薬剤の粉砕・カプセル剤開封の              可否について

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薬剤の粉砕 カプセル剤開封の 可否について 薬剤部澤山友里

本日の内容 1. 錠剤の粉砕 カプセル剤の開封を必要とする理由と問題点 2. 事例紹介 3. 薬の効果を高める工夫 4. 安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 5. 配合剤の分割 粉砕 6. 剤型変更

本日の内容 1. 錠剤の粉砕 カプセル剤の開封を必要とする理由と問題点 2. 事例紹介 3. 薬の効果を高める工夫 4. 安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 5. 配合剤の分割 粉砕 6. 剤型変更

錠剤の粉砕あるいはカプセル剤の開封を必要とする理由 疾病により嚥下障害を来たした場合 経管などの処置のため 固形物が嚥下不可能な場合 小児 高齢者で嚥下能力がない場合 薬用量が規格単位 (1 錠または 1 カプセル ) に合わない場合

錠剤の粉砕 カプセル剤開封に伴う主な問題点 製剤の物理化学的安定性に対する影響 光に対する安定性( 酸化分解など ) 温度 湿度に対する安定性( 吸湿による湿潤など ) 着色 配合変化 薬物動態 薬効 副作用への影響 徐放性および腸溶性の崩壊 吸収 生物学的利用率の変化 感覚器への影響 味 におい( 苦み 酸味 不快臭など ) 刺激感 しびれ感

本日の内容 1. 錠剤の粉砕 カプセル剤の開封を必要とする理由と問題点 2. 事例紹介 3. 薬の効果を高める工夫 4. 安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 5. 配合剤の分割 粉砕 6. 剤型変更

事例 1 11 歳男児気管支喘息 処方 1 テオドールDS 20% ムコダイン細粒 50% 1g 1 日 2 回朝 夕食後 2g 1 日 2 回朝 夕食後 処方 2 テオドール錠 (100mg) 2 錠 1 日 2 回朝 夕食後ムコダイン錠 (500mg) 2 錠 1 日 2 回朝 夕食後 気管支喘息のため 処方 1 の散剤を継続服用中であったが 年齢もある程度大きくなったことと 一部負担金 服薬時に 1 回で飲む薬の量が多いことから 処方 2 の錠剤へ変更となった 今まで散剤しか服用させたことがなかったので 母親は徐放性製剤であるテオドール錠を粉砕して子供に服用させた 服用後 興奮 手の震えがみられた

事例 2 血圧 脳梗塞で入院中の患者 徐放性製剤であるフランドル錠を粉砕して EDチューブより投与していた 患者の血圧の低下など日内変動が見られていた フランドル錠からフランドルテープへ変更したところ 血圧の日内変動は見られなくなった 160 140 120 100 80 60 40 20 0 フランドル錠粉砕 服用 服用 収縮期 拡張期

事例 2 テープ剤への剤型変更 血圧 フランドルテープへ変更 160 140 120 100 80 60 40 貼付 20 0 収縮期 拡張期

本日の内容 1. 錠剤の粉砕 カプセル剤の開封を必要とする理由と問題点 2. 事例紹介 3. 薬の効果を高める工夫 4. 安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 5. 配合剤の分割 粉砕 6. 剤型変更

まずは体内の薬の流れから 薬は 必要な時に 必要な量を 必要な部位に 到達させるのが理想! 中外製薬 (https://chugai-pharm.info/medicine/body/body002.html)

薬の効果を高める工夫 剤型技術 ( 注射薬を飲み薬や貼り薬にしたり 口腔内崩壊錠の開発など 薬の形を工夫する技術 ) 安定化技術 ( 体内で成分や性質が不安定な薬を 溶出速度等を工夫し体内で上手に働かせる技術 ) ターゲッティング技術 ( 病巣を狙い撃ちする技術 ) 中外製薬 (https://chugai-pharm.info/medicine/body/body002.html)

薬の効果を高める工夫 剤型技術 ( 注射薬を飲み薬や貼り薬にしたり 口腔内崩壊錠の開発など 薬の形を工夫する技術 ) 安定化技術 ( 体内で成分や性質が不安定な薬を 溶出速度等を工夫し体内で上手に働かせる技術 ) ターゲッティング技術 ( 病巣を狙い撃ちする技術 ) 粉砕してはいけない薬もある!

