図表 糖尿病の患者の状況等 宮城県全国出典 メタボリックシンドローム該当者 予備群割合糖尿病の総患者数 ( 人口比 ) 29.3% 26.2% 62,000 人 3,166,000 人 (2.7%) (2.5%) 特定健康診査 特定保健指導の実施状況に関するデータ ( 平成 27(2

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練馬区国保における糖尿病重症化 予防事業について 平成 29 年 3 月 6 日練馬区区民部国保年金課 1 東京都糖尿病医療連携協議会配布資料

07佐渡

糖尿病型と判定する 血糖値が糖尿病型でかつ HbA1c が 6.5% 以上で糖尿病型であれば 糖尿病と診断できる 血糖値が糖尿病型でかつ糖尿病の典型的症状があるか確実な糖尿病網膜症が確認された場合も 糖尿病と診断できる 血糖値は糖尿病型であるが HbA1c6.5% 未満で上記の症状や確実な網膜症がな

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1. まとめ 1 糖尿病の現状と課題 予備群を含め 2000 万人を超える生活習慣病 糖尿病 医療体制の整備に匹敵する治療の鍵は 患者の行動変容 である そのために必要なのが (1) 予防から合併症予防まで切れ目のない対策 (2) エビデンスに基づくチーム医療 ( 3) データを活用して様々なステー

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1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

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愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

看護師の注射指導スキルを高め 治療介入が容易となる環境を整える これらを効率的に安全に達成するためには地域内での情報交換も必須であり 医療者の 顔のみえる 関係も重要である また正しい知識を共有しそれに基づいた指導をすること 他職種の業務範囲を厳密に把握することも必要である また このようなネットワ

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1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

福井県糖尿病性腎症重症化予防プログラム福井県医師会福井県糖尿病対策推進会議福井県 1 趣旨 目的本プログラムは福井県医師会 福井県糖尿病対策推進会議および福井県の三者で策定し 県内の医療保険者 ( 以下 保険者 という ) が医療機関と連携して糖尿病性腎症等の重症化予防の対策が容易となるよう基本的な

都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

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高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

はじめに徳島県における糖尿病対策は深刻な課題である そのため メディカルスタッフが糖尿病患者の健康と QOL の向上をはかるために 糖尿病とその療養指導に関する正しい知識を得ることは必須である 徳島大学病院と県立中央病院で形成する医療の拠点 ( 総合メディカルゾーン ) は 県民医療の発展 と 地域

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2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

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背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

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第2次「健康くるめ21」計画

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ


3 成人保健

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心疾患患による死亡亡数等 平成 28 年において 全国国で約 20 万人が心疾疾患を原因として死亡しており 死死亡数全体の 15.2% を占占め 死亡順順位の第 2 位であります このうち本県の死亡死亡数は 1,324 人となっています 本県県の死亡率 ( 人口 10 万対 ) は 概概ね全国より高

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

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脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

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Ⅰ 目標達成

2 対策 目標 糖尿病の予防 項目 対策 目標 特定健診 特定保健指導の徹底と実施率を高めるための環境づくり 市町村 産業界 専門職団体 関係機関等と共同したメタボリックシンドローム対策や生活習慣病予防の普及啓発 栄養士会や食生活改善推進員による塩分が少ない食事やバランスの良い食事の普及の更なる推進

対象疾患名及び ICD-10 コード等 対象疾患名 ( 診療行為 ) ICD-10 等 1 糖尿病 2 脳血管障害 3 虚血性心疾患 4 動脈閉塞 5 高血圧症 6 高尿酸血症 7 高脂血症 8 肝機能障害 9 高血圧性腎臓障害 10 人工透析 E11~E14 I61 I639 I64 I209 I

,995,972 6,992,875 1,158 4,383,372 4,380,511 2,612,600 2,612, ,433,188 3,330, ,880,573 2,779, , ,

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調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

(目的)

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

特定健康診査等実施計画

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Transcription:

