頭数が多く 人慣れも進んだサル群 柵を設置できない河川から侵入するシカ 技術体系の紹介 : 1.ICT による檻罠の遠隔監視 操作システム クラウドまるみえホカクン 加害獣の集中的な捕獲による密度低下や頭数削減のため 大型の檻 罠が普及しています これらの捕獲効率を向上させるための遠隔監視 操作シス

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PowerPoint プレゼンテーション

イノシシH30年度別計画

Microsoft Word - 01 変更計画書

(別記様式第1号)

現行見直し案見直し理由等 カラス 被害時期 : 通年 ニホンザル 被害対象 : 農作物全般への食害 農業施設へ被害 生活環境被害 ヒヨドリ 被害時期 : 通年 アナグマ 被害対象 : 果樹への食害 被害対象 : 農作物全般への食害 ハクビシン 被害対象 : 農作物全般への食害 住居侵入による生活環境

鳥獣被害対策に関する実態調査-参考事例集

(別記様式第1号)

Microsoft Word - 鳥瓣被害韲æ�¢è¨‹çfl»ï¼‹H30-32;朕絇Ver

(様式第1号)

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計画作成年度

(別紙様式第1号)

1 アライグマの 分布と被害対策 1 アライグマの分布 1977 昭和52 年にアライグマと少年のふれあいを題材とし たテレビアニメが全国ネットで放映されヒット作となった それ 以降 アライグマをペットとして飼いたいという需要が高まり海 外から大量に輸入された しかしアライグマは気性が荒く 成長 す

( 別記様式第 1 号 ) 計画作成年度平成 28 年度 計画変更年度平成 29 年度 計画主体 筑紫野市 筑紫野市鳥獣被害防止計画 < 連絡先 > 担当部署名所在地電話番号 F A X 番号メールアドレス 筑紫野市環境経済部農政課筑紫野市二日市西一丁目 1 番 1 号

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抜本的な鳥獣捕獲強化対策 平成 25 年 12 月 26 日環境省農林水産省

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域対象鳥獣イノシシ ニホンジカ ヌートリア アライグマ ハシブトガラス ハシボソガラス ( 以下 カラス類 と言う ) ツキノワグマ ニホンザル カワラバト キジバト ( 以下 ハト類 という ) アオサギ ダイサギ( 以下 サギ類 という ) 計画

Microsoft PowerPoint 特定鳥獣イノシシ研修(配布用) (2)

(別記様式第1号)

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣計画期間対象地域 シロガシラ イノシシ キジ平成 27 年度 ~ 平成 29 年度うるま市全域 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村名を記入 する 2. 鳥獣による農

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1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域イノシシ ニホンジカ 中獣類 ( ハクビシン アライグマ そ対象鳥獣の他狩猟獣 ) カラス類 ( ハシブトガラス ハシボソガラス ) カモ類 ニホンザル ツキノワグマ計画期間平成 29 年度 ~ 平成 31 年度対象地域福井市 2. 鳥獣による農林

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Microsoft Word 修正 特定計画(イノシシ)案


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宮城県 競争力のある大規模土地利用型経営体の育成 活動期間 : 平成 27~29 年度 ( 継続中 ) 1. 取組の背景震災により多くの生産基盤が失われ, それに起因する離農や全体的な担い手の減少, 高齢化の進行による生産力の低下が懸念されており, 持続可能な農業生産の展開を可能にする 地域営農シス

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣 ツキノワグマ カラス類 サギ類 カワウ カモ類 ハト類 スズメ イノシシ タヌキ ハクビシン ニホンジカ ニホンザル 計画期間 平成 28 年度 ~ 平成 30 年度 対象地域 長岡市全域 2. 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に

秋子割合 現状評価と課題の整理 市内のイノシシ対策の現状を評価し, 課題を整理するため, 地理情報分析および捕獲状 況分析を行った ( 資料編参照 ). 1 地理情報分析による評価集落単位の各種行政資料 ( 捕獲情報, 防護柵設置状況, 市民からの要望など ) について, 地図上での分析 ( 地理情

