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頻尿の原因 石原順就 泌尿器科部長

目 次 CONTENTS 1. はじめに 3 2. 下部尿路症状 4 3. 疫学 5 4. 排尿の仕組み 6 5. 下部尿路機能の分類 7 6. 蓄尿障害の疾患 病態 治療 8 1 腹圧性尿失禁 8 2 切迫性尿失禁と過活動膀胱 10 Ⅰ. 抗コリン薬 13 1 トルテロジン 13 2 ソリフェナシ

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背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

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国立病院機構京都医療センター  泌尿器科 医療連携のための排尿障害診療ガイドライン

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経支配は副交感神経優位に切り替わる10) 排尿を決意すると, 副交感神経終末からアセチルコリンが放出され, 膀胱はムスカリン (M) 受容体を介した作用により収縮し, 尿が排出される7) 抗コリン薬はこのアセチルコリンのムスカリン (M) 受容体への結合を遮断することで, 膀胱の異常収縮を抑制する

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はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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はじめに 連携パス とは 地域のと大阪市立総合医療センターの医師が あなたの治療経過を共有できる 治療計画表 のことです 連携パス を活用し と総合医療センターの医師が協力して あなたの治療を行います 病状が落ち着いているときの投薬や日常の診療はが行い 専門的な治療や定期的な検査は総合医療センターが

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クリニックで泌尿器科医が行う治療の実際 77 歳男性 合併症 : 心不全 糖尿病 胃潰瘍現病歴 : 夜間の切迫性尿失禁がひどくなった近医内科で ハルナール 0.2mg は 2 年前から処方受けている検査成績 :Cre1.38 尿蛋白 2+ 尿糖 + 長谷川式認知症スケール :28/36 点と正常 静岡市かげやま医院影山慎二 前立腺は大きくない いわゆる LUTS たくさんの内服 リポバス (5) 1T/1x エパデールS(900) 3P/3x ベイスン (0.3) 3T/3x アマリール (1) 2T/2x ブロプレス (8) 1T/1x ルプラック (4) 1T/1x アダラートCR(20) 1T/1x ジゴキシン (0.2) 1T/1x ザイロリック (100) 1T/1x 前立腺 20cc 残尿 50cc 排尿パラメーター IPSS(5-1-5-5-5-5-3) QOL 5/6 OABSS(1-3-4-4) 前立腺 20cc 残尿 50cc 抗コリン剤追加 ベシケア 2.5 mg 5 mg IPSS(0-2-1-1-1-1-3) QOL 4/6 OABSS(1-3-4-4 1-3-3-3) 漏れの回数が減った 残尿 60ml 抗コリン剤増量 エブランチルも追加しながら IPSS(0-2-1-1-1-1-3) QOL 4/6 OABSS(1-3-3-2) 漏れは減ったでも 残尿 70ml 1

前立腺肥大症患者の主訴前立腺肥大症に合併した過活動膀胱を見つけ出す 5 1 尿閉には導尿 下腹部痛やだらしなく漏れる尿失禁には注意! 93.4 蓄尿 + 排出 蓄尿 排出 ( 市販後調査 1 万人の解析. アステラス社内資料 ) 下部尿路閉塞に伴う過活動膀胱の発生メカニズム 膀胱壁の部分徐神経 ACh に対する収縮反応増加 抗コリン剤 膀胱伸展 高圧 虚血 αブロッカー 膀胱平滑筋の変化 平滑筋間隙低下平滑筋易刺激性 上皮細胞より ATP NO PG 放出 C 線維求心路の活動亢進 抗コリン剤 過活動膀胱 (OAB) ATP: アデノシン三リン酸 NO: 一酸化窒素 PG: プロスタグランジン NGF: 神経成長因子 ACh: アセチルコリン 尿道伸展 αブロッカー 仙髄 膀胱壁 NGF の増加 求心路 遠心路の神経肥大 C 線維を介した排尿反射経路の再構築 抗コリン剤 尿道求心路の活動亢進 日本排尿機能学会 : 過活動膀胱診療ガイドライン,2005. 泌尿器科診療所の診察内容 (25 年前 ) 前立腺肥大症 BPH:TUR-p 前立腺癌 : 生検神経因性膀胱膀胱癌 : TUR-Bt 膀胱鏡尿路結石尿路感染症 泌尿器科診療所の診察内容 前立腺肥大症 下部尿路症 BPH:TUR-p 前立腺癌 : 生検過活動膀胱膀胱癌 : TUR-Bt 膀胱鏡腹圧性尿失禁 :TVT TOT 手術性器脱 : 手術 ( メッシュなど ) 尿路結石 神経因性膀胱 ( カテーテル交換 ) 尿路感染症 ED, AGA, LOH 下部尿路におけるアセチルコリン受容体とアドレナリン受容体の分布 排尿筋 (M β) 膀胱はアセチルコリンの刺激で収縮する 骨盤底筋 (N) 外尿道括約筋 (α β) 膀胱三角部 (α) 膀胱頸部 (α) 尿道 (α) M = ムスカリン受容体 N = ニコチン受容体 α= α 1- アドレナリン受容体 β= β 3- アドレナリン受容体 2

