臨床病態学 復習配布資料 覚道健一
病理解剖について死体解剖保存法で規定されているのはどれか? 1 遺族の承諾 2 解剖の所要時間 3 解剖を行う場所 4 標本の保存期間 5 介助者の資格 正解 :1,3
病因 病態検査 A: 病理学的検査 1. 細胞診断 2. 生検標本の病理組織診断 3. 手術標本の病理組織診断 4. 術中迅速診断 5. 病理解剖 B: 腫瘍マーカー ( 血清 組織学的 ) C: 遺伝子 DNAと染色体分析
主たる腫瘍マーカー大腸癌 CEA 膵癌 - CA19-9 CEA 乳癌 CA15-3 CEA 肺小細胞癌 - NSE 甲状腺髄様癌 カルシトニン CEA 甲状腺乳頭癌 濾胞癌 - サイログロブリン前立腺癌 PSA 肝細胞癌 AFP(αフェトプロテイン ) PIVKA- 卵黄嚢 ( ヨークサック ) 腫瘍 - AFP(αフェトプロテイン ) 卵巣漿液性腺癌 - CA125 卵巣顆粒膜細胞腫 - エストロゲン悪性絨毛上皮腫 ( 絨毛癌 ) 絨毛性ゴナドトロピン (hcg)
正しい組み合わせはどれか? a. CA125 - 肺癌 b. CA19-9 - 膵癌 c. CEA - 大腸癌 d. AFP - 乳癌 e. PSA - 膀胱癌 1 a,b 2 a,e 3 b,c 4 c,d 5 d,e 正解 :3
CEA は胎児の消化器細胞だけにあるタンパクの一種ですが がん細胞からもつくり出されます がんのスクリーニング検査として広く用いられ また がん治療後の経過観察 再発や転移の早期発見にも重要です CEA は当初, 消化器癌 ( 大腸癌 胃癌 膵臓癌 胆道癌など ) に特異的であるとされていたが, 消化器癌以外の乳癌, 肺癌, 膀胱癌, 前立腺癌, 卵巣癌などでも高値を示し, 良性疾患ならびに正常者にも, 悪性疾患に比べ低値ではあるが存在することが知られるようになった.
膵癌を疑わせる腫瘍マーカーはどれか? a. CEA b. SCC c. AFP d. PSA e. CA19-9 1 a,b 2 a,e 3 b,c 4 c,d 5 d,e 正解 :2
腫瘍マーカーの記述として 誤っているものはどれか? a. 肝細胞癌では PSA が腫瘍マーカーである b. 前立腺癌では AFP が腫瘍マーカーである c. 絨毛癌では hcg が腫瘍マーカーである d. 大腸癌では CEA が腫瘍マーカーである e. 漿液性腺癌では CA125 が腫瘍マーカーである 1 a,b 2 a,e 3 b,c 4 c,d 5 d,e 正解 :1
誤っている組み合わせはどれか? 1. 甲状腺傍濾胞細胞 - サイロキシン 2. 卵巣黄体細胞 - プロゲステロン 3. 副腎髄質細胞 - ノルアドレナリン 4. 精巣ライディッヒ細胞 - テストステロン 5. 腎臓傍糸球体細胞 - レニン 正解 :1
ホルモン腫瘍マーカー : サイログロブリン : 甲状腺乳頭癌 濾胞癌カルシトニン : 甲状腺髄様癌 hcg: 絨毛癌カテコールアミン : 褐色細胞腫 VMA: 神経芽腫セロトニン ヒスタミン : カルチノイド ( 神経内分泌腫瘍 ) ACTH: 異所性クッシング症候群 下垂体腺腫 小細胞癌 PTHrP: 高カルシウム血症 頭頸部癌 肺癌