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農業だより

4 有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術の向上 ( 農林事務所 猟友会 ) わな猟免許新規取得者を対象に有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術研修 実地指導を実施 (6 農林事務所で 8 回実施計 147 人受講 ) 2 捕獲の強化 (1) ニホンジカの捕獲強化 ( 猟友会委託 ) 指定管理鳥獣捕

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目 次 1 被害状況 (1) 農作物被害の推移 1 (1) 人身被害 1 2 捕獲状況 (1) 捕獲数の推移 2 (2) 狩猟捕獲の状況 3 (3) 被害防止捕獲の状況 4 3 防護柵の設置状況 (1) 防護柵設置延長の推移 5 (2) 防護柵の維持管理 6 4 生息地における取組状況 6 5 モニ

人 3,500 3,000 狩猟登録者数の推移 3,241 3,180 3,202 3,247 3,373 合計 網 わな 銃 2,500 2,000 1,843 1,845 1,910 1,965 2,100 1,500 1,000 1,398 1,335 1,292 1,282 1,273 50

実施計画の参考様式(この様式については、決定したものではありません

人材登録に必要な実績について Q1: 人材登録されるために必要な実績は? A: 分野ごとの必要な実績は以下のとおりです ( 詳細は募集要項をご覧ください ) 鳥獣保護管理プランナー次のア ) イ) のいずれかについて 鳥獣保護管理に関する計画の策定や見直し等に関する経験年数の合計が 5 年以上あると

情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report Vol.2015-CVIM-196 No /3/7 深度情報を利用した害獣の自動計数システムの検討 中井一文 1 山本陽祐 1 木村佳嗣 1 江崎修央 1 山端直人 2 全国各地の集落で害獣による農作物の被害が深

する距離を一定に保ち温度を変化させた場合のセンサーのカウント ( センサーが計測した距離 ) の変化を調べた ( 図 4) 実験で得られたセンサーの温度変化とカウント変化の一例をグラフ 1 に載せる グラフにおいて赤いデータ点がセンサーのカウント値である 計測距離一定で実験を行ったので理想的にはカウ

(別記様式第1号)

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養老山地で生息が確認されたクマについて Q1. クマってどんな生き物? 本州に生息するクマはツキノワグマで 冬季 (12 ~3 月頃 ) は冬眠し 冬眠から覚めると山菜などを食べ 6 月頃に繁殖期を迎えます 夏は草や木の実や昆虫を探し 秋になると木の実を食べることが多くなります 利用する餌は多様性に

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

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2 生息状況と被害の特徴 1970( 竹下資料 ) 1224 メッシュ 1978( 環境庁 ) 2288 メッシュ四国 207 高知 90 2 生息状況と被害の特徴 2003( 環境省 ) 3471 メッシュ 群れの分布の変遷 2009( 環境省 ) 3124 メッシュ四国 349 高知 124 分

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Microsoft Word - ★調査結果概要3.17版new.doc

( 松尾委員 ) 調査は 10 年後なのか 環境が変わった時に計画の変更見直しは可能なのか 調査は必要に応じて実施可能 指定される状況でなくなれば 解除手続きはある ( 八代田委員 ) 今のままだとシカ被害が進んでいく可能性が高い 今後 捕獲強化を実施するのであれば 捕獲の効果を見るような調査を組む

5Gビジネス創出をめざす実証実験を海外に拡大

資料編 18

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣 計画期間 イノシシ ( イノブタを含む ) ニホンジカカラス類サギ類 平成 29 年度 ~ 平成 31 年度 対象地域 産山村 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村


