家庭科第 1 学年府中町立府中中学校指導者濱野綾子題材名生活を豊かにするために - 授業道具をひとまとめ! クラッチバッグを製作しよう - 本題材で育成する資質 能力 思考力 判断力 表現力, 主体性, 他者と関わる力 日時平成 30 年 1 月 31 日 ( 水 )6 校時 学年 組第 1 学年 2 組 ( 男子 20 名, 女子 19 名, 計 39 名 ) 考え 基礎知識 手縫いやミシン縫いなどの基礎的 基本的な知識や技能を活用することができる つながり 教え合いの活動を通して, 製作活動に対する苦手意識を克服する 応用 広がり 製作の工夫としてアレンジを加え, オリジナル作品を完成させ, 活用の喜びにつなげる 題材について 題材観本題材は, 中学校学習指導要領技術 家庭編第 3 節家庭分野において, C 衣生活 住生活と自立 (3) 衣生活, 住生活などの生活の工夫ア布を用いた物の製作を通して, 生活を豊かにするための工夫ができること 身近な衣服の材料である布を用いた簡単な衣服や小物を製作することを通して, 衣生活や住生活を豊かにするための工夫ができるようにする と位置付けられている 実習で扱う題材については, 完成後に活用することにより自分や家族の生活がより豊かになるよう, 授業内や学校生活の中での利用を考え, 技術 家庭の教科書類をまとめて入れることのできるクラッチバッグを採用した 技術 家庭の教科書類は 3 年間使用し, 実習を行う調理室や被服室へも持ち運ぶため痛みやすいので, 長く使うことができるような丈夫な布を使い製作するが, 卒業後はバックインバッグなど, 様々な用途での使用が想定できる題材で, ねらいにも適していると考える 生徒観本校 1 年生 197 名を対象に事前アンケート調査を実施した 家庭分野の学習が得意である と肯定的な回答をした生徒は 82% おり, 関心の高さがうかがえる ( 表 1) クロス集計において, ミシン縫いが得意である と肯定的な回答をした生徒は, 全員 家庭分野の学習が得意である と肯定的な回答をしている しかし, ミシン縫いが得意ではない と否定的な回答をした生徒の 31% が, 家庭分野の学習が得意ではない と回答している 表 1 とてもあてはまる あてはまる あまりあてはまらない あてはまらない 家庭分野の学習が得意である 11% 71% 13% 5% ミシン縫いが得意である 0% 34% 47% 19% ミシンの所有や使用頻度については, 家庭にミシンがない ミシンはあるが, ほとんど使用してい ない 生徒は 63% であった ( 表 2) 学校でのミシン縫いの授業が単発的に終わっていることや, ア ンケート結果から, ミシン縫いについては家庭での技能の定着が難しい状況にあることがわかる
表 2 家庭にミシンがあり, 家族 ( 自分を含む ) が使用している 37% 家庭にミシンはあるが, ほとんど使用していない 26% 家庭にミシンがない 37% 指導観 1 年生にとって, 中学校に入学して初めての被服製作題材である 小学校の家庭科でも布を用いた製作を行ってきているが, 授業後, 一度もミシンを使っていないという生徒も多い ミシン縫いに苦手意識をもっている生徒も多いという実態から, 生徒の製作能力にはかなりの個人差があると考えられる 全員を完成に導くことは容易なことではないが, 他者との生活経験の違いを踏まえた上でペアを設定したり, 手順や実物見本, 視覚的機器を用いたりして学習形態を工夫し, 基礎的 基本的な知識及び技能を身に付けさせたい 製作する際に使用するミシンについては, 小学校での学習を踏まえて, 使用前の点検, 使用後の手入れとしまい方, 簡単な調整方法などを指導する ミシンの操作については, 姿勢や動作が作業の正確さや能率に関係すること, 作業環境の整備が安全に影響することなどにも触れるようにする 製作にあたっては, 全体の見通しをもち, どのような手順で進めていくか計画できるようにする ただ単に手順に沿って作業をすすめていくのではなく, 完成品から製作方法や縫い方を考えたり, 製作過程においてもペアで相互評価を行い, 互いのできあがりを認め合ったり, アドバイスをし合ったりすることで, 作品をよりよい物にしようとする意欲につなげていきたい また, 