Microsoft PowerPoint - 08economics4_2.ppt

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 08economics3_2.ppt

Microsoft PowerPoint - 09macro3.ppt

Microsoft PowerPoint - 15kiso-macro03.pptx

Microsoft PowerPoint - 08macro6.ppt

経済学 第1回 2010年4月7日

Microsoft PowerPoint - 14kinyu4_1.pptx

第2章

Microsoft PowerPoint - 15kiso-macro10.pptx

<4D F736F F D E937897FB8F4B96E291E882CC914F94BC959495AA82CC89F0939A>

シラバス-マクロ経済学-

経済学 第1回 2010年4月7日

PowerPoint Presentation

Microsoft Word 国家2種経済.doc

Microsoft PowerPoint - 13economics5_2.pptx

Microsoft Word - principles-econ045SA.doc

Microsoft PowerPoint - 15kiso-macro09.pptx

産業組織論(企業経済論)

第1章 財務諸表

Ⅲ 特殊的要素モデル(Specific Factor Model)

ミクロ経済学Ⅰ

経済変動論 0

Microsoft Word - intl_finance_09_lecturenote

<4D F736F F D20837D834E838D97FB8F4B96E291E889F090E091E682528FCD81698FAC97D1816A>


Microsoft PowerPoint - 15InMacro4.pptx

ミクロ マクロ経済学演習 冬休みの宿題 担当 : 河田 学籍番号 氏名 2014 年 1 月 6 日 ( 月 )17 時までに 河田研究室 (514) まで提出すること 途中の式や思考過程はそのままにしておくこと

Microsoft PowerPoint - 第8章.ppt [互換モード]

産業組織論(企業経済論)

社会保険料の賃金への影響について

限界効用は以下のようにして求められます. du d U この式は U という式を で微分する という意味です. 微分ていったい何なのさ で確認しておきましょう. 微分は接線の傾きを求めることでした. 限界効用も, 接線の傾きとして求められます. こちらの方がよく使われますので, マスターしておきまし

【No

産業組織論(企業経済論)

<4D F736F F D208A4A95FA8C6F8DCF925A8AFA B816997FB8F4B96E291E8816A>

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

Microsoft Word - principles-econ046SA2.doc

経済情報処理のための Mathematica 課題 改訂新里 課題 1 微分次の関数を微分せよ 1 f(x)=x 3-2x+x/(x+1) 2 f(x)=(x+1)(x 2 +1)-1/(x 3 +1) 3 f(x)=(2x+3)(x 3-2)+(2x+3)/(x 2 +1) 課題

短期均衡(2) IS-LMモデル

<4D F736F F D208CF68BA48C6F8DCF8A C31312C CC295CA8FC194EF90C582C697988E718F8A93BE90C52E646F63>

Microsoft PowerPoint - 13模擬講義.pptx

2004年度経済政策(第1回)

PowerPoint プレゼンテーション

Ⅱ 外国為替市場と為替レート

ミクロ マクロ経済学演習 冬休みの宿題 担当 : 河田 学籍番号 氏名 模範解答 2014 年 1 月 6 日 ( 月 )17 時までに 河田研究室 (514) まで提出すること 途中の式や思考過程はそのままにしておくこと

Microsoft PowerPoint - urban08_04.ppt

Microsoft Word - microeconomics_2017_social_welfare11

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

PowerPoint プレゼンテーション

資本分配率と労働分配率は, 生産物についての資本 ( 企業 ) と労働 ( 家計 ) の分け前の 割合を表しています. 資本分配率は資本 K の右肩の数字 ( 指数 ) です.α がいつでも資本 分配率というわけではありません. 生産関数が L 率になります. K という形であれば,β が資本分配

Microsoft PowerPoint - 08.ppt [互換モード]

(8 p) s( p) = = ( 8) p = ( p 8) したがって, 固定費用が全く存在しない場合, 完全に固定費用の支払いを回避できる場合には, どちらの場合にも供給

