乳房炎と環境 2008 年 03 月 14 日 牛舎消毒について 従来から牛舎の消毒は必要であると言われているが 消毒を定期的に実施している所は少ない また行ってはいても その実施間隔は不定期であり その実施間隔には疑問が残る どの程度の間隔で実施をすれば良いかは 今後の研究が待たれる 特に食の安全性が叫ばれる中 牛乳という食品を作る場所の清潔度は 今後かなり重要視される 今回は 豚やニワトリですでに実施されている発泡消毒 ( クリーム消毒 ) を大動物にも応用し 伝染病対策や 哺乳場所の消毒に利用して頂きたいと思い その紹介をするものです 1 乳房炎対策にも消毒は必要フリースト - ル牛舎のベッドの表面や つなぎ牛舎の牛床の表面は消毒が可能であるが 定期的に実施されていることはまれである 敷き料を使って汚れを掻き落とすことが日常の管理であるが 敷き料代金が高くなり 充分に敷き料が使われているかも疑問が残る 牛床に細菌の温床があれば 新しい敷き料を使ってもすぐに細菌数が増加して 乳房炎の危険性が高まる 新しい敷き料がどれくらいの時間を経ると 乳房炎の危険性が高まるほどの細菌数が増加するかの研究は少ない おそらく僅か数日でその危険領域に入るであろうと思われる フリーストール牛舎のベッド消毒の効果は研究されて折らず 今後の研究が待たれるが 筆者の経験上はどうも必要である 今回紹介する発泡消毒は 水の使用量が少なく よって乾燥も早いので 牛が牛舎内にいながらにしても実施が可能である 牛舎の環境改善のひとつの手段として定期的に行いたいものである フリーストールベッドの消毒事例消毒前の状態発泡消毒 30 分後発泡消毒 30 分後除糞して除糞後 30 分消毒から 1 時間後 2 哺乳牛の牛舎消毒哺乳場所は更に消毒が必要な場所である ウイルス性の下痢対策 コクシジウム クリプトスポロジウム対策など 治療では間に合わない病気が多くある 哺乳牛が卒業後 必ず消毒して使用しない時間をもうけて 次の仔牛を入れたいものである 同じ場所を連続して使用することが 病気の継続につながり 薬の効かない状態を作る 発泡消毒は哺乳場所 カーフハッチなどの消毒に効果があり 構造が複雑でも充分に実施が可
能である 発泡消毒で糞を落とし 再度の消毒を行い 石灰塗布をしたいものである 仔牛の枠を消毒した事例 ハッチ内の石灰塗布事例 哺乳場所の消毒事例 哺乳場所は縦方向で利用し 哺乳牛卒業後 縦方向で一気に機械で掃除をする その後清掃し石灰散布を行い 時間をあけてから使用を開始する 機械で掃除できるようにすることと 連続使用をしないことが重要 雄と雌では哺乳期間が違うので 場所を分けたが良い 3 伝染病対策としてサルモネラヨーネ病対策あって欲しくはないが 伝染病対策としても消毒を行いたいものである 飼槽や水槽はサルモネラ菌が増殖する場所である それらの場所を 定期的に消毒を実施したいところである 特に飼槽は 汚れが付き水分も栄養も多いので 細菌増殖の温床となっている 飼槽の表面の汚れをおとすには 発泡は良い手段である 泡が長く留まり こびりついた汚れをふやかし 汚れを落としやすくする 使用する水分も少ないので 後の処理も簡単である 飼槽に落ちている鳩の糞 汚れのこびりついた飼槽表面
飼槽の発泡消毒の事例 飼槽隔壁消毒後 30 分後の様子 飼槽通路の掃除 汚れの混じった泡の排出 汚れが浮き上がっている 発泡消毒中 ゴムスクレイパーで泡を集めている 4 バンカーサイロの掃除バンカーサイロの詰め込み前には 汚れを除去する目的でバンカーサイロを洗いたいものである 汚れが付いていれば 原料草に汚れ ( 雑菌 ) が入り 乳酸発酵を妨げる素になる サイレージは漬け物であることを考え 使用後は毎回きれに漬け物桶を洗わねばならない 使用前に綺麗にしたバンカーサイロ 汚れの付いたバンカーサイロの壁 5 洗車など搬入車のタイヤの消毒偶にはミキサーも洗いたいものである カビが付いたり 排出不良部分に腐敗した飼料が残ったりすることもある TMR に混入すれば 消化不良の素になる 汚れのひどいミキサー 案外消化不良の原因は こんな所にある
6 散布機械について動力噴霧機は 30kg/c m2の圧力で流量 10L/ 分以上の条件を備えた動力噴霧器を使用します 高温高圧洗浄機による洗浄及び消毒剤の散布は 先端に発泡用ノズルを接続することによりスムーズにクリーム状の散布が出来ます 泡の状態は高温で散布したほうが粘度の高い泡にすることができますので より効果的な消毒をすることが出来ます お勧めの動力噴霧器 価格セットで 50 万円程度ホース 20m+50m 付きノズル標準広角発泡用ノズル付き ドロマイトを混合する撹拌器付き 特徴 低価格石灰乳散布に利用可能ノズルを代える事で 発泡消毒可能 石灰塗布している写真 発泡用のノズル使用例
