4. 附加価値への試みと挫折 現行事業税へ昭和 24 年 (1949 年 ) 第一次シャウプ勧告事業税の課税標準について 原料等 他の事業から購入したものの価値に その企業が附加したところの額である とし 課税標準を事業の所得によるのではなく 附加価値を採用すべきである旨勧告昭和 25 年 (194

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Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

平成18年度地方税制改正(案)について

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

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15 18 定率減税の縮減 (15% 控除 7.5% 控除 (2 万円上限 )) 資本金等の額 ( 税法に規定する資本金等の額又は連結個別資本金等の額 ) が 50 億円超 800,000 円 10 億円超 50 億円以下 540,000 円 1 億円超 10 億円以下 130,000 円 1 千万

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第6回税制調査会 総6-3

平成20年度の税制改正により、地域間の税源偏在を是正するため、消費税を含む税体系の抜本的な改革が行われるまでの間の暫定的措置として、法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税が創設されました

地方税法等の一部を改正する法律案の概要 総務省 1 地方法人課税における新たな偏在是正措置 平成 31 年 10 月 1 日施行 都市 地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案 において特別法人事業税 ( 国税 ) を創設することに併

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

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企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

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02_(案の2①)概要資料(不均一)

08

平成19年度税制改正.xls

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

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1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

平成23年度税制改正の主要項目

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

平成16年版 真島のわかる社労士

p22-24 (所得税)

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(2) 法人事業税の課税状況 普所通得課法税人分(外形対象法人分を除く)イ事業税額等の状況 区 分割法人 分 本県本店分他県本店分 県内法人 小計 A 特別法人 B 公益法人等 C 人格なき社団等 D 清算法人 E 特定信託 F 法人課税信託 G 計 H A+B+C+D+E+F+G 事業年度数 確定

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1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

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報酬給与額 Q&A Q1 通勤手当や在外手当は 報酬給与額に含まれるか A 通勤手当や国外勤務者の在勤手当 ( 在外手当 ) のうち所得税において非課税とされる額に相当する金額については 実費弁償的性格を有するものであることから 報酬給与額に含めない 所得税において非課税とされる額を超える部分に相当

3. 同意要件との関係宿泊税について 不同意要件に該当する事由があるかどうか検討する (1) 国税又は他の地方税と課税標準を同じくし かつ 住民の負担が著しく過重となること 1 課税標準宿泊行為に関連して課税される既存の税目としては 消費税及び地方消費税がある 宿泊税は宿泊者の担税力に着目して宿泊数

目 次 資料 項目番号 1 生命保険料控除などの政策的控除の在り方について 1 生命保険料控除 地震保険料控除の概要 2 2 独立行政法人に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置の見直し 3 独立行政法人に係る現行の特例措置 4 独立行政法人に係る見直しの経緯 6 3 災害による期限延長等の場合の更

第20号様式記載要領

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

目県民 均等割標準 (1) 資本の金額又は出資金額が 50 億円を超える年額 200,000 円均等割 (2) 資本の金額又は出資金額が標準 10 億円を超え50 億円以下 (1) 資本の金額又は出資金額がの 1 億円を超える年額 20,0

法人税 faq

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

(0830時点)PR版

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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上場株式等の配当等に対する課税


第2回税制調査会 総2-2

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適用時期 法人の平成 26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます 改正措法附則案 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例 ( 法人が支出した使途秘匿金の額に 40% の割合を乗じて計算した金額をその納付すべき法人

検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

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平成19年度分から

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海運関係事項

平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

(2) 消費税率 10% への引上げ時に導入が予定されている軽減税率制度については 消費税 地方消費税の引上げ分のうち地方交付税原資分も含めると 約 3 割が地方の社会保障財源であり 仮に減収分のすべてが確保されない場合 地方の社会保障財源に影響を与えることになることから 確実に代替財源を確保するこ

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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1 ガス供給業を行う法人の事業税の課税について ガス供給業を行う法人は 収入金額を課税標準として 収入割の申告となります ( 法 72 条の 2 72 条の 12 第 2 号 ) ガス供給業とその他の事業を併せて行う場合原則 : 区分計算を行い 収入割と所得割 ( 及び付加価値割 資本割 ) を申告

