全国の 40 歳から 74 歳までの男女 1,000 名に聞いた 日常生活における宗教的行動と意識調査 2006 年 6 月 ~ 年に 1 2 回程度は墓参りをしている 約 8 割 特定の宗教や宗派を信仰していない人 約 4 割 ~ 第一生命保険相互会社 ( 社長斎藤勝利 ) のシンクタンク ( 株 ) 第一生命経済研究所 ( 社長小山正之 ) では 全国に居住する 40~74 歳の男女 1,000 名を対象に 標記についてのアンケート調査を実施いたしました この程 その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします 調査結果のポイント 年中行事の実施率 (P2~3) 年中行事で実施率が高いのは 初もうで (76.4%) お盆 (74.0%) 初もうで お彼岸 お盆 は実施率が高く国民的な年中行事として定着している 日ごろの宗教的行動 (P4~5) 年に 1 2 回程度は墓参りをしている (78.7%) をはじめ 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする (70.5%) 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる (50.7%) など 慰霊的行動の実施率は高い 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている (59.5%) や この 1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある (50.1%) などの現世利益的行動も実施率が半数を超えている 信仰の度合い (P6~7) 特定の宗教や宗派を 信仰していない と回答した人は 44.2% 40~49 歳 では過半数の 51.1% が 信仰していない 信仰していない 人でも慰霊的行動の実施率は 59.4% であり 慰霊的行動は信仰に関わらずおこなわれている 仏壇や神棚の保有状況 (P8) 仏壇は全体の 50.0% が保有 神棚は全体の 34.3% が保有 宗教的態度 (P9) 宗教を信じていなくても 幸福な生活を送れる (80.4%) と考える人は多い 一方で 神や仏をそまつにすると ばちがあたる (71.3%) 信仰は死に直面した時の心の支えになる (64.8%) と考える人も多い < お問い合わせ先 > 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室広報担当 ( 室井 新井 ) TEL.03-5221-4771 FAX.03-3212-4470 アドレス http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi 本冊子は 当研究所から隔月発行している ライフデザインレポート 5-6 月号をもとに作成したものです レポートご希望の方は 左記の広報担当 またはホームページからお申し込みください
アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国に居住する 40 歳から 74 歳までの男女 2. サンプル数 1,000 名 3. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 4. 調査方法質問紙郵送調査法 5. 実施時期 2006 年 10 月 25 日 ~2006 年 11 月 12 日 6. 有効回収数 ( 率 ) 944 名 ( 有効回収率 94.4%) 7. 回答者の属性 ( 単位 : 人 ) 40~49 歳 50~59 歳 60~69 歳 70~74 歳 合計 男性 139(30.2%) 136(29.5%) 139(30.2%) 47(10.1%) 461(100%) 女性 145(30.0%) 145(30.0%) 147(30.5%) 46( 9.5%) 483(100%) 1
年中行事の実施率 1 年中行事で実施率が高いのは 初もうで (76.4%) お盆 (74.0%) 初もうで お彼岸 お盆 は国民的な年中行事として定着している 図表 1 日ごろの宗教的行動 < 複数回答 > 0 20 40 60 80 100 初もうで 節分 57.6 80.2 76.4 83.8 バレンタイン 17.4 35.1 ひな祭り 34.2 58.4 花祭り 2.6 18.2 お彼岸 66.3 61.8 端午の節句 22.5 52.5 七夕 17.5 68.8 お盆 74.0 83.7 月見 17.1 44.3 クリスマス なし 0.4 2.0 62.9 63.2 年中行事について ととでそれぞれたずねました おこなっている年中行事は 上位に 初もうで (76.4%) お盆 (74.0%) が挙がりました ( 図表 1) ただし 実施率自体はに比べ低くなっています に比べて実施率が高いのは クリスマス (62.9% 63.2%) と バレンタイン (17.4% 35.1%) で なかでも バレンタイン の伸びは大きくなっています 逆に 子どもの行事としての色合いが濃い 七夕 (68.8 17.5 ポイント ) 端午の節句 (52.5 22.5 ポイント ) 月見 (44.3 17.1 ポイント ) 節分 (83.8 57.6 ポイント ) ひな祭り (58.4 34.2 ポイント ) は減少幅が大きくなっています 一方 初もうで (80.2 76.4 ポイント ) お彼岸 (66.3 61.8 ポイント ) お盆 (83.7 74.0 ポイント ) は減少幅が小さいうえ の実施率も高いことから 国民的な年中行事として定着している様子がうかがえます 2