第 4 節糖尿病 目指すべき方向性 糖尿病患者の増加の抑制を目指し, メタボリックシンドローム該当者等の減少に資する健康づくり, 発症 予防に取り組みます 糖尿病患者の合併症や重症化を防ぐことを目指し, 糖尿病専門医とかかりつけ医の連携等を通じて糖尿病患者の的確な管理 治療体制の整備を図ります 現状と課題 1 宮城県における糖尿病の現状 平成 26(2014) 年の患者調査によると, 糖尿病の総患者数は, 約 6 万 2 千人 (2.7%) でした 平成 28(2016) 年の総死亡数は 23,428 人でしたが, そのうち, 糖尿病による死亡数は 225 人で, 全死因に占める割合は1.0% でした 平成 27(2015) 年の糖尿病の年齢調整死亡率は, 男性は4.5, 女性は1.8 といずれも全国平均より低い値でした 平成 27 年度特定健診結果によると, 本県におけるメタボリックシンドローム ( 内臓脂肪症候群 ) の該当者は96,482 人であり, 割合は17.2% で, 全国ワースト 2 位, 予備群の該当者は 67,898 人であり, 割合は12.1% で, 全国ワースト13 位となっています 両者を合わせた割合は29.3% で, 沖縄県の 32.1%, 福島県の29.6% に次いで全国ワースト 3 位となっており, 今後, 糖尿病発症者や重症者の割合が増加することが予想されます 糖尿病受療率 ( 外来 : 人口 10 万対 ) の3 年ごとの年次推移をみると, 平成 23(2011) 年度に急激な増加が見られ, これ以降, 全国値 ( 平成 26(2014) 年全国 175 人, 県 164 人 ) に近づいています 人工透析新規導入患者数の年次推移でも, 平成 22(2010) 年度の501 人から平成 2 7 (2015) 年度の651 人と増加しています また, 新規導入患者のうち, 糖尿病性腎症による者も 2 15 人から303 人に増加するなど, 重症化が進んでいます 糖尿病は, 自覚症状がないことが多く, 健診受診や医療機関受診につながりにくいことが課題として挙げられます 放置されたまま, 糖尿病網膜症や腎症などの糖尿病合併症の症状で受診し, はじめて糖尿病と診断される場合もあることから, 糖尿病の病態, 肥満や他疾患との関係についての正しい知識と, 生活習慣の改善, 健診を受けることの重要性について若年時からの啓発が必要とされています 図表 5-2-4-1 糖尿病受療率 ( 外来 ) 人口 10 万対 図表 5-2-4-2 人口透析新規導入患者数の推移 出典 : 患者調査 ( 厚生労働省 ) 出典 : わが国の慢性透析療法の現況 ( 日本透析医学会 ) 103

図表 5-2-4-3 糖尿病の患者の状況等 宮城県全国出典 メタボリックシンドローム該当者 予備群割合糖尿病の総患者数 ( 人口比 ) 29.3% 26.2% 62,000 人 3,166,000 人 (2.7%) (2.5%) 特定健康診査 特定保健指導の実施状況に関するデータ ( 平成 27(2015) 年度 )( 厚生労働省 ) 平成 26 年患者調査 ( 厚生労働省 ) 及び 人口推計 ( 平成 26(2014) 年 10 月 1 日現在 )( 総務省統計局 ) から算出 平成 26 年患者調査 ( 厚生労働省 ) 及び 1 万人当たり患者数 266.3 人 249.1 人 人口推計 ( 平成 26(2014) 年 10 月 1 日現在 )( 総務省統計局 ) から算出 糖尿病による年間死亡者数 ( 全死因に占める割合 ) 225 人 (1.0%) 13,480 人 (1.0%) 平成 28 年人口動態統計 ( 厚生労働省 ) 糖尿病による年齢調整死亡率 男 4.5 男 5.5 平成 29 年度人口動態統計特殊報告 ( 厚生 ( 人口 10 万対 ) 女 1.8 女 2.5 労働省 ) 2 医療提供体制の現状と課題 (1) 重症化予防 重症化を予防するためには, 早期診断, 適切な管理 治療が重要です 健診やあるいは他疾患による医療 機関受診をきっかけとして, 糖尿病の早期診断につながることもあり, あらゆる局面を活用して糖尿病の 早期診断を推進することが課題となっています 医療機関や健診で糖尿病といわれたことがあっても, 治療しない, あるいは中断した人が少なからずいま す 治療中断によって血糖コントロールが悪化することが知られており, 医療機関においては, 治療の中 断を防止するために, 糖尿病と診断された時点から患者に対して, 糖尿病の病態や合併症に関する知識を 分かりやすく説明したり, 食生活, 運動など生活習慣の改善の重要性について指導し, 早期に栄養食事指 導等専門的な療養指導を受けられるための人材育成等体制整備が求められています 継続的な治療となることから, 患者自身が治療のあり方について主体的に関わることが治療の中断防止, 重症化予防にとって最も重要な要素となります 健診後の保健指導の実施及び受診勧奨や治療中断時, 在宅での治療支援など, 保健 福祉行政, 学校保健, 産業保健, 医療保険者等との円滑な連携体制も糖尿病の良好な管理, 重症化予防を支えます 日本医師会 日本糖尿病対策推進会議 厚生労働省では, 平成 28(2016) 年 4 月に 糖尿病性腎症 重症化予防プログラム を策定し, 関係機関が適切な受診勧奨 保健指導を実施し, 腎不全や人工透析へ の移行を防止する取組を推進しています (2) チームによる医療提供体制の構築 かかりつけ医と専門医との連携とともに, 重症化予防を支える歯科医師, 薬剤師, 看護師, 管理栄養士な どとのチームによる医療体制の構築が求められます 歯周病は糖尿病の合併症の一つとしてあげられており, 歯周病の治療や口腔のケアの実施によって歯周病 を管理することが重要となります 104