使用する材料の布は, 作る過程において触れたときには温かさをも伝える 作品の出来ぐあいも大切であるが, この作る過程において芽生えるであろう 心の豊かさ を大切にできるよう, 指導していきたい 指導の系統 小学校家庭中学校技術 家庭 ( 家庭分野 ) C 快適な衣服と住まい (3) 生活に役立つ物の製作 ア布を用いて製作するも物を考え, 形などを工夫し, 製作計画を立てること イ手縫いや, ミシンを用いた直線縫いにより目的に応じた縫い方を考えて製作し, 活用できること C(1) 衣服の着用と手入れ,C(2) 快適な住まい方と関連させる ウ製作に必要な用具の安全な取扱いができること 第 3 の 3(1),(2) にある実習の指導の配慮事項を十分参考にするようにする C 衣生活 住生活と自立 (3) 衣生活 住生活などの生活の工夫 ア布を用いた物の製作を通して, 生活を豊かにするための工夫ができること C(1) のウの事項と関連させて扱うようにしたり, 小学校で学習した内容 C に関する基礎的 基本的な知識と技能などを発展させ, 効果的に活用したり製作ができるようにする 題材の目標 クラッチバッグの製作を通して, 生活を豊かにするための工夫をしようとしている ( 生活を工夫し創造する能力 ) 習得した基礎的 基本的な知識と技能などを発展させ, 効果的に活用して, クラッチバッグを製作することができる ( 生活の技能 )
題材の評価規準 ア生活や技術への関心 意欲 態度 1 製作に関心をもち, 意欲的に取り組んでいる 2 製作過程において, ペアで相互評価を行い, 互いのできあがりを認め合ったり, アドバイスをし合ったりしている イ生活を工夫し創造する能力 1 完成品から製作手順や縫い方を考え, 計画や作業について課題をもち, 工夫しようとしている 2アレンジを加え, 活用に向けてよりよい作品にしようとしている ウ生活の技能 1 ミシンの基本操作を教え合い, 正しく安全に基礎的なミシンの操作ができる 2 裁縫道具やミシンを正しく取り扱い, 安全に作品を製作することができる エ生活や技術についての知識 理解 1ミシンを使用する前後の点検, 簡単な調整の方法について理解している 2 製作に必要な基礎的 基本的な知識を身に付けている 育成しようとする資質 能力と本題材とのかかわり スキル 意欲 態度 価値観 倫理観 本校で育成する資質 能力思考力 判断力 表現力思 収集した情報, 獲得した知識 技能を適切に活用しながら問題を解決していく思考 情報の選択, 解決方法の比較 選択をして結論を決定していく意思決定 伝える相手や状況に応じた表現 主体性 主 自ら気づき, 考え, 実行しようとする力 題材で目指す生徒の姿 1 裁縫道具やミシンを正しく取り扱い, 安全に作品を製作しようとしている 2 製作に必要な基礎的 基本的な知識を身に付けている 3 アレンジを加え, 活用に向けてよりよい作品にしようとしている 1 製作に関心をもち, 意欲的に取り組んでいる 他者と関わる力他 1 完成品から製作手順や縫い方を考え, 計画や作業について課題をもち, 工夫しようとしている 他者の立場や意見を受け止め, 協働して課題解決に生かそうとする力 2 ミシンの基本操作を教え合い, 正しく安全に基礎的なミシンの操作ができる 3 製作過程において, ペアで相互評価を行い, 互いのできあがりを認め合ったり, アドバイスをし合ったりしている 指導と評価の計画 ( 全 6 時間 ) 時 学習内容 課題の設定 情報の収集 (1 時間 ) 関思技知 評 評価規準 価 ( 評価方法 ) ミシンを使用する前後の点検, 簡単な調整の方法について理解している エ 1 ( 行動観察 ) 資質 能力の育成 ス 1 1 2 ミシン糸かけ大会 ( ペア部門 ) で優勝しよう ミシンの基本操作を確認する 整理 分析 (1 時間 ) クラッチバッグの製作計画を立てよう ( 本時 ) ミシンの基本操作を教え合い, 正しく安全に基礎的なミシンの操作ができる ウ 1 ( 行動観察, ワークシート ) 完成品から製作方法や縫い方を考え, 計画や作業について課題をもち, 工夫しようとしている イ 1 ( 行動観察, ワークシート ) 製作計画を立てることができる エ 2 ( 製作計画表 ) 他 2 他 1 ス2
