シミュレーションを活用した業務プロセス改革における組織の問題要因の可視化手法の確立 米原章浩鈴木陽一郎 株式会社 日本海洋科学
シミュレーションを活用した業務改革の利点 場当たり的に とりあえずやってみる 業務改善活動では無駄が多く実効性も低い 費用幾らかかる? 使ったの? 比較他に良い対策はないの? 時間いつ終わるの? とりあえず やってみよう! 効果効果が事前で途中で見えない 根拠目的と対策の因果関係が不明確 疲弊色々やってみたけど
シミュレーションを活用した業務改革の利点 シミュレーション型業務改革には従来型とは違った利点がある シミュレーションの 3 つの効能 1 定量的予測が可能 2 目的と対策の因果関係明確 3 低コストで短時間 対策を講じた際の予測が事前に定量的に分かる 他の対策案との比較が容易 効果も事前に予測可能 何故この対策を行うのか? といった 改革推進の根拠が明確 あれもこれも ではなく 最も効果的な対策を打つことが出来る 費用負担と時間的負担が軽い ( 結果 疲弊感もあまりない )
シミュレーションアプローチの問題点 定性的である人間 組織の行動をパラメータとして定量化 実測によるデータの収集が困難 煩雑 詳細な分析が必ずしも正確な結果を導くとは限らない モデル パラメータが複雑になると理解が難しい 分析まひ症候群に陥る可能性も
問題点へのソリューション できるだけ簡単なパラメータ設定の手法の確立 アンケートやインタビューなど コミュニケーションを重視 迅速に分析が可能 コミュニケーションを通じた 情報の明快な共有が可能 現場への負担少なく 改革プロジェクトへの反発軽減
PMC Process Management Consulting タスクフロー シミュレーションを活用して 無駄なく改善 改革サイクルをまわして行く タスク.9 実行計画策定 終了 / 開始 タスク.1 事前調査 タスク.8 対策案実証分析タスク.7 対策案シミュレーション PMC* タスクフロー タスク.2 方針策定タスク.3 現状可視化 タスク.6 対策案可視化 * PMC: Process Management Consulting タスク.5 現状リスク分析 タスク.4 現状シミュレーション
ケーススタディー概要 対象 : 通関業者 S 通関部門 6 名マネージャー 1 名 現状 : 課題 : 繁忙期には超過勤務で対応ベテランが頻繁に異動し混乱 今後の需要増を見越して 現在のチーム編成で無理なく対応したい マネージャー a b c d e f 主に 業務 に従事 主に 業務 B に従事
現状プロセスマッピング ワークショップを行い 実際の業務に即したプロセスマッピングを作成する
主要タスクの決定 類似タスクをグルーピングし 主要作業タスクを設定する 業務 業務 B a b c d e f タスク 1 タスク 10 タスク 15 タスク 2 タスク 11 タスク 14 END タスク 3 タスク 12 タスク 4 タスク 15 タスク 13 タスク 5 タスク 6 タスク 14 END タスク 18 END タスク 7 タスク 8 タスク 9 タスク 16 タスク 17 END タスク 18 END
組織の振る舞いに関するパラメータ決定 アンケートとインタビューにより 組織の特性パラメータを決定する 作業タスクの処理順番は? 1) 先入れ先出し 2) 後入れ先出し 3) 優先順位順 20 % 40 % 40 % 質問発生時の対処の判断は? 異なる種類の仕事が入ってきた場合の優先順位は? 1) 自分で対処 2) 上司や同僚に聞く 30 % 70% 1) 作業タスク 2) コミュニケー 3) 意思決定 ション 60 % 20 % 20 % 組織特性パラメータ ( 一部 )
作業タスクの難易度設定 1 人でその作業タスクを行えると感じるレベルを 標準技能レベル と定義する 作業タスクごとの 標準技能レベル到達までの平均年数
作業タスクの特性 優先度の高いタスクは難易度が低い 難易度の高いタスクは標準作業工数が大きい 優先度 150 高 100 中 50 低 0 18 15 11 10 17 16 14 グラフタイトル 7 2 1 6 3 17 : 0.10h 0 低 50 中 100 高 難易度 150 13 12 バブル大きさ =1 処理あたりの標準作業工数 8 4 9 5 タスク番号 : 標準工数 [h] 9 : 3.08h 5 : 2.59h 18 : 2.0h 13 : 1.01h 8 : 1.00h 4 : 0.72h 11 : 0.5h 7 : 0.52h 3 : 0.44h 12 : 0.38h 16 : 0.3h 10 : 0.25h 15 : 0.19h 6 : 0.18h 1 : 0.18h 14 : 0.15h 2 : 0.11h 作業難易度 - 優先度 - 作業工数 多次元マップ
技能レベルの違いと作業速度の関係 1 作業タスクによって チーム内での作業スピードのばらつきに違いがある 処理スピード倍率 5 4.5 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 中央値を基準とした 各タスクの個人による作業スピードのばらつき範囲 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718 中央値より速い中央値より遅い タスク番号 タスク難易度 作業タスクごとの チーム内での作業スピードのばらつき度合い 低 中高
