第2回ADPを前に これまでの温暖化の国際交渉について

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国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) とパリ協定の関係について 国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) (1992 年採択 1994 年発効 日本は 1993 年に締結 ) 全国連加盟国 (197ヶ国 地域) が締結 参加 大気中の温室効果ガス濃度の安定化が究極の目的 全締約国の義務 温室効果ガス

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資料1-1 航空分野のCO2削減について

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

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撃のリスクが 全ての地域と加盟国に影響する可能性があることに懸念を表明し 民間航空に対するテロ攻撃について深刻な懸念を表明しそしてそのような攻撃を強く非難し 民間航空が 外国人テロ戦闘員による輸送手段として用いられる可能性があることにまた懸念を表明し そして 1944 年 12 月 7 日にシカゴで

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問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

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参考資料3(第1回検討会資料3)

一九二〇 経過的セーフガード措置 とは 第六 三条(経過的セーフガード措置の実施)2に定める措置をいう 第六 二条世界向けのセーフガード1この協定のいかなる規定も 千九百九十四年のガット第十九条の規定及びセーフガード協定に基づく締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものではない 23に規定する場合を除く

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Transcription:

第 2 回 ADP を前に これまでの温暖化の国際交渉について 2013 年 4 月 23 日 ( 火 ) WWFジャパン気候変動 エネルギープロジェクトリーダー小西雅子

これまでの交渉 1992 年国連気候変動枠組条約採択初めての温暖化防止条約 しかし行動は自主的 1997 年京都議定書採択初めての法的拘束力のある削減目標を持った条約 米が離脱 しかしボン合意 2005 年京都議定書発効モントリオール会議第 2 約束期間の議論の場 (AWGKP) と 米中を入れた対話が発足 2007 年バリ行動計画初めて米中を巻き込む次期枠組みの議論の場 (AWGLCA) が発足 2009 年コペンハーゲン合意採択ではなく留意にとどまった緩い政治合意 2010 年カンクン合意網羅的な中身の論点で 会議で正式に採択! 2011 年ダーバン合意京都議定書第 2 約束期間とすべての国を対象とした新枠組みの設立に合意 2012 年ドーハ 条約京都補助 COP CMP SB AWGKP AWGLCA ADP

モントリオールからコペンハーゲンへ 2005 モントリオール合意 (COP11 COP/MOP1) AWG KP 京都議定書の第 2 約束期間の目標を議論する場として 2007 バリ行動計画 (COP13 COP/MOP3) AWGLCA 米や途上国を含める形で 国際的枠組みを包括的に議論する場として 緩和 (REDD 含む ) 適応 資金 技術等の分野を議論する 2009 コペンハーゲン合意の 留意 (COP15 COP/MOP5) 各国の首脳クラスが集まり 初めて米や中国を含む途上国が削減行動を国際公約することになったが 合意を 採択 (adopt) することはできず 留意 (take note) するに留まった

ダーバン合意へ 2010 カンクン合意 (COP16 COP/MOP6) コペンハーゲン合意に各国が提出した自主的な削減目標や削減行動を国連文書に登録 2011 ダーバン合意 (COP17 COP/MOP7) 京都議定書の第 2 約束期間の設立を決定 カンクン合意の実施 (MRV の仕組み等 ) グリーン気候基金 (GCF) の設立 ダーバン プラットフォームの設立を決定 ADP 1) 2015 年までに 2020 年からの新しい国際枠組みを作る a protocol, another legal instrument or an agreed outcome with legal force under the Convention applicable to all Parties 2) 2020 年までの野心のレベルを引き上げる

COP18 の歴史的意味 先進国と途上国の差を明確に定めていた 京都議定書体制 1990 年当時とは違って 新興途上国の著しい発展で排出量が急増 新たな体制が必要 すべての国を対象とした新体制 では何を持って 衡平性 を確保するのか??? 1 削減努力の分担は? 2 先進国から途上国への資金 技術サポートは?