年中行事の実施率 2 50~64 歳 や 65~74 歳 では お盆 初もうで お彼岸 が実施利率の 1 位から 3 位を占める 図表 2 年中行事の実施率 ( 上位 6 項目 年齢層別 ) N 初もうでお盆クリスマス 40~49 歳 284 83.5 77.8 77.1 60.6 85.9 80.6 58.5 45.8 84.9 60.6 35.2 46.1 50~64 歳 415 78.1 74.9 84.3 75.7 63.4 61.2 67.2 62.9 81.9 53.7 11.8 33.7 65~74 歳 242 80.2 77.3 90.5 86.8 35.1 46.3 74.0 78.9 85.6 60.7 6.2 24.4 注 : 網掛けは 1 位の項目 下線は 2 位の項目 斜め字は 3 位の項目 お彼岸節分バレンタイン 年齢層別にみると 40~49 歳 では実施率が高い順に1 位が クリスマス 2 位が 初もうで 3 位が お盆 と 節分 となりました ( 図表 2) 50~64 歳 や 65~74 歳 では お盆 初もうで お彼岸 が 1 位から3 位を占めました お盆 や お彼岸 は 年齢層が下がるにつれての実施率が低くなっていますが 初もうで は 年齢層が下がるほど実施率がわずかながら高くなっています 3
日ごろの宗教的行動 1 年に 1 2 回程度は墓参りをしている (78.7%) をはじめ 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする (70.5%) 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる (50.7%) など 慰霊的行動の実施率は高い 図表 3 日ごろの宗教的行動 < 複数回答 > 0 20 40 60 80 100 (%) 年に 1 2 回程度は墓参りをしている 78.7 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする 70.5 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている 59.5 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる 50.7 この 1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある 50.1 この 1 2 年の間に おみくじをひいたことがある 37.9 決まった日に神社仏閣などにお参りに あるいは教会に礼拝に行く 聖書や経典など 宗教関連の本をおりにふれ読んでいる ふだんから礼拝 おつとめ 布教など宗教的なおこないをしている 11.4 11.0 16.4 このなかで該当するものは何もない 3.5 日ごろどんな宗教的行動を取っているかをたずねたところ 年に1 2 回程度は墓参りをしている (78.7%) が最も多く 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする (70.5%) 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる (50.7%) という慰霊的行動の実施率が高いことが分かりました ( 図表 3) また 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている (59.5%) や この1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある (50.1%) などの現世利益的行動も実施率が半数を超えています 一方 決まった日に神社仏閣などにお参りに あるいは教会に礼拝に行く (16.4%) 聖書や経典など 宗教関係の本をおりにふれ読んでいる (11.4%) ふだんから礼拝 おつとめ 布教など宗教的なおこないをしている (11.0%) という自己修養的行動に関する項目は実施率が低い結果となりました 4
日ごろの宗教的行動 2 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている や この 1 2 年の間に おみくじをひいたことがある 人の割合は女性の方がやや高い 図表 4 日ごろの宗教的行動 ( 性別 年齢層別 )< 複数回答 > 慰霊的行動現世利益的行動自己修養的行動 N 年に 1 2 回程度は 墓参りをしている 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている この 1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある この 1 2 年の間 に おみくじをひいたことがある 決まった日に神社仏閣など にお参りに あるいは教会に礼拝に行く ふだんから礼拝 おつとめ 布教 など宗教的なおこないをしている 聖書や経典など 宗教関連の本をおりにふれ読んでいる このなかで該当するものは何もない 男性 459 78.6 67.3 50.3 54.0 49.2 33.8 18.5 9.6 9.2 4.1 女性 480 78.8 73.5 51.0 64.8 50.8 41.9 14.4 12.3 13.5 2.9 40~49 歳 283 68.2 55.5 33.2 59.7 50.5 44.5 15.2 7.4 6.4 5.7 50~64 歳 414 81.4 74.4 52.2 58.9 49.3 37.0 12.3 9.7 10.9 2.7 65~74 歳 242 86.4 81.4 68.6 60.3 50.8 31.8 24.8 17.4 18.2 2.5 注 : 網掛けは1 位の項目 下線は2 位の項目 斜め字は3 位の項目 性別でみると 現世利益的行動である 