経済学b 第1回

ミクロ経済学・基本講義 第2回

IFRS基礎講座 IAS第11号/18号 収益

スライド 1

Microsoft Word - ミクロ経済学02-01費用関数.doc

では もし企業が消費者によって異なった価格を提示できるとすれば どのような価格設定を行えば利潤が最大になるでしょうか その答えは 企業が消費者一人一人の留保価格に等しい価格を提示する です 留保価格とは消費者がその財に支払っても良いと考える最も高い価格で それはまさに需要曲線で表されています 再び図

Microsoft PowerPoint - 08macro2_1.ppt

経済成長論

1 概 況

(3) 可処分所得の計算 可処分所得とは 家計で自由に使える手取収入のことである 給与所得者 の可処分所得は 次の計算式から求められる 給与所得者の可処分所得は 年収 ( 勤務先の給料 賞与 ) から 社会保険料と所得税 住民税を差し引いた額である なお 生命保険や火災保険などの民間保険の保険料およ

<4D F736F F D208CF68BA48C6F8DCF8A C30342C CFA90B68C6F8DCF8A7782CC8AEE967B92E8979D32288F4390B394C529332E646F63>

Microsoft PowerPoint - 09macro2_1.pptx

ミクロ経済学入門

我が国中小企業の課題と対応策

Microsoft PowerPoint - 05zaimukanri11.ppt

産業組織論(企業経済論)

図 3 世界の GDP 成長率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas Piketty ホームページ 図 4 世界の資本所得比率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas P

税法I(第01回)

日本基準基礎講座 資本会計

<4D F736F F D A30318F8A93BE8A698DB782C689C692EB82CC C838B834D815B8EF997762E646F63>

2008 年度マクロ経済学の基礎 期末テスト 問題 1 (7 点 10) (1) 次の記述のうち誤っているものを選べ 1モディリアーニは 人々は人生の段階に応じて消費行動を変えると考えた 2ケインズは 長期時系列を分析し 消費性向は一定だと主張した 3どんな賃金でもよいから働きたいと思っているのに働

Microsoft PowerPoint - 09macro2_1.pptx

消費者余剰の損失分は 780 ドルとなる 練習問題 13.2 の解答公式を導出する際に重要なことは, 課税のよる価格の変化, 取引量の変化, 逆供給曲線と逆需要曲線の傾きを正しく図で描写することである これが正しくできればその他の公式は簡単である 残りの 2 つの公式を導出するために, 図 13.1

(c) 規模に関して収穫一定の生産技術をもっているから, 総費用は直線で表され, また平均費用も限界費用も同様に直線で表されかつフラットな形状になる. 問 (b) の解答より, 1 脚当たりの総費用は $65( $390 / 6 ) であるから, 各費用関数は図 9.12 のように描くことができる.

Microsoft Word - 11 進化ゲーム

<4D F736F F D20837D834E838D8C6F8DCF8A77838C D A>

シラバス-マクロ経済学-

PowerPoint プレゼンテーション

経済学でわかる金融・証券市場の話③

独占と不完全競争

PowerPoint Presentation

DVIOUT-intlfinance_sfc_2013_lecturenote

経済学 第1回 2010年4月7日

DVIOUT-r0

つまり貨幣賃金上昇率 = 物価上昇率 ケース2 店員の賃金が 10% アップ (= 貨幣賃金上昇率 10%) がんばって働きハンバーガーの販売個数を 10% 伸ばした (= 労 働生産性上昇率 10%) 賃金上昇分を販売個数の増加で補い ハンバーガーの価格に上乗せする必要がない (= 物価上昇率 0

生産者行動の理論(1)

シラバス-マクロ経済学-

Ⅶ ポートフォリオ・バランス・モデル

ヘクシャー=オリーン・モデル

なお 民間企業においても 地域の購買力調査の資料として また 事業所の立地計画 など経営施策の資料としても有効に活用されています (3) 市町村民所得推計上の問題点市町村民所得は 市町村ごとの経済活動を明らかにすることを目的としています 所得統計は 数多くの一次統計資料を利用し 所得概念に従ってその