1 給与所得控除額を算出する計算式は給与収入金額によって異なります 今回は給与収入金額 3,600,000 円以上 6,599,999 円以下の場合の式を用いています 2 調整控除額は合計課税所得金額 2,000,000 円超と 2,000,000 円以下で算出方法が異なります 今回は 2,000,

新・NPO法人申請マニュアル.pwd

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第 6 号様式記載の手引 H この申告書の用途等 (1) この申告書は 仮決算に基づく中間申告 ( 連結法人以外の法人が行う中間申告に限ります ) 確定した決算に基づく確定申告及びこれらに係る修正申告をする場合に使用します なお 事業税及び地方法人特別税に係る仮決算に基づく中間

資料2-1(国保条例)

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

労働基準法が改正されます

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

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2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

第一法基通改正7

9 試験研究費の額に係る法人税額の特別控除額 2 10 還付法人税額等の控除額 3 11 退職年金等積立金に係る法人税額 4 12 課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額 の5の欄 ) リース特別控除取戻税額( 別表 1(2) の5の欄又は別表 1(3)

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

【表紙】

第6 北海道国民健康保険調整交付金

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平成 29 年 12 月 22 日林野庁 平成 30 年度林野庁税制改正事項 新規 拡充事項 森林吸収源対策に係る地方財源を確保するため 次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ 森林環境税 ( 仮称 ) 及び森林環境譲与税 ( 仮称 ) を創設する 木質バイオマス発電設備等の再生可能エネル

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

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税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

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住民税 所得税の税率国から地方への税源移譲に伴い 平成 19 年度から住民税所得割の税率が 10% に統一され 所得税の税率が 4 段階から 7 段階の累進税率に改正されています 住民税については平成 19 年度分 ( 平成 19 年 6 月納付分 ) 所得税については平成 19 年分 ( 平成 1

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

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(1) 理由付記等

Transcription:

法人事業税について 2010 年 9 月 1 日 Ⅰ. 法人事業税の歴史 1. 府県税としての営業税明治 11 年 (1887 年 ) 営業税創設 ( 府県税 ) 課税客体 : 諸会社及び卸売業 諸仲買商 並びに諸小売商及び雑商明治 15 年 (1882 年 ) 課税対象 : 商工業一般に拡大 2. 国税としての営業税から営業収益税へ明治 29 年 (1896 年 ) 地方税から国税に移管課税標準 : 資本金額等の外形基準府県は 国税としての営業税に付加税を課するとともに 国税の営業税の課税対象とされない小営業に対して 府県税としての営業税を課す大正 15 年 (1926 年 ) 営業税廃止 純益を課税標準とする営業収益税を創設府県は 営業収益税に対して付加税を課するとともに 営業収益税の課税対象とされない業種及び営業収益税の免税点以下の小売業に対して 営業の純益 収入金額 営業用建物の賃貸価格など外形基準を課税標準とする地方税としての営業税を課す昭和 15 年 (1940 年 ) 営業収益税と営業税を統合し 営業の純益を課税標準とする国税としての営業税を創設 3. 道府県税としての営業税から事業税へ昭和 22 年 (1947 年 ) 営業税を国税から道府県の独立税に移管法人及び個人の営業に対し それぞれ 純益又は営業収益を課税標準として課税昭和 23 年 (1948 年 ) 営業税の名称を事業税に改称個人の農林業 水産業などの原始産業を課税対象に加えるとともに 別に特別所得税を新設し 自由業などを課税 1

4. 附加価値への試みと挫折 現行事業税へ昭和 24 年 (1949 年 ) 第一次シャウプ勧告事業税の課税標準について 原料等 他の事業から購入したものの価値に その企業が附加したところの額である とし 課税標準を事業の所得によるのではなく 附加価値を採用すべきである旨勧告昭和 25 年 (1949 年 ) 事業税及び特別所得税に代え 道府県税として 附加価値税 を創設課税標準 : 事業の総売上から特定の支出金額を控除した金額昭和 25 年 (1950 年 ) 第二次シャウプ勧告附加価値税の課税標準について加算法の選択的採用を勧告昭和 26 年 (1951 年 ) 地方税法の一部改正青色申告提出法人については 課税標準を各事業年度の所得並びに当該事業年度中において支払うべき給与 利子 地代及び家賃の額の合計額とする加算法も選択可能加算法によって課税標準を計算する場合における各事業年度の所得の計算は 原則として法人税法の規定による各事業年度の所得の計算の例によるものとし 給与 地代 家賃及び利子の額は 所得計算上損金に算入されるべきものに限る < 附加価値税について法律制定後 暫定的に実施を延長 > 昭和 29 年 (1954 年 ) 附加価値税廃止暫定的に存続されていた従来の事業税と特別所得税が統合され現行の事業税に 5. 政府税制調査会における外形標準課税導入論 平成 8 年 11 月 法人課税小委員会報告 法人事業税は 事業がその活動を行うに当たって地方団体の各種の施設を利用し その他の行政サービスの提供を受けていることから これらのために必要な経費を分担すべきであるとの考え方に基づいて 法人の行う事業そのものを課税客体として課する税である 事業税に外形標準課税を導入することは 事業に対する応益課税としての税の性格の明確化に加え 都道府県の税収の安定的確保 赤字法人に対する課税の適正化にも資するものと考えられる 2