AWGLCA AWGKP の終了が困難だったわけ 特に AWGLCA の終了には 途上国側の抵抗があった 理由 (1):LCA はバリ行動計画に基づく途上国と先進国の明確な差異化を規定しているから 一方 ADP には 共通だが差異ある責任原則 が明示されていない 先進国と途上国の区別がない交渉の場だけになることへの抵抗感 新たな衡平原則を定めていく議論が必須 理由 (2): バリ行動計画に定められた途上国の削動行動には先進国からの実施の手段 ( つまり資金援助と技術移転 ) が前提であることが明確に規定されているが 不十分であるから すべての国を対象とする ADP だけになったら 途上国に削減の責任はかけられるが 前提であった資金 技術援助はうやむやになるという懸念先進国から 2013 年以降の直近の資金援助の約束と 2020 年に 1000 億ドル単位の資金援助の仕組み作りの進展

資金の結果 1 AWGLCA ( 最終日にも決まらず 大臣会合に ) 2013 年以降の資金について 2013 年以降の資金援助について いくつかの先進国 ( 後述 ) が約束 ( 他の先進国も経済状況が許せば 資金約束をすることを促す ) 2013 年以降の資金について 短期資金 (2010-2012 年 ) の平均資金額と少なくとも同じ額を先進国が出すことを奨励する 長期資金 (2020 年 ) について 2020 年 1000 億ドル単位の長期資金について 作業計画を 1 年延期する 先進国は 2013 年 3 月 21 日までに提案を出すこと COP19 で COP の下で大臣級対話を開催し 長期資金について様々な情報を元に進展を考慮する

参考 :2013 年以降の資金約束した先進国 主な国 (2013 年トータル :US $ 8.9 B ) イギリス US$2.9 B for 2013 & 2014, デンマーク US $ 88 M for 2013 (20% for the GCF) ノルウェー US $ 630 M for 2013 ドイツ US $2.4 B for 2013, フィンランド up to US $ 145 M for 2013( 数字未発表 ) スウェーデンUS $ 400 M for 2013, 欧州委員会 US $ 1.2 B for 2013, フランス US $ 2.6 B for each year 2013 and 2014 資金約束しなかった大国 : アメリカ カナダ オーストラリア日本 ニュージーランド オランダなど (2012/12/8 WWF 調べ )

資金の結果 2GCF 争点 : 背景 : 結果 : グリーン気候基金 (GCF) は COP から独立した対等の機関なのか それとも条約の下に設置された機関なのか? 先進国は GCF が独立した機関を持つ形を主張 従って GEF の時同様 ドラフトは GCF の理事会が用意し COP に諮るのが妥当と主張 途上国は 条約の下に設けられた常設委員会が COP と GCF の関係文書のドラフトを作るべきと主張 争点の結論持ち越しで 条約の下に設けられた常設委員会と GCF の理事会が共同で両者の関係を定めるアレンジメント合意のドラフトを COP19 までに用意する *: ホスト国は韓国が選ばれた

日本の2 国間オフセットの行方は? [Ⅱ D. 市場メカを含む様々なアプローチ ] 争点 : 日本の二国間オフセット制度を含む様々なアプローチが COPに管理される中央集権型の制度になるか COPの設定した基準に従っていれば 各締約国が国別事情に応じて設定できる分散型の制度になるか 経緯 : 環境十全性を重視する途上国やEUは中央集権型を指向する中日本や米 豪 NZはCOPに中央管理されない分散型を主張 特に途上国の主張は強く 日米と激しく対立した 決定 : 決定をCOP19へ先送り SBSTAで作業計画を実行し 枠組みの機能や役割の検討を継続 * カンクン合意に基づき 先進国が提出する隔年報告書には 二国間を含む市場メカに関する報告事項を含む共通報告様式に合意

[Ⅲ 適応 ] 特に 損失と被害 ( ロス & ダメ - ジ ) について Draft Decision -/CP.18 背景 : 過去の気候変動への無策によって 適応 は異常気象など現在起きている温暖化の影響に対して抵抗力をつける作業だけではなく すでに恒久化された 損失と被害 への対応も必要 遅発性現象 (*) や非経済的損失によって脆弱な途上国はさらなる危機にさらされ 持続可能な開発が脅やかされている *: 遅発性現象 ( 海面上昇や海洋酸性化 氷河後退や 土地や森林の劣化 生物多様性の喪失 砂漠化や土壌の塩性化など ) メカニズムを設立するか否かが 大臣級会合に上がる焦点となった COP19 でロス & ダメ - ジに取り組む組織的なアレンジ たとえば国際メカニズムなどを設立することを決定した SBI で専門家会合を設け テクニカルペーパーを用意