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

第1章 経済動態

課税の長期的な効果

Taro-入門ⅠA-2019.jtd

第2章 食品卸売業の経営指標

い最適消費点 ) を E 1 と記入しなさい 接点の位置は任意でよい (7)E 0 と E 1 を結んだ曲線の名前は, ( 価格消費 ) 曲線という 問 3.( 1) 下表のカッコ内に 増加 か 減少 の言葉を入れなさい (2) ギッフェン財は上の表では ( 3 ) 番のケースにあたる - 2 -

Dependent Variable: LOG(GDP00/(E*HOUR)) Date: 02/27/06 Time: 16:39 Sample (adjusted): 1994Q1 2005Q3 Included observations: 47 after adjustments C -1.5

平成30年公認会計士試験

Transcription:

経済学第 4 章資源配分と所得分配の決定 (2) 4.2 所得分配の決定 中村学園大学吉川卓也 1 所得を決定する要因 資源配分が変化する過程で 賃金などの生産要素価格が変化する 生産要素価格は ( 賃金を想定すればわかるように ) 人々の所得と密接な関係がある 人々の所得がどのように決まるかを考えるために 会社で働いている人を例にとる 2 (1) 賃金 会社で働いている人は 給与を得ている これは 労働サービスを提供して その対価として 給与 ( 賃金 ) を得ていることを意味する (2) 地代 この人が土地を保有していて 土地の一部を人に貸しているとする 土地を貸すことから得られる収入を地代という (3) 資本 この人が預金と株式を保有しているとする 預金や株式の購入代金は 資金として企業に供給される 企業は この資金で原材料や ( 機械 ) 設備などの耐久生産物を購入する 原材料や ( 機械 ) 設備などの耐久生産物は 資本と呼ばれ 生産要素の一種である したがって 預金したり株式を購入することを通じて この人は資本という生産要素を供給している 3 4 (4) 供給する生産要素の対価 = 生産要素所得 (1)(2)(3) より 会社で働いている人は 労働 土地 資本などの生産要素を供給して 賃金 地代 利子 配当などの所得を得ていることになる これらの所得の合計がこの人の総所得となる 生産要素所得とは 市場経済において 人々が自分が供給する生産要素の対価として得ている所得のことである 生産要素所得のほかにも 地価や株価の上昇により 保有している土地や株式から得られる値上がり益 ( キャピタル ゲイン ) という所得もある 5 (5) 総所得 賃金率 1 年年間の総所得 = 賃金所得 + 地代所得 + 利子 配当所得 =1 年間の労働サービスの供給量 賃金率 +1 年間の土地サービスの供給量 地代 +1 年間の資本サービスの供給量 利子率 (4.1) ここで 賃金率とは 労働時間当たり (1 時間当たり ) の賃金 また 利子率については 預金などの利子率と株式 1 単位当たりの配当である配当率を区別せずに 利子率としている 6 1