抗コリン薬の作用点と作用機序 膀胱のムスカリン (M) 受容体へのアセチルコリンの結合を阻害し 膀胱の異常な収縮を抑制する 膀胱の異常な収縮を抑制 M メカニズム蓄尿期副交感神経 抗コリン薬 3 受容体 M 受容体 細胞膜 抗コリン薬 M 受容体 G アセチルコリン アセチルコリンの結合を阻害 抗コリン剤の使用のポイント 1. 少量から使用 2. かえって頻尿になった 要注意 尿閉の危険性! 3. 残尿測定を定期的に行うこと 膀胱平滑筋の異常な収縮 病的状態では 蓄尿期においてもアセチルコリンが放出され 膀胱の M 受容体に結合し 膀胱の異常な収縮が起こる 異常な膀胱収縮の抑制 膀胱は アセチルコリンで収縮する 抗コリン剤は アセチルコリンの過剰な働きを抑える抗コリン剤の過剰投与は 膀胱の収縮力を弱める 下部尿路における交感神経支配 交感神経 下部尿路は交感神経と 副交感神経による二重 支配下にあり 交感神経 膀胱 NA が興奮することで蓄尿が 促成される 膀胱の収縮力を落とさない頻尿治療薬があれば 尿道 NA 抗コリン剤は副交感神経を制御 蓄尿期における尿道の β-ar の役割 蓄尿期における膀胱の β-ar の役割 収縮 交感神経 NA 蓄尿期には交感神経の活動が増加する 放出されたノルアドレナリン (NA) が排尿筋の β-ar を活性化する β-ar は尿道平滑筋の収縮をもたらし 蓄尿期に尿が漏れるのを抑える 交感神経 弛緩 (β-ar) NA 蓄尿期には交感神経の活動が増加する 放出されたノルアドレナリン (NA) が排尿筋の β-ar を活性化する β-ar は排尿筋の弛緩をもたらし 蓄尿期において膀胱に多量の尿をためられるようにする (α1ar) 収縮に関係する神経には影響を与えない?! 3

ヒト排尿筋における β-ar サブタイプの mrna 発現量 ( ヒト膀胱では )β 3-AR mrna の発現がほとんどを占めていた β 1 : 1.5% β 2 : 1.4% β 3 : 97% copies/ng total RNA 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 β1 β2 β3 平均 5.456153928 5.274215675 357.7956418 対象 方法 膀胱癌により膀胱全摘手術をうけた男性 6 例および女性 4 例 (40~75 歳 平均年齢 65.3 歳 ) から摘出された 膀胱組織を対象に TaqMan システム法を用いた定量的リアルタイム RT-PCR により各 β-ar サブタイプの mrna 発現量 を検討した (ABI PRISM 7700 sequence detection system) Yamaguchi O. Urology 59(Suppl 5A): 25, 2002 Nomiya M, Yamaguchi O. J Urol 170(2 Pt 1): 649, 2003 各サブタイプの mrna 発現量が受容体タンパクの発現量を反映していると仮定するならば β 3-AR がヒト排尿筋において最も豊富に発現しているサブタイプ 選択的 β 3 作動薬の作用機序 膀胱の β 3 -AR に結合し 蓄尿期の膀胱弛緩作用を増強することで膀胱容量を増大させる β 3 膀胱の弛緩作用を増強 β 3 作動薬 β 3-AR メカニズム β 3 作動薬 β 3-AR Gs 交感神経 ノルアドレナリン β 3-AR 膀胱平滑筋弛緩 Gs アデニル酸シクラーゼ活性化 camp 産生 細胞内 Ca 2+ 減少 膀胱容量の増大 蓄尿期 抗コリン剤の使用が懸念される場合 認知症 パーキンソン病 ( 症候群 ) 症例 80 歳男 2010 年 12 月初診主訴 : 夜間頻尿と軽い切迫性尿失禁前立腺 33.5cc 残尿 25cc PSA 1.93 エコーでは膀胱壁が少し厚い ( 肥厚 ) OABSS(1-3-4-4) IPSS(3-5-1-4-2-1-4) QOL6/6 ドーパミン製剤とアリセプト使用中 治療経過 1. アルファブロッカー開始 2. 抗アンドロジェン製剤 (5α 還元酵素阻害剤 ) 3.? 4