組織学的腫瘍マーカー 細胞骨格蛋白 ( 中間径フィラメント ) ケラチン : 上皮性ビメンチン : 非上皮性ニューロフィラメント : 神経細胞 GFAP: グリア細胞リンパ球マーカー : リンパ球 Bリンパ球マーカー :Bリンパ球 Tリンパ球マーカー :Tリンパ球
未分化悪性腫瘍の病理診断で役立つ腫 瘍マーカーの組み合わせで誤っているのはどれか? 1. 上皮性癌ケラチン 2. リンパ腫リンパ球マーカー 3. 肉腫ビメンチン 4. 肝細胞癌ニューロフィラメント 5. 脳腫瘍 GFAP 正解 :4
下垂体腫瘍に見られる症状として稀なものはどれか? 1. アミロイド症 2. 不妊症 3. 頭痛 4. 視野欠損 5. 高血圧 正解 :1
精子形成を促進するホルモンはどれか? 1. プロラクチン 2. プロゲステロン 3. ノルアドレナリン 4. 卵胞刺激ホルモン 5. テストステロン 正解 :4
下垂体機能亢進症により起こる疾患はどれか? 1. 尿崩症 2. クッシング病 3. 小人症 4. シーハン症候群 5. アジソン病 正解 :2
下垂体機能低下症により起こる疾患はどれか? 1. 尿崩症 2. クッシング病 3. 糖尿病 4. 骨粗鬆症 5. 巨人症 正解 :1
内分泌機能亢進症を示すのはどれか? 1. アジソン病 2. クレチン病 3. クッシング病 4. コーン ( コン ) 症候群 5. シ ハン症候群 正解 :3,4
内分泌機能低下症を呈さないのはどれか? 1. ゾリンガー エリソン症候群 2. アジソン病 3. クレチン病 4. ウォーターハウス フリードリクセン症候群 5. シ ハン症候群 正解 :1
クッシング症候群で誤っている記述どれか? 1. 骨粗鬆症 2. 耐糖能低下 3. 血中コルチゾール低値 4. 中心性肥満 5. 低カリウム血症を呈する 正解 :3
2 クッシング症候群 (Cushing s Syndrome) コルチゾール (glucocorticoid) の長期に及ぶ過剰が引き起こす全身の病態を呼ぶ 1) 肥満 ( 満月様顔貌 中心性肥満 水牛様肥満 ) 2) 多毛 皮膚線状 座瘡 胃潰瘍 3) 筋力低下 低カリウム血症 精神症状 4) 耐糖能の低下 ( 糖尿病 ) 高血圧 骨粗鬆症 50% が副腎皮質腺腫 40% が下垂体腺腫 10% が異所性 ACTH 産生腫瘍が原因である
血中コルチゾール高値血中のACTHの値で鑑別 1. 下垂体腺腫 : 高値 2. 副腎皮質腺腫 : 低値 3. 異所性腫瘍 : 高値 デキサメサゾン抑制試験で鑑別 ACTH 産性腫瘍 下垂体腫瘍では ACTHは抑制される 副腎皮質腺腫ではACTHは低値であり 抑制されない
コーン症候群で誤っている記述どれか? 1. 血中アルドステロン値が高い 2. 血中レニン値が高い 3. 高ナトリウム血症を呈する 4. 低カリウム血症を呈する 5. 高血圧を示す 正解 :2
1 原発性アルドステロン症 (Conn s syndrome) 腺腫より産生される過剰なアルドステロンが原因となる ( 一部過形成 ) 1) 高アルドステロン血症 2) 低レニン血症 3) 高血圧 4) 高ナトリウム 低カリウム血症 5) 高血圧患者の0.5% にみられる 6) 外科的に治療可能な高血圧
原発性アルドステロン症の診断 1) 高アルドステロン血症 2) 低レニン血症 3) 高血圧 多飲 多尿 4) 低 K 血症による脱力 倦怠感 5) 低 K 血症なのに尿中 K 排泄増加 6) 画像にて腺腫 ( 過形成 ) の検出 2 次性アルドステロン症 ( 腎不全 利尿剤 投与 妊娠 ) との鑑別点は レニン高値