共有のビジョン 緩和 適応 長期目標 - ピークアウト - 何を含むか 先進国 : 削減目標の明瞭化 - 削減目標の野心レベル - 比較可能性 途上国 : 削減行動の明瞭化 REDD+ の資金 様々なアプローチの枠組み - 新しい市場メカニズム : 様式 セクター別アプローチ : 全体的な枠組み - 国際航空 船舶 対応措置 : 一国だけの措置 適応への資金援助 ( 実施の手段との関連 ) 非低開発途上国の NAPs( 国別適応計画 ) 経済の多角化 国 地域のセンター 資金 資金の継続性 (2012~2020 年 ) 資金の MRV( 算定 報告 検証 ) COP( 締約国会議 ) と GCF( 緑の気候基金 ) 間の取り決め 短期資金 - 長期資金の仕組みとの関連 技術 TEC( 技術実行委員会 ) および CTCN( 気候技術センター ネットワーク ) の詳細なガイダンス 資金メカニズムとの関連 IPRs( 知的所有権 ) キャパシティ ビルディング モニタリングと指針 検証 範囲とプロセス その他の課題 経済移行国特別な環境下の附属書 1 国 12 AWG-LCA 議長 Aysar TAYEBのPPTより

COP18 ドーハ会議の合意 ドーハ気候ゲートウェイ 3 つの特別作業部会の成果 AWG KP AWGLCA ADP 京都議定書に基づく特別作業部会 バリ行動計画に基づく特別作業部会 ダーバン プラットフォームに基づく特別作業部会

COP18 COP/MOP8 の合意内容 ドーハ気候ゲートウェイ AWG KP AWGLCA COP ADP 京都議定書の第 2 約束期間の削減数値目標を含む改正案の採択 余剰排出割当量 メカニズム利用の適格性についても カンクン合意やダーバン合意に続いて MRV の仕組み REDD+ 等についての合意 中期資金 (2013 2015 年 ) についての定性的な合意 長期資金についての作業計画一年延長 気候変動による 損失と被害 (loss and damage) に関する制度設計をすることを決定 作業計画を策定 2014 年の COP20 までには交渉文書 野心のレベル引き上げ具体策は次回 (COP19) に

ADP についてドーハで採択されたこと ドーハ気候ゲートウェイ の一部として 1ダーバン プラットフォームの前進 (COP18 決定 ) Advancing the Durban Platform 2 ないし1.5 目標と現実とのギャップに深い懸念 新たな法的枠組み ( 議定書 法的文書 法的効力を有する合意成果 ) を 2015 年 12 月 2~13 日の COP21 で採択することを決定 2020 年前の 野心 のギャップを埋めるための様々な行動のオプションを 2013 年に特定 探求し 2014 年の作業計画で更なる行動を特定し 最大限可能な緩和努力を確保する ハイレベル ( 閣僚級 ) の関与の重要性を確認 国連事務総長による 世界リーダーズサミットの開催を歓迎 2014 年 12 月 3~14 日の COP20 で交渉文書の要素を検討し 2015 年 5 月までに交渉文書を提示する

今後の会議日程 ドーハで採択されたこと ドーハ気候ゲートウェイ の一部として 2 作業計画 Planning of Work (ADP co-chair の結論を COP で採択 ) 2013 年は 年 4 回 (4 月 6 月 9 月 11 月 )( *4 9 月は未確定 ) 2014 年 15 年は 少なくとも2 回 追加会合の可能性あり Workstream1: 新たな法的枠組み 2013 年はラウンドテーブル ワークショップを開催 ADP 作業に関し意見募集 (~2013 年 3 月 1 日 ) (a) 気候変動枠組条約の原則の適用 (b) 条約の他のプロセスや他の多数国間の枠組から得られる教訓 (c) 将来枠組みの範囲 構造 設計 (d) 強化された行動 (enhanced actions) の定義づけと反映方法 Workstream2:2020 年前の野心の引上げ ラウンドテーブル ワークショップ開催 特に 2013 年に焦点をあてて 野心の引き上げに関する情報 見解 行動の提案 イニシアティブ オプションについて 以下を考慮し 意見募集 (~2013 年 3 月 1 日 ) (a) 緩和 適応の便益 気候変動影響に対する回復力 (b) 障害とそれを克服する方法 行動のインセンティブ (c) 実施を支援するための資金 技術 能力構築 2013 年 6 月会合までに 提出意見を元にしたテクニカルペーパー作成を条約事務局に要請