釧路湿原国立公園 釧路湿原生態系維持回復事業計画 平成 28 年 4 月 1 日

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2 生息状況と被害の特徴 1970( 竹下資料 ) 1224 メッシュ 1978( 環境庁 ) 2288 メッシュ四国 207 高知 90 2 生息状況と被害の特徴 2003( 環境省 ) 3471 メッシュ 群れの分布の変遷 2009( 環境省 ) 3124 メッシュ四国 349 高知 124 分

1 課題 目標 山陽小野田市のうち 山陽地区においては 5 つの集落営農法人が設立されている 小麦については新たに栽培開始する法人と作付面積を拡大させる法人があり これらの経営体質強化や収量向上等のため 既存資源の活用のシステム化を図る 山陽地区 水稲 大豆 小麦 野菜 農業生産法人 A 新規 農業

1. 有害鳥獣対策の法規制の緩和と捕獲業務の体制強化 建議 農作物の大敵である有害鳥獣の被害防止対策につきましては 毎年 補助事業等の活用により ワイヤーメッシュ柵 電気牧柵器及び箱罠の設置等に多額の予算を計上していただき また その普及や管理に関する知識の伝達等にご尽力いただいておりますことに対し

Microsoft Word - 資料4(修正).docx

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を達成しよう の達成に資する 計画策定と背景と経過 前期計画を継承 第 4 期計画策定を追記 生息分布 被害の推移の図は資料編から移動 これまでの経過を記載 図表などは資料編に記載 対象鳥獣 継承 これまでの計画を継承 図表を見やすさを考え再 移動 計画期間 H31.4.1~H H26

クラウド型健康支援サービス「はらすまダイエット」のラインアップに企業の健康保険組合などが行う特定保健指導を日立が代行する「はらすまダイエット/遠隔保健指導」を追加

(別記様式第1号)

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取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

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参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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スライド 1

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3-1 地域の特殊性を考えた戦略 東北地方には 広いイノシシの空白地帯 ( 未生息地域 ) があることが他の地方と大きく異なり 未生息地域にイノシシを侵入させない 定着させないことが肝心となる このためには 農業部局と環境部局による一層の連携はもとより 国や自治体 また住民と一体となった明確な戦略が

Transcription:

分野 : 獣害 ICT を用いたシカ イノシシ サルの防除 捕獲 処理一貫体系技術試験研究計画名 :ICT を用いたシカ イノシシ サルの防除 捕獲 処理 一貫体系技術の実証 研究代表機関名 : 三重県農業研究所 開発のねらい 近年 野生鳥獣の被害は深刻化 広域化しており 農作物被害額は全国で 200 億円 / 年を超え 農業生産の低下や営農意欲の減退が懸念されています 被害現場では 被害対策技術は普及しつつありますが 集落周辺での加害獣は増加しており 柵の周辺からのシカやイノシシの侵入や被害対策が困難なほど頭数が多いサルの群れなど 被害軽減が困難な事例が多発しています また 大型の檻も普及しつつありますが 檻の移動性や捕獲効率の低さなどによる捕獲数の伸び悩みも問題となっています これらの解決には 基本的な被害対策技術に加えて 移動性が高く捕獲効率が高い罠 動物の罠への侵入を監視し 取り逃がすことなく効率的に捕獲する技術 それらを地域全域に配備し 計画的かつ集中的に捕獲が可能となる技術 加害獣を捕獲した際の効率的な処理技術などが期待されます さらに 技術開発だけでなく これら開発された技術体系により 実際に地域の獣害を軽減可能であることを示す実証することが重要となります 本研究では ICT による多数の大型檻 罠の監視 操作システムの開発 捕獲効率と移動性が高い大型檻の開発により地域の効率的な捕獲を進めるとともに 捕獲した野生獣の簡易捕定器具や電気止め刺し器を開発することで 捕獲した加害獣の円滑な処理を目指します また サル接近自動検知センサーシステムの制作により個体数削減後のサル群の追い払い等の被害対策を進めるとともに これら技術体系により 実際に獣害が軽減可能であることを証明するために これら全ての技術を広域な地域に導入し 多頭サル群の頭数調整とシカの集中的な捕獲を進め 集落の獣害を 50% 削減することを目的として現地実証に取り組みました 1