畜産分野での消毒の大家 発泡消毒の効果について 横関氏のホームページより転載 消毒液噴霧による S.Enteritidis に対する各種消毒薬の除菌効果 Salmonella Enteritidis に対する消毒薬の殺菌力は試験管内では鈴木ら及び石井らにより確認されて いるが 実地における殺菌力とはかなり異なると考えられる より実地に近い条件での殺菌力を検討 するために 木板上に塗布した S.Enteritidis に各種の消毒液を噴霧して除菌率を見た 複合塩素剤 市販名 : ビルコン S 200ppm を 1.51/m2 噴霧することが除菌率 99.99 超で最も除菌効果が高かっ た 同じ塩素濃度でも塩素化イソシアヌール酸及び次亜塩素酸ソーダは効果が若干低かった 横関正直 サルモネラ対策における養鶏環境の消毒 動薬研究 No.54,1-14,1996 サルモネラ対策における各種消毒法の効果の比較 消毒方法による効果の差異を検討するために ベニヤ板上に塗布した S.Enteritidis に 5 種類の方法 で消毒液 市販名 アストップ及びクレンテ を噴霧した 結果は 発泡消毒が最も除菌率が高く 動力 噴霧機 1.51/m2 の 1000 倍の除菌効果が得られた 動力噴霧機噴霧でも散布量を 5 倍の 7.51/m2 に増 やすと除菌効果は 100 倍になった 動力噴霧機噴霧の後で微粒子噴霧を加えると効果が更に高まっ た 横関正直 景山昌夫 渡辺義計 菊畑正貴 小野正則 サルモネラ対策における各種消毒法の効果の 実験的検討 畜産の研究 48:(2)259-262 1994 S.Enteritidis に汚染された土壌の消毒 サルモネラ汚染養鶏場の鶏舎周辺の土壌は当然サルモネラに汚染されているおそれがある 土壌 のサルモネラ汚染除去については報告が少ない 各種消毒薬及び火炎を用いて実験的に S.Enteritidis で汚染した土壌の除菌効果を見た 結果は 塩素剤 市販名 : クレンテ による方法が最も除菌効果が高く 地表面では完全に 地下 5cm でもかなりの除菌効果が得られた 消石灰及び生石灰でも地表面は検出限界以下に除菌でき た 横関正直 景山昌夫 菊畑正貴 井戸恵子 渡辺義計 サルモネラに汚染された土壌の消毒 畜産の 研究 48:(7)777-782 1994 発泡消毒による牛舎の消毒効果
発泡消毒により牛舎牛床の消毒を行い 除菌効果を見た 消毒薬は逆性石鹸 市販名 アストップ 50 倍液を用い 1.7l/m2 散布し 動力噴霧機散布と比較した 結果は 総菌数は 99.9 超 ブドウ球菌及 び真菌は 99.99 超 大腸菌群は検出限界以下の除菌効果を示した 動力噴霧機散布で 90 超 総 菌数 にとどまった床面を発泡消毒で再消毒した場合には 99.9 超の除菌効果が得られた 横関正直 速水紀文 発泡消毒による牛舎の消毒効果 畜産の研究 52:(8),909-10(1998) タイヤ消毒の効果に関する検討 農場に出入りする車両は外部から病原菌やウイルスを持ち込むおそれがある 軽トラックのタイヤ に検査箇所を設定し S.Enteritidis を塗布し 各種方法で消毒した後 残存細菌数を調べ 事前細菌 数と比較して除菌率を求めた 結果は 発泡消毒区が最も除菌効果が高く ついで浸漬区 動力噴 霧区の順となった 最高の除菌率は 発泡消毒 50 倍液 10 秒 30 分放置 区で得られた 横関正直 タイヤ消毒の効果に関する実験的検討 畜産の研究 54:(8),901-903(2000) 踏み込み消毒槽における消毒液の効力の変化 踏み込み消毒槽における消毒液の適期更新時期を検討するために実験を行った 消毒薬は逆性石 鹸 市販名 : パコマ フェノール剤 ヨード剤の各 100 倍液を供試した 踏み込み消毒槽に消毒液 10lをいれ 6 日間にわたり 毎日 畑土 鶏糞の一定量を加えて撹拌混合した 消毒液を採取して細 菌数を測定し あるいは残存殺菌力を調べた 結果は 逆性石鹸が最も良く細菌数増加を抑え 残 存殺菌力も 6 日目まで 99.99 を維持した フェノール剤及びヨード剤は早期に殺菌力を失った 横関正直 踏み込み消毒槽における消毒液の効力の変化 鶏病研報 15:155-158(1975) 横関正直氏の著書紹介 1. 酪農現場の衛生管理 現場でできるサルモネラ対策 デーリージャパン社 2. 酪農と消毒 デーリージャパン社 3. 新 養豚と消毒 チクサン出版社 4. 養豚と消毒 チクサン出版社 5. 養鶏と消毒 鶏友社 6. 経営者のためのサルモネラ対策 鶏卵肉情報センター 7. ヨコさんの養鶏辛口コラム 日本畜産振興会 8. 養鶏的消毒科技 現代畜殖雑誌社 台北 9. 養猪的消毒科技 現代畜殖雑誌社 台北 食品環境衛生研究所 ホームページ http://www.rivo.mediatti.net/~shokuken/index.html