がん患者白書2015 <がんと婚姻・出産>

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1. 背景 Cancer Survivors Recruiting Project( 以下 CSR プロジェクト ) の前身である東京大学医療政策人材養成講座 4 期桜井班は 2008 年 ( 平成 20 年 ) がん経験者に対する がん患者の就労 雇用支援に関する調査 を行った 同調査には 403

3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

平成29年度沖縄県がん登録事業報告 背表紙印字

日本医師会男女共同参画についての男性医師の意識調査 クロス集計

A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

表紙

平成27年国勢調査世帯構造等基本集計結果の概要

補遺 4 医療機関と患者会 患者支援団体での調査結果の比較 問 1 がんと診断されたのはいつですか ( 年代別 ) 診断年齢 医療機関患者会実数 (%) 実数 (%) 1.20 代 81 (1.1%) 29 (4.8%) 2.30 代 334 (4.6%) 101 (16.8%) 3.40 代 98

<4D F736F F D DE97C78CA78F418BC B28DB895F18D908F DC58F49817A2E646F63>

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 日常生活に関する事項

第 16 表被調査者数 性 年齢階級 学歴 就業状況別 124 第 17 表独身者数 性 年齢階級 就業状況 家庭観別 142 第 18 表有配偶者数 性 年齢階級 就業状況 家庭観別 148 第 19 表仕事あり者数 性 年齢階級 配偶者の有無 親との同居の有無 職業別 154 第 20 表仕事あ

税・社会保障等を通じた受益と負担について

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事例検証 事例 1 37 歳の会社員の夫が死亡し 専業主婦の妻と子ども (2 歳 ) が遺される場合ガイドブック P10 計算例 1 P3 事例 2 42 歳の会社員の夫が死亡し 専業主婦の妻と子ども (7 歳 4 歳 ) が遺される場合 P4 事例 3 事例 3A 事例 3B 53 歳の会社員の夫

人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

本資料は 様々な世帯類型ごとに公的サービスによる受益と一定の負担の関係について その傾向を概括的に見るために 試行的に簡易に計算した結果である 例えば 下記の通り 負担 に含まれていない税等もある こうしたことから ここでの計算結果から得られる ネット受益 ( 受益 - 負担 ) の数値については

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

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離職経験は圧倒的に女性に多く 男性 5% に対して女性の 14% が離職経験ありと回答している 離職の理由 ( 複数回答 ) の第一位は男女ともに キャリアアップ ( 約 50%) であるが 2 番目に多い項目で男女で差があり 男性は 職務の内容 ( 研究テーマを含む ) (40%) であるのに対し

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結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え

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2. 調査結果 1. 回答者属性について ( 全体 )(n=690) (1) 回答者の性別 (n=690) 回答数 713 のうち 調査に協力すると回答した回答者数は 690 名 これを性別にみると となった 回答者の性別比率 (2) 回答者の年齢層 (n=6

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困窮度別に見た はじめて親となった年齢 ( 問 33) 図 94. 困窮度別に見た はじめて親となった年齢 中央値以上群と比べて 困窮度 Ⅰ 群 困窮度 Ⅱ 群 困窮度 Ⅲ 群では 10 代 20~23 歳で親となった割 合が増える傾向にあった 困窮度 Ⅰ 群で 10 代で親となった割合は 0% 2

第 11 章 保健衛生 600 人 図 11-1 乳幼児健康診査実施状況 幼児一般検診 1 歳 6ヶ月検診 3 歳児検診 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度 14

初めて親となった年齢別に見た 母親の最終学歴 ( 問 33 問 8- 母 ) 図 95. 初めて親となった年齢別に見た 母親の最終学歴 ( 母親 ) 初めて親となった年齢 を基準に 10 代で初めて親となった 10 代群 平均出産年齢以下の年齢で初めて親となった平均以下群 (20~30 歳 ) 平均

(2) 月額の手取り収入と扶養控除について 図 2: 月額の手取り収入について ( 既婚女性 n=968 未婚女性 n=156) 図 3:( 上 ) 扶養控除や健康保険免除について ( 月収 10 万円未満 n=802 月収 10 万円以上 n=166) ( 下 ) 働く際に扶養控除などを気にしてい

Ⅰ 改正について 児童扶養手当法の改正 Q&A ( 公的年金等と合わせて受給する場合 ) Q1 今回の改正の内容を教えてください A: 今回の改正により 公的年金等 * を受給していても その額が児童扶養手当の額 より低い場合には 差額分の手当が受給できるようになります 児童扶養手当 は 離婚などに