2 生産要素の供給 (1) 総所得は供給する生産要素の価格で決まる 人々の総所得を決める大きな要因は その人が供給するサービスの量と生産要素の価格である ((4.1) 式 ) (2) 生産要素の価格はどのようにして決まるのか 生産要素の価格は その生産要素に対する需要と供給が等しくなるように決まる 労働サービスを例にとって説明する 実際にはさまざまな種類の労働サービスがあるが 簡単のため すべての労働サービスは同じであると仮定する (3) 労働時間 労働市場の需給は 横軸に労働サービスの量 ( 労働時間で測ったもの ) 縦軸に名目賃金率( 労働サービス時間当たり名目賃金 ) をとった図で示される ( 図 4.8) (4) 名目賃金率 名目賃金率とは 貨幣で表した賃金率のこと 給与表に示された賃金率である 図 4.8では 消費者物価や個々の財の価格は一定と仮定している 7 8 (5) 消費者物価 家計の労働サービス供給曲線は 右上がりの曲線 S で表される ここでは 家計の労働サービスは 消費者物価を一定として 名目賃金率が上がれば増加すると仮定している 消費者物価とは 標準的な家計の生計費のこと 消費者物価が一定 生計費一定 名目賃金が上がれば家計消費は増加 このように 家計は労働サービスの供給によってより多くの消費財を買えるようになるなら 労働時間を増やすと仮定する この仮定により 家計の労働サービス供給曲線は右上がりとなる 9 3 生産要素の需要 企業の労働サービス需要曲線は 右下がりの曲線 Dで表される これは 企業の労働サービス需要は ( 企業が供給する財の価格を一定として ) 名目賃金率が下がれば増加することを意味する (1) 固定的生産要素 簡単のため 企業が投入量を変えられる生産要素は 労働サービスだけであるとする すなわち 労働サービス以外の生産要素の投入量は 財の生産量が変化しても変わらない このような 財の生産量が変化しても投入量が変化しない生産要素を固定的生産要素という 10 (2) 固定費用 これらの固定的生産要素に対して 企業が財の生産量にかかわらず一定額を支払わなければならない費用を固定費用という 個々の企業が供給する財の価格は一定であると仮定している この企業が供給している財の価格をP 0 その供給量をQ とする 名目賃金率をw 労働サービス投入量をLとする 労働者一人当たりの労働時間は固定されており 労働サービス投入量は 雇用する労働者数で調整されるとする 11 企業の利益 = P 0 Q-w L- 固定費用 (4.2) P 0 Q は売上高 w L は賃金費用 ( 可変費用 ) である (4.2) から P 0 Q L を一定として w が低下すれば 企業の利益は増加する そこで 名目賃金率が低下すれば 企業は雇用者数 ( 労働サービス投入量 )L を増やし 財の供給量 Q を増やし 得られる利益を増やそうとする 以上から 企業が供給 販売する財の価格を一定とすると 名目賃金率が低下すると 企業の労働サービス需要は増加することになる したがって 企業の労働サービス需要曲線は図 4.8 の曲線 D のように右下がりになる 12 2

図 4.8 名目賃金率の決定図 S w 0 E 0 D 4 生産要素の価格の決定 (1) 労働市場の均衡 名目賃金率は図 4.8 の労働サービス供給曲線 S と労働サービス需要曲線 D の交点に対応する w 0 に決定される このとき 労働サービスの供給量と需要量は一致して L 0 になり 労働市場は均衡する (2) 賃金所得の決定 個々の家計の 1 年間の賃金所得は この名目賃金率に 個々の家計の中で 1 年間企業で働いた人の延べ労働時間数をかけたものになる 0 L 0 労働サービスの需給量 L 13 14 (3) 利子率 地代の決定 資本サービスの供給の対価である利子率や 土地サービスの供給の対価である地代も 名目賃金率と同じように それらの生産要素の供給曲線と需要曲線との交点で決まる 練習問題 4.2.1 (1) 資本市場の均衡を図で示しなさい (2) 土地市場の均衡を図で示しなさい 15 16 5 製造業人口の増加ー農村から都市への人口移動 (1) (1) 農業と製造業の労働の生産性の違い 今までの説明では 労働の生産性の違いを考慮せずに名目賃金率がどのように決まるかを説明した しかし 労働生産性は 産業ごと 企業ごとに異なるのが現実である 日本における戦後の高度経済成長期の農村から都市への人口の大移動を 農業と製造業の労働生産性の違いにより説明する 17 (2) 製造業における技術進歩 労働生産性の上昇 一般に 製造業の技術進歩は農業より急速に進む 製造業で技術進歩が急速に進むと 製造業の労働生産性は急速に上昇する 労働生産性とは 一人の労働者が一定時間で生産する財の生産量のことである (4.2) 式によれば 労働生産性が上昇すると 雇用者数 L が同じでも生産される財 Q は増加する したがって 費用項目 ( マイナス項目 ) である雇用者数 L が同じで 収入項目 ( プラス項目 ) である生産量 Q が増えれば 企業の利益は増加する そこで 利益を増加させるため 企業はより多くの労働サービスを投入しようとする 18 3