糖尿病の医療機能の現況 図表 5-2-4-4 出典 : 県保健福祉部調査 ( 平成 29(2017) 年 12 月現在 ) : 専門的医療機関 1 型糖尿病全般,2 型糖尿病のうち, 血糖コントロール困難者, 中等度以上の合併症を保有する患者, 高度肥満者, ステロイド使用中の患者, 膵性糖尿病, 肝疾患に基づく糖尿病など, 糖尿病専門医が診療する必要のある病態に対応可能な医療機関 : 急性増悪時治療医療機関糖尿病性ケトアシドーシス, 高浸透圧性昏睡, 低血糖性昏睡をはじめ, 救急対応を要する糖尿病患者に対応可能な医療機関 105

図表 5-2-4-5 糖尿病の専門治療, 急性期増悪時治療を実施している医療機関 圏域 医療機関名 専門治療 急性増悪時治療 仙南 みやぎ県南中核病院 東北大学病院東北労災病院 JCHO 仙台病院東北公済病院仙台厚生病院内科佐藤病院貝山中央病院 仙台医療センター東北医科薬科大学病院 仙台 仙台市立病院東北医科薬科大学若林病院 JCHO 仙台南病院宮城厚生協会長町病院 仙台循環器病センター松田病院仙台徳洲会病院 塩竈市立病院宮城厚生協会坂総合病院松島病院 大崎 栗原 大崎市民病院宮城厚生協会古川民主病院 栗原市立栗原中央病院 石巻 登米 気仙沼 石巻赤十字病院 気仙沼市立病院 図表 5-2-4-6 糖尿病に係る教育入院を実施している医療機関数 ( 平成 28 年 ) 病院 一般診療所 二次医療圏 調査数 * 教育入院 + 教育入院 のみ のみ 調査数 * 教育入院 + 教育入院のみ のみ 仙南医療圏 10 1 2 0 97 0 0 2 仙台医療圏 74 12 13 4 946 1 2 15 大崎 栗原医療圏 25 4 6 3 153 0 2 2 石巻 登米 気仙沼 医療圏 22 4 6 0 186 0 0 3 計 131 21 27 7 1,382 1 4 22 出典 : 平成 28 年度宮城県医療機能調査 ( 県保健福祉部 ) * 調査数は回答のあった医療機関数 106