頭数が多く 人慣れも進んだサル群 柵を設置できない河川から侵入するシカ 技術体系の紹介 : 1.ICT による檻罠の遠隔監視 操作システム クラウドまるみえホカクン 加害獣の集中的な捕獲による密度低下や頭数削減のため 大型の檻 罠が普及しています これらの捕獲効率を向上させるための遠隔監視 操作システムを開発しました ( 図 1 2) 檻をカメラで監視し インターネット上で動物の侵入を監視することで どこからでも檻の操作が可能です リアルタイムで動物の様子を監視することで 餌付けの進み具合なども解るため 捕獲の技術が向上する効果も期待できます さらに 撮影された動画等のデータをクラウド上で共有することで 複数の檻の情報を複数人で共有することも可能になりました これにより 地域に複数台配備された檻を一元管理したり 数名の実施隊が共同で管理するなど 地域全体での捕獲効率を向上させることも可能になりました クラウド上の管理画面では 録画データの再生や取り出しだけでなく 餌付けなどの檻管理の情報や チャット機能により管理者間の意見交換なども可能です ICT により 地域に複数配備された檻を地域全体で情報共有しながら管理と捕獲を進めることが可能なシステム クラウドまるみえホカクン という機器名で商品化し 普及が進んでいます 進入センサー ネットワークカメラ クラウド上に動画等を保存 動物の進入をメールで通知 マグネットトリガー 図 1 開発した クラウドまるみえホカクン のシステム概要 2

図 2 スマホや PC で閲覧可能なクラウド画面 過去の録画データの再生やチャット機能を有する 2. 捕獲効率と移動性が高い大型檻 罠 ( おりべえ Ⅱ) シカやイノシシの被害対策として捕獲は重要な対策の 1 つですが 檻の捕獲効率は必ずしも高くなく 効率的な捕獲が進まないのが実情です そこで 加害獣の侵入効率を高めるため壁面を全て開閉可能な扉とし かつ パネル化により分割でき移動性も高い囲い罠を開発しました ( 図 3) おりべえ Ⅱ という商品名で普及が進んでいます 永電磁ホルダー 1 2 3 図 3 おりべえ Ⅱ の外観と構造大きな開口部と 16 枚の扉が全て解放できることが特徴 ゲートは 3 段で 2 と 3 が落下する 幅 564 奥 564 高 270cm 開口幅 129cm 開口高 168cm 3.ICT を活用したサル接近見知システムサルに装着した発信機の電波を検知する無人観測点を サルの遊動域の複数集落に設置し センサーで計測した接近情報やその距離を Web 上に表示することで 地域の誰もがサルの接近情報を共有できるシステムを構築しました ( 図 4) これにより 複数の集落で効果的な追い払いを進めることが出来るようになります 実証地域では群れの個体数管理を進めつつ 当システムを使用して地域主体の追い払いを進めました 3

図 4 接近検知システムの仕組みと Web 上での位置情報の表示画面 4. 電気止め刺し器等による捕獲獣の処理簡素化技術地域での捕獲が進まない要因の 1 つとして 処理に対する捕獲従事者の心身両面での負担感の高さやも大きいと考えられます ICT 技術の活用等により捕獲効率が向上することに伴い 加害獣の止め刺しなどの処分に係る技術的 精神的な負担が捕獲作業のボトルネックとならないよう 捕獲従事者と捕獲個体の双方に苦痛の少ない電気止め刺し器 ( 図 5) や簡易な捕定器具 ( 図 6) など 安全かつ効率的な止め刺し方法 を開発し 現地実証を行いました 捕定器具や止め刺し器は商品化し 普及が進みつつあります 図 5 電気止め刺し器の仕組みと それを用いた止め刺しの様子 図 6 簡易捕定容器 図 7 電気止め刺し器の使用前安全講習 4