対象と方法 新規の女性過活動膀胱患者に対する β 3 受容体作動薬 ( ベタニス ) の有用性の検討 対象 : 未治療の女性過活動膀胱患者方法 : ベタニス 50mg を 1 日 1 回朝に 8 週間投与し, ベタニスの有効性と安全性を検討した 検討内容 :0 週 4 週後 8 週後に質問票 (OABSS と IPSS) を用いての調査 0 週と 8 週後に尿流測定と残尿測定 ( 尿流動態への影響の検討 ) かげやま医院川原腎 泌尿器科クリニック宮津武田病院熊本労災病院 影山慎二川原和也曽根淳史吉田正貴 新規に受診した女性 OAB 患者 登録基準 閉経後である OABSS 3 点 Q3 2 点 残尿量 <100mL ミラベグロン 50mg/ 日 0w 4w 8w OABSS IPSS 尿流測定 残尿測定 OABSS IPSS OABSS IPSS 尿流測定 残尿測定 治療期間中を通じて副作用の調査を行う 女性 OAB 患者における OABSS と IPSS の推移 OABSS の各質問項目の推移 OABSS IPSS QOL スコア ** Q1: 昼間頻尿 Q2: 夜間頻尿 Q3: 尿意切迫感 ** ** Q4: 切迫性尿失禁 * n=45 *:p<0.05 **:p<0.01 :p<0.001 Wilcoxons s signed ranks test n=45 **:p<0.01 :p<0.001 Wilcoxons s signed ranks test OABSS の重症度推移 IPSS の蓄尿症状スコア 排尿症状スコアおよび排尿後症状スコアの推移 100% 80% 60% 40% 20% 20.0% 75.6% 2.2% 55.6% 42.2% n=45 4.4% 42.2% 53.3% 重症 12~15 点 中等症 6~11 点 軽症 0~5 点 蓄尿症状スコア 排尿症状スコア 排尿後症状スコア ( 残尿感 ) 8 ** ** 6 4 2 4.4 * 3.7 2.9 ** ** 0% 4.4% 0w 4w 8w 0 0w 4w 8w n=45 *:p<0.05 **:p<0.01 :p<0.001 Wilcoxons s signed ranks test 5

IPSSの蓄尿症状の各質問項目の推移 Q2 昼間排尿 Q4 尿意切迫感 IPSSの排尿症状の各質問項目の推移 Q7 夜間排尿 Q3 尿線途絶 Q5 尿勢低下 Q6 腹圧排尿 * n 45 ** * * p<0.05 ** p<0.01 p<0.001 7.5± 4.0 18.2± 10.0 6.9 ± 4.3 16.0 ± 8.9 16.7± 27.5 15.4 ± 21.3 * p<0.05 経過 αブロッカー開始 抗コリン剤併用 残尿 108ccに増加 中止 ベタニスへ変更 残尿30cc OABSS 1-2-3-2) IPSS(2-3-1-2-2-1-2) QOL3/6と改善 * p<0.05 p<0.001 Wilcoxons s signed ranks test 未治療の女性OAB患者に対するベタニス の有用性と安全性についてのまとめ n 45 残尿量と尿流量 Qmax Qave)の推移 n 45 Wilcoxons s signed ranks test * ベタニスの8週間投与により OABSS IPSSおよびIPSS-QOLスコア はいずれも有意に改善した OABSSの各項目では頻尿を除くすべての項目が有意に改善した IPSSの蓄尿症状スコアのみならず排尿症状スコアも有意に改善した IPSSの各項目では 尿線途絶を除く全項目で有意な改善がみられた 有害事象は掻痒感 胃部不快感 イライラ感が各1例 計3例 4.5 に発現した いずれも軽症であり 胃部不快感 イライラ感については 薬剤中止により改善した Qmaxは有意に改善した また 有意な残尿量の増加なかった 未治療の女性OABに対するベタニス50mgによる治療の有効性が 確認され 比較的早期から効果が認められた また認容性も良好で あった paired t-test OABの診断を正確にするためには 検尿 検尿 残尿測定 残尿測定 排尿日誌 必須です 併用している薬剤の確認 抗コリン剤 安定剤(デパス コリン作動薬(コランチル 抗ヒスタミン薬 抗うつ剤 パキシル 市販のかぜ薬 6