施策の方向 1 メタボリックシンドローム対策による健診, 保健指導の勧奨による発症予防 みやぎ21 健康プランと連携し, 栄養 食生活, 身体活動 運動, たばこ対策を重点的に取り組む分野として, メタボリックシンドローム該当者等の減少に資する健康づくり, 糖尿病の発症予防に取り組みます 各医療保険者が, 特定健診等での糖尿病の予備群, 有病者の早期発見と効果的な保健指導の実施及び受診勧奨等の対策を実施しやすいように, 人材育成などの支援を行います 市町村や医療保険者において, 健診後の受診の状況やデータが悪化している者の把握に努め, 県においては宮城県糖尿病対策推進会議と連携し, 重症化予防のための対策を支援します 県民が健康づくりのための生活習慣の改善等に取り組みやすい環境整備を推進するため, スマートみやぎ健民会議を核として, 企業 医療関係団体, 医療保険者, 教育機関, 行政等が連携した全ライフステージへの切れ目のない健康づくりの支援体制を整備します 2 発症初期及び安定期における治療並びに重症化 合併症予防体制 県において, 宮城県糖尿病対策推進会議等の協力の下, 宮城県版糖尿病性腎症重症化予防プログラム を策定し, 医療保険者や医療機関をはじめとした各関係機関が連携して受診勧奨や保健指導等を実施する体制整備を図り, 人材育成等, 糖尿病性腎症重症化予防の取組を推進します 糖尿病専門医とかかりつけ医の連携を構築し, かかりつけ医による糖尿病患者の的確な管理 治療体制の整備を図ります 薬局においては, 薬学的管理 ( 薬剤服用歴の管理, 服薬状況や副作用の把握等 ) を行い, 長期にわたる確実な服薬を支援することで, 服薬コンプライアンスを向上させ, 医療機関に対する情報のフィードバックなどによる連携を強化し, 治療の継続, 重症化予防を推進します 医科歯科連携による口腔のケアの指導, 歯周病の治療によって, 糖尿病の重症化予防を推進します 3 専門治療 急性増悪時治療 慢性合併症治療体制 ICTによる医療福祉情報ネットワークの活用などにより, コントロール不可患者の治療, 急性増悪時治療 慢性合併症治療医療機関との相互の連携を促進することによって, 速やかに必要な治療が受けられる体制を目指します 107

( 優 ) 血糖コントロール ( 不可 ) 図表 5-2-4-7 糖尿病の医療体制 急性憎悪時治療 糖尿病昏睡等急性合併症の治療の実施 転院 退院時連携 専門治療 血糖コントロール不可例に対する指標改善のための教育入院等, 集中的な治療の実施 紹介時 治療時連携 慢性合併症治療 糖尿病の慢性合併症の専門的な治療の実施 糖尿病網膜症 糖尿病腎症 糖尿病神経障害等 口腔疾患対策 むし歯や歯周病による感染症予防のため, 歯科医 歯科衛生士による口腔ケアの実施 血糖コントロール不可例の連携 紹介時 治療時連携 初期 安定期治療 健康診査等を通じての予防と糖尿病の早期発見 糖尿病の診断及び生活習慣病の指導 良好な血糖に加え, 血圧 脂質 肥満のコントロールを目指した治療 在宅療養中の患者に対しては, 訪問診療等による指導及び治療 時間の流れ 数値目標 指標現況 2023 年度末出典 メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率 ( 特定保健指導の対象者の減少率 )( 平成 20 年度対比 ) 17.52% 25% 特定健康診査 特定保健指導の実施状況に関するデータ ( 平成 27(2015) 年度 )( 厚生労働省 ), 平成 20 年住民基本台帳人口 ( 総務省 ) から算出 宮城県糖尿病療養指導士数 125 人 600 人宮城県糖尿病療養指導士認定委員会 糖尿病性腎症による年間新規透析導 入患者数 303 人 280 人以下 わが国の慢性透析療法の現況 ( 平成 27 (2015) 年 )( 日本透析医学会 ) <HbA 1C について > HbA 1c は, 患者の過去 1~2ヶ月の平均血糖値を反映し, 血糖コントロールの指標として用いられ, 糖尿病の診断にも使用されます ( 参考 ) 糖尿病診療に用いる各種判定値 基準値 目標値 血糖コントロールの目標は, 年齢, 罹患期間, 合併症の状態, サポート体制等を考慮して, 個別に設定することが望ましいとされています 6.0% 7.0% 8.0% 血糖コントロールの目標 血糖正常化を目指す際の目標 6.0% 未満 合併症予防のための目標 7.0% 未満 治療強化が困難な際の目標 8.0% 未満 糖尿病診断に用いる場合 将来の糖尿病の発症リスク高 5.6%~5.9% 糖尿病の疑いが否定できない 6.0%~6.4% 診断基準 6.5% 以上 特定健康診断項目の判定値 保健指導レベル 5.6% 以上 受診推奨レベル 6.5% 以上 出典 : 糖尿病治療ガイド 2016-2017 ( 日本糖尿病学会 ) 及び 標準的な検診 保健指導プログラム 改訂版 ( 厚生労働省 ) より作成 108