電気止め刺し器の開発にあたっては 感電防止のための形状の工夫など使用者の安全面に配慮したデザインを取り入れました また 機器開発だけでなく 使用前の講習プログラムを作成し 安全に配慮した機器の使用が進む様 ソフト面の充実も踏まえた技術普及を図っています ( 図 7) 5. 広域での技術実証と効果の検証 ICT を用いた大型檻 罠の遠隔監視 操作システム ( クラウド型まるみえホカクン ) と大型捕獲檻をサル シカ等による被害が多発する地域に配備し クラウド上で多数の檻を管理しました 捕獲個体の処理には電気止め刺し器 サルの追い払いには接近検知システムを活用し 防護柵や追い払いなどの被害対策と組み合わせた広域での個体数管理を進めました ( 図 8) ICT による多数檻の監視 操作シ ステムと大型檻を網羅的に配備 三重県伊賀市の約 40 集落 のエリアで広域な実証 地域に複数の檻を配備 檻設置場所 捕獲個体の簡易な処理 クラウド上で管理 接近検知システムによる 追い払い体制の整備 図 8 被害対策と合わせた捕獲システムの広域での総合的導入と検証 ( 社会実験 ) シカの集中的な捕獲 サル群の個体数管理 5

サルは農地に定着する群れの全頭捕獲と 100 頭を超える群れの頭数削減という群れ単位の管理を進めた結果 ( 図 9) 群れの集落への滞在時間や出没頭数が低減しました ( 図 10) その結果 追い払いも容易になったことから 対象とした 5 群の遊動域内の 37 集落で被害は大幅に軽減されました ( 図 11) シカは 実証地域の 15 10km エリアでの捕獲不足数である 150 頭を超える捕獲を達成し ( 図 12) 防護柵からの侵入個体を集中的に捕獲できた集落では 被害をほぼゼロに抑えることができました ( 図 13) これらの実証により 適切な被害対策と併用して 今回開発された技術による捕獲を進めることで 深刻になりつつある獣害を軽減可能であることを実証することができました 遊動域の縮小 100 頭から 30 頭程度に個体数を削減した群れでは 遊動域が小さくなり周辺集落の被害が減少した 図 9 群れ単位の頭数管理が進展サルは 5 群で 400 頭強を捕獲し 群れ単位の個体数管理が進んだ 200 100 出没時間 / 回 出没時間 / 日 図 10 滞在時間や頭数の減少個体数を削減した群れは出没頭数や農地での滞在時間が減少し 追い払いが容易になった 0 H24 H27 図 11 地域の被害変化 ( 集落代表者のアンケート ) 頭数調整が進んだ群れ内の 37 集落では被害が大きく減少した 防護柵設置前 防護柵設置後 侵入個体捕獲後 図 12 捕獲不足エリアでの捕獲進展捕獲が不足するエリアで 年間 150 頭 研究期間内で約 200 頭の捕獲を達成しました 図 13 防護柵と併せた集落での被害軽減効果防護柵 ( 赤ライン ) 設置が進んでいる集落で 道路や河川などのシカの進入路で集中的に捕獲することで 被害は大幅に軽減できた 6