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている や この1 2 年の間に おみくじをひいたことがある 人の割合は女性の方がやや高くなっています ( 図表 4) 年齢層別にみると 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする や 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる 人の割合は 年齢層が下がるにつれて低くなり 40~49 歳 と 65~74 歳 とでは実施率の差はいずれも 30 ポイント前後あります 40 代では 肉親の死に接した経験のある人が多くないのかもしれません 一方 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている や この1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある などの現世利益的行動の実施率は 年齢層では顕著な差は見られませんが この1 2 年の間に おみくじをひいたことがある 人は年齢層が下がるほど高くなる傾向にあり 40~ 49 歳 では 44.5% もいます 以上のことから 慰霊的行動には年齢層による実施率の違いがみられますが 現世利益的行動では女性でやや実施率が高いという程度で 年齢層による違いはみらないことがわかります 5
信仰の度合い 1 特定の宗教や宗派を 信仰していない と回答した人は 44.2% 40~49 歳 では過半数の 51.1% が 信仰していない 図表 6 信仰の度合い ( 性別 年齢層別 ) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 (N=944) 8.9 21.8 22.7 44.2 2.4 男性 (N=461) 7.8 23.6 25.6 40.1 2.8 女性 (N=483) 9.9 20.1 19.9 48.0 2.1 6.0 40~49 歳 (N=284) 19.0 22.2 51.1 1.7 50~64 歳 (N=418) 7.9 21.3 21.5 46.9 2.4 65~74 歳 (N=242) 14.0 26.0 25.2 31.4 3.3 信仰しているどちらかといえば信仰していない無回答 どちらかといえば信仰している信仰していない 家の宗教 ( 法事やお葬式に関係のある宗教 宗派 ) の有無に関わらず 何か特定の宗教や宗派を信仰しているかどうかたずねたところ 信仰していない と回答した人が 44.2% と最多となりました ( 図表 6) 一方 信仰している と回答した人は 8.9% どちらかといえば信仰している 人は 21.8% で 何らかの宗教や宗派を信仰している人は合わせて 30.7% となりました 年齢層別にみると 年齢が下がるにつれて 信仰していない 人の割合が増え 40~49 歳 では過半数の 51.1% が 信仰していない と回答しました どちらかといえば信仰していない 人と合わせると この年代では 73.3% が信仰していないことになりますが 65 ~74 歳 でも 56.6% と半数以上が信仰していません 6
信仰の度合い 2 信仰していない 人でも慰霊的行動の実施率は 59.4% 慰霊的行動は信仰に関わらずおこなわれている 図表 7 宗教的行動 ( 信仰の度合い別 )< 複数回答 > 慰霊的行動現世利益的行動自己修養的行動 N 年に 1 2 回程度は墓参りをしている 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている この 1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある この 1 2 年の間に おみくじをひいたことがある 決まった日に神社仏閣などにお参りに あるいは教会に礼拝に行く ふだんから礼拝 おつとめ 布教など宗教的なおこないをしている 聖書や経典など 宗教関連の本をおりにふれ読んでいる このなかで該当するものは何もない 信仰している 84 76.2 83.3 59.5 57.1 47.6 15.5 44.0 63.1 54.8 0.0 どちらかといえば信仰している どちらかといえば信仰していない 205 89.8 86.3 65.4 70.7 60.0 42.9 25.9 16.6 16.1 2.0 214 79.0 72.0 50.9 62.1 54.2 39.7 14.0 1.4 5.6 3.3 信仰していない 414 74.2 59.4 40.1 52.4 43.0 39.4 7.5 2.4 2.4 5.3 注 : 網掛けは最も多い項目 下線は最も少ない項目 次に信仰の度合い別に宗教的行動の実施率をみてみました ( 図表 7) 信仰している 人の実施率が目立って高かったのは ふだんから礼拝 おつとめ 布教など宗教的なおこないをしている 聖書や経典など 宗教関連の本をおりにふれ読んでいる 決まった日に神社仏閣などにお参りに あるいは教会に礼拝に行く といった自己修養的行動でした 一方 年に1 2 回程度は墓参りをしている については信仰の有無や度合いによる実施率の差はそれほどないうえ 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする ことについても 信仰していない 人でも実施率は 59.4% にのぼっており 慰霊的行動は信仰に関わらずおこなわれているといえます また この1 2 年の間に おみくじをひいたことがある 割合は 信仰している 人で最も低く 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている この1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある 人の割合は 信仰している 人より どちらかといえば信仰していない 人の方が高くなりました つまり 現世利益的行動と信仰の度合いとは関連はあまりみられません 7
