脊椎損傷の急性期治療

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採択演題一覧


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平成 26 年度業績評価委員会 本部 2014.9.25 13 臨床研究 第 1 期 : 頚椎ドック第 2 期 : 腰椎ドック第 3 期 : 腰痛 社会福祉施設の介護職職員における腰痛の実態調査 画像診断と予防対策 中部労災病院整形外科 湯川泰紹 加藤文彦

第 1 期 : 頚椎ドック 第 2 期 : 腰椎ドック 第 3 期 : 介護職者の腰痛検査 2

頚椎ドック : 単純 X 線 & MRI 対象 :20~70 歳代健常ボランティア例数 : 計 1230 例 ( 各年代男女約 100 名ずつ ) 除外項目 : 脊椎 脊髄疾患 神経内科疾患 有症状例 関節疾患(OA) 脳 脊椎手術の既往 交通事故 労災事故後 3

頚椎単純 X 線撮影 : 計測項目 1. 脊柱管 椎体前後径 C2 ( 椎体中央 椎間 ) 2. 椎体高 椎間板高 3. 前弯角 (C2-7) ( 前弯を + 後弯を -) C7 4. 前後屈可動域 4

脊柱管前後径 (mm): 各椎間 ( 側面 ) 20 20 20 15 15 15 10 10 10 男性女性 5 5 5 0 C2/3 C3/4 C4/5 C5/6 C6/7 C7/T1 0 C2/3 C3/4 C4/5 C5/6 C6/7 C7/T1 20 歳代 30 歳代 40 歳代 0 C2/3 C3/4 C4/5 C5/6 C6/7 C7/T1 20 20 20 15 15 15 10 10 10 男性女性 5 5 5 0 0 C2/3 C3/4 C4/5 C5/6 C6/7 C7/T1 C2/3 C3/4 C4/5 C5/6 C6/7 C7/T1 50 歳代 60 歳代 70 歳代 0 C2/3 C3/4 C4/5 C5/6 C6/7 C7/T1 5

脊柱管前後径 (mm):c5/6 椎間 ( 側面 ) 20 15 10 男性 女性 =15.9±2.1 =15.0±1.9 5 0 20 30 40 50 60 70 歳代 6

頚椎前弯度 ( 正中側面 ) 度 25 20 15 10 男性女性 5 0 20 30 40 50 60 70 歳代 7

頚椎前弯度と可動域 8 男性 女性

頚椎 X 線計測まとめ 脊柱管前後径は加齢とともに減少し その変化は椎体高位よりも椎間板高位にて著明 椎体高 椎間板高は加齢とともに減少 変性変化はC5/6 椎間を中心に認めた C2-7 前弯度は加齢とともに増大 可動域 ( 前後屈 ) は加齢とともに減少 可動域の制限は前屈よりも後屈にて著明 9 Yukawa, Kato, 2012 Euro Spine J

MRI : 計測項目 硬膜管前後径 脊髄前後径 硬膜管 脊髄横断面積 各椎間板 椎体中央レベル (C2-C7) 各種異常所見 10

硬膜管前後径 mm 15 C5 椎体レベル 15 C5/6 椎間板レベル 10 10 5 5 0 20 30 40 50 60 70 Male Female =11.2±1.4 =11.1±1.4 0 20 30 40 50 60 70 Male Female =9.5±1.8 =9.6±1.6 decade 11

mm 8 C5 椎体レベル 8 脊髄前後径 C5/6 椎間板レベル 6 6 4 4 2 2 0 20 30 40 50 60 70 0 20 30 40 50 60 70 decade Male Female =6.5±0.7 =6.4±0.7 Male Female =5.9±1.0 =5.8±0.9 12

脊髄横断面積 mm 2 100 C5 椎体レベル 100 C5/6 椎間板レベル 75 75 50 50 25 25 0 20 30 40 50 60 70 0 20 30 40 50 60 70 世代 Male =78.1±9.4 Female =74.4±9.4 Male =70.6±11.7 Female =68.9±11.3 13