(3) 労働サービス需要の増加 以上のことから 製造業で技術進歩により労働生産性が上昇すると ( 同じ賃金率の下で ) 労働サービス需要が増加する 図 4.9 に示されているように これは労働サービス需要曲線を右へシフトさせる このシフトにより 製造業では名目賃金率が上昇し 雇用者数が増加する (4) 農村から都市への人口移動 この製造業で増えた雇用者が 農村から都市へ移動した人々と考えられる 労働生産性が大きく上昇するとともに 雇用者数の増えた製造業では 財の生産量が増加する 19 図 4.9 高度経済成長期の製造業の雇用者数と名目賃金率の変化 S w 1 w 0 E 0 D 1 0 L 0 L 1 雇用者数 L 20 6 農業人口の減少ー農村から都市への人口移動 (2) (1) 農業における技術進歩 農業では 製造業と逆の現象が起きた 農業での技術進歩による労働生産性の上昇は 製造業と比べて大きくない そのため 農業における労働サービス需要曲線の右シフトは小さい ( 図 4.10) 図 4.10 高度経済成長期の農業従業者の変化 S 1 S 0 w 2 w 0 E 0 D 1 21 0 L 1 L 0 雇用者数 L 22 一方 農業における労働サービス供給曲線は 以下の理由から大きく左にシフトする 製造業で名目賃金率が 農業に比べて相対的に上昇しているので 製造業で働く方が有利になる そのため 農業で働いていた人のうち 農村から都市へ移動し より高い賃金が得られる製造業で働らこうとする人が増加する この人口移動により 同じ賃金率で 農業における労働者数は減少する これは 農業における労働サービス供給曲線のS 0 から S 1 への左シフトになる その結果 農業に従事する労働者数は減少する 23 (2) 農業における名目賃金の上昇 農業従事者の減少と農業における労働生産性の上昇は 農業の名目賃金率を引き上げる これにより 製造業と農業の名目賃金の格差は縮小する 24 4

7 労働サービスの希少性と賃金格差 (1) 労働サービスの供給量による産業ごとの賃金格差 製造業の労働生産性が農業の労働生産性より高いために 製造業の賃金は農業の賃金より高くなる 産業ごとの賃金格差は 労働サービスの供給量の違いによっても生じる A 産業とB 産業を考える 両者は 労働生産性など労働サービス需要曲線の位置と形状を決める条件はまったく同じとする したがって 労働サービス需要曲線は 図 4.11のDとして示された共通のものになる 図 4.11 労働サービスの供給の差と賃金格差 S A S B w 1 w 2 E 2 25 0 L 1 L 2 労働者数 L 26 (2) 供給曲線の違いによる賃金格差 A 産業の労働サービス供給曲線は S A 産業 B の労働サービス供給曲線は S B とする 労働サービス需給の均衡において A 産業の名目賃金率は w 1 B 産業では w 2 に決まる w 1 >w 2 である 2 つの産業でこのような賃金格差が生じた理由は 労働サービス供給曲線が異なり どの名目賃金率でも A 産業の方が B 産業よりも労働サービスの供給量が少ないからである つまり 名目賃金率は 労働サービス供給量の少ない産業 (A) の方が 多い産業 (B) より高くなる 27 (3) 労働サービスの希少性の問題 A 産業における労働サービス供給量が B 産業における労働サービス供給量よりも少ないことは A 産業の求める労働サービスは B 産業が求める労働サービスより希少性が高いことを意味する よって 希少性の高いサービスを供給できる人ほど 高い賃金を獲得できる 取得が難しい資格をもっている人は 希少性の高いサービスを供給できるので 一般に高い賃金を獲得できる 28 5