地方消費税の導入によって事業税に外形標準課税を導入する問題の現実的な解決になるのではないかとの指摘があるが 両者は税の性格や課税ベース 税収の帰属地が異なっていること等から 理論的には別の問題であると考えられる 平成 11 年 7 月 地方法人課税小委員会報告 望ましいと考えられる外形基準として4 類型を提示 (1) 事業活動によって生み出された価値 (2) 給与総額 (3) 物的基準と人的基準の組合せ (4) 資本等の金額 平成 12 年 7 月 わが国税制の現状と課題 -21 世紀に向けた国民の参加と選択 望ましい外形標準のあり方として 事業活動価値 を選定 事業活動価値は 事業活動によって生み出された価値に着目して法人に負担を求める税の課税標準として 法人の人的 物的活動量を客観的かつ公平に示すと同時に 各生産手段の選択に関して中立性が高いものとなると考えられることから 外形基準としては理論的に最も優れていると考えられます < 事業活動価値 > < 事業活動価値の内訳 ( 平成元 ~10 年度の平均値 )> 利潤給与総額支払利子賃借料合計 25.0 兆円 188.5 兆円 26.6 兆円 23.5 兆円 263.6 兆円 (9.5%) (71.5%) (10.1%) (8.9%) (100.0%) 3

Ⅱ. 外形標準課税 - 平成 12 年自治省案 平成 13 年総務省案 Ⅲ. 外形標準課税の導入 ( 平成 15 年度地方税法改正 平成 16 年度から適用 ) 1. 対象法人資本金 1 億円超の法人 2. 課税標準 - 当初は外形基準の割合を4 分の1として設定 1 所得割所得 2 付加価値割付加価値額 = 報酬給与額 + 純支払利子 + 純支払賃借料 ± 単年度損益 * 雇用安定控除報酬給与額が収益配分額 ( 報酬給与額 + 純支払利子 + 純支払賃借料 ) の 70% を超える場合には 当該超える額を収益配分額から控除 3 資本割 資本等の金額 = 資本の金額又は出資金額 + 資本積立金額 * 持株会社 ( 発行済株式総数の 50% を超える数の株式を直接又は間接に保有す 4

る子会社の株式の帳簿価額が 総資産の額の 50% を超える法人 ) については 資本等の金額から 当該資本等の金額に総資産のうちに占める子会社株式の帳簿価額の割合を乗じて得た金額を控除する * 資本等の金額が 1,000 億円を超える法人については 1,000 億円に 次に掲げる資本等の金額の区分に応じ 次に定める率を乗じて得た金額の合計額を加えた金額を資本割の課税標準とする ただし 資本等の金額が1 兆円を超える場合には 資本等の金額を1 兆円とみなして計算するものとする 1,000 億円を超え 5,000 億円以下の部分 50% 5,000 億円を超え 1 兆円以下の部分 25% * 国外において事業を行う内国法人の資本割の課税標準とすべき資本等の金額は 資本等の金額に全世界所得に係る付加価値額のうちに占める国内所得に係る付加価値額の割合を乗じて得た金額とする 3. 税率 標準税率 所得割付加価値割資本割 所得のうち年 800 万円を超える金額及び清算所得 7.2% 標準税率 所得のうち年 400 万円を超え 年 800 万円以下の金額 5.5% 0.48% 0.2% 所得のうち年 400 万円以下の金額 3.8% ( 注 ) 地方税法本則に規定する所得割の標準税率 ( 恒久的な減税による負担軽減措置がないものとした場合の標準税率 ) は 所得のうち年 800 万円を超える金額及び清算所得については 8.6% 所得のうち年 400 万円を超え 年 800 万円以下の金額については 6.6% 所得のうち年 400 万円以下の金額については 4.4% となる 制限税率 都道府県は 上記 1) の標準税率を超える税率で法人事業税を課する場合には 当該標準税率のそれぞれ 1.2 倍を超える税率で課することができない 4. 徴収猶予赤字が3 年以上継続する法人や創業 5 年以内の赤字ベンチャー企業を対象 ( 最長 6 年間の猶予 ) 5. 適用期日平成 16 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分から適用 5