資料 7 1 人口動態と子どもの世帯 流山市人口統計資料 (1) 総人口と年少人口の推移流山市の人口は 平成 24 年 4 月 1 日現在 166,924 人で平成 19 年から増加傾向で推移しています 人口増加に伴い 年尐人口 (15 歳未満 ) 及び年尐人口割合も上昇傾向となっています ( 人

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

若年者の就業状況 キャリア 職業能力開発の現状 - 平成 19 年版 就業構造基本調査 特別集計より - 独立行政法人労働政策研究 研修機構 The Japan Institute for Labour Policy and Training

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

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< 調査結果トピックス > インフルエンザに罹 ( かか ) った経験がある人は 49.1% 今シーズンの予防接種は すでに受けた という人が 9.2% これから受ける予定 という人が 25.1% で これらを合わせるとおよそ 3 人に 1 人が予防接種を受けることになると見られる 今のところ受ける


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院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

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< 解説 > 年がん診療連携拠点病院等院内がん登録 3 年生存率初集 概要多くのがんでは 5 年後の生存状況が一つの治癒の目安としてこれまで用いられてきたため これまで国立がん研究センターでは診断から 5 年後の生存率を報告してきました 平成 30 年 3 月に閣議決定された第 3 が

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2. 男女別の無償労働の貨幣評価額無償労働の貨幣評価額を男女別にみると ( 図表 2-2) 2006 年時点の女性の構成比は OC 法では 80.5% RC-S 法では 83.7% RC-G 法では 84.7% となっている また 時系列では 女性の構成比が次第に低下してきていることが分かるが これ

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家族の介護負担感や死別後の抑うつ症状 介護について全般的に負担感が大きかった 割合が4 割 患者の死亡後に抑うつ等の高い精神的な負担を抱えるものの割合が2 割弱と 家族の介護負担やその後の精神的な負担が高いことなどが示されました 予備調査の結果から 人生の最終段階における患者や家族の苦痛の緩和が難し

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第 1 章アンケートの概要 1-1 調査の目的 1-2 対象者 1-3 調査方法 1-4 実施期間 1-5 調査結果サンプル数 第 2 章アンケート調査結果 2-1 回答者自身について (1) 問 2: 年齢 (2) 問 5: 同居している家族 2-2 結婚について (1) 問

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標本数及び有効回収数 : 標本数 2,624 人 有効回収数 1,480 人 ( 有効回収率 56.4%) 調査対象者の基本属性 : 男性 33.0% 女性 67.0% 65~74 歳 49.7% 75 歳以上 50.3% 未婚 15.5% 離別 20.7% 死別 61.7% 有配偶 2.1% 子ど

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3. 民泊の利用経験 SQ1: あなたは 民泊 を利用したことがありますか ( いくつでも ) 回答者属性 不在民不在民利用し不在民不在民利用し H 民泊 - H 民泊 - H 民泊 - H 民泊 - 泊 - 国泊 - 海たこと泊 - 国泊 - 海たこと国内海外国内海外内外はない内外はない 100.

初めて親となった年齢別に見た 就労状況 ( 問 33 問 8) 図 97. 初めて親となった年齢別に見た 就労状況 10 代で出産する人では 正規群 の割合が低く 非正規群 無業 の割合が高く それぞれ 22.7% 5.7% であった 初めて親となった年齢別に見た 体や気持ちで気になること ( 問

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第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

質問 1 母の日 にプレゼントを贈りますか?( 回答者数 :6,916 名 ) 質問 2[ 贈る方への質問 ] プレゼントを贈る理由は何ですか?( 回答者数 :5,134 名 ) 贈る と回答した方は全体の 74.8% で 4 人に 3 人は 贈る と回答した 贈る理由として 日頃の感謝を伝えたいか

日本の方が多い 表 2 は日本の癌罹患数の多い順の第 7 位までの部位とそれに対応する米国の数値と日 米比を示す 赤字と青字の意味は表 1 と同じである 表 2: 部位別の癌罹患数 : 日 米比較日 / 米 0.43 部位 罹患数 ( 日 ) (2002)( 人 ) 罹患数 ( 米 ) 罹患数比日本