本日の内容 1. 錠剤の粉砕 カプセル剤の開封を必要とする理由と問題点 2. 事例紹介 3. 薬の効果を高める工夫 4. 安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 5. 配合剤の分割 粉砕 6. 剤型変更

安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 Ⅰ. 徐放性製剤 Ⅱ. 腸溶性製剤 Ⅲ. フィルムコーティング製剤 など

Ⅰ. 徐放性製剤 徐放性製剤とは? 投与回数の減少 または副作用の低減を図るなどの目的で 製剤からの有効成分の放出速度 放出時間 放出部位を調節した製剤 徐放性製剤に使用される略語 R Retard( 遅らせる ) L Long Acting( 長く効く ) CR Controlled Release( 放出をコントロールする ) LA Long Acting( 長く効く ) SR Sustained Release( 放出を持続させる ) TR Time Release( 持続放出 ) 復効錠 グラデュメット錠 略語のついていない徐放性製剤もあります

徐放性製剤 ( 当院採用薬 ) アンブロキソールLカプセル ( 脱カプセル〇 ) エブランチルカプセル ( 脱カプセルO) MSツワイスロン ( 脱カプセル〇 ) オキシコンチンケタスカプセル ( 脱カプセル〇 ) ジソピラミド徐放錠ジルチアゼムRカプセル ( 脱カプセル〇 ) セレニカR タムスロシンOD テオドールニフェジピンCR フランドルベザフィブラートSR ベタニスペルサンチンLカプセル ( 脱カプセル〇 ) ユニフィルLA カプセル剤の中に徐放性コーティングが施された顆粒が含まれているため 粉砕不可 脱カプセル可

徐放性製剤のタイプ シングルユニットタイプ : 全体が徐放性を持つ レぺタブ型 Repetabs( 糖衣錠 ) フィルムコーティング レジネート型 Resinates 糖衣 スパンタブ型 Spantabs( 多層錠 ) 速放性 徐放性 グラデュメット型 Gradumets ロンタブ型 Lontabs( 有核錠 ) 速放性 徐放性 例 ) ニフェジピン CR ワックスマトリックス型 Wax Matrix マルチユニットタイプ : 服用後速やかに崩壊し その後生じる顆粒 1 つ 1 つが徐放性をもつ スパンスル型 Spansules( カプセル ) 速放性顆粒 徐放性顆粒 例 ) フェロ グラデュメット スパスタブ型 Spacetabs 速放性顆粒 徐放性顆粒 例 ) テオドール錠フランドル錠 例 ) ジルチアゼム R カプセル 拡散徐放性 高分子被覆層

0 時間 2 時間 3 時間 4 時間 5 時間 6 時間 8 時間 12 時間 24 時間 36 時間 ニフェジピン CR ~ 分割なしと分割した時の血中濃度比較 ~ 速放性 (Ng/ml) 最小治療有効血中濃度 ( 高血圧症 :12ng/mL) 徐放性 有害事象の起こりうる中毒域血中濃度 ( 該当資料なし ) 血漿中薬物濃度 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 分割なし 2 分割 8 分割 中毒症状 過度の血圧低下 顔面潮紅 頭痛 動悸 房室ブロックなど ニフェジピン CR 錠 40mg 単回投与時の血漿中薬物濃度推移

テオドール錠 血漿中薬物濃度 ~ 粉砕なしと粉砕した時の血中濃度比較 ~ 治療有効血中濃度 (10-20μg/ml) 有害事象の起こりうる中毒域血中濃度 ( 中毒域 :>20μg/ml 特に重篤な中毒域 :>30μg/ml) (μg/ml) 8 6 4 2 0 錠剤 軽く粉砕 粉砕 テオフィリン錠 200 mg単回投与時の血漿中薬物濃度推移 速放性顆粒 徐放性顆粒 中毒症状 悪心 嘔吐 頭痛 不眠症状 頻脈 心房細動 昏睡など

徐放性製剤を粉砕してしまうと 急激な吸収や一過性の血中濃度上昇をもたらし 過量時の副作用発現と 持続性の消失による治療への 悪影響が考えられる 徐放性の錠剤 顆粒剤 カプセル剤の粉砕は避ける ( 脱カプセル可 )

一過性の血中濃度上昇で起こる可能性のある中毒症状 オキシコンチン MS ツワイスロン 痙攣 錯乱 血圧低下 重篤な脱力感 重篤な眩暈 嗜眠 心拍数減少 神経過敏 不安 縮瞳 皮膚冷感など ジルチアゼム R カプセル 徐脈 完全房室ブロック 低血圧など ジソピラミド徐放錠 失神 不整脈など ペルサンチン L カプセル 熱感 顔面潮紅 発汗 不穏 脱力感 めまい 狭心様症状 血圧低下 頻脈など

Ⅱ. 腸溶性製剤 腸溶性製剤とは? 有効成分の胃内での分解を防ぐ または有効成分の胃に対する刺激作用を低減させるなどの目的で 有効成分を胃内で放出せず 主として小腸内で放出するよう設計された製剤 腸溶性製剤に使用される略語 EN Enteric( 腸の ) 略語のついていない腸溶性製剤もあります