ADP に期待されていること ワークストリーム 2: 野心のレベルの引き上げ 2015 年へ向けて どのように交渉を進めていくのかを決める作業計画の採択 どれくらい詳しいものを作るのか どのような原則で交渉を進めていくのか ワークストリーム 1: ADP 自体の作業計画 引き上げる ために具体的な方策を打ち出せるのか 各国の目標を引き上げる 目標以外の数字 国際航空 船舶 短期寿命ガスの削減 化石燃料の補助金の削減

1 年目の ADP 交渉は? 2012.6 ドイツ ボン会議第 1 回 ADP 会議 議長選出やアジェンダ ( 議題 ) 設定で揉め 交渉に入れず 2012.9 タイ バンコク非公式会議第 1 回 ADP 非公式会議 実質的に初めての議論 2つのテーマ(Workstream) に分けてラウンドテーブルで議論 2012.12 カタール ドーハ会議第 1 回パート 2ADP 会議 2つのテーマのラウンドテーブル形式の議論を継続 1COP18 決定 ダーバンプラットフォームの前進 (Advancing the Durban Platform) を採択 2 作業計画を採択 (Planning of work)

今後の展開はどうなる? ラウンドテーブルでの議論より Workstream1: 新たな法的枠組みに関して 条約の原則の位置づけ方共通だが差異ある責任 + それぞれの能力 :CBDR+RC 2015 年合意の構造と範囲 ( スコープ ) トップダウン VS ボトムアップ 法的拘束力ある枠組み? 議定書 なのかその他か具体的な規定内容 ( 緩和 適応 技術移転 REDD+ 資金 キャパビル 行動の透明性向上など ) Workstream2:2020 年前の野心の引き上げ 野心の引き上げの対応方法の検討 目標 行動の引き上げ 目標の条件付けの撤廃 具体的な行動オプションの検討 2020 年前のギャップを埋める具体的な提案 政策措置 障害の共有等 その他の取り組みの強化他の条約 ( モントリオール議定書における HFC 生産規制 ) の強化国際航空 船舶対策短期寿命ガス (Black Carbon 等 ) 化石燃料補助金撤廃 etc. 作業計画づくり

今後の ADP 交渉への期待 2015 年合意の新枠組みに向けて 骨格が早く共有されること 着実な削減を引き出せる実効的な仕組みとすることが必要 法的拘束力ある枠組み しっかりとした遵守措置 京都議定書の第 2 約束期間の継続は 重要な足掛かり 衡平性の問題へ向き合うこと 2020 年前の行動の具体的な引き上げがなされること 2 目標の実現に決定的に重要な要素 IPCC 第 5 次評価報告書による情報 先進国の具体的行動 ( 目標の引き上げ 政策措置の強化 透明性の向上 ( 共通の報告フォーマット ) 日本は 温暖化政策の整備が国内で急務 ( 法律 目標 計画 )

今後の国際的な取組 2012 年 2015 年 2020 年 2020 年以降の取組み 2020 年までの取組み カンクン合意 K P 第 1 約束期間 (~2012 年 ) 将来枠組みの議論 (ADP) IPCC 第 5 次報告書 COP21 で採択 C O P 21 カンクン合意の実施 各国による 批准国内法整備 各国が掲げる 2020 年の削減目標 行動の推進と国際的 MRV の実施 新たに設けられた資金 技術に関する組織による取組 第 2 約束期間 (2013 年 ~2020 年 ) 21 全ての国が参加する法的枠組み発効 実施