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

25~44歳の出産・子育ての意識と実態

1 調査目的 今年度策定する 津山市総合戦略 で 子どもを産み 育てやすい環境づくりに 向けた取組みを進めるにあたり 出産 子育ての現状を把握するために実施した 2 調査内容の背景と設問設定理由国では 出生率を 2.07 まで高めることで 2060 年に現状の社会構造を維持できる人口 1 億人程度を

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次に 母親の年齢別 出生順位別の出生数をみていきましょう 図 2-1は母親の年齢別に第 1 子出生数をみるグラフです 第 1 子の出生数は20 年間で1,951 人 (34.6%) 減少しています 特に平成 18 年から平成 28 年にかけて減少率が大きく 年齢別に見ると 20~24 歳で44.8%

Ⅲ 結果の概要 1. シングル マザー は 108 万人我が国の 2010 年における シングル マザー の総数は 108 万 2 千人となっており 100 万人を大きく超えている これを世帯の区分別にみると 母子世帯 の母が 75 万 6 千人 ( 率にして 69.9%) 及び 他の世帯員がいる世

目 次 統計の説明 部位( 中分類 ) 別男女別腫瘍数 1 部位別腫瘍数 < 総数グラフ> 2 部位別腫瘍数 < 男性グラフ> 3 部位別腫瘍数 < 女性グラフ> 4 部位( 中分類 ) 別年齢階層別腫瘍数 5 部位( 中分類 ) 別来院経路別腫瘍数 6 来院経路別腫瘍数 <グラフ> 7 部位( 中

01 公的年金の受給状況

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プレスリリース がん患者白書 2015 < がんと結婚 出産 > 2015 年 4 月 23 日 NPO 法人 HOPEプロジェクト一般社団法人 CSRプロジェクト 桜井なおみ sakurai@cansol.jp 調査概要 1. 背景と目的がんと婚姻については これまで Marriage after cancer in older adulthood J Cancer Surviv(2009)3:66-71 の調査があり 乳がん 卵巣がん 子宮頸がんなど いわゆる を象徴する部位のがん の婚姻率の低さが指摘されている 治療による影響やボディイメージの変化 セルフエスティームの欠落などが背景にあるとしている 血縁を重視する日本においては がん罹患そのものや 治療による生殖機能 ( 妊孕性 ) の喪失が 婚姻に対しても影響を与える可能性があることから 既往の調査結果をもとに解析を行った 2. 調査方法 2010 年 6 月 1 日 ~7 月 16 日に行った がん患者の就労と家計に関する実態調査 をもとに 1 婚姻の有無 2 子どもの有無 3 母子家庭 父子家庭の率 について解析を行った なお 解析を行った元調査は 1 全国約 150 のがん患者団体に対する郵送依頼と書面による回収 2 ウェブアンケートページにより回答を得たものである 有効回答者数は 855 名 ( うち 190 名がウェブ回答 ) であった 3. 調査結果 1) がんと婚姻 特有のがん経験者 ( 乳がん 子宮頸がん 体がん 卵巣がん ) は 同世代と比べて 2~3 倍ほど未婚率が高い状況にある 生涯未婚率の目安となる 50 歳代を性別比較すると ( 全部位平均 ) は一般平均より未婚率が低いが の未婚率は一般の約 2 倍 約 2 割は生涯未婚と想定される 比較数値は 男女共同参画白書平成 25 年版 ( 内閣府男女共同参画局 ) にある年齢階級別未婚率を参考にした 生涯未婚率は 45~49 歳 と 50~54 歳 未婚率の平均値から 50 歳時 の未婚率を算出したもので 生涯独身を示す統計指標として使われる 本調査では 10 歳単位で回答を得ていることから あくまでも参考値として位置付けている 2) がんと出産 特有のがん経験者 ( 乳がん 子宮頸がん 体がん 卵巣がん ) の有配偶者の無子率 ( 配偶者がいるが子どもがいない ) は 同世代平均値と比べて著しく高い現状である 回答者の属性 全体 現在の年齢 / 平均 ( 歳 ) 罹患時の年齢 / 平均 ( 歳 ) 全体 846 55.18 49.67 20.4 79.6 大腸 直腸 55 57.09 51.66 42.9 57.1 胃 37 62.84 55.31 51.4 48.6 肺 58 62.76 57.93 62.1 37.9 乳房 509 53.66 48.23 - 子宮 60 50.18 43.75 - 疾患卵巣 卵管 17 53.53 46.41 - 部 前立腺 16 69.69 65.50 - 位咽頭 喉頭 25 64.08 53.28 76.0 24.0 別食道 8 57.00 52.25 62.5 37.5 肝臓 17 65.53 61.41 47.1 52.9 白血病 9 43.56 31.89 55.6 44.4 リンパ腫 24 55.92 49.54 54.2 45.8 その他 74 57.54 50.56 55.3 44.7 1