技能レベルの違いと作業速度の関係 2 熟練は標準に比べて 作業タスクによっては 4 倍以上スピードが速いものもある 標準に対する 熟練の作業スピードばらつき ( 標準者と熟練者比較 ) 作業スピード倍率 6 5 4 3 2 1 0 バブル大きさ =1 処理あたりの標準作業工数 18 15 10 14 2 7 11 17 1 3 6 16 17 : 0.10h 0 低 50 中 100 高 150 難易度 13 12 5 9 8 4 タスク番号 : 標準工数 9 : 3.08h 5 : 2.59h 18 : 2.0h 13 : 1.01h 8 : 1.00h 4 : 0.72h 11 : 0.5h 7 : 0.52h 3 : 0.44h 12 : 0.38h 16 : 0.3h 10 : 0.25h 15 : 0.19h 6 : 0.18h 1 : 0.18h 14 : 0.15h 2 : 0.11h 作業難易度 - 作業スピード - 作業工数 多次元マップ
シミュレーションの実行 PMT* シミュレーションモデル 昨年の作業量をもとに 繁忙期のインプットを作成 2 つのシミュレーションシナリオを用意シナリオ 1. 全員の技能レベルが標準シナリオ 2. 全員の技能レベルが熟達
シミュレーション結果作業時間削減効果 1 熟練は標準に比べて 作業タスクによっては 4 倍以上スピードが速いものもある タスクごとの実作業時間合計 [h] 150 100 50 0 バブル大きさ =1 処理あたりの標準作業工数 18 15 技能レベル全員標準 16 10 1 6 17 2 11 3 7 0 50 100 150 12 13 低中高 8 4 5 9 タスクごとのタスク番号 : 標準工数 [h] 実作業時間合計 [h] 難易度 150 100 50 技能レベルの違いによる 作業タスクごとの実作業時間の合計値の変化 0 バブル大きさ =1 処理あたりの標準作業工数 技能レベル全員熟練 16 : 0.3h 18 16 10 : 0.25h 15 : 0.19h 10 4 1 9 6 : 0.18h 6 13 1 : 0.18h 17 2 7 14 : 0.15h 11 5 3 2 : 0.11h 15 17 : 0.10h 0 低 50 中 100 高 150 難易度 12 8 タスク番号 : 標準工数 [h] 9 : 3.08h 5 : 2.59h 18 : 2.0h 13 : 1.01h 8 : 1.00h 4 : 0.72h 11 : 0.5h 7 : 0.52h 3 : 0.44h 12 : 0.38h
0 20 40 60 80 100 120 140 160 8 4 14 9 12 B 14 B 5 6 1 10 B 2 B 13 B 16 3 17 7 11 B 15 15 B 18 18 B グラフタイトル 1 技能レベル 標準 の場合の実作業時間合計 2 技能レベル 熟練 の場合の実作業時間合計 1-2= 期待改善効果タスクごとの実作業時間合計 [h] タスク番号低中高作業難易度シミュレーション結果作業時間削減効果 2 技能レベルの違いによる 作業タスクごとの実作業時間の期待改善効果作業時間が大きい 難易度が高いタスクのほうが 期待改善効果が大きい傾向がある
シミュレーション結果 業務別期待改善効果 業務によって 技能レベル向上による改善効果に差がある 業務 業務 B シナリオ1 全員標準 1 565 時間 350 時間 シナリオ2 全員熟達 2 443 時間 324 時間 期待改善効果 1-2 122 時間 26 時間 期待改善効率 (1-2)/1 21.6 % 7.4 % 業務 業務 B a b c d e f タスク 1 タスク 10 タスク 15 タスク 2 タスク 11 タスク 14 END タスク 3 タスク 12 タスク 4 タスク 15 タスク 13 タスク 5 タスク 6 タスク 14 END タスク 18 END タスク 7 タスク 8 タスク 9 タスク 16 タスク 17 END タスク 18 END
実行可能で効果的な改善案の策定 技能向上の可能性 1 特別な適正が必要か? 2 努力やトレーニングで実現可能か? 3 実現可能であれば どんな方法が効率的か? (4 特別な資格が必要か?) 技能向上の方法 1 熟練者からの OJT により 集中して技能を習熟 2 他チームから技能を持ったを異動させる 3 外部研修にて集中的に技能を習得 4 技能を持ったをそのタスクに専念させる
対策案のシミュレーションから計画実行へ 実現可能な対策案の優先順位を策定 再度シミュレーションを行い期待改善効果の確認 対策案実行へ
まとめ ~ 簡易なパラメータ設定手法の効果 効果 短期間でシミュレーションモデルの作成とパラメータの設定がおこなえた パラメータ設定はコミュニケーションが中心となるため チームのプロジェクトへの参加意識も増加した チームの参加意識が増したことにより シミュレーション後の対策案の具体的な提案を引き出すことができた
まとめ ~ 簡易なパラメータ設定手法の課題 課題 アンケートやインタビューからの数値は主観的 インタビューの対象が少ないと 回答した数値のばらつきが大きく影響する 経験年数と技能レベルに必ずしも相関があるとは限らない 主観的な数値と 実測値とを比較することにより 意識と現実のギャップを明らかにすることができるかもしれない
ご清聴ありがとうございました 株式会社 日本海洋科学 PMC 業務改善グループ 担当 : 米原 鈴木 Tel: 044 548 9132 Mail: pmc@yms.co.jp HP: www.jms inc.jp/pmc