製作計画表を作成する 3 実行 (3 時間 ) クラッチバッグを製作しよう ミシンを用いてクラッチバッグを製作する まとめ 創造 表現 振り返り (1 時間 ) アレンジを加え, オリジナル作品にしよう アレンジを加え, 振り返りをする 製作に関心をもち, 意欲的に取り組んでいる ア1 ( 行動観察, 自己評価カード ) ミシンの基本操作を教え合い, 正しく安全に基礎的なミシンの操作ができる ウ1 ( 行動観察, ワークシート ) 毎時間, ペアで相互評価を行い, 作品をよりよい物にしようとしている ア2 ( 製作品, 自己評価カード ) 他 3 アレンジを加え, 活用に向けてよりよい作 品にしようとしている イ2 ( 製作品 ) 互いのできあがりを認め合い, 学習のまと めや振り返りをさせる ア2 ( 行動観察, ワークシート ) 主 1 ス1 ス3 他 3 本時の目標 クラッチバッグの製作計画を立てよう 本時の学習 (2 時間目 / 全 6 時間 ) 学習の流れ 学習活動 1 本時のめあてを確認する (5 分 ) 指導上の留意点 ( ) 配慮を要する生徒への支援 ( ) 作品の製作途中で を聞いて, 小学生のとき自分にこのような経験があるか, もしくは, このような場面を見たことがあるか質問する 本時のめあてを確認する 評価規準教科の指導いい事項資質 能力 ( 評価方法 ) めあて クラッチバッグの製作計画を立てよう 2 完成品から製作手順などを考える (15 分 ) 完成品を提示し, 製作手順などを考えさせる 1 製作工程数を知らせる 2 キーワード ( 表, ウラ, わき, 袋口, ミシン縫いする, アイロンで折るなど ) を提示する 3 キーワードを全て使用させ, ワークシートの工程表を完成させる グループ全員が活動できるよう, 役割分担をさせる 完成品から製作方法や縫い方を考え, 計画や作業について課題をもち, 工夫しようとしている イ 1 ( 行動観察, ワークシート ) 他 1
3 グループで考えた手順で作ってみる (15 分 ) 4 全体に発表する (10 分 ) 5 振り返りをする (5 分 ) 6 次時の確認をする グループで考えた手順で製作させる 1 布を折ったり, ミシン縫いしたりしている箇所は, 両面テープを使用させる 2 手順の変更がある場合は, ワークシートの工程表を訂正させる 全体の見通しをもち, どのような手順で進めていくか確認させる 自己評価カードにクラッチバッグの製作手順など, 分かったことを記入させる 製作計画を立てることができる エ 2 ( 発表, 製作計画表 ) ス 2 生徒のまとめ例実物の完成品を見たので, どんな物を作るのかが分かった 小学生のときは, 作り方の順番を自分たちで考えることはなかったが, 今日はみんなで順番を考えたので, よく分かった 題材の終末における評価 パフォーマンス課題 2 人で 1 台のミシンを使用し,3 時間でクラッチバッグを完成させよう 評価の指標 (B 規準 ) ペアやグループでつまずきを教え合い, 時間内にクラッチバッグを完成することができる 板書計画 プロジェクターで投影 本時のめあてクラッチバッグの製作計画を立てよう 作品の製作途中で 逆からの発想! 1 完成品を見て, 製作手順を考える 製作工程表 キーワード,, 1 2 2 自分たちの考えた手順で作ってみる グループごとの配付物 布, 両面テープ 3 手順に訂正はないか 4 正しい手順を確認する 完成品 先生 : 今から縫い方の説明するので, 前に来てください やり方がよく見える所に立って, 説明をよく聞いて ください ( 生徒に作り方を説明する ) ( 作り方の説明が終わる ) 先生 : それでは自分の席に戻って, 作業を始めてください 生徒 : 先生! 先生! わからん! 先生 : えっ? 今, 説明したのに, 聞いてなかったの? 生徒 : もういい じゃあ, 作らん 先生 : 改善策 全体の見通しをもってから製作に取り組むといいのでは? でも, 毎年, 製作前に作り方は全部教えているけれど? 先生の説明を聞くだけでは記憶に残りにくいかも? ペアやグループで作り方を考えてみるのは? 5 製作工程表, 完成! 振り返り 次時の持参物裁縫道具, 教科書, ノート, ファイル