技術体系の経済性は : 個体数管理が進んだ 5 つのサル群の地域での効果を試算しました 集落代表者のアンケートと農業センサスの畑地面積と市場価格による試算では 費用が 2,300 万円かかるのに対して 37 集落で 4,000 万円近い被害軽減効果がある結果となりました あくまでも概算ですが 本来作付け可能だったはずの農地なども含めると 獣害は潜在的にはこのような大きな被害があり その軽減効果も非常に大きいことが示さました 集落数 被害程度の変化 40 37 集落の被害金額変化 地域の被害変化 ( 前掲 ) 8 図 14 実証地域の被害軽減効果 ( 概算 ) 経済的な効果だけでなく 数多くの被害軽減を喜ぶ声をいただいています図 15) また 少数ですが 被害が出なければサルの存在を許容する声も聞かれます 今後の被害と個体数双方の管理により 獣害のない 野生動物とも共存できる地域をつくれる可能性もあります 20 0 深刻 軽微 H24 データ無し 費用まるみえホカクン+ 大型檻 200 万円 8 カ所 =1,600 万円通信費 15 万円 8 カ所 = 120 万円人件費 ( 専属 1 名 ) = 450 万円えさ代 ( くず大豆 果樹など )=150 万円合計 =2,320 万円 H27 大きい ほとんどない 4,400 万円 被害金額 = 畑地面積 作付比率 (0.5) 野菜の基本収益 被害率深刻 =0.6/ 大きい =0.4/ 軽微 =0.2/ ほとんどない =0 < 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 H24 H27 効果実施前被害金額 =8,200 万円 (1 集落平均で約 220 万円 ) 実施後被害金額 =3,800 万円被害軽減効果 = 4,400 万円 被害対策と併用することで この効果が維持できれば さらに効果は高まる 4,400 万円 今回 5 つのサル群管理に要した捕獲システム数 サルの状態は? 出没が減った 最近は集落に出てこなくなった 被害が非常に減った 農作物の収穫は? カキがよく成っている クリを 10 年ぶりに採った 野菜の作付けを増やす 被害対策は? 追い払いが楽になった これなら追い払い出来る サルが逃げやすくなってきた 今後のサルの捕獲は? できれば全頭捕獲して欲しい 追い払えるので もう捕獲は要らない 被害がなければどちらでもいい 増えてきたらまた捕獲して欲しい 実証地域内の多くの集落で カキやクリが収穫できるようになりました 図 15 ヒアリング調査での主な意見実証地域の集落へのヒアリングでは 効果を喜ぶ声が多数聞かれます 7

こんな経営 こんな地域におすすめ : 獣害が多発し イノシシ シカの密度が高い また サルの群れ数や頭数も非常に多い地域 イノシシ シカについては防護柵など サルについてはサルにも効果がある多獣種防護柵や集落による組織的な追い払いなど 適切な被害対策が実施されている地域 鳥獣被害対策実施隊や猟友会 地元集落などと十分な連携が進んでいて 適正な檻の管理が可能な地域 特定鳥獣管理計画やそれに基づく地域実施計画など 個体数管理と被害防止の計画が適切に定められている地域 技術導入にあたっての留意点 : 被害対策と併行した捕獲システム等の導入防護柵や組織的な追い払いなどの被害対策と併行した個体数管理により 被害軽減効果が発揮できます 科学的な調査に基づいた捕獲計画策定や目標の設定むやみな捕獲ではなく 科学的な調査により捕獲すべき頭数や場所を定めて 計画的な個体数管理を行うことが重要です 地域住民や狩猟者組織等 地域の住民組織との役割分担や連携餌付け 檻の設置や移設 止め刺しや処理など 地域で分担や連携が可能な体制を構築することが重要です 持続的な維持管理が可能な財源確保や地域との連携体制の構築効果を維持するためにも 長期に渡り取り組みを維持できる体制が必要です 研究担当機関名 : 三重県農業研究所 ( 株 ) アイエスイー 静岡大学 鳥羽商船高 等専門学校 ( 株 ) アイワスチール 長崎県農林技術開発センター ( 株 ) 末松電子製 作所 ( 株 ) 三生 愛知県農業総合試験場 三重県中央農業改良普及センター NPO 東海地域生物系先端技術研究会 お問い合わせは : 三重県農業研究所地域連携研究課山端 鬼頭 電話 0598-42-6356 E-mail yamabn00@pref.mie.jp 執筆分担 ( 三重県農業研究所山端直人 ) 8