腸溶性製剤 ( 当院採用薬 ) アサコール (PH7 以上となる回腸末端から大腸全域にメサラジンを放出するよう設計された放出調節製剤 ) アザルフィジン EN エクセラーゼエビプロスタット DB カリジノゲナーゼサインバルタ ( 脱カプセル〇 ) ネキシウム ( 脱カプセル〇 ) ラベプラゾール バイアスピリン ランソプラゾール OD カプセル剤の中に腸溶性コーティングが施された 顆粒が含まれているため 粉砕不可 脱カプセル可

腸溶性製剤を粉砕してしまうと 胃腸障害発現の可能性 胃酸による失活のため 治療効果が現れないなどの悪影響が考えられる 原則として錠剤 カプセル剤の粉砕は避ける ( 脱カプセル可 ) ( 経管投与において留置チューブの先端が 胃より下部である場合は粉砕可能 )

Ⅲ. フィルムコーティング製剤 フィルムコーティング製剤とは? 胃腸障害などの副作用の低減 遮光や防湿の目的 味やにおいの隠蔽などを目的にフィルムを施した製剤 原則的には粉砕は避けるべきだが 粉砕可能な薬剤もあり 個々の薬剤については 成書などを参照にする必要あり

フィルムコーティング製剤で粉砕不可薬剤の一例 アクトネル錠 口腔咽頭刺激の可能性あり アスパラカリウム錠 粉砕した場合 吸湿性がより高まる 吸湿固化したものを服用した場合 カリウムの分散性は 損なわれ 消化管粘膜の局所が高濃度のカリウムに 曝されることによって 胃腸障害が惹起される可能性あり ペルサンチン錠 粉砕して服用した場合 最高血中濃度到達時間が 短くなり また最高血中濃度も高くなる

本日の内容 1. 錠剤の粉砕 カプセル剤の開封を必要とする理由と問題点 2. 事例紹介 3. 薬の効果を高める工夫 4. 安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 5. 配合剤の分割 粉砕 6. 剤型変更

配合錠も分割 粉砕ダメ? 配合錠とは? 二つ以上の成分をまとめて一つの錠剤へ成形した製剤 配合錠の一例 2 種類以上の降圧剤 (ARB+Ca 拮抗 ) ユニシア エックスフォージ ミカムロ レザルタス アイミクス ザクラス アテディオなど 降圧剤 (ARB)+ 利尿剤 エカード プレミネント コディオ ミコンビ イルトラなど 降圧剤 (Ca 拮抗 )+ 高脂血症治療剤 ( スタチン系 カデュエット 抗血小板薬 + 胃薬 (PPI) タケルダ 2 種類以上の糖尿病剤 メタクト ソニアス リオベル グルベス エクメット カナリアなど

最近 こんな処方が エックスフォージ 0.5 錠 1 日 1 回朝食後 半分にして大丈夫??

EX) エックスフォージ = バルサルタン 80 mg + アムロジピン 5 mg 1 錠の中に成分が均等に分布されているわけではない! ノバルティスファーマ HP より (https://drsnet.novartis.co.jp/dr/products/product/exforge/document/) 分割すると 各々の成分量が不均等になるので分割不可 1 錠分 1 であれば粉砕は問題なし 1 錠分 2 以上になると 1 回量の各々の成分量が不均等になるため粉砕不可

配合剤のメリット デメリット メリット ) 服用が1 回で済むため 服用アドヒアランスの向上が期待できる 配合剤の方が単体の薬より費用が安い デメリット ) 1 種類のみ増量 減量したい時など 微調整が難しい 分割 粉砕できないため 分割 粉砕が必要な患者には不向き

本日の内容 1. 錠剤の粉砕 カプセル剤の開封を必要とする理由と問題点 2. 事例紹介 3. 薬の効果を高める工夫 4. 安定化技術を用いた各製剤の特徴と代表例 5. 配合剤の分割 粉砕 6. 剤型変更

剤型はいろいろ 日本調剤 HP より (https://www.nicho.co.jp/medicine/type/)) 粉砕が必要な患者の場合粉砕不可薬剤は 剤型変更をご検討ください

剤型変更の一例 アスパラ K グルコンサン K 細粒 アンブロキソール L カプセル プルスマリン A ドライシロップ セレニカ R 錠 セレニカ R 顆粒 バレリンシロップ 5% テオドール錠 テオドールドライシロップ フランドル錠 フランドルテープ など

薬剤部では 1 第 6 版錠剤 カプセル剤粉砕ハンドブック ( じほう ) 2 添付文書で性状 貯法 使用上の注意などを確認 3 インタビューフォームなどで原薬の安定性を確認 4 メーカーから 粉砕後のデータを提供してもらい検討

薬剤の粉砕 カプセル剤開封の可否や 粉砕 カプセル剤開封後の安定性など ご不明な点がございましたら 投与前に薬剤部へご連絡ください

ご清聴ありがとうございました