がん経験者の平均 全部位 でみると 40歳代有配偶者がん経験者 の半数は子どもおらず 一般的な有配偶者の無子率と比較する と約6倍の高さになる 比較数値は 男女共同参画白書 平成25年版 内閣府男女共同参画局 にある年齢階級別未婚率を参考に世代毎の平均値を算出した 3 一人親家庭 シングルマザー シングルファーザー いわゆる1人親家庭のがん経験者は4.8%となっており 一般と比べて約3倍の高い数値になっている 内訳は 母子家庭が92.7 父子家庭が7.3%となっており 一般の数値 母84.7 父15.2 と比べて母子家庭の比率が10%高い 5 まとめ のがん経験者の生涯未婚率は一般と比べて1.7倍ほど高く 罹患後も社会的不利益を被っている可能性がある この要因として 治療に伴 う生殖機能の喪失や容姿の変化などの身体的な要因のほか 血縁を重視する日本の家族観 病を忌み嫌う意識 がんと遺伝への懸念などの社 会的要因が影響していると推測でき 男女の性的役割に対する国民意識の差が表出していると考えられる 本調結果にみる未婚率の高さから 生殖機能の有無は 罹患後の人生設計においても大きな影響を与えるものと考えられる 今後は 妊孕性 に関する説明 支援や 治療期間の短縮化や生殖機能の保護に関わる臨床研究の推進 小児がんを含めたサバイバーシップ ケアの展開など が重要であり 納得できる人生を歩めるよう診断前後の 生 に対する支援が必要である 1人親家庭のがん経験者の比率は一般の約3倍の高さになっている 経済的 時間的な貧困に がん治療という経済負荷が重なっていることか ら 貧困はさらに深刻化しているものと想像でき 早急な対策が必要である また 1人親家庭がん経験者の比率が高い背景として がん罹 患 を要因とした離別があることも推測できる 2013年に行った がん患者白書2013 では おひとり様がん経験者 の 雇用不安 低所得 介護不安 が明らかになっていることから 未婚がん経験者に対しては こころ 身体 社会的支援策が必要である 調査結果について 自身も子宮頸がん経験者の NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会 理事長の松本陽子氏は セクシャリティに関わ るだけに相談しづらく 特に地方では一層深刻な問題 繊細な配慮のもと 支援が受けられる体制を期待する とコメントしている 今後の課題 今回の調査は855名の既往調査の再解析であり 部位別にすると数値が一桁になってしまうものもあった 今後は さらに数値をあげて 原因解明や 部位別の状況を把握することが望まれる 特に一般とのかい離傾向がみられた部位としては 特有のがんのほか 白血病 N=9のうち6人が未婚 有配偶者の無子率75 ) 悪性リンパ腫 有配偶者の無子率 N=11, 45.5%) 大腸が ん 有配偶者の無子率 N=32 40.6%)である NPO法人HOPEプロジェクト 2007年に設立 サバイバーシップの啓発を目標に がん社会学を基礎にした様々な発信を行っている 1 がんと結婚 特有のがん経験者 乳がん 子宮頸がん 体がん 卵巣がん は 同世代と比べて 2 3倍未婚 率が高い状況にある 注 *の数字は 一般の人を1.0としたときの比較数値 生涯未婚率の目安となる50歳代がん経験者 全部位 を性別比較すると は一般平均より未婚率が低い が の未婚率は一般の約2倍となる 約2割は生涯未婚と想定される の罹患部位 年齢階級別配偶状況 9 8 7 3.2倍 男女別配偶状況 全部位平均 10 全体 87.5 8 子宮 64.8 卵巣 卵管 6 2.8倍 39.3 4 3.0倍 7 1.4倍 6 58.3% 67.1% 5 42.3 一般41.5 36.7 30代平均27.5 2 2.3倍 *0.7 3 一般の数値は参考値 特に50代は生涯 未婚率の数値を参照 乳房 2.5倍 67.1 9 一般28.8 0.7倍 3 23.1 17.8 16.8 一般20.1 15.4% 2 50代平均7.1 1 *1.3 3.3倍 2.5倍 40代平均14.1 4 *0.6 1.7倍 17.8% 一般10.6 1 N=64 N=54 N=8 N=2 30代未婚率 N=169 N=139 N=26 N=4 40代未婚率 N=172 N=155 N=13 N=4 50代未婚率 N=12 N=79 30代未婚率 N=37 N=185 50代未婚率 2