脊髄異常画像 ( 健常者 1211 名中 ) 脊髄圧迫像 64 例 (5.3%) ( 最大狭窄部硬膜管前後径 C5 脊髄前後径 ) 脊髄扁平像 38 例 (3.1%) ( 最大狭窄部硬膜管前後径 <C5 脊髄前後径 ) T2 高信号像 28 例 (2.3%) 14

頚椎 MRI 計測まとめ 硬膜および脊髄の前後径と横断面積は加齢とともに徐々に減少 特に椎間板レベルで 硬膜管前後径は C5/6 椎間板レベルで最小 脊髄圧迫は 64 例 (5.3%) に認め T2 高信号変化は 28 例 (2.3%) に存在 無症状患者にみられる高頻度の異常画像は 手術決定に際して 症状及び神経学的所見の重要性を再認識させる 15 Kato, Yukawa, 2012 Euro Spine J

圧迫性頚髄症の神経機能評価方法 段階評価 (grading) JOA スコア定量評価 (quantification) 手指 10 秒テスト : Ono K 約 20 回が標準的とされている 索路 ( 白質 ) 障害 特に下肢 体幹機能の定量化? 16

10 秒足踏みテスト Yukawa et al. Spine 2009 大腿が床と平行となるような足踏みをする ( 股 膝関節が直角となる ) 10 秒間の最大足踏み回数を計測 17

手指 10 秒テスト ( 少数側 ) 回数 r = 0.574, p < 0.0001 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 Age 18

10 秒足踏みテスト ( 健常者 1230 名 ) Steps r = 0.412, p < 0.0001 40 35 30 25 20 15 10 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 Age 19

手指 10 秒テストの年代別標準値と病的境界値 All 20 30 40 50 60 70 健常者 21.5 25.5 24.3 23.5 20.5 18.5 16.7 SD 5.5 4.7 5.1 5.3 3.9 4.2 3.4 平均 -1SD 16.0 21.8 19.2 18.2 16.6 14.3 13.3 平均 -2SD 10.5 16.1 14.1 12.9 12.7 10.1 9.9 患者 15.5 19.6 16.1 14.9 13.1 SD 6.2 5.5 5.7 5.6 5.5 20 Yukawa et al. Spine 2009 Yukawa et al. J. Orthop Sci 2013

10 秒足踏みテストの年代別標準値と病的境界値 All 20 30 40 50 60 70 健常者 19.7 21.3 21.1 20.4 19.4 18.3 17.2 SD 3.4 3.1 4.0 3.0 2.9 2.5 2.7 平均 -1SD 16.3 18.2 17.1 17.4 16.5 15.8 14.5 平均 -2SD 12.9 15.1 13.1 14.4 13.6 13.3 11.8 患者 10.7 14.0 12.7 11.6 6.9 SD 5.5 3.1 4.8 3.6 6.0 21 Yukawa et al. Spine 2009 Yukawa et al. J. Orthop Sci 2013

手指 10 秒テストと 10 秒足踏みテスト 手指 10 秒テスト 10 秒足踏みテストは容易にどこでも繰り返し実施可能な圧迫性頚髄症の上肢および体幹 下肢の定量的評価法である 手指 10 秒テスト 10 秒足踏みテストの健常者平均値 (±SD) はそれぞれ21.5±5.5 19.6±3.4 回 性別による差と加齢による回数減少を考慮して 評価する必要があり 今後スクリーニングテストとなりうる 22 Yukawa et al. Spine 2009 & J Orthop Sci 2013

第 1 期 : 頚椎ドック 第 2 期 : 腰椎ドック 第 3 期 : 介護職者の腰痛検査 23

対象 631 名の健康ボランティア 世代 男性 女性 計 20-29 50 53 103 30-39 52 50 102 40-49 51 58 109 50-59 53 53 106 60-69 50 61 111 70-79 50 50 100 total 306 325 631 24