異所性ホルモン産生腫瘍 元来ホルモン産生臓器とされていない 臓器にできた腫瘍から ホルモン ホル モン様物質が産生され 臨床症状を呈 する時 これを異所性ホルモン産生腫瘍と呼ぶ 頻度の高いものは 1. ACTH 産生腫瘍 : 肺癌 ( 小細胞癌 ) カルチノイド 甲状腺髄様癌 2. PTH,PTH-RP 産生腫瘍 : 肺癌 ( 扁平上皮癌 ) 咽頭癌 喉頭癌 腎癌 3. HCG 産生腫瘍 : 肺癌 ( 大細胞癌 ) 胃癌
副腎皮質機能低下症 ( 不全 ) 1. 慢性機能不全 : アジソン病 (Addison s Disease) 2. 急性機能不全 : ウォーターハウス フリーデリクセン症候群 (Waterhouse- Friderichsen Syndrome) 3. 続発性 (2 次性 ): 下垂体性 視床下部性 4. 医原性 : 副腎摘出
アジソン病に見られる検査所見はどれか? 1. 低 Na 血症 低 Cl 血症 2. 高 K 血症 3. 低血圧 4. 血中コルチゾール高値 5. 尿中 17-OHCS 低値 正解 :4
検査による鑑別診断 : 1. 低 Na 血症 低 Cl 血症 高 K 血症 Na/K 比の低下 低血圧 2. 血中コルチゾール低値 3. 尿中 17-OHCS,17-KS 低値
多発性内分泌腺腫瘍症 MEN1( ワーナー症候群 ) 1. 下垂体腺腫 膵島腫瘍 副甲状腺腫の合併 2. 常染色体優性遺伝 (menin 遺伝子の異常 ) MEN2( シップル症候群 ) 1. 甲状腺髄様癌 褐色細胞腫 副甲状腺病変など 2. 常染色体優性遺伝 (ret 遺伝子の異常 )
癌が好発する遺伝性疾患はどれか? 1. MEN1 2. MEN2 3. 家族性大腸腺腫症 4. ウイルムス腫瘍 5. フォン ヒッぺル リンドウ病 正解 :1-5 すべて
甲状腺癌で内分泌腺多発腫瘍症 2 に合併する腫瘍はどれか? 1. 濾胞癌 2. 乳頭癌 3. 低分化癌 4. 未分化癌 5. 髄様癌 正解 :5
褐色細胞腫を合併する頻度の高い遺伝性疾患はどれか?2 つ選べ 1. MEN1 2. MEN2 3. 家族性大腸腺腫症 4. ウイルムス腫瘍 5. フォンヒッぺルリンドウ病 正解 :2 5
遺伝性腫瘍で誤っている組み合わせはどれか? 1. フォン レックリングハウゼン病 - 褐色細 胞腫 2. ヒッペル リンドウ病 - 皮膚色素斑 ( カフェ オレ斑 ) 3. MEN1- ゾリンジャー エリソン症候群 4. MEN2- 甲状腺癌 5. 家族性大腸腺腫症 - 大腸癌 正解 ( 誤っているのは ):2
副甲状腺機能亢進症に見られない症状 / 所見はどれか? 1. 繰り返す尿路結石 2. 多尿 口渇 3. 線維性骨炎 4. 血中 Ca 低値 5. 血中 PTH 高値 正解 ( 誤っている ):4
副甲状腺は甲状腺近傍に4 個程度ある 重量 50-100mg 程度の小さい臓器で 副甲状腺ホルモン (PTH) を産生 / 分泌する 副甲状腺ホルモンは 1. 腸管からのCa 吸収 2. 骨からのCa 供給 3. 腎臓の遠位尿細管で尿からCa 再吸収 4. 腎臓の近位尿細管でのビタミンD 活性化