仏壇や神棚の保有状況 仏壇は全体の 50.0%( 仏壇のみ 27.9%+ 仏壇も神棚もある 22.1%) 神棚は全体の 34.3%( 神棚のみ 12.2%+ 仏壇も神棚もある 22.1%) が保有している 図表 5 仏壇や神棚の保有状況 0% 20% 40% 60% 80% 100% 20.8 14.8 51.0 13.1 0.3 27.9 12.2 22.1 37.5 0.3 仏壇のみ神棚のみ仏壇も神棚もある ( あった ) 仏壇も神棚もない ( なかった ) 無回答 仏壇や神棚の保有状況について ととでそれぞれたずねました は 仏壇も神棚もあった と回答した人が 51.0% と最も多くなりましたが では 仏壇も神棚もない と回答した人が 37.5% と最も多く 仏壇も神棚もある と回答した人は 22.1% しかいませんでした ( 図表 5) の保有状況をみると 仏壇は全体の 50.0%( 仏壇のみ 27.9%+ 仏壇も神棚もある 22.1%) 神棚は全体の 34.3%( 神棚のみ 12.2%+ 仏壇も神棚もある 22.1%) となっています 8
宗教的態度 80% 以上の人が 宗教を信じていなくても 幸福な生活を送れる と回答 一方で 神や仏をそまつにすると ばちがあたる (71.3%) 信仰は死に直面した時の心の支えになる (64.8%) と考える人も多い 図表 8 宗教的態度 ( そう思う まあそう思う の合計 性別 年齢層別 ) 全体 男性 (N=461) 性別 女性 (N=483) 40~49 歳 (N=284) 年齢層別 50~64 歳 (N=418) 65~74 歳 (N=242) 霊魂観念 向宗教性 加護観念 死後の世界はあると思う 人は死んでも繰り返し生まれ変わるものだ 神や仏をそまつにすると ばちがあたる 死者の供養をしないとたたりがあると思う 仏様や神様を信心して願いごとをすれば いつかその願いごとがかなえられる 宗教心がある人は 心が豊かだと思う 信仰をもつことによって 人生の目標が与えられる どんなに科学が進んでも 人間は信仰がなければ幸せになれない 信仰は 死に直面した時の心の支えになる 宗教を信じていなくても 幸福な生活を送れる 氏神の祭りは 地域の結びつきを高めるのに必要である お盆などの宗教的行事には親しみを感じる 観音さんやお不動さんに親しみを感じる 41.9 38.6 45.1 56.3 35.6 35.9 28.1 23.9 32.1 43.0 23.7 18.2 71.3 67.2 75.1 82.4 66.3 66.9 41.9 39.7 44.1 52.4 38.5 35.6 40.6 38.4 42.6 48.6 35.2 40.5 41.2 41.6 40.8 33.1 38.2 55.8 48.5 49.7 47.2 48.3 45.0 54.5 29.2 32.1 26.3 27.5 26.3 36.0 64.8 63.8 65.8 67.6 62.0 66.5 80.4 78.7 82.0 82.1 81.8 76.1 65.6 65.1 66.0 66.2 61.9 71.1 69.1 69.4 68.8 63.4 67.4 78.5 57.7 61.4 54.0 47.6 59.3 66.5 注 : 網掛けは全体平均より 5 ポイント以上高い項目 下線は全体平均より 5 ポイント以上低い項目 向宗教性 5 項目 加護観念 3 項目 霊魂観念 5 項目の計 13 質問を設定し 宗教的態度についてたずねました ( 図表 8) 全体の回答率が最も高いのは 宗教を信じていなくても 幸福な生活を送れる (80.4%) でしたが 性別 年齢層別では顕著な差はありません しかし 神や仏をそまつにすると ばちがあたる (71.3%) 信仰は死に直面した時の心の支えになる (64.8%) という質問に対して肯定的な考えを持っている人は多くなっています なかでも 神や仏をそまつにすると ばちがあたる については 男性より女性で 年齢層では 40~49 歳 で肯定する人が多くなっています 9
研究員のコメント 今回の調査対象者では 年に1 2 回程度は墓参りをしている 仏壇や神棚に花を供えたり 手を合わせたりする 先祖や亡くなった肉親の霊をまつる といった慰霊的行動の実施率が高い結果となりました しかし 慰霊的行動の実施率は 40 代では 50 歳以上と比較すると大きく落ち込む傾向が見られました また 魔よけやお守り おふだなどの縁起物を自分の身のまわりに置いている この 1 2 年の間に 身の安全や商売繁盛 入試合格などを祈願しにいったことがある などの現世利益的行動は 年齢に関わらず実施率は半数程度ありました 慰霊的行動や現世利益的行動は 信仰の度合いと関連があまりなく 日ごろの宗教的行動として定着している様子がうかがえます 宗教的態度の因子としては 霊魂応報 向宗教性 加護 の3つが検出されました 年齢が上がるにつれて 加護 観念は強くなりますが 霊魂応報 観念は弱くなっていきます また すべての因子で因子得点の高い人は 信仰の度合いが高い傾向が見られたものの 信仰の度合いを規定する要因は 向宗教性 因子だけでした 以上のことから 私たちの多くは創設宗教の信仰とは別の次元で 宗教 的 観念を持ち 宗教 的 行動をおこなっている様子が浮き彫りになりました 特に 死者儀礼としての慰霊的行動は創設宗教と結び付けられることが多いですが こうした意識は 霊魂応報 や 加護 など 信仰とは別個の概念で捉える必要があると思われます ( 研究開発室主任研究員小谷みどり ) 10