Ⅳ. 地方法人特別税の創設 ( 平成 20 年度税制改正 ) 消費税を含む税制抜本改革がなされるまでの間の 暫定的措置 として 法人事業税の税収のおよそ2 分の1をいったん 地方法人特別税 ( 国税 ) として国にプールした上で その全額を地方法人特別譲与税として 現行の法人事業税の配分基準とは異なる基準で都道府県に再配分する ( 地方税法改正ではなく 地方法人特別税法等に関する暫定措置法 の制定 法人事業税改正 地方法人特別税 地方法人特別譲与税のスキーム 配分基準 分離 法人事業税 1/2: 人口 法人事業税 ( 都道府県税 ) 1/2: 人口 ( 都道府県税 ) 地方法人特別税 払込み 国 譲与 地方法人特別譲与税 ( 国税 ) 1. 法人事業税の税率の改正 1 資本金額 出資金額 1 億円超の普通法人の所得割の標準税率 年 400 万円以下の所得 3.8% 1.5% 年 400 万円超 800 万円以下の所得 5.5% 2.2% 年 800 万円超の所得及び清算所得 7.2% 2.9% 2 資本金額 出資金額 1 億円以下の普通法人等の所得割の標準税率 年 400 万円以下の所得 5.0% 2.7% 年 400 万円超 800 万円以下の所得 7.3% 4.0% 年 800 万円超の所得及び清算所得 9.6% 5.3% 3 特別法人の所得割の標準税率 年 400 万円以下の所得 5.0% 2.7% 年 400 万円超の所得及び清算所得 6.6% 3.6% ( 特定の協同組合等の年 10 億円超の所得 7.9% 4.3%) 4 収入金額課税法人 ( 電力 ガス 保険業 ) の収入割の標準税率 1.3% 0.7% 6

*3 以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金 1,000 万円以上であるものの所得割に係る税率については軽減税率の適用はない 2. 法人地方特別税の創設 都道府県間の財政力格差を是正するために法人事業税の上記の税率引下げ分に対応して 地方法人特別税を創設 同税は国税であるが 国税通則法 国税反則取締法の適用はなく 国税徴収法の規定の適用上は地方税とみなされる ( 地方法人特別税法第 7 条 ) 1 納税義務者 - 法人事業税 ( 所得割又は収入割 ) の納税義務者 2 課税標準 - 標準税率により計算した所得割額又は収入割額 3 税率 ( 地方法人特別税法第 9 条 ) 付加価値割額 資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率所得割額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率収入割額によって法人事業税を課税される法人の収入割額に対する税率 148% 81% 81% 4 賦課徴収 - 都道府県が法人事業税の例により併せてこれを行う 5 申告 納付 - 納税義務者は 地方法人特別税を当該都道府県の法人事業税の申告 納付と併せて当該都道府県に申告 納付 6 適用時期 - 平成 20 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度から適用 なお 地方法人特別税も法人税の計算上は損金に算入され また 課税標準はあくまで 標準税率により計算した所得割額又は収入割額 であり 超過課税分は反映されない 7

3. 地方法人特別譲与税の創設 地方法人特別税の税収の全額が 地方法人特別譲与税として 1/2を直近の国勢調査による人口 1/2を従業者数の基準によって配分され 都道府県に譲与される ただし 前年度の地方交付税の算定における財源超過団体に対しては この改正による減収額として算定した額が財源超過額の1/2を超える場合には その額の1 /2を限度として 当該超える額が譲与額に加算される 現行法人事業税 ( 資本金 1 億円超の大法人 ) のイメージ 地方法人特別税 所得割 付加価値割 2 ( 所得割 1.48 =4.3%) 2.9% 0.48% 資本割 0.2% 1 3 : 1 以 上 8