水がなければ 尿も出ない ウロマスター 保険収載 1回45点 有効率 35 70 行動療法 薬物との併用でより効果的 7

当院での治療風景 尿意の波を理解する リラックスできること 個室 雑誌などが読める 音楽 癒し系 模型などで干渉波の 当たる部位を示す 膀胱充満 初発尿意 飲水した後 我慢させる 最大尿意 と排尿 内圧測定器 を用いた訓練 膀胱訓練 下腹部に貼付 テープで固定 ゆりりん 膀胱容量の連続測定 50ccごとにアラーム 目標量を設定する 膀胱容量の拡大治療に 従来までの一般的な病診連携 治療経過 検査結果報告 初診 紹介状交付 患 者 病診連携の分類 検査 診察のみの紹介 依頼 CT, MRI等の検査予約 通常の紹介ー病状安定したら診療所に戻る 検査も診療所医師が参加する 内視鏡検査などーさらなる治療が必要となったの場合 入院がスムース 手術治療も診療所医師が参加する 共同診療と場所だけ診療所医師に提供 アメリカ型 紹介受診 8

病診連携と開放型病院 床 の相違 開放型病院 オープンシステム 病院の施設や機能を 病院とは直接に 関係のない他の医師にも開放している 病院 登録医は 病院の医師と共同して 診療することが出来る 主として入院が 対象 かかりつけ医としての登録医と患者の信 頼関係が維持され また病院の診療圏 が拡大されるなど多くの利点がある ー開放型病床ー 治療経過 検査結果報告 1995年 診療参 加 診療 報酬 共同指導 紹介状交付 入院依頼 FAX 電話 患 者 2009年 紹介受診 2004年 http://www.naika.or.jp/bigbang/content/23/23.html http://www.hmedc.or.jp/bopen.htm 当院の病診連携 検査 の現状1 当院の病診連携 検査 の現状2 検査 CT MRI 骨シンチ DIP 検査 膀胱鏡 前立腺生検 1. 2. 3. 4. 5. 6. 検査依頼状を作成 保険情報とともにFAX送信 検査予約票を受信 20 30分程度 検査日に病院受診 カルテは作成された状態 結果は診療所にFAX連絡 翌日 画像は後日郵送されてくる 1. 2. 3. 4. 5. 6. 検査依頼状を作成 保険情報とともにFAX送信 検査予約票を受信 20 30分程度 検査日に病院受診 検査に登院 結果は その場で説明 病理結果は後日連絡 診療所で説明 結果のオンライン共有化 画像のオンライン共有化 オープン検査実績 80 70 60 50 954件 CT MRI 核医学 膀胱鏡 前立腺生検 PET/CT 泌尿器科的検査(病院で 80 70 60 前立腺生検 416件 162件 578件 50 40 40 30 30 20 20 10 0 2003年 膀胱鏡 10 2005年 2007年 2009年 2011年 111件 165件 38件 86件 136件 95件 61件 113件 149件 108件 0 2003年 2005年 2007年 2009年 2011年 52件 97件 64件 14件 72件 3件 38件 73件 75件 90件 9

前立腺生検の癌検出率 オープンシステムでの治療の流れ 前立腺組織 辺縁 を6ヵ所採取 癌陽性 70/144 47.3 移行領域 PSA 10以下では 辺縁領域 辺縁領域 尿道 26/61 42.6 1 診療所初診-診察 各種検査 病院で運用するクリニカルパス 2 病院紹介 オープンシステム申込書 -術前検査 レ線 採血 ECGなど 3 入院 術前日 -回診 術式の確認 メール 4 手術-共同で手術 5 退院まで-可能な限り回診 クリニカルパス 6 診療所で術後のF/U 6分割生検 オープン手術の推移 40 35 30 尿失禁手術 透析関連 その他 腹腔鏡下手術 653件 25 20 15 10 5 0 2003年 2005年 2007年 2009年 2011年 32件 53件 76件 59件 78件 71件 46件 51件 75件 73件 71件 まとめ 泌尿器科は ずいぶん変わってきた 内科に負けない 全身管理をめざす 排尿に関する質問は 詳細に 診診連携するなら 内科の処方は出来るだ けしない 病診連携するなら 病院の医師のニーズに 即して 10