2 がんと出産 特有のがん経験者 乳がん 子宮頸がん 体がん 卵巣がん の有配偶者の無子率 配偶者がいるが子 どもがいない は 同世代平均値と比べて著しく高い現状である がん経験者の平均 全部位 でみると 40歳代の有配偶者がん経験者 の半数は子どもおらず 一般 的な有配偶者の無子率と比較すると約6倍の数値になる 注 *の数字は 一般の人を1.0としたときの比較数値 罹患部位別 有配偶者の無子率 9 4.5倍 8 77.8 世代別がん経験者 有配偶者の無子率 全部位 100 単位 5.7倍 6 46.8 5.6倍 46.2 70 6.1倍 5.9倍 60 51.7 48.3 50 40 4 30 3 30代平均17.3 20 40代平均8.2 1 単位 82.3 80 7 2 4.8倍 90 N=54 N=8 N=2 乳房 N=139 N=26 子宮 30代有配偶者 30代平均 17.3 17.7 40代平均 8.2 10 0 N=4 N=169 N=64 子ども有 卵巣 卵管 40代有配偶者 子ども無 子ども有 子ども無 40代有配偶者 30代有配偶者 3 1人親家庭 母子家庭 父子家庭 いわゆる1人親家庭のがん経験者は4.8%となっており 一般と比べて約3倍の高い数値になっている 内訳は 母子家庭が92.7 父子家庭が7.3%となっており 一般の数値 母子家庭84.7 父子家庭 15.2 と比べて母子家庭の比率が10%ほど高くなっている 部位別にみた1人親 家庭の比率 14.0% 13.0% 12.5% 12.0% 全国平均 世帯数100世帯 あたり1.63世帯 2010年 国勢調査 11.0% 最も多いのは沖縄県で3.06 世帯 最も少ないのは東京 都で100世帯あたり1.03世 帯 8.0% 1人親家庭になる8割は離婚 が原因 11.1% 1 9.0% 7.0% 6.0% 5.0% 4.0% 6.2% 2.94倍 5.4% 4.8% 6.6% 5.9% 5.2% 4.0% 3.6% 3.0% 一般平均1.63% 2.0% 1.0% 3

がん患者白書 2013 粒子家族時代のがんと暮らし生活ニーズ調査 2013 年 7 月 10 日 NPO 法人 HOPE プロジェクト 調査概要 目的 : 核家族時代から更に個別化が進んだ 粒子家族時代 における がん経験者の生活ニーズを把握する 調査対象 : がん経験者 合計 300 名 1 おひとり様 ( 独り暮らし ) :75 名 2 プチおひとり様 ( 親 兄妹同居 ) :75 名 3 おふたり様 ( 夫婦のみ 親とは別居 ) :75 名 4 家族 ( 親とは別居 ) :75 名 調査割付 (1~4 各タイプ毎に ) 男女比 = 約 5:5 各 75 名 4 タイプ ( 合計 300 人 ) 調査実施期間 :2013 年 6 月 22 日 ( 土 )~6 月 26 日 ( 水 )5 日間 調査方法 : マーシュを介したモニターへのスクリーニング WEB アンケート 調査主体 :NPO 法人 HOPE プロジェクト NPO 法人 HOPE プロジェクト 8 4

Q14 がんと診断される前の主たるお仕事について おひとり様 プチおひとり様 おふたり様 家族 おひとり様の約9割は就労しており 派遣社員の割合が他のタイプと比べて高い 配偶者がいる場合 約2割は専業主婦 NPO法人HOPEプロジェクト 9 Q19 がんと診断される前の世帯年収について おひとり様 おふたり様 プチおひとり様 家族 おひとり様の約4割が年収300万円未満 いわゆる低所得者層に相当 おふたり様と家族タイプは年収500 800万円が多く 配偶者の有無による差は大きい 親と同居しているケースでは 生活費を親の年金に依存しているケースもある NPO法人HOPEプロジェクト 世帯平均年収は約550万円 子供が いる場合は約700万円 平成23年度版 の 国民生活基礎調査の概況 10 5