頂いております 年度末でお急ぎの場合には事前にご相談ください 年度ギリギリの方はご注意ください 自治体のいう 申請日 とは 書類の提出日 または郵送の場合には消印を押した日になりますので 書類を書いた日ではありま せん 上記は当院がインターネットから情報を拾い上げた物で 事実と異なる場合があり ます 詳しくは東京都福祉保健局子育て事業係 (03-5320-4371) までお問い合わせ 下さい -23-