腰椎 X 線 全脊椎 X 線 : 測定項目 1 腰椎 X 線 ( 臥位 ) 測定項目 T12-S1 前弯角 ( 中間 前後屈位 ) T10-L2 前弯角 ( 中間 前後屈位 ) T10-S1 上縁 : 各椎体椎体前後径 ( 上縁 中間 下縁 ) 各椎体縦径 ( 前縁 中間 後縁 ) 各椎間板縦径 ( 前縁 中間 後縁 ) L4 5の骨盤に対する傾斜角 ( 正面像 ) 各椎間の前弯角 ( 前屈 中間 後屈 ) 2 全脊椎 X 線 ( 立位 ) 測定項目 C3-7 前弯角 T1-T12 後弯角 L1-5 前弯角 T12-S1 前弯角 T10-L2 前弯角各椎間の前弯角 PI(pelvic incidence) Pelvic tilt Pelvic angle Sacral slope Sagittal balance 25

計測項目 26

MRI 計測項目 矢状断 T10-S2 脊柱管前後径 ( 椎体上縁 中央 下縁 ) 脊柱管前後径 ( 椎間板中央 ) 椎体前後径椎間板変性度脊髄終末の高位 redundunt nerves の有無 横断面 T10 以下脊柱管前後径 横径脊柱管面積 ( 椎間板中央 椎体中央 ) 脊髄面積 ( 椎間板中央 椎体中央 ) 各椎体前後径 横径 面積 27

第 2 期研究 : 腰椎ドック データ解析を進める データをまとめて国内 国外主要学会にて発表を行う 学会での質疑応答を考慮しながら 英語論文化を進める 28

第 1 期 : 頚椎ドック 第 2 期 : 腰椎ドック 第 3 期 : 介護職者の腰痛研究 29

介護職 30

介護職 31

介護職 腰痛研究の背景 人口高齢化とともに 介護を要する高齢者は増え それに伴い施設で介護に従事する職員数も増加 介護労働は肉体的に負担の多い職種であり 腰痛を罹患し易い いったん罹患した腰痛はその後も負担が続けば 痛みの程度が強くなり慢性化する可能性が増加し 医療上 個人の生活上大きな問題となる 腰痛にて休職や離職をきたせば 社会経済的な損失も少なくない 32

社会福祉施設職員における腰痛の頻度 特徴 画像診断の研究と予防対策 1 社会福祉施設職員における腰痛の頻度 特徴に関する調査研究 2 社会福祉施設職員の腰椎レントゲン MRIに関する研究 開発と健常者データとの比較 研究 3 社会福祉施設職員における腰痛の予防対策の確立 33

方法 : 1 アンケート調査 理学所見 運動機能検査 2 レントゲン撮影 MRI 撮影 3 腰痛有群の治療歴 就業状況 対処法等の検討 アンケート調査 : 日本整形外科学会腰痛疾患設問票 (JOABPEQ) 及びストレス等心理的要素含む 理学所見 : 医師による問診 運動機能検査 : 理学療法士による柔軟性や簡易な運動機能検査 データ解析 画像データ集積 腰椎ドック レントゲン撮影 腰椎単純 X 線 全脊椎単純 X 線 腰椎 MRI 20 歳代 30 歳代 40 歳代の男女各 50 名 : 全 300 例 データ解析 健常者データとの比較 腰痛有群の調査 治療歴 就業状況 対処法等 ( 治療の有無 コルセット等外固定使用の有無 発症要因となった勤務中の各種動作 姿勢等就業状況 勤務継続のための対応策等腰痛対処状況等 ) データ解析 34 結果の取りまとめ 包括的検討

アンケート調査 Ⅴ. こころの健康について過去 30 日の間にどれくらいの頻度で次のことがありましたか 全くない少しだけときどきたいていいつも 1. 神経過敏に感じましたか 0 1 2 3 4 2. 絶望的だと感じましたか 0 1 2 3 4 3. そわそわ, 落ち着かなく感じましたか 4. 気分が沈みこんで, 何が起こっても気が晴れないように感じましたか 5. 何をするのも骨折りだと感じましたか 6. 自分は価値のない人間だと感じましたか 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 35

期待される効果 : 介護職の腰痛の有病率 頻度 程度などの実態把握 画像検査 上記データと健常者との比較により 介護職の腰痛予防対策 治療法の開発 介護職の休職 離職率低下 腰痛の労災申請減少につなげる 36