副甲状腺機能亢進症 1)PTHの過剰産生が原因 2) 高カルシウム血症 低リン血症 3) 尿中カルシウム排泄増加 4) 骨病変 ( のう胞性線維性骨炎 ) 5) 尿路結石症 6) 消化性潰瘍 膵臓炎 高血圧
上皮小体の記述で正しいのはどれか? 1. 消化器系に属する 2. パラトルモンを分泌する 3. 頚部に1 対ある 4. 成人での重量は約 15-20gである 5. 悪性腫瘍が高頻度に発生する 正解 :2
誤っている記述はどれか? 1. ヨウ素は甲状腺に選択的に取り込まれる 2. 甲状腺ホルモンはヨウ素化アミノ酸である 3. 進行甲状腺癌に 131 I 治療がおこなわれる 4. 甲状腺シンチグラムに 131 I 投与が行われる 5. 131 I 内部被曝により甲状腺癌が増加する 正解 ( 誤っているのは ):4
次の記述で正しいのはどれか?2 つ選べ 1. 食事中のヨードはナトリウム / ヨードシンポーターにより肝臓に取り込まれる 2. サイログロブリンは活性型甲状腺ホルモンである 3. 進行甲状腺癌に 131 I 治療がおこなわれる 4. 甲状腺ホルモンは下垂体 TSH 産生を促進する 5. 血中の甲状腺ホルモンの大部分は結合蛋白 (TBG) と結合している 正解 :3 5
バセドウ病に見られる症状として誤っているものはどれか? 1. 徐脈 2. 眼球突出 3. 甲状腺腫大 4. 筋力低下 5. 多汗 ( 発汗亢進 ) 正解 ( 誤っている ):1
正しい記述はどれか? 1. 甲状腺機能亢進症では血清カルシウムは低下する 2. 甲状腺機能亢進症では総コレステロールは増加する 3. 甲状腺ホルモンの産生 分泌は下垂体 TSHにより調整さ れている 4. 血中の甲状腺ホルモンの大部分はヨードと結合し 不活 化されている 5. 甲状腺ホルモンにより 視床下部のTRHは分泌亢進する 正解 :3
バセドウ病の記述で正しいのはどれか? a) 血中の TSH 低値 b) コレステロール低値 c)tsh 受容体抗体 (TRAb) 陰性 d) 甲状腺 123 I 摂取率低値 e) 治療として甲状腺ホルモンが投与される 1 a,b 2 a,e 3 b,c 4 c,d 5 d,e 正解 :1
橋本病による甲状腺機能低下症で正しい記述はどれか? 1. 体重減少 2. 血中 FT3 および FT4 低値 3.TSH 低値 4. コレステロール低値 5. 123 I 甲状腺摂取率高値 正解 :2
甲状腺癌の組織型で頻度が最も多いものはどれか? 1. 濾胞癌 2. 乳頭癌 3. 低分化癌 4. 未分化癌 5. 髄様癌 正解 :2
甲状腺癌の組織型で最も予後が悪いものはどれか? 1. 濾胞癌 2. 乳頭癌 3. 低分化癌 4. 未分化癌 5. 髄様癌 正解 :4
放射線汚染により増加する腫瘍はどれか?2 つ選べ 1. 脳腫瘍 2. 甲状腺癌 3. 肺癌 4. 胃癌 5. 白血病 正解 :2 5
甲状腺癌で内分泌腺多発腫瘍症 2 に合併する腫瘍はどれか? 1. 濾胞癌 2. 乳頭癌 3. 低分化癌 4. 未分化癌 5. 髄様癌 正解 :5
正しい組み合わせはどれか? 1. MEN1- 膵島腫瘍 2. MEN2- 甲状腺癌 3. 家族性大腸腺腫症 - 大腸癌 4. ウイルムス腫瘍 - 小児癌 5. フォンヒッぺルリンドウ病 - 褐色細胞腫 正解 :1-5 すべて